田村大臣閣議後記者会見概要

H25.7.16(火)11:10 ~ 11:31 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日、私の方からはですね、先般の社会保障制度改革国民会議の中においてですね、各社いろんな報道をいただいておるんですが、報道の中にもいろいろとばらつきもございまして、改めてですね、私の方からこれに関しましてコメントをさせていただきますが、12日の国民会議は広く委員の皆様方の御意見をですね、聴取をするというものであって、何ら方向性を決めるものでもございませんでした。今までの論点整理等々に留まっておるところでございまして、そういう意味ではですね、いろんな報道になっておるという意味ではですね、改めて方向性を決めるものではないということが1点。それから、年金の支給開始年齢の引上げに関しましても、いろんな御議論といいますか、報道がありましたけれども、これは今2025年まで65歳に引上げる最中でありまして、そこまでに引き上げるなんてことはまずありえないわけでありまして、中長期的な一つの論点の中で、こういう御議論もあるねという、そういうような話でございます。何よりも、年金はですね、今のところ年金財政に関しましては、安定をするような方策をとってきておるわけでありまして、支給開始年齢の引上げと年金の安定性という問題を考えた時にですね、何ら支給開始年齢を引き上げなければ年金の安定性が失われるというものではないわけでございますので、そういう意味では、年金の支給開始年齢の引上げを決めたものでも何でもないということでございまして、御理解をいただきたいというふうに思います。それから、70歳から74歳の患者負担の見直しに関しましても、前回もここで私、皆さんの御質問に関しまして、一応御返答させていただきましたが、ずっと言ってきていることは変わっておりませんので、あくまでもですね、これはなるべく早く、これ本則に戻すということで、与党と御相談をさせていただくと。その中においてはですね、低所得者に対する対策等々、これをしっかりとやるということが前提でございますので、これも含めて、今議論をしておる最中でありまして、いつ引き上げるかということがまだ決まっておるわけでも何でもないということでございます。なるべく早くという流れの中において、与党と御議論をさせていただいていくということでございます。それから、後期高齢者支援金の総報酬割に関しましても、総報酬割、これ全て3分の1からですね、全面という方向性というものに関して、いろんな御議論があったということでございます。ただ、これによってですね、浮いてくる財源といいますか、それに関してはですね、どこに使うかということは、意見が分かれておりまして、方向性が示されているわけではありません。この使い道によってはですね、そもそも総報酬割を全面導入すること自体に反対であるというような意見もあるわけでございますので、これに関しましても、これから御議論をいただくということでございますので、あくまでもですね、前回の国民会議において、何か方向が決まったということではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。私からは以上でございまして、御質問をいただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

質疑

記者:
特別養子縁組という制度があって、あれを巡ってですね、斡旋(あっせん)をしている民間団体がですね、養父母から多額の寄付をですね、受け取っているような事例が発覚しましてですね、今自治体を通じて実態把握というか、調査をされていると伺っておりますけれども、この問題に関する大臣の御所見をまずいただいてよろしいでしょうか。
大臣:
本来、いろんな取り方といいますか、名目でお取りをいただいておるようで、手数料でありますとか、寄付金というような方法もありまして、実費というような形もあるようでありますが、あくまでも実費を超えちゃいけないというふうなルールになっております。ただ、その実費中身っていうのは、本来例えば交通費でありますとか、かかった経費という考え方でございますので、今非常にそこが曖昧になっているという意味では、今言われたような御心配な点が起こってきておるということもあるようでございますから、ここを精査させていただいて、例えば明細をつけていただくだとか、いろんなことをですね、これから検討をさせていただきたいと。いずれにいたしましても、これ、営利でやっていただいたら、これは駄目な法律になっておりますので、営利にならないような形でですね、ちゃんと実費という上限の下において、お金がそこでですね、授受がされるというような透明性の高い、そういう制度にしていくべく、検討をさせていただきたいというふうに思っております。
