第11回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

平成30年6月15日(金)14:00~16:30

場所

厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)

議事

 
 ○阿部座長 定刻になりましたので、第11回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会を開催したいと思います。本日は、栗原委員、長谷川委員が御欠席で、志賀委員は後ほどお見えになると思いますが、途中で退席されると伺っております。また、工藤委員の代理として日本盲人会連合から伊藤様にお越しいただいております。さらに本日は、千葉障害者就業支援キャリアセンター センター長の藤尾健二様から、千葉障害者キャリアセンターの取組について御発表いただく予定となっております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移ります。本日の進め方ですが、まず事務局から資料1-1の前半部分について説明していただいて、その後、質疑応答の時間を取らせていただきたいと思います。次いで、藤尾様から資料1-2を御発表いただいた後、事務局の説明内容と合わせて意見交換の時間とさせていただきます。最後に、事務局から資料1-1の後半部分を説明していただいて意見交換の時間を取りたいと思っております。では、事務局から資料1-1の前半部分について説明をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。早速ですが、資料1-1を御覧いただきたいと思いますが、その中の4ページをお開きください。多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の働き方の質の向上ということで、既に論点を8個挙げているわけですが、その最後、障害者の働き方の質の向上に向けては、上の7個の項目に加えて助成制度の活用、地域の就労支援機関の連携促進など、具体的にどのような方策が求められているのかについて御議論いただきたいと思っています。前半部分については、地域の支援機関の連携促進等について御議論いただきたいと思っています。
 まず、ヒアリングで出された意見を御紹介しながら、全体的な現状について御説明していきたいと思います。5ページを御覧ください。5ページ、6ページにおいて地域の支援機関の連携促進について、これまで研究会の中で主に出されたものを整理しています。整理しますと、大きく3つぐらいの項目に分かれるかと思っています。1つは、地域のネットワーク・支援の底上げでして、ネットワークの関係で出されたものです。次が、中小企業対策をどう進めていくかという論点、あと6ページで、専門的知見の活用として様々な専門職、ジョブコーチの活用、その他について整理していますが、そういった議論が出されたものと思っています。
 簡単に御紹介します。5ページの地域のネットワーク、地域の支援機関の能力の底上げについてです。例えば1つ目は、環境づくりのためのネットワークと支援対象の方の支援を充実させるためのネットワークで、直接的な支援対象者に対するネットワークと、全体としての地域の底上げとしてのネットワークと、両方あるのではないかという前提に立った上で、そういったものをそれぞれ整理しながら、地域におけるネットワーク作りが双方とも大事であること。相談支援機関については、地域及び相談者の力量の差異が大きなものとなっていることから、訓練・研修のシステムを見直すことも大事ではないかということ。企業内において精神障害者の方を支援する立場にある人、一般の社員ということですけれども、そういった方が相互に情報交換や経験交流ができる仕組みを構築するとともに、こうした支援者をケアするためのカウンセリングやアドバイスを行う仕組みも必要ではないかということ。就労支援機関ごとに対応力に差があることから、これも同じですが、研修の受講等を積極的に支援する必要があるということ。支援機関が連携して、支援者のケアを行うような体制も構築する必要があるということ。4つ目は、就労支援機関の就労状況に関する情報を、企業と支援機関に加えて、医療機関も情報共有できる仕組みを創設・普及することも、定着支援のためには大事ではないかということ。こういったことが出されたということです。最後の点は、先般御議論いただいた就労支援パスポートのような議論とも重複しますが、そういった議論が出されたというものです。
 加えて、地域の就労支援機関の主な支援対象として中小企業というものがあるという前提だと思いますが、以下のようなものが挙げられています。1つ目が、地域の就労支援ネットワークの中で、公的機関の役割とは別に、例えば障害者を全く雇っていない企業、いわゆる障害者雇用ゼロ企業を対象に雇用管理ノウハウを提供したり、コーディネーター役を担うなど、企業間の地域連携を促すための施策を行うべきであるということ。繰り返しになりますが、企業内で精神障害のある方を支援する立場にある人が、相互に情報交換や経験交流ができる仕組みも設けるべきではないかということ。これは正に中小企業において、障害者雇用の際の支援者となる方の能力を向上していったり、そういった方々をケアしていくものだと思います。こういった中小企業で障害者の方が戦力となって活躍している事例を、中小企業にとって受け入れやすい形で提供していくべきではないか、正にネットワークを作る中で、そうした情報を共有していくということ。ジョブコーチ支援等の有用な就労支援策を、全国の中小企業が使えるような体制を整備していく必要があるのではないか。また、経営者層の意思が重要になってくることから、企業見学等の機会もネットワークとして作っていったらどうか。こういった御意見があったということです。
 6ページは、全体として専門的知見の活用ということで、おおむね中身としては重複しているわけですが、具体的に出された専門的知見として、例えば産業医の方やリハビリテーション専門職として理学療法士、言語聴覚士、作業療法士等、様々な人たちの能力を、うまく活用していくことが大事なのではないかということ。加えて、企業在籍型ジョブコーチについても、しっかり活用していくべきではないかということで、1つ目は数を増やしていくべきだということ。2つ目としてジョブコーチの養成促進と実稼働率を高めるための施策が必要であること。企業内において、産業医や精神保健福祉士、ジョブコーチの資格を有する者等について、選任・配置・養成等を義務付けることが有用と考えるといった御議論もあったと承知しています。
 障害特性に応じた専門性についてです。視覚障害の方の定着支援を図るために、例えば視覚障害者に対応できるジョブコーチを養成し、各地域職業センターに配置すべきであるということ。あるいは聴覚障害、視覚障害の方については、それぞれ日常生活や就労の際に、特殊な困難性が生じてくることから、そうした個別の障害ごとに見識のある方を、できる限り育成するべきであるとか、地域の支援機関に配置する必要があるという御意見もあったと承知しています。
 その他です。ここは必ずしも障害に入らない部分が含まれるのかもしれませんが、従来の枠組みによる厳格な対応ではなく、就労困難性に着目した新たな枠組みも必要であるということで、いわゆる障害特性以外の背景により就労困難性を抱える方への支援に、こういった支援機関の能力をつなげていくことも、御議論として頂いております。そうした御意見を頂いているわけですが、現状を簡単に御紹介した上で、御議論、御意見を頂ければと思います。
 7ページは、ハローワーク、障害者就労・生活支援センター、地域障害者職業センターのフローについて説明しています。ハローワークについてはマッチングのところが中心になるわけですが、障害者就業・生活支援センターについては全国334か所設置されている中で、正に本人への生活支援を含めて、就職準備段階から支援を重ねていき、就職後についても日常生活や職場での悩みなどを含めて、寄り添い型の支援をしていくということだと思います。地域障害者職業センターにおいては、本人への職業準備支援としてストレス対処訓練等を進めながら、就職後についてはジョブコーチ支援を進めていくというような役割が主に期待されているものです。
 8ページからが地域障害者職業センターとなっていますが、8ページは地域障害者職業センターの全体的な期待される業務で、職業評価から始まり、職業準備支援、ジョブコーチ支援に加えて、近年はリワーク支援もやっているわけです。
 9ページは、地域障害者職業センターの業務ということで、障害者雇用促進法の条文を記載しています。一号は、障害者の方に対する職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職業講習を行うこと。二号は、事業主に雇用されている知的障害者等に対する職場への適応に関する事項についての助言又は指導を行うこと。三号は、事業主に対する障害者の雇用管理に関する事項についての助言その他の援助を行うこと。四号は、ジョブコーチの養成及び研修を行うこと。五号は、障害者就業・生活支援センターその他の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言その他の援助を行うこと。こういったものを掲げています。
 そうしたことで、地域センターにおいては主に知的障害の方の職場適応を中心として、これまで支援してきているところですが、10ページに今年度からの主な中期計画を掲げています。地域障害者職業センターにおいても、近年、特に直近ということで申し上げれば、期待される役割が少し変遷してきていると思っています。1つ目の所は障害者の雇用管理に係る支援の実施事業所数でして、毎年度1万8,200か所以上、直接、事業主に対する支援を行う機関として期待されているわけです。2つ目以降、個別に対象障害者の方に対する支援ということで申し上げれば、地域障害者職業センターについても、例えば、2つ目の毎年度1万9,200人以上というのは、精神障害者、発達障害者又は高次脳機能障害者に対する支援の数です。その次の就職率、その下の職場定着率についても、地域障害者職業センターの中期目標としては、精神障害者、発達障害者及び高次能機能障害者に対する支援を目標として掲げています。このように地域全体の中で就労支援のノウハウが十分に蓄積されていない、こういった障害の方に対する支援を、現在では地域障害者職業センターにおいても中心となって行っているところです。
 念のため申し上げると、その他、身体障害、知的障害のある方の支援についても、もちろん地域センターにおいて行っていて、個別の関連指標として立てているところですが、全体を統轄する中期目標としては、今、申し上げた3障害の目標を第一に掲げているというものです。
 さらに、地域センターにおいては、先ほどのネットワークとも関連しますが、職業リハビリテーションに関する助言・援助を実施した就労移行支援事業所等の割合も、50%以上と目標として掲げるのに加えて、ジョブコーチの養成研修を毎年600人以上実施することも目標として掲げています。全体として、現状、地域センターにおいては精神障害の方を中心とした支援の向上、あるいは地域のネットワークの構築を目標として掲げているところです。
 11ページは、職場適応援助者、いわゆるジョブコーチによる支援でして、これは普段から使っている資料を用意しています。
 12ページは、ジョブコーチ養成研修の拡充ということで、地域障害者職業センターにおいて、これまで年間約300人の養成研修を行ってまいりましたが、今年度からは約倍増の600人を目標にして年間の養成を行っている状況です。加えて、新たな研修体系として、これまでジョブコーチの養成を行った後、必ずしもフォローアップ体制とか、更なる技能を身に付けるための研修が十分ではなかったということで、12ページの下にありますように4段階のスキル向上研修等を用意することを予定しています。こうした2段階目以降の研修講座も充実することによって、地域の中のジョブコーチの役割を更に向上させていくことと、地域全体での支援力を高めていくことを地域センターにおいては目標としているものです。
