2018年10月18日 平成30年度第7回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

○日時 平成30年10月18日(木)10:00~12:00
○場所 厚生労働省専用22会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○議題
1.迅速なアクセス・安全対策の充実等
2.薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方
3.その他

議事

○鳥井総務課長 定刻より少し早いですけれども、皆様おそろいですので、ただいまから平成30年度第7回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。
 まず、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に御案内しております注意事項をお守りくださるよう、お願いいたします。
 委員の皆様、御多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。
 本日は、21名中18名の御出席をいただいております。平井委員、本田委員、山本委員から御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、本日の配付資料の確認をいたします。
 資料につきましては、ペーパーレス化を実施しております。タブレット端末の使用方法につきましては、お手元のペーパーレス審議会タブレット操作説明書の1枚紙をごらんいただき、御不明な点等がございましたら、後ろに待機しております職員に随時お声がけをお願いいたします。
 タブレットには、今年度実施いたしました制度部会資料もあわせて確認をしておりますので、必要に応じまして御参照いただければと思います。
 本日の資料でございますが、資料1、2、参考資料1、2の4種類を配付しております。
 資料の不足等がございましたら、お申しつけください。
 なお、本日の資料につきましては、委員の皆様方には紙資料も机上配付しておりますので、お好きなほうをごらんいただければと思います。
 間もなく議事に入りますので、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○鳥井総務課長 それでは、部会長、お願いいたします。
○森田部会長 皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 なお、本日は少し早目に退席される方もいらっしゃるということですし、私自身12時過ぎには出なければなりませんので、なるべく迅速な審議に御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議題1に入りたいと思います。
 事務局から、資料1について御説明をお願いいたします。
○山本医薬品審査管理課長 それでは、資料1から御説明させていただきたいと思います。
 資料1で、これまでの御議論を踏まえまして、特に必要な医薬品医療機器等の承認制度とかの方向性についての案をお示しさせていただいております。
 2ページ、これまでの御議論を踏まえまして、特に必要な医薬品医療機器等の承認制度につきましては、「条件付き早期承認制度」や「先駆け審査指定制度」の手続等を明確化し透明性を図る観点から、法令的に制度化をすべきではないか。また、その一方で、しっかりと市販後調査を含めた安全対策をどのように充実させていくかといった論点をいただいております。
3ページ、現在、希少疾病用医薬品等につきましては、それぞれ法律の14条あるいは23条の2の5等で、特に医療上必要性が高い医薬品又は医療機器ということで、優先審査の対象であるといった規定が設けられております。また、希少疾病用医薬品等につきましては、さらに助成金交付といった規定も法令上に規定されております。一方で、条件付き早期承認制度ないしは先駆け審査指定制度につきましては、現時点は通知で試行的に制度を運用しているところでございます。このような現状の制度について、これまでの本部会でさまざまな御議論や御意見をいただいております。例えば、こういった既にある制度で対象となっているものはさておき、妊婦の安全性や小児等への医薬品の用量設定など、医療上まだ充足されていないニーズの分野があるのではないか。あるいは、条件付き早期承認制度ないしは先駆け審査指定制度について、この機会に法令上位置づけることがいいのではないか。あるいは、安全対策についてしっかり対策をとっていくべきではないかといった、各点について、御意見をいただいております。
 4ページ、私どもの審査の課題といたしましては、ドラッグラグ、デバイスラグと言われた時点から、現在、審査ラグあるいは申請までの開発ラグといったものをお示ししておりますが、この10年で審査ラグにつきましては欧米と差のない状況が実現できておりますが、開発ラグすなわち日本に申請される時点を比較いたしますと、なお差がまだあるということで、ここについてできるだけ短くしていく、特に革新的な新薬あるいは医療上必要とされるものについて、短くしていくことが一つの課題と考えております。それを実現することで、日本の患者さんに革新的なあるいは医療上必要なものが速やかに提供されることを構築していく必要があると考えております。
 5ページ、そういった課題につきましてどうやって検討を進めていくかということでございますが、医療上特に必要な医薬品・医療機器等の承認制度につきましては、ここにお示ししているような問題意識のもと、検討の方向性として、例えば、革新的なものや小児用の用法用量といった、まだ医療上充足されていない医薬品等について、この機会に法的な位置づけを設けまして、適切なインセンティブを設定してはどうかと考えております。また、条件付き早期承認制度についても、法令上明確化にするとともに、安全対策につきまして、これまでの新薬の承認に加えまして、再審査を待たずにタイムリーに市販後に有効性・安全性を確認する仕組みを法令上に規定してはどうかと考えております。
 6ページ、具体的な考え方ですが、医療上特に必要な医薬品あるいは医療機器につきましては、現在も法令に規定されております。その様子は下に示しております図の左側にございます。医療上特に必要な医薬品ということで、オーファンその他医療上特に必要なものと法律上規定しておりますが、例えば、その点について改正を行い、14条7項などに、オーファンと並びまして、革新的な医薬品といったもの、小児用法用量など、医療上未充足の分野に対応する医薬品等について、特に必要な医薬品ないしは医療機器といったものとして、法令上、明確に規定してはどうかと考えております。これにあわせまして、薬あるいは機器の特性に応じて、さまざまなインセンティブを設定していってはどうかと考えております。
 7ページ、現行、優先審査が設けられておりまして、その中にオーファンが規定されていることは御説明させていただきましたが、さらにそこに革新的医薬品・医療機器といったもの、それから未充足を満たす医薬品・医療機器といったものを規定したいと考えております。革新的医薬品といいますのは、今までにない画期性・革新性があることと、もう一つ、世界に先駆けて日本において実用化を図っているといったものが要件として考えられます。未充足につきましては、革新性とか画期性はない場合もあるかと思いますが、例えば、むしろ小児について用法用量をしっかりと見定める、ないしは、これまでにある抗生物質ではあるけれどもAMR対策としての用法を検討・開発しているといったものがこれに該当するのではないかと考えております。こういったものはそれぞれ要件が排他的になるものではないと考えておりまして、右側の集合図のように、それぞれの要件に該当すれば、これら2つ3つが重複して該当する品目もあり得ると考えております。
 8ページ、この中で条件付き早期承認制度につきまして、ここに考え方をお示ししております。条件付き早期承認制度につきましては、そのコンセプトといいますか、目的とするところが、通常、お薬でいけば、探索的臨床試験の後、検証的臨床試験を行った上で承認申請をしていただくといった開発ないしは審査のスタイルがございますが、例えば、患者数が少ないなどの理由で検証的臨床試験の実施が困難ないしはやった場合には非常に時間がかかるといったものにつきまして、承認前の申請データとしては、探索的臨床試験をもって申請していただき、それを承認する。ただし、その前提としましては、安全性・有効性について、市販後に手厚く情報を収集して再確認していくといった承認条件とともに、承認直後には、限られた医療機関あるいは患者といった必要な要件を設定した上で、慎重に使っていくことを制度全体としてパッケージで考えて現在通知で試行しております。法令的にこの条件付き早期承認の考え方を規定した上で、さらにこの申請時にデータが限られているものについて、市販後に有効性・安全性を再確認していくということを確実にするために、通常、新薬でいけば再審査というプロセスまで6~8年ないしは10年もうけられているわけですが、その再審査のタイミングまで待たずに、適切な時期に中間的に安全性・有効性などについて集まった情報を評価していく仕組みも、法令上に明記してはどうかと考えております。また、当然、あわせて、承認時点での必要な安全対策を集まったデータを踏まえてとっていくことも込めての仕組みづくりを考えたいと思っております。
○中井医療機器審査管理課長 9ページ、医療機器に対する必要な制度についてです。まず、一番上のほう、医療機器の特性でございますけれども、多種多様、絶えず改良改善、市販後に変更を繰り返すとか、手技者の影響が大きいといった特徴がございます。
現状と課題でございます。1つ目の○で、領域ごとに順次拡大されて承認されている医療機器、外科的侵襲を目的とし手技や領域を限らない医療機器があること、2つ目の○で、継続的な改善改良の対応としては、一部変更承認、軽微変更といった対応をしていることを、前回までのこの部会においてスライドでお示しさせていただきました。また、AIのように承認後に性能がどんどん向上し続けるプログラムは現在開発されているということでございます。
主な意見としましては、真ん中のほうにございますけれども、医療機器について、持っている領域の特性や機能に基づいた分類による承認等、医療機器の特徴に合わせた規制をぜひ検討していただきたいという御意見をいただいてございます。
検討の方向性でございますけれども、1つ目の○、施設や術者等を限定することと市販後安全対策の充実強化により、対象臓器や部位以外にも応用が可能と思われる焼灼、照射等の機能を持つ機器の他臓器や部位への迅速な適用を追加といったこと。2つ目の○といたしまして、承認後もすぐに改善・改良が見込まれている医療機器について、改善・改良計画を審査の過程で確認し、その範囲の中で迅速な承認事項の一部変更を認めることによって、改善・改良を可能とする承認審査。3つ目の○でございますけれども、市販後に恒常的な性能が変化する医療機器について、医療機器の改善・改良プロセスを評価することにより、市販後の性能変化にあわせて柔軟に承認内容を変更可能とするといった方策について検討してどうかということで、検討の方向性を示させていただいてございます。
○関野医薬安全対策課長 項目名といたしましては、2つ目の医薬品・医療機器のトレーサビリティの向上という点につきまして、私から10~12ページの3枚を使いまして説明させていただきます。
 10ページ、前回のこの部会での資料に盛り込まれている内容でございまして、さらに検討が必要な事項で2つ書いてございます。1つ目は、バーコードの表示に関しまして、患者の安全確保という観点から義務化を含めて進めるべきではないかという点。2つ目に関しましては、一方で、運用面その他につきまして、トレーサビリティ向上のためには課題があるので、それらを検討する必要があるのではないか。そういう示し方でございます。
 11ページ、こちらには、この点につきましての現状と課題、これまでにいただきました主な御意見について示したものでございます。まず、現状と課題のところに2つほど書いてございますけれども、バーコードの表示に関しましては、2行目のところにもありますが、使用記録の作成あるいは保存が可能になるということで、医薬品・医療機器その他に関しまして、市販後の安全対策上の活用につながっていくものだという整理の仕方でございます。一方で、2つ目のところでございますが、現状に関しましては、行政指導に基づく形でございますけれども、かなりバーコード表示が普及してきているところでございますけれども、一方で、法制上の手当てがなされていないので、まだ完全ではないことが現状でございます。これまでいただきました意見に関しましては、1つ目は流通面の点での重要性、2つ目の○に関しましてはコストは多少かかるとしても義務化として患者の安全確保につながるという観点で進めていくべきという御意見、一方で、個人情報についての配慮、4つ目にございますが、医療機器は多様性があるのでその点をきちんときめ細かくやるべきではないかということ。一方で、さまざまな医療機関等におけます負担等があるということで、十分な準備期間を設けるべきといった御意見もいただいているところでございます。
