2019年3月12日 第5回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録

政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

平成31年3月12日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省 省議室
(中央合同庁舎第5号館9階916号室)

出席者

構成員(五十音順、敬称略、○:座長)

  石原 真三子
 ○今野 浩一郎
  神林 龍
  樋田 勉
  野口 晴子
  山田 久

事務局

  藤澤政策統括官
  吉永審議官
  中井参事官
  瀧原統計管理官
  細井統計企画調整官
  村木雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

(1)「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点について
(2)その他

議事

 

○細井統計企画調整官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の出席状況でございますが、稲葉構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 それでは、早速でございますが、以後の進行については、座長にお願いをいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○今野座長
 それでは、よろしくお願いします。
 お手元の資料に議事次第がありますので、それに沿って行きたいのですが、そこには書いていないのですけれども、今日、議論していただきたいことは大きく言うと2つございまして、前回の議論で事務局に対して、こういうことをやっておいてくれということをお願いしましたので、それの話をしていただくことと、あと石原さんから資料が出ておりますので、それをめぐって議論したいということと、もしかしたら神林さんから何か論点が出るかもしれませんので、本人いわく黒板があるかどうか次第だということなのですが、それをめぐって議論したいと思います。
 それを踏まえてもう一つ、今日、議論していただきたいことは、これまでずっと議論してきた中で、今回、我々が与えられている問題について何を検討すべきかということの課題を整理するということが非常に重要ですので、それについて後半では議論をしていただきたいと思っております。
それでは、最初に、事務局から資料の説明をお願いします。

○瀧原統計管理官
 では、前回の宿題事項を中心に資料の説明をさせていただきたいと思います。資料1でございます。資料1は今までの議論、前回まで出していた資料を一部バージョンアップしましたので、めくっていただきまして、最初の2ページ、3ページは前回と同じものでございます。今日の議論の中で必要となる部分があろうかと思いますので、前回と同じ資料を中には入れさせていただいております。1番目が共通事業所の集計値の定義に係る計算式等でありますし、その実態が3ページのところでございます。
  4ページはそれを図式化したものということで、これも前回と同じでございます。
  5ページのところが前回、稲葉委員のほうから誤差率についてのデータを本系列ですけれども、提供いただきたい、資料に入れていただきたいというお話がございましたので、まずは毎月勤労統計での調査結果についての標準誤差率の計算式、これは調査の結果のほうに出ているものでございますが、それを資料とさせていただきました。そこにございますとおり、毎月勤労統計調査が標本調査でございますので、推計値の誤差の一つとしての標本抽出に起因する標本誤差というのがあるということで、その誤差の部分を結果として計算するためのものでございます。
  毎月勤労統計、そこの下にありますように黒いポツで第一種事業所と第二種事業所というのがございます。これは事業所規模が30人以上のものと5~29人のものをそれぞれ第一種事業所、第二種事業所と言っているというものでございます。そこで標準誤差の計算式が違います。第一種のほうは比較的シンプルな計算式で出るのですけれども、第二種のほうは複雑な形になっております。これはなぜかと申しますと、先般もお話しいたしましたけれども、この第二種事業所のほうは調査区を選んで、そこからさらに事業所を選ぶという2段階の抽出をしております。層を分けているということがございますので、その層別に抽出しているということで、層での母集団調査区数でありますとか、そういうものをベースにして計算する必要があるので、このような式になるということでございます。ごちゃごちゃした式になっておりますけれども、そこに書いてある式で計算されているものでございます。
  この結果、どういった誤差率になっているかというのが6ページでございます。規模ごと、事業所規模で、かつ産業別の誤差率でございまして、 今、公表している部分で一番直近のものが平成29年7月分になりますので、それのきまって支給する給与の標準誤差率でございます。
 ごらんいただきますと、規模、数字の左側2つが規模計、5人以上計と30人以上計ですけれども、この2つの2列につきましては3%を少し超えているのもありますけれども、それ以内ぐらいで抑えられていて、特に5人以上ですとさらに低い誤差率になっているというようなことなりますが、ただ、それは規模ごとに100~499あるいは30~99、5~29、それぞれ見ていただきますと、産業、特に中分類ぐらいになってきますと少し高いものが出ている。これは調査年度によってぶれはあるのですけれども、やはり小さい産業になりますと誤差が大きくなっている。
 制度設計上はある程度抑えられる形にはしているのですけれども、実際には回収率の問題もありまして、回収が少ないものには少し高目に出てしまうというようなこともございますので、規模ごとの産業別になりますと少し高い数字が出ているというのが毎月勤労統計の現状でございます。
 共通事業所についてはこういうものがないのですけれども、今の本系列でこれぐらいだということになりますので、さらにサンプルを少ないということになると、もう少し高目に出てくるのではないかというようなことになろうかと思います。これが稲葉先生からいただきました誤差率の資料でございます。
 続きまして、7ページからでございます。これは神林先生からお話がありました、今の共通事業所系列が例えば今年と前年とを比べる場合には労働者のウエイトを今年に揃える、あるいは当月と翌年の同じ月で比べる場合には翌年のほうにウエイトを揃えるということで、ウエイトの変化の影響を除去しておりますので、単純にそこに出ている賃金額なりを比較することができないということになりますので、共通事業所系列の何らかのサンプルバイアス等を見るためには、同じ時点で揃える必要があるだろうということで、労働者ウエイトを当該月に全て揃えるというような形で計算したのがここからの表になります。
 実際、それによって特性が見えるかということで、まず最初、7ページは実際、この後ろから数字が出てきますけれども、これはサンプル数でございます。分け方としましては、平成29年の各月につきまして、規模計と規模4区分別に並べておりますが、そこで計算しましたのは、共通事業所につきましては、例えば1月ですと29年1月と30年1月を比べた数字が○1、28年1月と29年、前年と比較したものが○2、それから、本系列、これは単純に29年1月について集計したものというような形になります。
 それのサンプルですけれども、サンプルは過去お示しした、今回で言いますと3ページのベースのものと同じと思っていただいて結構ですが、おさらいになりますが、そこにあるような形で本系列が2万4000ぐらいに対して共通事業所が1万弱ぐらいのベースで動いている。前年と比べて、○1と○2については大体同じぐらいの数で行っているのかなというような感じはしますけれども、やや○2のほうが大きくなっています。
 というのは、これは今対象となっていますのが平成27年に抽出されて、その後、ずっと残っているところですので、○2に比べて○1のほうがより長い期間、調査対象として残っているということでありますので、若干の脱落という部分も含めて考えると○1のほうが少し小さ目になるのかなというところがあります。必ずしも全てにわたって○1が少ないというたわけではなくて、多くなっているところもあるのですけれども、全般的にはそういう面が言えます。
 ただ、5~29につきましては、半年ごとに3分の1入れ替えというローテーションがありますので、これは平成27年からずっと継続的になっているというものではございませんので、一番下の5~29のところを見ていただきますと、○1と○2の大小関係というのは逆に○1のほうが多いというのが傾向で出ていますけれども、そのときのサンプル、たまたまな部分もあるのかなと思いますが、そういう形で出ています。
 あと本系列と比べますと、これは前回までお話ししたのと同じですけれども、500人以上については本系列とかなり近い数字になっているのに対して、100~499、あるいは30~99というのは半分弱ぐらいになりますし、5~29になりますと3割ぐらいに落ちるというようなことになっているというものでございます。
 こういうようなサンプルにつきまして、では、具体的な賃金額がこの○1から○3でどうなっているかというのが8ページからになります。現金給与総額、きまって支給する給与等々、各指標に分けておりますけれども、なかなか結果的には単純には見えにくいところはあるのですが、見ていただきますと、まず5人以上の計のところですが、○1と○2と○3を見ていただくと、やはり本系列よりは○1、○2がやや高いかなというのが見えますが、○1と○2については、これは一番上の計を見てみるとやや○1のほうが高目に出ているような感じがしますけれども、ただ、月によっては逆転する場合もございますので端的には言いにくいということと、例えば2月などは○2に比べて○3のほうが高いということになっていますので、やはりそこはぶれが出ているのかなというところは感じられます。
 ○1と○2は両方とも同じ共通事業所なのですけれども、前年と比べるか、翌年と比べるかで少し差は出ているのですが、ただ、一つ考えられますのが、先ほど申し上げましたように○1のほうは、より長くいる事業所というのが出ている部分がありますので、そうすると、生き残りバイアス的なものがより長期にわたって回答を続けているところ、○1に出てきやすいということが考えられるのですが、そこまで読み取れるかどうかというのは、明らかではないです。
 ちなみに、一番下の現金給与総額は5~29のところにつきましては、対象が半年ごとで入れ替わっていくということがございますので、そこの部分でサンプルが入れ替わっていますので、これも先ほどと同じような形で、○1と○2については、その時点で違うものになるということが出てきますので、単純に比較というよりはサンプルが変わったときのサンプル群の違いによるものというのが出てきているのかなというようなことが感じられるところでございます。
 同じような形で大変細かい字がずっと羅列していることで恐縮なのですけれども、8ページの下がきまって支給する給与、その次が9ページから所定内給与、所定外給与ということで資料とさせていただいております。
 次の10ページのところが特別給与、その後ろの3つ、10ページの下からは時間も併せて記載させていただきました。
 11ページのところが所定内労働時間と所定外労働時間になっております。ここについてはそれぐらいでしょうか。
 ここから後ろ、12ページ以降につきましては、12ページのところはそれまでと同じような表ですけれども、これは共通事業所と未提出事業所の比較ということで、前回、お示しさせていただいたものでございます。さらに翌月も共通事業所になる割合ということで17ページに前回と同じ資料を掲載させていただきました。
 あとも同じで、参考ということでこれまでの資料を掲載させていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。