 13ページは、障害者就業・生活支援センターの現状の資料ですが、14ページを御覧いただくと障害者就業・生活支援センターの業務ということで、こちらは障害者雇用促進法の28条に規定されていますけれども、法律の条文上は、障害者就業・生活支援センターの役割として、主に支援対象者からの相談に応じて地域の支援機関との連携を行うとか、必要な指導及び助言を行うことを掲げています。どちらかというと、条文上、障害者就業・生活支援センターに第一に期待されていることは、個別の支援対象者に対する支援のネットワークでして、狭い意味でのネットワークが期待されているということですが、地域全体のネットワークをどう構築するかに関しては、必ずしもこれまで十分に意識されてこなかったところはあろうかと思っています。
 しかしながら、15ページ以降を御覧いただくと、障害者就業・生活支援センターにおいても、ある意味で独自の取組と言いますか、様々な事例が見えるということで幾つか御紹介しています。例えば事例1で申し上げれば、障害者就業・生活支援センターの置かれている障害福祉圏域、その圏域の支援機関等とのネットワーク構築ということで、関係機関相互の情報共有等を行う連絡会議に加えて、ハローワーク、就労系福祉事業所、職業訓練校、医療機関等の現場の担当者による連絡会を立ち上げているところです。就労支援に関する具体的なテーマについて、勉強会・グループワーク等を実施していまして、正に障害者就業・生活支援センターの持っているノウハウを、地域の他の支援機関に対して伝えていくことを役割として担っているのと、その圏域のニーズを企画段階からダイレクトに吸い上げるような仕組みを構築して、地域の支援機関全体のネットワークを作っている事例もあります。
 事例2は、地域の支援機関というよりも、むしろ事業主団体との連携による事業所開拓等ということで、地域の中小企業家同友会とともに、同会所属の会社、就労系福祉事業所、行政、教育機関が参加するネットワークを構築し、主に中小企業による障害者の方の実習受入れや、採用を進めるための調整を実施したり、あるいは実際に受入れを行う際の助言も、障害者就業・生活支援センターが得意分野をいかして役割を担っているものです。逆に中小企業家同友会においては、正にそういった実習受入れをしていただける企業を探したり、そういった所に紹介したりといったことをやっていただき、事業主団体と支援機関が連携する形で、地域の中で全体として障害者の方が活躍するネットワークを構築しているものです。
 事例3は、個別の支援対象者ごとの部分が強いかもしれませんが、企業担当者との顔の見える信頼関係をどう作っていくかについても、様々な配慮されているところがあるというものです。
 事例4は、高次脳機能障害のある方への支援で、障害者就業・生活支援センターにおいては、当然、地域の医療機関とのつながりが期待されているわけですが、そうした中で、例えば自治体の設置している高次脳機能障害の支援拠点となっている医療機関とも、積極的に連携することによって、いわゆる主治医との連携だけでなく、例えばこのケースで申し上げれば失語症を併発されている方に対して、言語聴覚士のような専門職の方とも連携した上で復職支援を実施するなど、主治医だけでなく地域の医療機関との連携を推進している例です。
 事例5は、関係機関との幅広い連携による潜在的支援対象者への支援のノウハウの提案です。もちろん、障害者就業・生活支援センターについては障害者就労が第一義的な目標ではありますけれども、男女共同参画課や児童家庭課等、一見、障害者支援とは必ずしも関係ないような所とも、しっかりつながっていくことにより、例えば生活困窮者やDV被害者、シングルマザー、ひきこもり者など、これまで表に出てこなかった潜在的な支援対象者に対する支援方法についても、こうした担当課にそれぞれ提供していくことによって、全体として障害者の方に対する就労・生活支援のノウハウが、地域の中で広まっているというような取組を行っている所もあります。正にそうした取組について、今後どういったことを考えていけるかを御議論いただきたいと思います。
 17ページからは産業医について書いています。18ページを御覧いただくと、産業医の選任状況・活動状況についてです。事業場規模で申し上げれば、1,000人以上の規模では産業医の選任率は高く、99.4%であるのに対して、全体としては86%程度です。実際の活動状況としても、週1回の勤務などの非常に短時間の勤務も含めて、かなり幅広い状況になっています。その下の産業医の養成研修・講習を修了した医師の数でも、全体としては10万人となっていますが、実働は約3万人程度で、以下のような研修状況となっているということです。
 19ページ、産業医の方のヒアリングをお二方ほど行っています。あくまでも、これは産業医として障害者雇用分野に関して熱心に活動されている方について、ヒアリングを行ったというものです。実際、お話を伺っていくと、ヒアリング1については大企業で活躍される方で、企業によっては週4日のフルタイムで勤務していまして、産業医としてもかなり珍しい事例に当たるのかもしれませんが、そういった活動をされているということでした。下線を引いてある所だけ御紹介しますが、例えば主治医による復職判断を踏まえ、復職面談を通じて、実際にどういった配慮が必要かを踏まえながら、職場復帰させていくことを企業に助言しているということでした。本人の了解が得られる場合には、主治医とも直接連携することもあるということで、産業医が支援機関と関わるというより、産業医は主治医と関わった上で、主治医が地域の支援機関とつながっていくということかと思います。ただ、一方で、産業医の方が担う業務も広がっているということで、経験や自信がない分野については対応がためらわれるケースは、当然あるのではないかということが前提としてある中で、支援に関わる前提としては、障害者雇用の知識を得る機会や、そもそも産業医の勤務日数を拡充することに対する事業主の理解が不可欠ではないかというような御意見がありました。
 ヒアリング2ですが、専門としては眼科ということで伺っています。就労環境について障害を理由として配慮すべき事項や、ジョブコーチ等の活用について企業に助言されているということでした。ただ、この方は各会社についてそれぞれ月1回から週2回程度、その他オンライン相談なども実施しているということですが、企業が合理的配慮を提供する上では産業医のアドバイスは欠かせないことでした。ただ、この方は御専門が視覚障害ですが、この方から、視覚障害のある方について限定的に申し上げればということで、必要以上に就労が困難な障害と思われているので、少しの配慮や工夫があれば働けることを企業に周知することも、産業医の役割なのではないかとおっしゃっていました。産業医であるとか人事の方が、障害者雇用について相談できるものとして、いわゆる障害種別によらない総合的な情報窓口が用意されて周知されることが必要なのではないかということで、むしろ専門的な窓口というよりは、総合的な情報窓口が必要だという御意見を頂いています。
 20ページは、精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業についてです。現在、当省において行っているものとして、ハローワークと地域の医療機関がそれぞれ連携し、医療機関にかかっていらっしゃる精神疾患のある方を送り出していただき、就労促進に結び付けていくことをやっていることを御紹介しています。
 そうしたものを踏まえまして、21ページです。本日、御議論いただきたいものとしては地域の就労支援の在り方を考えるに当たり、次のようなことを前提に、どのような支援が重要となっているかを考えていく必要があるのではないかということです。まず前提としては、障害者の方である新規求職者数自体が全体として過去最高を更新し続ける中で、特に精神障害や発達障害の方、高次脳機能障害あるいは難病のある方など、希望される方の障害の多様化の傾向が見られること。地域における支援機関の数も増加傾向にあるものの、経験値や能力には大きな差が見られるケースもあること。企業においても、これも同様ですが、障害者雇用に関してノウハウの蓄積が見られる会社から、全くこれまで雇用したことのない会社まで一様ではないことから、地域の支援機関から障害者を実際に雇用する会社まで含めて、ノウハウにおいてはかなりの差があるということ。一方で、障害特性については、かなり多様化してきていること。このようなことを前提に議論いただきたいと思っています。
 これまでの議論としては、先ほど御紹介しましたとおり地域のネットワークや支援の底上げ、中小企業対策、企業における対応力の強化に加えて、専門的な知見をどう活用するかという意見が出されてきたわけですが、今後どういった支援が求められていると考えるかということ。さらに申し上げれば、具体的には障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターに加え、産業医、リハビリテーションの専門職、ジョブコーチといった方を含めて、地域全体における障害者雇用の促進のために、今後それぞれどのような役割を担ってもらうことが期待されるかについて、例えばナカポツセンターの現状の取組なども踏まえて、御意見を頂ければと思っています。事務局からは以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、まず事実関係や論点の確認等を中心に御発言がございましたら、お願いいたします。毎回お願いしていることですが、挙手を必ずしていただいてお名前を名乗っていただいてから御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。御説明ありがとうございます。21ページの最初のマルの1つ目のポツに、「近年、ハローワークにおいては、障害者である新規求職者数が過去最高を更新し続ける」という記載がございました。そこについての質問です。これは地域障害者職業センターや、障害者就業・生活支援センターも同様かもしれないですが、こうした機関には職員などの定員がございます。過去最高を更新という状況にあって、ハローワークも含めて、そうした機関の担当者を含め職員の人数が、この間どれだけ増加をしているのでしょうか。総定員法があるので、なかなか人員の拡充は難しいかもしれませんが、新規求職者数が過去最高となる一方で、それに対応する人数が果たしてどのくらい増えているのかお聞きできればと思います。もちろん、リハビリテーションの専門職や産業医の方の人数も限られてはいますが、そういった専門の方のリソースをうまく活用するためには、支援する職員の人数もある程度の拡充が必要ではないかと思いますので、もし分かれば教えていただければと思います。
○阿部座長 それでは、御質問ですのでお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。今、御質問いただいた件ですが、すみません、定員については把握していません。全体として申し上げれば、例えば精神障害者の雇用トータルサポーターであるとか、発達障害者の雇用トータルサポーターということで、それぞれの現状、増えていっている方の障害特性に対応する形で、専門的な知見を持っている方に新たに来ていただいて、ハローワークの支援体制を強化することは行っています。ただ、当然、全体としての財源の問題であるとか定員の問題はございますから、基本的にはそうした専門職の方に来ていただく中で、そうしたノウハウをいかに現状の体制の中で共有していくかが、まずは大事なのかなということと、加えまして、例えばハローワークにいらっしゃった方の中で、すぐに就職が難しい方などについては、適切な形で他の支援機関にもつなげていく中で就労支援を行っていくことも含めて、やっていくことが大事なのかなと思っています。
