細川大臣閣議後記者会見概要

H22.12.03(金) 14:28 ~ 14:58 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議が午前中にありましたが、委員会や本会議、あるいは表彰式などの行事がありまして遅くなりましてすみませんでした。 閣議の方では特別報告することはありません。今日で臨時国会が終了いたします。厚生労働省として、補正予算は成立しましたが、法案については残念ながら成立をしなかったということで、大変残念に思っております。とりわけ、雇用・能力開発機構の廃止法案につきましては、求職者支援の恒久化に向けまして、いわば受け皿的な、そういうことも考えた法案でありまして、これが継続審議になったということについては大変残念に思っております。また、年金確保法につきましても、これも参議院で継続になりましたが、これが成立をいたしますと、最大1,600万人の方が年金が増額をするというような法案でありまして、是非今国会で成立をさせていただきたいと思っておりましたが、残念ながら継続になりましたので、次の通常国会では是非早めに成立をさせていただきたいなと思っております。 あとは、国会が終わりましたから、いよいよ予算の編成に向けての大きな仕事がございますので、それに向けてしっかりやっていこうと思っているところでございます。

質疑

記者:
子ども手当についてお伺いしますが、昨日、閣僚会合で額についてはほぼ固まりましたが、今後財源の調整に入ると思いますが、昨日の議論でも大臣間に意見の隔たりがあったというようなこともお伺いしています。例えば、野田財務大臣と細川大臣の間でどのようなやりとりがあったかご紹介ください。
大臣:
昨日の会合では、副大臣会合で議論をされたことの報告がまずありました。私の方からは、地方団体などとの意見交換について報告をいたしました。そして、神本さんの方からは党の方の考え方が報告がありました。そして、岡崎大臣からは、待機児童ゼロ作戦などの報告も兼ねて、子ども・子育て支援の方の報告がありました。そこで、だいたい副大臣の会合の報告をもとにして話をしたのですが、子ども手当の財源については、副大臣の方からしぼった形では出ておらずに、何点かあがってきて、それについて議論をするというよりも、最初に財務大臣の方から、「政府の方の税制調査会で、私どもの方からは高額所得者の配偶者控除は廃止をするというような提案もしておりますから、そういうような議論をしているところだから、この場での結論というのは出しにくい」というような意見が言われまして、「確かにそういうことだな」ということで、昨日は結論が出ずということになりました。
記者:
税調の議論がまとまらなければ、子ども手当の関係閣僚会議での議論が出しにくいということでしょうか。
大臣:
まとまらなければまとまらないで、五大臣会合で結論を出すということになると思います。
記者:
大臣としては、厚労省として提案されているように高額所得者の配偶者控除の廃止を持って財源に充てたいというお考えでしょうか。
大臣:
そういう風に考えております。
記者:
野田財務大臣は配偶者控除の所得制限がだめなのであれば、厚労省の財源から出してもらうしかないというようなことをおっしゃっていますが。
大臣:
それは副大臣会合の報告が3つくらいあって、「これもだめ、これもだめ」ならば3つ目に厚生労働省の方で財源をという内容なのだから、私としては、「前の自公政権の時の、例の社会保障を2,200億削ったときと同じようになるのではないか」と、「とんでもないがそこだけはだめですよ」というような話は直接しました。
記者:
財源が非常に厳しくて、しかも通常国会も非常に厳しくて、衆院選のマニフェストで民主党が目指していた社会保障制度の姿は変容してきているような感じがするのですが、実際に厚生労働大臣として限界みたいなものは感じてらっしゃいますでしょうか。
大臣:
それは、高齢社会、少子社会、それが急速に進んでいるということで、社会保障制度の年金や医療、介護、いずれも色々な形でほころびと言いますか、そういうようなところが出ているような、そういうところでありますから、これは政府と党の方で社会保障改革検討本部ができてやっていますから、今月には中間まとめのようなものが出てまいります。そういう社会保障を実現するためには当然お金がかかるということで、それについては税制を含め、どういう形の財源をみていきますかと、そういう設計は当然でてくると思います。
記者:
消費税引上げがなければ、基本的に設計として詰まってくるという感じがするのですが。
大臣:
税制改正の中で消費税も一つの選択ということは、当然議論として出てくると思います。
記者:
具体的な時期として消費税の論議を開始する時期ですが、党内では4月の統一地方選が終わったら大きな選挙が解散をしないかぎりしばらくないので、そこで与野党協議の議論をしていったらよいのではないかと、基礎年金の財源探しの問題もありますし、来年度、再来年度にも関わるわけですので、消費税という話がでているのですが、具体的な時期としてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