○今野座長
 ありがとうございます。
 それでは、何か御質問はございますか。前回、こちらでお願いした資料。
 どうぞ。

○山田構成員
 7ページからの同じ労働者のウエイトで集計し直していただいたところ、具体的に何年で労働者ウエイトというのは固定しているのでしょうか。

○瀧原統計管理官
 7ページはサンプル数ですけれども、この1月から12月というのは29年でして、29年1月のウエイトで○1ですと29年と30年を比べているところ、両方に共通している事業所の29年1月時点での賃金額等になります。29年のその月ということになっております。

○山田構成員
 全て1、2、3ともそれにそろえて計算し直したということですね。

○瀧原統計管理官
 そうです。数字的に言いますと、本系列はもともと29年1月のウエイトですし、○2のほうも29年に揃えていますので、これも公表ベースで、変えているのは○1です。○1が共通事業所のときは30年1月のウエイトであったものを29年に戻して計算し直したというものでございます。

○山田構成員
 だから、これによって共通事業所の群が毎年変わっているので、実際には毎月変わっているわけですけれども、前年と比較したときに群の変化 によって平均値がどれぐらいぶれているかということがわかるということですね。

○瀧原統計管理官
 そうです。

○山田構成員
 だから、ここでは計算はできないのですけれども、例えばここで2系列、1と2がありますが、これの前年比の伸びを計算するとしたときに、28年の系列をまた29年1月で固定した数字を出したとしたら、そうすると、前年の伸びが労働者の変化、労働者ウエイトの変化がなく、純粋に群ごとの平均賃金の水準のばらつきですね。ごちゃごちゃ言いましたね。要はこの2つの系列の乖離というのが、これを見ていると月によって一点数%の乖離が出てきているということは、やはりそれなりに例えば今、議論になっているのは前年比の実質賃金がどうなるかみたいなことは言われているわけですけれども、群が違うことによって、ここの意味合いというのは伸び率自体が一点数%変わってくるということになりますから、そうすると、かなり共通事業所というのはどういう群をとるかによってばらつきが大きいということはある程度言えるのではないかなという印象を私自身は持っています。言い方はあれですかね。
 かなり本来的には共通事業所が安定した系列として捉えるのであれば、この1と2ということの乖離というのがやはり一定程度の水準にとどまらないとだめなわけですけれども、実際はもちろん月によって変わるのですが、簡単に計算してみると、月によってはやはり一点数%、例えば大きいところで言うと3月などは1と2の系列で差は1.5%ぐらい乖離があるのです。これぐらい大きいということは、やはりかなり本来は共通事業所ととったもともとのものが安定していないとだめなのですけれども、結構とり方によってぶれが大きくなっているという印象を私自身は持ったということです。言い方がばたばたしました。

○瀧原統計管理官
 実際、ここの共通事業所の○1と○2というのは非常に考え方が難しいなと思っていまして、例えば29年1月の時点での賃金額なのですけれども、30年1月と比べているものは上のほうの○1になるのですが、これを29年1月という段階で見ると、同じグループの中で1つのグループをとるのと、それと少しずれたグループをとっているというだけの違いでしかないので、そこがこれはとり方による誤差範囲なのかどうかというところで大きいのではないかという話だと思いますけれども、共通事業所という概念自身が、そういう安定的に数字をとれるものかどうかというところはそうなっていないのかなというものと、あとこれは2月と比べるのも実は非常に複雑でして、○1という形で1月、2月、並んでいますけれども、○1の中での1月と2月は実は関係がほぼなくて、○2のほうの1月、2月もなくて、もちろん、翌年と共通性を持っているというのと1年前と共通性を持っているという性格はあるので、それの影響は出ているのかもしれませんけれども、実は1月と2月というところの○1と○2の4つの数字というのはどことどう比べても実は可能というようなものにはなっていますので、やはり比較的そこのぶれというのはあるのかなというところはあります。

○山田構成員
 もともと共通事業所を参考系列で持ってきた意味合いというのは、本系列のほうが今回のやり方ではギャップが生じて時系列的に安定的に見えなくなってしまうので、そこの代替手段として持ってこようということなのですけれども、結局、共通事業所、それであれば、代替手段ということであれば時系列的に一定の安定度が共通事業所にないとだめなのですけれども、これを見ていると、とり方によってかなりばらつきがあるということを意味しているので、これはどこまで誤差を許容するかということですが、本来のそういう意味からすると、ちょっと誤差、サンプルのとり方によってぶれが大きくなっている系列になっているということではないかなと思います。

○今野座長
 ほかにいかがですか。
 それでは、先ほどお話ししましたけれども、石原さんからペーパーが出ていますので、報告いただいて議論したいと思います。

○石原構成員
 提出が朝になってしまって申しわけないのですが、神林さんのペーパーを理解しようと考えているうちに、少し立ちどまってここまでのことを考えてみたほうがいいかなと思ったので書いてみました。
 今、お話があった共通事業所のお話とすごく関連するお話なのだと思うのですけれども、その本題に入る前に、私自身が混乱していたことについて、まずお願いなのです。
 1番、ベンチマークの意味についてというところですが、ベンチマークという一般的な言葉は参照点とか基準点とか、そういう何かここを見て比較するとかというような意味で一般的には使うので、例えば基準年の物価水準とか目標数値とか、そういうものをベンチマークと呼ぶわけです。
 ところが、今日の資料1にもあると思うのですが、2ページ目の上のほう、○2、産業構造の変化に伴う労働者のウエイトの変化(ベンチマーク更新)というように書かれているように、ベンチマークという言葉をウエイトという意味で使われているのではないかというように理解しました。
 ウエイトはそういう参照点というものではなくて復元のためのウエイトなので、それをベンチマークというようには呼ばないほうがいいのではないかなと思いました。もしかしたら、私の誤解かもしれないので、ここはもしかしたら訂正していただきたいのですが、私が何を誤解していたかというと、ベンチマークとウエイトのことを呼んでいたので、経済センサスをベースとして使う。そのベースとなる経済センサスの変化、経済センサスを使った年とか、そのウエイトのことをベンチマークと呼んで、固定した基準として呼んでいるのかと思って混乱していたのですが、実際はそうではないですか。ウエイトのことをベンチマークと呼んでいるのですか。

○瀧原統計管理官
 これは一つ一つでよろしいですか。

○石原構成員
 はい。

○瀧原統計管理官
 では、まず1番のベンチマークについてというお話なのですけれども、おっしゃるとおり、ベンチマークは基準点というような意味合いかと思いますが、我々もベンチマーク更新というときに2つの意味合いで使っておりまして、一つが、まず我々の毎月勤労統計調査ですと常用労働者数という形で労働者数をカウントしております。指数の場合は常用雇用指数になるのですけれども、労働者数の数値も集計しておりまして、その集計する労働者数についてベンチマークとしているのが経済センサスでの労働者数でございます。
 これはまさに基準でございまして、毎月勤労統計調査は前月末労働者数、例えば30年の6月なら6月の労働者数というのがあった場合に、そこにその次の月の労働者数の増えた数あるいは減った数というのを加算することによって、次の月の月末労働者数を計算する。そこに雇用保険データとかで若干補正もするのですけれども、いずれにしても、前月末の労働者数にその月の増減を加味した形で次の月の労働者数を出すという形で、どんどん労働者数をつないでいくというやり方をしていきます。
 それをつなげていくと、もちろん統計誤差とかも含めていくと、世の中ともしかしたらずれが出るかもしれない。そのずれ等をチェックするものとして5年に1回の経済センサスを使うこととしていますので、例えば最近ですと平成26年6月に経済センサスが出ていますので、そこでの労働者数に修正をかける。実際、比較しているのは26年7月時点での労働者数なのですけれども、それとセンサスとの労働者数でずれが出てきているものについては、そのずれを真の値は経済センサスの値だということで修正をかけます。ですので、そこで人数のギャップが出ますので、そのギャップをギャップ補正という形で、労働者数についてはギャップの修正をかけており、今回の30年1月の時点もかけております。
 具体的に言いますと、今回は労働者数のベンチマーク、基準点の改定は30年1月時点でやっておりまして、それは26年7月時点での労働者数を経済センサスに合わせた形になるように30年1月の数字を変えて、そこを滑らかにつながるような形で補正をして変えていくというようなことをやっております。これがいわゆる石原先生のイメージされている基準点としての労働者数でございます。
 それとは別にもう一つに、労働者数のウエイトも経済センサスをベースにしておりまして、それは何かと言いますと、毎勤において平均賃金を出すときには規模と産業でクロスをとった単位集計区分というものを作って、そこの中でのまず平均賃金を出します。そこのセルの中にある入る事業所に対して、賃金総額と労働者数で割り算して平均賃金を出し、それを規模計なり産業計あるいは全国計を出すときには、そこのセルが全体の中でどれぐらいのウエイトを持っているかというのが必要になってくるのですけれども、そこの労働者数も毎月勤労統計調査で毎月の労働者の動きを加味するのですが、それを経済センサスで出たときには経済センサスの労働者数分布に合わせるということをします。30年1月時点でそれをやりますので、29年12月までは、その前の21年の経済センサスをベースに増減をさせてきた労働者で考えられるウエイトで掛け算をしました。それを30年1月時点では26年の経済センサスの労働者構成に合わせて掛け算するウエイトを変えたという形になりますので、それで労働者のウエイトがベンチマーク更新されるという言い方をしているということでございます。