○阿部座長 その他、いかがでしょうか。塩野委員、お願いします。
○塩野委員 塩野です。2点、質問させていただきます。まず1点目ですが、精神障害者の雇用者数の増大や、法定雇用率の引上げに伴う雇用義務の対象企業の拡大によって、ジョブコーチについては、量的にも質的にも両面から強化が求められていると思います。いろいろな養成研修の実績などはお示しいただいていますが、将来の体制整備等を踏まえたときに、ジョブコーチの養成など、過不足の状況についてお聞きしたいと思います。
 2点目ですが、課題を抱える企業が多いことから、障害者就業・生活支援センターに対する期待が高くなっていると思います。13ページには、業務内容としてセンター内での相談窓口の対応に加えて、職場訪問を実施しているという説明があります。職場訪問について、例えば訪問件数など、実績を把握しているのであれば教えていただきたい。また、今後、各センターにおける職場訪問を増やしていくなどの方向性があるのか。その際、マンパワーとして、例えば特例子会社の社長経験者の方などの活用も考えられますが、何か現時点でお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。それでは、御質問ですからお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。職場訪問の実績は担当からお答えします。1つ目のジョブコーチの養成数については、昨年までの300人という体制で、申込みいただいても定員をオーバーしているということで、既に1名以上、ジョブコーチの方がいらっしゃる会社は、優先順位としてはお断りするということもありましたから、現状としては社会全体としてのニーズは高まっているだろうと思っています。ただ、一方で専門職あるいは専門的知見の方を、どこまで増やしていくかについては、例えば「精神・発達障害者しごとサポーター」ということで、職場の中で全体的にどう理解を進めていくかということもやっていますが、実際には正に職場の中で全体的な理解を進めるかと、専門的な知見を持った方をどう育成していくかということで、これは、それぞれ影響し合うところもあると思いますし、現状においてどれぐらいの数が必要かということは、長期的に何とも言えないところですが、いずれにしましても、まずはニーズがあるということで、そうしたところにはしっかり対応できるような形で研修をしていきたいというものです。
 障害者就業・生活支援センターについても、職場訪問については基本的に我々のほうからお願いしているということで、実績は後ほどお答えしますが、今後、増やしていきたいと思っています。ただ、こちらも同じですが、全体としての地域の資源がある中で、実際には障害者就業・生活支援センターにおいて、長期的に職場定着を支援していくほうが望ましい方もいらっしゃれば、他の支援機関においてお願いしていくこともあろうかと思います。そこは地域の中で正にネットワークを作っていく中で、適材適所と言いますか、必要な支援あるいは必要なノウハウを持っている所が支援をしていくのが望ましいのではないかということで、そういった意味でもネットワークは大事かなと思っています。
○阿部座長 お願いします。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の田中です。御質問がありました障害者就業・生活支援センターの実績の中で、職場訪問による支援件数がどれくらいあるかということですが、一番新しい数字で申しますと平成29年度で約22万4,000件となっていまして、大体、職員1人当たり180件近く、年間、職場訪問による定着支援をしているという状況です。
○阿部座長 ありがとうございます。それでは、その他、志賀委員からお願いします。
○志賀委員 志賀です。よろしくお願いします。すごく基本的な話なんですけども、例えば、地域の支援機関ということで、職業センターのほうで職業リハビリテーションを利用した目標数値として1万9,200人とか、ナカポツのほうで支援対象者が16万何千人とかという形で、それ以外に、福祉のほうでの就労移行支援事業所等での毎年の就職者数が1万3,000とか1万4,000とかといった数が出てくるのですが、重層的な相談とか体制整備をしていくと、それぞれの実績の数字は分かるのですが、どうしても重複してカウントされてしまいます。実態としてはロクイチ調査で民間あるいは公的機関、実人数で2万人少々増えているわけですけど、各機関の目標や自責数は、同じ人に3つも4つもそこでカウントされているという現状が多分ありそうな気がするので、その辺というのは何かやりようはないのでしょうか。
○阿部座長 事務局、お願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 数字的にということでしょうか。
○志賀委員 そうです。
○障害者雇用対策課課長補佐 ただ、もちろん重複して支援をしている方はいらっしゃるわけですが、そこは、数字としてどこが主担当かみたいな話を、それはおっしゃるとおりにやろうとすると、多分決めるということになると思いますが、一方で、障害者の方の就労支援に当たっては、正にその幾つかの支援機関が必要なノウハウを持ちながら支援していくということも大事だということからすると、技術的に数字を重複がないようにするということが、なかなか難しいのかなと。要は、数字を主担当が決めるということは、どこの数字かということを決めるということになると、それは正にどこが主担当かということを明示的に決めていくということになると思います。そういうのが必要な支援の方もいらっしゃると思いますが、ケースバイケースということも考えますと、なかなかそこは、いわゆる重複がないように数字を出すということが難しいということと、現実には、それぞれの支援機関の活動量として考えれば、やはりそれは、現実にそういった活動されているということでもあるので、おっしゃることは分かりながらも、一方で、それぞれ活動した分を計上していくということも、一定の意味はあるのかなというふうには思っております。
○阿部座長 よろしいですか。
○志賀委員 いや、難しいのは分かるのですけども、やはり、こちらで主担当というよりも、実数は上げるけども、例えば職業センターでしたら、そのうちナカポツで関わっているのが何件とか、どこどこで関わってるのが何件、いわゆる、そういう数字が出るだけでも、後で引き算等でしやすいかなと思うのです。
○障害者雇用対策課課長補佐 おっしゃることはよく分かるのですが、ただ実際には、正に引き算ということで言うと、常用労働の20時間ということで考えると、いろんな条件をあの数字、あの数字というのは、そもそも50人以下の会社は入ってない数字だったりしますし、なかなか、それといった一対応というのは、いずれにしても難しいのかなというふうには思います。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の田中です。ナカポツセンターではという1つの例なのですけれども、コーディネートをしているのがどれくらいあるかというのは数字を取ったりはしています。御質問の数字そのままではないのが、どれぐらいコーディネートしているかというのも別途取っている状況ではありますし、現場ではチーム支援というのがすごく大事な考え方になっていると思います。
○阿部座長 大事な話だと思うんですけれど、その数字を何に使うのかというのが結構大事なので、細かく取ったからいいかというと、必ずしもそうでもないようにも思いますし、ただ、それが政策的な意味があるとすれば、それは考えていく必要があるとは思うのです。いずれにしても、今日の論点と関係はあるんですけど、直接関係があるかどうか、私はまだ理解できていないところでありまして、それはまた、別途少し議論する機会があれば議論したいと思います。工藤委員の代理の伊藤様、お願いします。
○日本盲人会連合青年協議会会長伊藤丈人氏 日盲連の伊藤と申します。産業医の件について、質問ではなく恐縮なのですが、1つ発言をさせていただきたいと思います。今回、産業医2人の方にヒアリングをしていただきまして、日盲連としては感謝しております。産業医の役割については、マイノリティーの中のマイノリティーである視覚障害としては、特に重要であると考えておりまして、2つ目のヒアリングの眼科医の方の発言のヒアリングに書いてありますように、視覚障害というのが必要以上に重たい障害と思われていると書かれておりますけれど、だんだん視力が落ちてきて、仕事働きづらいなと思っても、目が悪くなりましたと言ったら、ちょっと仕事がなくなっちゃうんじゃないかということがありますので、怖くて目が悪くなってきたと言えないということがあります。適切なサポートをすれば働けるんだと、この方はおっしゃっていますけれど、このように各会社に来られている産業医の方と、目の状況、眼科の専門の方が連携していただくことが、目が悪くなってきたけど言い出せないよという労働者の方にとって、とても心強いことだと思っておりますので、引き続きこのテーマは私たちとしては大事だと思っております。お礼とお願いということで発言させていただきました。ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
○眞保委員 法政大学の眞保です。10、11ページのジョブコーチにつきましてお伺いします。質問なのですが、11ページにジョブコーチの養成実績として平成29年で計961人、内訳として訪問型ジョブコーチで513人、企業在籍型ジョブコーチで448人という数字が出ております。先ほど、平成30年度から毎年600人、これは増えているニーズに対応して、これまで300人ぐらいだった人を600人にするということだったんですが、この平成29年の数字との関係はどのようなものになるのでしょうか。
○障害者雇用対策課課長補佐 すみません、この数字は民間の養成機関を含んだ数字ということで、申し訳ありません、先ほど申し上げた300を600にするというのは、あくまでも、独立行政法人において養成する件数ということです。
○眞保委員 続けてよろしいでしょうか。
○阿部座長 どうぞ。
○眞保委員 そうですか。これは職業センターで養成する分だけで600人、倍増させようということですね。
○障害者雇用対策課課長補佐 はい。
○眞保委員 私は常々、企業在籍型ジョブコーチが、特にこれから精神の方の定着支援を考えていく上で重要だと思っているのですが、この600人について、企業在籍型ジョブココーチと訪問型ジョブコーチの内訳というのは、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○阿部座長 よろしいですか。では、お願いします。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の田中です。機構におきましての方針といたしましては、訪問型で何人、企業在籍型で何人と募集時点で決めることは考えていないのですけれども、企業在籍型ジョブコーチを希望する方を優先して受講していただく方向で進めております。
○阿部座長 眞保委員、お願いします。
○眞保委員 これまでの活動実績でも既に高沢さんのほうからお話いただいているんですけれど、稼働率を増やすことが必要ですね。つまり、これまで福祉施設に職員として在籍している訪問型のジョブコーチが多く養成されてきたわけですが、その方々の稼働実績は低く、ほとんどジョブコーチの仕事をされていないという実態がどうしてもあるわけで、そうしますと、せっかく600人と倍増していただくということなので、定員を設けるかどうかはともかくとしまして、今、田中さんがおっしゃった企業在籍型のほうを優先してということの広報を、是非しっかりやっていただいて、企業の方が参加しやすいようにしていただくことがまず大切かなと思います。