社会保障改革検討本部でしょうか、そこでいつごろ出すかということも議論になってくると思いますから、ここではちょっと。
記者:
子ども手当に関して、野田財務大臣が配偶者控除の見直しとか所得制限もだめだとなったら、その場合は厚生労働省の予算を削ることができるかという選択肢の中で判断をすると言っておりますが、その辺の発言についてはいかがでしょうか。
大臣:
私は直接聞いていませんが、これは厚生労働省としたらとんでもないことであって、それは絶対に受け入れられないということです。
記者:
やはり予算としては財務省の方で。
大臣:
財務省の方でしっかり作り上げてもらうということです。
記者:
高齢者医療制度改革についてですが、来週、改革会議が最終案をまとめると思います。その中で、運営主体を都道府県として明記するお考えはありますでしょうか。
大臣:
私が明記するというか、お願いをしているわけですから、検討会議で議論をしてもらうことになります。私の方が結論をいうわけにはいきませんが、この間も知事会の麻生会長、愛知県の神田知事とも懇談をしましたが、知事会の皆さんは、特に国保の関係での運営主体を都道府県ということについては今のところ反対だと、飲むわけにはいかないということはおっしゃっていました。理由は、財源の問題がどのようになるかということもわからないままに、というようなことを色々言われておりましたが、私の方からは、国保の場合には、保険でありますから、母体数が多いほど安定もするわけですから、それは県の方にお願いをするのが筋であると思いますというようなことを厚労省としてのお話はさせていただいたところです。私と岡本政務官が一緒に話をしたのですが、なかなか納得はしていただけませんでした。この点については、私はこれから知事会の皆さんとは検討会が終わっても丁寧に話し合いはしていくべきだと思っています。
記者:
検討会の場では厚生労働省としてはどういう形で打ちだしていくのでしょうか。
大臣:
議論の結果がどうなっていくかわかりませんが、経営主体、一義的には高齢者の分について県の方にお願いをすると、こういうことをこちらとしては申し上げたいと思っています。
記者:
子ども手当についてですが、今日、神奈川県の松沢知事をお会いすることになっていると思いますが、その会合ではどのようなことを向こう側にお願いしていきたいのかということと、ただでさえ財源がないなかで、地方が負担を強硬に拒否しているなかで、いつごろを目安に納得をしていただきたいかということと、もし、地方がどうしても無理という場合にはその代わりにどういった財源を充てるかといったことは考えているのか、3点お伺いします。
大臣:
今年度は、前の児童手当の仕組みを前提に、これまで負担していただいた分を負担していただいていると、こういうことですね。今、据え置きといいますか、概算要求のところでも、これは今のままで暫定的に要求ということでしておりますが、私どもとしたら、これまでの負担をしていた分については地方にお願いをしたいという考えでありまして、これは私どもの方が地方団体と丁寧にお話をして、納得をしていただくまでお話し合いをしなくてはいけないと思っております。その際に色々な団体の方からの要求もあろうかと思いますので、そこは真剣に検討をしなければと思っています。
記者:
「納得いただくまで」というのは今月中ということでしょうか。
大臣:
これは予算編成で決めなくてはいけないことでありますから、この予算編成の結論が出るまでに決めなければいけないことです。
記者:
もし決められなかった場合の財源については。
大臣:
一生懸命お話をしていくと、これしかないと思います。
記者:
先程の参議院本会議で障害者自立支援法案が議員立法で成立しました。当事者から要望の強かった自立支援医療について、医療費軽減施策についてどうお考えになるかということと、財源難のなかで障害者サービスの自己負担のあり方についての基本的なご見解をお願いします。
大臣:
参議院の方で自立支援法の改正案が成立をしまして、これは私どもが提案をしたわけではありませんが、議員立法で成立ということですから、そういうなかでも障害者に対する医療の負担をなくしてもらうような要求も出ておりまして、それについては委員会で質問も出まして、財政が大変厳しいけれども、今検討中ということでお答えをしたところでございます。それから、障害者全般のことについては、今、障がい者制度改革推進会議でしょうか、そこで色々と議論をさせていただいておりますから、そこでの障害者団体の皆さん方のご意見も反映しながらやっていきたいと、それに尽きると私は思います。
記者:
自立支援医療を何らか具体化できる見通しは。
大臣:
今日の改正案というのは、それまでの時限的な法律ということに内容的にはなっておりまして、それを含んだ形で議論をして障害者総合福祉法のような内容に持っていくと、こういうことになっております。