 12ページ、検討の方向性と留意事項について示してございます。まず、検討の方向性といたしまして、1つ目に書いてございますとおり、医薬品、医療機器、再生医療等製品に関しまして、直接の容器・被包、あるいは小売用の包装という単位、これは、現状、通知、行政指導で求めている部分でございますが、それらに関しまして法制上規定してはどうかということ。2つ目にございますとおり、義務化に当たっては、その後、バーコード表示をした後の課題といたしまして、製品情報のデータベースの登録とか、あるいはバーコードを利用するためのシステム、リーダーとか、このあたりについての実装も当然必要になってまいりますので、これらを推進していくという点でございます。中ほどの絵には幾つか利活用が想定されるものを示してございますので、ごらんいただければと思います。これらを進めるに当たっての留意事項を一番下に書いてございますが、スムーズな導入のためには十分な経過措置が必要であること、2つ目にありますが、さまざまなきめ細かいケースがいろいろございますので、そういった点につきましての配慮、個別テーマに関しましてきめ細かく考えていくといったことが必要と考えています。3つ目にございますが、国内の商習慣とか、あるいは海外との整合性、このあたりも今後重要になってまいりますので、このあたりについても留意が必要という形でまとめさせていただいております。
 私からは、以上でございます。
○吉屋企画官 次は、トレーサビリティに関連しまして、卸の規制について議論させていただきたいと思います。
 15ページ、今回、実態調査ということで、卸連とジェネ販協会に御協力いただきましてアンケート調査をしましたので、その結果を踏まえながら後ほど検討の方向性を御説明したいと思います。まず、皆さんに品質の管理の観点からどのような業務のリスクが高いですかということで、上位のところから並べさせていただきました。上のほうから、保管業務、返品の関係とか書いてある。青いグラフで描いてあるものは物に直接かかわる部分だと思っていますけれども、赤いグラフで描いたものは、物というよりは相手先の信頼性の確認などになりまして、どちらかというとホワイトカラー的な業務リスクでして、業務フローを全部管理するということだと思いますので、物の管理とともに業務フロー全体を管理しなければいけないということが、この中では見えてくるように感じています。
 16ページ、こちらは管理薬剤師が不在時にどうされているかという点についてです。左側の図は、不在時の連絡体制は、直接電話することもあれば、代理者のことがやっていることもありますと書いてありますし、右側は、薬事監視のときに誰が対応するかということだとすると、これもまた本社の方が対応したり、その場にいる方が対応したり、かなりばらばらになっているものですから、不在時が問題ということよりは、不在時にどのようにしっかり対応ができるかということをもうちょっと明確にしなければいけないのではないかということをこのアンケートで感じさせていただきました。
 17ページ、飛ばさせていただきます。
 18ページ、これは仕入れ元、販売先との関係をアンケートで聞かせていただきました。一番左側の図は、製販から直接購入しているまたは製販から購入するに当たって製販と卸の間に2つ以上の卸が入っている率がどれぐらいありますかということなのですけれども、青いところで「存在しない」が80%、要するに、80%の方は直接製販から買っていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、20%の方はそうではない取引を持っていらっしゃるということなので、製販との間に2つぐらいの卸が入っている実態がこれで見えてきたと感じています。真ん中のグラフは、また薬局や診療所などの関係で、その間に自分の卸の間に2つぐらい卸が入ってから届いていますか、そういう取引がありますかということを聞くと、「存在しない」というのは35%、65%の方は、少ないながらもそういう取引があるとおっしゃっておられるので、これは薬機法上問題とは考えておりませんが、製販から薬局に届くまでに幾つかの卸を通ることを前提に、ここの中での品質管理をどう担保するのかということが一つ大きな課題かなと感じております。
 19ページ、返品やトレーサビリティという観点なのですけれども、一番左側は、開封済みであるにもかかわらず、未開封であるかのように明らかに偽装された返品を受けた経験がありますかという質問ですが、卸の70%がこういう経験を受けておられるということで、こういうものを流さないようにいかに卸が頑張っておられるかということが非常によくわかるポイントだと思っております。それに関連するところもあるかと思いますが、先ほどのトレーサビリティとの関係で右側の棒グラフを見ていただくと、どれだけシステムで在庫管理をしていますかということなのですけれども、卸の中であればほぼ100%、どこから仕入れて、今、どこにあって、どこに出したかということをシステムでちゃんと管理をされていますということなのですけれども、そのシステムが仕入れ元とつながっていますかということからすると、75%、ほぼ4分の3が仕入れ元、製販との関係だと、在庫がなくなっているかどうかが把握されて、自動的にオーダリングされるというシステムがつながっている。販売先との関係で言うと、これが42%に下がりまして、販売先との関係であるとなかなかシステムは簡単にはつながらないということだと思いますので、ここの部分が、本当に卸の責任とか、薬局の責任とか、そういうことではなくて、この部分全体をどう管理するかということは、先ほどのトレーサビリティの関係で非常に大きな課題だろうと考えております。
 20ページ、最後、検討の方向性ですけれども、まず、マル1なのですけれども、先ほど申し上げた物以外のことも含めて、皆さん、リスクの管理をしておられていることが明らかになっていますので、ここの部分を、医薬品営業所管理者、管理薬剤師の仕事として明記してはどうかというところが一つのポイントです。2つ目は、今のような物の管理ではないところも含めた業務全体のフローを管理するのだとすると、そういう業務ができるような時間、勤務時間とか、そういう権限をしっかり付与してもらわないと、しっかりしたことができないのではないかというところと、先ほど申し上げた、代理または不在時なのですけれども、必ずしも営業所にいることを求めることよりは、いないときも含めて業務がしっかり回るという体制をしっかり整えることを求めてはどうかというところが2番目のポイントです。3番目につきましては、これは時間をかけてもうちょっと勉強しなければいけないと思っていますけれども、先ほどの返品の問題とか、システムの問題とか、また、直接薬局ではなくて卸に卸していらっしゃることがあるとか、そういう実情を踏まえた上で、流通全体で品質の管理をすることに関しては、卸だけではない責任も恐らくあるのだろうと思いますので、そこは全体の形でどう議論するかということをもうちょっと整理させていただきたいと思っております。
 以上、私から卸の観点の御説明をさせていただきました。ありがとうございました。
○森田部会長 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明につきまして、資料1についてこれから御議論いただきたいと思います。順番に従いまして、まず、特に必要な医薬品・医療機器等と承認制度につきまして御議論いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。御意見、御質問があれば御発言をお願いしたいと思います。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 既に5ページや7ページに懸念として書かれていることにかかわりますけれども、優先審査のうち一部を条件付き早期承認にするということで、この基準、特に7ページでいいますと、ベン図の部分の未充足ニーズ医薬品等と革新的医薬品等の中で、一部が条件付き早期承認制度にかかわるということで、この審査の客観性が担保されないと、なかなか際限なく広がる可能性があるのではということは指摘されているとおりですので、ここの基準を明確にしていただく。特にこういった新しく書き込む法的法律に関しては、法律での書きぶりとそれを引き受ける形での省令と通知のセットが非常に大事だと思っておりまして、そこのそごがないように、つまり、新しく書き込むのであれば、そこに取りこぼしがないように省令なり通知なりを充足していくことが大切かと思いまして、特に8ページ目に示されていますような中間的評価で、適切な時期にということがありましたけれども、これもできれば客観的にわかりやすい時期を明記していただくなりして、新しい制度であることに対する一つの担保を明確にする。いつ審査するか、評価するかわからないというものではなくて、きちんと客観的に示していただくことが大事かと思いました。
 以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 これにつきましては、事務局で回答をお願いいたします。
 どうぞ。
○山本医薬品審査管理課長 2つ御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 省令の基準、要件などにつきましては、御指摘のとおり、法律に書き込んだ上での下位法令できちんと規定するという構図を想定しておりますので、そこはしっかりと、紛れない、取りこぼしのないといった観点から検討したいと思います。
 また、2つ目の中間的評価につきましては、余り曖昧にならないように、ある程度規定したほうがいいのではないかということで、ここにつきましても検討したいと思っておりますが、もともとここの製販後の時期といいますのは、副作用報告を挙げてくるという以外に、さまざまな定期報告が既存の仕組みでございます。そういったものと重ね合わせるないしは整理しながら、かつ、薬の特性によっても、どんな市販後の情報を集めるか、有効性・安全性についてどのぐらいの情報を集めて評価すべきかというのは、薬によっても違ってくるとは考えております。そういったものも含めて、ただし、全体的に不一致というか、趣旨が実現されていないということにならないように工夫をしたいと考えております。
○森田部会長 伊藤委員、よろしいですか。
 ほかにいかがですか。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 今の伊藤委員の意見は全面的にそのとおりで、それが全体像だと思うのですけれども、各論について一つ気になるのは、7ページ、III相試験がしにくい条件付き早期承認制度において、患者数が少ないものは概念として外れているのですけれども、患者数が多ければIII相試験はできるのではないかと普通に思うわけです。患者数がたくさんいるにもかかわらずいわゆるIII相試験ができないものはどのようなものかということが1点です。
 もう一つは、もともとあるオーファンの制度、これは90年代の制度なので、大分状況が変わっていて、5万人という数はオーファンとしては多いわけで、数千人とか、下手をすると数百人。ここの場合は、恐らく開発してもコストがあるという部分で、特にオーファンドラッグについては、助成金制度があるので、例えば、最初はオーファンの患者でやって、オーファンに乗っかって、後から適用拡大して採算は十分にとれるというところがここに紛れ込むと、ほとんど採算性は厳しいから何とか助成金をもらって開発したいという企業のパイをそこでとられてしまう。どちらかというと、本当に開発コストが大変だというころにその全体のファンドが手厚くなるように、人数を見直すのか、制度自体を見直すのかわかりませんが、いわゆるウルトラオーファンですよね。そこに手厚くなるように、つまり、開発コストも出せないような企業と、十分にあるけれどもオーファンの申請をしたらお得だからという企業はおのずと違うので、オーファン制度の最初の本質にかなった運用になるように、今回、同時に見直していただきたい。