○阿部座長 よろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。質問ではなく意見です。確かにジョブコーチというのは非常に大事な役割をしておりますが、ただ、今までのジョブコーチにいたしましても、相談支援にいたしましても、障害当事者に対する支援に偏り過ぎていたのではないかと思うわけです。やはり、ジョブコーチでなくても、直接支援する方でもいいのですが、職場開拓をもっと重点に入れるべきではないかと思っております。
 それから、もう1点は、ジョブコーチあるいは相談支援の方も精進されて、研鑽されてやっておられるでしょうけども、それを評価すると言いますか、指導するスーパーバイザーというものが必要になってくるのではないかと。スーパービジョンというものがないことには、適切な支援、その支援が適切に行われているかどうかというチェック機能も必要であると思います。
○阿部座長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。続いて、千葉障害者就業支援キャリアセンター センター長の藤尾様から御発表をお願いしたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○千葉障害者就業支援キャリアセンター センター長藤尾健二氏 改めましてこんにちは。千葉障害者就業支援キャリアセンターの藤尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の資料の前段は、登録状況や千葉市の圏域について書いてあります。2ページの登録状況を見ていただくと、ここで先ほど来挙がっているナカポツセンターの現状がある程度分かると思います。当センターの登録者が1,017人で、割合は御覧のとおりです。そのうち就職している方の登録者数は圧倒的に知的の方が多いのですが、求職者になると約半数が精神になるということで、恐らく、どこのセンターでも似通った状況があるのではないかと思います。知的が多いのは、特別支援学校等からの就労者の登録が多いということです。実際に働いている方、求職者の登録が多いのは精神の方でして、やはり求職者としては数が上がっているというのが現状として挙げられると思います。先ほど、ナカポツセンターの現状についての説明が事務局からあったかと思いますが、大体、今、日本全国のナカポツの平均登録者数が500名強ぐらいで、これを最小3人、多ければ7、8名で支えているのがナカポツの現状です。
 今日お話するのは主に3つの点に絞りたいと思います。まず、今お話した現状、それから、ネットワークという言葉が先ほど挙がっていたので、当センターで千葉市圏域で行っているネットワークと、同じナカポツセンターで全県で取り組んでいるネットワークについて御説明いたします。
 4ページ、横棒のグラフになっている縦に16、実際は17あるのですが、千葉県内の障害者就業・生活支援センターの一覧と設立年が入った資料となっています。平成18年の所に「連絡協議会設立準備」、平成19年の所に「連絡協議会設立」と書いてあるのですが、これは何かというと、千葉県内の障害者就業・生活支援センターで連絡協議会を立ち上げ、実際に組織して運営しているという、その立ち上げ等の経緯になります。下段に千葉県内の地図と各箇所の位置と名前が入っているのですが、16というのは千葉県の障害保健福祉圏域になりますので、現在、全ての圏域にこのセンターが設置されている状況です。
 6ページ、関係機関との連携についてということで、千葉県版と書いてありますが、まず、この連絡協議会を立ち上げたことによって何が始まったかというと、地域のニーズをきちんと拾おうということです。ナカポツセンターが立ち上がった当初、あっせん型雇用支援センターからナカポツになった頃なのですが、言い方は悪いですけれども、法人の持ち物のようになっている時期が一時期あり、自法人の人だけ支援していればいいというような時期があったと思っています。そこを、そうではなく、やはり地域なのだと、地域の声を聞いて地域の中でどのような活動をするのかということで、16圏域全て、当時は8圏域全てにおいて、地域からの声を引き上げるネットワークを作りましょうというのがこれになっています。現在、16圏域全てにおいて開催しています。
 それから、先に話をしてしまいましたが、この協議会を立ち上げることにより、情報共有、他機関との連携、この場合の連携というのは組織同士の連携です。それと、ナカポツセンター、どんどん後身のセンターが立ち上がってくるので、ナカポツセンターというのはどのような仕事をするのか、あるいは、このようなときにどこに相談するのかということ、同じ仕事をしている者が実は法人の中にいないのが、このセンターの大きな特色なので、同じ仕事をする者同士でしっかりと最低ラインや、やらなければいけないことを共有しましょうということを協議会の立ち上げにより行っています。
 それと、ハローワークとの連携もかなり強固なものになっていて、千葉県は今、単独で企業支援員という支援員を配置しています。この企業支援員は何かというと、企業のOBの方が障害者雇用をしようとする企業の相談に乗る、具体的にいうと、雇用指導部門と連携を図って動いています。県内のハローワークの雇用指導官の達成指導の後を受け、その企業の雇用サポートをするなどの動きをしています。後ほど少し詳しく御説明いたします。
 では、この3つについて1つずつ御説明いたします。7ページ、千葉市圏域の地域意見交換会ということで、これは我々の圏域で行っているネットワーク会議です。我々は年6回、昨年度はこれにプラスして移行支援事業所だけの集まりもやったのですが、少し忙し過ぎて途中でさぼってしまい、今怒られている状況です。この会議に来られているのはハローワーク、障害者職業センター、企業、就労移行支援事業所、就労継続A型、B型、相談支援事業所、医療機関、発達障害者支援センター、千葉は政令市でして県と市の両方あるので双方に来ていただいております。それと高次脳機能障害支援センター、特別支援学校の進路指導、千葉県下に配置されている特別支援コーディネーターの先生、高等技術専門校等々で、大体70名ぐらいの方が参加する会になっております。
 学校の先生や皆さんが来られるようにということで、夕方6時からの会議で非常に皆さんには負担をお願いしているのですが、やるからには来てもらえるようなものをきちんと開催しようということで、毎回、勉強会や新しくここで事業を始める事業所のプレゼンテーションであったり、先日の火曜日は多数雇用したいという企業が来てプレゼンをし、その後、意見交換をしました。
 この会を開催することによって、やはりネットワークを維持することができるところがポイントになっているのだと思います。御存じのようにネットワークを構築しっぱなしで、なかなか使うチャンスがないと、どんどん劣化していってしまうのですが、いざというときにすぐに動けるネットワークがあるということ、それから、地域で同じ所を見て仕事をすることができます。変な話ですが、ここのネットワークに入っていただく上では、最低こういうことだけはきちんと守ろうというルール決めをして動いているので、そこから外れる場合には、ここで発表してもらったり、あるいは、この場を使って情報共有してもらうということをしないでいただくということをしています。ですので「何だあれは」とか「自分たちはこうやりたい、何か自分たちの商売に使いたい」という場合にはお断りするというところで、地域の中で同じ方向を向いて仕事をしていく点では非常に有益だと思っています。また、企業で人が欲しい、実際に働く人がたくさんいる所のつなぎ役としても、非常に有効活用していただいているのではないかと思います。
 8ページ、先ほどお話した千葉県内の連絡協議会になります。この協議会を立ち上げた理由は、そもそも障害者が働くということがまだ主流ではなかったときに、障害者の働くということについて仕事をしていこうとすると、結構風当たりが強かったのです。大きな法人の中だと「あいつら何やってんだ」とか、我々ですと、例えばハローワークや職業センターと余りうまく連携ができなかったりとか、当時はいろいろな問題があり、それを組織としてきちんと意見交換をしてやっていこうと、それから特別支援学校や県の商工労働部であったり、各県の労働局と窓口を1本にして、いろいろなことを協議し、それを全県に落としていく、どこのハローワークとはこう、あそこのハローワークとはこうと、あるいは学校とはこうとやっていくと、らちがあかないのです。あそこのセンターは、あそこのハローワークは、あそこの学校はとなってしまうので、そうではなく、このナカポツセンターとしての役割や求められているものであったり、やり方を全県で共有していきましょうということが1つの目的になっています。
 また、もう1つは、対外的なところで、窓口を1つにしておくことにより、周りの方からの依頼事項などにおいても積極的に対応ができるということが挙げられるかと思います。ナカポツを運営している上でここが困るのですということを、16センターの総意として行政の方にお願いができるということが言えると思います。
 10ページは、今の協議会の活動になります。協議会は会長、副会長2名、事務局による幹事会と、その下に部会、制度施策部会・研修部会・広報部会と3つの部会が下に付いている状況です。現在、会長は私が務めており、副会長にそれぞれ「ロザリオの聖母会」と「ビック・ハート」という法人のお二人に入っていただき、事務局に「ふる里学舎」が入っていただいています。
 この部会は何をやるかということですが、制度施策部会は様々な制度の動きに応じてアンケートを取り、16センターの総意をまとめたものと、いろいろなものの意見交換をします。研修部会は、ナカポツセンターのスタッフの底上げということで、年2回若手を中心とした研修を開催しています。広報部会は、もしお時間があれば千葉県障害者就業・生活支援センター連絡協議会で検索していただくと出てくるのですが、協議会のホームページの管理と年2回の広報誌の発刊を行っています。定例会は年に6回、その準備にかかる幹事会を年6回、あとは外部の機関との連絡調整会議がありまして、これが非常に重要なのですが、年2回行っています。連絡調整会議の参加機関は下の一覧になっています。国でいうと労働局の方、機構の方、あとは働くという意味で特例子会社の方、A型事業所の方、相談支援事業所、中核、県の教育機関や各部局等々です。
 最初の頃は、皆さんのいろいろなプレゼンの場や情報共有の場にしていたのですが、近年、更に意識しているのは、組織としてナカポツセンターに何を求めますかということをここで拾う取組をしています。シンポジウム形式で皆さんに登壇していただき、ナカポツセンターに思うところ等々を挙げていただくと、そんな役割を担っている会になっています。
 12ページ、ハローワークとの連携です。先ほど挙げた企業支援がかなり密にハローワークと連携を取っています。16センター全てに配置されていますので、それぞれのハローワークと連携を取るのですが、これは実際に始めてみて分かりましたが、我々の地域、要は障害福祉サービスや支援機関に地域差があるのと同じように、ハローワークにもかなり地域差があり、障害者専門の雇用指導官がいるハローワークもあれば、新卒も何もかも全部同じ人がやっているというハローワークもあり、ハローワークの人の負担も地域によって全然違うというのがここで見えてきました。ですので、実際に手の薄い所のハローワークに対しては、こうした支援を上手に使ってくださいという形で共同の形を取り、逆に大都市部にあるような雇用指導官が専門にいらっしゃるような所であれば、役割分担をしてどの部分を指導官の方がやり、どこからを企業支援が引き継ぐのかという連携を行っている状況です。今ここが、かなりうまく回っているのですが、ハローワークは人事異動が激しいので、人事の異動があったときに、もう一回ここを巻き直しながらうまく引き継いでもらうというところが、今の大きな課題だと思っています。ただ、非常にうまく回っているのではないかと思っています。
