小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.09.30(金)9:41 ~10:02 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
院内での閣議が続いたので、ここでは久しぶりだと思いますけれども、今日の閣議で私から2点発言しましたので申し上げます。 一つは、今日公表の雇用情勢についてです。8月の完全失業率は、0.4ポイント改善して4.3パーセント、有効求人倍率は0.02ポイント改善し、0.66倍であり、現在の雇用情勢は一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあると認識しています。「一部に持ち直しの動きが見られるものの」というのが、先月までと変化した点です。そして今後とも、東日本大震災に加えて急激な円高の雇用への影響について注視していく必要があると認識しています。東日本大震災についての雇用の対策としては、「日本はひとつ」しごとプロジェクトの実施に全力で取り組んできました。具体的には、重点分野雇用創造事業の基金の積み増しによる高齢者の見守りや地域パトロール等の事業での雇用、がれき処理、公共施設の整備などの復旧事業の推進による雇用創出、被災された方を雇い入れる企業への助成や出張相談、求人開拓等による求職支援、雇用調整助成金の拡充などによる被災された方々の雇用の維持・生活の安定などに取り組んでいます。今後の復興段階では、地域の強みである農林水産業、製造業などの復興に向けた産業政策と一体になった雇用面での支援に取り組むことにより、本格的に安定雇用を生み出す必要があると考えています。このため、第三次補正予算では、復興の基本方針に基づいて、産業政策の観点から国の支援等を受ける事業に対し雇用面での支援を行うことや、高齢者から若手への技能伝承や、女性、障害者の活用などといった雇用モデルの創造事業などの創設を要求しています。この実施に向けて万全を期して行きたいと考えています。これが雇用情勢についてです。 それから、明日から、赤い羽根の共同募金が始まります。これが今年のポスターです。自分の町を良くする仕組み、今年支え合うことの大切さを知った、という、これが町のいろいろな所に貼られるのかと思いますけれども、今日の閣議で各大臣に共同募金へのご協力をお願いしました。国民の誰もが生きがいをもって安心して暮らせる社会を構築するために、今年も国民の皆さまのより一層のご支援をお願したいので、皆さまからもよろしくお願いします。 私の方は以上です。

質疑

記者:
昨日年金の特別部会で、主婦の年金改革案について厚生労働省の案が示されました。その中で、不公平感を払拭するという目的があったとは思いますが、保険料も、それから世帯で見た場合には支給額も基本的には変わらないということになりますと、不公平感が本当にそれで解消されていくと大臣はお考えですか。
大臣:
なかなか難しい質問ですね。これは5月に厚労省で取りまとめて、6月に政府として作りました社会保障の一体改革の中にも、年金制度の見直しの中に、専業主婦の3号の問題について2分2乗方式などでということが書いてあります。これに基づいて昨日から年金部会で審議を始めていただきました。ご承知のように長い歴史があって、厚労省でも、平成13年だったと思いますけれど、案を出してやってきたところがどの案が一番良いのかということが、なかなかみんな一長一短あって、動かせないまま来たと。今おっしゃったように、保険料も変わらないし受け取る額も変わらないで、なんだ形だけじゃないという見方もあるかもしれませんけれども、それでも夫の働きで得た収入であっても、それは妻とともに得た収入だということで、2人で得た収入として2分2乗にしていくということは考え方として公平な形に近付くと、私としては思っています。それはもちろん、夫の掛け金を妻の分も増やすとか、あるいは妻の分を減らすとか、諸外国は払っていない人に対しては出していないところが割と多いのですけれども、そういうことを言いましても、急激に変化してしまうとなかなか受け入れられない。一部には、130万円を下げていくという報道もありますが、そうではなくて、2分2乗と。夫の収入を夫婦のものとみなして、2人で分けていくという方が、今の、妻はまったく負担をしないで夫が入っているその仕組み、2号の人たちが、学生さんも単身の人も母子家庭の人もみんなが専業主婦のために拠出をしている形よりも、それは公平になると思っていますので、一歩前進だと思っています。
記者:
そもそも形の上ではもちろん家庭の中で解決する形にはなりますが、全体の給付と負担というところで見ると、給付に見合う負担ということには変わりがないように思えますが。
大臣:
ただ、これはいつもお話しているように、おそらく非正規が増えている、それからパートとかの均等待遇の問題とか女性に働く場があるか、そこで本当に公平な働き方が出来るかということと、そして税制の配偶者控除と年金の負担分と、全部合わせて考えていかなければいけないことなので、そういう意味でも、ここでこういう形で一歩踏み出すということは一歩前進ということなのだと思います。そもそもご承知のように、男女共同参画社会基本法が出来た時から、生き方とか性別に関わるような不公平な社会の仕組みを変えましょうということがまず最初に書いてありますね。その時に何があるのかと言われて、配偶者控除、それから3号の問題などがあった訳ですから、もうずっと宿題になってきているので、それはおっしゃるように根本的解決ではないとは思いますけれども、一歩公平な方向に踏み出すという意味では前進だと考えています。
