長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.8.10(火) 11:20 ~ 11:47 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
まず8月の月例経済報告会がありまして、その後に閣議、閣僚懇談会、給与関係閣僚会議を終えてこちらに参りました。給与関係閣僚会議では、人事院勧告の中身等の説明がありましたが、結論を得るには至らずに今後さらに検討を進めるということになりました。 もう一点目ですが、海外での戦没者の死亡状況について帰還した元上官から聞き取りした資料について本日インターネット上で公表をさせていただこうと考えております。サンプルをお手元にお配りをしておりますが、例えば、艦砲射撃で右足や腰を貫通する負傷を負った兵士が手榴弾で自爆をされたとか、詳細な情報が書かれた資料がありますので、私も野党時代に委員会で指摘をして、それまでは捨てられていた資料でありますが、その質問以来全部保存がされておりますので、それについて延べ4,296名分をインターネット上で公表をするということで、こういう資料は厳正に保管をして国民の皆さんに提供をして、色々な研究等にも資するような形にしていきたいと考えております。今日は午後1時から硫黄島の遺骨収集の会議もありますので、こういう方面にもさらに取り組んでいきたいと考えています。

質疑

記者:
臓器移植についてお聞きします。法改正があって以降初の脳死からの臓器提供と移植が実施されているわけですが、改めて受け止めについて教えて下さい。
大臣:
今日の閣僚懇談会でも報告を致しました。改正法施行後初のご家族の同意のケースであるということで、長年に渡って国会で議論をして法律が施行されましたので、法の趣旨に則って適切に運営されるように我々としては見ていくということであります。今後、移植手術が行われるということでありますので、手術の成功をお祈りするとともに、お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りを致しますし、ご家族も色々なお考えのもと、御判断をいただいたということに関して敬意を表するものであります。
記者:
今回、ご家族の御判断ということですが、今後、本人同意が書面でないなかでご家族の判断で提供が増えることが予想されるわけですが、こうした家族に対してのケアについて具体的に何かお考えがあれば教えて下さい。
大臣:
ご家族のケアというのは改正法の前からも指摘があることでありますので、これまでの例も含めて、どういうケアが必要なのかということについても省内で検討をしていくということについても昨日指示をしたところであります。適切なケアの在り方ということについても今後議論をしていきたいと思います。
記者:
御本人の拒否がなかったことをどのように確認をするかは改正法の課題として挙げられているのですが、手続の適正さをどう担保するかということに関してお考えはいかがでしょうか。
大臣:
従来からも移植の場合は専門家の方に、その後一定の時間をおいて、色々な資料等に基づく検証がなされているわけでありまして、今まで残っている検証は9月上旬の検証会議でするということでありますし、今回の件についてもこれまでのような期間よりももう少し早く検証をするということをしたいと考えております。専門家の目から見て適正かどうか、法の趣旨に合致しているかどうか、これを検証していただくということになると思います。
記者:
概算要求についてお伺いします。子ども手当を1万3千円からさらに上積みをするということを大臣はおっしゃっていますが、概算要求の段階、8月末の段階で「厚生労働省としてはこの金額で」といった具体的な金額を挙げて要求をなさることはお考えでしょうか。
大臣:
これは今色々議論をしているところでありますので、まだどういう形で概算要求をするかというのは決まっておりません。いずれにしても、年末の予算編成の段階で現金、現物給付を具体的にどういう水準にするのかというのはそこまでの間に確定をしていくということであります。
記者:
途中段階で「厚生労働省としては」という形での考えを示すかどうかはわからないということでしょうか。
大臣:
概算要求の段階で、限られた時間の中で、具体的にどれだけということを示すか示さないか決まっているわけではありません。全体の予算の中での話でもありますので、困難ではないかと考えてはおりますが、まだ決まってはおりません。
記者:
8月15日の終戦の日が近づいていますが、大臣御自身は終戦の日に靖国神社に参拝するかどうかということと、その理由についてお聞かせ下さい。
大臣:
靖国神社はA級戦犯の方が合祀をされているというようなことに鑑みて、参拝をする予定はありません。今後、広く参拝が可能な在り方を検討していき、そして実現をしていくことが必要になると思っております。
記者:
臓器移植の検証会議についてお聞きしたいのですが、臓器移植の件数が見込まれるとすれば今までのペースでは追いつかないという見方は予算委員会でも触れられていたと思いますが、これは具体的にどうやって効率化、迅速化を図っていくかお考えがあれば教えて下さい。
