小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.12.22(木)15:34 ~ 15:55 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お疲れさまです。昨日も夜遅くまでお疲れさまでした。今、閣議が終わりましたけれども、閣議では24年度の政府の経済見通しが出されましたが、私の方から特に申し上げることはありません。

質疑

記者:
予算編成の折衝で年金の国庫負担2分の1の財源について交付国債を充てると。しかし、仮に消費増税が実現できなければ年金積立金を一時流用して穴埋めするという事態があるという指摘がありますが、大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
交付国債がどういうものかというのは、皆さんも国民の皆さんもなかなか理解しがたいと思うのですが、いわばキャッシュではなくて小切手を切られたような形のもののわけです。結局、消費税が増税をされたときに、それがキャッシュで入ってくる。だけども、積立金自体は目減りがしないというのが、どうもなかなか皆さん納得がいかないようなのですが、年金積立金を一時取り崩しても、年金交付国債が積立金に組み入れられるということを国が約束しているわけですから、年金積立金自体には影響がないと。しかもそれを運用してたときと同じだけの金利をつけるということなのです。その他にも、今、現在122兆円ある資産を運用していますけれども、67%が国内債券で運用しているわけです。その他に国内株式、外国債券、外国株式などで運用しているのですが、この国内債券のところにそれ(年金交付国債)が入るということなので、もともと国内債券で持っているものというのは、そこに現金が積まれているわけではなくて市場をまわっているわけです。運用していますから。そこに、この分が増えるということです。だから、そういう意味ではちゃんと2分の1を国の方で責任を持つということを予算上だけではなくて法律上も担保をしたと。そこがやはり、ここ何日間かの折衝の結果、そのことによって従来の繰り延べということではなくなった。繰り延べとはその年度に国庫負担金分が減額されて、年金財政に繰り入れられる。だから積立金がその分だけ目減りをしていくわけですが、今回の交付国債の場合は、国庫負担率36.5%分に交付国債の発行分を加えると2分の1が維持されるということで積立金も目減りしない。このことを予算上も法律上も明確にしていくということなので、これは繰り延べやカラに当たるものではないということです。これを皆さんがよく理解していただいて、国民の皆さんに分かるように伝えていただくというのは、なかなか難しいことだと思いますけれども、私も精一杯分かりやすく説明をしたいと思います。もう一言だけ言うと、毎年、積立金が目減りしないという理由としては、年金積立金、先程言ったように一時取り崩しても年金交付国債が積立金に組み入れられるから、年金積立金自体には影響がないということなんですが、参考のために、近年、年金積立金をその年々にある意味取り崩しはしているわけです。その取り崩し額が平成21年度は3.8兆円、22年度は6.3兆円、23年度が6.4兆円というのが予算ベースですから、これは当然2.6兆円も入りますので、24年度はたぶん額が大きくなるだろうと。ただそれは、国が責任持って担保しているから、これが目減りをするということではありませんということです。
記者:
昨日、診療報酬と介護報酬の改定率が決着いたしました。診療報酬は0.004%という1,000分の1単位までという異例の改定率でしたが、そこに至った経緯と、介護報酬については1.2%プラスでしたが実質的にはマイナスではという指摘もありますが。
大臣:
ずっと皆さんも取材されていてご承知の通り、やはり診療報酬についても、財務省と厚労省の見解は大きく隔たっていました。全体に賃金が下がり今のような状況の中で財務省は医師の給料を上げるのはけしからんというような言い方をするのですが、私の方としては皆さんにずっとお話していたとおり、やはり産科、小児科、外科、救急という診療科の偏在を何とかするために、そういうところをしっかりと支援していくと。その結果、どれだけ小児科の数が増え、産科の数が増えたかというグラフなどもしっかりと財務省に示しまして、そういう措置を講じなかった他の科は減っているのに、2年前の改定でちゃんとそういう応援をして後押しをしたところは医師の数が増えているというようなデータなども示していろいろやり取りをした結果、財務省的にはプラス0.00という言い方をして、現状維持という言い方をするということだったのですが、本当は現状維持ならプラスマイナス0と書くので、プラス0.00というのは、その先に必ず数字があるのでしょうと。それはちゃんとプラス0.004と、(小数点以下3ケタの)4の数字まで言いますよということは財務大臣と私が話しをしたなかで、それぞれそういう説明の仕方をしますということになっています。