長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.6.29(火) 10:20 ~ 10:48 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇、そして色々会議がありましてこちらに参りました。私の方から何点か申し上げます。一つは、閣議では有効求人倍率が若干改善を致したものの、失業率が若干悪化をするということになりまして、依然として厳しい雇用情勢でありますので、厚生労働省としては雇用対策に万全を期していくということであります。非自発的離職というのは数は減っているのですが、自発的な離職が増えているということも一つのポイントではないかと考えています。 そして、閣議の前ですが、「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」というものがございまして、これは平成19年にサインをしたものをさらに深掘りを致しましてサインをしたわけでございます。ちょうど明日から改正育休法が大部分施行されるということもありますので、我々もワーク・ライフ・バランス、そして夫の家事、育児に対する関わりの時間を増やしていく等々に取り組んでいきたいと考えております。 そして、第二回の障がい者制度改革推進本部も開かれまして、私も発言を致しましたのは、新たな障がい者総合福祉法については、平成24年の通常国会に提出をする、そして翌年に施行をするということについて決意を申し上げたところであります。 その後「新年金制度に関する検討会」ということで7原則を発表致しました。これについては私の方からもこの7原則について与野党に投げかけると同時に国民の皆様にも広く御意見をお伺いしていくというお話も申し上げたところであります。平成25年に所要の法律を提出するというスケジュールは変わっておりません。 そして、もう一つ会議がありましたが、「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」ということで、パブリックコメントの中身について3パターン、それぞれそのパターンの中にも選択がございますが、その報告がありました。私の方からは番号だけを切り取って議論をするというよりも、将来の社会保障のビジョンの中でこの番号というのがこういう効果があるのだというようなことをお話を申し上げ、少子高齢社会を克服する日本モデルというのを総理も所信表明で言われていますので、そういうビジョンの中で一体として国民の皆様に、番号だけというよりもそれに対するメリットということについても御理解をいただくようにお話をすることが重要ではないかということを申し上げました。 その他でございますが、昨日、インフルエンザ輸入ワクチンについてノバルティス社とも一定の合意が出来たということを発表させていただきました。ポイントとしましては、かなりぎりぎりの交渉で、世界各国の交渉状況も我々も出来うる限り情報収集を致しまして、他の国以上の成果を取りたいという思いで交渉を全力で致しました。その中で、これまで懸案でありました鳥インフルエンザが強毒性で起こった時のワクチンの確保ということでございますが、国産の体制を整備するというのはもちろん全力で取り組んでおりますが、それに不足する部分についてノバルティス社から4千万回分の優先購入権、4年間有効というものについても解約交渉の中で入れるということにもなりまして、金額にすると100億円強となるわけでございます。今のノバルティス、GSKを含め交渉を致しまして、仮に鳥インフルエンザが起こった場合、発生から2ヶ月程度で株を入手すると、そして株を入手した後に製造を開始して6ヶ月で先程のノバルティスの優先購入権、これが半分実施出来るということであります。それとGSKもアジュバントは流用出来るということで了解を取っておりますので、製造開始後6ヶ月で国産ワクチンも含めて1億2,500万回分を調達出来るということになりまして、2回打ちの場合であれば6,250万人分であります。1回打ちか2回打ちかというのは鳥インフルエンザでありますからまだわかりません。そして、製造開始後8ヶ月であれば2億2千万回分が国産、ノバルティス、GSK社併せて調達出来る見込みになりまして、仮に2回打ちであっても1億1千万人分ほとんど国民分が調達出来るということになりました。 あと4点ほど御報告を致します。1点は、介護職員等によるたんの吸引についてですが、これについては、これまでは特別養護老人ホームの職員、あるいはホームヘルパーについて違法性阻却ということでやむを得ない必要な措置という形で通知を出しましたが、今後、第1回の検討会で法律で、きちんと位置付けるべきではないか、グループホーム・有料老人ホームや障害者施設等において対応する必要があるのではないか、在宅でもホームヘルパーの業務として位置付けるべきではないかを御議論いただいて、必要な法整備を実施していきたいと考えています。 2番目と致しましては、これも皆様方から御指摘をいただきました東北厚生局職員の情報公開文書の改ざん問題でございます。調査を致しました結果、新たに判明した事実もございました。別の開示文書につきましても内容が前回と異なる文書を差し替えていたということも判明を致しました。マスコミで指摘をいただいた削除されたもの、そして今回新たにわかった異なる文書の差し替え、この両方については共に同じ職員でございます。この職員は現在、独立行政法人国立病院機構に勤務しております。ここは非公務員型ではございませんので、懲戒処分をするということに致しました。減給でございます。そして管理職も監督責任ということで合計3名いますが、1人は退職しておりますので、訓告が1名、文書厳重注意が1名ということに致しました。詳細については担当部局から説明をしたいと思います。