大臣:
検証会議がなかなか開かれないということで、検証の迅速化ということが課題になっていると思います。まずは9月上旬に開催をして、そこでは検証も致しますが、その場でも今後の検証の在り方についても御議論をいただこうと考えておりまして、どうやって迅速な検証を確保出来るのか、ただ、専門家の方も限られておりまして、迅速にすると検証の質が確保出来るのかと、色々な論点があると思いますが、次回の検証会議では検証の迅速化についても御議論をいただいて、それを実現すべく取り組んでいきたいと思います。
記者:
国会答弁では子どもの場合と子どもではない場合というようなカテゴリー分けにも言及されていたかと思いますが、今回のような家族同意の場合にそういうようなこともイメージの中にあるのでしょうか。
大臣:
9月上旬にどういうことを議論いただくかということについて詰めている段階ですので、国会で答弁をしたのは今おっしゃっていただいたような一つのカテゴリー分けというようなことです。色々な考え方があると思いますので、それについて我々も論点を詰めて、そして専門家の方に在り方についてのご意見をいただくということで、今、論点が完全に出来ているわけではありませんので、今後、専門家の意見も聞きながら迅速化に努めていきたいと思います。
記者:
臓器移植に関連してですが、家族のケアということで指示をされたということですが、もう少し具体的にお聞かせ下さい。
大臣:
これは色々なケアの在り方がご家族毎に違うということだと思います。これまでも色々な関係各方面で取り組みがなされている部分も一定程度あると聞いていますので、その中でどういうものが効果があるのか、実態をお伺いして、国としてさらに強化すべき部分があればということを考えております。具体的に「このケースはこうする」ということを検討していくというようなことであります。
記者:
検討会などのチームを立ち上げるということでしょうか。
大臣:
これについても別の組織でやっていくのか、あるいは既存の部局でやるのか、これについても関係者で議論をしていくことになると思います。
記者:
話題が変わるのですが、もう少しで夏休みなのですが大臣としては夏休みの日程はどのくらいでお考えになっていて、どういうお過ごし方を考えていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
今日閣議でも夏休みの話題ではありませんが、閣議はお盆はないという話もありました。省内にも申し上げておりますが私としては今週の金曜日と、来週の月、火曜を夏休みを取ると申し上げたところですが、その後、「来週の月、火曜は概算要求の関係で出て来て欲しい」という要求が部局からありましたので、休日出勤をその案件ですることになるのではないかということです。休んでいるのか休んでいないのかという議論はありますが、一応休みということになっております。
記者:
御家族から、そういったお過ごし方についてクレームが来たりということはあるのでしょうか。
大臣:
家族からは特にそういうことはありません。日曜については全日ではないですが、数時間程度休みがありますので短い時間ですが、そこで家族と過ごすということです。
記者:
子ども手当についてですが、NHKの世論調査で子ども手当の来年度以降について聞いたところ、「1万3千円から上積みし現金で支給すべきだ」というのが8%、「上積みしてその部分を現物給付に充てるべきだ」というのが19%、「上積みせず今の支給額に止めるべき」が30%で、「支給を止めるべきだ」というのが34%もあったのですが、大臣としてはこれについてどのように受け止めていらっしゃるのか、改めて来年度以降どうしたいのか、大臣としてのお考えをお聞かせください。
大臣:
やはり、我々もいろいろ国会の場などでいろいろな説明をしているつもりですが、更に説明することが必要なのではないかという数字だと思っております。やはり、お子さんがおられない方にとっても子どもにかける予算は子ども手当のみならず、保育所整備などは重要であるというのは言うまでもなく少子化の流れを変えることにも繋がり、社会保障の担い手を増やして行くことにも繋がります。あるいは、GDPの比率で見ても、先進国の中で日本は非常に子どもにかける予算が低いということで、これまでももっと大切なことがあるということで、先送りをされて来ました。結果として先進7カ国では、最も出生率が低いということになっている現状を更にお伝えして行きたいと思います。あと、誤解もあるのは現金だけを重視しているのではないかということで、あまりにも子ども手当のインパクトが強くてそういうメッセージが伝わっているとすれば、そうではなくて閣議決定で5カ年計画で保育所の定員を毎年5万人ずつ増やして行くことで今年度も予算を付けましたが、実行して現物と現金の両輪でやるということも更に説明して行くということです。やはり、お子さんを産みたい方が産める社会ということが重要だと、これはお子さんがおられる方も、おられない方も、お子さんが大きくなった方にとっても、日本の国にとって国家百年の計で重要だということを説明して行かなくてはいけないと思っております。
