子ども食堂における衛生管理のポイント

 子ども食堂(「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について(通知)」(平成30年6月28日付け子発0628第4号、社援発0628第1号、障発0628第2号、老発0628第3号)において示されているもの)における衛生管理のポイントをまとめました。

 子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について(通知)[PDF形式:4,128KB]

 この衛生管理のポイントを活用いただく子ども食堂は、各保健所において、営業許可、届出などが不要とされた場合を想定しています。
  ※保健所への届出などが必要になる場合がありますので、保健所に相談しましょう。

 中でも特に重要度が高い項目には◎をつけてあります。これらのポイントをしっかり守って、食中毒などの事故の発生を防ぎ、楽しく安全な子ども食堂の運営を行いましょう。
  ※これらのポイントについて、チェックリストを作成しました。万一、食中毒が発生したら、保健所に連絡を取りましょう。
  ※緊急時の連絡先リストを作成しました。これらのリストを目立つ場所に貼って、活用しましょう。
 
衛生管理のチェックリスト
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1.計画段階

  • ◆ 子ども食堂を開設する前に、最寄りの保健所に相談し、食品衛生に関する指導・助言などを求めましょう。
  • ◆ 調理担当者は食品衛生に関する基本的な知識を習得するように努めましょう。各自治体で食品衛生責任者養成講習会なども開催されています。
  • ◆ 調理施設の規模や設備、調理担当者の数・力量等に応じた、無理のない献立や提供食数を決めましょう。

2.調理施設の衛生管理

  • ◎ 調理施設は、給湯設備や手洗設備などの調理施設の要件が整っている施設を使用しましょう。調理施設は、清潔に保ち、調理作業に不必要な物品を置かないようにしましょう。
  • ◆ 手指を洗うための石鹸や消毒液、ペーパータオル( ※ ) 、調理器具を洗うための洗浄剤や消毒剤、清潔なふきんなどを備えましょう。
  •   ※ 共用タオルの使用は、感染拡大の原因になることもあります。
  • ◆ 洗浄剤などの薬剤は、食品とは別の場所に保管しましょう。また、容器の詰め替え・小分けをする場合には、中身がはっきりと分かるようにラベルを貼るなどして、誤使用を防ぎましょう。
  • ◆ トイレは、作業開始前、終了後など、定期的に清掃及び消毒剤による消毒を行って衛生的に保ちましょう。食堂の利用者等が嘔吐した場合には、ペーパータオルや消毒剤を用いて速やかに嘔吐物の処理を行いましょう。( 詳しくは「ノロウイルスに関するQ&A」を参考にしてください。)

3.運営側の健康と衛生管理

  • ◆ ノロウイルスによる食中毒の多くは、調理担当者が食品を汚染したことによるとされています。調理担当者は、自らが汚染の原因とならないよう、普段から手洗いや健康管理に努めましょう。
  • ◎ 作業開始前に、調理担当者の健康チェックを行い、下痢・嘔吐の症状があるなど体調不良の方は、調理や配膳に携わらないようにしましょう。
  • ◎ 手指に傷がある人は調理行為に参加しないようにしましょう( 黄色ブドウ球菌などによる食中毒の原因になることがあります。) 。どうしても参加する必要がある場合は、絆創膏・使い捨て手袋などで傷を保護しましょう。( ただし、絆創膏などが食べ物に混入しないように気を付けましょう。)
  • ◆ 手指の爪は短く切り、指輪・腕時計等の装身具は外しましょう。
  • ◆ 調理担当者はエプロンや三角巾、必要に応じてマスクなど、清潔な作業衣を身につけましょう。髪を清潔に保ち、必要な場合は結びましょう。また、トイレを利用する際や清掃(特に、トイレ掃除)の際は、調理時の作業衣を取り外すようにしましょう。
  • ◎ 石鹸と流水を使ってこまめに手洗いをしましょう。予め手洗いが必要なタイミング( トイレの使用後、調理前、盛り付けの前、作業内容が変わるタイミング、肉類や魚介類など生の食材を扱った後、お金を触った後、清掃を行った後など) を確認しておくとよいでしょう。
  • ◆ 使い捨て手袋の着用を過信せず、着用するときも衛生的な手洗いを行いましょう。

4.原材料の受入れ

  • ◎ 肉類、魚介類、野菜等の生鮮食品については1 回で使い切る量を調理当日に仕入れるようにしましょう。
  • ◆ 包装が破れているもの、腐敗しているもの、消費期限が過ぎているもの、保存方法が守られていないものがないかチェックしましょう。そういったものが見つかった場合は、調理に使用せず、廃棄しましょう。
  • ◎ 冷蔵や冷凍が必要なものについては、速やかに冷蔵庫または冷凍庫に入れ、室温に置かれる時間をできるだけ短くしましょう。
  • ◆ 生肉や鮮魚介類などの食材は蓋付きの容器などに入れ、他の食材を汚染しないよう、冷蔵庫の最下段に区別して保管しましょう。
  • ◆ 作業開始前に、冷蔵庫・冷凍庫内の温度を確認し、冷えていないなど異常があったときは、食材の状態に応じて使用を取り止めるか、よく加熱して提供するようにしましょう。