いずれにしましても、民主主義の根幹である情報公開制度の中であってはならないことが起こったということでお詫びを申し上げます。二度とこういうことが起こらないように厳重に再発防止に努めて参りたいと考えております。 もう一つは、御指摘がございまして、財団法人社会福祉振興・試験センターが保有する積立金が過大ではないかということでございます。これについて政務三役でも精査を致しまして、財団を昨日お呼びして役所とも協議をした結果、やはり地震など災害が起こる時に試験を円滑に進めるというようなことで、全国で同時に災害が起こるような積立金というのはやはり過大であるということで、試験事業安定積立金は原則として3年間で全額解消していこうということに致しました。公益事業拡充資金等資産についても還元をしてゼロにしていきます。登録事業安定積立資産については引き続き一定のものは留保したいと思いますが、半減をしようということで登録手数料も引き下げるということでございます。お配りの資料にもございますが、社会福祉士につきましては次々回からの受験手数料を、これまで9,600円だったものを5,580円に致します。介護福祉士は次々回からの受験手数料を12,500円のものを10,650円に致します。精神保健福祉士については次々回から11,500円だった受験手数料を9,750円に致します。介護福祉士に致しましては、登録手数料でございますが、これを4,050円でありましたが、次々回から3,320円に致します。 もう一つはスリム化ということでいわゆる天下り財団でございますが、厚生労働省出身者の役員ポストについては年内に公募により後任者を決定するということに致しました。そして常勤役員数を削減致します。役員報酬も引き下げる。家賃のより安い事務所への移転等も検討するということに致しております。大変恥ずかしい話ですが、マスコミからの御指摘をいただいて精査をした結果こういう形になりました。今後とも行政の効率化に向けて取り組んで参ります。 そして、母子加算が復活を致しましたが、それがどういう影響が出ているのかということをアンケート致しましたのでその結果も御覧いただければありがたいと思います。対象となった284世帯の内、161世帯から回答を得まして、回答者の約4割が日々の生活に対する意識について「向上している」または「やや向上している」と答えていただいております。ただ、回答者については、お母様の就労状況が改善されたということがないなど、依然として悩み、不安がありますので、これについても対応していきたいと考えています。 そして、先日報道されましたが、抗精神薬の過剰摂取による自殺の問題であります。我々もうつ病等に対する薬漬けについては問題意識を持っており、都立松沢病院の院長先生などにも御指導いただいた色々な会での御指摘も受けております。これについては通知を出させていただきまして、7月中にも省内の自殺・うつ病対策プロジェクトチームで集中的に議論をして、8月中をメドに対応策をお示ししていきたいと考えております。診療の過程で自殺のリスクをどう評価するか、処方の際にどういう工夫が必要か、投与日数についてはどう考えるか、医師への普及方法、医療の質の向上に向けた取組などについて議論をしようと考えています。

質疑

記者:
大臣からもありましたが、年金の検討会が本日開かれて、5月目処になっておりましたが、鳩山政権が倒れたということもあり今回ようやくの取りまとめとなったのですが、改めて所感と、民主党の政権公約で7万円としている最低保障年金の金額が今回盛り込まれていません。これはこれから協議をするということですが、大臣としては最低保障の金額がどうあるべきかとお考えでしょうか。
大臣:
年金制度というのは、少子高齢社会を克服する日本モデルと言った時に本当に中核に位置されるものでして、それについて現行制度に対する問題意識があり、一元化、最低保障機能、持続可能性ということについて申し上げているところで、その7原則を発表させていただきまして、今後幅広く国民の皆様の御意見を聞いてよりよい制度の詳細設計についても取り組んで行きたいと思っております。7万円ということですが、これは変えるわけではありません。民主党のマニフェストにも明記をしているということでして、そのことについては本日の会議でも報告されているところです。いずれにしても大改革ですので、コンセンサスをきちんと得るように取り組んで行くということです。
記者:
先ほど大臣からもありましたが、有効求人倍率は少し改善もみられるのですが、失業率が三ヶ月連続で悪化しております。失業率は5%台に入っていまして結構厳しい状況にあると思いますが、大臣としてはどのように受け止めていらっしゃるのかということと、どのような対策を進めて行かれるのかお聞かせください。
大臣:
詳細な分析が必要ですが、非自発的失業者、つまり解雇、雇い止め等々の方は減る傾向にありますが、自発的、つまり自らお辞めになる、より良い職場を探されるという動機なのか否か分析が必要です。また、多少受け皿のニーズが出て来たということが読み取れるかどうかは分析が必要でありますが、有効求人倍率が微増ということで、景気の指数としても有効求人倍率が景気に一致する傾向が高く、失業率というのは多少景気回復に遅れて回復が見られるということもあります。いずれにしましても分析を進めると同時に、これまでの取り組みについては引き続き手を緩めることなく、基金訓練や、住宅手当、あるいは雇用創造事業など細かくニーズを把握して、ハローワークの第一線の皆様方が親身になって相談していただく、あるいは新卒者向けのジョブサポーターも増員しておりますので、そういう取り組みを引き続き続けて行くということです。
記者:
各種の世論調査で内閣支持率が下落しているところが多く見られるのですが、大臣としてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
