長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.6.22(火) 11:35 ~ 11:56 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇、その後にハンセン病の追悼式が11時からございましたので出席をし、献花をしてこちらに参りました。今日の閣議、閣僚懇談会では、一つはいわゆる「中期財政フレーム」が決定をしたということと、もう一つは「地域主権戦略大綱」が閣議決定をされたということなどがございます。

質疑

記者:
昨日、札幌地裁でB型肝炎訴訟の進行協議がありまして、国側からは具体的な和解協議の在り方として、「集団接種により感染をしたということ及び病態、病状の程度などについて適切な証拠や資料を確認すること」という意見があったようですが、これに対して原告側からは「引き延ばしではないか」というような批判の声が出ていますが、この件の在り方に対しての大臣の考えと、原告側の指摘についてどのように考えるかお願いします。
大臣:
昨日、そういう御報告をして、具体的な中身は次回の7月上旬にお示しをするということにしております。21日はある意味では次回への姿勢、考え方を申し上げたということであります。
記者:
原告側からは「引き延ばしではないか」という批判が出ていると思いますが、これについては。
大臣:
原告の皆様方も一刻も早くの解決を望んでおられるということでありまして、新しく菅内閣になりましたが、菅内閣でも非常に重要な問題だということで内閣を挙げて取り組むという姿勢は前内閣から変わっておりません。7月上旬に具体的なものについてお示しをするということでありますので、その時に原告の方々とも御意見をいただくと考えております。
記者:
今日の閣僚懇談会で、閣僚から総理の消費税発言を巡ることについての発言があったと思いますが、大臣から何か発言をされたのかということと、発言をされていないのであれば改めて総理が消費税に言及をされたことについてどのように感じられているのか、内閣の支持率の低下にも影響しているのではないかという見方もありますが、この辺も含めてお願いします。
大臣:
私から発言を致しましたのは、この場でも何度も申し上げておりますが、消費税を上げるということになると社会保障の姿を国民の皆様方にきちんと提示しなくてはいけないということで、厚生労働省としてはたたき台を出した上で、1年間かけて2020年の少子高齢社会の日本モデルという姿を明示すべく取り組んでいくと、こういうことを申し上げたところです。
記者:
「強い社会保障」ということを今度の内閣では経済、財政と一緒に三本柱の一つにしていますが、具体的な強い社会保障の中身というのは、自民党政権では「社会保障国民会議」というものを官邸につくって、そこで議論をしていたのですが、今度の強い社会保障を目指してというのは、厚生労働省の方で議論をしていくのでしょうか。官邸主導というか何か会議を作ってやっていく予定はあるのでしょうか。
大臣:
第一義的には厚生労働省でスタートをさせていくということで、これは官邸との相談ですが、1年かけて先程申し上げた議論をするわけでありまして、然るべき時期に官邸と連動したような大がかりな枠組みの中での議論に移行していくということも考えられますが、まずは厚生労働省で議論を始めていくということにしております。
記者:
今日閣議決定されました「地域主権戦略大綱」ですが、中には出先機関のことも含まれていますが、厚生労働省としてどう対応されるのか。後、ひも付き補助金の一括交付金化を巡って、今回の大綱はある意味では省庁に権限を残した部分があるのではないかという指摘もありますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
いわゆるひも付き補助金ということで弊害が指摘されるような補助金については、使い勝手を良くするということで見直していくということは当然でありまして、省内でもそれは取り組んでいるところであります。出先機関についても、原則が今日示されたわけでありますので、厚生労働省も出先機関が労働分野、厚生分野あるわけですので、それに沿って見直しをしていくということが今後必要になってくると思います。
記者:
消費税の話に戻りますが、一部社の世論調査によって支持率が落ち始めていると、消費税発言が影響しているのではないかという見方がありますが、そうした見方について大臣はどうお考えでしょうか。今日、財政運営の戦略について閣議決定がされましたが、2020年のプライマリーバランスの黒字化について大臣はどのような受け止めをされているでしょうか。
大臣:
一般的に支持率というのは内閣発足時が最も高くて、その後どの内閣でも徐々に下がるという傾向にあることだと思っております。消費税のことについてどれだけ支持率に影響しているのかということは私も分析しているわけではないのでわかりませんが、重要なことは、必要性をきちんと訴えていくと、そして同時並行としてムダ使いに徹底的にメスを入れていく。それと同時に、消費税の議論をする際に必要なのは、どういう社会保障に将来なるのかという姿をお示しする。このムダ使いと姿をお示しするという二つを強力に進めていくという中で消費税の議論をしていく必要がある。国民の皆さんに御理解をいただくような二つの議論もきちんとしていくということが前提だと思います。 2020年のプライマリーバランスの均衡の話ですが、日本は言うまでもなく、GDP比で200%近い借金になりつつあるという状況ですので、そういう姿勢をきちんと示していくということは重要だと考えています。後は成長戦略でGDPがどれだけ成長が実際には出来るのか、あるいは実際に成長するように更に具体的施策を詰めていくということがこれから問われて来ますので、それについても政府全体で取り組んでいくということです。
記者:
財政運営戦略の中では「ペイ・アズ・ユー・ゴー」の原則について言及がありますが、一方で社会保障費の自然増が毎年かかりますが、自然増の部分の手当ては「ペイ・アズ・ユー・ゴー」の原則の対象になるとお考えですが、それともならないものだとお考えですか。
大臣:
「ペイ・アズ・ユー・ゴー」ということについて政府全体でそれを取り組んでいくということと、あるいは自然増など新規施策でない部分についてはどう考えるかということで、これは政府内で議論をしているところでありまして、こういう一点一点の個別の定義と言いますか中身については正式には話合って結論を出すということになろうかと思います。
記者:
関連してですが、「少子高齢社会の日本モデル」のたたき台についてですが、ナショナルミニマムの考え方をどこまで盛り込むのかということと、大臣は現時点で金額や現物サービスとの組み合わせを含めて、ナショナルミニマムはここまで示すべきだというお考えをお聞かせください。
大臣:
ナショナルミニマム研究会で御議論いただいて、この間中間取りまとめを行いました。また、EU諸国のいろいろなお金だけではない指標についても研究、検討をしております。今月、あるいは来月頭に出します「少子高齢社会の日本モデル」のたたき台の中で、詳細な金額等は確定的なものをお示し出来ないとは思いますが、1年間かけてその問題を含めて世界に誇る日本の社会の在り方、「少子高齢社会の日本モデル」を議論する中で、今までのナショナルミニマム研究会の成果や、ナショナルミニマムの基準もお示しして行くということです。
記者:
その際に最低保障年金などの関連もあり得ると思いますが、その辺は厚生労働省だけではなかなか決められないと思いますが、所得保障についてどこまでたたき台に入ってくるのでしょうか。
大臣:
たたき台には具体的金額等は入ることはないと思いますが、当然ナショナルミニマムと言った時に最低保障年金の話も関連してきます。これは一体となって一年をかけて議論をしていくということと、先ほども御質問がありましたが財政全体に関わる問題ですので、一定の議論の後に官邸に移行して行くということもあり得ると思います。
記者:
日本年金機構の関係ですが、最近入札を巡る不適正な事案や、労働者派遣法違反などがありましたが、私どもの取材でも一部の職員で「サービスが低下した」とか「業務が遅くなった」という話をしている人もいまして、発足から半年が経ちましたが社会保険庁時代と何が一番変わったのかということと、今後の年金記録問題の取り組みについての展望等がございましたらお聞かせください。
大臣:
まず、入札の件ですが今徹底調査をしている最中ですが、紙台帳の全件照合をして行くということが前の政権とは異なるところです。そして、年金記録確認第三者委員会に送らずとも窓口で回復出来るという基準を何点か出して、今後とも出す予定にしております。あとはサービスを向上していくということで、お客様からいただいた御指摘は、厚生労働省本省もそうですが「国民の声」ということで分析をして、その都度是正をしております。「今週の業務改善」ということでそれぞれ改善もしております。今度の土曜日には杉並の日本年金機構の本部で、私もお邪魔いたしますが、年金事務所のサービスコンテストを行います。やはり、民間出身の所長さんも増えてまいりまして、民間ならではのアイデアでサービス向上をしているところです。民間企業と比べてそれぞれの店で別々のサービスをしているということについて、良いサービスについては全店に展開して行くことが必要だと思いますので、サービスコンテストを行います。あるいは、全店で国民の皆様に配るチラシやリーフレットをそれぞれ独自に作っていることについても是正をするべく、一定のサービスの平準化をして行くことについて取り組んでおります。何よりサービス向上、記録回復の迅速化、そして、紙台帳の全件照合ということを組み合わせて取り組んでいるところです。
記者:
厚生労働省の幹部人事についてですが、先週の閣僚懇談会で総理の方から「参議院選挙後」にというお話があったかと思いますが、大臣としては幹部人事の時期は参議院選挙後に速やかにとお考えなのか、一定期間後に行うのかという点と、人事異動にあたり基本方針というか、大臣は予てから抜擢や降格があって然るべきという考えをおっしゃっておりますが、その辺を今回の人事でやるお考えがあるのかお聞かせください。
大臣:
今おっしゃっていただいた総理のペーパーなどでも、参議院選挙の後、そして、概算要求に影響が出ない時期というとある程度限られて来ます。おそらく全省的にそこに集中するのではないかと考えております。個別の人事については、いろいろ議論をしないといけませんが、基本的な考え方としてはやはり、消費税の議論も出ているわけでして、将来のビジョンをきちんと示す、何よりも一番予算を使う厚生労働行政が無駄遣い、必要性の低い事業、天下りを徹底的に身内から反発が来てもそれを恐れずにやり抜くことが大変重要なことです。そういう観点が人事にもあって然るべきことだと考えております。あとは人事評価基準を変えましたので、それについて局長以上全員を面接いたしましたし、それぞれの課でも新しい人事基準、無駄を無くしたり、制度を改善したり、情報公開をしたり、そういう基準で評価がこの間行われております。局ごとの目標も設定いたしまして、不足する7つの能力についての向上策にも取り組んでおります。やはり、局の間でも差が出て来ておりまして、非常に取り組みの進んでいる局と、そうでない局があります。そういう局自体もお互いに進捗状況を見て「奮起して欲しい」という発想もありますので、政権交代後新しく価値観が変わったわけですので、それに沿った形で考える必要があると思います。
記者:
診療報酬についてですが、民主党はマニフェストで引き上げを引き続き行って行くとしておりますが、大臣は前回の改定では不十分とお考えかということと、次の改定ではどの程度の引き上げが必要かということと、どういった分野が不十分で取り組んで行かないといけないとお考えかお聞かせください。
大臣:
ちょうど2年後については、介護は3年に一度ですが、診療報酬と同時改定になりますので、介護と医療の連携について十分でない点も診療報酬的に言えばあると思います。ですから、その部分について見直すことが必要だと思います。絶対額については今回もネットのプラスという形にいたしまして、かなりメリハリを付けた改定にしております。私も病院にお邪魔する時に「どれだけ改善しているか」をお伺いしますが、かなり改善が見られている病院もたくさんあると考えておりますので、詳細な上げ幅、具体的な介護との連携はこれから「介護ビジョン」も出しますし、「少子高齢社会の日本モデル」の議論もありますので、その中の議論も参考にして2年後に決めて行きたいと思います。

(了)