 今、議論がありましたけれども、8ページの下、中間的評価です。これもできるだけ早期にと。本来、例えば、III相試験を省略することは、ある種、有効性はある程度奏効率なので確かではない。そうすると、それをずっと売り続けていいのかということは、本来はこの薬機ではなくて保険局の費用対効果とかで対応すべき話も含まれるのですが、事実上、抗がん剤とかは費用対効果から外す方向性になっているので、早期承認に係るものは保険局で費用対効果を余りしない可能性があるのですね。そうすると、これは薬機ではないけれども、効かない薬品がある程度高かったりして、ずっと保険が払い続けることになると、これも問題なので、有効性をある程度緩くするという意味は、下流でのHTAの議論にも影響があるところなので、この中間的評価はなるべく早い段階でできるように考えていただきたい。
 以上の点、いかがでしょうか。
○森田部会長 回答をお願いします。
○山本医薬品審査管理課長 ありがとうございます。
 まず、1点目の対象について、患者数が5万人、そろそろ見直すべきではないかというお話も含めてございますが、患者数が少ない以外に、例えば、非常に重篤な疾患で予後が急激に悪くなっていく。あるいは、救急の場でのレスキュー薬とか、そういったものについては、一律に患者さんが少ないというだけではなく、検証的試験がやりづらいといった分野としては存在するかと思っております。そういう意味で、患者数だけを一律の要件はなかなか難しいとは思いますが、一方で、花井委員がおっしゃったように、患者さんが多くて検証的試験が普通どおりきちんとできるものについては、従来どおりやっていただくことを前提にしておりますので、決してできるものをやらないとする仕組みとして設立するものではないことを言わせていただきたいと思います。
 2点目の承認後の評価のタイミングあるいは有効性にプライオリティーを置いているというのはまさにそのとおりでございまして、今回、あえて再審査を待たずに、市販後の早い段階で評価をする規定を設けてみてはというのは、まさに有効性のところについてしっかりと早目にデータを集めていただいて、それを評価して医療現場あるいは対外的にオープンにしていくことを目指したいと考えているところでございますので、御指摘を踏まえてさらに検討していきたいと思っております。
○森田部会長 よろしいですか。
○花井委員 そうなると、患者数は多いのだけれども治験が難しいというものはどういうものかというところのコンセプトを、先ほど伊藤委員がおっしゃったとおり、記述するときにある程度絞らないと、ちょっとリクルートが難しいのですという話をすれば通るという話になっては困るので、そこはちゃんとしていただきたい。
 重ねてお願いしたいのですが、オーファンの中でも、開発、企業の体力が厳しいとか、そういう部分についてある程度手厚くする算段については、重ねて検討いただきたい。
○山本医薬品審査管理課長 回答が漏れておりました。済みません。
 5万という数字はさておき、企業が非常に小規模であるといった点、あるいは、患者さんがウルトラオーファン的に100人とか、5万人に比べて非常に少なくて、特に支援の必要性が高いものについて重点的に支援していくことは、今後、制度の中で検討したいと思います。
 法令上、ウルトラオーファンという言葉にするよりは、今、考えておりますのは、重点的に企業規模や患者数といったところを考慮しながら支援のめり張りをつけていってはどうかと考えております。
○花井委員 ありがとうございます。
 要は、バジェットをもうちょっとふやしてくれたほうがいい。パイの取り合いだからちょっとこっちと言っているわけで、偉い方々もおられますので、それもあわせてよろしくお願いします。
○森田部会長 どうぞ。
○北澤委員 北澤です。
 今の点にも関係するのですけれども、中間的評価というところで、リアルワールドデータの活用を含むと書かれているのですけれども、リアルワールドデータにもいろいろな種類があって、データをどのように集めて解析すれば有効性・安全性の確認になるのかということは、かなり細かいかつ専門的な、いろいろな検討が必要と思います。ここでリアルワールドデータの活用を含むとしれっと書いてあるのですけれども、それについては、もう少し学問的あるいはいろいろな観点からの検討をお願いしたいと思います。
 それに関連して1つだけ質問させていただきたいのですけれども、ことしの9月に、ローブレナという肺がんの薬が条件付き早期承認制度を使って承認されたと伺っておりますけれども、現時点で審査報告書がネット上に公表されていないので、どのような承認条件がつけられているのかがわかりません。もしできましたら、承認条件のところに、どういうような製造販売後の調査を要しているのか。そのあたりを教えていただければと思います。お願いします。
○森田部会長 回答をお願いします。
○山本医薬品審査管理課長 1点目の御指摘のリアルワールドデータ活用はそう簡単に軽々しくは実現できないのではないかと。枠組み等はさておき、特に技術的にサイエンティフィックに妥当なものという御指摘でございますが、まさにそのとおりだと思います。データベースないしはリアルワールドデータの活用と一言で言っても、まず1つは信頼性、その情報の項目が、きちんと評価すべき項目が網羅されているかとか、いろいろな面がございます。それは疾患領域によってもまたいろいろ違ってまいりますので、そういったことについて、一定のというか、あるいは疾患領域ごとに留意点あるいは満たすべき要件を別途技術的に詰めて世の中に出していって、それをもとにデータベースを構築していただけるといいのかなと思っております。そういったことも含めてここは取り組んでいくべきだと考えております。きちんとしたリアルワールドデータでなければ、評価によって変えないことになりますので、こういった使えるデータベース、信頼のおけるデータベースを構築していくことも、別途関係各方面と協力しながらやっていくべきだと考えております。
 2点目の御指摘、ローブレナの承認条件、審査報告書がまだアップされていないということで、済みません。できるだけ早急に審査報告書をアップさせていただきます。添付文書がアップされているか確認していませんが、承認条件につきましては、今、手元にございませんが、間に合えばこの会議中に後ほど御紹介させていただきたいと思います。今、ホームページにアップされております添付文書でございますが、リスク管理計画を策定してきちんと実施するという以外に、国内での治験症例が極めて限られていることから、一定のデータが集積されるまでは全症例を対象に調査を実施すること等で、データを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じることが2点目。
 3点目は、本来が肺がんの診断等に精通した医師によって処方されるとともに、本来のリスク等について十分に説明できる医療機関、薬局においてのみ取り扱われるよう措置を講じること。
 この3点を条件として付させていただいております。
○森田部会長 この件については、そろそろ終わりにしたいのですけれども、加茂谷さん、荒井さん、簡潔にお願いいたします。
○加茂谷委員 製薬産業の立場で一言コメントをさせていただきたいと思います。先ほどの事務局の説明もございましたけれども、ドラッグラグは改善されて若干の開発ラグが残っているという状況の中で、私どもといたしましても、条件付き早期承認あるいは先駆け審査指定が法制化されますことにより、日本での開発の促進あるいは日本国民の皆様方が医薬品の承認審査制度を正しく正確に理解することの一助になるものとして、法制化については製薬企業としても必要と考えているところでございます。
 これまで以上に、メーカーといたしましても、安全対策の充実等を含めまして、その責任を果たしていく所存であることをコメントさせていただきます。
○森田部会長 どうぞ。
○荒井委員 機器の部分で3点ほど。
 資料の9ページですけれども、まず、方向性、この特性に基づいたことは非常に画期的で、FDAなどと比べても機器に関してはかなりいいあれではないかと思います。これが1点目です。
 特に機器の適用の考え方で、以前も私はちょっとお話しさせていただきましたけれども、要は、臓器とか、がん種とか、病気の種類、疾患は、実は機器にはなじまない部分があるということで、この点、ごくごく簡単に申し上げると、例えば、焼いて治療する、凍らせて治療をすると、肝臓とか肺は、腫瘍を考えた場合は容易に想像がつくのですけれども、体の中の病気が臓器を特定できない。例えば、直腸がんを手術したときに、骨盤の中で再発した病巣でどこの臓器とも関連していないとか、そういうこともあるものですから、必ずしも臓器ということが適切ではない場合があるし、副甲状腺とか副腎などというちっちゃな臓器はついつい忘れてしまうこともある。そういったことも含めて考えていただければありがたいと思っています。
 9ページの真ん中の下のところ、方向性のところで「改善・改良計画を審査の過程で確認し」ということであるのですけれども、事前に出せればいいのですけれども、実際に機器は大部分が使っているうちに、気がついたら、あれにも使える、これにも使えるという要素があるものですから、このときに、あらかじめ提出する計画について、例えば、将来は骨にも使えるかもしれないとかというすごく限定したあれではなくて、そういったゆとりのあるような形で検討していただけるとありがたいと思います。
 最後、3点目ですけれども、この部分に限定した話ではないのですけれども、多分承認の過程では、いわゆる臨床ありということで、何らかの臨床データを要求されることは容易に想定されるのですけれども、臨床研究法が施行された現時点で、特に希少な疾患に関して前向きの試験を行うことは、事実上は極めて難しい。企業は多分手を出さないでしょうし、臨床現場でもそういったちょっと大変な部分に関してお金を払って、保険もとってやっていくというのはかなりハードルが高いということがありますので、ここについては、臨床データの活用に関して、例えば、観察研究も含めて評価するとか、そういったちょっとゆとりのある臨床データの活用法も含めて検討していただければありがたいと思います。
 以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 これはそういう御意見ということでよろしゅうございますね。
 先生。
○久芳委員 久芳でございます。
 今、荒井先生から話をいただきました9ページの医療機器の特性に対応した承認制度で、まさに御指摘のとおり、我々業界としても、ある意味、画期的な方向性を示していただいたということで、ぜひこの方向性で早期に制度化を実現していただきたいと考えています。そのときに、使う立場である我々も制度化に向けての議論にぜひ参加させていただきたいと思っておりますので、その点の御配慮をお願いしたいと思っています。
 1点だけ、ここには出てきていないのですけれども、これは恐らく法改正でなくても運用でいけるという意味かと思っておりますけれども、いわゆる認証でいけるものと、もちろん承認のものとあるわけですけれども、認証と承認との間で、審査のハードル、どれぐらいの期間で終わるのかという観点でのハードルが一気に上がるというところがあって、ある意味、認証の企業側からすると、認証の範囲でぜひとどまっておこうという、ネガティブといいますか、そういう力が働きがちになると思っています。そういう意味でも、この辺の認証・承認制度についても改善を検討していただければと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
 この辺もよろしくお願いいたします。
 それでは、少し時間も押しておりますので、次の医薬品・医療機器のトレーサビリティの向上及び適正流通確保に向けた卸売販売業者の規制の見直しについて、御意見を承りたいと思いますので、どうぞ御発言をお願いいたします。
 三村委員、どうぞ。
○三村委員 ありがとうございます。
 最初のバーコード化に関して、現状は着実に進んでいると言っていいと思います。ただ、最終段階になってきますとかなり特殊なものとか技術的に難しいものが残ってくる。それは超えていかなければいけないということでありますので、ここでお示しいただきましたように、表示を法令上明記する。さらにデータベース登録なども基本的に推進するということを明確に政策として打ち出していただくことがいいのではないかと思います。この点について、ぜひ推進をお願いしたいと思います。
 2番目の卸売業者の件なのですけれども、実態調査をやっていただきまして、本当にありがとうございました。こちらは15ページになりますけれども、その中で特に注意が必要な医薬品の管理業務、販売先への信頼性確認、これが大変重要な業務であり、それから、ハイリスクであることも明記していただいて、本当によかったと思います。