そういう意味で本当に首の皮1枚というか、髪の毛1本というかプラスになった。ただその意味合いとしては、繰り返し申し上げているように、前の政権の最後の頃に毎年2,200億ずつ社会保障費を削ったことによって、本当にお産をしようと思っても産科のお医者さんがいない、小児科のお医者さんがいないというような病院が全国に増えてしまって、それこそ医療難民ですとか医療崩壊という言い方がされたのを、皆さんの生活、命は守るということで政権交代の後、2年前に0.19ですが上乗せをし、久しぶりのプラス改定をしたことによって、もちろん今申し上げたような診療科の偏在とか地域の偏在をなくしていくということに実質的に働いたことに加えて、この政権はそういう所を応援をするのだという姿勢が医療関係者に非常に大きく働いたという声を現場からも聞いています。そういう意味で、今回厳しい財政状況は承知をしているけれども、やはりこの政権はしっかりとそこを応援をし立て直すという姿勢を示すためにも、たとえわずかであっても、ネットプラスにしたいということを皆様に申し上げてきて、それを党からのいろいろな応援もあり貫いたということです。
記者:
大臣に就任されてから初めての予算編成がいよいよ大詰めを迎えておりますけれども、予算編成全体をとおしてのご感想をお聞かせください。
大臣:
結局、やはり予算編成で最も難航したのが全部最後は厚生労働省のところと。子どもに対する手当の国と地方の関係、診療報酬と介護報酬、それから年金の2分の1の確保という、そういう意味であらためて厚生労働省の仕事の範囲は非常に広いし、国民の皆さんの生活に密着した部分で大変重い仕事だということを予算編成過程で財務省と折衝をしながら一層感じました。
記者:
診療報酬の改定についてですが、0.004という数字であってもプラスの意味は大きいとお考えですか。
大臣:
先程申し上げたように、実質的にということの他にこの政権としての医療を守っていく姿勢は示せたというふうに思っています。改定率は、実際には診療報酬が端数をした関係で1.379%、これが医科にプラス1.55、歯科にプラス1.70、調剤にプラス0.46ということですが、その中に重点項目として救急、産科、小児、外科の急性期医療をしっかり提供できるようにすることや、病院勤務医など負担の大きい医療従事者の負担を軽減するとか、地域医療を再生するということとか、早期の在宅療養、医療と介護などの円滑な連携を図るということ、また、がん治療や認知症治療などの新しい医療技術の進歩の促進などの狙いも書き込んであります。薬価についても改定率はマイナス1.375%ですが、その中で一時財務省が言われていた長期収載品について、大きく下げてジェネリックを進めるというようなことについて、ジェネリックを進めることは必要なので、今も取り組んでいますが、厚労省としても新たなロードマップを作ってやりますからと、そういう話もしながら、価格だけで乱暴に切り替えるのはおかしいじゃないかという話をした結果、最初はかなり大きな額を削ると言っていたのを、そもそもこちらがやろうとしていた200数十億円のところで、それはできるということになりましたので、そういう意味でも結果的に取るものは取れたのではないかと思っています。 それと、先程の質問で、介護報酬について実質マイナスじゃないかという話がありましたが、私たちはプラス2%ということを言いましたが、結局、物価の分が0.8%ありますので、それを引いた1.2%なので、今までの現状維持の分は取れているので、実質的に減ってはいません。
記者:
関連で、診療報酬改定について、国民にとっては負担増という印象もありますが。
大臣:
社会保障制度、医療制度をどうやって維持していくかという、これは社会保障制度の、今の先進国の中でもいい仕組みをどうやって次の世代に手渡していくかということをいつも申し上げています。一定の医療の規模とか仕組みを維持するためには、もちろん国も負担しますが、皆様にもご負担していただかなければいけないと。ただ、その皆様の負担がどういう形で、どこに使われて、それが今の医療の体系の維持にどう役立っているかということは分かりやすく説明しなければいけないと思います。そのことによって安心してお産が出来るようになったり、安心して小児科にかかれるように、いろんな地域でちゃんと小児科のお医者さんもいるようになったりすることに結びつくということが分かれば、私は納得していただけると思うので、これは社会保障改革の中でも度々申し上げているとおり、どういうことなのか分かりやすく説明して納得していただくことが必要だと思います。
記者:
食品の規制値の見直しが今まさに議論が進められているところですが、規制が厳しくなることについて大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
