細川大臣閣議後記者会見概要

H23.04.01(金) 11:00 ~ 11:32 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日、閣議、閣僚懇がございました。その中では特に厚生労働省としては皆さんにご報告をするような点はございませんでしたので、私の方からいろいろと皆さん方にお話をさせていただきたいことがございます。 一つは、震災の件でありますけれども、災害から3週間たったところでございます。被災地の方ではまだまだ多くの行方不明の方もおられますし、また避難所でたくさんの方が避難生活もしておられます。寒い日が続いておりまして、避難所での生活というのは大変ご苦労が多いことと思います。避難所の生活が長くなってまいりますと心身ともに疲れがたまってまいりますし、体調を崩すという方が中には出てきておられるのではと思っております。我々といたしましては引き続き医療チームの派遣、保健師の派遣、あるいは薬剤師、保健所の専門職種の派遣など健康の確保を進めるとともに、児童福祉あるいは介護福祉関係職員の派遣など避難生活でご苦労されている皆さんに対してのケアをしっかり進めてまいりたいと思っております。また、福島の原子力発電所の事故に関しましては、食品の出荷停止あるいは水道の対応などがおきておりますけれども、国民の皆さんの関心が非常に高い問題でもあり、当省といたしましては、国民の健康の保護という観点に立ちまして、関係省庁とも連携をいたしながら食と水の安全を確保してしっかり取り組んでいきたいと思います。状況というのは日々変化をいたしておりまして、内閣一体はもちろん、厚生労働省といたしましても政務三役と事務方がよく連携をいたしまして万全の対応をしてまいりたいと考えております。 次に、昨日成立をいたしました「つなぎ法案」の成立に関して、私の方からも一言、皆さん方に申し上げておきたいと思います。私どもとしては23年度の子ども手当法案の提出をしておったわけですけれども、国会の状況などでは年度内成立は到底不可能ということになっておりました。そこへ与党の方から6ヵ月間22年度の子ども手当と同じような内容でやるという「つなぎ法案」が提案をされてまいりまして、そこで衆議院の方では可決をして参議院に送ったわけですけれども、衆議院でのいろんな議論がございまして、参議院の段階で23年度の子ども手当法案を政府として撤回をするという方針を決めまして、そこで昨日参議院の方で審議、採決ということになりました。私としましては、この「つなぎ法案」まで成立しないようなことになれば児童手当が復活ということになりまして、そうなりますと支給金額があるいは中学生は支給されないあるいは所得制限がかかる、国民の皆さんが子ども手当に対して期待されていること、あるいは自治体の混乱ということから考えると何としても「つなぎ法案」は成立をしていただかなければと思っておりました。そういう中で参議院の方で委員会あるいは本会議いずれも可否同数するということで最後は委員長あるいは議長の裁定ということで「つなぎ法案」が成立をいたしまして22年度の内容の子ども手当がとりあえず6ヵ月間続くということで一安心いたしているところでございます。今後は6ヵ月たちますと子ども手当はその後は何も決まってないわけでありますから、それまでにしっかりと子ども手当を作らなければいけないので、これについては与野党協議、私どももしっかり6ヵ月後の子ども手当の構築に向けて頑張っていかなければと思っております。その際、地方の意見も十分聞かなければならないと思っておりまして、これは従来通り、地方の皆さんにお約束をいたしておりますから、地方の皆さんとも協議をして6ヵ月後の子ども手当をどうするのかということについては、地方の意見も聞きながら検討していきたいと考えております。 それからもう一つ、皆さんにご報告をいたしたいと思いますが、年金の問題でございます。運用3号の問題、年金の第3号被保険者の不整合記録問題の抜本改善策につきまして具体的な検討を行うために、昨日付けで社会保障審議会のもとに「第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会」を設置することといたしました。部会の構成員といたしましては、社会保障審議会の委員または臨時委員から社会保障の専門家あるいは法律の専門家、女性と年金に関する有識者の方々6名にお願いをいたしております。最初の第1回目の会合を4月5日に開催することといたしておりまして、4月中に集中的に開催いたしまして具体案を取りまとめてまいりたいというふうに考えております。資料の方につきましては、事務方の方から追って配布をさせていただきます。

質疑

記者:
子ども手当の関係ですが、おっしゃるように今後は6ヵ月後以降の姿がどうなるのかというのが焦点となります。大臣としては、10月以降の子ども手当の姿というのはどのようなものが望ましいと思われますでしょうか。
大臣:
私どもとしては、23年度の子ども手当法案も提案をいたしておりましたから、その内容については、これを是非そういう内容にしていただきたいという気持ちはありますが、しかし、なかなか客観的な情勢でもございませんので、これは各党いろいろ協議をしていただくということになろうかと思います。昨日でしたか一昨日でしたか公明党の方からもいろいろと提案もされております。したがって、そういう他党との協議、そして先ほども申し上げましたが、地方の皆さんのご意見、ご要望もしっかりと聞いていかなくてはと思っておりまして、私としてはそういう形で進めていきたいと思っています。
記者:
お話がありましたように公明党が案を出しておりまして、公明党は児童手当に戻すと、ただ、児童手当よりも支給額は上積みをすると、対象も中学生まで。この中で一つポイントになるのは、公明党は所得制限を設ける、これについては大臣は所得制限に関してはいかがでしょうか。
大臣:
ポイントは所得制限の問題、額の問題、扶養控除の問題、これらがありますが、ポイントはやはり額と所得制限ではないかと思っております。これは協議の中でいろいろと、どのようにして成案を得るかと、これはお互いしっかりと話し合っていけば必ず妥協点は見つかると思っております。
記者:
所得制限ということになると、民主党がこれまで言ってきました、子どもの育ちを社会全体で支援をするという理念から反すると思うのですが、この所得制限ということに関しても大臣としてはあり得べしとお考えでしょうか。
大臣:
民主党の従来の考え方は、子どもの一人一人の育ちを社会全体で応援をしていくと、こういうことでありますから、所得制限を付けないということがそもそもの理念となっているところでございます。したがって、所得制限については民主党としては当然いろいろな協議の中で主張をしていくだろうと思います。ただ、これはいろいろな協議の中ですから、民主党の中でもいろいろと協議をされるものだと思っております。
記者:
震災の関係で農作物の出荷制限の関係ですが、枝野官房長官が制限を解除するルール作りを早急に進めるということで検討が始められていると思いますが、これはいつ頃までにおまとめになるとお考えでしょうか。
大臣:
これは食品安全委員会の方から緊急とりまとめの公表がなされて、それは当然厚生労働省にもとりまとめの報告があったわけですが、対策本部の方にもそれが報告されまして、対策本部の方で原子力安全委員会にこれについての助言を求めております。その助言に基づいて対策本部の方でどう対応するかということで、そこで摂取制限、あるいは拡がりの区域の問題とか、あるいはその制限を解除するような、それは対策本部の方でいろいろと対応を検討されておりまして、それがいつ発表になるかは正確なところは言えませんが、早くやらないと国民の皆さんも心配があると思いますので、来週の前半には出されるのではないかと思います。
記者:
別件ですが、税と社会保障の一体改革についてですが、震災への対応を政府全体でやっていくなか、与謝野大臣はスケジュールは変えないと言っているのですが、大臣としてはこのスケジュールはどのように思われますか。
大臣:
私自身は厚生労働省の責任者といたしまして、今やっておりますのは社会保障の改革案、これを厚生労働省として4月中にまとめるということになっております。したがって、厚生労働省としては、事務方にも申し上げておりますが、従来通りのスケジュールで4月中に厚生労働省案を出せるようにということで、これは事務方にも指示をいたしているところであります。
記者:
3号問題の特別部会についてですが、従来の記録回復委員会との役割分担はどうなのかというのと、この1ヵ月ほどでまとめてもらう案は、政府の救済案の骨格に沿って、その中で具体的なポイントについて考えてもらうという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
基本はそのようになります。ただ、そこでは年金記録回復委員会の出された助言とか、あるいは総務省の方の年金業務監視委員会、そちらの方もいろいろとこれまで意見なども出ておりますから、そういうことも資料として当然出させていただいて、それらも踏まえて検討をしていただくということになるかと思います。
記者:
ポイントは例えば受給者の返還分とか、どういったところになるでしょうか。
大臣:
受給者に対して遡って、被保険者と同じような扱いにするのか、そうではなくて、受給者に対しては保護するとか救済をするとか、そこは論点として示しておりますから、そこの辺りについて検討をしていただいて、方向性なり結論をいただくということになろうかと思います。
記者:
国会ではこの話がそもそも記録回復委員会でやるのではなくて、社会保障審議会でやるべきだったのではないかという意見があったのですが、今回その通り社会保障審議会でやることになったのですが、大臣としては記録回復委員会でこの案件を処理してもらったことは誤りだったという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
誤りというよりも、今回運用3号の問題についてどう解決をしていくかということについて抜本的な改善策の方向性と論点をお示ししました。その前提として決めましたのが法的な解決をしていくということでございますから、法的な解決ということになれば、法律でしっかりと設置をされております審議会の中で議論をしていただこうと、こういうことになりました。