 ただ、そのことを踏まえまして、基本的に法令をどのように改善し高度にしていくかということなのですけれども、このような問題が起こっているのは、私は2つの要件が重なっていると思っております。ひとつは卸売業者の方々は、特に大手・中堅を中心として、物流センターとか情報システムを非常に整備されてきました。特にバーコード表示が基本的に浸透すれば、情報化が進んでいきますので、恐らく営業所における在庫管理とか、そういった業務をできるだけ軽減していく方向を進めているということであります。
 それと同時に、先ほどの難しい問題とかが提示されましたように、例えば、在宅医療とか地域包括ケアとかが進むと、難しいハイリスクの薬が病院の外に出ていくという状況があります。そうなると、営業所現場における薬の安全性管理とか、薬事管理の必要という問題が改めて出てくるという、この2つの要件が恐らく同時に起こっているのではないかと思います。卸さんのお話をいろいろ伺っている中においても、この問題を非常に重視されていらっしゃいますので、そのことを踏まえた上で、法規制について、少し現状に合わせて整合性を持った形で検討していただくといいのではないかと思います。
 検討の方向性ということですけれども、当然のことながら、医薬品の安全性、品質管理、薬事に関しましては、医薬品営業所管理者の存在、役割が大きいということは、改めて認識するべきだと思います。
 ただ、その上にありますように、取引先の信頼性の確認とか、いわゆる何か一種異変が起こったときという話になりますと、これは、営業担当者の情報とか、受発注情報とか、物流情報とかというものと整合しないとよくわからないということがあります。それを営業所管理者の方が全部一元的にやりなさいというのは現実的には無理という感じがします。
 そのことを踏まえて、一つの方向性ですけれども、医薬品営業所管理者の業務あるいはその役割については、改めて明記する、あるいはしっかりとした品質管理を営業所管理者の義務として明記する。
 ただ、先ほど何度もこれも厚労省側が慎重に言葉を選んで説明していただいたのですけれども、常駐しているかどうかということが基本的要件ではなくて、その機能が果たされているかどうかが要件である。例えば、当然常駐していない場合とか不在の場合に、どのような迅速対応が行われるかということについては、手順書とか、そういったシステムを整備していく。そういったものに基本的にきちんと明示されている状況があるということがあれば、まずはいいのではないかと思います。ただ、大事なことは、医薬品営業所管理者という、現場における薬事の専門、薬事の管理者の機能と役割と業務が基本的に明示されておくことが必要であろうかと思います。
 もう一つということなのですけれども、このような観点からしますと、医薬品の卸さんは、当然、今でも中小の卸さんはいらっしゃいますし、日本を代表するような上場企業もあります。しかし、従来の法令、法制度は、地域的にあるいは営業所単位で全てが完結されていることを前提にしています。そのあたりはもう少し柔軟化した形で、現状に適合するように制度を改善していただくといいのではないかと思います。
 そういうふうになりますと、医薬品営業所管理者の責務という次元と、もう一つは医薬品卸売業者の責務という次元の2段階構造があって、こちらの話でいきますと、ちょうど2番目のところに入ってくるのですが、業務全体の安全性、トレーサビリティ、あるいは販売先が大丈夫か、販売先がさらなる卸業務を行っている場合には、そのルートについて掌握していただきたいということがあります。供給過程全体の安全性管理、トレーサビリティという卸売業者の責務に対しては、情報が一元的に管理されてないと実行できないということがありますので、そのような形の中で整理されていただくといいと思います。
 最後に、先ほどの返品の問題ですが、これも本当によく調べていただいたと思います。これの考え方なのですが、改めて返品のルール化、返品のルールの明確化が非常に重要であるということと同時に、もしも異常な返品が繰り返されたときには、やはり報告をしていただきたい。
 そうする中においては、相手先との間の一種の取引改善とか、相手先に対する業務改善提案とかということが出てきますので、返品の問題については、法令上入れるかどうかは別なのですが、何らかの形で関連する規定とか規則を提示していただくと、かなりいい方向に進むのではないかと思っております。
 私からは、以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 ただいまのことにつきまして、一條委員、お願いいたします。
○一條委員 医薬品流通の安全性という視点から2点ほどお話ししたいと思います。
 1つは、資料の15ページ、どのような管理をしているかということで、かなりハード面、ソフト面、両面的な対応を管理者がしているということが見られます。これに基づいて、この20ページの将来の方向性というところで、1番、その業務内容を業務手順書に記載することを求めるということがありますが、薬局と卸売業を比較しますと、薬局は体制省令ということで、どういう体制であるべきだということが明確に決められている。卸のほうは、許可要件、構造規則と管理者、管理薬剤師を置けばそれで卸売はできてしまうということがあるので、医薬品の流通の安全性ということを考えれば、業務手順書に記載するということからもう一歩踏み込んでその体制を求めるというところまで入っていただきたいと思っています。それに基づいて、管理者だけではなくて、開設者、卸売業者自体のところにも責任が入ってくると思っております。これが1つです。
 2点目ですが、返品の問題に関して、これも医薬品流通の安全性から見ると非常にリスクがあるところで、できる限り返品はなくしていきたいと思っておりますが、例えば、ワクチンのように、需要と供給のバランス上、どうしても、在庫を多く持っている医療機関さんから、ないところに移動させるという機能、返品の機能は、卸売業の機能の中の一つとなってまいります。
 そういう意味では、なくすわけにはいかないわけですが、当然、そういうリスクをなくすために、卸売業としては二重三重のチェック体制をとっているところです。システム的にも、例えば、重さをはかるとか、重量検品を行うとか、またはシステムを導入して、その返品の内容が、例えば、開封品がその返品に紛れ込まないような対応を一生懸命やっているというところです。
 そういうことからすると、この返品に関しても、この20ページの3番に関して、関係者と連携しながらということでかなりやわらかく書いてありますが、譲渡、譲受、両方の責任といいますか、管理者がお互いに管理をする。そういうところでないと、流通上の不安が非常に出てくるのかなと思っております。特に温度管理品とか、そういうものが卸から所有権が医療機関さん側に移った場合、そこでの管理がどうなっているかとか、そういうものも確認した上で返品を受け入れる。そういう作業が必要になってくるということだと思います。
 以上、2点です。
○森田部会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 まず、前半のトレーサビリティの部分ですけれども、12ページで、トレーサビリティを確保することは費用対効果の非常に高いことですので、法令上に規定していただくことに全面的に賛成です。さらに細かい点なのですけれども、2点申し上げますと、小売用包装にもと書いてありまして、小売用の包装にトレーサビリティが行き渡らないと、患者さんが結局情報を得られないことになりますので、こちらも重要視していただきたい。
 あと、コーディングのシステムですね。ここにはJANコードと書いていますがJANコードは日本でしか使えないですし、ぜひここにも書かれているような国際標準は意識していただきたいと考えています。これは、単純に流通のためというよりも、将来的にこの薬の流通が、薬事管理行政のみならず、医療の質の評価にもつながる大事なことだと思っています。
 これはちょっと脱線した話になってしまうのですけれども、以前、日本とアメリカとイギリスの医薬品の流通の情報を手に入れる機会がありまして、そこで各国の疾患の分布と各国の医薬品の薬効の分布を比較して、例えば、国際的に日本で相対的に薬に頼っている疾患は何かみたいなことは、例えば、精神病とか、そういうことを明らかにできればと思って入手したことがあるのですけれども、一番のハードルになったのは、医薬品のコーディングで、今、WHOの基準でATCコードといって、疾患分類コードがあるのですけれども、こちらを日本が採用していなくて、今ある医薬品を全部ATCコードと対応させて分析できるかというとなかなかできない事情がありました。
 現在は、JAPICという団体がコードを売っている状態なのですけれども、できればそういうものも公表情報として、何かがわかれば一気通貫で、例えば、ATCコードがわかるとか、UPCコードがわかるとか、国際標準を意識した医薬品の流通の管理も、一旦バーコード化を入れるのであれば、そういったコーディングが保たれるように、ぜひ検討していただきたいと思います。
 これは法令上のことというよりは、細かい話になりますけれども、一旦何か情報化システムを入れる、データベースを入れるということの初期設定である程度柔軟性を持たせて、将来的には国際コードも入れられるという方式にすることが、運用上のコストを将来的に下げることにつながると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 3点目の適正流通価格についてもお話がありましたので、続けて申し上げますけれども、この15~19ページに載せていただいた調査結果ですね。私も、今まで見たことがない、大変興味深い調査だと思っております。
 これは、一部の先生によりますと、卸売業者のほとんどの方が回答されているということで貴重なデータベースですし、いわゆるこの法令改正に伴う根拠文書でもございますので、今はまだできたてほやほやだということなのですけれども、これはぜひ法令改正前に報告書なり何なりの形で公表していただいて、こういう根拠があるからこういう法令改正をするのだということが明確になるようにしていただければと思っております。
 以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 時間も押しています。
 加茂谷さん、どうぞ。
○加茂谷委員 トレーサビリティの向上につきまして、コメントをさせていただきます。
 医療用医薬品につきましては、バーコード表示、現在、平成28年に発出されました通知に基づいて、各企業、バーコード表示を展開して対応しているところでございます。すなわち、法制化が提案されているところでございますが、現在の通知の内容に準拠したものあるいは大きくそれを超えるものでない限り、法制化は十分に対応可能だということをメーカーの立場でお話しさせていただきたいと思っているところでございます。
 また、そのような形でバーコード表示を進めていく所存ではございますけれども、資料にもございますとおり、医療現場等でのバーコードを利用するシステムの実装化をぜひ早急に御検討いただきたいと思っているところでございます。
 さらにもう一点でございますが、一般用医薬品、いわゆるOTC医薬品につきましてもここに記載があるところでございますけれども、一般用医薬品の場合、医療用と違いまして、例えば、購入される方が服薬される方でない場合もありますし、常備薬として購入している場合等々もございます。そういう観点から、医療用医薬品と一般用医薬品の違いを御理解いただいた上で、関係者間でバーコード表示についてはきちんと協議いただいて、方向性を検討いただければということをコメントさせていただきます。
 以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 そろそろ次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうぞお願いいたします。
○赤池委員 今のお話とも関連しますけれども、一般用医薬品はなかなか実態が把握しにくいところでございます。医療用医薬品を服用している方が、何らかのきっかけで軽い症状で一般用医薬品を服用するというケースもありますので、そういったものを把握する上で、こういった電子版お薬手帳との連携は非常に有用な手段だろうと思われます。
 ただ、先ほどもおっしゃっていたとおり、必ずしも購入された方が飲むわけではないとか、いろいろな問題がありますので、それらも含めてすぐにこれを実施することは難しいとは思いますけれども、ぜひこういったことが実現する方向で検討していただけたらと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