○石原構成員
 わかりました。

○今野座長
 石原さんが言っているのは、こういうときにベンチマークと言うと違うことをイメージしてしまうということだろう。

○石原構成員
 そうです。多分、ウエイトをつくるに当たって、そのセンサスを使っているので、そのセンサスがベンチマークになっているよということだと思うのですけれども、ウエイトがベンチマーク、イコールみたいに聞こえてしまうので混乱してしまったというのがあるので。

○神林構成員
 多分、正確な言葉だとベンチマーク更新、ベンチマークを更新してウエイトを変える。そのベンチマーク更新というのをベンチマーク、ベンチマークというように略してしまっている。

○瀧原統計管理官
 そうですね。通常、そういう意味では紙とかに書く場合はベンチマーク更新という言い方をしておりますけれども、省略してよくベンチマークという言い方をします。意味合い的にはベンチマークが変わったときにウエイトも更新していくというものでございます。

○石原構成員
 なので、できれば経済センサスが変わったときにとか、そういう言い方のほうがいいのではないかなと思います。ベンチマークが何かというのが、あるいはベンチマーク更新が何かというのを説明するよりは、経済センサスをベースにしています、経済センサスが変わったので、最新の経済センサスをベースにしていますというような言い方をしたほうが、前回、稲葉先生からも説明、情報をちゃんと出したほうがいいというお話がありましたけれども、一般的にベンチマークと言われると、もうこの場でベンチマークと言われると、毎勤の何かどこか賃金が28年とかにベンチマークがあって、それを見ているとかというようにもとられかねないと思うのです、ベンチマークという言葉、私は混乱させられてしまいましたので。

○瀧原統計管理官
 わかりました。確かにおっしゃるとおりかと思いますので、その辺は使い方なり、より誤解を招かないような丁寧な形でやりたいと思います。

○石原構成員
 よろしくお願いします。

○今野座長
 次、どんどんどうぞ。

○石原構成員
 それで本題なのですけれども、先ほど山田さんからもあったのですが、本系列のギャップの原因がそもそもの共通事業所を考えるに当たって、そもそも、そこが問題だったので共通事業所という考え方が出てきたということのように理解しています。そのギャップという解決のためにローテーションサンプリングと共通事業所の資料を作成しますということだったと理解しているのです。
 ギャップの原因は何かというと、先ほどのベースになる経済センサスの間隔が5年、昔は3年に1回ぐらいだったと思うのですけれども、間隔があくので経済センサスが新しくなったときにウエイトが変わってしまった、すごく変化してしまうという問題と、サンプル、標本を入れ替えるという2つの原因で起きているというように理解しています。
 1のほうが、つまり、ウエイトの変化が大きいというほうがギャップに与える影響が大きいというように、ここの資料にはないのですが、前にどなたかとお話ししたときに、過去を見てみてもウエイトの変化のほうが大きいというような資料があったような気がします。本系列のそういう2つの原因によるギャップがありますということの理解はいいですか。

○瀧原統計管理官
 ありがとうございます。

○石原構成員
 すみません、あと、もう一つ、脱落サンプルがあるからというお話もあったのですが、それも入れ替えの中に含めて、私、今、考えています。

○瀧原統計管理官
 まず、今回のギャップの発生の部分ですけれども、まずギャップについて、ギャップの発生要因として2つあるというのは、おっしゃるとおりかと思っております。ベンチマーク更新は必ずサンプル入れ替えをやるときにベンチマーク更新ができる場合にはベンチマーク更新をしますけれども、そのときに改訂が含まない場合にはベンチマーク更新をやらない場合もありますので、その場合にはサンプル入れ替えだけのギャップになる場合もありますが、両方同時にやると両方の要因が入ってくるということになります。
 ちなみに、では、その大小なのですけれども、今回の平成30年1月のときには、我々の計算しておりますギャップ、きまって支給する給与の場合なのですが、賃金額に対して0.5%ほどギャップがありまして、0.4がベンチマーク、0.1がサンプル入れ替えによるということになって、今回はベンチマークのほうが大きく出たのですが、過去を見ますと実はサンプルの入れ替えのほうの影響が大きいことが多くなっております。その際に、実はベンチマークの更新というのは産業・規模での構造が変わってしまうというところが先ほどのウエイトの変化として出てくるということになりますので、プラスにぶれたり、マイナスにぶれたりという両方の結果が出ておりまして、それはどちらもあるし、大きさも小さい場合もあればそこそこの大きさになる場合もあるということで、ベンチマークはかなりランダムな感じになるのです。
 一方で、サンプルのほうは先ほどおっしゃったように生き残りバイアスみたいなところが効いてきまして、我々が観測している限りでは、ずっと最後まで残ったところの事業所というのは比較的安定的な企業ということで賃金水準がやや高い。そういう高いところからサンプルを一斉に全部、30~499で入れ替えてしまうので、ランダムにその後に入ってくる事業所がサンプルになりますので、賃金水準は少し下がるというような形になって、入れ替えの効果というのがマイナスに出るというようなことが一般的に多くなっております。
 ただ、今回は30年1月についてだけ申し上げますと、もちろん2分の1入れ替えという従来より影響を小さくしたということも効いたのかもしれませんし、サンプル入れ替えはプラスの効果が出まして、過去とは逆の動きにはなっておりますので、サンプル入れ替えも全般的な傾向としては下がる方向なのかもしれませんけれども、必ずしもそれも確定的ではないのかなと思います。ただ、分量でいくと、そういう意味では30年1月は過去と逆になっているのですけれども、それ以前の27年以前の様子で見ますと、サンプル入れ替えのほうが影響も大きいし、それがマイナスに出ているというのが我々のデータで見ている限りのものでございます。

○今野座長
 いいですか。

○石原構成員
 わかりました。
 次、では、共通事業所はどうなのかということなのですけれども、共通事業所の作り方として、今、やっている方法ですが、昨年と今年の両方に回答している事業所をとってきて、2で言ったギャップの原因である標本の変化を受けない事業所をとりあえず選んでいますというのが一つです。
 そして、去年と今年で、今年のウエイトをかけます。なので、ウエイトの変化の影響も受けないということなので、本系列のギャップの原因であるウエイトの変化とサンプル入れ替えの変化を両方とも除去した形で何か数値を得ることができるというのが共通事業所の数値の作り方です。なので、意図的かはわからないのですけれども、この共通事業所の作り方は2つのギャップを認識していて、そのギャップを両方とも除去できるやり方なのではないかというように思えるのです。
 ところが、この共通事業所の標本、サンプルというのは本系列のサンプルからとってきているものなので、ギャップはあるはずなのです。ギャップはどこに行ったのかと思うと、ギャップは先ほど山田さんからもすごく気にされていたと思うのですけれども、例えば今日の資料の3ページ目の共通事業所の集計値、実額で平成29年のところに2つ、現金給与総額が並んでいるところがあると思うのですが、ここの差というのは何かというと、同じ年の異なる標本の事業所グループの差なので、ここにウエイトの違いとサンプルの入れ替え、事業所の違いの2つのギャップがここに出ている。なので、この2つの数字の差が結構大きいということになっているのではないかと思います。
 なので、共通事業所のギャップを除去した数字というのは、今回は2年間、前年同月比で、ローテーション・サンプリングになると3年間のみは、そのギャップを除去した形の数字になると思うのですけれども、長期的に、では、通常使って長期的な指標をつくれるかというと、そのギャップは同じ年の2つのグループの差にあらわれているので、それを長期的につなげるということは難しいというように考えられるのではないかと思います。いいですか。

○瀧原統計管理官
 ありがとうございます。
 まさに3ページの数字で言いますと、おっしゃるとおり、29年の縦に2つ並んでいるところについては、ここに数字の違いはウエイトの違いが明らかに出ていますので、この共通事業所について指数なり長期的に数字を比べるときにどうつないでいくかというところで、つなぎ方によっては、例えばここは絶対入ってくる数字だと思うのです。ですので、例えば30年の数字の277,697という部分と29年の下の数字のほうの数字、276,964とをつなぐと、これはウエイトの変化は出てこないのですけれども、上の数字とつなげば当然そこの部分が出てきますので、何か長期的に比較できるようなものをつくったときに、そこをどう加味していくかでつなぎ方によって入ってくると思うのです。
 ただ、今、前年同月比というのを出しているのは、下は下、上は上でやっていますので、前回お話が出た連鎖指数みたいな感じで単純に前年同月比だけを細切れでつないでいく形をもしすると、それは多分ウエイト更新の影響は除去されたままの指数になるのではないかという気はします。そこは違いますか。
 そのどうつなげるかというところはあるのですけれども、ただ、それを共通事業所として何か統一的な指数をつくれば、多分そこは入ってくるようなことになるのかもしれないなというようなところは思います。
 あとサンプル入れ替えも長期的に見るとどこかで必ずサンプルは変わっていきますので、そこは入ってくるような気はしますが、ただ、本系列のように全部をとっていなくて、一部の部分だけを選んできますので、そのサンプル入れ替えの影響がちゃんと最終的には入るかどうかというのは私もにわかにはわからないところでございます。