記者:
するとこの改正があった後、またもう一段改正が。
大臣:
それは最終的には3号が無くなって、みんな自分が働ける人は働いて、そのことがきちんと評価されて、自分の収入、自分の年金、自分の保険、自分の税金という形になるのが、これだけの超少子高齢社会で、一家で一人が稼ぎ手という事態ではなくなって来ている、共働きの世帯の方が増えている、そういう状況の中で将来的にはやはりそういう形を目指していく、個人単位を目指していく、というのは民主党がずっと言い続けていることなので、その方向への一歩だと考えていただければいいと私は考えています。
記者:
それから同じ部会で年金の物価スライドについても議論されまして、おおむね賛成の意見が多いという風になりましたが、基礎年金部分にやはりかけるのかどうかですが、まだいろいろ議題が残っていると思うのですけれども、それは。
大臣:
やはりこれも議会の中でお話をいただくことだと思いますが、ご承知のように物価スライド、本当は下げるべき時に下げていないという形のまま、乖離をしたまま来ているところはどこかで解消しなければいけないのではないかという問題意識があって、一体改革の中には物価スライドのことも課題として挙げられているのだと思っています。ただそれも今言われたように、どこにかけるのかということについてはこれからの議論だと思います。
記者:
ちょっと話題が変わりまして、民主党の小沢元代表の秘書が一審で有罪判決が出ました。野党からは小沢元代表が国会で説明すべきという声がありましたが、なされないままです。それについてご所見をお願いします。
大臣:
それは政治家が個人としてそこをどう説明されるかというのは個人の問題だと思いますし、あとは国会の中で議論されることだと思いますので、私としては特に申し上げることはありません。
記者:
3号の問題ですが、昨日厚労省から示された案は、専業主婦は基礎年金の保険料を払わない、夫の厚生年金を半分もらえるような形にして、更に専業主婦を優遇する制度になるのではないか、あるいは、専業主婦のままでいた方が、働いた方がいいという方向の、女性の社会進出ということについては保険料を払わないまま夫の厚生年金をもらえるという形にした場合、逆行しているのではないかと思いますのが、その辺りは。
大臣:
逆行かどうかは、このことの他に保険料をどう負担するのかということも別の部会のところでやっていますけれども、全体として、優遇するということ、特に額が増えるということではないので、夫婦との間の、たしかに家庭の中の問題ではありますけれども、それは夫が稼いできたものは妻と2人で作ったものだという考え方にするという意味で、これまでは離婚のときに分割という形になってましたけれども、それを離婚の時でなくても普段からそういう風にするということで、これは考え方の上では一歩前進だと思っています。それで、今、専業主婦優遇と言われましたけれども、専業主婦の額が増えるとかいうことであればそういうことが言えると思いますけれども、全体としては、働き方と、働いた場合に公平な、今男女の賃金格差というのが非常に大きいままで来てますから、現在、非正規の男性が増えたことによってこれだけ大きな問題になってきましたけれど、以前から、女性の非正規が、男性の正規社員の場合に比べると半分くらいの給料しかないということは、何度もILОから勧告を受けているところですので、働き方の見直しとか、税制の問題、そして年金を始め社会保障制度の問題と、全体を見直していくきっかけになると思っていますので、それは決して専業主婦の方が有利だという話にはならないと思います。
記者:
高齢者医療制度改革なのですが、昨日、辻副大臣が次期通常国会に法案提出を目指したいとおっしゃったのですが、改めて大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
高齢者医療制度についても社会保障の一体改革の中で、来年度の国会への法案提出を目指すとずっと申し上げてきているので、何か新しいことを辻副大臣が言ったということではないと思っています。
記者:
3号の問題なのですが、例えば夫が先に死んだ場合、妻が死んだ場合に年金額が今よりも減額されるという声がありますが、その声に対してはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
それも今、年金部会の中で議論をするということで、昨日は、私は、予算委員会の後出たものですから、いろいろと公務があって40分くらいですけれども、その中でもその話はありまして、遺族年金をどうするかというのもひとつのテーマです。そういう意味では、夫が亡くなった場合、厚生年金の4分の3貰えるのですが、今度は半分半分にしますと、2分の1になるので、減るじゃないかと。そうだとすれば、ひとつの考え方として、夫の年金の半分を全体で今までの4分の3から減らないように、夫の分から入れるというような方向もあるだろうし、いろんな意見も出ていましたし、この遺族年金の設定についてどうするかは、これから議論をしていくことだと思います。