5.下準備

  • ◆ 冷蔵庫・冷凍庫から出した原材料は、速やかに下処理、調理を行いましょう。冷凍食品は室温で解凍せず、冷蔵庫または流水で解凍しましょう。
  • ◆ まな板、包丁などの調理器具や容器は、肉類、魚介類、野菜などの用途別に使い分けましょう。それが難しい場合は、使用の都度、洗浄剤でしっかり洗いましょう。
  • ◆ 器具、容器等の使用後は、水道水で水洗いした後、洗剤を泡立ててよく洗浄し、再び流水で洗剤を洗い流します。さらに、熱湯や塩素系殺菌剤、70%アルコールなどで殺菌し、よく乾燥させて、清潔な場所で保管しましょう。
  • ◆ ふきんやタオルなども洗剤でよく洗浄した後、可能であれば、5 分間以上、煮沸殺菌するか、塩素系殺菌剤で殺菌します。清潔な場所で乾燥させ、保管しましょう。

6.調理

  • ◎ 前日調理は行わないようにしましょう。また、調理完了後、概ね2 時間以内に食べ終わるような運営に努めましょう。
  • ◎ 魚介類や、野菜・果物は、流水でよく洗いましょう。
  • ◎ 特にお年寄りや幼児、妊婦など抵抗力が弱い方には、刺身やサラダ等、生もの( 加熱調理していないメニュー) の提供は避けましょう。
  • ◎ 生の食材( 肉類、魚介類、生野菜など) を扱う調理器具( 包丁、まな板、菜箸、トング、保存容器など) と、加熱済みの食品に使用する調理器具は、それぞれ専用のものにするか、それが難しい場合は、使用の都度、洗浄剤でしっかり洗いましょう。
  • ◎ 食品( 特に肉類)は中心部までよく加熱( 中心温度75℃ で1 分間以上)しましょう。( 目安として、肉類は肉汁が透明になるまで。スープ類は沸騰するまで。)
  • ◎ 調理後は、速やかに配膳しましょう。調理済みのものは室温で放置せず、熱いものは熱いまま( 60℃ 以上)、冷たいものは冷たいまま( 10℃以下) に保ち、早めに消費するようにしましょう。
  • ◆ どうしても保存が必要な場合は、鍋を氷水で冷やす、小分け容器に移すなどして速やかに温度を下げ、冷蔵庫に入れるようにしましょう。温めなおすときは、よくかき混ぜながら十分に加熱しましょう。※ 特にカレーやシチューなど、大鍋で大量調理したものを室温に放置すると、酸素のない状態を好む食中毒菌( ウェルシュ菌) が増えやすい環境になってしまいます。ウェルシュ菌は熱に強いため、通常の加熱では死滅しません。

その他考慮すべき事項

異物について

  • ◆ 特に金属など硬質性の異物は健康被害を及ぼすこともあります。原材料に含まれる異物の確認も含めて、調理作業中での異物混入を防止しましょう。
  • 食物アレルギーについて

  • ◆ 「学校給食における食物アレルギー対応について」などの資料を参考に、食物アレルギーを持つ方への対応について、緊急時の対応も含め、計画の段階でよく検討しておきましょう。
  • ◆ 食物アレルギーについて特別の対応を行わない場合は、事前にその旨を参加者に情報提供するようにしましょう。
  • 食事中の誤嚥・窒息について

  • ◆ 特に小さなお子さんが参加する場合、窒息事故が起きないよう、メニューや食事の提供の仕方について配慮しましょう。
  • ◆ 万一、窒息事故が起きた時に備えて、応急処置の方法を確認するとともに、近隣の医療機関等、緊急時の連絡先を控えておきましょう。
  • その他

  • ◆ 子どもとの共同調理など、運営者以外の者が調理に参加する場合、上記の衛生管理のポイントが守られるよう、運営者側が責任をもって監督・指導しましょう。
  • ◆ 万一の事故の発生に備えて、個人や団体向けの保険への加入を検討しましょう。保険加入については、最寄りの市区町村社会福祉協議会などで相談することが可能です。
  • ◎ 食中毒等の発生時に調査が円滑に行えるよう、献立や食材の購入先・購入時間等の記録( レシートなどで代用可) を最低1 ヶ月は保管しておきましょう。
  • ◆ 可能な限り、メニューごとに約50g をポリ小袋など清潔な容器に採取し、冷凍保存( 2 週間程度) しておきましょう。
  • 参考資料

    衛生管理について

    食物アレルギーについて

    誤嚥・窒息事故について