記者:
これから考えていきたいという御発言もあって、重ねての質問になるんですけど、たとえば、お金以外でもですね、養子縁組した記録がですね、民間団体任せになっていて、団体がなくなってしまうと散逸してしまう恐れがあったりとかですね、届出行為なので、ぽっと届け出れば出来てしまうというのも問題じゃないかというような御意見の方もいらっしゃってですね、公的関与を強めるべきではという御意見もあるんですけども、今一歩踏み込んだ制度改革の必要性についてお考えがありますでしょうか。
大臣:
今、記録管理の問題に関してはですね、ちゃんとしたルールができていないので、これに関しましても、どのような保管方法、それからどういうような内容ということも含めて、これから検討させていただきたいと思いますし、また、途中でなくなってしまったような斡旋をされる団体ですね、こういうところの保管に関しましても、言われますとおりですね、御本人にしてみれば、そういう記録がなくなることによってですね、非常に自分の出自等々に関してですね、分からなくなってしまうというようなこともあるわけでございますので、そういうものに関しましてもですね、どのような形で保管が可能なのかということも含めて検討をさせていただいて、ルールを作ってまいりたいというふうに思います。
記者:
冒頭のお話の中の、年金の支給開始年齢のことで、引上げの議論のことでちょっとお尋ねしますが冒頭の大臣の御発言では支給開始年齢を引き上げないと財政の安定性が損なわれるものではないという御認識だったということをお話しされていましたけれども、そうすると大臣としてはこういう中長期的な課題としての議論も必要ないという認識なのか、それはそれとしてやっぱり議論していく意味があるとお考えなのか、そこはいかがでしょうか。
大臣:
今現状ではですね、申し上げましたとおり年金財政というものが破綻に向かっているわけではございませんでして、要するに特例水準、それから物価が上がることによってですね、マクロ経済調整というものが働けば当然今の積立金の必要額を今クリアをさせていただいているわけでございますので、年金財政というものに関しては制度上問題があるということではなくなって来ておるということでございますので、安定してきておると、合計特殊出生率も予想値よりも上の今数字になっております。そういう意味からいたしまして、よく4.1パーセントの運用利回りの話もあるんですけれども、これも実質運用利回りってのは御承知のとおり、名目賃金上昇率との差というような話でございますので、これでいくと確か1.6だったと思いますよね、1.6の運用利回りはクリアできているから積立金もですね、今現在必要な額を上回っているわけでございますので、そういう意味からいたしますと、今言われた話でありますが、ただ一方でですね、年金の支給金額をさらに上回る、今よりも高いような形になるという話になればそれは当然、仕上がればその分だけ今よりも65歳でスタートしてもらえるよりも多くもらえるわけでございますよね。でも今もそういう制度はあるわけでございますけれども、そういうようないろんな頭の体操の中においてですね、年金の支給開始年齢の引上げというようなことも含めて、国民会議の中ではいろんな御議論があられたんであろうなというふうに思いますから、そういう御議論があったということはですね、それは我々、国民会議の御議論でございますので参考にはさせていただきたいというふうに思いますが、いずれにしても国民会議でまだ決まったことでも何でも無いわけでございますので、国民会議でですね、結論がどういう書きっぷりになるのかということも含めて、我々は注視をさせていただきながらその後の制度設計をさせていただくということになろうというふうに思いますので、決まってからまた御質問をいただければありがたいと思います。
記者:
32の年金基金で、業務経理の余剰金について省令で禁止されている元本割れリスクの運用があったことなんですけれども、これについて2点お伺いします。まず大臣の受け止めを1点と、それからこの問題を含めた再発防止策についてお聞かせください。
大臣:
我が省でも把握いたしておりまして、7月12日にですね、地方厚生局の方に指示をさせていただいて、こういうような本来のルールでは認めていないことが起こっていると。これは今般の厚生年金基金の実際問題預かっている方の運用というものがどういうことが起こっているのかということを見ると同時に、今度はこの業務経理、業務経理というのは預かっている方ではなくて自分たちのいろんな給与管理だとかいろんなものをする中の経理ですよね、こういうものもやっぱり見てみないといけないなということで、注視して見る中においてやはりおかしいことがですね、本来のルールに則っていないことが起こっているということでございまして、これに関してはですね、預かっているものではないにいたしましても、職員の方々のですね、いろんなものが変なものにね、変なものっていうか本来リスクの高いもので運用しちゃいけないというのに運用されているということになれば、将来的にその方々の人生設計がもしかしたら運用失敗すればです、起こってくる可能性があるということでございますので、あくまでも業務経理に関しましてもそのようなことがないようにしっかりと指示をさせていただくということでございまして、対応させていただきたいというふうに思っております。地方厚生局の方からたぶん指導を行っていくということになると思います。
記者:
田村大臣、先般ですね、福島で森まさこ大臣の応援演説の時にですね、育児休業給付の引上げについて検討を指示したと話があったんです。今後労政審で審議があると思うのですが、やっぱりこの財源がですね、大変課題だと思いまして、働く人にとっては大変良いことだと思うんですが、一方で保険料の値上げとかですね、そういうふうになったらまた議論がいろいろあるのかなと思いまして、現状、大臣は財源についてはどういうことをお考えになってらっしゃるんでしょうか。
大臣:
これは労政審でこれからお話をいただく話になると思います。ただ、世の中のですね、やはり流れというのは子育てというものに対して社会が寛容に優しくなっていかなきゃいけないということでございますので、そういう流れの中の一環といたしまして、なかなか男性の育児休業が取りづらいというのもこの育児休業給付のですね、率が低いというようなことも、一つの理由であろうというふうに推測も出来るわけでありましてね、この給付率というものを引き上げる方向で検討いただきたいということで私の方から関係部局の方に指示をしたということでございます。財源は当然おっしゃられるとおり、それぞれ労働者側、それから企業側、経営者側それぞれですね、御意見もあろうと思いますので、そこでしっかりと御議論をいただきたいというふうに思っております。
記者:
今取り立ててですね、この財源については国でカバーするとかですね、あるいは雇用保険ではなくて一般財源でやることも考えているとかですね、何かその特別なアイデアがあるというわけではないという。
大臣:
一般財源化か雇用保険かというのは別にいたしまして、育児休業給付の引上げをお願いするわけでありまして、当然のごとく労政審の中で御議論をいただかなければいけない話でございますので、そこは御議論いただく中でですね、どういうものを財源にしていくかということはお決めをいただければ、検討いただければありがたいなというふうに思います。
記者:
京都府立医大の臨床試験の問題なんですけれども、厚労省も今調査を各大学に求めていると思うんですが、大学の調査というのは任意調査で、調査にも限界あるんじゃないかなという問題があると思うんですけれども、京都府の知事がですね、調査が行き詰まった場合は刑事告発も視野に検討をしなければいけないんじゃないかというような発言もしているんですが、その辺り大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これから京都府立医大のですね、4大学でも調査が始まっていくというふうにお願いをしておるわけでありますけれども、ちょっとですね、本当にこの問題これからせっかくですね、医療イノベーション、これからいうなれば医療というものをですね、更に加速的にですね、国民の皆様方のやはり健康という意味で発展をさせていかなきゃいけない。ましてや、それも一つ大きな成長戦略の一環としてですね、取り組んでいく中において、大きな一つの課題というのはこの臨床研究というものをですね、どのようにスムーズに進めていくかということであるわけでありますね。その中において今回このような事案が発生したということは非常に遺憾でありますし、今回の調査等々を我々がですね、いろいろと拝見させていただいてもですね、データのねつ造、改ざん、そういうようなことを強く示唆される内容であったというふうに我々も思っておりますので、非常に許しがたい話であります。問題はですね、実際問題これ製薬会社側がですね、一つはこのデータの解析に携わっておられた職員ですね、身分を隠されて実際問題臨床研究に入っておられた、データの解析をされておられた方が会社を辞められたということで、なかなか話が聞けないんだというようなことをおっしゃっておられますけれども、こちらに関してももうちょっと企業努力していただきたいというふうに思います。