細川大臣閣議後記者会見概要

H22.12.14(火) 9:45 ~ 10:09 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議が終了いたしましたのでご報告をいたしたいと思います。今日は閣議におきまして、社会保障改革の推進についてということが閣議決定をされました。それに基づいて官房長官の方から発言がございました。その官房長官の発言は「総理からは、すでに各大臣に対して、社会保障・税の一体的な改革は一刻の猶予も許されない課題であることから、関係各大臣においては、自らのリーダーシップの下、直ちに検討体制を構築し、早急に改革の具体的内容の検討に着手されたいこと。社会保障・税の一体的な改革を実現し、経済成長につなげていくためには広く各界各層の国民の積極的な参加を求め、活発な議論を巻き起こしていくことが重要であることから、各省における検討を進めるに当たっては、特にこの点に留意をし、国民との対話を積極的に進めて合意形成に努め、熟議に基づく社会保障・税制改革の実現を図って欲しいこと。三つ目には、国民的な議論の展開と同時に各野党にも呼びかけて協議をしていきたい」と。こういうことで指示がございました。これに基づいて厚生労働省の中でもそれに向けて体制を整えていくと、こういうことになろうかと思います。 それからご報告をしておきたいと思いますが、子ども手当についてですが、この子ども手当について地方にも負担をしていただくということで、これまで市長会、あるいは町村会、この前の日曜日には知事会の麻生会長にもお会いをしてお願いをしてまいりました。私の方からは、麻生会長にはこれまでどおり、児童手当のときと同じように負担をして欲しいと、そして扶養控除の廃止に伴う地方の増収分については子ども手当の方に使わせて欲しいと、こういうお願いをいたしました。これに関しまして、麻生会長の方からは、「子ども手当については国が全額を負担するという約束ではないか」ということで、意見が平行線でございまして、合意には至らなかったということでございます。私としては、知事会の皆さんには理解を求めて精力的にお話を進めていきたいと思っております。

質疑

記者:
子ども手当の財源ですが、2,400億円あまりの財源について、給与所得控除とか成年扶養控除という話が出ていますが、それでもまだ一部足りない状況で、財務省などから「厚生労働省が予算を一部削ってでもそれに充てるべきではないか」というような意見も出ておりますが、大臣の今の検討状況のご認識をお願いします。
大臣:
私の方からは、子ども手当につきましては、「控除から手当へ」という理念の下でマニフェストでも配偶者控除をうたっていたわけですから、私としては高額所得者の配偶者控除をなくすべきであると、こういうことを申し上げてきたのですが、それがなかなか実現をしないようでありますならば、それは財務省の方で子ども手当に要する財源というのはしっかりと確保をしてもらうと、これが筋でありまして、厚生労働省の中で予算について都合をつけるということについては、「そんなことはできない」ということを申し上げておかなければいけないと思います。
記者:
増額分の中でも、成年扶養控除とかで地方分が増える分も子ども手当に向けるべきだという見方もありますが、地方が本体部分の負担も反対している状況で難しいと思いますが、大臣のご認識としてはいかがでしょうか。
大臣:
私の方は、子ども手当の問題については、地方団体には申し訳ないですが、これまでの負担と控除によっての増収分、これについては子ども手当に使わせてもらいたいと、これに尽きると思います。
記者:
制度を最終的に決定する見通しですが、改めて地方側と協議した上で、最後に大臣会合で決定されるというような運びになるのでしょうか。
大臣:
地方の団体については、こちらの考えを誠心誠意理解をしていただくということでお話を申し上げていきたいと思っております。
記者:
来年度の年金支給額ですが、物価の下落を考えると引き下げの方向にせざるを得ないと思うのですが、党内では高齢者の負担につながるということで慎重な見方をする人もいらっしゃるのですが、週内にも決定をしないといけないと思うのですが大臣のお考えとしてはいかがでしょうか。
大臣:
