長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.1.8(金) 10:50 ~ 11:15 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。閣議では交通事故でお亡くなりになった方々の数が減った報告がございまして、さらにそういう方を少なくしようという話がございました。さらには、1月12日に少々時間をとって、閣僚間で今国会の課題、あるいは若干先ですが平成23年度の予算の考え方、ムダを削るということに注力しなくてはいけないということで、207兆円、特別会計、一般会計を合わせた形でどこまで見直しが出来るのかなどのテーマを話すということと、フリーディスカッションで意見交換をしようという話がありました。

質疑

記者:
藤井財務大臣が辞任されまして、一連の閣僚人事に対する評価をお願いします。
大臣:
藤井財務大臣から国民の皆様にもお手紙という形で説明を申し上げ、そのプラスアルファのお手紙を私もいただいておりまして、基本的には国民の皆様にお出しをした趣旨のことが書いてございました。昨年末、私も藤井大臣と何度もお会いをして予算の折衝をしましたが、これは間違いなく大変な激務であるということと、御高齢ということで大変なご心労があったのではないかということであります。その中で後任の選定ということが速やかに行われ、副総理兼財務大臣ということ、そして菅大臣はかねてより霞ヶ関改革ということを申し上げていますので、ある意味では官僚組織の一つの中核という財務省でありますので、そこの透明性を高める。あるいは「埋蔵金」と称されるようなものを財務省の情報を通じて全省庁を精査をしていくというような意気込みも言われておられますので、非常に適切な人事ではなかったかと考えております。
記者:
関連してですが、藤井財務大臣時代の政権運営は財務官僚主導だったという声がありますが、今後それを是正すべきであるとお考えになっているかどうか、御意見をお聞かせ下さい。
大臣:
色々な制約があるなかで、内閣として予算を作り上げるということでありますので、財務省は財務省の立場として、やはり借金を野放図に増やすわけにはいかないという発想があるのはある意味では当然だと思いますが、その制約の中で、財務省が官僚主導ではなくて、さらに政治家が主導するような体制が取れないのかという一つの挑戦だと思っています。当然官僚の方々というのは基礎データや継続性の観点からの過去の情報という貴重なものを持っているのは事実でありまして、そういう情報を政治家が的確に吸い上げて、あるいはその真贋も見極めた上で決断をしていくと、こういうことが望ましいと考えておりまして、そういう意味では財務省もさらに変わっていく可能性があるのではないかと期待しております。
記者:
小沢幹事長に関してですが、東京地検が小沢幹事長に事情聴取に応じるように要請したと報道がありまして、与党の幹事長が地検の聴取を受けるというのは異例のことだと思いますが大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
この問題について、やはり政治家でありますのでそれぞれ記者会見も定例的なものもありますし、あるいはぶら下がりということで皆様方から常に質問を受けるわけでありますので、そういう場を通じて一つ一つ説明をしていくということが必要であると考えておりますので、それぞれの御判断で対応をされておられると考えております。
記者:
菅大臣の話ですが、就任の会見で早速為替相場の言及などがありましたが、そのことについて世論等評価が分かれていますが、大臣の方からそういった言及についてどのようにお考えですか。
大臣:
それぞれのお考えで大臣としての責任でされておられるということだと思いますので、私から特にコメントはありません。
記者:
公設派遣村の問題を巡ってあまり気持ちの良くない話題が続きますが、一方で民主党政権ということで、人に優しくという考えで色々なことに取り組まれていますが、こういう悪用と言いますかそういったものが相次いでしまっていることの評価と、本当に必要な人に必要なものが届くために、今後どのように改善をしていけば良いのか、その辺の考えがあればお聞かせ下さい。
大臣:
これは非常に残念な部分もあると言いますのは、いわゆる公設派遣村の関係で報道もありますが、現金支給の後にその方々の所在が不明になるというようなこともあり、それは残念と同時にそういうことが起こらないような支給の体制や考え方も当然必要になってくると考えております。生活保護にしても、これは憲法25条で規定されている根幹の制度でありますが、その制度に関しても不正が一部あるわけで、それについてはきちんと支払う側も監視をして、そういう一部の不正で全体の方々が迷惑を被るというのは断じてあってはならないことだと考えておりますので、そういう工夫を行政としても行っていく必要があると思います。ただ、非常に難しいわけでありますが、全てを規制をして不正という目で対応をしていくと、今度は本当に行政サービスを受けるべき方が受けられないという絞り込みすぎの弊害もあります。そこの見合いというのは我々も特に公設派遣村の関係では試行錯誤でありますので、これについて行政として今後も改善を続けていく必要があると考えています。色々報道がありますが、報告を受けておりますのは、所在が不明になった、外出の届出をして外出をされた方も居られまして、届出無しで不明になっておられる方が、昨日の18時時点で46名ということでございまして、引き続き調査を続けているところであります。