 御意見ということですので、事務局、お願いいたします。
○吉屋企画官 皆さん、トレーサビリティと卸の関係について御意見いただきまして、ありがとうございました。
 基本的には私たちが考えている方向をエンカレッジするようなコメントだと思いますけれども、2つだけコメントさせていただきたいのは、一條先生からいただいた、体制省令にしっかりつくってくれという御指摘に関しましては、御指摘はごもっともと思います。体制も含めてしっかりしろというところについては、私たちもその方向で考えさせていただいていますけれども、法令上どのレベルで規定するか、省令にするかどうかということに関しては、私たちのほうに任せていただきたいと思っています。
 ポイントは、先ほど三村先生からもありましたけれども、卸は、卸という全て一つの許可になっていますけれども、物流センターとか、地方の営業者とか、サンプル卸とか、小規模卸とか、いろいろな形の卸がいらっしゃるものですから、すごくばらばらなものを一つの体制省令で書き切れるかという論点がありまして、そこについては私たちに任せていただいて、ただ、問題意識としては、しっかり体制を整えろというところは先ほど説明したとおりの方向ですので、そこについてはしっかり対応させていただきたいと思います。
 伊藤先生からお話のありました、公表していただきたいという話については、今回、ここで公表することを目的に御協力いただいたものですから、この後、どうするかということに関しては、関係者も含めて御相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
 それでは、この件はよろしいでしょうか。
 続きまして、議題2「薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方」について、御議論いただきたいと思います。
 これにつきましては、事務局から資料2について御説明をお願いいたします。
○安川薬事企画官 資料2について、御説明いたします。
 2ページ、薬局・薬剤師分業関係で、前回の資料のさらに検討が必要な事項を抜粋したものでございます。なお、これに関しまして、今回も含めて何回かに分けて御議論いただきたいと考えております。
 3ページ、地域包括ケアシステムにおける薬剤師・薬局ということで、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に地域包括ケアの構築を目指すという、その中で薬剤師・薬局といったところも医療・介護・予防の一翼を担って適切な役割を果たすということが課題になっています。
 4ページ、こちらは医療機関に関することでございます。外来医療の今後の方向性で、医療機関の機能分化ということで、地域の拠点となるような病院に関しては、入院は機能強化・分化をおこなう。外来は専門化。診療所等においては、かかりつけ医機能を強化する。それを地域レベルで連携強化を図っていくということで、こういった役割分担が行われるという状況でございます。
 5ページ、薬物療法に関して、患者がこういったいろいろな療養の場で、外来、入院あるいは在宅・介護施設といったところにいる中で治療等を受けることになりますけれども、その中で、薬物療法の観点でいきますと、患者の薬物療法に関しても有効で安全な薬物治療を切れ目なく継続的に受けることが必要かと考えています。このためには、こういった薬物療法にかかわる関係者が患者の服薬状況等を共有しながら、最適な薬学的管理とか指導をしっかりと行うことが必要と考えております。
 6ページ、薬局と医療機関との連携の必要性に関して、こういったところの連携が各種報告書でも指摘されているところでございます。
 7ページ、医薬分業が目指すものということで、医師が患者に処方箋を交付する、薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行うということで、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で役割を発揮するといったことで、医療の質の向上を図ることを目指すということですけれども、そういった中で、医師と薬剤師が相互に専門性を発揮する効果ということで、薬剤師が薬剤服用歴の確認などで患者の服薬情報を一元的・継続的に把握して、薬学的管理・指導を行うことで、複数診療科受診による重複投薬とか、相互作用の有無の確認が可能になる。あるいは、薬剤師が、処方した医師・歯科医師と連携して患者に説明することで、患者の薬に対する理解が深まり、調剤された薬を適切に服用できる。このようなことを通じて、薬物療法の有効性・安全性が向上して、医療の質の向上に結びつくというところでございます。
 8ページ、調剤と処方箋に関する法令の規定ということで、薬剤師法と医師法で規定されていますけれども、薬剤師法の中では、薬剤師でないものは販売・授与の目的で調剤してはならない。あるいは、医師が薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、処方箋を交付しないといけないという規定があるということでございます。
 9ページ、こちらは薬局の規定でございます。まず、上のほうで、薬機法では薬局の定義は第2条で、薬剤師が販売・授与の目的で調剤の業務を行う場所とされており、第4条で、薬局を開設するためには、都道府県知事等の許可を受けなければ開設してはならないということになっていまして、開設の際には、赤字で書いてありますが、構造設備の概要とか、あるいは実際の業務を行う体制とか、そういった資料を提出することで確認して許可を与えているところでございます。さらに、これは保険のルールになりますけれども、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則で、保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とか一体的な経営は行ってはいけないといった独立性の規定が書かれているところでございます。
 10ページ、こちらは薬機法における薬局に関する規定で、先ほど開設の許可とか要件ということを御説明しましたけれども、そういったこと、あるいは、遵守事項とか、薬局の情報提供制度の概略を述べさせていただいているところでございます。
 11ページ、こちらは、薬剤の適正使用に関する情報提供とか、指導に関する関係法令の規定でございます。上から、薬剤師法では、25条の2で、薬剤師は、調剤したときは必要な情報を提供して、必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならないと規定がございます。薬機法では、1条の5で、薬剤師その他医薬関係者は、医薬品等の購入する者等に関して、これらの適正な使用に関する事項の情報提供に努めなければいけないという規定がございます。また、9条の3で、薬局開設者の義務ということで、こういった調剤をされた薬剤に関して、患者に対して必要な情報を提供させて、薬学的知見に基づく指導を行わなければならないという規定がございます。あと、医療法で、こちらは医師・歯科医師の観点でございますけれども、診療に従事する医師・歯科医師については、実際に診療とか調剤に関する情報を、そういった診療とか調剤に従事する医師とか歯科医師、薬剤師に提供して、そういった措置を講ずるよう努めなければいけないという努力規定も規定されているところでございます。
 12ページ、このような薬物療法に関するいろいろな連携体制も含めて、こういった考え方につきましては、平成27年に公表しました患者のための薬局ビジョンの中にも、かかりつけ薬剤師・薬局ということで服薬状況の一元的・継続的把握・指導、あるいは医療機関等との連携といったところの考え方で盛り込まれているところでございます。
 13ページ、こちらからは実態の御紹介ですけれども、患者情報を一元的・継続的把握による効果ということで、これは薬局に対するアンケートでございますけれども、一元的把握でよかったこととか、重複投薬を防げたとか、相互作用を防げたといったところ、あるいは継続的な把握についての副作用の早期発見とか残薬解消といったところにつながっているという結果が出ております。
 14ページ、こういった来局日以外の継続的な服薬指導に関しまして、実際にどの程度行われているかということでございますけれども、こちらは、4割程度が実施したことがあるということ、半分程度がないということです。これはこれまでの経験ということなので、一定期間中の実績としては、頻度も多かったり少なかったり、さまざまかと思います。必要性に関しまして、そういった服用期間中の指導が必要な患者さん、患者によっては必要だと思うという意見が65%を超えているというところで、そういったことが必要と思いながらも、実際になかなか行われていないという実態があるかと思います。
 15ページ、こちらは退院時の取り組みですけれども、退院時カンファレンスへの参加とか、退院時の情報を共有する体制ということで、そういった体制があると答えた薬局ですけれども、4分の1程度があるということで出ていますけれども、まだ十分に実施されていない状況かと思います。
 16ページ、こちらは在宅業務の現状ということで、在宅業務を行っている薬局が半数ちょっとでございますけれども、行っていないという半数程度のところの理由については、右側に、薬剤師の人員不足というところがございますけれども、その背景としては、下にありますように、1薬局当たりの薬剤師数とか、そういった実際の店舗当たりの薬剤師2人以下のところが半数程度とありますけれども、そういったところも影響していると思っております。
 17ページ、こちらは、かかりつけ薬剤師・薬局に係るKPIの現状で、数値目標を決めて、かかりつけ薬剤師・薬局の評価をやるという方針で、上の表に掲げているところをKPIとして掲げているところでございますけれども、それに関連しての薬局の取り組み状況を下のほうで示しております。左から、電子化の状況、薬歴管理とか、お薬手帳を電子化しているとか、両方ともやっているものは3割程度。マル2の服薬状況等を文書で医療機関に提供したことがある薬局については、半数以下、45%程度。在宅業務、先ほど御紹介しましたものが半分ちょっと。マル4の健康サポート薬局に係る研修を修了した薬剤師が地域の多職種が参加する会議へ参加した実績ということで、これは14%程度ということで、こういったところは取り組みが必要というところかと思います。
 18ページ、こちらはがんに関する情報でございますけれども、がんの患者さんに関しては、罹患率もふえている状況、あるいはがんの患者数においての入院と外来のグラフでございますけれども、外来患者もふえている状況になっているということでございます。そういった中で、今後、医療機関との密な連携とか高度な専門性が求められていくという中で、薬物療法にこういった対応をする薬局をどういうふうに確保するかというところも必要と思っております。
 19ページ、これに関しまして、がんの薬物療法に関して、薬局と病院があらかじめルールを決めて、それで薬剤師が来局日以外に電話でこれをフォローアップするという研究でございますけれども、そういったことの成果ということで、こういった薬剤師が服用期間中の確認をすることによって、副作用の早期発見とか、そういったことにつながったという効果を示した結果でございます。
 20ページ、以上のことを受けて、マル2マル1は、先ほど2ページ目にあった、さらに検討が必要な事項からの項目を抜粋しているところでございますけれども、薬剤師による情報提供及び薬学的知見に基づく指導の強化ということで、現状と課題として、現行法では、先ほど薬剤師法を御紹介しましたけれども、薬剤を調剤したときに、薬剤師が薬学的知見に基づく指導を行うことが義務づけられていますが、有効で安全な薬物療法の提供のためには、服薬状況を継続的に把握して、その情報を処方医等に情報提供を行うことが必要なのですけれども、薬局の薬剤師はこれを必ずしも十分に実施できているとは言えない実態があるということで、一番下の論点に書いておりますけれども、薬剤師の職能発揮のため、以下の内容を法令上明確にすべきではないかということで、調剤時のみならず、医薬品の服用期間を通じて、服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行うこと、あるいは、患者の服薬状況等に関する情報を、必要に応じて処方医等に提供するように努めることで、薬物療法の最適化に寄与する。そういったことを明確にしてはどうかということでございます。その背景としては、※1で書いていますけれども、現行法、薬剤師法や薬機法の中では、調剤したときの規定ということがありますけれども、こういった服用期間を通じての指導は必ずしも明確になっていないこと。※2ということで、医療法では、医師や歯科医師が情報提供を行う旨の努力規定がございますけれども、薬機法には規定がないということ。そういったところの背景から、こういうふうに明確にしてはどうかというところでございます。