記者:
ということは、大臣としては現金での支給の上積みも来年度以降は必要だとお考えということで、理解を得て行くということなのでしょうか。
大臣:
まずは、4月から1万3千円ということでこれまで以上の子ども手当、その金額にしても、GDPの比率で先進国ではまだまだ低いわけです。今後1万3千円から現金、現物がどの比率でどういう項目かは財政の問題と絡めて議論をしなければいけませんので、まだ確定的なことは言えません。いずれにしても参議院のマニフェストでは「上積みする」ということを申し上げておりますので、それについて今後財政当局とも調整しながら議論をして行きたいと思います。
記者:
高齢者の所在不明問題なのですが、神戸市が100歳以上で105人不明者がいるということで、一つの自治体で3桁になると、全国で相当数にのぼると思いますが、大臣の受け止めと現在の調査の進捗状況について教えていただけますでしょうか。
大臣:
まず、仙谷官房長官を中心に先日5大臣会合を開催いたしました。厚生労働省のみならず他省庁にも関わる問題ですので、警察で言えば失踪届や、捜索願とのリンク、あるいは総務省で言えば住基ネットとの関連性など政府全体で取り組もうということです。また、次回会合も「今後やって行きましょう」ということがその会合では仙谷官房長官からお話がありました。これについては、非常に国家の基礎的なデータの信頼性にも関わって来ますので、関係各大臣で今後とも協議をして、必要な施策を実行して行くということです。そして、厚生労働省の部分で言うと年金のサンプル調査800件ですが、これは訪問いたしましたので一つ一つ精査をして、当初どおりの予定で発表出来るのではないかと考えております。そういうものも含めて今特に年金の問題はお金の話でもありますので、省内で今かなり人を割いて調査を鋭意しているところです。
記者:
児童虐待についてですが、先日の予算委員会で児童相談所の強制調査権について、「法的手続きがハードルが高ければ、見直すところは見直す」という趣旨の発言をされておりますが、具体的に議論されている点はございますか。
大臣:
やはり、今いろいろなケースについて全く行政が把握していない段階で事件になってしまったケースもあります。その場合は、臨検以前にどうやれば行政が把握出来るのかという入り口論になる案件もかなりあるのではないかということです。そして、どの段階でどういう原因なのかということについても、今集計が出つつありますのでそれに基づいて昨日、第2回目の事務方の大阪市における虐待事件を受けた対策会議を開いてそこでも議論をしました。今後、例えば、今検討しておりますが、臨検であれば裁判所へ提出する資料のある程度ひな形を作り、そこに書き込めばそれが出来るような、そして裁判所とも予めどういう事務手続きにするのか連携を取って行くということで迅速化を図って行くということです。あるいは安全確認が困難な事例についての全国でのモデル事例、こういうケースでこうやって確認をすることが出来たなど、今までもやっておりますが更に情報共有をして行くということです。私も児童相談所に8月18日にお邪魔して、今月26日には全国の児童相談所所長を集めて議論をさせていただくということについても考えております。臨検だけでなくて、いろいろな段階で取り得るべき対策、施策がありますのでそれについて我々としても更に強化をして行きたいと思います。ただ、一番のポイントとしては行政自体が初めから把握出来ないで事件になってしまったということについては、どういう形で把握すればいいのかということは大きな課題だと思いますので、その点については必要な施策を実行して行きたいと思います。
記者:
今日の閣議で、日韓併合に100年に当たる首相談話が閣議決定されたとおもいますが、この談話に対しての大臣の評価、受け止めを教えてください。
大臣:
この談話は閣議で全大臣がサインして閣議決定されたということです。私もこの談話をすべてきちんと事前に拝読させていただきましたが、基本的には適切な談話ではないかと思います。100年を迎えるということと、今後は未来志向で日韓で取り組まなければならない仕事はこれまで以上に重要な仕事が多いわけでして、安全保障の問題や、経済の連携の問題、何しろ東アジアにおける一つに二国関係として未来志向で取り組もうと100年の節目に当たる一つのメッセージになったのではないかと思います。
記者:
先日広島、長崎の式典で総理が挨拶の中で胎内被曝の方、家族の支援についておっしゃっておりますが、現時点で具体的にどういうものを考えていらっしゃるのかお考えがあればお聞かせください。
大臣:
総理からも指示がありまして、胎内被曝された方の中で例えば、小頭症という方もいらっしゃるわけです。そういう方に対してどういう支援が出来るのか、その仕組み、具体策を検討するよう指示がありましたので、今省内で議論、検討して打てる施策があれば速やかに実行して行きたいと思います。

(了)