○石原構成員
 それで言いたかったのはその下なのですけれども、4番目、共通事業所を用いることの問題。言いたかったのはその次です。
 問題は幾つか出ていると思うのですけれども、標本に偏りがあるということと、サンプルサイズが小さい。なので、その小さいサンプルを使って復元して、果たして経済全体の数値を正しくあらわすような指標、指標をつくりたいと言っているのですけれども、本当に正確な指標ができるのかというと、本系列のほうも偏りがあるし、その偏りを持ってきて、しかもギャップも含んだまま、除去したとはいえ、前年同月比だけは除去しているのだけれども、その差、ギャップは含んだままなので、では、それを使って経済全体を正確に示す指標はつくって本当にそれを使いたいですかと思います。
 なので、私が思ったのは裏側なのですけれども、目的は何ですかということをこの検討会でもう少しはっきりしていただきたいなと思います。今、お話ししたように共通事業所にもギャップはあるので、何か目的が長期的にギャップのない指標を考えたいという目的なのであれば、むしろ本系列のほうの標本を使って何か神林さんがいろいろ考えてくれるような補正をして、長期的に使えるような指標を本系列のサンプルが大きいほうのものを使って、より正確な指標を考えるというほうがいいのではないかと思いました。
 目的が長期的にギャップのない指標を考えたいということではなくて、理由はわからないのですけれども、共通事業所を用いた指標を何か作成したいということであれば、前年同月比はギャップがないという特徴がありますので、それは使えるとは思うのですが、その際も復元の問題はありますよということはきちんと説明をするべきだと思いますし、何が目的、何をしたいのかというのをこの辺ではっきりさせておいたほうがいいのではないかなと思います。私は個人的には本系列のサンプルが大きいほうを使って、正確な指標をつくれるのではないかなと思います。
 以上です。

○今野座長
 ありがとうございました。
 今のお話で、3ページ目で、たしか対前年で比較すると例えばサンプル入れ替えの影響を除去しているわけですね。でも、30年と比べたときには、そこでもうサンプルの入れ替え誤差が入ったものというか、違うものがベースに今度は29と30をやっているので、もともと30に行って、ここで言うサンプル入れ替えギャップみたいなものが発生していて、発生したことを前提に29年と比較しているのだ。だから、差が出るのは当然だ。そういうことですね。

○石原構成員
 そういうことだと思います。

○今野座長
 それと山田さんとの関係で言うと、前年同月比は何に使うのかというお話だった。

○山田構成員
 だから、サンプルを毎回毎回、かなり変動して入れ替えているので、何に使うかによって数字が変わってくるわけです。同じ年に2つの数字があるので、本来、何か共通事業所というものの真の平均値ということが存在するとすれば、そこから持ってきたサンプルというのが一定の誤差との範囲内におさまらないとだめなわけですけれども、かなりそこがぶれているわけです。

○今野座長
 そういうときの共通事業所の真は何なのですか。

○山田構成員
 そうなのです。そこを考えたときにわからなくなってきたところがあって。

○神林構成員
 多分お題としては、共通事業所の真の平均値を求めることができれば、それが経済全体の真の平均値になっているというように考えて、共通事業所の情報からそれを推定することができるのかというのがフレームワークになっていると思います。

○今野座長
 そのときの真というのは、例えば29年と30年を比べれば全オールジャパンで生き残った会社、事業所ということね。

○神林構成員
 そうです。

○今野座長
 真の共通事業所はそういうことなのだろうな。そこからサンプリングしているということなのだね。

○山田構成員
 だから、一応去年に比べて毎年毎年残っている事業所。だから、実際、個別の事業所の銘柄は変わっていくわけですけれども、抽象的に毎年毎年残っている事業所、経済全体としてということで考えているということですね。だから、そもそも本系列とは違うのです。というのは、前から議論しているようにアナロジーで、小売店で言うと、既存店と全店で言うと、既存店だけの話を今回はしている。

○今野座長
 その真というのはオールジャパンの既存店ね。

○山田構成員
 そうです。既存店です。ただ、どうも真のそういう既存店の雇用者の平均賃金をとろうとしているのだけれども、非常にサンプルが小さいし、そのとり方自体にも恐らく何かバイアスがあって、石原先生がおっしゃったところだと思うのですが、かなりそれがぶれるので、そこで出してくる数字というのは非常に誤差を含んだ数字になっているということではないかなと私は理解をしています。

○今野座長
 そのときに、オールジャパンの真の既存店の状況を把握するには誤差が多過ぎるのかどうかという問題と、共通事業所のサンプルでやった途端に全てのオールジャパンに対していい推計値になっているかどうか、どれだけの誤差があるかどうかというのは別の問題だよね。言っている意味はわかりますか。別の問題だね。
 神林さんが先ほど言ったのは、オールジャパンのほうの状況を把握できるような数値になっているかどうかということは問われるのではないかという趣旨だと思った。

○神林構成員
 そうです。一つは共通事業所のデータを使って何らかの統計的操作を加えれば、誤差は大きいのだけれども、平均的には真の値に当たるという。

○今野座長
 真はオールジャパンの真。

○神林構成員
 オールジャパンの真の値に当たるというように多分考えるのだと思います。そこで誤差は標本サイズにかなり大きく依存しますので仕方がないとしても、もともとその命題が成立するのかどうか。共通事業所の値だけを使っても真のオールジャパンの値には一致しませんということが起こってしまうと、幾ら誤差を縮めたとしても間違った数字を出してしまいますので、間違っているということが確実になるというロジックになってしまい、これは統計としては全く望ましくない数字になります。
 今、考えなければいけないのは、最初にその点ではないかなと思います。共通事業所のデータを使って真の値というのを出すことがロジカルにできるのであれば、その後のプロセスとして、では、実際に出してみたときの誤差がどれぐらい大きいのかというのが計算されて、実用的かどうかというのは誤差の大きさにかなり依存しますので、結局、真の値になるということはわかって計算したのだけれども、誤差が大きくて実際のところはプラスの3%からマイナスの3%の間のどこかですみたいな話になって、ほとんど情報量がないというようなことが起きかねないということは、ある程度、もう見えてしまっているということです。
 なので、そのコストを高く見積もって、実際頑張って一推定量を出したとしても、結局、使えない数字になっていたら徒労感はあるかなというように思います。そうであれば、サンプルサイズが大きい本系列のほうをまともに動かすというほうが近道であるというのはロジカルだと思います。

○今野座長
 山田さんが言った既存店のオールジャパンの真の値をどれだけ明らかにしているかという点はどうかな。山田さんは、それはあってもいいのではないかということですね。オールジャパンの既存店の状況というのはユーザーとしてはデータが欲しい。

○山田構成員
 はい。一つ、それは指標としてはあるとは思います。

○神林構成員
 その件は、実は雇用成長率と全く同じで、雇用成長率をとったときも既存店の雇用成長と新規出店分の新規分と消滅店舗分の消滅分というように3つに正確に分解できるのです。ヒストグラムを描くと両端に新規出店分と消滅分が出て、雇用成長率の分布がこういうように書けるというのが出てきていて、賃金に関しても全く同じ議論が成立をします。なので、理想的には経済センサスがありますので新規事業所分の賃金支払い総額というのがわかって、消滅した事業所の賃金支払い総額というのがわかって、既存店の賃金支払い総額というのがわかって、T時点、TからTプラス1時点までの賃金総額の違いというのはこの3つに分解できるというのが、数字としてはそうなります。この3つに分けるというのは、自分は個人的にはかなり重要なことだろうと思います。

○今野座長
 そのときに想定しているデータはオールジャパンのデータになるのですか。本系列のデータですね。

○神林構成員
 はい。そうです。本系列のデータというのは復元倍率をうまく使って、この数字というのは合わせた賃金支払い総額の推移というのを推定しているのですけれども、今のところ、推定された賃金支払い総額を3つの部分に分けるということは今までしてこなかったわけです。つまり、消滅事業所が発生したことによって減った分と新規の事業所が出てきたことによって増えた分と、既存の事業所で増えたか、減ったか、変化した分というように分けてはこなかったというところがあるとは思います。それは毎勤が持っている特性の一つですので、この3つの部分に分解することができるというのは、この検討会の課題とは直接関係ないかもしれないのですけれども、経済の動きを見るときに非常に重要な指標になると思います。
 その証拠に、雇用動向調査を使って雇用創出指標というのを参考値で2010年、2007~2008年ぐらいから出すようになったと思うのですけれども、この指標というのは先ほど言った雇用成長率というのを3つの部分に分けた数字で、諸外国と比べると日本のシェアがやはり既存の事業所の雇用成長率の説明力というのは非常に大きくて、両減りです。消滅した分と新規の部分というのは説明力がかなり弱いというか小さいということがわかってきています。なので、賃金についてもそれが本当に成立するのかどうかというのはぜひ将来的にはつくっておくべき指標だと思います。

○瀧原統計管理官
 ちょっとよろしいですか。

○今野座長
 どうぞ。

○瀧原統計管理官
 この共通事業所を使うときの意味合いで既存店の議論の話になったときに私の理解が間違ったら修正いただきたいと思うのですけれども、共通事業所をとることが既存店のもののデータの代表になり得るかというところは、実は毎勤統計そのものが一部、廃止事業所は落ちますし、追加も行いますが、それのウエイトは本当に少なくて、どちらかというと少なくともこれまでにおいては、3年に1回入れ替えると、それをずっと3年間持つということになるので、基本的にはそのデータというのは本系列自身が既存事業所なのです。それで代表されているものからとることとなると思うのです。