 最後に、ナカポツセンターが今どのような思いでやっているかを少しお伝えしたいのです。今、私は全国就業支援ネットワークに所属しており、そこのナカポツ部会の部会長をしておりますので、全国のナカポツの皆さんからの声も若干入ってくるのです。そんな中で今お伝えしているのは、先ほど委員の皆さんからもありましたが、支援対象が増える中でマンパワーはどうなのだという話ですが、これはもう結果的には絶対に足りなくなるのは明らかだと思います。ただ、足りなくなるということが、足りないから駄目ということなのかというと、多分そうではないと我々は捉えており、足りなくなる分、しっかりその企業の中に応援団であり障害者雇用をしっかりサポートするサポーターを作っていこうという視点で、支援に動いています。
 というのは、私は先日特例子会社の連絡会でお話して71対1という数字を挙げたのですが、我々が1か月に1回訪問して2時間支援するのと、企業の方が1年間に接するのを割り算すると大体71対1ぐらいなのです。この1の人がどれだけのことができるのかということを考えると、やはり71倍接している人たちにどのような支援をしてもらうのか、どのように関わってもらうのかというところに焦点を当て、支援をしていく必要があるだろうということで、ナカポツセンターでは人が足りないという言い方ではなく、しっかりと企業の中で雇用できる環境作りを支援しましょうという動きをしているところです。
 14ページがそれを受けた内容です。1つは平成24年10月に出た障害者虐待防止法、平成28年4月に出た障害者差別解消法、最初これが出てきたら障害雇用が止まってしまうのではないかとドキドキしていたのですが、そんなことはない、蓋を開けてみたら非常に我々にとっては動きやすくなった1つの法律だと思っています。企業に対し「それまずいですよ」としっかり言えたり、「こういう配慮があるといいですよ」ということを割と正々堂々と言える後ろ盾になったので、もちろん敵対するわけではないのですが、知らないことをしっかりお伝えしながらやっていくということだと思っています。お願いする役割から頼られる存在にと書いてあるのですが、長い歴史の中で支援機関や学校の先生というのは、お願いして雇ってもらっていた時代が結構あるのです。それを返上しないと、なかなか適切な企業サポートができないと思っています。
 先ほどの御質問にもありましたが、企業訪問の件数などもその1つで、我々ナカポツセンターも事業評価を受ける中で、どの数字がどのように評価されるのかということが結構ポイントになっているのですが、では、訪問をたくさんしたほうがいいのかと考えると、訪問をしている間は会社が自立していないという裏も取れるわけです。ですから、その件数を上げる上げないということだけに捕らわれず、いかに企業の方にうまく障害者雇用を勧めてもらうかを、今後進めていかなくてはいけないと思っています。
 最後に16ページです。私どもが今、千葉県で取り組んでいる内容を少しお伝えしたいと思います。千葉では16の協議会があるお陰で、企業体、支援機関、教育機関、行政の皆で協議をして、どんな政策がいいだろうかと話し合うことが割とできているのです。そんな中から県の事業などもたくさんスタートし、今うちで受けているキャリアセンター事業では、精神障害者と職場内サポーター養成研修という2日間の研修を年6回、企業内でのサポーター養成研修を行っています。これも各所からのニーズに応じてやることができているのです。ナカポツセンターというのは、割といろいろなところが見えており、福祉や働いているところも見えていて、教育も見えているというか足も突っ込んでいて、いろいろな所の状況がうまく拾えて、うまく融合する場所ではと思っていますので、そんなところでうまい調整役ができるといいのかなと感じています。とりとめのない話になりましたが、一旦以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○阿部座長 大変、参考になるお話ありがとうございました。それでは、ただいまの藤尾様の御発表、また、先ほどの事務局の説明について、御意見がありましたら御発言お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○伊藤氏 日盲連の伊藤と申します。非常に貴重な現場のお話ありがとうございました。また日頃、障害者の就労に関して御尽力いただきありがとうございます。1点質問します。こちらのセンターでの登録が1,017で、うち身体障害が66ということです。この66の内訳について、視覚、聴覚等、もし数字が分かるようでしたら教えていただければと思います。
○藤尾氏 すみません。実数を持ってきておりません。感覚的なところでお答えさせていただいてもよろしいでしょうか。
○伊藤氏 はい、お願いします。
○藤尾氏 視覚障害に関して言うと、確か全盲の方はいらっしゃらなかったと記憶しています。弱視の方や視野狭窄のある方等は登録があったのですが、多くが手帳的に身体で高次脳機能障害のある方、あるいは聴覚障害の方です。これは聾学校から登録されて、そのまま登録されている方が多いかという印象です。
○伊藤氏 どうもありがとうございました。多様な障害について十分サポートしていただけていると存じております。つまり、全盲の方はいらっしゃらない、それから、他の障害で登録しながら視力や色覚が弱いという方もいらっしゃると思います。懸念というほど強く言っていいか分かりませんが、私たちの思いとして、1,017の中で人数的に少ない種類の、例えば視覚障害等について、的確なと言いましょうか、障害実態に適応した何かきめの細かい、企業に対する御支援や障害当事者に対する就労意欲を後押しするような試みを期待しております。
○藤尾氏 ありがとうございました。千葉県に愛光さんという視覚障害の方の支援を専門にやられている法人があります。頂いたお話をしっかり受けて進めていきたいと思います。
○阿部座長 ほかにいかがでしょうか。
○漆原委員 連合の漆原です。レジュメの13ページの「障害者雇用のこれから」の最初の所の2つ目のポツが赤くなっており、そこにいまだ不透明という記載があります。この部分について、どのように感じているのかを含めて、補足してご説明いただければと思います。
○藤尾氏 就労定着支援事業は平成30年4月からスタートしていて、一部、移行支援事業所等が事業をスタートしています。千葉市内の移行支援事業所では、先日聞いたところ、今は4つか5つの事業所でスタートを切っているのですが、やらなければよかったという所、始まったけれど市によってやり方がばらばらだという所、現在、様々な問題が起きています。多くの事業所は9月末をもって、それまでに準備してスタートを切ろうと。
 あえて、ここで不透明という書き方をしたのは、支援が減少するというときに、就労定着支援事業があるのではないか、これで支援の手が増えるのではないかという見方をされるのであれば、我々は恐らくそうではないと考えています。今までの定着体制加算を受けている所も支援はいっていますし、これは月1回の訪問が最低ラインですから、集中支援期に使えないと考えると、これによってそれほど支援が増大するのではないのではないかという意味で、不透明という言葉を使っています。
○阿部座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○志賀委員 志賀です。地域でこういう形で、多分どの都道府県でもナカポツセンター同士の連携は結構されている、ほとんどの所は県単位でやられていると思います。全体の中の動きとして、例えば、今のお話もそうですが、最近は就労移行支援事業所で定着支援の3年が終わった後に、自動的にナカポツセンターへ登録していただけますかとか、そういう細かな調整のやり取りで、個別にいろいろ動くのではなくて、地域単位できちんと決め事をしていかなければいけないのがある。そこまで頑張ることができているというのは、全国の事例で結構あるのでしょうか。
○藤尾氏 まだ始まったばかりなので、定着支援事業との絡みはまだまだだと思います。実は千葉県のネットワークと同じようなネットワークがあるかないかということは、昨年の2月に全国にアンケートを取っているのですが、案外ないのです。今、全国でナカポツセンターのネットワーク自体が必要ということで、少しずつ出来始めている状況なので、まだ全県通したものはないと思います。
 ただ、全国就業支援ネットワークの中で、こういう県単位のネットワークは非常に有効だということを発信して、地域のニーズをナカポツセンターが拾う、拾ったニーズを全県のナカポツセンターの最大公約数で拾う、拾ったものを全国に集約するという流れを作りたいと思っていますので、そういう意味では今後拾っていくことができるかと。ただ、今、移行支援事業所との在り方に関しては、むしろ就労定着支援事業がスタートすることによって、まず、移行支援事業所の見解を全て拾うことが先かということで、前回、ネットワーク会議でも皆さんにはお伝えしたのですが、近々に皆さんの今の困り事をアンケートでお聞きしますので、思いのたけを全部寄せてくださいとお願いしているところです。
○志賀委員 志賀です。細かい具体的なことではないのですが、広域の全県下とか、地域によってはもう少し広い範囲のネットワークの連携はすごく大切なのだろうと、いわゆる、個別の事例を通しての連携だけではなくて、実際に事業として集計して自分たちはどういう仕事をやるのかと見つめ直すためには、こういうものがないとなかなか難しいのだろうなとつくづく思います。千葉県の場合は連絡協議会で、今は藤尾さんのいらっしゃる所が事務局をやられた。
○藤尾氏 事務局は別の所です。
○志賀委員 別で任意の団体としての立ち上げで、例えば、労働局や都道府県単位の労働行政が事務局とか、職業センターとかいろいろなやり方がありますが、そういうことは、やはり自分たちの自主的な会でないと難しいと思われますか。
○藤尾氏 市や県がやっている所もあるそうなのですが、結局、我々ナカポツセンターの会議のときには、ナカポツセンター以外はそこに同席していないのです。それがすごく大事で、そこに局の方、ほかの事業所の方、企業の方がいると、言ってはいけないことが出てくるのですが、ナカポツセンターだけで集まっていると、取りあえず、問題点や考えていることを全部出して、その上でどういう公約数を取っていくかという動きが取れるので、恐らく、純粋なナカポツセンターで集まっていることが現在とても重要なのかと感じています。
○志賀委員 取りあえず、現状として自主的な会が広がるのが大切ということですね。
○藤尾氏 いいのではないかと考えています。
○志賀委員 分かりました。
○阿部座長 ほかにいかがでしょうか。
○加賀委員 加賀です。登録者の場合で、身体が66人、知的が何人と数があります。年齢層は若い人が多いのでしょうか。
○藤尾氏 知的の方に関しては2つに分かれます。高齢化していて仕事を辞められて休職中の方や、一時は会社の倒産でたくさんの方が出てこられた時期があったので上の方と、あと、今、新卒で登録される方が急増し、千葉県下でも毎年400名を超える知的障害の方が4月に就労されていくので、この方の一部が定期的に入ってくるという形で2つに分かれるかと思います。逆に、精神の方は中年から上の方、30、40代の方が多いのが現状かと。発達障害の方は、若干、若い方が入ってきます。
○加賀委員 私は少し企業的なこと、福祉のことをやっているのですが、障害者のこともわがままだし、精神も勝手がいいし、知的障害の方が一番真面目なのです。私たちは、どうしても知的障害の若い子たちを雇用してしまうのです。差別するわけではないのですが、特に今年から精神は雇わなくてはいけないので雇うのだけれど、自分から辞めていってしまいます。「なんで辞めるんだ。今ここを辞めたらお前就職先ないぞ」と言うのだけれど、合わないとか、何が合わないのかと聞くと、何々がということは言えないのです。
 責めるわけではないけれど、「やはり、あなたのことは、本当に僕もそういうようなことにならなきゃ、本当にあなたの気持ちは分からないから、とにかくあなたのことをはっきり何でもしゃべってくれ」と言うのですが、いざというと、何が嫌になるとか、朝になるとフワッとしてきて出勤ができなくなってしまうとか、鬱病みたいな意識になってしまうとか、そういうようなことをいろいろ言って、この間もうちを辞めてしまいましたけれど、もったいないのです。
