長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.1.26(火) 18:47 ~ 19:16 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会と終えましてこちらに参りました。私の方からは、警察庁が発表した昨年の12月の自殺者の数という暫定値が出まして、確定値は5月になりますが、昨年の1月から12月までの自殺をされた方々をトータル致しますと、3万2,753名という数となります。365日で換算して1日あたりにしますと90人ということになりまして、依然として高い水準であるということでございまして、厚生労働省と致しましても、対策を取るチームを設定しまして、今後さらに対応を強化していきます。先進国の中でも人口あたりの自殺率という観点から見ても日本国がトップであるということでありますので、これは福島大臣とも連携をして強力に取り組んで参りたい課題であります。 二番目と致しましては、閣議でも報告されましたが、厚生年金特例法の国会報告ということでございまして、法律が施行されましたのが平成19年6月からでありまして、今回の発表は平成19年6月から平成21年9月30日までのものであります。従業員の方は天引きがされていると、しかし事業主の方はその保険料を受け取ったにも関わらず社会保険庁に納入をしていないというものが9億400万円ということであります。これは事業主が払うべきものも入れておりますので、労使折半でありますので、天引きされたのに払われなかったお金はこの半分ということになります。その後に事業主が納付をしたものが4億3千万円と、まだ納付していないのが4億8千万円ということで、一定の要件については、納付を勧告しても仲々払っていただけない方々は社名等を公表するということで、67件を公表したということであります。 もう一点は、昨日の年金記録回復委員会でも資料をお配り申し上げましたが、特殊台帳とコンピューター記録の突合わせの実施状況ということでありまして、これについては、ある意味では野党時代に紙台帳の照合を国会で何度も要請をしてそれが始まったわけでありまして、国民年金の特殊台帳3,300万枚が九十何%ということでかなり終わりに近づいているということで、お気付きになっておられない方にも照合をして、その方の年金額が減ってしまっているという方にお手紙を出して、既に受給者の方に限定をすると、24,655件の方が再裁定進達件数ということです。気付かなかった方も多いと思いますが、そういうことであればちゃんと請求をするということで、お手を煩わせて再裁定請求をしていただいた方がその件数であるということで、さらに今後増えて参りますので、これについても対応を取っていくと。特殊台帳だけではなくて、今後とも他の種類の紙台帳についても、この要領でやっていきたいと考えております。 そして次に、これも昨日の回復委員会で公表させていただきましたが、職員アンケートということで、現役の職員1万3千人、退職者4千人を対象にしたアンケートをとりましたら、職員の方の回答率が95%、退職者が91.6%ということで、大変高い御回答をいただいたわけであります。これはかなり膨大な量でありますので、昨日の回復委員会では中間報告ということで出させていただきまして、今も読み込みをして分析をしているところであります。伊勢湾台風でかなりの部分が消滅したというような証言や、旧屋号や崩し字氏名や旧市町村名という昔に使われていた住所などがあるということで、確認リストが必要だというような御指摘、あるいは被保険者ゼロの事業所というような色々な案件が出てきておりますので、これらについてもさらに分析をして、読み込みをして随時公表して参ります。 そして、これは川端文部科学大臣とも協議を致しましたが、報道されておりますが、江戸川区で7歳の男の子が虐待により亡くなるという痛ましい事件が起こったということで、厚生労働省と致しましても、今日付で各都道府県、政令市、児童相談所設置市に対して通知を出しまして、児童の安全確認及び安全確保の徹底について促していこうということで、今後とも学校と連携を取って行って参ります。 最後に、今月の28日の木曜日に、「第1回中小企業支援等の最低賃金引上げ対策検討チーム」というものを開催致します。厚生労働省のメンバーは、細川副大臣以下担当部局、経済産業省は増子副大臣以下担当部局ということで議論を始めて、最低賃金引き上げの為に必要な調査をする予定にしておりますので、具体的にどういう調査の制度設計をしたら良いのかというところから議論を進めて行きたいと考えております。