○神林構成員
 それは多分、今、言った既存、新規出店分と消滅分というのはウエイトの調整で毎勤の場合には計算上評価されていて、結局は、それはグロス、つまり、消滅した部分と新規出店部分というように分けていなくて、そのネットの変化ですね。両方合わせた変化でウエイトを調整して数字としてあらわしているのだと思います。
 ですので、理論的に言うと毎勤の数字というのは既存店の部分の賃金変化足すウエイトの部分というようになるわけで、ウエイトの部分というのがオープニングとクロージングのところをあわせて情報として持っているというように解釈することができます。
 問題は、既存店の部分の推定をどういうようにするかということなのですけれども、そこで、先ほど言ったローテティングサンプルとかサンプル外とかということがあるので、そのサンプルによる誤差の発生という問題が出てきてしまう。

○瀧原統計管理官
 そうですね。だから、賃金額自身は既存の部分でとったものしか使えていないということですね。

○神林構成員
 はい。そういうことです。今のところ、本系列というのは共通事業所と言われるような概念を除いたとして、T時点で観察できる事業所とTプラス1時点で観察できる事業所を使って連続的な賃金変化分というのを出して、さらにこの集団というのが新規出店分と消滅部分で調整をするということでウエイトを調整するという作業になっていると思います。
 問題は、ベンチマーク更新が数年に一遍にしか行われないということで、雇用保険事業所のデータを使って毎月毎月調整していることは間違いないのですけれども、それが十分ではないですね。これは多分明らかだと思うのですけれども、それで経済センサス全数調査で、ある経済センサスのときにベンチマークを更新してみると、その新規出店分と消滅部分というのがかなり3年間で蓄積されてきてしまっている。それを一気にわっと出すのか、それとも、何らかの格好で調整するのかということがベンチマーク更新によるウエイトの変更ということで行われてきたことだと思います。これは本質的には新規事業所の部分と消滅事業所の部分をどうデータに反映させるのかというように解釈できると思います。

○山田構成員
 その辺に関して確認したいのですけれども、私の理解は、毎勤に関しては、いわゆる企業調査のベンチマークのときに、一旦、産業構造というか雇用構造を固定して、そこでセルをつくっていってずっととっていくのだが、その中で当然入れ替えが発生するわけですね。廃止事業所が出てくる、新規事業所が出てくる。そういう意味では単なる既存だけではなくて新規出店も入り込んでいる。
 しかし、多分、2回目か何かに石原先生が出されたのですけれども、実はその産業構造自体が大きく変わっていて、新しい産業とか全く存在していないような産業が実際発生しているわけです。そういうものがいわゆる5年か何年かごとのベンチマーク更新のときに入ってきて、その部分が新たに新規の部分というようにして乗ってくる。だから、そこの本系列自体が、一応これは全体を捕捉しようとはしているのだけれども、新しい産業の動きというのが漏れてしまっている。だから、そのためにベンチマーク更新をするので、そこでギャップがどうしても生じてしまう。

○今野座長
 今の山田さんのお話の想定は、既存産業のあるセルの中に入っている事業所のなかには新たに入ってきたところ、消滅したところがあるわけですけれども、それは全部捕捉していてサンプルにしているということを前提でお話しになっていたけれども、必ずしもそうではないのではないか。完全に捕捉できているのかという問題は別でね。

○瀧原統計管理官
 もちろん何らかの事情で毎勤の調査事業所が倒産して対象でなくなった、規模が変わったとなったときはそこから入れますけれども、多分、山田先生がおっしゃることだと思いますが、あくまでもそれは標本をつくったときの産業構造をベースに、ここのセルの中で1個抜けたから1個入れるというのは、もしかしたら、本当はそこの産業は減っているかもしれない。減っていれば抜けたら抜けたまま放っておいて別なところを多分増やすべきというのが構造の変化なのですけれども、そういうものは全く入っていなくて、あくまでも当初の構造をベースに、抜けたら入れるということをにしていますから、多分、そういう意味では、仮に新旧の入れ替えをやったとしても構造の変化を反映したものにはなっていないと思います。

○今野座長
 ですから、最初にそのセルの中の事業所名簿を持っているわけですね。1個消えるとその残ったものから入れるわけでしょう。ということは、新規にそこに事業所名簿に載るということは想定されていないので。

○神林構成員
 ただ、確認したいのですけれども、第二種事業所に関しては半年ごとに結局、名簿を更新しているわけですね。

○瀧原統計管理官
 第二種。

○神林構成員
 第二種のほう。地区、調査区をサンプルした後、事業所を選ぶときに実際に地図をつくって事業所を把握しているわけなので。

○瀧原統計管理官
 そうですね。5~29、第二種については、そこで途中で抜けた場合には同じところから入れます。

○神林構成員
 半年後。

○瀧原統計管理官
 はい。ただ、半年たって入れ替わるところは新しい名簿になりますので、そこの5~29では確かに最新の形にはなっています。

○神林構成員
 最新の名簿になっている。

○瀧原統計管理官
 名簿になっています。

○神林構成員
 やはり難しいのです。

○山田構成員
 名簿になるけれども、産業と規模のウエイトは当然変わらないわけですね。セル自体。でも、結果的に雇用者数が変わると変わってくるのか。

○神林構成員
 抽出率は変えていないのではないですか。産業規模ごとの抽出率は変えていない。なので、多分新しい産業が出てきたとしても、新しい調査区、半年ごとに新しい調査区に行きますね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○神林構成員
 調査区へ行って、調査名簿をつくったときにすごく新しい産業が出てきたとしても、それはどこかの産業にもう分類されてしまっていて、そこの抽出倍率のもとで抽出されるというプロセスを踏んでいるわけです。

○瀧原統計管理官
 その大もとは経済センサスですので、経済センサスが変わるときまでは変わらない。

○神林構成員
 その抽出倍率は変わらないわけですね。ただ、新しい事業所が出てきたこと自体は把握される。

○瀧原統計管理官
 そこは反映されるということです。

○山田構成員
 そこは反映されるのですね。

○神林構成員
 それは反映する。

○瀧原統計管理官
 それはそうですね。

○神林構成員
 それがどこの産業に行っているかというのは旧産業構造に依存させてひもづけをしているということになりますね。旧産業というか、昔のベンチマーク、昔というか、そのとき使っているベンチマークの産業構造。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○今野座長
 でも、今、神林さんが言っていたのは二種の場合だろう。一種の場合は違うだろう。

○神林構成員
 一種の場合は名簿そのものを更新していない。

○瀧原統計管理官
 一応、母集団事業所フレームは最新のを使う形にはなっていますので、今回のローテーション・サンプリングでいけば、それは毎年毎年、一応新しい形になる。ただ、そのフレーム自身が毎年大きく変えているわけではないので、ベースは経済センサスになるということです。

○石原構成員
 今のに関連してなのですけれども、変な質問なのですが、毎勤で調査に行って調べているわけですね。経済センサスの人も調べるわけですね。名簿をつくるわけですね。それは同じ人ですか。というのは、何か調べているわけですね。二重に調べないで名簿を更新していくみたいなことがやれればもう少し効率的にならないかなという素朴な疑問なのです。

○瀧原統計管理官
 ただ、毎勤の場合は基本的に経済センサスに載っている事業所ベースで、それがなくなっていたら別なところに当たりますけれども、新しいところを見つけてきてということはしないということです。

○石原構成員
 わかりました。その経済センサスが5年に1回になってしまっているのは、前、多分、事業所景況何とか調査の途中に何か名簿整備の年があったので結構頻繁にやっていた記憶があるのですけれども、それがなくなっているわけですね。

○瀧原統計管理官
 今も5年に1回、基礎調査が経済センサスはあります。その間に活動調査という途中の部分は一応ありますけれども、そこはベンチマークとして使うかどうかというのはまた状況を見ながら判断というか、今、そこ自身もできるだけ常に新しい形にできないかというのを総務省では検討していただいているというのはあります。

○今野座長
 どうぞ。

○樋田構成員
 先ほどからのベンチマークの議論で一つ確認させてください。第一種事業所では、経済センサスのデータが利用可能になった段階でベンチマークをつくる。さらに、雇用保険のデータを使って毎年事業所数が更新されているということですね。

○今野座長
 毎年。毎月ですか。

○瀧原統計管理官
 毎月ですね。

○樋田構成員
 事業所数が雇用保険のデータで毎月更新されていて、毎勤の調査票のデータで労働者数についても毎月更新されているという理解でよろしいのですね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○樋田構成員
 一種と二種で違っているのはどの点ですか。

○瀧原統計管理官
 一種と二種とで違うのは、サンプル入れ替えの段階です。基本的に一種につきましては全数調査の分を除いては、従来ですと3年に1回、全部を変えた。今は2分の1入れ替えにしていますけれども、最終的には3分の1ずつ、毎年入れ替えするという形に移行していますが、5~29、二種については、もう既に3分の1を入れ替えていくというのは現在やっていまして、半年ごとに3分の1入れ替えで、一種のほうは今後やろうとしているのは1年ごとに3分の1入れ替えなので期間は違いますが、ただ、5~29については既に現在において半年ごとに3分の1。だから、1つの事業所については18カ月間の調査期間という形で入れ替えを行っているということです。

