長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.1.29(金) 10:49 ~ 11:24 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会、その前には「子ども・子育てビジョン」の会合がありまして、今こちらに参りました。閣議で厚生労働省関係の法案3本が閣議決定をされました。子ども手当の支給に関する法律案、介護保険法施行法の一部を改正する法律案、雇用保険法等の一部を改正する法律案ということでございます。これ以外でも厚生労働省で提出予定の法案がございますので、国会審議についてもきちんと説明をして御理解をいただき、速やかな法案成立に努めていきたいと考えております。 そして、閣議の前に開かれました「子ども・子育てビジョン」の会合でありますが、これが決定をしたわけでありまして、福島少子化担当大臣の下で精力的に議論をされたものであります。厚生労働省としても、数値目標を出来る限り入れさせていただこうということで、特に保育サービスが215万人のところを、5年後に241万人ということで、年5万人の定員増というペースで増やしていこうという計画であります。これまでの過去5年は年2万人というペースでありますので、ペースがかなり上がるということであります。現状で言うと、人口で見ますと3歳未満だけで4人に1人の定員はあるわけでありますが、5年後には3人に1人分が確保できる。そして放課後児童クラブにつきましても、現状は81万人ですが、これを5年後には111万人にしていこうと、これも小1、小2、小3、この三学年の人口を分母にしますと、今現在4人に1人の定員がありますが、5年後に3人に1人に拡充をしていこうというようなことであります。あとは、ワークライフバランスを色々な育休法等の施行をする等によって、家事を手伝う、育児を手伝うというご家庭を増やしていく。6歳未満の子どもがいる夫の家事・育児時間で言うと、日本は1日1時間ということで、アメリカは3時間13分、イギリスが2時間46分、フランスが2時間30分等々、先進国の中でも夫が家事を手伝う時間が短いということで、私も国会で申し上げましたが、「育メン」「家事メン」という言葉、これはどなたかが作られた言葉だと聞いておりますが、こういう発想の言葉も広めて、家事・育児を手伝う男性というのは増えて欲しいという思いもあって、そういう言葉も広められれば良いなと考えております。

質疑

記者:
「子ども・子育てビジョン」を発表されましたが、財源の明記が今のところ入っていません。厚生労働省の施策が多く盛り込まれましたが、向こう数年間の予算が獲得出来るような今の段階でのアイデア、考えがありましたら教えて下さい。
大臣:
これについて、今日も閣僚懇談会の中で議論になりましたが、特別会計と一般会計合わせて重複分を除くと、来年度はおそらく215兆円くらいの規模になるということでありまして、それについてこれまでどこが見直せて来たのかというような検証も含めて、トータルの中で財源を捻出する努力を全閣僚がしていこうという話もありました。その一方で成長戦略をてこに経済を回復させて税収を増やしていくということももちろんでありますが、そういうような取組みの中で、厚生労働省としても、以前も申し上げた事務次官を中心にした省内の事業仕分け、若手職員も協力いただいた事業仕分けを徹底をして財源を捻出する努力を続けるということであります。
記者:
最低賃金についてですが、全国統一にして800円に引き上げるのがマニフェストにありましたが、いつ目途の導入を考えていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
昨日も細川副大臣を中心に、経済産業省とも連携をしたチームの会合を致しまして、まずは調査をする、現状把握をするということで、全国で最低賃金を上げる場合、どういうところがネックになってくるのか、あるいはどういう支援をすれば良いのかということについて、きちんと調査をしていこうということでありまして、そういう調査結果も分析をした上で、適切な支援措置を政府全体で考えると、こういう順番で最低賃金を上げたいと考えておりますので、その時期はまだ確定しているわけではありません。
記者:
国会の予算委員会、本会議の場で例年以上にヤジが多いという批判が一部の報道でも出ています。実際に視聴者からの意見等にも多く寄せられているのですが、大臣としては一部閣僚の発言や行動ですとか、そういったヤジについて問題と考えていらっしゃるかどうかお考えを聞かせて下さい。
大臣:
