田村大臣閣議後記者会見概要

H25.6.25(火)9:51 ~ 10:11 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、今日は冒頭にですね、最近、成長戦略や規制改革等々で、いわゆる混合診療のことが言われておりますので、もう一度整理のために混合診療について御説明をさせていただきますが、いわゆる混合診療と言われているんですけれども、混合診療というのは御承知のとおり、法律上の用語ではないということでありまして、なかなかその概念がはっきりしていないという中において、我々もいろいろな報道、それからいろんな記者の意見等々の中でですね、なかなか戸惑っておるわけでありますけれども、基本的にですね、いわゆる混合診療といいますか、保険外併用療養、これは安全性と一定の効果というものが認められるということを前提というのは、これはもうどうしても、たぶんいろんな制度を導入するにしてもですね、そこは絶対に外せないところであるということで、たとえば韓国で禁止されている医療を日本に持ち込んでですね、因果関係は分かりませんけれども、亡くなられたというような事例が、あれは確か京都でしたっけね、ございましたけれども、いわゆるああいうものも入ってくるとなるとこれは大変な問題が起こってくるであろうなということで、やっぱり一定のそのような安全性というもの、それからある程度効果が見込めるというところが必要であろうということで、それを今、保険外併用療養、その中の評価療養の中の先進医療という中で、他にもいろいろとあるんですが、医師主導治験だとかいろいろあるんですけれども、認めておるわけありますが、今回そこをですね、評価の体制を強化をする中において、迅速に安全性、効果というものを一定程度、これを評価した上でですね、先進医療の中に入れていこうと。先端的な例えば抗がん剤でありますとか、そういうものに対してスピードを速めようということを方向性として打ち出したということでございまして、そのような意味からしますと、今まで使えない薬、それからまだ使えないといいますか、要するに併用療養が利かないそういうような医療行為等々、技術ですね、こういうものを含めてさらに速度を速めてですね、保険外併用療養の中で保険と保険外とが一緒に医療行為として処置されるようにということで方向性を打ち出させていただいたということでございますから、かなり今までいただいておりました御心配な点、御不満な点に関しましては、解消が進むのではないかと、このように思っております。いずれにいたしましても、我が国の医療はですね、基本的には保険診療というもの、これは必要なものの安全性と有効性とをしっかり見た上でやるわけでありますけれども、それに向かって頑張っておられるそういうような新しい医療行為や医薬品等々に関しましてはですね、このような保険外併用療養という形でしっかり対応していこうということでございますので、どうか改めて御理解のほどよろしくお願いをいたしたいと思います。ということで、冒頭、いわゆる混合診療について私の方から御説明をさせていただきました。それでは何かございますればよろしくお願いいたします。

質疑

記者:
会期末が迫っておりますが、厚労省も、重要法案が残っておりますが、これについてまず。
大臣:
まだいくつか残っているんですけれども、事実上今審議中なのが生活保護法、それから生活困窮者支援法ということで、この2法に関してですね、残すところ今日明日、事実上今日はなかなか参議院の議長さんのですね、不信任というのが出ているという状況の中でなかなか正常化していないわけでありますけれども、残り少ない中においてですね、何とか与野党、御理解をいただいてですね、会期末に向かって成立をよろしくお願いをいたしたいと思います。
記者:
風しんなんですけれども、ワクチンが8月にも不足するおそれがあるというお話が以前ありまして、現場の医療機関の方に話を聞きますと、予防したいと接種を受けに来る成人男性はなかなか断れないという話がある一方、なかなかもうワクチンが手に入らないんだというような話も聞きまして、これに対する優先接種だけではなくて対策というのは何か考えていらっしゃるんでしょうか。
大臣:
6月20日時点でですね、在庫量、これメーカー、販売業者、卸販売業者等々の合計ですけれども、72万人分残っておりまして、そういう意味では十分にまだ量としては今すぐ切れるというような状況ではないということでございます。一方でですね、やはり偏在が各医療機関や地域で起こるといけませんので、そこは卸販売業者の皆様方にですね、やはり必要な量、必要な分を必要なところに供給をいただきたいというお願いをさせていただいておりまして、どっかに何かがだぶついているというような状況が起こらないようにですね、しっかりとお願いをさせていただいております。今すぐに足らなくなるという状況にはございませんので、その点は御理解をいただきながら、一方で、先週お願いをさせていただきましたように、このままの接種状況が続きますと、本当に皆様方のですね、御報道のおかげをもちまして、かなりこれ予防接種、進んでおります。例年に比べればかなりのペースで進んでおりまして、そのような意味では風しんというものが蔓延(まんえん)をしていかない一定の効果というものをやはりこの予防接種は持っておりますので、我々としてはありがたい話なんですけれども、非常に高いペースで進んでおりますので、そうなってまいりますと8月に向かって需給が厳しくなる可能性があるということもございまして、なるべく必要な方にお願いをすると。必要な方というのは要するに妊娠の予定をされる方、予定されるといってもこれ、予防接種を受けた後、抗体ができるまでの間ですね、一定期間が必要でありますから、そこら辺のところを勘案していただきながら、妊娠を目指していただかなきゃいけないわけでありますけれども、そういう妊娠を予定される方、それから妊娠をされておられる方の御家族等々、周りで生活をされる方に関してなるべくというようなお話はさせていただいておりますけれども、現状まだすぐ切れるという状況ではないということではございます。