大臣:
一般的な話ですが、どの内閣についても発足当初が一番高くて、その後ある程度下がって行く傾向にあるのではないかと考えております。いろいろな論点がありますが、消費税の件についても社会保障をやはり持続可能にして行くことをさらにお伝えして行くと同時に、無駄遣い、天下りも徹底的にメスを入れる必要があることも併せてお伝えする努力も必要だと思います。
記者:
新年金制度なのですが、今回消費税という文言が入っていないのですが、一方で菅首相は消費税10%と明言されていらっしゃいまして、野党などからも反発があるのですが、消費税という文言を入れなかったことについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
これは原則のペーパーの中にも税と、保険料との役割分担の趣旨の記述を入れさせていただいておりまして、保険料は御自身が払った一定の部分戻ってくると、そして、税金の役割は最低保障機能ということで、ある意味では福祉的な機能を担います。その税金はかねてより申し上げておりますように、消費税を財源とするということは変わっておりません。ただ、実際に消費税という最低保障年金の財源が具体的に必要になってくるというのは、年金制度というのは順次成熟をして行きますので、前の制度と同時並行で動く期間もありますので、すぐに大きなお金が必要となるものではありません。いずれにしてもこのペーパーについては、今申し上げたとおりです。
記者:
それに関連してですが、敢えて消費税という文言を入れなかったのではないかと見受けられるのですが、つまり最低保障年金のところに民主党のマニフェストでは「税金でやる」ということになっているのを、敢えて外して超党派での議論をしやすくするためにそういうことを除いたのではないかというふうに読んだのですが、これは違いますか。
大臣:
これは原則を作るときに、ずっと当時国家戦略室長の古川さんと取り組んで参ったわけで、そこは意識をしておりません。当初からそういう発想で原則を作ったということで、途中から落とすとか、落とさないという議論があったということではありません。
記者:
それでは、そこに明確に書いていない理由はなんでしょうか。
大臣:
それは特に作る時にもその議論は特にありませんので、これはある意味所与の事実というか、そういう前提で議論をしていたわけですので、特になんらかの意味合いがあるわけではありません。
記者:
そうしますと与野党協議をこれから呼びかけることになると思いますが、今回の前提に関しても、最低保障年金は7万円と、その財源については消費税増税引き上げた分を充てるということが前提になるのでしょうか。
大臣:
基本的に私のスタンスであり、民主党の考え方でもありますが、それを我々は主張いたします。ただ、それが異なる方は一切議論に加われないのかというと、それは与野党と胸襟を開いて議論をするということですが、7万円と消費税というのは民主党もそういうマニフェストを出しておりますので、基本的には譲れない一線だと考えておりますが、議論ということですのでいろいろな意見をお伺いして行くということです。
記者:
そこが肝の部分ですので、そこで譲れないとなると超党派の議論をする意味はどこにあるのでしょうか。
大臣:
その他の詳細な制度設計、例えば、最低保障年金についてもどれだけの面積でそれを措置するかとか、数多くの論点があります。それについて我々はそういう思いで議論をいたしますが、繰り返しになりますが「一字一句それに従わなければ議論に加わってはならない」ということでは話し合いのテーブルになりません。いろいろな御意見を与野党で議論をして行きたいという考えです。
記者:
野党側が協議のテーブルに着かなかった場合、果たして25年の法案提出が出来るのかと思いますがそれについて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
マニフェストでも昨年来申し上げておりますが、平成25年の法案提出でありまして、4年というのは長いようでそう長くもないという期間だと思いますので、それについて与野党で協議を呼びかけるわけです。ただ、これは相手のあることですので、私も確定的なことを申し上げることは出来ません。参議院選挙が終わって一定の時にそういうお話が国会でもあると思いますので、それについて我々も一つ一つ考えを示して呼びかけて行くことを続けて行く考え方です。
記者:
野党が協議に応じない場合は、民主党単独で法案を提出して行くと。
大臣:
まだ仮定の話ですので、他の国も大きな年金制度改革をする時は、政権交代をする度に年金制度が変わるというのは好ましいことではないので、与野党で年金ワーキンググループを作って議論したわけですので、粘り強くお声がけをして行くということに尽きると思います。
記者:
先ほど7万円と消費税はゆずれないということだったのですが、そうすると今10%という消費税の引き上げの話が菅総理の方から出ましたが、今回の年金の話の消費税はこの10%には含まれないのですよね。そこは国民に明確にした方がいいと思いますが。
大臣:
これについては、10%というものがまだ当然衆議院選挙で国民の皆様の信を問うのが前提ですので、その実施時期というのはまだ確定的に申し上げる状況ではないと思います。先ほど申し上げましたように新しい年金制度については、年金制度がスタートしても前の制度と併存、並立するわけですので直ちに消費税分がドンと必要になるわけではありません。これについては非常に中長期の制度設計の中で最低保障年金の部分の面積をどうするのかなどによっても大きく変化いたしますし、移行期間の年限についてもどう考えるのかで変化いたします。いずれにしましてもすぐにその部分の大きなお金が発生することではありません。中長期ということだと考えております。

(了)