○樋田構成員
 そうしますと、ベンチマークの扱いや更新の頻度は同じということですね。

○瀧原統計管理官
 そうです。

○樋田構成員
 わかりました。ありがとうございます。

○神林構成員
 少し時間を使っていいですか。

○今野座長
 そちらに行こうかなと思います。あれを使うのか。

○神林構成員
 使わないで済ませることができればいいかと思います。
 先ほどの石原さんのまとめのほうに戻るのですけれども、共通事業所自体の数字自体が今のオールジャパンをどう反映するのかというところが一つのポイントになって、あとはベンチマーク更新によるウエイトの調整というのは別な話だというようにまずは考えたほうがいいかなと思います。
 その共通事業所の性格なのですけれども、いただいた資料の3ページで石原さんが御指摘なさいましたように、共通事業所の集計値、実額のところの下段です。これが平成29年と平成30年で同じ事業所だけをピックアップして平成30年のウエイトを使って計算した平均値ということになりますので、これが変化分としては非常に正確な変化分というのをあらわしているということになるかと思います。
 問題はここで計算された変化分というのが平成29年から平成30年にかけて存在した事業所の代表値になっているかということになるわけなのですけれども、ここで今日、出していただいた8ページのほうに行きますと、ここに対応するのが8ページの現金給与総額の5人以上事業所の1月、○1、○2、○3という系列ですね。
 ここで○1、共通事業所29年から30年というように入っているのが先ほど3ページに出てきた事業所に対応しているもので、ただ、こちらのほうは29年のウエイトで計算した平均額だということになります。ここで既に27万5955円と27万6964円ということでウエイトだけの変化で零点何%とかずれが生じているということはわかると思います。
 むしろ問題は、この○1と○3、全体を平均している本系列と共通事業所の間の差が既に少なからず出てしまっているということがわかると思います。なので、この3ページのやり方で賃金の変化率というのを計算したとしましょう。ただ、ここに入っている集団のスタート時点での賃金のレベル、水準というのを見てみると、どうも全体からはなぜか高いということが既にわかってしまっているということが挙げられると思います。
 この8ページの表をつくったときに○1に載せている数字が○3の誤差の範囲に入っている。例えば○1の標準誤差と○3の標準誤差を計算して、この○1の数字と○3の数字というのは統計的に区別できないという結論であれば、恐らく共通事業所のデータ、平均変化率というのは経済全体の変化率というのをあらわしていてもおかしはないだろうというようには考えられるとは思います。
 ただし、この話というのはどういうことを前提にしているのかというと、賃金の上昇率とそのスタート地点での賃金の水準というのは関係がないという前提で話しているということになります。ただ、この想定自体はどこまで本当かというのはよくわかりません。例えば大規模事業所のほうが平均的に賃金の水準が高くて、かつ賃金の伸び率が高いというようなことになれば、この想定というのは狂ってしまいます。
 必ずしもそういうことは言えないのですけれども、ただ、まずはそれを確かめたところ、8ページの○1と○3の系列を比べて差を見たところ、○1の系列のほうが高そうだというようなことはわかるのですが、意外にこれが月によってぶれていますね。高くなったり低くなったりしてしまうということが一つあります。
 あと、もう一つは、この8ページの表自体は500人以下の事業所規模別でブレークダウンした数字が下のほうにあるのですけれども、産業とか都道府県ではブレークダウンしていないので、その属性の違いというのがこの差にあらわれてくるというような可能性というのはもちろんあります。 ですので、少なくとも抽出率に使っている事業所規模、産業分類、あとは都道府県の3つの数字を合わせたときに平均的に○1系列と○3系列というので差があるのかということをまずは統計的に確かめるというのがスタートポイントかなと思います。それはやりましょうという話です。

○今野座長
 どうぞ。

○山田構成員
 そこが私、やや疑問があるのですけれども、神林先生の命題というか設定は、共通事業所が本系列をうまく代表しているのかという話なのですが、そこは違うのではないかと、もともと私は思うのです。というのは、共通事業所は既存店の先ほどのアナロジーで。

○神林構成員
 すみません、自分の言い方が間違っていました。本系列というよりは既存事業所の真の値ですね。平均値ということです。

○今野座長
 でも、意味があるかどうかわからないけれども、既存店ではなくて本当のオールジャパンにどれだけ誤差が出る数字になるかということを確かめることは別に無駄ではないというように私は思っているのです。

○山田構成員
 それはそう思います。ただ、そういう問題と共通事業所、本系列は先ほどの話だと本当の産業構造全体、いわゆる全数調査をしたときのものを正確にあらわしているかというと、それはバイアスがある。産業構造の変化というのは十分織り込めていない。でも、毎月に動いている変動も一定程度は織り込んでいる。共通事業所は、毎月の変動は抽象的には入れていないですね。去年からだから、そこの数字というのはおのずと違ってくるだろうというのはもともとあるのではないか。ただ、神林先生おっしゃるように、もともとそこの差というのはどれぐらいあるのかというのは確認することは重要と私は思います。違いますか。

○今野座長
 もう一度、言って。

○山田構成員
 本系列と日本経済全体を全数調査したもの、それと共通事業所、この3つを考えます。本当は本系列というのは賃金で言えば日本経済全体の平均賃金を知りたいのですけれども、ただ、実際は統計の制約があってベンチマークで固定してやっているものですから、産業構造のダイナミックの変化を十分反映し切れていないということです。
 その一方で、共通事業所というのは、去年から存続している先ほどのアナロジーで言うと既存店の雇用の変化を見ているということなので、おのずと、もともとの全数とも違うし、その全数を完全ではないのだけれども、捕捉しようとしている本系列とも当然違う。だから、その結果として本系列と共通事業所というのは違う系列だというように考えていかないとだめだ。でも、どの程度、当然、共通事業所のもともとの意味合いというのは、本系列の代替として参考指標として出すものであるので、当然、そこの乖離とかバイアスというのはどの程度あるのかというのは確かめていくということの意味合いはあるだろうというように理解をしています。

○今野座長
 そのときに意外に曖昧になっているのは、バイアスがかかっていると言うけれども、何に対するバイアスかというと、人によってはオールジャパンに対するバイアスというように思っている人もいるし、オールジャパンの既存店に対するバイアスと思っている人もいるし、そこは意外にはっきりしていなかったというのはあると思います。
 今の点については、最後の石原さんはもうその辺は明確で、系列化するのは、やめたらという。対前年で使うならいいかもしれないけれども、それにしても何のための指標なのかもう一度考えたほうがいいという話だね。

○石原構成員
 はい。

○今野座長
 だから、何に使うのか。でも、山田さんは前から厳密な意味は別にして既存店の状況とオールジャパンの状況は両方あったほうがいいなというのはユーザーのニーズだとおっしゃっていたので、そういう点では既存店の状況を把握するという点で共通系列は意味があるかなということだと思いますけれども、ただ、山田さんもそれを長期の系列化するというのはどうかなと思ってらっしゃるのか。

○山田構成員
 私の仮説は、共通事業所というのは既存店ということのアナロジーで言うと本系列は違うものとしての意味合いがある。神林先生がおっしゃったように、例えば雇用では雇用の創出の分析に使うのをアナロジーで使えるので、そういう意味での使い勝手はあるだろう。ただ、もともと今回の文脈から出てきた本系列とは違う数字だということをはっきり言わないとだめだという問題はあります。
 もう一つの問題はこの後だと思うのですけれども、どうも共通事業所のサンプリングというのはかなり不安定なので、これはかなりのバイアスがあるものとして見ないとだめですよというような今の段階での私の仮説です。

○今野座長
 そうすると、前から議論になっていますけれども、共通系列を出すときにどういうバイアスがありますから気をつけて使ってくださいという情報を提供しなければいけないということになりますね。

○山田構成員
 そうです。

○今野座長
 どうぞ。

○瀧原統計管理官
 今ので1点よろしいですか。非常に私が気になっている部分は、また次回なりともお聞かせいただければと思いますけれども、共通事業所というのを選んでいるというのが一定の何か共通事業所が代表する何らかのものがあっての共通事業所であるのかというような議論があろうかと思いますが、それとは全然別な観点として、共通事業所というのはサンプルを少なくすることを犠牲にして何を得ようとしているかというと、一番はっきりしているのは、通常比較する、例えば前年同期、29年1月と30年1月を比較するときには、29年1月を代表する数値と30年1月を代表する数値を統計的に代表できているので比較して前年同期比を出しているのですが、その点を今の共通事業所は非常に厳格に同じ事業所でないと比べられないというところにすごくこだわっているのです。
 だから、何を犠牲にするかというと、数が少なくなってもいいから同じ事業所で比べたいというところが非常に強く出ているものなのかなと思っていまして、その意味では共通事業所が何かを代表している、あるいはバイアスがあるかもしれないけれども、この言わんとしているところは、同じ事業所だけ比べたい。違うところもまざった平均的なものではなくて同じ事業所を比べたいというところをすごく強く出しているような気がするのですけれども、それは多分ある面、一つの共通事業所集計値の根本の考え方としてあるのかな。それはどういう位置づけなのか、私はよくわからないです。