 21ページ、マル2マル3ということで、地域における医薬品提供体制を確保するための薬局の体制整備として、薬局側の話でございますけれども、先ほどの現状の課題の中で同様の課題がありますけれども、そういった中で論点として掲げているのは、先ほど薬剤師の職能発揮のための取り組みであり、こちらを国民・患者が医薬分業のメリットを感じられるように、こういった以下の内容を薬局の担うべき基本的な機能としてもあわせて法令上明確にすべきではないかということを、提案させていただいているところでございます。
 22ページ、同じマル2マル3、薬局の関係でございますけれども、こういった地域包括ケアシステムの中で適切な役割を果たすことが求められる中で、服薬状況の把握とか、処方医との情報連携のほかに、在宅の患者さんもこれからふえていきますので、そういった中の医薬品の適正な管理とか、あとはがんとかの高度な薬学管理のニーズがあるような状況を受けて、一番下に論点を書いていますけれども、薬局が地域包括ケアシステムの構築に貢献するとともに、患者が自ら薬局を選択しやすくするために、薬局の先ほどの基本的な機能に加えて、例えば、薬局が以下の機能を持つことを明確にすることについてどのように考えるかということを記載しています。例示ということで、地域において、在宅医療への対応とか、入退院時を初めとするほかの医療機関、薬局等との服薬情報の一元的・継続的な情報連携において主体的な役割を担う薬局、あるいは、がん等の薬物療法を受けている患者さんに対しての医療機関との密な連携を行いつつ、高い専門性に基づいて、より丁寧な薬学的管理や特殊な調剤に対応できる薬局といったところを明確にすることをどのように考えるかというところで、御意見をいただければと思っております。
 駆け足になりましたけれども、私の説明は以上でございます。
○森田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の御説明につきまして、資料2について御議論いただきたいと思います。御発言、御意見をお願いいたします。
 中川委員、どうぞ。
○中川委員 きょうの資料2の全体を見てみて、医薬分業の問題点が、薬局と薬剤師の機能を法令上に明確にすることで何とかなると思っているというように見えるのです。そういう問題ではないという議論をさんざんしてきたのではないですか。これまでの議論の大勢を占めていた医薬分業はこのままでは限界だという重たい意見を全く無視している、肩透かしのような資料をつくった。これは大きな問題だと思いますよ。
 薬局薬剤師に比較して、医薬分業が進んできたのに、病院薬剤師が輝いていないという指摘がありましたよね。この原因は、薬局薬剤師の調剤技術料に1.8兆円も使ってい病院薬剤師が評価されていないことだと思います。。視点を変えると、そういうふうに言えるのですよ。こういうことを背景にしてこれまでさんざん議論をしていて、こういう資料をつくるとは、私は失望しました。
 お聞きしますが、平成5年、1993年、当時の厚生省薬務局の課長が、薬局業務運営ガイドラインというものを書いたことを、事務局、どなたか覚えていますか。1人覚えていると。
 その中に何と書いてあるか、教えましょう。患者のためにならない医薬分業なら、いずれ必ず国民の反発を招くし、やらないほうがましとさえ言えるのではあるまいかとまで書いてあるのです。
 まさに今、これは現実となっているのではないですか。院内処方よりも高い院外処方の調剤技術料を見直すことを通して、地域の特性に応じて一定程度院内処方に回帰するという議論をしていくべきだと思います。
 この資料を全面的につくり直してほしいと私は思います。
 まずは、以上です。
○森田部会長 ただいま、御意見が出ましたけれども、事務局で何か。
 それでは、少し考えていただいて。
○中川委員 事務局、何か反応はないのですか。なければ、山口委員が手を挙げていますから、恐縮です。
○森田部会長 それでは、山口さん、どうぞ。
○山口委員 複雑な気持ちです。
 私も、きょう、資料を拝見していて、必要と思っているけれども実際にはやっていなという現状があらわれているのではないかと。例えば、服薬中の継続的なフォローアップとか、あるいは転院カンファへの参加とか、在宅とか、聞くと必要だと思っているけれども、実際にやっていますかという質問をすると数が減る。これが今の薬局においての現状ではないかと思っています。こういったことをすると、何が求められているのかということを、存続していく以上は明確にしていく必要があるのではないかと思いました。
 特に前半ですけれども、例えば、退院時のカンファへの参加がありますけれども、薬薬連携とか、外来・入院・外来というような情報の継続的・一元的把握は進めないと、薬局の意味がないと私も思っています。
 処方箋に病名ということが難しいのであれば、医療機関から薬局への情報提供ということを、例えば、病院であれば、病院の薬剤師が薬局の薬剤師に情報提供をするとか、そういった病名や検査データをしっかりと情報提供することによって、薬学的知見に基づく指導をする。今、どうしても薬局が調剤の業務を行う場所と明記されていて、薬剤師の役割も、飲んだり使ったりする前の段階の情報提供にとどまっていると思っています。私は、薬局が本当に存在意義を発揮するのであれば、調剤後のフォローアップをやらないことには、今、おっしゃっているように、分業の意味が全くないのではないかと。そのあたりの見直しも必要ではないかと思っています。
 22ページのところで、薬局の体制整備のところにあるのですけれども、以前から発言しているように、薬局と一くくりにしていたのでは、今の薬局は患者から見て見分けがつかないのではないかと思っていまして、患者が薬局を選ぶ基準をきっちりわかるように、例えば、今、薬局が果たし得る役割は何なのかという全体像を出した上で、その中のどれをやっている薬局なのかということが、患者に見えるようにしていく必要があるのではないかと思います。
 例えば、大きく分けると、調剤と相談に乗るぐらいしかできていない個店、あるいは、ある程度かかりつけ薬局の機能をしっかりと持っているような薬局、それから、チェーンがありますけれども、私はチェーンというのも一くくりにできないと思っていまして、外形だけ整えているチェーンもあれば、本当にかかりつけ機能を持ってしっかり機能しているチェーンもあるので、そこはきちんと分けないといけないのではないか。その上で、高度な機能ということで、麻薬とか抗がん剤などにも対応できるような、そういうところをしっかり患者に見分けられるような体制、分類というか、していただくことで、今、機能を果たしていないとおっしゃっていたような薬局が、患者からは見えない存在になっていくことが本来の理想ではないかと、そんなふうに思っております。
 ありがとうございました。
○森田部会長 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 私も、山口先生の御意見に全面的に賛成です。
 今回の法令改正の中でできることを示していただいたものがこの資料なのではないかと思っています。
 特に21ページ目、22ページ目の論点とあるところで、調剤のみならず、医薬品の服用期間を通じて、服薬状況や把握や指導を行うこと、それから、処方医へ情報提供をすることはいずれも重要なことで、例えば、今、医薬品医療機器等法の9条の3には、対面によりとか、医薬品を譲り渡すときに何々を情報提供しろということは書いてあるのですけれども、逆に言うとそれだけということになってしまって、継続的・一元的指導という観点が全くない。これは改定することによって薬剤師があるべき姿をこの法令の中で示せるのではないかと思いますし、例えば、先ほどの資料の中にもありました4条の2の4項にありますような体制の明示という中で、この薬局はどの機能があるのかということをきちんと明確に示す。
 この資料全般として、先ほど山口さんもおっしゃったように、こうあってほしいという理想像はたくさん掲げているけれども、実際にやっているかというとほとんどやっていないところが逆に明確になってくる。つまり、こうあるべきというところに診療報酬をつけているからすごく高くなっているというものはもちろん問題ですが、逆に言うと、やっているところをもうちょっとめり張りをつけて評価していくことが大事なのではないかと思います。
 また、医薬分業は多大なコストを払っていると。1.7兆円なり1.6兆円なりという数字は出ております。それは事実なわけですけれども、大切なところは、差額の使い方の精査といいますか、その1.7兆円の差額は医薬品の在庫管理のためにどれぐらい使われているのか。能力のある薬剤師の育成や確保について、どれぐらい使われているのか。相談スペースの確保のためにどれぐらい確保されているのかといった、サービスの充実のためにどの程度のコストを払うべきなのかということを含めて精査されるべきですし、先ほど山口さんがおっしゃったように、大事な観点は、患者がそのメリットを享受できているか、費用対効果としてすばらしいかということが一番の判断基準であって、繰り返しになりますけれども、一元的・継続的把握と再三ビジョンの中に出ているようなものは、今回の薬機法の改正の中でぜひ盛り込んでいただいて、今まで対面とか薬を渡すときだけに薬剤師の業務を限定するような狭い話をぜひ撤廃していただきたいと思いますし、特に数々のビジョンでも出てきておりますような、医療機関と薬局の連携、医師と薬剤師の連携は非常に大事な要素で、これもぜひ盛り込むべきところとして書き込んでいただきたいと思います。
 これは以前のワーキングの中でも、薬局のKPIをつくろうとしたときに、17ページになるのですけれども、医療機関との連携のところで、ここで本来ならば、例えば、退院時カンファに参加しているとか、より明確な基準を盛り込もうとしたときに、医療機関が近くにない薬局もあるからこういう規定はいかがなものかという意見が出たという話をしましたけれども、どちらかというと、そういう保守的とか悪平等的な考えのほうが問題で、ちゃんとやっているところをきちんと評価するためには、研修を修了したとかということではなくて、ちゃんと実業務として医療機関と薬局の連携、医師と薬剤師の本質的な連携がとれているのか。それによって、病院にいようが、いわゆる外来で通院していようが、同じ利便性が確保できるかどうかということの精査が大事であって、中身を精査していくことと、それに向けて法令改正を整えていくことがこの部会で求められていることなのかなと考えております。
 以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
 それについて、中川委員、どうぞ。
○中川委員 20~22ページですが、特に20ページ、21ページは、それはそうですよ。やるべきですよ。それが法令上明確にしなければできないのかという問題なのですよ。なぜ法令上に明確にしなければできないのか、それが根源的な問題につながるのですよ。薬剤師の本来業務、薬歴管理とか、服薬業務とか、かかりつけ医に対する疑義照会とか、本来の業務がしっかりまだできていないではないですか。それができていない、足元がしっかりしていないのに、さらに上を目指して法令化するということに非常に違和感を持つのです。
 わかりやすく言うと、この違和感は、何回も言いますよ、調剤技術料に1.8兆円も使っているのに、次の診療報酬改定で調剤技術料の新しい項目が、20ページ、21ページで目に浮かぶのですよ。本当にこの1.8兆円を維持するための新たな項目を考え出したとしか思えないのです。
 そこで、9ページの薬担規則、一番下、その最後の1行です。保険薬局はその担当する療養の給付に関し、健康保険事業の健全な運営を損なうことがないように努めなければならない。これが非常に大事なことだということはわかっていますよね。ここのところがこの資料で赤くなっていないことも、私は問題だと思う。
 それで、これも以前に言いましたけれども、もう一回言いましょう。2016年の大手5社の調剤チェーン・薬局チェーン、当期純利益が213億円、そのうちの配当が40億円、利益剰余金、内部留保に積み上がるものが173億円です。年々200億円ずつ、5社の内部留保は積み上がっているのです。16年度末で1107億円なのです。