我々閣僚というのは、国民の皆様の税金を元に苦労して予算を作らせていただいたものを、国会というところで国民の代表の皆さんにお認めいただくということで、伏してその御審議を貴重な時間を使ってしていただいていると、こういう立場であります。そういう意味では、閣僚の気持ちもわからないでもないと言うか、かなり色々な白熱した議論になるわけですが、そこはお願いをする立場だというような中で対応する必要があると考えております。
記者:
JNNの取材で京浜バルブ工業という会社が神奈川県の清掃工場でアスベストを新たに違法に使用して譲渡していることがわかりました。厚生労働省としては現状を把握しているかどうか、労働者や住民に健康被害等が出ていないかどうかについてお伺いします。
大臣:
これについて、本日1月29日の朝8時30分頃、神奈川労働局が書類送検をしたわけでございますが、他の所に納入している疑いもございますので、それについては今後ともきちんと調査を続けるということと、これも確認を致しましたら、今回使用されたパッキンはバルブ内に密閉された状態で取り付けられておりますので、通常の使用状態においては、石綿粉じんが外部に発散することはなくて、働く人々や清掃工場の周辺にお住まいの方々の居住環境への影響はないと考えております。御承知の通り、労働安全衛生法で使用、譲渡等が禁止されている石綿が含まれているということでありますので今回の措置になったということであります。
記者:
私どもの取材では、全国で少なくとも90施設のバルブにアスベストが使用されている疑いが浮上していますが、禁止されているということですが、今後どのような対策をされてこのような事態を防ごうとお考えか大臣の御見解をお聞かせ下さい。
大臣:
これについては対策というのは法律で禁止をされ、そして労働基準監督署でそういうものがあればきちんと指導、あるいは今回のように書類送検をするという毅然とした対応を取るということであります。ただ、全国津々浦々全ての情報を把握するということが本当にきちんと出来るように、情報をいただいた場合は速やかに対応をするし、あるいは、少しの兆候でも見逃さずに調査をすると、こういうような姿勢で取り組んで参りたいと思います。御指摘いただいた90カ所という数字も出ておりますので、それについて1カ所ずつ調査を企業にもお願いしながら対応していきたいと考えています。
記者:
今日発表された有効求人倍率についてですが、有効求人倍率は改善されましたが、去年1年間の平均で見ると過去最悪ということですが、これについての受け止めと今後の対策をどのようにお考えかお聞かせ下さい。
大臣:
有効求人倍率、失業率ともに、数字上はほんの少し改善という数字ではあるものの、全体の水準は過去の例から言っても非常に低い状況であるという認識、雇用情勢は非常に厳しいという認識は変わっているわけではありません。その中で、雇用対策、第二次補正予算も成立をさせていただきましたが、その中にも、雇用調整助成金の要件緩和の話や、あるいは、御自宅がなければそもそも就職が探せないということもあり、第二のセーフティネットである住宅手当について3ヶ月延長をする等々の措置を盛り込ませていただいたり、あるいは、本予算も含めて色々な雇用対策について取り組んでおります。特に、大卒の方の内定率が史上最悪という大変厳しい状況になりまして、就職氷河期よりも厳しい状態でありますので、新卒者向けのジョブサポーターの方を倍増してハローワークの整備をしたり、就職面接会を今年3月末までに150回開催をすると、2月にも大きな会を新宿NSビルでさせていただいたり、あるいは雇用の体験の仕組みを企業に採用して、企業が採用していただければ助成をする等々、そういう下支え策を取っていきたいと思います。ただ、一番重要なのはパイを広げるということでありますので、成長戦略、あるいはミスマッチという意味では、介護分野などは有効求人倍率が1.3前後だということもありますので、それの解消にも努めていくということであります。
記者:
閣僚懇談会で特別会計の話が出たということですが、今日の閣僚懇談会はちょっと長めでしたが、どういったテーマがあったのでしょうか。
大臣:
今日は有効求人倍率、あるいは失業率の発表とか、後は「子ども・子育てビジョン」の報告も閣議でもありましたし、質問主意書も数々出ておりますので、色々な案件が今日は多かったということと、それに加えて特別会計と一般会計を合わせて重複を除いたもの全体について、さらに見直すようなことを全閣僚もそれに協力をしようと、そういうような話がなされたということです。
記者:
特別会計の話は菅大臣の方からでしょうか。
大臣:
これは言うまでもなく、まだ来年度予算も国会にお願いしていない前に言うのもなんですが、来々年度の予算、平成23年度の予算というのは大変厳しい財源の中で、厳しい予算折衝は目に見えておりますので、そういう意味ではほぼ全閣僚が問題意識を私を含め持っておりますので、これはいろいろな閣僚からも発言が出ているところです。
記者:
先日、岡田外務大臣と、インドネシアと、フィリピンの外務大臣が会談した際に、EPAに基づいて両国から来ている看護師、介護士の研修生が日本で国家試験を受ける際に「日本語の配慮をして欲しい」という要請を受けて、岡田大臣が「日本語の問題を含めて政府内で検討して行く」とおっしゃられましたが、これについて厚生労働省はどう対応を考えているのかお聞かせください。
大臣:
EPAということで、国際的な枠組の中でこういう試験が行われております。これは誠実に対応するというのが基本的な考え方ですが、ただ、その一方で日本の現場で働くということになりますと、言葉、日本語を理解いただかなくてはなりませんし、あるいはメモですとか、紙で引き継ぐということも日常的に現場で行われているところですので、そういう意味では厚生労働省としては日本語を学んでいただくためのサポートを強化するということが大きなポイントではないかということで、次の予算措置につきましても増強いたしまして、そういう皆様方に対する日本語教育のサポートを強化することに注力して行きたいと考えております。
記者:
現場から、介護の場合は、試験の受験機会が1回しかないということで、この点について緩和を求める声が上がっておりますが、これについては検討される余地はあるのでしょうか。
大臣:
今のところ直ちにということは議論は始まっておりませんが、関係部局とも御相談をして、日本語教育のサポートはやって行くわけですが、それ以外についても改善する余地がないのかということも議論をして行きたいと思います。
山井政務官:
今のことに関連してですが、今大臣がおっしゃったとおりで、一つは十分な日本語の教育研修が出来ているのかという検証が必要だと思います。もちろん一部聞くところでは十分な日本語の研修や、教育に手が回っていないというところもあるようです。それであれば試験が通りにくいのはある意味当たり前ですから、そこの日本語研修がきちんと行われているかどうかということが一点です。それともう一点は、何よりもこれは国際交流であると同時に、この問題の主人公は実際に看護や、介護を受けておられる患者さんであり、高齢者であるというのは当たり前のことですので、そういう意味で、看護師さん、介護福祉士さんのみならず、一緒に働いている同僚、または、そのケアや看護を受けている患者や、お年寄り、また、現場の方々に実態調査をしようと考えております。ですから、そういう国際交流的な側面、日本語研修の側面、そして、何よりもそのサービスの受け手である患者や、高齢者に取ってどのようなプラスの面、また、今後の課題があるのかとにかく大臣がいつもおっしゃっておられるように、現状把握、実態把握が一番重要ですのでそういうことも進めて行きたいと思っております。
記者:
調査はいつ頃始めるのでしょうか。
山井政務官:
近々にと考えておりますので、また、別途申し上げます。
記者:
江戸川区の小学生の男児の虐待事件に関連してですが、すでに通知を出されておりますが、虐待の前に、通告があった際になかなか児童相談所が安全確認を完全にしていないという問題があります。厚生労働省は児童福祉法で48時間以内に行くという目安を出しているのですが、義務づけられていません。今後法改正をお考えになっているかということと、法務省が親権について研究会で検討しておりますが、厚生労働省の方から親権について御意見なりを出されているのか御見解をお聞かせください。
大臣:
法務省の親権停止の件について、厚生労働省から意見を出したということは聞いておりません。そして、もう一つ江戸川区のケースについては、本当に痛ましい事件であるということで、お悔やみを申し上げるところです。これについては、直ちに全国に通知を出し、そういう意味では今おっしゃられた措置をきちんと再度点検をして、そういう体制を取るという今までのルールですので、それをまずするという通知を出させていただいたということです。
山井政務官:
丁度今、文部科学省と合同の検討会をやっており遅れましたが、その検討会の中で今回の事件に関してはどこが悪いということを今言ってもある意味仕方がないわけで、今後どこが問題であったのかということを検証して行きますが、今文部科学省と検討を始めようということになったことが一つありまして、今回は9月中旬に児童相談所に虐待の疑いがあるということで、情報提供が9月18日になされたと。しかし、それ以降児童相談所、そして、子ども家庭センター、小学校との十分な連携が図れてなかったのですね。そのことの反省にも関わらず、12月にお子さんが長期欠席をされております。普通に考えたら、長期欠席されていたら児童相談所と、子ども家庭センターと、小学校で連携をとり何とか出来たのではないかということが出てくるかもしれないのですが、もちろん詳細はまだ分かりませんが、そこで文部科学省と議論したのは、児童相談所や、子ども家庭センターに虐待の疑いがあるということで、報告されたケースに関しては当分の間学校から出席日数状況を自動的に報告するフォローを行ってはどうかということの検討を始めようかということになりました。つまり、今回のケースでも虐待の恐れがあるという通報がいってから、10日とか、6日とか長期欠席が続いているわけです。その連絡が児童相談所や、子ども家庭センターに行けば重篤なケースじゃないかというふうになるわけです。ところが今回のケースはまだ確定的ではありませんが、当初児童相談所に報告が行った時には、それほど重いケースではないのではないかという判断があったように聞いております。まだ確定的なことは言えませんが。そういう意味では第一報で重いか、軽いかということを判断するのは困難なわけですから、一度でもそういう情報提供があったものに関しては、文部科学省と連携して、学校の出席日数を定期的に報告してもらうということが検討出来ないかということを本日議論いたしました。
記者:
「育メン」、「家事メン」という言葉を国会審議でも増やして行きたいということですが、大臣自身もお忙しいと思いますが、育児、家事の時間が持てるのか、「育メン」、「家事メン」として実践していることがあればお聞かせください。
大臣:
大変懺悔をしないといけないのですが、こういう私が過去に育児についても実はほとんど関わらず、家事についてはほとんどと言っていいほど、お茶碗を流しにもっていくことはありますが、それ以上のことは。今後私も自分自身を改造して、育児はもうないわけですが、家事について手伝いを増やして行こうと思っておりますが、そういう意味では過去に育児を手伝ってこなかった私がいうのもなんですが、育児は本当に大変ですので、そういう意味では「イケメン」というのは格好のいい男の方ですが、「育児も格好良いことなんだ」という価値観を共有出来ればありがたいと自らの反省を含めてこういうことを申し上げて、政府としてもワークライフバランスということを政策としてサポートして行こうと考えております。
記者:
派遣法の関係ですが、今社民党、国民新党が労働政策審議会答申を修正するよう、細川副大臣に申し入れをしていますが、大臣は修正されるお考えはありますでしょうか。
大臣:
丁度今、細川副大臣の部屋で、社民党、国民新党と派遣法に関する議論が行われておりまして、まだ報告は受けておりませんので、報告を聞いてどういう形で判断出来るのか、これは労働政策審議会がありまして、労働側と、使用者側がぎりぎりの中で我々政治の側が提示したものを、ぎりぎり受け止めていただいているわけですので、そことの兼ね合いを含めて、ただ、一方で連立政権ということもありますので、その中でどうするか細川副大臣とも相談して行きたいと思います。
記者:
大臣は最近、役所の幹部の方にマネージメントについて強調されているようですが、具体的にはどういった能力を役所の幹部の方に期待されているのか、もしくは努力して欲しいという意味があるのか教えてください。
大臣:
幹部の方と話していても、これまでマネージメントというのをしっかり出来なかったと、国会等で時間が取られてしまう、陳情を含めてというお話があったわけでして、そういう意味では部下である職員の方々が効率的に、効果的に仕事が出来て、それぞれアウトプットといいますか、成果が具体的にどう出ているのか、成果が出ない場合はどういう改善が必要なのか。あるいは自分達の部署で業務の改善が、日々民間企業は改善をするわけですが、そういうものが出来ないのかどうか、そういうようなことについて目配りもしていただきたいということです。私自身も厚生労働省は巨大組織ですので、そのマネージメントというのも十分理解しなければならないということで、いろいろ民間でも例えば、銀行の大きな組織で外から来て成功された方々にお会いして、マネージメントについてお話を聞くということもしておりますので、そういう意味では過去の政権はある意味、大臣は上に乗っかっていたという部分もあるわけですが、今政権は政治家がマネージメントをする政権ですので、そういうことについてあまり重きを置いてなかった側面もあると思いますが、これからはそういう人事評価を含めた検討会も立ち上げておりますので、そういうところで取り組むということです。

(了)