記者:
先程の高齢医療のことですが、大臣のご説明ですと、一体改革の議論の中で年末まで議論してまとめていくというおっしゃり方でしたけれども、厚労省として昨年末に高齢者制度改革会議で改革案をまとめてると思うのですが、これにはこだわらずに白紙で高齢者医療も考えるということですか。
大臣:
違います。高齢者医療制度の見直しは、高齢者医療制度改革会議で検討が進められていて、今おっしゃられたように、昨年12月に最終的な取りまとめが行われています。これに対しては、各団体などから様々な意見をいただいていますが、社会保障と税の一体改革でも「高齢者医療制度改革会議の取りまとめ等を踏まえ見直しを行う」という盛り込み方をしています。通常国会で医療保険制度改革法案の提出を目指して、検討・調整を行っていくという、これまでのことを辻副大臣なりの言い方でされたのではないかと思います。社会保障制度改革については再三申し上げているように被災地の復興、原発対応以外の通常のものとしては一番大きなテーマだと思っていますので、それの全体像をお示しできるような仕組みを省内でも作りたいと思っています。その中で、なるべく多くのものを実際の絵姿が見えるものとして法案を出したいと思っていますが、全部が揃って来年の通常国会に必ず出せるかというと、その審議によって違うだろうと、だから目指したいということになっているとご理解いただければと思っております。
記者:
年金の物価スライドについて、特例水準と本来水準が乖離したときに、どこかで解消しなければならないと、おっしゃいましたが、そのタイミングはなるべく速やかに、一体改革が成功して、この乖離を解消したいとお考えですか。
大臣:
難しいところですね。年金部会の中でこのことも含めて議論がされると思っていますが、基礎年金の部分にもかけるのかどうかとか、そこにかけると、私どもが作ったマニフェストでもお約束をして将来的に目指そうとしている一元化の問題、その時の最低保障年金をどうするかということにも関わってくる問題ですので、物価スライドを制度として必要だから入れるというご意見がある中で、どういう入れ方をするのかということも含めてこれからの議論をされていくと思っていますので、私として今、意見は持っていません。ただ、制度がある以上、そして色々な年金財政の課題がある中で、それは、どこかで入れていくということだと思っていますので、入れ方や時期は審議していくところだと思います。
記者:
今日、概算要求の締め切りですが、大臣からのポイントはどこかということと、今回の予算の子ども手当の地域増収分であるとか、子宮頸がんワクチンなど様々なことが予算編成過程のなかで検討して、国の方針の課題がたくさんあると思いますが、そのあたりはどうしていかれるべきとお考えですか。
大臣:
24年度の概算要求は、とにかく財務省の担当主計官が2人に増えたというくらい大変な、そして、使える予算の半分を使っているという中で、メリハリの効いた要求になるように検討いたしました。自然増分が社会保障で確保されたということは、当然のことながらよかったと思っております。日本の再生を展望した「日本再生重点化措置」。この要望枠1059億円を含めまして、社会保障の充実を進める上で必要な要求を組み立てる事が出来たのではないかと思っています。 社会保障を信頼できる持続可能なものする。先程から出ている年金の話も含めて、そのことが、皆さんに信頼していただける形に出来ることを確保する予算は作れたのではないかと思っています。 重点化措置の中身としては、ライフ・イノベーションの一体的な推進とか、在宅医療・介護推進のプロジェクト。それから将来を担う人材の育成で、大学生現役就職促進プロジェクトとか、待機児童解消の先取りプロジェクトの強化。さらに、安心・安全な医療の推進ということで、新型インフルエンザ対策の強化。そして、安心・安全な地域生活の実現ということで、子どもの貧困支援対策の充実とか、障害児・者の地域移行・地域生活のための安心支援体制の整備などを合わせて1059億円の「日本再生重点化措置」を要求しています。これは、いずれも必要な取り組みだと思っていますので、是非、満額出るように努力していきたいと思っています。
記者:
予算編成過程で検討していくものというのも残っているのですが。
大臣:
それは、毎年、厚労省の予算はそういうことにならざるを得ないので、その中で、本予算の中できちんと位置づけられればいいのですが、なにせご承知のように額が多いこともありまして、年末までの宿題も残っていますが、やはり再三申し上げております通り、社会保障の安心ということは、国民の生活が第一と言ってきた民主党の原点ですので、そこはしっかり全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
記者:
生肉について、ユッケ等が高級食になりつつあって、業者とか、消費者の方が嘆きつつあるのですが、その当たりはどうお考えでしょうか。
大臣:
何より大切なのは、食品の安全・安心ですから、今まで、そこがきちんとなされていなかったことが問題なので、安心・安全をきちっと守っていくということが私どもの務めですから、ご理解をいただければと思います。

(了)