 さっき、伊藤委員がコストはどのぐらいかかるのかとかいろいろなことを調べる必要があるとおっしゃいましたけれども、そのとおりなのですが、これだけ利益が上がってきているのですよ。医薬分業について、こういう状態をどうするのかという議論をしてきたのではないですか。新たなことを、本来、法令で定めなくてもやるべきことを定めるということで、足元がふらついているものを、上のほうの飾りだけつけましょうと見えて仕方がないのですよ。
 ぜひお答えを。
○森田部会長 まず、事務局からお願いします。
○安川薬事企画官 御意見をありがとうございます。
 全体的な話として、薬局・薬剤師、医薬分業は幅広く、7月の御議論のときからさまざまな御意見をいただきました。そういったところはどういうふうな形でいい方向に持っていくかというところで、その根底にある考えとしては、今回の資料で言えば5ページ目のところで、患者にとっての視点として、薬物療法に関してどういうふうに関係者がしっかりと連携をとって、質の高い薬物療法を提供していくかというところが大前提だと思います。
 そのために、院内でどういうふうにチーム医療を組んで対応するかとか、あるいは入退院時にどう連携するかとか、そのときに外来の中で、院外、院内、両方あるとは思いますけれども、その中で、どちらの場合においても、どういった形で薬物療法に関する情報も共有しながら最適な業務を行うかというところが大事かと思っております。
 その中で、現状ということで、院外処方箋の出ている状況もありまして、薬局が一定程度ある中で、そういった薬局薬剤師がどういった形で地域にしっかり目を向けて業務を行うかというところ、もちろんそういった全体のあるべき姿ではあるのですけれども、その中で、実際にこれだけの薬局がある中で、しっかりと底上げというか、一通り患者のための業務を行ってもらうためにはどうすればいいかというところで、最初にこういった形で薬剤師の役割とかというところも資料に加えながら進めていっているところでございます。
 その中で、例えば、外来とかでも、複数診療科もある中で、どういった形でそういったものを一元的・継続的に把握をしながら業務を行うかというところも大切なところだと思いますし、そういった中で薬局がどういった形で対応するか。今回、提案の中で、基本的な機能、薬剤師の職能発揮ということがありましたけれども、中川先生の御指摘のとおり、そもそものところもしっかりやるということが大前提でございます。そういったところをパッケージであわせてしっかりとやっていくことが大事な役割かと思っております。
 以上です。
○森田部会長 中川委員、どうぞ。
○中川委員 安川企画官、あなたは私の質問に対する答えではなくて一般論を言ったにすぎないのですよ。真正面から答えていただけていないことが非常に残念です。
 20ページ、21ページは特に法令上明確にするのではなくて、通知その他のガイドラインとか、そういうことを整備するものでいいと私は思いますよ。そもそも本来やっていない薬剤師としての業務がきちんとできていないのだから、それをきちんとやることをどうしようかと考えるのがまず最初でしょう。それをおろそかにして新たなことを法令上明確にするというのは、順番が本末転倒ですよ。それについて答えてくださいということを聞いているのです。
 それから、これは企画官でなくていいです。1.8兆円の調剤技術料をどう思うのですかということを聞いているのです。局長、何か言っていただけますか。
○宮本医薬・生活衛生局長 
 調剤報酬をどのぐらいに設定していて、今、1.6とか1.8という数字が使われていることに関してどう思うかということでございますけれども、ここは中医協で御議論はありましたので、これに関して私のほうからそれをどう思うのかということについて答えるのは、差し控えさせていただいたほうがよろしいかと思っています。
○森田部会長 手を挙げていらっしゃいます、村島委員、どうぞ。
○村島委員 私も初回に医薬分業のありがたさを否定してしまった立場でございますけれども、その後もお話ししましたように、とてもすばらしい薬局業務をやっている者が身近にもおりますし、薬局業務としてしっかりやっていっていただきたいという思いはあります。
12ページの平成27年の薬局ビジョンなのですけれども、一般のいわゆる町の薬局としての業務と、あとは高度薬学管理をする業務が大きく分かれると思います。ほとんどが一般の地域の薬局としての業務だと思いますけれども、全体が底上げになってもらわなければいけないのです。そのために見える化、すなわちどのように取り組んでいるかということが見えるということは、総論としてはよいことだと思います。気になったことがあります。さきほど処方時だけの指導ではなくて、その後の服薬指導もという話が出ておりましたが、患者さんの病態とか、薬によってそういうものが必要な場合とそうでない場合があるわけです。もしも処方後の服薬指導にも加算がつきますと、不必要な指導が追加されていくのではないかと危惧しております。そういうところまできめ細かく考えて、つくっていただきたいという思いがあります。
もう一つは、高度薬学機能も大事なのですけれども、実際、どのようなトレーニングとか研修をすればいいというだけではないと思います。その後の評価、その能力の評価とか、そういうものも含めてしっかり考えていただきたいと思います。
○森田部会長 ありがとうございます。
 乾委員、どうぞ。
○乾委員 中川委員から、報酬に関する部分について非常に懸念を示されたということでありますけれども、まずは、制度として、しっかりと今まで皆さん委員の方々に御意見をいただいた。それらについて薬剤師会としても真摯に受けとめて、やれているところもあります。ただ、やれていないところも多くある。
 それが、例えば、14ページの資料で、来局日以外の継続的な服薬指導についても、現状、実施が39.9%、この基本的な機能に持っていったらどうかということについても、4割のところはできておるということに、徐々にですけれども、なってきておるところもあるわけでございます。
 また、これまで医薬分業が進展していったのは、先ほど中川先生がガイドラインの話を薬局業務運営ガイドラインの話をしていただきましたけれども、そこから徐々に、これは決して国が全て出しなさいという命令といいますか、強制的にしたのではないことは皆さん方も御存じのことで、前回、花井委員もおっしゃられたとおり、処方を書かれるのは医師でありまして、院外処方箋にするか、院内調剤にするか。ただ、院外処方がここまでになってきたにもかかわらず、期待されているような効果がまだまだ発揮できていないのではないか。そのことについて、しっかりと今までも議論してきたし、今回、薬局機能について、また、薬剤師の職能について、しっかりとこういうものを制度化するほうが、この39.9%が100%になるのではないか。これについては、薬剤師会としても賛成です。変わらなければならないということを、しっかりと国民の方々にも見せるといいますか、理解していただくためにも必要ではないかと考えております。
 今回の議論の視点として、日本薬剤師会の意見も少しお話しさせていただけたらと思います。
 この薬局が持つさまざまな機能が、今回の議論の視点では、医療という面から論点整理をされておりますけれども、したがって、この資料の中で医薬分業というのは、医師が交付した処方箋に基づき薬剤師が調剤をするという場面が想定されております。ただ、薬剤師及び薬局の機能は、医療における調剤だけではないということは、皆さん、御存じのことだと。全ての医薬品の適正使用、提供まで含むものであると日本薬剤師会は考えておりますし、今回の議論は、医療という観点で、薬局としては調剤という視点で議論が求められていると解釈しておりますので、それを前提として考え方を話させていただきます。
 先ほど言いましたように、医薬分業とは、医師が交付した処方箋に基づいて調剤するということですけれども、それだけを指すのではない。医師と薬剤師の連携のもと、なかなか連携が私と中川先生とでうまくとれていないのかもわかりませんけれども、この連携のもとで、現場としては、しっかりと薬剤師が職能を発揮して、地域住民に対する全ての医薬品の適正使用、医薬品の提供について、薬剤師がしっかり責任を持つものであると考えております。そして、その薬剤師がその業務を行う場所が薬局であります。その機能もしくは役割をしっかりと果たしていくということです。
 また、きょう資料として出ておりますけれども、資料2-1は私が7月5日に提出させていただいた資料でございます。その現在の薬局の機能を踏まえて、それに基づく類型化を行うということで、その内容を地域住民や患者が把握できるようにする必要があるということを述べさせていただきました。これは、山口委員もそういうことをしっかりとやらないとという意見もいただいておりますけれども、私もそうだと思っております。
 先ほど申し上げましたように、薬局とは調剤のみならず調剤及びOTC医薬品を含めた全ての医薬品を提供するもの、また、そこに従事する薬剤師はその責任を担うものということは言うまでもないと考える。
 しかし、一方で、これまで何人かの委員の方々から御指摘いただきました。調剤しか実施していない薬局がある。すなわち、現行法で定められている疑義照会とか、薬剤情報の提供、指導を含めた最小限の業務しかしていない薬局があるのは、本当に私としては残念なことだと思っております。我々としては、全ての薬局並びに薬剤師は、患者から求められる、かかりつけ機能を提供するべきであると考えております。すなわち、最小限の範囲の業務しか行っていない薬局を、基本的な機能を有する薬局として整理することには抵抗があります。とはいいましても、仮にそのような薬局を基本的な機能を有する薬局と整理するのであれば、我々としては、薬局の機能に応じて、先ほどから意見が出ております3つの区分に類型化してはどうかと考えております。
 一つは、基本的な機能。もう一つは、地域密着型の地域包括ケアシステムの中での服薬情報の一元的かつ継続的な把握を行い、また、在宅対応を行い、夜間・休日対応を行い、受診勧奨や処方提案などを含めた医療機関連携、医療機関との連携などの機能を持つ、また、他職種との連携を持つことも必要だと考えておりますけれども、そういうかかりつけ機能を有する薬局が一つの類型だと思っております。3つ目が、高度薬学管理機能として、例えば、抗がん剤や抗HIV薬等のニーズに対応して、特定機能病院のような一定の機能を有する医療機関との連携を図るなどの高度薬学管理機能を有する薬局が必要なのではないかと考えます。
 確かに高度な機能を有する病院との連携になりますけれども、そこでも地域によって環境が違いますので、地域密着型の薬局が高度管理機能を有する薬局にもなるのではないか。ただ、村島先生が懸念されているような箱の要件だけではなく、人の要件等もしっかりとそこでは議論していただいて、地域の薬局、医療機関だけではなくて薬局等の連携もしっかりととれるような機能を有する薬局を、ぜひ制度化をしていただきたいということで日本薬剤師会としては考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 今、乾委員のお話の中で、最低限しかやっていないというところを基本と位置づけると、今までと何ら変わらないのではないかと。最低限のところはだめなのだということが問題になって今回議論しているのではないかと思いますので、そこは類型化していく必要があるのではないかと思ったことに加えて、先ほど、中川委員が、20ページ、21ページのところで法制化する必要があるのかとおっしゃったのですけれども、私も最低限のことしかやっていない、調剤しかやっていないようなところが、それだけで経営していけるような仕組みづくり自体がこれまでの問題をずっと招いてきていると思いますし、言ってみれば、当たり前のことをやっていないではないかと。当たり前のことをやろうとすることをこれ以上待っていても、多分やってもらえないのではないかというところで、こういうふうな基準づくりをして、この基準の中には、法制化すると、当たり前のことをやっていなければそこは薬局ではないということになると思いますので、言葉は難しいですけれども、自浄作用を待っていたのでは追いつかなくなっているのではないかということで、今回、法制化する必要があるのではないかということが出てきたのだと、私は思います。
○森田部会長 阿真委員、どうぞ。