○今野座長
 それは先ほどから言っている既存店というもので、同じ事業所にいたら賃金がどう変わるかというのをやるときに、それがオールジャパンの既存店の真の値ですね。今、ここで問題にしている共通系列がその真の値をちゃんと表現できているのかどうかというのは別の問題としてある。
 ただ、山田さんから言われているのは、そういう意味の真の既存店の変化というのは情報としてあるとありがたいということだと思うのです。そうすると、作業としてやらなければいけない一つは、オールジャパンの既存店の状況をこの共通事業所の今のやり方でどの程度誤差を持って表現しているのかということは確認したほうがいいですよねということをずっと議論しているのではないかと思っているのです。
 山田さん、それでいいですか。

○山田構成員
 瀧原さんがおっしゃっていることは、多分、毎月毎月の数字はかなり厳格にとっている数字ですね。でも、これの使い方というのは時系列、もともとの今、元来、共通事業所の議論が出てきたのは、本系列を時系列で見るときに断層が生じるので、ずっとその時系列として安定して見たいものを出すために共通事業所の議論が出ている面もあるのではないかなと思うのです。
 そうすると、結構、毎月毎月は確かに限定してつくっているものなのだけれども、時系列的に見たものというのが先ほどの議論ではないのですが、かなり毎回、いわゆる真の共通事業所、既存店を復元するときというのは、必ずしもそれを毎回代表しているわけではないので、時系列的で見るという意味ではかなりバイアスのあるものとして見ないとだめなのではないかなということではないか。だから、毎月毎月で見ると意味はあると思うのですけれども、でも、時系列で見るというところにかなりの制約が入ってくるということではないかなと思うのです。

○今野座長
 それでは、今日、もう一つ重要な議論をしていただきたい点があるので、それを次にやりたいと思うのです。今日の資料でいくと資料2です。先ほど言いましたように、これまで我々が議論してきた点を踏まえてどういう課題とか問題点とかあるかということを整理しようということですので、これがこれから先の我々がやらなければいけない作業のマップをつくるようなことになるので、その点を議論していただきたいと思います。
 それでは、資料2の説明をお願いします。

○瀧原統計管理官
 では、資料2に基づきまして説明させていただきます。
 前回のときに議論のポイントという観点で資料等から確認されたことを整理させていただきましたけれども、それをもう少し皆さん方のご意見等も踏まえて整理させていただきました。
 まず論点1、これは論点1~3は従来から掲げているものでございますけれども、まずは本系列と共通事業所の特性についてどう考えるかということで論点1です。
 ポイントを7つほど挙げております。一つには、共通事業所の集計値というのは、事業所規模によってサンプルの入れ替え方法の違い等がありますので、それによって事業所規模あるいは産業別に見た場合にサンプルに偏りが見られるということ。
 共通事業所を前回で言いますと未提出事業所との比較等もありましたし、今回はベンチマークをそろえて本系列と比較しましたけれども、一定のバイアスがある可能性があるということでございます。
 また、データの蓄積が乏しいということで、あるいはローテーション・サンプリングがまだ始まったところで、これから定期的な入れ替えというのが本格的にありますので、その部分でデータにどういう特性があるかというのは必ずしも今のあるデータだけでは十分捉え切れていない部分で、今後も変わっていく可能性もあるのではないか。
 そもそもの今日の御議論ですけれども、共通事業所の集計値というのは一体何を代表している数値かというのを整理していく必要があるのかな。
 あと上の事業所規模のところのサンプルの偏りとつながる話ですけれども、5~29は半年ごとに入れ替わって、3分の1ずつ入れ替わるということもあります影響で、割合が本系列に比べて小さくなっていますので、そこの部分が全体の誤差への影響を大きくしている可能性があるということでございます。
 あと前回の未提出と言っていた共通事業所とそうでない事業所との集計結果の違いということで、その特性というのも出てきますので、それに応じた集計方法というのもあるのかもしれないというようなことでございます。
 あと共通事業所に、そもそも今日の石原先生のメモのような話になりますけれども、偏りとかバイアスがあるので、やはりその利用には一定の限界があって、そもそも本系列の見直しとかというのも考えていくのも必要ではないか、そういう選択肢もあるのではないかというところを論点について書かせていただいております。
 次のページが論点2というところで、これは指数化に向けての課題というところで、事実関係の整理に近いですけれども、最初の1の部分が先ほど来見ていただいておりますように、前年と比較するか、翌年と比較するかで賃金額が2つ存在するということで、そのまま指数化というのやはりできにくい数値のつくりになっているということと、それに加えて当月、翌月においても共通事業所という制約がかかっているがために、違う事業所群になっているという面がありますので単純に比較できないのではないかという点でございます。
 そもそも同じ事業所での前年同月比、同じ事業所群での前年同月比を見るという限定的な目的でつくっている参考値ですので、指数化というのもそもそも前提にはしていないのではないかということであります。ですので、母集団への復元も今のやり方は本系列と同じやり方でしかやっていないということですので、指数化に当たっては、そういうサンプルの偏りや特性に応じた補正なり何らかの復元方法を検討すべきではないかということ。仮に何らかの指数化ができたときに、それは一体どういう意味を持つものかというのもちゃんと考えていかないといけないだろうというのが指数に関わる部分でございます。
 最後、論点3のところは実質化という面で、実質化の本来的な意味に照らし、どういう意味を持つのかという論点でございますけれども、共通事業所の集計値についても実質化が持つ意味というのを考えるべきだろうということで、実質化というのは、共通事業所は単に前年比というだけでありますが、やはり実質化というのは長期的な物価の変動、購買力などを見るものであるということで、そこを踏まえて考えないといけないのではないかということで、今回、ヒアリングもさせていただいて、その中で共通事業所のデフレーターというのを考えられるかなという議論はあったわけですが、ヒアリングの結果から、実際にはなかなかそれは難しいだろうということであります。
 仮に何らかの形で実質化するにしても、その共通事業所の実質化というのはどういう意味を持つのか、そもそも共通事業所がどういう意味を持つのか、そして、実質化はどのような意味を持つのかというところを示していくことが必要だろうという形で整理させていただきました。

○今野座長
 ありがとうございました。
 御意見、要はこういう点が入っていないぞという意見をいただければ。先ほど神林さんが問題にした論点は1番目の論点に近いかなと思うのですけれども、共通事業所のデータを使ったときに本当に真のオールジャパンのデータがどれだけ推計できるのか、論理的に推計が可能かどうかということと、推計したときに誤差がどの程度あって、実務的に本当に意味があるものかというようなことは一度やったほうがいいというのが提案だったと思います。そのほか、石原さんも、山田さんも言っていましたが、例えば共通系列を出すにしても、そのときの統計の特性をちゃんと説明をして情報提供して使えるようにしたほうがいいということだったのですが、では、どういう情報を提供したほうがいいのかというのも課題かなと思う。多分、ここに書いてあることのもう一段階前の話かなとは思うのですけれども、そういう作業課題も入れておいていただくといいかなと思うのです。
 それ以外に何かそういう作業課題が議論の中に出てきたものがあれば拾っていただきたいということと、皆さん、今の思いつきで結構ですので、そういうものがほかにあるぞといったものを出していただきたいと思うのです。
どうぞ。

○山田構成員
 前回、これで言うと、まさに共通事業所のバイアスとか偏りがどの程度かというところに関連して、共通事業所の標本誤差みたいなものが計算できればいいというように言いました。ただ、稲葉先生は多分実務的にそれはかなり難しいというお話で、私はそこのテクニカルなところがわからないので、そうおっしゃっているのですけれども、本当はそういうものが出れば結構はっきりするのではないかな。だから、できないということだと次善の策を考えるということなのですけれども、稲葉先生がいらっしゃったら、そこの意味をもっと教えていただけたのですが。

○今野座長
 私ですか。

○山田構成員
 いや、稲葉先生。あちらのほうに座られていたので。

○石原構成員
 稲葉先生は多分1つのセルの中の数が少ないのでというところをすごく気にされていて、そのセルの中の標本が1個だったら、その事業所が産業規模を代表してしまうということだと思います。

○山田構成員
 なるほど。もともとそういうセルの問題だと。

○石原構成員
 はい。

○神林構成員
 1というよりは0のセルが出たときにどういうようにフェイクというか、イテンピュートするか。その0の何もデータがないところで、どういう代表値をそこに含めるのかというので大きく変わってしまう。特に0であるというところはウエイトが、つまり、そもそも復元倍率が物すごく大きいところなので、平均値を入れるのか、最小値を入れるのか、最大値を入れるのかで最終的に出てくる数字が大きくぶれてしまうということを稲葉さんは気にしてらっしゃったのかなと思います。

○山田構成員
 だから、簡単にバイアスの何らか表現、これぐらいあるのだというのがもしできればわかりやすいかなということなのです。表現はいろいろあると思うのです。

○神林構成員
 T時点なりTプラス1時点なりの賃金水準について、共通事業所と呼ばれるグループが全体に対してどういう平均値を持っているのかというのは計算可能ですし、全体の標準誤差が計算できるように共通事業所の標準誤差というのを計算することは恐らくできると思います。ただ、共通事業所はT時点のレベルを計測するためにそういうグルーピングしているわけではなくて、Tプラス1時点とT時点の間での賃金の変化率を計算するためにつくっているグループですね。賃金の変化率に対してどれだけの標準誤差を振らないといけないのかというのは結構面倒くさい話だというところだろうと思います。ただ、現在は、本系列に関しても賃金変化率に対しては、標準誤差は計算していないですね。