記者:
就任当初、職員に向けて訓辞されたと思いますが、年内の間に省内の膿を出し切るという方針を訓辞されましたが、その成果についてはいかがでしょうか。また、足りないと思う場合どういった点が足りないとお考えでしょうか。
大臣:
「100日間、省内のいろいろな問題、膿を出してください」というお話を申し上げて、一部社会保険庁の問題なども表にでました。あるいは、補助金の不正についてもそれを改善する委員会も立ち上げ、公共調達委員会も省内に作りまして、物品や、工事の発注等々についてきちんと精査をして行くという仕組みも作っているところです。いずれにしても苦情や御指摘を受け付けてそれを公表することも通じて、これからも不正や、あるいは、いろいろな問題が表にきちんと出るような仕組みを作り上げて行こうと考えております。 今、膨大な資料を分析しておりますのは、年末までに社会保険庁の現職の職員、あるいはOBの皆様方に一人一人に調査表を送って、調査をしております。これは消えた年金問題の反省点と、まだ世間の方が御存知ないような問題点があれば、それをきちんと表に出してくださいということも指摘させていただいておりまして、OBも入れると膨大な数になりますので、貴重な情報も来ているようですので、そういうものも含めて表にいろいろな問題を出して行きたいと考えております。
記者:
大臣が今おっしゃられました、社会保険庁全職員、OBへの調査は記名でさせておられるのでしょうか。あと、公表の時期についてはいつになるのでしょうか。
大臣:
これは公表するつもりですので、今、中身を公表するにしても具体的にどこがポイントなのかと、おそらく1万以上ですから2万近くになると思いますが、それについてどこがポイントで、どこが重要情報かということを今一つ一つ読み込んで、我々なりに分析して、それが整いましたら公表させていただこうと考えております。
記者:
いつ頃を目処に。
大臣:
時期は明確ではありませんが、なるべく早めに公表しようと思っております。
記者:
別件で政治資金の問題ですが、小沢幹事長、06年から昨年にかけまして、22億円が財務委員長に支出されているということで、組織対策費の使途が明らかになっていないという現状がありますが、それについてのお受け止めをお願いいたします。
大臣:
今日の報道で私も拝見しましたが、事実関係も含めて今後党の方に記者の皆様方もお尋ねになられると思いますので、そこで説明がなされるものだと考えております。
記者:
子ども手当の法案が明らかになったという一部報道がされておりますが、内容についてはいかがでしょうか。10月には子ども世帯は市区町村に申請する必要があるなどの具体的な報道がありましたが。
大臣:
これはあくまで途中の段階で、いろいろなA案、B案、C案というような手法の研究の中での報道だと考えておりますので、まだ、確定的にそれが法案化する決定をしているわけではありません。いずれにしても、法律を出すというのはもちろん出しますが、若干ではありますが詰めの期間がありますので、それに向けて最終的な調整をしているということで、まだ、決定しているものはありません。
記者:
大臣は昨年、都内でパーティーを開かれたようですが、これはいわゆる政治資金パーティーに当たるものかどうかということと、規模と、収支の額と、いわゆる大臣規範に抵触するかどうか大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
毎年開いている支援者の方々との忘年会ということで、私が議員になって以来毎年開いているものです。ただ、忘年会でも法的には政治資金パーティーという法の規定の下で開かなければならないというルールがありますので、そういう法律に則って開催いたしました。これはもちろん個人限定で、2万円とかいうものではありませんので、会費としては1万円ちょっという形で例年通り行ったということです。
記者:
いわゆる、大規模なものという認識ではないのでしょうか。
大臣:
毎年しているもので、そこで大規模な資金を集めるというものではありません。
記者:
冒頭お話された、1月12日の23年度予算の考え方についてですが、23年度に関しては子ども手当の全額支給ですとか、基礎年金の国庫負担割合を2分の1にすることの新たな財源の確保等、7、8兆円が追加で必要になると思いますが、それの財源として、特別会計等の無駄削減から出す方向で考えているのか、消費税増税なり、税制の改正などで考えているのかお聞かせください。
大臣:
もちろん1期4年の中で消費税は考えないということは、この内閣は明確にしております。その意味で、昨年は事業仕分け等もありましたが、政権交代後期間が短かったということもあり、さらに、事業仕分け的な手法を使って一時的な浪費、継続的な浪費、あるいはこれまで慣例として行われて、あまり気に止めなかった前例踏襲主義、かなり踏み込んだ形で特別会計も含めた考え方にメスを入れました。何よりも厚生労働省にも7百程度の天下り団体がありますし、他の省庁にもたくさんあります。それも一つ一つ積み上げれば金額としては大きなものになりますので、それがまだ不十分だという意識を私も持っておりますので、それを徹底的に実行していくということが前提になると考えております。
記者:
昨日、仙谷大臣が「消費税の議論をして行くべきだ」というお話をされてますが、一時的なものではなくて、今後、恒久的に年金ですとか、子ども手当があり、消費税の議論は避けられないと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
大臣:
1期4年で消費税を実行というか、上げるということはしませんが、そういう考え方を議論することを妨げる必要はないと思います。ただ、この話を議論しだすと、「もう削減はしなくていいんだ」という意識が蔓延して官僚の皆様の動きもストップするという懸念はどの大臣も感じておられると思います。いずれにしても、1期4年はそういう議論というよりも、具体的な削減ということに注力していくということです。いろいろな考え方の中で、前から申し上げておりますが、事務次官をトップに無駄削減業務改善チームで、その下に若手職員中心で3チーム作って、現状を調査するという形で、我々がその中身をチェックしていくという考え方で、極力国民の皆様方が、負担と給付というのが中抜きされずに無駄もなく、「自分達が負担したお金が、必ず社会保障などのサービスに一対一対応で結びついて行くのだ」という実感を持っていただくまでは、そういう無駄削減の作業は続ける必要があると思います。
記者:
2期目以降の安定税源としては、消費税も選択肢に入るというお考えでしょうか。
大臣:
2期目以降については、その時にどれだけ削減が出来ているかによりますが、可能性としてはそういうことも否定出来ないと思います。ただ、その時も、これも選挙前から申し上げておりますが、必ず国政選挙で負担の具体的内容と、その負担はどこにどう使うのかと使途も明確にして、選挙で国民の皆様の御理解が得られればという前提で申し上げております。
記者:
成長戦略についてですが、アジアの富裕層をターゲットに医療サービスを、観光と連携させて促進させて行くということを掲げていらっしゃいますが、こういうメディカルツーリズムを、経済産業省などは積極的に推し進めて行こうとしておりますが、厚生労働省としてはどういったスタンスで臨まれるのかお聞かせください。
大臣:
これは今年の6月までを目処に、具体的な行程表を作ることが言われております。昨日も省内でそういう議論をしまして、経済産業省とも連携してどの部分について厚生労働省としての目玉として打ち出すのか。ただ目玉として打ち出すだけではなくて、実行性のある手法を取るということで、今おっしゃられたことも議論の課題だと考えております。
記者:
医療の産業化ということですが、医師不足等で日本人への医療もままならない中で、先にクリアする課題も多いと思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。
大臣:
今言われたメディカルツーリズムの前に、さらに、例えば、お医者さんと看護師さんの役割分担との議論、あるいは成長のコアとなる企業にどう介護や医療の分野でコミットしていただくのか、あるいは保育所など子育て分野、雇用分野にそういう企業なりがどうコミットして行くのかということも課題になってくると思います。ただ、皆保険ですので、市場が拡がれば拡がるほど、公的負担、国民の皆様方の保険料負担や、国庫の税金の負担も拡大します。あるいは企業の事業主負担も増えて行くということでいろいろ制約条件がありますので、そういう普通の市場と若干違う分野ですので、制約条件も加味しながら効果的な成長戦略を具体化して行きたいと考えております。
記者:
総務省と国土交通省で幹部人事の任期前の異動がありましたが、厚生労働省としても大臣の考えとして、幹部人事の前倒しのお考えはありますでしょうか。
大臣:
人事評価基準を10月に変えまして、さらにそれを進化、深めて行く検討会もこれから立ち上げようと考えておりますので、今のところはそれで役所風土が変わりつつあると感じる部分もありますが、まだ時期が短いのでそれを検証して行く必要があると思います。私としては、「今幹部でこの人物がこうだ」ということに対する必要性は今は感じておりません。また、国会が終わり、今年の半ばになりますと、大きな人事の季節がやって来ますので、その時に備えていろいろな情報収集などはして行きたいと考えております。
記者:
通常の人事は7月くらいだと思いますが、それを前倒しするということは考えていらっしゃらないのでしょうか。
大臣:
今のところ前倒ししてというところまでは考えておりません。

(了)