記者:
雇用・能力開発機構の廃止法案の関係ですが、廃止の時期との絡みで、通常国会に入っても、早めにといっても一番最初ということでもないでしょうから、一定の時間がかかるといった時に、廃止の時期を後の方にずらすというようなことについてはどうお考えでしょうか。
大臣:
この法案そのものは「来年の3月31日で廃止をする」という、以前の内閣の閣議決定を受けてそういう法案の内容でしたから、それが成立が難しいということになれば、それは当然先になっていくということになると思いますけれども、これはまだこれから検討するということになると思います。
記者:
高齢者医療制度改革の件ですが、国保に入る高齢者部分については運営主体が県ということを打ちだすというお話がありましたが、その理由についてお願いします。
大臣:
それはやはり市町村ということになれば、そもそも経営の母数が少ないですから、不安定になるということ、そうしますと、同じお年寄りでも保険料が違うとかいうような問題もありますから、したがって、それを母体数の多い県単位とすればそういうところが安定をするというかならされるというか、そういうメリットがあります。したがって、国保の問題については、だいたい市町村というよりも、今は高齢者は広域連合になっていますが、市町村から母数の多い経営主体である都道府県というところへ移行していくのが良いのではないかというのは、だいたいの趨勢ではないかと思っております。
記者:
B型肝炎訴訟ですが、来週火曜日にまた和解協議がありますが、原告側は「前回の協議で札幌地裁が国に再度検討するよう要請した」という主張をされていますが、国としてはどういう認識に立っているでしょうか。
大臣:
B型肝炎の和解協議は、前回、国の方としては無症候キャリアの皆さんについての法的責任について共有認識を持てるかどうかというような形での提案をしているわけです。もう一つは因果関係のところも多少提案をいたしておりまして、むしろそれに対してお答えをいただくというか、そっちの方が中心ではないかと私は思っています。
記者:
裁判所なり原告から回答を得ると。
大臣:
そちらもいただかなくてはと思っています。
記者:
地域主権のことですが、昨日、民主党の調査会で「厚労省案も検討すべし」ということも盛り込まれて最終提言が出たのですが、その内容についてのお考えと、事務局側から「知事会の姿勢として雇用保険や財源のことを引き受ける覚悟が感じられなかったと」いうことがあったのですが、昨日の結果について反発とかも出ていますが、知事会の姿勢や主張に対しての大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
地域主権については、国の権限を地方に移管するという地域主権そのものの考え方、それについては当然私どもも協力をしてやっていかなければと思っておりますが、ハローワークの移管につきましては、厚生労働省としては本当にぎりぎりの提案をさせていただいておりまして、これはハローワークをどうするかと、地方移管をするのか、あるいは国で全国統一的にやるのかというようなことについては、利用者が最も利便を感じるといいますか、利用者のためにどうしたらよいのかという観点で考えなければいけないと思います。そういう意味でも、そしてまた、労働者あるいは事業者の皆さんの意見というのも非常に大事だと思っていて、私どもとしてはぎりぎりの提案をして、そこで色々なところで私どもの考えをお伝えしていたところです。党の方から結論が出まして、だいたい厚生労働省の案がよいのではないかというような結論をいただきまして、正直よかったなと思っております。知事会の皆さん方がご不満なところはもちろんあろうかと思いますが、ハローワークの職業紹介の問題は、雇用保険も大事なところでありまして、その財政的な経営の問題と実際の職業紹介を分離してやるということが果たしてできるのかどうか、ここが非常に重要なところであります。雇用保険料を集めて財源的にやりくりをするのは国で、職業紹介あるいは失業認定などを地方でやったら財政的な運営と職業紹介、認定実務、これは濫給、濫給というのは、認定する方はどんどん「はいわかりました」と支給するわけです、けれども、それは自分が経営しているわけではないですから、それは自分達の判断でどんどんできるわけですね。しかし、雇用保険を運営する方は、失業した人が本当に求職をしたいと、新しい仕事を見つけたいという意思のある方をきちんと認定して、そこでそういう方が職を見つけるまでは雇用保険を支給すると、こういう制度になっておりますから、そこが分離されると雇用保険財政というのは大変厳しくなるのではないかと、そういう心配があるわけです。それから全国的なネットワークがどうしても必要だし、ILO88号条約を日本は批准しているわけですから、そういう観点からしても難しい問題があるのではないかと、こういうご指摘ではないかと思います。

(了)