細川大臣閣議後記者会見概要

H23.07.01(金)11:06 ~ 11:35 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議、閣僚懇がございました。閣議の方では、「社会保障・税の一体改革案」が報告されたところでございます。 私の方から今日公表の雇用情勢についてご報告をしたいと思います。5月の完全失業率は0.2ポイント改善をいたしまして4.5%、有効求人倍率は前月と同水準の0.61倍でありまして、現在の雇用情勢は依然として厳しい状況にあると認識をしております。引き続き、東日本大震災の雇用への影響などについても注意が必要だと考えております。それから、東日本大震災につきましての雇用対策といたしましては、4月5日に取りまとめました「日本はひとつしごとプロジェクト」フェーズ1に続き、4月27日にフェーズ2を取りまとめ、その実施に全力で取り組んでいるところでございます。具体的には、復旧事業や重点分野雇用創造事業の積み増しによる雇用の創造、被災された方を雇い入れる企業に対しての助成の拡充、あるいは出張相談、求人開拓などによりまして就職支援をいたしているところでございます。また、雇用調整助成金の更なる拡充、雇用保険の延長給付の拡充などによる被災された方々の雇用の維持、生活の安定などに取り組んでいるところでございます。今後、先般取りまとめられた復興構想会議の提言も踏まえつつ、被災された方々の雇用対策に万全を期してまいりたいと考えております。 次に、先程も申しました「社会保障・税の一体改革案」についてです。昨日、官邸で開催されました「政府・与党社会保障改革検討本部」におきまして「社会保障・税一体改革成案」と「社会保障・税番号大綱」が取りまとめられました。このうち、「社会保障・税一体改革案」につきましては、昨年「社会保障改革の推進について」が閣議決定され、厚生労働省におきましては昨年末に厚生労働省社会保障検討本部を設置しまして、5月12日には社会保障改革の厚生労働省案を発表するなど、ここに至るまで広範な議論・検討が続けられてまいりましたが、ようやく一つの区切りをつけることができまして非常に意義の大きいものと考えております。改革項目はいずれも社会保障の機能強化、持続可能性、世代間公平の確保などの観点から重要なものでありまして、厚生労働省としては今回示されました行程に従って国民的な議論をいただきながら着実に改革を進めてまいりたいと考えているところでございます。 私の方からは以上です。

質疑

記者:
一体改革について、何点か伺います。6月にようやく決着いたしましたが、かなり党内から異論が出てまして、主には税の部分だったとは思うのですが、社会保障の関係でも、これではあまり自公政権時代と変わらないじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいましたけれども、大臣からご覧になって今回の社会保障改革案で民主党政権らしさはどういったところがあるとお考えでしょうか。
大臣:
まず、社会保障と税の一体改革につきましては、どの政権が政権を担当していようともやらなければならない改革だと思っております。そういう意味で今回の社会保障と税の一体改革案が取りまとめられて、今日、閣議の方に報告されたということ、これは、この政権が社会保障をしっかり持続可能なものとして構築をしていくこと、これは菅内閣として当初からの大きな目標でありましたから、このこと自体が大変意義のある決定だと思っております。そして、この改革案では具体的な項目もいろいろと挙げておりまして、具体的な項目の実行、実施をしていくということにつきまして、これから国民的な議論をしながら進めていくということで、そういう意味では、現政権が社会保障そして、増税については乗り越えなければなければならない難しい問題でありましたけれども、これを今回、社会保障と一体化して消費税の10%というのを打ち出したということには、相当の意義があることだと思っております。
記者:
増税の部分なんですが、最終的に2015年度という部分が消えて、10年代半ばとか、かつ経済状況の好転が条件であるということになりました。社会保障制度の改革をするときに、一体いつになったら消費税5%分が担保されるのかはっきりしない中で、制度改正のスケジュール、工程表、あるいは制度設計の中で影響を与えることがあるのでしょうか。実際に2015年度こういう制度を始めますといったときに、2015年度にこの財源が確保されるのか分からないという状況になったときなどは、どうお考えですか。
大臣:
それは、民主党との協議の中で、このような表現になりましたけれども、半ばという表現は具体的には14、15、16ということを与謝野さんもはっきりさせ、党の方もその点については了解をいたしておりますので、そういう意味では抽象的な表現にはなりましたけれども、しかし内容的には私は具体的なところが同意をされていると思います。
記者:
党側の反発の中で、退陣を表明した総理のもとで重要な選択をまとめるのかと、これはむしろ次の代表選の争点にするべきだとおっしゃる方もいらっしゃいましたけれども、この消費税、あるいは一体改革というのが代表選の争点になるとお考えでしょうか。
大臣:
私は、社会保障と税の一体改革については、どの政権、どの政党もこの課題を克服して乗り越えなければいけないと思っておりまして、それだけを争点とするのはいかがかなと思っておりますけれども、しかし社会保障の改革にともなって増税ということでもありますから、その点については、一番国民的関心もあるかと思いますので、そういうことが代表戦なんかで提起されるかも分かりませんけれども、私はそれが必須の条件になるとは思っていません。
記者:
一体改革の関連で、さきほど増税の10%を決めたのは相当の意義があるとお話をされましたが、ただですね、国民新党は明確に今回の案には反対だと亀井さんなんかも明言しておりまして、本来であれば閣議決定をしたかったはずが、今日は閣議報告というふうに変わった。その野党だけの反発だけじゃなくて与党内からの同じような意見もありますけれども、党内からもこれだけ意見が違うとなると、かなり実現性としては難しいとなりますが、国民新党とあまりに差があることについていかがお考えですか。
大臣:
社会保障の改革と税の一体改革の税については、これまでも増税ということで議論をされてきて、これまでの政権の中でも議論されてきた問題でありまして、克服出来なくて決まってこなかったということは、それだけ難しい事だというふうに思います。しかし、いつかはやらなければいけない改革でありますから、これは、いろいろ各党、あるいは国会議員個人によってそれぞれ違う考え方があることも十分あり得ることでありまして、そこを議論しながら克服するのが政治家としての務めだと思っております。今日、閣僚懇だったと思いますけれど、今後各野党ともいろいろと話し合いを進めていって欲しいということも総理の方からお話がありまして、これは今後進めていくということになりまして、当然その点については国民新党の方も今日閣議の方に報告して野党との話し合いについては一切の異論もなくそのように進めて欲しいとこういうことでありますから、これから各党との議論を進めていくことが大事だと思っております。
記者:
ただ、野党なんかはこう言っておりまして、閣議決定もしていない、与党の中でちゃんと決められていないものの協議に応じることは出来ない、また、菅総理がすでに辞めるという人が決めたものについては応じることはできない、ということですが、その点についてはいかがですか。
大臣:
私は、どなたの政権であろうとも、これまでの自公政権の中でもこういう議論がされておりましたし、また民主党の政権でもこの問題を大事な重要な課題として提起をして進んできたわけであります。どの政権であろうともこの社会保障と税の一体改革というのは避けては通れない、やらなければならない問題でありますから、野党のみなさんにも是非議論をしていただきたいと思っているところでございます。
記者:
一体改革の関係では、社会保障改革の関係では70歳~74歳の1割から2割というのが原案では入っていましたが、民主党内の反発で、自己負担割合の見直しと表現がぼかされたような形になっています。今回の社会保障の大きなテーマになっております世代間公平いうこともあったと思うのですが、この1点を見ますと、後退したように思えますが、大臣としては70~74歳の2割負担としてはどのようにお考えですか。
大臣:
これは、70~74歳の高齢者につきましては、法律的では2割負担となっておりますけれども、しかし毎年2千億程度の予算措置によりまして1割負担ということで今やっているところでございます。したがって厚生労働省としては高齢者医療制度改革の会議で検討してもらって、その会議の中では70~74歳については2割にしていくと、しかし、現に1割負担の方を2割にするというようなことはせずに、3割負担をしていた人達が2割になり、そして最終的には1割になっていくというこういう段階でやっていかなければいけないという答申をいただいておりまして、私どもとしては本来の姿の2割負担ということを改革の中に出しましたけれども、しかし、民主党の中でも議論はございました。そこで、その表現そのものはとりまして世代間の公平な負担ということになりましたので、これから党の協議、検討となっていくと思います。