 「今、お前辞めたらどこも行く所ないぞ」と言うのですが、それを説得する力が私にないものですから私が悪いのですが、止めたくても止められないことがあり、私の力がないために悔しいことがあります。そういういろいろなことをこのセンターで教育されて、その子が働ける所へ派遣されるような形をしてと思います。そういう面に対して本当に身体、知的、精神と3つに分かれていますが、どうですか、失礼ですが、あなた方はどの方が一番扱い良いですか。嫌な問題かも分かりませんが。
○藤尾氏 いいえ。扱いの良い悪いではなくて、私はこの仕事を平成16年から始めていて、その前は10年くらい知的障害の方と働いていたのですが、あの当時は、逆に言うと、知的障害の方が働くということは今ほどメジャーではなかったのです。なぜメジャーではなかったのかというと、雇い入れる側のノウハウや送り出す側のノウハウがなく、そこを支えるところのノウハウもなかった時代でして、いろいろな失敗や体験をしました。
 今は皆さんそこの経験を十分に取れたので、知的障害の方が働くということがある意味当たり前みたいになっています。平成9年とか平成14年の間くらいが今の精神の方なのかと考えていて、正に今、過渡期で、多分受け入れられる方たちが慣れていない、送り出す側も適切な支援が何かということを、まだ模索している最中であるというところに加えて、もう1つ、ここに医療が入ってきて、特に御年輩のドクターなどは医療をどのように進めていくのがベストなのかということを、御理解いただいていない部分があるのです。ここがもっとかみ合ってくると、今、御懸念になられているような扱いやすいやすくないということは本当に個々なので、障害者というよりもAさん、Bさん、Cさんだと思いますので、障害による障壁は少し減っていくのかと感じています。
○加賀委員 この間、アメリカの方がお見えになり、アメリカの障害者の就職について、日本の障害者の就職とどのように違うのか話してくださいました。言葉で言うと、日本の就労支援と福祉支援はA型とB型があります。A型の場合は、ある程度、働けばお金がもらえて上へ伸びていく、B型の場合は、お金を払わなくても仕事をさせればいいのだというような極端なことで日本はやっているというのです。アメリカはB型をなくそう、とにかく働いたら働いただけ給料をあげようということをアメリカではやっているという話を聞きましたので、日本もそのようになるといいなと思ったことがあります。少し余分かも分かりませんが、そういう話がありました。ありがとうございました。
○阿部座長 その他いかがでしょうか。
○塩野委員 塩野です。論点について、地域の就労支援ネットワークは、様々な取り組みをされていますが、再整備も必要ではないかと思います。その際、公的機関の役割とは別に、民間企業から当該ネットワークのコーディネーター役を募ったり、あるいは障害者雇用の経験豊かな企業から経験の少ない企業へ、雇用管理ノウハウが提供されるように促していくことも必要だと思います。そのための新たな仕組みとして、企業の地域貢献の視点で、助成金の創設を検討してもいいのではないかと思います。以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。その他はいかがでしょうか。先ほども藤尾さんから、企業側が自立できていけば、我々の仕事は少なくなっていくと、トレードオフ関係はあるのだろうと思ったわけです。そうすると、地域の中でどういうネットワークを張っていくかというと、ナカポツセンターを中心におやりになっていますが、企業の中にどのように加えていくかということは、今、塩野委員がおっしゃったようなことも含めて考えていくということは、非常に大事なポイントではないかと思います。
 私が知らないだけかもしれないのですが、企業在籍型のジョブコーチはネットワークを持って活動しているのか。そういうものがあると、またいろいろな好事例が展開されるとか、いろいろなことができそうだという気がしたのです。例えば、地域ごとで、企業在籍型のジョブコーチがネットワークを作っているという事例はあるのでしょうか。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の田中です。企業在籍型のジョブコーチだけということではないのですが、まず、養成講座をやっている機構では、それぞれの都道府県の地域障害者職業センターで、年に何回かジョブコーチの方々をお呼びして会合を開いたりしています。
 今回、ジョブコーチ養成研修で新しい種類のものを作ったということもありますが、そちらも地域障害者職業センターそれぞれで実施するということで、それぞれ活躍しているジョブコーチが集まって、研修という形ですが、実際に自分が実施している事例を検討する場を設けることで、そういう所で、同じ県内で活躍していらっしゃるジョブコーチが知り合うことが可能になっているかと思います。
 そのほか、民間の養成団体の方々も任意の養成団体ということで活動しており、毎年集まって研修会を開いたりということで、私も参加させていただくことがあります。企業在籍型の方だけではないのですが、企業の方も含めて、大体、全国から300人くらい集まって研鑽を積んでいらっしゃるという場があります。
○阿部座長 ありがとうございました。例えば、そういうことについて、もう少し地域ごとに活発化していくということと、今、藤尾さんたちがやっていることとうまくネットワークを張っていくとか、やり方としてはいろいろあるかと、非常に参考になりました。
○藤尾氏 中小企業という枠ではなくなってしまうのですが、我々ナカポツセンターの連絡会は、千葉県の特例子会社連絡会と非常に密に連携を取っています。特例のスタッフ研修に、我々が協力したりという動きをしております。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條です。藤尾先生の11ページの連絡調整会議のお話は非常に先進的な取組でいいと思いますが、ただ、当事者性が欠けるのではないかと思っております。やはり、障害者の方、あるいは障害者でなくても労働者の方、そういうものも必要です。それから、雇用ですから、もう一方の当事者である企業の特例子会社は、比較的、親会社から支援を受けられて先駆的な取組をしているとしても、それだけ財源もあるわけですからやりやすいわけです。
 それから、A型についても訓練等給付が出てまいりますから、中小企業においては、自助努力によって雇用していかなければいけないわけです。そういう努力をして、こういう雇用をしているというほうが、雇用ゼロ企業の参考になるのではないかと思います。もちろん、成功事例を真似していく、倣っていくということも大事ですが、その成功を、どういう努力によってやっていったのかという、決してお金が豊富でなくてもできるのだということのほうが大事ではないかと思いました。
 もう1点です。最初は就労移行支援も入っていました。雇用を進めるという意味においては、A型もいいでしょうけれど、移行のほうがメンバーとしてはいいのではないかと思いました。
○藤尾氏 ありがとうございました。当事者の件はごもっともですので持ち帰ります。実は以前に何度か出ていました。どこかの当事者団体を入れるべきなのかどうかということはありました。あくまでも、機関間の連携の話が中心になってしまうのでどうかというところで、現時点では入っていません。それと、中小企業家同友会の千葉県の障害者問題委員会の委員長も考えたのですが、実はナカポツセンターが受諾している法人の理事長とイコールで、どのようにしようかと悩んだ経緯があります。
 就労移行支援事業所に関しては、まだ千葉県内に移行支援事業所のネットワークがないのです。A型はAネットチバという形で全Aの千葉県バージョンがあるので、千葉を呼べるのです。就労移行となると、組織されたものがないので、どこの移行を呼ぶというように、なかなかピンポイントには呼べないというところで、一番大きい所で言えば、多分、皆さんの頭に浮ぶ所を呼べばいいのかと思いますが、それでは、移行全体の話とは違ってきてしまうので、そういう意味で外しています。
 特例子会社に関しては、成功事例というよりも、むしろ、付き合いづらかったのです。月に1回はケース会議に来いとかいろいろ言われて、それを何とかしようという意見交換の場でもあり、結構、戦いながら、むしろ、いつも戦う相手になっているのではないかという印象を持っています。
○阿部座長 事務局から何か聞きたいことはありますか。いいですか。それでは、皆様から御意見がなければ、藤尾様からの御発表と資料1-1の前半の議論については、これで終わりにさせていただきたいと思います。改めまして、藤尾様、ありがとうございました。
○藤尾氏 どうもありがとうございました。
                                     (拍手)
○阿部座長 それでは、後半の議論に移ります。資料1-1の後半について、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局です。先ほどの資料1-1の後半部分、22ページから御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。22ページ、論点1-1と論点2ということで四角枠で囲んでいます。障害者の職業生活の自立の推進ということで、いわゆる質の向上の全般的な議論について、前回、以前において若干残されている議論に加えて、中小企業の支援ということでも、これは裏表という関係でもありますので、そういったところを含めて、御議論いただきたいと思います。
 23ページを御覧ください。質の向上に関係するようなところでは、おおむね中小企業に対する支援も含めて、23ページに掲げたようなものが、残された議論、主にある議論かと思っております。大きく3つに分類しております。
 1つ目が継続雇用・高年齢者の方の障害者の雇用ということです。例えば、障害者の方を雇用するに当たっての雇用管理体制の整備においては、いわゆる定着支援の後のその先ということで、退職までを視野に入れたアセスメントを行うべきではないか。高齢者の方を就労継続支援するために各種福祉サービスを利用できるようにするとか、あるいは、就労継続支援A型事業所や福祉就労と一般雇用の間の中間的な働き方などを模索することによって、希望や体力に応じて適正な働き方を選べるようにする必要があること。それから、加齢によって雇用継続のための支援が必要な場合に、できる仕事の提供に向けた事業主の配慮の在り方であるとか、あるいは支援者なども介在する形で移行支援を推進する必要があるのではないか。長く働き続けるためには本人の努力に加えて、継続的な就業環境の改善も求められることから、一定期間以上の勤続年数を超えた場合に雇用率上のメリットを与えるべきではないかというような御議論も、前々回までにおいて出されたところです。そういったところを含め、特に高年齢者の雇用継続について、1つ目の論点があるかと思っています。
 2つ目、在職者の訓練ということで、視覚障害の方などをはじめとして在職者訓練施設が少ないため必要なときに、必要なところで訓練を受けられるようにする必要があるのではないか。あるいは、職場内でのコミュニケーションやキャリアアップが、更に図られるような支援措置が必要ではないかという御議論もありました。
 3つ目、中小企業に対する支援と掲げておりますが、質の向上に関連するものとしては、例えば障害者雇用に係る中小企業の負担を軽減するために、各種助成金を中小企業にとって、より使いやすく分かりやすい制度にするとともに、長期継続雇用が可能となるように、助成期間を延長したり、長期継続雇用そのものに対する助成措置を設けることも検討すべきではないか。あるいは、中小企業の場合には就業を希望する障害者の方とのマッチングが困難なケースも見られるので、公共事業入札時の加点評価や税の減免等、企業の事業活動上のインセンティブ措置を拡充することで意欲を喚起することも考えられるのではないかということも、御意見としてありました。そうした取組を公的に評価することも取組として考えられるのではないかということが、御議論としていただいているところです。全般として、雇用の質の向上ということで御議論があるところです。
