長妻大臣閣議後記者会見概要

H21.09.29(火)11:05 ~ 11:36 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日の閣議の案件はたくさんございましたが、主要なものとしては三点でございます。一つは、一部報道もございましたが、独立行政法人等への役員人事に対する閣議決定がなされました。これにつきましては、ポイントはいくつかありますが、概略を御説明しますと、所管大臣が各法人の事業運営や役員数、報酬等について点検を行うということが一つの核であります。そしてもう一つについては、現在、公務員OBが役員に就任しているポストについて、後任者を任命しようとする場合、あるいは、新たに公務員OBを役員に任命しようとする場合には公募をするということが今回の一つの大きな核となります。その公募についても職務内容書の作成や、外部の有識者による選考委員会の開催など、選考の公平性および透明性を十分に確保するために、3ヶ月程度の期間をかけて、今年の12月末までに行うと。ただ、現在役員に就任しているものも含めて、公務員OBからの応募も認めるということで、応募をしたい公務員OB、今まではいわゆる「天下り」ということで自動的にそこに天下るということもございましたので、優秀な公務員OBも応募をして、民間の方とも一緒に選定を受けていくという仕組みにしてまいるということでございます。総理からもこの件について、しっかり取り組むようにというお話がございました。 もう一つが税制調査会の設置ということで、これは閣僚が中心になって、政策一元化ということで、内閣で税制改正に、あるいは税制調査に取り組んでいくというようなことも申し合わせを致しました。そして、三番目でございますが、本予算についての話ですが、新たな概算要求をして欲しいと。締め切りは10月15日までだということで、財務大臣から御指示がございました。各大臣に対しては、マニフェストを踏まえた要求を行うとともに、既存予算の思い切った削減に取り組むようにという依頼もございましたので、この厚生労働省としても取り組んでいきたいということで、既に事務方には指示をしているところでございます。なお、財政投融資の要求についても同様に、10月15日までに提出ということでございます。そして、行政刷新会議の仙谷大臣からも、十分に優先順位の低いもの、いわゆる浪費、必要性の低い事業等々見直すようにという御指示もございまして、10月15日の締め切り以降も不断の見直しを行政刷新会議とともに、御一緒をしてまいりましょうというお話もございまして、そういう方向で厚生労働省としても取り組んでいくということであります。 厚生労働省関係では一点、閣議で私が発言を致しまして、「赤い羽根共同募金」が今年で63回を迎えますので、10月1日から全国的に展開をするということで、各大臣に御協力を御願い申し上げたということでございます。 そして、これは閣議案件ではございませんけれども、一部報道にもございましたが、出産育児一時金についてでございます。基本的に、出産育児一時金の医療機関等への直接支払い制度というのは、妊産婦の皆さんへの経済的負担を軽減することを目的として、これまで政府広報や保険者による広報等を行ってきております。出産育児一時金の額の4万円引き上げはもちろん致します。原則として10月1日から予定通りに実施をするということは変わりございません。ただ、一部の医療機関から、直接支払制度に直ちに対応することが困難という御意見もいただき、私も足立政務官とともに色々な方のお話を聞いて、熟慮を重ね、どうしても対応が困難な医療機関等については、例外的に、支払制度の適用を猶予することと致しました。本日中にはその通知を出す予定にしておりまして、皆様方にその通知の中身も公表をする予定としております。この猶予については、半年設けますが、その間、例えば独立行政法人福祉医療機構等において、今も融資がございますが、もう少し、つなぎ融資等々使い勝手の良いものに出来ないかなどの検討をしていくということでございます。いずれにしましても、かなり短い4ヶ月という期間で告知をして、10月1日から始めるということで、これまでの厚生労働行政としても、細かい聞き取りや周知について問題があったのではないかということで、今後こういうことのないように、新しい制度を始める前には、多くの方の御意見もお伺いして、そういう皆様の御意見を吸い上げた上で始めると。こういうことも必要だということで、今回の件について、どうしてこういうことが直前になって、予期すべきものが予期できなかったのかということを報告を求めておりまして、その分析をして、こういうことが起こらないような体制を作っていこうと考えております。