質疑

記者:
一部報道で年金制度の問題について、関係省庁による協議会を参院選前には設置するというようなことが報じられました。大臣直轄のプロジェクトチームは既に予算が計上されていると思いますが、厚生労働省単体ではなくて、もう少し広くハイレベルで協議会があるということについての事実関係と、もしそうであるとすれば、早めに設置をして議論を始める狙いについて教えて下さい。
大臣:
今日報道されましたが、これは発表したというわけではありません。まだ議論をしている過程でありまして、どういう形が良いのかということの途上でありまして、まだ決定をしたわけではありません。もう少し厚生労働省だけではなくて、内閣全体として、これは大きな問題でありますので、幅広い議論を始めてはどうかと、こういうような議論をしているのは事実であります。始めるとすれば、そもそも現在の年金制度は具体的にどこが問題なのか、国民の皆様が望む年金制度はどういうものなのか、あるいは諸外国の年金制度改革は具体的にどういうことだったのか、あるいは新しい年金制度の原理・原則はどうあるべきなのか、そういうような大括りの議論から始めて行こうではないかという議論も閣内で起こっておりますが、まだ確定しているものではございません。
記者:
その大括りの議論ですと、例えば収入を把握するために歳入庁の設置、あるいは納税者番号制度ということも大きく関わってくると思いますが、その辺についてはどのように議論を進めていくのでしょうか。
大臣:
今日国会でも質問が出て、菅大臣も答えておりましたが、納税者番号、社会保障の番号の一体的な議論というのは、これはこれで別の形で進めていくということであります。当然年金の制度改革の議論とも連動するわけでありますが、そこは一歩先んじて番号の方はやっていきたいという議論もありまして、そういう形で今後進んでいくということになろうかと思います。
記者:
歳入庁は特に議論を始めるということは。
大臣:
今のところは歳入庁の議論というのは、実際問題としては、厚生労働省の事務方と国税等の事務方が打ち合わせはしておりまして、ただ、まだきちんとした俎上に乗る議論という形になるということではないと思います。
記者:
昨日の厚生労働委員会でも、新型インフルエンザのワクチンについて、輸入量を減らす問題も含めて交渉中という風におっしゃったと思いますが、改めて進捗状況、本当に輸入量を減らすということが出来る余地があるのかどうかいかがでしょうか。
大臣:
国会でも答弁申し上げましたが、新型インフルエンザワクチンを輸入致しました。これについて特例承認も下りたわけですが、ただ第二波が絶対ないとは言い切れない。あるとすればどのくらいの規模になるのか、あるいは備蓄がどの程度必要なのか、あるいは実際に優先接種者以外の方に接種をする場合、どれだけの方が来られるのか、色々な要素があるわけですが、そういう要素を加味したとしても余ると我々は考えておりまして、その為に交渉のテーブルに輸入した二社と着いているということであります。ただ、これは交渉でもありますので、我々としてはまだそれを具体的にどういう交渉をしているのかということが全て御報告出来ないということでありますが、何とか交渉を進めて、新型インフルエンザワクチンの件についても成果を上げられればということで、今交渉しているという段階です。
記者:
大臣はワクチンは打たれたかどうか教えていただけますか。
大臣:
私は新型インフルエンザワクチンは打っておりません。
記者:
今後打たれるご予定はいかがでしょうか。
大臣:
これはまだ決めているわけではありません。
記者:
小沢幹事長の問題についてお伺いします。土曜日にも聴取が始まった時点でお伺いしましたが、改めて、聴取が終わりまして御自身で会見をされましたが、尚不透明な部分、あるいは捜査は続いています。幹事長を続投されているということについて、国民からは「続投を何故民主党の中で認めているのだろうか」という疑問の声もあると思いますが、大臣は、幹事長をずっと続けられているということについてどのようにお感じでしょうか。
大臣:
これは国会でも何度も総理にも色々御質問が出ている案件ですが、土曜日に小沢幹事長が記者会見を開いて説明をし、ペーパーも出したということでありまして、やはり捜査の途中で事実関係が判明していないというような段階でありますので、これは党大会でも小沢幹事長の続投が了承されておりますので、そういう意味では、続投をするということが状況としてなっているわけであります。説明ということでは、定例記者会見も定期的にありますし、あるいは記者の皆様方も幹事長に随時質問をすると、こういうようなこともあるわけでありましょう。だから、そういう意味では適切な状況になり、必要性がある時に、御本人が今後とも説明をされると、こういう風になってくると思います。
記者:
お金の出どころ等について説明はもちろんされているのですが、本当に御自身の預貯金などを前々から回されていたであるとか、そういう説明にはまだ納得出来ないという声が上がっているわけですが、小沢幹事長の現状の説明で国民、あるいは大臣御自身は納得されているのでしょうか。
大臣:
捜査途中の話でして、ただ、小沢幹事長としては記者会見で数字の資料も出して、こういう原資であるという説明をしているわけです。今後、そういう意味では新しい事実が具体的に出るということでない限り、そういう説明について私としてもその説明を聞いて、主張を認識しているということです。
記者:
今後の国会の場で「政治とカネ」について集中審議を行うことで、与野党が合意しましたが、国会の場で小沢幹事長の問題について明らかにして行くべきだとお考えでしょうか。
大臣:
総理も答えておられると思いますが、国会は理事会があって、運営する組織体がありますので、国会の中で御議論をいただくということが適切ではないかと思います。
記者:
それに関連して、小沢幹事長の参考人招致をするべきかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
繰り返しになりますが、国会の中で理事会があり、あるいは筆頭理事間の交渉もあり、どういう場でやるべきかという議論もあるということが野党から提起されていると思いますが、それについて国会の中で御議論をいただくということだと思います。
記者:
最低賃金のチームの正式名称と、それは今の中央最低賃金審議会、地方最低賃金審議会という審議の最低賃金の決め方について、その決め方自体を決定するのか、例えば、一律最低賃金の導入といったところまで検討するのか、どういった狙いがあるのでしょうか。
大臣:
正式名称としては「中小企業等の最低賃金引上げ対策検討チーム」という名前です。具体的な検討の中身については、最低賃金引き上げの課題ですとか、具体策の前に実態把握と申し上げておりますが、引き上げる際にどういうことが問題になってくるのか実態を調査するというような、調査設計の議論もするということです。それと、引き上げに当たって中小企業がお困りになることが財源的にもあると思いますが、そういう中で中小企業への適切な支援策の在り方はどうなのかが2点目です。もう1点目としては、最低賃金引き上げが経済や雇用に及ぼす影響が、具体的にどういう状況であるのかということについて、実態把握をきちんとして行こうと。その実態把握をした上で今おっしゃられたような、いろいろな選択肢が検討されると考えております。
記者:
年金制度改革についてですが、ここ最近の国政選挙を見ていると、社会保障に関し大きな争点となっておりますが、次の参議院選挙においては年金制度の枠組みを含めて議論を深めて行くべきだと大臣はお考えでしょうか。
大臣:
参議院選挙が今年の夏ですので、今年の夏に詳細な制度設計を出すというのはなかなか時間的に難しいと思いますが、いろいろな議論の建て方で、先の衆議院選挙でも民主党の年金制度というのは骨格、理念、原則をお示ししておりますので、そういう意味ではいろいろな議論が自然発生的に起こってくるということはあり得ると思います。
記者:
そのために新たに論点ですとか、具体的な詰めた話を大臣として、もしくは追加のマニフェストを含めて考えるということはありますでしょうか。
大臣:
追加のマニフェスト的なことは私自身は考えておりませんが、やはり、年金制度だけに目が行くというのも自然だと思いますが、その前に女性の労働力、女性が子育てで働きたいけれども働けない、実はそれも年金財政に大きな影響を及ぼしていることです。そして、少子化は言うまでもなく非常に年金に密接、不可分に関わってくる重大な問題です。先ほどの納税番号等の話も大きく関わってくる話です。つまり、自営業の方の所得を捕捉しなければ、比例報酬部分の制度が実施出来ないわけですので、そういう周辺の課題、少子高齢化も一言で言えば問題であると。それのトータルで考えて行くということも含めて、大括りな議論が必要だと考えております。