今ちょうど放射性物質対策部会が2時から4時まで行われているので、まもなく終わると思います。これは、当初、暫定規制値でやってきたのですが、暫定規制値でも十分安心なのですが、一部報道で厳しくするのだったら、今までの規制値は安全じゃなかったのかという書き方がありましたが、決してそうではない。ただ、原発の事故もステップ2を終了しましたし、色々なことで安定してきているなかで、特にお子さん達などには一層厳しい基準にすることによって、安全を守り安心を高めていく必要があるということで、今回、年間5ミリシーベルトを1ミリシーベルトに下げました。その中身については、今ご審議いただいている最中ですが、特に子どもに考慮して、子どもの基準と大人の基準をバラバラにして、子どもの基準を超えたからそこをどうかするということは不可能ですので、そういう意味では、なるべく厳しくするところに合わせて1ミリシーベルトにした。その上で今までの区分を変えて子どもへの配慮の観点から「乳児用食品」と「牛乳」の区分を特別に設けて、食品区分を4区分にする。そういうことで、安全性に非常に配慮をしてきたということです。もう一面では全体の中で、放射性物質を含む物の割合が減ってきているので、これで対応しても色々な食品が流通しなくなるということはありません。全体の今の状況に合わせた現実的な対応、特にお子さんなどにしっかりとした安全の基準を作り、安全だけではなく安心もしていただきたいということでやっています。
記者:
診療報酬についてですが、財研のレクの方では、本体引き上げ分の5500億というのは、額は示さなかったけれども、重点分野3つに当然充てられるものであり、示されるべきものであるという説明があったのですが、そういう認識でよろしいのでしょうかということと、その配分が今後中医協の方で、そうではなくその5500億が他のものに使われるような方向になった場合に、大臣として指示を出されたりとか、その合意を守るように持って行くつもりはあるのでしょうか。
大臣:
さっき申し上げたような、救急医療とか診療科の偏在を無くすことと、地域医療のところと、それとこれからの新しい技術を推進していくという3つを大きく合意する中で挙げています。あとは、中医協の中で、ご審議いただくわけですが、こういう方針でやっていいただくようにしたいと思います。
記者:
3つに5500億で、数字は書いていないけれども、そういう方向ということですか。
大臣:
全体の額の中で、これをやるのですからそういうことでしょう。実質的に実態に合わせてやっていきます。そこまで、色々と財務省がおっしゃるかは分かりませんが、それは、重点項目ということですから、ここに重点を置いてやるということを言っています。
記者:
関連ですが、前回の改定では、一定の成果が上がったのはいわば強制力を持って、金額まで指定したことが非常に効果が上がった一因だと言われていますけれども今回そこまでしなかった理由というのはなんでしょうか。
大臣:
それは、どういう取材をされて効果が上がったと言われているのか。そういうふうに指定をしたことによって、却って弊害が出たという意見もあります。前回はそうしないと本当にそこが危機的な状況であったから、そういう貼り付け方をしたわけですが、今回は、前回やったことによって一定の水準まで来ているわけなので、財務省は下げていいだろうと言ったのですが、そうじゃなくて一定の規模で、それを持続していくために、今回少しでもプラスにする必要があると言ってきたので、前回と今回は状況が違うと思います。
記者:
診療報酬改定のご説明の中で、200数十億円という数字の意味がよく分からなかったのですが。
大臣:
後発品のある先発品等の引き下げの医療費の額がおおむね200数十億円ということです。
事務方:
それを、最初、財務省はおよそ2400億ぐらいという10倍くらいの数字を言ってきたのですが、それはおかしいということで、そもそも厚労省が考えてきた範囲で済んだということです。
記者:
財務省がおよそ10倍の額を提示してきたということですが、ロードマップを示しただけで財務省側は納得したということでしょうか。
大臣:
それだけでかどうかは分かりませんが、とにかく価格だけで乱暴にやったら、今は製薬業界というのは自動車や家電製品よりも一番担税力がある産業だということと、新成長戦略で製薬などに力を入れようというのに、特に長期収載品は中小のところだとかなりの割合で持っているわけですから、そういうところの力を削ぐのはおかしいじゃないかという話とか、色々な話をした結果だと思っています。
記者:
交付国債で、増税が予定通りされなかった場合はどうされる予定でしょうか。
大臣:
増税がされないというのは想定しておりません。この内閣として必ずそれはやるということです。遅れた場合といっても結局交付国債の償還スケジュールというのは、消費税の時期や率それからその使途について具体的に決定されるときに合わせて決まるものということにしていますので、それは消費税増税法案と合わせて法案を提出することで、そういう形で担保されると思っています。

(了)