 24ページ、第8回において雇用の質の向上ということで、皆様に御議論いただいた際に、障害当事者側あるいは家族の会の皆様、委員の皆様から寄せられた御意見について簡単に整理したものです。それぞれ、もちろん質の向上ということで何を考えるかについては御意見は様々ですが、全ての委員の方から、いわゆる待遇や処遇、報酬といった処遇改善につながるような視点は、まず第一に出されたところです。そうしたものに加え、雇用継続やキャリア形成、あるいは社会参加、周囲の理解や利害というような、かなり広い視点についても言及があったということで、いわゆる処遇改善のみではなく、働き方あるいは雇用の質の向上という意味では、そうした幅広い視野も必要であろうかと思っております。
 関連して、25ページは、障害者職業総合センターにおいて、昨年実施していた研究の成果を簡単に整理したものです。こちらは、やはり同様に経営者の方や雇用管理担当者の方、障害者の方、一緒に働いている労働者の方、就労支援機関等と、幅広くいろいろな関係者の方に、障害者の雇用の質の向上あるいは質的改善とは何かということを、ヒアリングあるいは調査、加えて過去の文献等の整理を行う中で、どういうものが意識されているかについて整理したものです。図は複雑ですが、簡単に御説明しますと、障害者の方、いわゆる当事者の方に認識を限っても、やはり一番多く見られたのは、当然賃金あるいは経済的安定ということで、処遇・報酬の改善が相当多く見られたということです。それだけではなく、支援機関によるサポートや障害のある社員との関係、その他社会性の向上や企業利益への貢献など様々なものが見られたということが、こうした研究からも見えています。
 ここには書いておりませんが、他方で、この研究において示唆されているものとしては、そのほかの例えば、経営者の方や支援機関の方に、雇用の質的改善とは何かを問うと、そもそも全体の項目としてはある程度重複感はあるわけですが、実際には質の向上と言った場合に、第一に掲げるものが大分違っているということが、もう1つ視点としては掲げられている。そこは必ずしも処遇の改善ではなくて、別の論点を挙げる場合が多く見られたということも、この研究においては示唆されているものです。質的向上と言っても、お一人お一人によって違うことに加え、実際には立場によっても、受け止めが若干異なっていることが、これは一般の労働市場においてもあるかもしれませんが、言えることかと思っております。
 26ページです。26~30ページにおいては、前々回において雇用の質的向上の観点の中で、継続雇用について雇用率にカウントすることも御意見としてありましたので、一度それを踏まえて整理したものです。26ページは、それぞれの各年代ごとの手帳を所持している方ということで、生活のしづらさに関する調査から出しているものです。実際には制度が出来上がった年代とか、そういったものによっても取得者のブレがありますので、一概には申し上げられないところもありますが、全体としては、身体障害の方については50代、60代にかけての手帳の所持者が大幅に増加する傾向にあるということで、これは中途障害の方を含めて多く見られる傾向だと思います。知的障害の方については、やはり近年、手帳を取得する方が増加傾向にあること、あるいはその制度自体が出来上がったのが1970年代という事情もありますので、比較的若い世代を中心に所持している方が多いのだと思います。精神障害の方についても、中高年齢層以上の方については若干少ない傾向がありますが、知的障害などに比べますと、比較的40代以降の方が多いとなっていると思われます。そうした中で、それぞれの継続割合について見ていきます。
 まず27ページです。身体障害の方について、どういった形で雇用継続が見られるかについてですが、先に右側を御覧いただくと、各年代を100%とした場合に、50代については約3分の1、34%の方が勤続年数が20年以上で、残り17.8%が11~20年未満、約半分が10年未満になっているということです。40代あるいは60代以上ということで、それぞれ短くなるわけですが、大体50代においてはこうした割合ということで、3分の1が20年以上働いているということです。結果として、身体障害の方については、50代の方で手帳を取得されて現に働いている方が相当数いらっしゃるということで、全体のボリュームとしても、勤続年数が20年以上の方が、全体の雇用者数に対して多く出てくると思っております。他方で、60歳以上については、手帳所持者自体は大幅に増加することからしますと、就業者の割合については急速に低下していることが言えるかと思っており、全体としては、手帳所持者が50代で働いている方が非常に多いのに対して、60代については急激に下がる傾向が見られるということです。
 28ページですが、知的障害の方について、同様に年代別に調べたものです。60代以降については、もともと働いている方がかなり少ないということで、データとしては若干そこは差し引く必要があるかもしれません。例えば、50代で働いている方のうちの勤続年数については、身体障害のケースよりもむしろ若干長く出るということで、データとしては約4割の方が20年以上勤続年数になっている。加えて、10~20年の方が23%ということで、半分以上が10年以上の継続年数となっています。身体障害の方と同様に、60代以降あるいは40代以前においては、若干それぞれが短くなる傾向があるということです。他方で、全世代を合計、100%とした場合に、左側のグラフでは、50代以降について就業者数が大幅に減少するので、勤続年数が延びていく50代以降において、全体の就業者数がそもそも少ないことがあるので、全体としては、勤続年数が短い方が多くなる傾向があるということで、50代以降について急激に働く方が減るということと思っております。
 29ページです。精神障害の方について、同様に雇用継続割合を見ると、こちらも60代以降については働いている方自体が相当少ないということで、そこは差し引く必要があるかと思います。50代において20年以上働いている方が12%ということで、身体障害あるいは知的障害の方に比べると、やはり非常に勤続年数が短くなる傾向が出ていると思います。また、そうした傾向を踏まえて、世代全体として見ても、やはり勤続年数が短い方が多いことが、傾向として言えると思っております。
 30ページは、賃金構造基本統計調査で一般労働者について勤続年数を調べたものです。調べ方は若干異なっておりますので、データとして比較できるものかどうかは差し引く必要はあるかと思いますが、50代については約半分、49.5%の方が勤続年数20年以上になっており、その60代以降あるいは40代以前については、同様にそれぞれ勤続年数が長い方が短くなる傾向があると思います。参考までにお示ししたものです。
 31ページ以降は助成金制度についてです。31ページは以前御説明しましたので、32ページに沿って御説明申し上げます。障害者雇用に関する現行の助成措置について、それぞれの段階ごとにどういった助成措置を講じているかを簡単に整理したものです。失業段階あるいは離職されている段階において能力開発するものとしては、人材開発支援助成金の中の障害者職業能力開発コースということで、失業中あるいは離職中の障害者の方の能力開発を行っている事業所に対する支援が用意されています。他方で、雇入れ段階においては環境整備、施設整備ということで、ここに掲げている助成金に加え、雇入れそのものに対する助成金としても、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金、障害者雇用安定助成金ということで用意されています。加えて、職場適用段階においても、昨年から設置している障害者雇用安定助成金ということで、障害者の方の処遇改善する場合や通院休暇制度などを設ける場合など、様々な形で職場定着につながる取組に対する支援を設けています。また、障害者介助等助成金においても、事業主のほうで合理的配慮の窓口を新たに設置するような場合に対する助成措置を、こちらは今年度から行っているものですが、職場適応段階における環境整備、施設整備についても、近年徐々に整備しているものです。一方で、能力開発については、障害者の方独自の取組という意味では、雇入れ段階においては現状は用意はないということです。
 33ページについては、これまで前回以前の議論も踏まえて整理した論点です。障害者の方の働き方の質の向上といった場合に、研究成果などにおいても、障害者御本人の視点としては雇用形態や賃金といった処遇全般の視点を挙げる声は多いものの、一方で障害種別や一人一人の希望や特性、置かれた環境などによって、キャリア形成や社会参加、支援機関を含む周囲の理解、仕事のやりがい、企業の利益への貢献など様々な視点があることから、こうした個々の視点に目を向けることが求められているのではないかということが、1つ目の論点です。
 そうした中で、例えば現行の雇用率制度においては、恐らく就労困難性ということで、重度、非重度の分類、もう1つは職業生活の自立につながる働き方かどうかということから常用労働か否か、あるいは就業時間がどの程度かということで、就労困難性と職業生活の自立につながるかという、雇用率制度においては、大きく2つの分類を行っている構成です。障害者の方の働き方の質の向上につながる取組を、雇用率においても評価することが望ましいという様々な意見が出ている中で、こういったものを制度の中においてどう考えるのが望ましいかということを、2つ目の論点として掲げております。なお、指標としては過去の議論においても、正社員かどうかといった雇用形態、雇用継続期間、年齢区分などの様々な視点が見られましたが、どのように考えられるかを論点として掲げております。
 3つ目の論点、障害者の方の雇用の助成措置について、障害者の働き方の質を向上させていく観点から、更に求められているものとしては、どのようなものがあるかを掲げています。あとは最初の論点でお示ししているとおり、高齢者の雇用継続あるいは定年退職までのキャリアステップということでどういったものが考えられるかも、事前に各委員の皆様から御意見として出ているということで、こうしたところも御議論いただければと思います。事務局からは以上です。
○阿部座長 それでは意見交換に移りたいと思います。御意見がございましたら挙手を頂き、お名前を名乗ってから御発言をお願いいたします。
○伊藤氏 日盲連の伊藤です。よろしくお願いします。継続雇用のことを考えていったときに、最近日盲連の、我々の団体の会員などで見られることと、ちょっと問題意識を共有させていただければと思っています。普通の会社であるとか公務員で、視覚障害、特に全盲の人が就労する場合には、ずっとイヤホンを付けて、パソコンのディスプレーを音で聞きながら働くわけです。そういう労働形態になってから、恐らく20年ぐらいが経過しようとしているわけですが、だんだんだんだん毎日朝から晩までイヤホンを聞いていると、目が悪いだけでなくて、聴覚にも障害を及ぼしてくるということが、これは因果関係が分かっていないし、ちゃんとしたエビデンスに基づいて、こういう就労をしたから耳が悪くなってきたということは言えてはいないのですが、そういう会員が増えてきている。また、視覚障害をもって、特例子会社でも企業そのものでも、就労して、そういう環境の中にいる方の中で、精神のほうの障害も診断されるということがあったりします。そもそも中途視覚障害とか中途失明ということを考えたときには、糖尿病発症に伴う視力の低下であるということが見られますので、我々の意識としては、もちろん視覚障害だからとか、精神障害だからとか、知的障害だからという、単一の問題としての継続就労の問題というのは捉えているわけですが、だんだん認識としては、どうも視覚障害周りを見渡してみると、長期就労が難しくなっている背景の中に、重複障害であるか、複合的な障害につながってしまっている部分があるのではないかということを考えていたり、問題意識を持ったりしています。よろしくお願いします。
