小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.10.07(金)10:40 ~ 10:53 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お待たせしました。冒頭私から2点申し上げたいと思います。 1点目は、お手元に資料お配りしてありますが、除染作業などに従事する労働者の放射線障害防止対策についてです。原発事故による放射性物資の除染などの作業、それから廃棄物の処理などについて放射性物質汚染対処特措法によって、環境省で作業の基準などを来年1月1日までに定めることになっています。労働者の放射線障害防止には、労働安全衛生法に基づく省令としまして、電離放射線障害防止規則があります。ところが、この規則は除染作業のように施設外で放射性物質に汚染された土壌などを取り扱うことは想定していません。そこで、新たな規則、いわば第二電離則のようなものを来年の1月1日までに制定することが必要であると判断しました。具体的な対策の内容を検討するため、厚生労働省で有識者の方々にお集まりいただいて検討会を開催します。検討内容としては、除染、廃棄物の処理等の作業を行う際の、1つ目が被ばく管理、2つ目が外部被ばくの低減、3つ目が汚染拡大防止、内部被ばく防止、4つ目が労働者の教育、5つ目が健康管理のための措置などです。11月中には報告書を取りまとめていただきまして、主要な事項について新たな規則に盛り込みたいと思います。その内容などについては、お手元にペーパーをお配りしています。 それから2点目ですね。震災の被災地でのアスべスト対策については環境省と合同で会議をもってやっているのですが、会議の結果を受けて一部報道されているところがあります。被災地でのがれき処理作業で粉じんにアスベストが含まれている可能性があるということで、予防的観点から、作業に従事する労働者の防塵マスクの着用を指導し、これまで、例えば使い捨てのマスクを25万枚、それから、フィルター交換式の防塵マスクを5万枚を配布しています。安全衛生パトロールで、不備を指摘したということが記事になっていますが、これは着けていなかったということではなくて、着け方が悪くて、ゴムが緩んだりして、しっかり密着して機能するような着け方をしていないということで、4月には着け方が悪いなどの指摘が66パーセントだったものを、その後いろいろ周知徹底をした結果、8月には29パーセントになったと。それはマスクをしていなかったというのではなくて、着け方の問題で、さらにこれから建築物の解体などが進みますので、アスベストの対策は政府全体の会議の中でも大きなテーマの一つとなっていまして、そこはしっかりと引き続き指導していきたいと思っています。また、今後建築物の解体などでいろいろな方がアスベストを受ける可能性があるということで、今度は新しい電動ファン式の呼吸用保護具、この使用が増加することが予想されますので、この性能を担保するために次の臨時国会の提出を予定している労働安全衛生法の改正案の中にこのことも盛り込むこととしていますので、性能もしっかり担保しながら、さらに高性能の物が使えるようにしていければと思っています。 私の方からの発言は以上です。