それは辞められた方ですからなかなか会社の中の方じゃないということでお話をお聞かせをいただけないというのはよく分かりますが、だからもう話が聞けないんだというんじゃなくて、努力はいただきたいと思います。その方がやはりかなりキーマンの可能性もあるわけですね、これは。その方から話を聞かないことにはなかなかですね、この部分っていうのは分かりづらいということでございますので、少なくともカルテ情報とそれから解析用データとの間にですね、強い相違が見られたということでございますから、ここで何らかのことが行われた、自然とそういうことが過ちによって起こった可能性が全くないというわけではございませんが、しかしこの説明の中で、内部調査の結果のですね、京都府立医科大学のですね、内部調査のその内容を見ておりますと、やはりデータのねつ造、改ざんが強く示唆されるような内容であったわけでありますから、意図的に何らかのことが行われた可能性も十分にあるということなんだと思いますので、ここに関わった方の話を聞けないことにはなかなかこれは難しいということでございますから、今刑事告発というようなお話もありましたけれども、とにかくその関わった方にですね、会社側としてもですね、再度御努力をいただいてお話を、事情をちゃんと説明をいただけるような、そういう御努力はしていただきたいなというふうに強くお願いをいたしたいというふうに思います。このままでは終わりませんので、我々としてもですね、強い態度でこの事実解明ができるように努力はしてまいりたいというふうに思っております。
記者:
今の関連ですけれども、厚労省としても検討委員会を設けるということなんですけれども、今強い態度とおっしゃいましたけども、具体的にですね、じゃあどういう形で、自らそれなりに調査に乗り出していくとかですね、それをどこまで考えているのかということと、あと今ノバルティスに対してもですね、努力をということでしたけれども、じゃあ実際具体的にその、例えば大臣が社長に対して要請するとかそこまで考えておられるのか、どの程度。
大臣:
現状ではとにかく会社側のですね、御対応というものをちょっと注視をさせていただきたいと思います。今のところはどちらかというと社員の方が辞められておられるから、なかなか対応困難だというような話で終わっているようでございますけれども、再度の御努力をお願いをいたしたいなというふうに思います。それから当然のごとく、検討委員会を設置をしてですね、その中で再発防止の検討もやりますが、やはりですね、原因分析というものをしっかりやらんといかんと思いますので、我が省としてやれる範囲ではありますけれども、原因分析の方もしっかりとその検討会を通じてやっていかなきゃならんなというふうに思っております。併せてやはりこの倫理指針というものをですね、これを作らないとまたこんなこと、今回のことをちゃんと調査した上で、原因が何であったのかということを分析していくことが私は再発防止の一つの大きな役割になるんだと思いますが、すぐにでもやらなきゃいけないのはですね、やはりこの倫理指針というものをちゃんと作ってですね、二度とこんなことが起こらないように一定の方向性というものは示していかないと、これからですね、我が国で行われるそれこそいろんな臨床の研究がですね、信用が置けないものなんだというふうに思われたのでは、せっかく我々これからこの医薬品、医療機器も含めていろんなものをですね、世界に打って出ようというふうに考えているわけでありますので、そこに水を差すというような話になっては困るわけでありますから、そちらの方もですね、しっかり対応をしていかなければならないというふうに思っております。
記者:
検討委員会の時期的な目途っていうのは考えているんでしょうか。
大臣:
なるべく早くというふうに思っておりますが、ちょっと今政治がこういう状況でございますので。もう政治の状況も終わりますので、その後早急に対応すべき、人選もございますから、そちらの方もございますが、対応させていただきたいというふうに思います。
記者:
先週かなり暑い猛暑日が続いてですね、熱中症患者がかなり出ました。今日あたりはちょっと涼しいですけれども、また暑くなることも予想されていますが、その辺の熱中症患者が多かったことに対しての受け止めをお願いします。
大臣:
やっぱり今年はですね、猛暑ということでございますので、やはり熱中症患者の方々、これは決して外におる方だけじゃなくて家の中に居てもですね、熱中症はかかるわけでございますので、こまめに水分を摂りながらですね、熱中症というものを常に意識していただきながら、暑い日は御生活をいただきたいということでございます。今年はまだこれからも暑くなるというような予報もあるわけでございまして、国民の皆様方にはお気をつけをいただきたいというふうに思っております。

(了)