記者:
食品安全委員会から暫定基準値について妥当とする意見と、それに対してやや緩和の余地を残すような文言が付されるような形で結果が出されましたが、大臣としては暫定基準値については安全性に問題はないのか、ある程度の緩和は許されるとお考えでしょうか。
大臣:
この点につきましては冒頭にも申し上げましたように、厚生労働省にもそのことが報告をされ、原子力災害対策本部にもその報告をいたしまして、対策本部の方でどう対応していくかということで、原子力安全委員会の方に助言を求めております。その原子力安全委員会からの助言が対策本部に返ってきますので、そこで対策本部の方でもどう対応するかという対処方針が決まると思います。それが厚生労働省の方にも来ますから、そういうことも含めて対応をしていかなくてはと思います。厚生労働省としては所管そのものは食品衛生法の所管ですから、そこでの食品に関する、これまで暫定規制値についてやっておりましたが、それについて今度は薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会へ報告もしなければなりません。そういうことをして適切に対応をしていきたいと考えております。
記者:
対策本部でというお話でしたが、結論が出る目途についてはどのようにお考えでしょうか。解除に関して、来週中頭には出すかもしれないという話ですが、解除については現行基準を基にということでよろしいでしょうか。
大臣:
それは対策本部で検討をされます。基準そのものについて対策本部でどのように考えるかは、これは原子力安全委員会などの助言も得て対策本部が決めることです。私の方でどういうことで決められるかということは申し上げる立場ではありません。
記者:
子ども手当に関してですが、所得制限の部分ですが、大臣としては前向きに党内で議論いただきたいという趣旨で先ほど発言をされたということでよろしいかということと、自公政権時代の児童手当は夫婦二人子ども二人の専業主婦世帯の場合860万円で区切られていると思いますが、その児童手当の時は全体の9割をカバーしていたということで、それよりも引き上げた、95%くらいはカバーできるとか、どのあたりで大臣は所得制限に区切りを考えていらっしゃいますか。
大臣:
子ども手当につきましては、国会の各政党の議席の割合からいたしまして、民主党が考えていた本来の2万6千円の子ども手当につきまして、これを実現していこうということについてはなかなか難しい問題があると思っております。昨年の7月のマニフェストにつきましても、1万3千円プラス上積みと、こういうことでマニフェストにも書いてありますので、そういうことでは民主党のものをまるごと実現するということは私もなかなか難しいと考えております。その難しい中で、前から言っておりますように各党で協議をしていかなければなりません。その協議のときにはお互い譲れるところは譲るという、どこまで譲れるかと、ここが大きな問題だと思います。私としては大きな論点の所は、額の問題、所得制限の問題だろうと思っておりまして、ここはどれだけ譲歩できるかということだと思います。 答えになっていないかもしれませんが、これは協議ですから、予めどうこうという前提を持って協議をしますとなかなか進まないのではないかと思っています。
記者:
先ほど、税と社会保障の一体改革について、事務方には従来通りのスケジュールで出せるようにと指示をされたということですが、それは予定通り4月中に公表するという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
社会保障と税の一体改革をやっている本部の方でどういう方針になるかはまだわかりませんので、私どもとしては準備だけはきちんとしておると、こういうことで事務方に進めさせているということです。
記者:
省内に本部はありますよね。あの段階で4月中にということでしたが。
大臣:
そのスケジュールで進めています。
記者:
公表するかどうかというのは。
大臣:
本部の方から、いつ公表しろということになれば公表をしたいと、その準備だけは進めているということです。
記者:
事務方に指示とおっしゃいましたが、震災の対応でなかなか政務三役が社会保障改革の議論に本腰を入れるような状況ではないと思いますが、その中で4月中に方針を出すということになると、政務三役としての意向がどこまで反映されるのかというのは気になるのですが、政務のお考えがどう反映していくかということについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは震災が起こる前から取り組んでおりましたから、そういう意味では政務三役の考え方なども事前からいろいろと事務方とは協議しながら進めておりましたから、そういう意味で、震災が起こってそれに全部力を注いでいるからということで進まないというわけではないと思っております。確かにおっしゃる通り政務三役は震災の問題にほとんど力を注いでおりますから、具体的に細かい協議とかは出来ておりませんが、しかし、それ以前は進めておりましたから、そういう意味ではきちんとした方針でやっております。

(了)