記者:
社会保険庁職員への職員アンケートの件ですが、「回答がなければ氏名を公表することもある等」とあるのですが、それを指示されたのは大臣御自身かどうかということと、公表された47名の幹部の御回答と見ると、ほとんどが「報道で知った」と答えておりまして、どう感じられたか、また、このアンケートの結果を今後の年金制度の改革の現業業務にどう活かして行こうとお考えでしょうか。
大臣:
回答されていない方の名前を公表すると断定しているわけではありません。することもあるということで、このアンケートの制度設計は事務方とやり取りして一緒に作っていったと思います。そして、幹部の部分を私もざっと読みましたが、私が多くの職員の方もすべて読むということも、今の時点では時間的には難しいわけですが、ポイントを見せていただいて今後読んで行こうと思っております。まだ、報道で知ったというのが幹部の方ですから、実際にそういう方もおられたと思いますが、もう少し幹部でない方のアンケートも読み込んでみて行きたいと思います。そして、役立つものという意味では、いろいろ架空の事業所の申請等の話もあり、あるいは、いろいろな災害で具体的にここで、こういう災害があったという証言もありますので、もし、そうであればそのカテゴリーにある時期、あるところに住んでおられた方ですとか、細かく範囲を特定すると全国に引っ越しをしておられる方もいらっしゃいましょうから、いろいろな調査をすれば、あるいは戦災という話もあり、これは戦争中の話でもありますけれども、そういうようなことや、旧屋号についてもかつてどういう地名だったのか、誰も分からなくなっている方には本当に御高齢のお歳を召した90歳とか、100歳の方々に御協力いただいて、昔の御記憶を辿っていただく等々いろいろなアイディアというか、対応策は出て来ております。まだ、読み込みの途中ですのでこれを活かして行ければと考えております。
記者:
先ほどの年金制度の改革についてですが、内閣全体で検討する場はまだ議論の途上ということですが、時期的にはどういう目処で考えておられるのか。例えば、年度内にもということがあり得るのかどうか、構成メンバー、構成省庁はどの辺なのかお聞かせください。
大臣:
これは本当に具体的にいつスタートというのも、議論の途中でして、もちろん今年中にはスタートするわけですが、どのくらいの時期になるかというのは今議論の途上で、そういう意味ではメンバーについても、閣僚が入りますが具体的にどのメンバーかということが決まっているわけではありません。
記者:
大臣御自身の検討チームについても、予算計上されているわけですが、こちらの方は内閣全体の検討の場との関係ですとか、こちらの検討チームのスタート時期をお聞かせください。
大臣:
今の財政の検証を年金局を中心に実施しているわけですが、そういう意味では数値の分析等々、つまり、現状把握という意味で今の年金の財政や、労働力の見込みが本当に適正なのかどうかを含めた把握を今続けているところです。そして、予算書でも御存知のように、チームというのを予算計上しておりますので、この予算が成立すれば現状把握、特に、数値的な分析を中心にやって行くことになると思います。何しろまずは現状の財政や、労働力等の把握をしていく。最終的には自営業の方々の所得捕足という大きな課題も出てくると考えております。
記者:
平野官房長官が普天間基地の問題について、名護市の市長選挙で普天間基地の移設に反対する候補が当選したことについて、「そのことを斟酌しておかなければいけない理由はない」とおっしゃいましたが、これについて野党側から官房長官の発言は名護市民の心情を考慮しないと表明したに等しいという批判が出ているのですが、この発言についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
私も詳細な発言を全部聞いたわけではありませんが、官房長官が検討委員会のまとめ役を務めておられると聞いておりますので、官房長官としては色々なお考えがあって、そういう発言をされたのだと思います。

(了)