○阿部座長 その他いかがでしょうか。
○漆原委員 連合の漆原でございます。今回お示しいただいています27ページからの継続雇用の資料ですが、平成25年の障害者雇用実態調査の結果から見ますと、いずれの障害種別においても、非正規の割合が、一般労働者に比べてかなり高くなっていたと記憶をしています。確か、知的障害の場合で8割程度であったかと記憶しております。そうしたことが、継続の雇用に対してもいろいろな影響を及ぼしているのではないかと思われる一方で、障害者の自立や、賃金の面を考えると、一般論ではありますが、やはり正規雇用のほうが賃金は高いのではないかと考えております。単に障害者が雇用されるということだけではなくて、継続雇用という意味でも、安定して働くということであれば、様々なライフステージに応じて、しかるべき給与が与えられて自立していく事が可能であるということが、やはり重要だと思います。そうした体制をどう構築していくかというところについて、先ほどもありましたが、本人の能力開発といったキャリア形成も含めて、賃金やディーセントワークという面からも考えていく必要が、多分あるのだなというふうに思います。
 では、そのために今後何が必要かと言えば、高齢になったときのための合理的配慮も含めた環境整備ですとか、施設整備に対する助成金の更なる充実をしていくことが必要だと思っております。論点のところでは、33ページに雇用率制度の話が記載してありますが、就労困難性や、働きづらさを改善するためには、雇用率制度の見直しも必要なのかもしれませんが、合理的配慮ですとか、いかに障害の種別にかかわりなく、働きやすい環境を提供できるかということが重要だと思いますので、環境整備に対する助成金の一層の充実をお願いできればと思っています。よろしくお願いします。
○阿部座長 ありがとうございます。その他、御意見ございますか。
○塩野委員 塩野です。雇用率制度について何点か発言をさせていただきます。採用難や早期離職、高齢化対応など、障害者雇用をめぐる様々な課題が山積している中で、障害のある方が安定的に働き続けるための環境整備が求められています。繰り返しの発言になりますが、雇用率のカウントの見直しについて、3点具体的な提案をさせていただきます。
 1点目は、週所定30時間以上で、かつ、一定期間の勤続年数を超えて働く場合、雇用率上のインセンティブを付与して、1.0ではなく1.5カウントとするということ。
 2点目は、身体、知的障害者について、高齢期又は障害の状態変化を理由に、ご本人の了解の下、短時間労働に変更して働いていただく場合には、従前の働き方による雇用率のカウントを維持するということ。
 3点目は、精神障害者については、週20時間以上の短時間で働く場合であっても、いつでも1.0カウントとするということです。併せて加齢や状態変化等に伴って働き方を見直す必要があり、ご本人の同意を前提に、就労継続支援事業のA型やB型事業所への円滑な移行を可能とする仕組みを構築していくことも必要だと考えます。
 また、指標についてですが、今後労働市場に参入する障害者の方の増大が見込まれており、本人の希望や障害特性などを踏まえて、これまで以上に多様で柔軟な働き方の実現が求められています。正社員として働く方だけではなく、有期雇用や短時間雇用で働く方も増えていくのではないかと思います。加えて、長期雇用を想定すれば、働き方の選択肢は拡大していかなければならないと考えます。雇用率制度の枠組の中で、例えば正社員での雇用、あるいは週40時間労働での雇用に対して追加的なポイントを付与するならば、正社員以外や週40時間労働以外で働くことについて、企業現場でマイナスの評価と受け止められるのではないかと危惧しています。以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○本條委員 意見ではないのですけど、29ページ、この表を見ますと、いかにも精神障害者が定着してないというように見られます。事実、その傾向は強いわけでありますけれども、例えば10代は100%になっておりますが、これは精神に限らず、10代で10年以上働いているということはあり得ないわけです。20代においても、比較的10年以上というのは少ないと思います。それともう1つは、精神障害者のカウントができるようになったのが平成18年でございますから、そのときは僅か2,000人だったわけです。それが10年余り、平成29年度には約5万人、25倍になっているわけです。ということは、半数以上は数年で雇われておるわけですから、そういうことから見ると、当然非常に少ないということになるということが、1点であります。そういうとこをちょっと言っておきたいと思います。
 それから、もちろん何度もここで意見を申し上げているところでありますが、本人を支援して訓練をして能力を上げていくということも大事でありますが、かえってその訓練がストレスになって、能力が発揮できない場合もあるわけですから、やはりマッチングということが大事になってくるのではないかと思うのです。IPSモデルというのは、就労スペシャリストという人の役割が企業開拓、これが絶対的な義務と課せられております。1週間に5社以上は訪問をしないといけないというようになっておりますから、その就労スペシャリストにはたくさんの情報が入っているわけです。ですから、障害当事者で働きたいという人がいれば、あの会社であれば働ける可能性があるんじゃないかというところがありますから、就職率もいいし、定着率もいいわけです。こういう視点も是非取り入れていただきたいと思っております。
○阿部座長 ありがとうございました。
○本條委員 それと、先ほどスーパーバイザーと言いましたけども、IPSモデルも、スーパービジョンの役割が非常に重視しております。
○阿部座長 ありがとうございます。今、本條委員から御指摘ありました29ページですけれど、多分、本條委員が解説された可能性が高いのかなと、私も思っております。その前のページの知的障害者あるいは身体障害者の場合は、比較的長い経験があって、このようになっているのだろうと思いますので、将来的には、精神障害者の方々の、この勤続年数の分布も変わっていく可能性はあるかなと思います。
 私は、それよりも興味を持ちましたのは、30ページの一般労働者との比較でございます。事務局から、この30ページは資料が違うということで、見方を少し注意しなければいけないというような御発言もありましたが、それを差し引いたとしても、精神障害者以外の方々の勤続年数の分布と、一般労働者の方々の勤続年数の分布は、大きくは変わってないのかなというふうな感想を持った次第であります。こうなってきますと、会社に入社した後、入職した後、どれくらいまでいくと安定的な雇用になっていくのかというのが、何かメカニズムとしてあるのかなと。そこまで、例えば助成、補助をしていく。その先は安定的な雇用につながっていくということであれば、政策的には質の高い雇用を求める閾値みたいなところまでを、政策として引っ張っていくというのはあり得るかなと。そこから助走して、その後のところは安定的な雇用なので、どこまで政策対応するかというのは、その後また考える必要があるかもしれませんが、現段階では、安定的雇用に向けての閾値の辺りまでを目標にして政策展開を図っていくというのも1つかなというふうに思います。
 そういう意味で、先ほど塩野委員から御発言があった年齢別ですとか、勤続年数ベースに障害者雇用率をというお話ですが、確かに事務局で書いてある33ページも、そのように雇用形態や雇用継続期間、年齢区分と様々な視点で評価するということもあり得るとは思うのですが、そこをどこまでやっていくか。あるいは、そこから先は政策的に必要ないということもあり得るということも少し念頭に入れて、今後議論していく必要があるかなと思います。
 もう1つ、余りに細かくやっていくと、事務的に対応可能なのかという懸念も少しあります。例えば、雇用形態別、雇用継続期間別、年齢別にそれぞれカウントをしていって、しかも、多分一人一人ということになると、この作業をどうやってうまく運用するのかとか、そういった方向も考えないと、望ましい制度に果たしてなるのだろうかというようなことも、ちょっと御発言をお聞きしながら、感想として思った次第であります。いずれにしても、この点は少し慎重に、今後も議論していく必要があるのではないかと思った次第であります。これに関連してほかに御発言、あるいはその他でも結構ですけども、御意見や御質問等あれば御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。あるいは前半部分についても、藤尾さんいらっしゃらないですけれども、何かあれば。今日全体を通して、特にございませんか。よろしいですか。
 私からもう1つ、32ページで、能力開発は失業・離職段階の所しかなくて、雇入れ段階と職場適応段階の所は空欄になっているのですが、本條委員からは、むしろ能力開発はストレスになるのではないかというような御発言がございましたけれども。
○本條委員 そうではなくて、そういう場合もあるということで。
○阿部座長 あるということ。
○本條委員 精神障害の場合でも、やはり訓練というか、それによって長時間働けるようになる方もいらっしゃいますけれども、いくら支援してもかえってそれがストレスになってというような方も。それだったら、やはり短時間であっても働いていただくほうがいいと。
○阿部座長 それは、ケースバイケースで考えていくべきだということですね。
○本條委員 ええ、そういうこと。やはり個別支援ですから。
○阿部座長 分かりました。失礼しました。そうすると、この空欄を埋めていくこと自体は問題はないわけですよね。はい、ありがとうございます。私も、この空欄になっている所は、質を高めるという観点からすると、むしろ空欄を埋めていったほうが望ましいのかなというふうには思うのです。また、これに関連して何か御意見があれば。
○眞保委員 法政大学の眞保です。JEEDの調査などでも、障害のある方は一般の労働者に比べまして、特にoff-JTの参加の割合、あるいはoff-JTを実際受けているという割合が低いというデータもありますし、OJTは比較的されているのかなと思うのですけれども。ですので、そうした能力開発に何か、能力開発を事業主が行った場合に、何か助成金を付けるですとか、そうしたことはあり得るのかなというふうに思っております。
○阿部座長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、特段ございませんでしたら、本日はこの辺りで終了させていただきたいと思います。本日の御意見につきましては、事務局で適宜取りまとめていただきまして、今後の議論に反映していきたいと思いますので、よろしくお願いします。また、本日の議論につきまして、事後的に生じた質問等がございましたら、事務局のほうまで御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは、次回の日定について事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐 事務局でございます。次回、第12回につきましては1週間後の6月22日、金曜日、こちらは13時からということで予定しております。9階の省議室を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○阿部座長 それでは、これをもちまして本日の研究会は終了いたします。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。