法律では年金額というのは物価スライドということになっているわけでございまして、その法律に基づけば物価が下がると年金も下がると、こういうことで私達は法律通りお願いをしたいと思っております。年金をもらっている方が高齢者ということもあって、高齢者の年金額が減るということについては色々とご意見もありますが、全体的に物価が下がり、働いている現役の世代も賃金が下がっている、そういうような状況でございますから、やはり法律どおりに物価スライドをして下がることもやむを得ないのではないかと思っています。
記者:
民主党の小沢元代表の政倫審への出席についてですが、昨日役員会が開かれてそこでもはっきりとした結論は出なくて、小沢氏に近い議員は反発をしていて党内の対立が激しくなっているような状況ですが、改めて大臣としてはこの問題はどのように決着すべきかと思われますか。
大臣:
党の役員の方、あるいは国会の役員の方、そういうところでどういう風に小沢さんの話をされるのか、それは党内、そして国会の役員、そして小沢さんとも相談をして決めるべきであると思います。
記者:
大臣としては議決をしてでも政倫審で説明されるべきだと思われますか。
大臣:
私自身は政府の立場にいますから、これは本来国会で決めるべき問題でありますから、そういうことについてのコメントは避けたいと思っています。
記者:
今日の閣議の社会保障改革の推進についての決定ですが、仙谷さんの発言に対して他の閣僚から何かご意見などはありましたでしょうか。
大臣:
それに対して特に何か意見などはありませんでした。
記者:
厚生労働省としてはこの指示に従って具体的に何をやるという流れになっているのでしょうか。
大臣:
社会保障をどういう風にしていくのか、これから具体的に検討をしていきたいと思いますが、急がなければいけないと思いますから、今日にでも早速指示をしてやっていきたいと思っています。
記者:
関連なのですが、一体改革は一刻の猶予も許されないというご発言があったのですが、大臣としてはいつまでに一体改革を実施すべきだとお考えでしょうか。
大臣:
実施というよりも、まずはどういう様な社会保障制度にするのかということは時期的には来年の半ばだということになっております。それまでに、しっかり政府内、あるいは党との相談、あるいは他党と協議をしながら進めていくことになります。来年の6月までです。
記者:
来年の6月までに案を作るということはこの間も言われていたのですが、そうすると一刻の猶予も許さない改革は、これまでの1年間何もやって来なかったのでないか、何をやって来たんだという部分についてはどうお考えでしょうか。
大臣:
全体的な形での社会保障改革を来年の6月までにということで、そういう作業は行い有識者会議の方向性も出てきて閣議決定ということですから、これまで何もやってこなかったということではありません。それから省内でも医療の問題、それから介護の問題を検討会などでも議論をずっとやってきてますから、そういうことを総合的に来年の6月に向けての社会保障改革に繋げていくようにきちんとやりたいということです。
記者:
税の方の議論が遅れていたから遅れているというか、来年の6月までかかってしまうということでしょうか。
大臣:
それは全体的に考えると、年金の問題でもそんなに簡単にすぐに結論が出るようなものではないと思いますので、一定の期間はかかると思います。それは来年の6月の半ばということになっているわけです。当然税の問題も一体的に改革をするということですから、税の問題はむしろこれからやっていくということになると思います。
記者:
関連ですが検討本部の終了後のレクで、金曜日の段階では各省庁に必要な額を算出して出すようにという説明があったのですが、額については仙谷長官から特に指示はなかったのでしょうか。
大臣:
今日はなかったです。
記者:
必要額が出ない限り、税制でどのくらいのことを考えないといけないかのプランが見えにくいと思いますが。
大臣:
ですから、これから社会保障制度を検討していく上で、それに対してどのくらいのお金が掛かるかということも、当然そこで検討していかなければいけないということになると思います。
記者:
厚生労働省としても必要額に対しては、それぞれの制度で出していくということでしょうか。
大臣:
それは当然考えていかなければいけないと思います。
記者:
年金に関しては民主党がマニフェストで掲げている民主党案に沿って具体案を作るのでしょうか。その場合最低保障年金の所得制限をいくらにすると決めると、必要な消費税率の引き上げの幅も決まってくると思いますが、その辺りまで具体的に検討して来年半ばまでに出すということでしょうか。
大臣:
税との関係で一体的にやるということになっておりますから、そこは社会保障制度とそれにかかる費用はいくらかと、そうすると税の方はどういうふうにしていくのかということは一体的にやります。年金だけではなくて、他の医療とか介護とかそういうところも含めてやっていくということになります。
記者:
今日総理が日帰りで硫黄島を訪問しますが、遺骨収集事業でフィリピンなどで遺骨のでっち上げ事件などが指摘されておりますが、これまでの調査を通じて大臣としてはこの事業をどう見られているのか、また、今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
総理は今日は閣議の後、硫黄島に発たれましたが遺骨収集についてのフィリピンでの収集の問題については、今厚生労働省からも職員を派遣して調査をさせております。その調査結果を見ていろいろと判断していきたいと思っております。まだその報告を受けておりません。
記者:
現在の遺骨収集事業は、「年月が経つとともに収集が難しい」という指摘もあるのですが、今後事業の衣替えとか幕引きを検討されるお考えがあるのか、また、それに向けて遺族会、関係団体と話し合う必要があるかお聞かせください。
大臣:
私自身はこの作業というか、この仕事を幕引きなどということは考えておりません。ですが、収集方法にいろいろ工夫を加えた方がいいということになれば、それはそのようにしていきたいと思います。今回の硫黄島の遺骨収集のことと、それからフィリピンの問題とかいろいろ総合的に勘案して、これからどういうふうにしたらいいかという方法について検討することもあり得るということだと思います。
記者:
関係団体との話し合いも行うのでしょうか。
大臣:
場合によっては行いたいと思いますが、例えば、硫黄島の遺骨はアメリカの公文書館の資料を見ていろいろなことが分かったということもありますので、資料の収集も考えていかなければと思っております。岡本政務官が担当してやっておりますので、岡本政務官からもいろいろ報告を聞いて進めていきたいと思っております。
記者:
求職者支援制度についてですが、従来、厚生労働省に連合が一般財源でやるのが筋ということで、なかなか状況として難しい中で雇用保険の財源を使ってという話も出ておりますが、そんなに時間はないと思うのですが、大臣としてはあくまでも一般財源でとされるのか、あるいは雇用保険の方から出すこともやむなしとお考えなのかその辺をお聞かせください。
大臣:
これはまだ決まってなくて、財務省の方といろいろと交渉をしているということです。求職者支援制度の運営にかかる財源については、今財務省と交渉中でございます。
記者:
子ども手当の地方負担についてですが、これまで3団体の首長さんと個別に会談されましたが、これまでの主張では地方は駄目なわけですが、今年度と同様にということも駄目ですし、増収分を充ててくれということも駄目なわけですが、そこでそのままの案を大臣は引くつもりはないのか、時間もないのですが何らからの懐柔策というか、柔軟性を持った案を提示されることもあるのかそこら辺についてお願いいたします。
大臣:
一方で市長会、町村会の皆様から要望もありまして、それは学校の給食費とか、あるいは保育料を子ども手当から相殺出来るようにという法的な措置をしてくれというご要望もあります。そういうことには応えられるかどうかということで、今法的な検討を行っているところです。私どもの考えというか、地方に負担をしていただくということについてご理解をいただくということと、一方で地方の皆様からの要望をどう実現出来るかについて今検討していて、検討の経過についてはお話し申し上げているところです。
記者:
昨日、菅総理が法人税の引き下げを表明されましたが、なかなかリーダーシップが見えないという中で、一定のリーダーシップを発揮したと見てとれるのですが、大臣は総理の判断についてどうお考えでしょうか。
大臣:
それは総理が最終的に決断されて、法人税の引き下げを決定されたということについては、非常に良かったと思っております。

(了)