記者:
もう1点お伺いします。ちょっと話が変わるんですが遠隔医療についてです。テレビ電話とかを通じて診療を行うもので、以前から普及が課題になっていると思うんですが、これなかなか普及しない現状がありますが、その原因を大臣はどのようにお考えですか。
大臣:
基本的にはですね、診断診療というものですね、これは原則対面という話です、医療行為において。ただ一方で、慢性期ですね、急性期ではない慢性期でありますとか、あと遠隔が必要な僻地(へきち)、離島等々に関しては例外的にこのような形で遠隔診療というもの、医療というものを認めておるわけでありますけれども、やはりそれを、いうなれば認められているということの要件自体がですね、非常に厳しいのではないかというような、そういうちょっと誤解もありまして、要件等々十分に御理解をいただければですね、今言ったような僻地でありますとか、離島等々で遠隔医療というものがやれるわけでありますので、そこはちょっと我々も周知徹底していかなきゃならんなと思っておりますし、併せて、医療機器ですね、遠隔医療、(遠隔)診療するための。そういうものに対してのいろんな費用負担等々、また、運用維持等々ですね、こういうものの費用負担に関しましてはどうするんだという課題があるというのは認識をいたしております。そういうことも含めてですね、補助事業等々も医療機器等々に関してはございますので、そういうものをうまく利用していただきながら進めていただければ必要なところには必要な遠隔医療というものが提供されるのではないのかなというふうに思いますので、ちょっと我々もですね、そこら辺のところ、もう少しうまく周知できるように努力はしてまいりたいというふうに思います。
記者:
普及しない理由の一つに診療報酬の低さもあるのではないかと思われるのですが、これについては。
大臣:
診療報酬は確か、一定程度やってますよね。遠隔病理診断についてですね、平成12年度より、また遠隔画像診断については平成14年度より診療報酬による一定の手当をやって評価をやっているんですけれども、たぶんそれがですね、ちょっとまだ低いんではないかとかといういろんな御議論はあると思いますが、それも含めて今度の診療報酬改定でいろんな議論がなされてくるもんだというふうには理解をいたしております。
記者:
風しんの関連でですが、MRワクチンの供給率が厳しい中で、昨日のワクチン分科会でも専門家から輸入も検討するべきではないかというような意見も出ていますけれども、この輸入って大臣はどうお考えでしょうか。
大臣:
一つは薬事承認をどう乗り越えるかという問題はあると思いますね、それは。やはり承認されていないものですね、安全性というものを一定程度検証していないものをという話になりますとかなりハードルは高いと思います。例の鳥インフルエンザの場合はですね、鳥じゃない。H1N1、だから当時豚インフルエンザでしたっけね。あの場合には、特例承認という形を取りましたが、特例承認はかなりパンデミックに近いような状況みたいな話のハードルが高い部分でありますし、併せてあの時に法律作ってですね、確か救済制度も対応した記憶があるわけで、何かあった時、当然予防接種ワクチンというものに関しては一定程度のやはり副反応というものが予想されますので、それに対する対応ということも結構法整備をするのか何をするのかということを考えなければならないというふうな話になると思います。PMDAの対象にはなるのかな。
事務方:
承認が下りれば。
大臣:
だから薬事承認が下りなければ駄目でしょ。特例承認でもいいんですよね。
事務方:
承認であれば。
大臣:
というような問題もありますから、結構やっぱり、いずれにしてもハードルが高くて、あれ昭和30何年かにポリオか何かのワクチンありましたよね。あの時はそういう制度がなかった中で人道的な対応をしましたけれども、今回の風しんも大変ですよ、大変ですけれども、あの時は肢体不自由といいますか、麻痺(まひ)にかかった子供が何千人と確か出るというような状況の中で、多分判断を、リスクとですね、それから効果といいますか、それを判断されて、多分かなり超法規的な対応をされたんだというふうに思いますけれども、なかなか、確かに1万人超えて風しんの患者は増えておりますが、そのような意味からするとですね、全体としては大人でございまして、それが今度副次的に子ども、つまり妊婦さんのですね、胎児ですね、ここに影響が出るという可能性ですね、感染を通じてという話でありますので、大変問題も憂いておりますけれども、当時のポリオの状況から比べるとですね、なかなかそこまで判断するのが、まだまだハードルが厳しいのかなという認識はあります。
記者:
そうすると今あるワクチンをどう効果的に供給してどう流通させていくかっていうことを。
大臣:
そうですね。72万人分はございますから、例年だいたい30万人分ぐらい、30万人前後の量なんですね。今年はですね、多分百何十万、170万とか180万というオーダーでございますので、まだこの状況のまま推移を見守りながらと。もちろん、爆発的にこれからさらに風しんが増えていくということになれば、どうするかということをまた検討はしなければならないということはあるのかも分かりませんが、今のところですね、まだ72万人分はあるということで、推移を見守りながらですね、対応を考えていきたいというふうに思います。
記者:
先般都議選がありまして、自公が圧勝したわけですけれども、地方選ではあるとはいえ、安倍内閣への高い支持があったんじゃないかと言われていますが、これをどう御覧になっているかということと、参院選に向けてですね、そういう結果を受けて、どういったことが争点になると。参院選の方ですね、問われる選挙になるとお考えでしょうか。
大臣:
東京都議選挙っていうのは国政選挙ではないという、それはもちろん首都圏の大きな戦いでありますし、今までの傾向から見るとその後の国政選挙に大きな影響があるというのは認識いたしておりますけれども、当然東京都においてのですね、いろんな政策課題、そういうものを訴えての選挙戦の部分もあったわけでありますから、一概に東京都議選挙で自民党が候補者全員当選したから即座に次の参議院選挙においてもですね、自民党が圧勝するというようなものに結び付くものではないということで我々は気を引き締めなきゃならんというふうに思っておりますが、しかし、一定程度やはり安倍内閣の金融経済財政政策といいますか、そういうものに対して評価というよりかはまだ期待をお持ちはいただいているんだろうなというふうには我々も受け止めさせていただいております。これがちゃんとした評価として頂けるように、これを実行していかなきゃいけないわけでありまして、もちろんですね、15年か20年間近く続いておりますデフレ不況、あえて言えばデフレ不況でありますから、そんなの半年や1年でですね、すぐに日本の経済が巡航速度に乗ってですね、世界標準のプラス成長へと向かっていくというような甘いものではないと我々も思っておりますけれども、しかし、やっている政策の方向性は我々は間違っているとは思っておりませんので、これを実行していくという意味でもですね、期待は今回の都議選挙でもまだ国民の皆様方に持っていただいておるということは感じておりますので、しっかりとその期待に応えられるような政治を実現していくために、参議院選挙を戦っていくということになるというふうに思います。
記者:
関連で、民主党などはですね、参院選でアベノミクスによって年金が下がるというようなですね、主張をするようなんですけれども、年金問題というのが改めてテーマになるとお考えでしょうか。
大臣:
ちょっとその主張は無理がありますね。元々民主党が政権握っておられる時も、経済はプラスにしようということで物価も上げようと、プラスにしようと、名目経済成長もそしてプラスにしようということを言ってこられたわけで、我々と目指している方向は少なくともずっと一緒だったというふうに思いますね。普通の経済環境、状況、つまり物価が継続的に一定程度上がると、それはあまりこんなに物価が上がっちゃうと困りますけれどもね、一定程度許容できる範囲で物価が上がって実質的な経済が成長して、名目で経済が成長していくという社会、所得が上がっていくという社会ですよね。こういう社会になれば当然今の年金制度ですと、マクロ経済調整というですね、年金を長期的に安定させるための機能が働くわけで、それをもってして年金が目減りするというようなことを言われるということは、自らがやってこられたことに対するやっぱり批判といいますか、否定といいますかね、否定になるわけなので、いろいろと委員会審議でも民主党の各委員の方々と私やり合いしましたけども、どう考えても、じゃあそれならずっとデフレでですね、年金が実額で物価下がった分だけ下がっていくのがいいのかと。それは目減りはしてないよね、みたいな話でいいのかと。しかし、目減りは確かにしてないのかも分かりませんよ、実額で下がりますけれどもね。だけど一方で、年金財政は破綻に向かって確実に進んでいくわけなので、将来年金が破綻するという道をそんなことをやることによって選ぶのがいいのかというと、それは絶対に駄目なわけで、それは民主党の皆さんも分かってて言われるじゃないのかなと思いますから、そういう主張自体が本当に国民の皆様方に受けるのかなと思うと、そんなことよりもやはり年金というものをもっと安定させてくれというお声の方が私は多いと思いますし、ある意味今もらっておられる方よりも、将来の方の方がお得ではないと、年金は。それはみんなある程度覚悟されておられると思います。それは少子高齢化の中において、働く世代が減っていく中においてですね、そうなるであると。しかしそれでも、掛けた以上に返ってくる、そういう年金なんだろうなというのをどうやって維持するかという話の中でですね、この設計をさせていただいているわけで、御本人が保険料を払った以上の給付を維持するという意味からすれば、今の年金制度というのはまだ破綻している状況じゃございませんので、しっかりと安定性を維持しているということでございますので、それがこれからも続くような制度であるためにはやはり物価がプラスになって経済が成長していくという、そういう環境を作るということが前提であるというふうに我々は思ってますから、我々の経済政策等々を進めてそういう状況に早く戻すということが必要だというふうに思っております。

(了)