○阿真委員 12ページにある薬局ビジョンなのですけれども、よく見れば見るほど、実際の調剤薬局がこういう機能を果たしていたら本当にいいなと、どこを見ても思うもので、健康相談の受け付けだったり、これは健康サポート薬局のところですけれども、受診勧奨だったり、関係諸機関の照会だったり、本当にこれは理想的な話で、平成27年10月にこれが公表されて、今、3年たって「健康サポート薬局」という名称も「かかりつけ薬剤師・薬局」という言葉も、ちまたでほとんどというか、全く聞くことができなくて、もちろん私も含めて国民も知らないということを、それも問題ではあるのですけれども、こういうことが理想的で、こういうことを目指しているんだよということが、薬剤師さんたちに本当に伝わっているのかなということがちょっと思うところです。
 というのは、コンビニなどで働いていたり、そういう機能を一緒に追加しているようなところで働いている薬剤師さんが、私はコンビニのレジのようなものだからということをおっしゃるのですけれども、実際そういう役割が求められている部分もあるかもしれないのですけれども、そういうことだけではなくて、これだけ高い専門性を発揮してやらなくてはいけないということ自体が、求められていること自体が伝わっているのかなということがまず疑問です。
 法令上明記することで進むのであれば法令上明記していただくことも大事かもしれないのですけれども、もっと薬剤師教育の中とか学会の中とかでもっと伝えられるのではないかと、副会長はかなり変えていきますということをおっしゃったので、それはそうなっていくのかもしれないのですけれども、法令上だけではなくてもっとできることがあるのではないかと思います。
 やったほうがいいけれどもやれないという14ページのお話などもあったのですけれども、これも薬剤師さんがやったほうがいいということができない現場ということは、経営者に問題があるのか、親会社なのか何なのかわからないのですけれども、そういったことを含めて、メディアでも、この健康サポート薬局の話とか、かかりつけ薬剤師薬局の話とか、ほとんど、当時は出たかもしれないのですけれども、その後、継続的にニュースになるような話ではほとんど見受けられないというか、薬のことでちょっと出てくるときがあるぐらいで、国がやっていることの中でもこれはかなり国民の認知が低いものだと言っていいのではないかと思うのですけれども、ただ、これはよく見れば見るほどとても理想的な話だと思うので、本当にこれが進むために、薬剤師さんもそうですし、企業だったら、その薬剤師さんたちの教育とか、もっといろいろなことができるのではないかと思います。
 以上です。
○森田部会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 私も山口さんと同じ意見で、今回、法令改正をして、やらなければいけないことを書き込むということは、別に加算への布石ではなくて、むしろ薬局の淘汰、一種のレッドカードというか、退場命令のようなものだと思っています。既に山ほどくだらない加算がたくさんあって、済みません、乾先生の隣で言うのもなんですけれども、山ほどろくでもない薬局がある中で、別にやらなければならないことを書き込むことは、何ら別に加算とは関係なくて、むしろこういうことを満たしていなければおまえは薬局ではないと、機能を果たしていないときちんと書き込むということが、今回の法令改正の将来的な医薬分業に通じる意味があるものかと思います。
 厚労省の資料を見ていると、確かに12ページの図はたくさん出てきて、ほとんど理想郷に等しいというか、やっているところがないということが現状ではないかと思っていて、この図が頻繁に出てくることが、国民の人とか、一般の人との心理的ギャップを逆に拡大してしまうというか、むしろこういうものではなくて現状はこうなのだから、だめなところはちゃんと整理していく、淘汰していくということをちゃんと法令上で書き込むことで、一つ姿勢として示していくことが、12ページにつながるような、本来理想とすべき薬局へ向けた条件整理であると考えております。
 以上です。
○森田部会長 中川さん。
○中川委員 山口委員と伊藤委員が言ったのは、私も20ページ、21ページを薬剤師がやるべきだと思っていますよ。やるべきだと思っているのですが、こういうふうに法令上明確にして、山口委員がおっしゃっているのは、ペナルティーですよね。これを守れなかったら薬局でないと。事務局、そんなことができますか。そういう意味でこれは法令上明確にすべきと書いてあるのですか。
○安川薬事企画官 事務局ですけれども、明確にすることと、あとはそういったことをやった・やらないというところに関してどういった形で対応するかということは、別の話だと思います。規定の仕方として、例えば、こういう11ページ目の資料にあるような情報提供とか指導の規定でございますけれども、努力規定なりいろいろな規定、あるいは、薬局の開設許可の要件になっている場合の対応とか、さまざまにある中で、どういった形でこういったものを明確にして要件づけをするかと思っております。
○中川委員 私は、法令上明確にして、ペナルティーのときに、守れなかったら薬局として認めないということは非常に難しいし、それは余りよくないことだと思っているのですよ。ペナルティーでなくて、これはおみやげに見えるのです。なぜかというと、服薬期間中に何回服薬状況の把握をしたか、月1回やっていたらどうだとかを要件にして、新たな調剤報酬ができるのも目に見えていると私は思うのですよ。5回ぐらい改定を経験しているので見方が違うのでしょうけれども、皆さん、これは決して考え過ぎではないですよ。それを牽制しているのですよ。理解ください。
○森田部会長 赤池委員、どうぞ。
○赤池委員 中川先生がそういうふうに牽制されるのはごもっともで、私もそこはもちろん賛成いたします。
 ただ、今、問題になっています、20番、21番の文言は、私は非常にありがたいことだと思っております。今、たしか医学業育でもナラティブ・ベイスト・メディスンということが入ってきて、薬学における薬剤師教育においてもナラティブということが非常に重視されてきています。いわゆる患者さんの背景ですね。あるいはどういうことを考えておられるかということを長期間にわたってフォローしていて、それをもとに最適な薬物の服用を行っていただく、あるいは行うような場合にどういうふうに対応するかということを考えていくということがあります。
 恐らく、今もそうなりつつあると思うのですけれども、薬局における調剤というものが、いわゆる点として、調剤を行って患者さんにお渡しするというものはあくまで一つの大きな全体の流れのパートにすぎなくて、できればその前から患者さんとコンタクトがあり、もちろんお渡しした後には、服用期間が終わるまで、治療されるまで、定期的に患者さんといろいろな形でお話しして服薬状況を把握していく。また、その中で必要な情報は、医療機関にも提供する。それが、つまり、薬局あるいは薬剤師の役割が非常に大きく変わりつつあるのだろうと思います。
 それをうまくここに入れていただいたということで、中川先生が懸念されるようなことはもちろんあるとは思いますけれども、私はそういったことを法律で明記していただくことは、そういったことを推進する上で非常に大きな力になっていくのではないかと考えます。
○森田部会長 ありがとうございます。
○乾委員 先ほど、阿真委員から、この患者のための薬局ビジョンとか健康サポート薬局はまだ全く目に見えていないと。本当にできている薬局を紹介したいぐらいなのですけれども、これらについて、しっかりともっと国民の目に見えるように、日本薬剤師会も、啓発といいますか、PRはしているのですけれども、まだまだそれが全然足りないなということはよくわかりましたし、その辺についてもしっかりと今後国民の目に見えるように、また、薬局が具体になっているということも含めて、しっかりとアピールできるようにしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○森田部会長 あと5分ぐらいになりましたし、多分この議論は尽きることがないと思いますので、次回、またそういう機会を設けていただきたいと思います。
 私が議論を聞いていて感じますのは、少なくともこの部会で現在議論しておりますのは、薬機法の改正に向けていわゆる法改正に必要な論点は何かということを絞って、それにつきまして議論をしていく。
 これは、アジェンダの多さと時間の関係から、そこに集中するということは、前回、前々回で御了解いただいたところだと思っております。その意味でいいますと、きょうのお話を聞いていた場合に、現在の法制度のもとでも法の理想とするところとの乖離がかなりあるということですけれども、これは現行法の執行あるいは運用を変えることによって、十分にそれはカバーができるのか。あるいは、法律を改正しなければ事態が改善されないのか。その場合も、新しい状況に応じるために、きちんとした法律上の根拠が必要なのか。あるいは、そうではなくて、現状をもっと法の目指すところに近づけるために、例えばペナルティーというお話がございましたけれども、そうした形での義務づけを強化する必要があるのか。
 その辺について、もう少し何をどう変えたら事態が変わってくるのかということについて、事務局も含めて少し整理をしていただいてから議論いたしませんと、いろいろと拡散してしまう。これはずっと続く可能性があると思います。それ以外にも重要なアジェンダがございますので、それについても十分な審議の時間をとることになりますと、今、申し上げましたこの件に関して、何が法律上の問題であって、何を変えるべきなのか。きょうは、法律の専門家の山本委員は欠席ですけれども、昔、私も法学部にいましたので、そのときに習ったことを言いますと、権利・義務をきちんと書くことが法律の根拠であり、それはミニマムの義務であるということだと思います。
 昨今の行政法は努力義務や理想も随分条文の中に書いておりまして、それを根拠に診療報酬がつくかどうかまで私は何とも申し上げられませんけれども、そうしたことも含めて法改正で考えるとしますと、かなりその法律の中身が拡散してしまう。何でもかんでも法改正すれば現実はともかくいいというものでもないと思いますし、実際に法に書かれている以上は、国民に対してきちんと薬局なり何なりが義務を負うことですから、それを担保できるような形での法律が必要かと思っておりまして、そういう意味で言いますと、事務局にお願いしますけれども、議論の論点を整理していただければと思います。
○中川委員 一言、いいですか。
 この制度部会が薬機法改正に絞った議論をするという合意は、私はしていないと思います。それで、医薬分業のあり方については、法改正ではなくて、何らかの形を残してほしいと言いましたよね。前回、お願いしましたよね。そして、その薬機法の法改正にこだわるから、20ページ、21ページで済まそうということになるのですよ。そうではなくて、大局的な幅広い医薬分業についての議論をしてきたはずです。ぜひその辺のところをお考えいただきたいと思います。
○森田部会長 その辺につきましては、前回の私の整理が不十分だったのかもしれませんけれども、今、中川委員が指摘された問題をこの部会で議論すること自体は、全くそのとおりであり、非常に重要だと思います。
 ただ、少なくとも年末までに、法改正につきましては、明確に何をどう変えるかということにつきまして、この部会として決定しなければならない。その意味でいいますと、法改正が必要な事項について優先的に議論をするという形で御了解いただいたと思っております。
 ただし、この薬剤師・薬局のあり方についても法改正の必要なところがあるならば、それについて、問題提起といいましょうか、きちんと提案をしていただきたいということが前回の結論だったと理解しております。それにつきまして、前回に出ましたのは、薬局の機能分類とか、そうしたことについてきちんと法的に整理する必要があるならば、それを御提案いただきたいという形で申し上げたと思っております。
 したがいまして、この問題が、もし今回の法改正で十分な対応ができない、結論が出ないのであるならば、これは先に送るということになるかもしれませんけれども、そのときにはこの部会でもってじっくりと時間をかけてこの問題を議論していただくべきではないかと思っております。
 最後に、部会長が余計なことを大分お話ししましたけれども、そういうことできょうのところは閉めさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 事務局から事務的な連絡があるということですので、お願いいたします。
○鳥井総務課長 次回、第8回医薬品医療機器等制度部会の日程は、11月8日、木曜日、10時からを予定いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
 ぴったり12時に終了いたしました。どうもありがとうございます。これで終わりにします。