○瀧原統計管理官
 していないです。

○神林構成員
 もうレベルでしか標準誤差は計算していないですね。なので、結構これは難しい話だと思います。

○今野座長
 いずれにしても、事務局から資料2でこれまでの議論の中で問題点というか論点を整理されましたけれども、追加することはありますか。
 どうぞ。

○山田構成員
 細かいですけれども、論点3の○の2つ目に実質化は、単に前年との比較ということではなくて、長期的な物価変動を踏まえたとあるのですが、この長期的というのが私はひっかかるのです。というのは、別に長期でなくて単に物価の変動を見ているのではないか。長期だと例えば5年平均とか10年平均とか、あるいは一般的に経済分析では使っていますけれども、コアデフレーター、物価といいますが、変動の大きいエネルギーとか生鮮食品を除くという意味ではトレンドを見るという意味なのですが、でも、これは実際にはそのときそのときの変動を見ているので、長期的なということは要らないのではないかなと思いますという意見です。

○瀧原統計管理官
 ありがとうございます。
 それほど強い言葉として、特に長期は非常に長期をとっているような感じがするので、これは単に2点間の前年比較というだけでなくて、各時点で比較できるような指標だというニュアンスが入っているのですけれども、確かに適切ではないかもしれません。

○神林構成員
 ただ、この点は阿部さんにせっかくプレゼンテーションしていただいて、かなりインプットできたのではないかと思うのですけれども、実質賃金と呼ばれるものが持つ意味というのは厚生指標であるということを前提にして考えると、毎月勤労統計が持っている月次のぶれですね。特に賞与は特別給与が反映されるかどうかというところが問題になりますので、例えば実質賃金というのは厚生指標であるということを前提に考えると、毎月ベースというよりは例えば年収ベースで各家計は考えているかもしれないというようなことは前提にするべきではないかなと思います。
 ですので、その物価変動が短期的な物価変動に対して短期的に名目賃金がどういうように追随していくのかということも一つのポイントではありますけれども、長期的な物価変動に対して長期的な名目賃金がどう追随していくのかということも併せて考える必要があって、実はこの2つの系列というのは別々につくらなければだめだということがわかったということです。前者をまとめていくと後者になるというものではないということがわかったので、両方の考え方というのを今のところに入れておけばいいのではないかなと思います。

○今野座長
 どうぞ。

○中井参事官(企画調整担当)
 今の点で「長期的な」と言ったときに、ある時点と10年前でも10年後でもいいのですけれども、二時点間を比較したときに物価のデフレーターということを考えたという部分の意味合いというのは長期的に含まれる。だから、長期的な意味も含むというようにとったほうがいいのかなと個人的には思ったのですが、その点はどうでしょうか。

○神林構成員
 長期的というのは、時点の間の長さというよりは、集計する範囲というのでしょうか。毎月毎月のものに対して、毎月毎月の物価を当てていくというように考えるのか、それとも1年単位で集計したものに対して1年単位の物価を当てていくというように考えられるのか、そういう考え方の違いというように考えたほうがいいかなと思います。
 毎月勤労統計の場合にはあくまでも毎月の現金給与総額等々しかわかりませんので、年収ベースでどれぐらい賃金が支払われているのかというのは実はよくわからないです。そういうことは毎月勤労統計から直接出てくる数字ではないので、ある程度加工して計算しないといけないと思うのですけれども、その辺まで視野に入れて、どのぐらい、少なくとも毎月毎月の賃金と物価さえ当てておけば長期的な構成の変化、労働者の構成の変化というのがわかるというようには考えないほうがいい。それは違うのだということは明確にしておいたほうがいいだろうと思います。

○山田構成員
 本来的な実質化の意味合いというのは恐らくトレンドというか、構成の話なので長期なのですけれども、実務的には今、短期で発表してしまっているのです。だから、両方確かに入っているので、そこは分けるというか、両方認識しているという表現にしたほうがここはいいと思います。

○神林構成員
 そうです。

○今野座長
 他、いかがですか。他にどうですか。
 私、一番最初に例示で言ったのですけれども、神林さんが言った一つの作業課題ですが、こういう整理の仕方にするときにどうやって入れようかなと考えているのですが、他に作業課題があるかもしれないので、一つのやり方は、この論点とは並列にしないで別に入れたほうがいいか、この中に入れようか、今、迷っているのです。つぶやきだと思って聞いてください。別に結論を持っているわけではないです。

○神林構成員
 もう少し詳しい指示書を書けという。

○今野座長
 だから、詳しい指示書まで行かないですけれども、その途中まで行った段階をこのレベルの整理の仕方には入れにくいなとちょっと思っただけなのです。

○神林構成員
 何か違う話をしているような気がします。例えば一番最初の文章は、共通事業所の集計値は事業所規模によるサンプルの入れ替え方法の違い等から、事業所規模・産業別等を見た場合にサンプルに偏りがあるということを考えてくださいという意味ですね。そのために。

○今野座長
 何をするか。

○神林構成員
 こういう表をつくりなさいとか、こういう図を描きなさいとかというところまで書くということなのでしょうか。

○今野座長
 そこまで具体的ではなくて、せっかく具体的にはこういう作業が必要だなというのを別に体系的ではないけれども、部分的に出ている。それを書いておかないのはもったいないなと思っているだけです。だから、この問題に対して何を体系的に当てるかということではなくて、せっかくそういうアイデアがあったのなら、そういうものを残しておいたほうがいいかなという意味なのです。

○神林構成員
 そういう意味では、今までこの検討会で出てきた材料をこの丸ポツの中に埋め込んでいって、実はこの表というのはこの丸のところでこういうように回答を出すために必要な表なのですよというように整理をすると、今までやったことがこの論点の中の何に対応するのかというのが整理されて、全く材料がない論点というのは何もしていないということがわかるようになるのではないかと思います。

○今野座長
 そこまで行くとかなり優、良、可の優だな。私が考えたのはせいぜい良ぐらいで、そこまでこれと当てられなくても最後にこんな課題、やらなければいけないことがありますよ、リストぐらいは並べておけばいいかなと思っていたのだけれども、これと当てられれば一番いいね。

○神林構成員
 はい。それがお願いしたいことかなと思います。そうするとと、この論点に沿って今までやってきたことというのがわかりますので、それでできたこととできないことというのがわかって、できないことのうち、まだ力を使ってやるべきことというのが判断できるのかなと思います。

○今野座長 
 考えてみますか。

○瀧原統計管理官
 そうですね。

○今野座長
 ということは、論点はこんな感じでいいですか。そこがまずは出発点だから。
 どうぞ。

○樋田構成員
 論点1に関して、生き残りバイアスがありそうだということが分かってきました。生き残りバイアスは、主に事業所の廃業と事業所の無回答によって発生していると考えられます。
 もし無回答がなければ、廃業に注目すれば良いと思いますが、実際には無回答が一定程度あるということです。無回答がどのような要因で発生しているのか、無回答によるバイアスがあるならそのサイズや補正方法を議論する必要があると思います。
 事業所の廃業によりサンプルから脱落した場合は、産業構造の変化を反映していて、無回答による脱落とは意味が違います。2つのことを一緒に処理するのは難しいので、まずそこを分けて考える必要があります。例えば、資料16ページの共通事業所と未提出事業所の所定内労働時間を比較すると一定の差がありますので,この辺りを掘り下げていくことが生き残りバイアスについて検討するための一つの出発点かなと思います。
 また、先ほど神林先生がおっしゃっていたセルごとに事業所の様子がどうなっているのかを見ることも必要と思います。セルごとで、8ページの○1と○3は平均値や標準誤差がどのような様子なのか、信頼区間をつくったときに重なるのかなどを確認することも重要と思います。
 それについてヒントとなるのが7ページで、ここには本系列と共通事業所等のサンプルサイズがありますが、5~29の事業所はばらつきが大きいようです。例えば7ページの5~29の○3はおよそ1万5500のサンプルがありますが、6ページの標準誤差率は5~29の標準誤差率は0.52となっています。5~29はサンプルサイズの割に標準誤差率が大きいようです。共通事業所ではサンプルサイズが3分の1になるので、この部分で標準誤差が発生し、全体に対する影響が大きいかもしれません。もちろんウエイトが小さいために、全体への影響は縮小しているかもしれませんけれども、この辺りを確認する必要があると思います。この点も論点の中に入れていただければと思います。
 以上です。

○今野座長
 他にありますか。
 それでは、何か思いついたら事務局にメールでもよろしいですね。

○瀧原統計管理官
 はい。

○今野座長
 いただければ、それをもう一度、整理をしていただくと大体論点は整理できたかなというように思います。先ほど出た作業課題との対応については少し相談をさせていただいて、もしかしたら、皆さんのところに相談に行くかもしれませんけれども、親切にしてあげてください。
それでは、今日はそろそろ時間ですが、その他、何かありますか。

○瀧原統計管理官
 特にございません。

○今野座長
 よろしいですか。
 では、終わりましょう。ありがとうございました。

○細井統計企画調整官
 本日はありがとうございました。
 次回の開催でございますが、次回は3月19日火曜日、時間は15時半から17時半を予定してございます。場所は中央合同庁舎の4号館、共用1208特別会議室を予定してございます。開催の御案内は改めてさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、これをもちまして、第5回検討会を閉会させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。

                                                                                                                                                                                       (了)

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