質疑

記者:
小沢元代表の資金管理団体の事件の件です。野党側は、小沢さんに証人喚問に応じるように強く求めていますが、野田首相は国会招致は不要との考えを示しています。このまま国会で説明しないなら、三次補正などの与野党協議に影響が出てくるのではないかとの指摘もありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
大臣:
昨日から裁判始まりましたけれども、この経緯については司法で行われていることなので、見守るということだと思っています。証人喚問については、国会の中で各党でお話し合いをされることだと思っていますので、私から特にコメントすることはありません。
記者:
厚生労働省の定員要求の件ですけれども、来年度の定員要求で、322人増員を要求していますけれども、どのような分野で増員するのか狙いなどありましたら教えてください。
大臣:
私が承知しているのは、震災復興などでハローワークの人員とか様々必要になっているところが主なものだと思っていますが、今詳細なものは手元に持っていません。詳細についてはまた詳しく聞いていただければと思いますが、多くは震災復興に伴う人手を増やすということだと思っています。
記者:
遺骨の収集事業のことですが、現地の方からは現地の墓地が大量に盗骨されたという被害報告が上がっていて、日本政府の責任を問う声も挙がっているのですがそれについてのお考えと今後の対策についてお聞かせ下さい。
大臣:
様々な疑惑というか疑問が現地からも挙がっていたので、前大臣の指示によりまして、職員や法人類学の専門家を現地に派遣して調査をするなど検証を行ってきました。そして、一昨日発表させていただいたと思います。今回の検証結果によれば、フィリピンでの盗骨事件との関係を裏付ける証言は確認できなかったということ、それから、遺骨の発見状況を証明する「宣誓供述書」に虚偽の内容は確認できなかったということ、また、現地の鑑定人による遺骨の鑑定は、厚生労働省の職員立ち会いのもとに行われ、フィリピン国立博物館による証明書も発行されていたこと、こうしたことが分かりました。 この結果を踏まえますと、現地で鑑定人の鑑定を経て帰還しましたこれまでのご遺骨にフィリピン人のものが混入しているという事実は認められず、厚生労働省としては、これまでに帰還したご遺骨は、全て旧日本兵のものと考えてよいと判断しております。ただ、今後フィリピンでの遺骨帰還事業については、今回のような疑惑を持たれることのないよう必要な見直しを行って、適切な実施に努めたい。具体的には、研修を受けた職員が自ら収集する。今回のやり方にいろいろと疑問が持たれたNPOの方は、直接遺骨の収集に当たるのではなくて、情報収集にとどめるということにしたいと思います。また、DNA鑑定を導入するようなことで、これからは、正確を期したいと思っています。
記者:
大臣の子ども手当の発言が、昨日の国会でも質問が出ていましたが、あらためて、子ども手当の継続について大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
この件につきましては、昨日の幹事長会談で、輿石幹事長が誤解を招くようなことがあればお詫びを申し上げたいと収めていただいておりますので、私の方からあらためて申し上げることはありません。
記者:
年金の3号被保険者制度の見直しをやっていると思うのですが、夫の方からも年金が半額になるといって、抵抗があるようですけれども、そこについて大臣はどういうふうに受け止めているのかという点と、基本的には世帯から個人単位に変えていくという考えのもとやっていると思うのですが、個人単位に変えていくことに対してもある種抵抗があるように思うのですがそのあたりは。
大臣:
先に申し上げておきますが、これは、私が来たから始めた検討ではなくて、この春に社会保障改革の案として盛り込んだ中に入っているものです。最近、言葉の端々を捉えて、私が個人単位の論者で、中には家庭を崩壊しようとしているなどという記事まで出ていますけれど、全体の経緯を見た上で是非正しく報道していただきたいと思っています。ただ、年金の3号の問題については、野党であったときの民主党の男女共同参画調査会など様々なところで議論をしてきた結果、民主党としてもそういう考え方を持ってやってきました。それで、今回、全体の改革をするという中で、生き方や働き方に公平な制度にする。これは、再三申し上げているように男女共同参画社会の基本法を作ったときから社会の制度を平等なものにするということは盛り込まれてずっと懸案で来たものです。今回、社会保障の改革を全体としてする中で、それが出てきたということで、私が来たから、それをやろうとしていることではないということは、是非正しく報道していただきたいと思います。その上で、夫の年金が半分になるということですが、元々、妻の分の保険料は夫が払っていたわけではないのですから、世帯単位で見たとしてもその世帯は保険料を払うことなく妻の分を含めてもらっていたという言い方もある意味では出来るので、公平な制度にするという意味では、夫が不満を持つという意見がありましたが、ある意味では働いている、専業主婦の分の保険料を払ってきた人達からすると、そこの世帯が払う保険料が増えるわけではないので、これは中途半端な改正で全然平等になっていないというご批判もあるので、そこは、しっかりと捉えていただきたいと思っています。それで、私が個人単位ということを言うと、家族を崩壊させようとしているという報道になるのが、残念ですが、やはりこれだけ少子高齢社会になってきて、この社会を本当に一家に1人の大黒柱と言われた男の人だけが、背負っていけるのかというと、どう考えても社会全体の活力とか、いろいろな意味から言っても無理があるでしょうと。もちろん専業主婦を否定しているのではなく、例えば、それぞれのご家庭の中でこちらは、妻は働かないけれども夫が2人分負担しましょうという考え方もあるかと思いますし、そこは、これからの超少子高齢社会の中で、日本をどうしていくかということと、男女が平等な社会ということと、いろいろ総合的に考えていくとそういう方向に行くしかないのではないかと思います。

(了)