記者:
今日、中央最低賃金審議会が先ほど始まりましたけれども、民主党のマニフェストでは早期に最低賃金を引き上げるということなのですが、一方で東日本大震災の影響で、使用者側はそれに応じられないと思うのですが、審議会ではどのような議論がなされると大臣は思っていますでしょうか。
大臣:
賃金というものは、雇用労働者にとっては大変重要な問題でございます。最低賃金をどのように決めていくかということも時の政権の大事な課題だと思っておりまして、私どもといたしましては、全国平均の800円、そして将来的には1000円ということを目指している訳でありまして、昨年は最低賃金は相当の上昇といいますか、高く決定させていただいた訳でありますが、これは毎年やるわけですから全国的な調査のもとで今年も審議をしていただくということであります。東日本大震災の影響も受けると思いますけれども、しかし、最低賃金というのは全国的な賃金でもございますので総合的に判断してもらうということになるかと思います。まだまだ生活保護の基準にも達していない地域がたくさんありますからそういうことを考えますと、まだまだ低いところもありますので、そこは、そういうことも勘案しながら決めていっていただきたいなと思っております。
記者:
東京電力の内部被ばくの調査の件なのですが、4月の緊急対処に従事した人について6月末までに報告を受けるということだったのですが、半分しか調べていなかったと、それから3月中の職員の中には27人名前も居場所も分からない人がいるということですが、それについての受け止めをお願いします。
大臣:
まず、3月に従事していた人の中で、全く把握出来ていないという方が20何名おられたということは誠に遺憾に思っております。このことについては東電の方にきちっと作業をしている方の把握をしっかりやるようにと、今後こういうことがないように徹底をさせていただきたいと思っております。それから4月について、まだ半分ほどしかないということについても、私どもとしては実態を把握したいということで6月いっぱいまでにということを申し上げてきたわけでありますけれども、まだ報告がないということは誠に遺憾でありますから、これも早急にということで徹底していきたいと思います。
記者:
腎臓の売買の事件に関してですね今の臓器移植法に関しては生体移植について提供者の条件等の決まりがないのですね、それで学会が定めた倫理指針を守ることとにして今は生体移植の臓器の提供の条件とかを定めているのですが、これは国として何か法律やガイドライン等を定めるお考えはありますか。
大臣:
生体肝移植は全く条件がないのではなくて、親族でなければいけないということになってると思いますが、いずれにしても今回の医師が臓器の売買をするというような事件が発生をしたということについては、私としては大変遺憾に思っております。これは刑事事件として捜査も進められているようでありますから、捜査の結果を待ちたいと思いますが、ここで実態の究明がなされるだろうというふうに思っております。詳しいことは、私もまだ承知をしていないのですが、養子縁組をしてそして1親等の親族であるということで、そういう偽装した形で腎臓移植が行われるということについては、これは本当に許されないことでありまして、ここは倫理的の形で学会の方で検討いただいてるということでもありますから、その検討の結果なども踏まえながら、捜査が終わって真相が究明された段階でいろいろと検討していきたいというふうに考えております。
記者:
昨日、児童養護施設の職員配置基準について、今よりも充実をすべきであるというような提言が専門家委員会からございました、ただ予算の見通しがない上に、今回の社会保障と税の一体改革でも特にこのあたりは盛り込まれてないのですが、今後、厚生労働省としてどういうふうにやっていくのでしょう。
大臣:
今の環境に恵まれない児童、とりわけ虐待による児童が増えていると、その児童が精神的に大変な状況に置かれているとそういう心のケアなどもしていくということ、そのことに対して職員数を増やしていくということは大変重要な課題と思っておりまして、今回その要件というのを4人に1人にしてくという答申をいただいたということで、これをしっかり受け止めて実現するための予算的な措置というのもしっかりやっていきたいと思っております。
記者:
来年度から見通しがということですか。
大臣:
その点については、これからしっかり検討させていただくということになります。

(了)