質疑

記者:
本予算の概算要求について全面的に見直す方針だということですが、大臣からも少しお話がありましたが、厚生労働省としてはもう少し具体的にどのように臨むのか、大臣のお考えがありましたらお願いします。
大臣:
これは、我々も一部、野党時代に事業仕分けに取り組みまして、ただ、その時は情報が限られておりますし、マンパワーも限られておりまして、一部でありましたので、今後トータルで、期間は非常に少ないのですが、トータルで見て問題点を洗い出していきたいと思いますが、直ちに指示をすれば「はい」と出てくるものでもありませんので、色々なやりとりの中で、我々もチェックをしていこうと考えております。
記者:
日本年金機構の問題ですが、これについては、方針として予定通り社会保険庁を廃止して年金機構に移行するという方針でよろしいのでしょうか。
大臣:
これはまだ決めておりません。いずれにしても決断の時期は迫ってきていると認識しておりますので、今、各方面の方からも御意見を聞いて、進捗状況も含めて慎重に判断をするということであります。
記者:
決断の時期が迫っているというお話がありましたが、もし日本年金機構の計画を廃止するということになれば、タイムリミット、法案作成などのタイムリミットがかなり来ていると思いますが、それでも選択肢としては、日本年金機構の計画を廃止するということもお持ちなのでしょうか。
大臣:
今の時点では決めておりません。色々な選択肢、行くか進むかだけではない選択肢というのももちろん、行くにしてもそのままいくのか、戻るにしてもそのまま戻るのか等々がありますので、非常に重要な、消えた年金問題も含めた信頼回復のための重要なポイント、テーマでもあると思いますので、今慎重に判断をしているということであります。
記者:
出産一時金について先程もお話ありましたが、今おっしゃったような方針で通知をされるということですが、そうなりますと医療機関によって対応が違うということで、利用者にとっては戸惑う声も出てくると思いますがこれについては如何でしょうか。
大臣:
我々としても、この記者会見の場、あるいは厚生労働省のホームページ、あるいは関係各方面の皆様方に周知をお願いしていくとともに、医療機関においても、医療機関内にその旨をわかりやすく告知をしていただこうということも考えておりまして、そういう措置を取って、熟慮に熟慮を重ねた末の決断でございますが、何とか御理解をいただくようなきめ細かい対応をしていきたいと。これは本日中に出るであろう通知の中身にもその部分を書いておりますので、よろしくお願いいたします。
記者:
新型インフルエンザ対策ですが、大臣は早々に本部を開きたいとお話もありましたが、開催日程は如何でしょうか。
大臣:
ワクチン接種の時期も迫っておりますので、速やかに開いていきたいと、そう遠くない時期に開催をして、色々決めなければならないこともございます。閣議決定が必要な部分もございますので、速やかに開催をしていきたいと思っております。開催の主体は内閣の方でございますので、そういう形でお願いをしているところであります。
記者:
出産育児一時金の関係ですが、10月以降、今まで妊婦さんはこれから立て替える必要のないと思っていたお金をいきなり請求される可能性も出てくると思いますが、4ヶ月での周知では不足だったという趣旨の発言もされていましたが、制度の始まる2日前になって妊婦さんに負担が生じるかもしれないという制度設計をする、そのこと自体が拙速のような気がするのですが、その辺の御対応をどのようにお考えですか。
大臣:
速やかにそういう猶予をする期間については周知をしていただくということで、突然この通知を出して、何ヶ月かした後に知らずにということがないように、万全を期していきたいと考えております。後は、これは妊婦さんの経済的負担というのが我々が案じているところでございますが、その一方で、熟慮を申し上げたと言いますのは、診療機関におきましても、本当にこの制度が入った時に、御存知のようにある一定期間の支払いまでタイムラグが生じて、それによって診療に大きな支障が出るという懸念も出ております。本来はかなり早めにそういう診療所も含めたところにもお金が何時来るのかも含めた周知をきめ細かくしていればその時点で色々な御意見をお伺い出来たのではないかということもございまして、ただ、診療が立ちいかなくなるところが一定程度出てくると、これは逆に妊婦さんにも御迷惑をおかけしてしまうのではないかということで、我々としても、厳しい選択でございますが、そういう選択をさせていただいたということでございます。
記者:
突然に肩代わりを求められる妊婦さんへの手当はお考えでしょうか。
大臣:
これは、丁寧にお話をして、手持ちの現金が中々苦しい方についても色々な対応の選択肢のご紹介をしていくということや、フォローの体制で、そういう猶予をした医療機関における妊婦さんの御要望などもきめ細かくお伺いをして、改善点があれば我々としても取り組んで参りたいと考えております。民主党のマニフェストでも、出産育児一時金というものを申し上げておりまして、その制度設計の中では、そういう問題が生じないように、制度設計をしていきたいと考えております。
記者:
閣僚の政治資金収支報告書が出まして、大臣の中ではすべて個人献金ですが、これについて大臣は以前から主張されてきたことだと思うのですが、改めてその意図とねらい、また、他の閣僚の皆さんを見ますと民主党のマニフェストで禁じて行きたいとしている企業団体献金をかなり受け取っておられる方が多いのですが、閣僚の中でこういった方がいるということの御見解も併せてお願いいたします。
大臣:
私自身は企業、団体献金、パーティ券の購入もお願いをしないという立場で取り組んで参りました。ただ、当然政党からいろいろな公認料等を含めいただく場合には、お金に色はございませんので企業団体献金が政党経由で入っているということで、私自身の政治活動が個人献金のみでまかなわれているということは言えないわけです。政党助成金も間接的にはあると思いますので、税金もあると思います。ただ、企業団体献金がすべて悪だとは思っておりませんが、やはり、誤解を受ける可能性があるということで、そういう措置を自分としては取っているということです。他の閣僚の皆様はいろいろな哲学があると思いますので、それぞれのお考えでされていらしゃると思いますが、民主党といたしましては、政権交代前に岡田克也本部長の政治改革本部で企業団体献金の禁止を決めておりますので、それに沿ってそういう法案が成立するように私も努力して行きたいと思います。
記者:
年金記録問題で、当初から国民との最大の契約事項の一つとして掲げてこられたのですが、年金記録第三者委員会の扱いについて原口総務大臣とお話をされておりますでしょうか。それと救済の方向性の今の御所見をお聞かせください。
大臣:
消えた年金記録の問題はトータルで取り組むということで、まず実態解明を今進めております。そして、トータルのパッケージプランを提示して行くことも今進めているところです。原口総務大臣とも直接、第三者委員会について意見の交換、あるいは事務方との交流、事例の交換等、密にやって行こうという話をしております。第三者委員会のみならず紙台帳との照合や、日本年金機構にもまさに関わる問題でもございますし、先ほども御質問のテーマにも関わる問題でして、大きなパッケージとしてやっていくとはいえ、部分部分で出来るものは進めて行かなければならないと考えておりますので、そういう問題については期間の短縮等の指示などをしているところです。
記者:
FISという無料低額宿泊施設の使途不明支出の問題ですが、実態調査を事実上拒んでいるということですがFISの現状の認識について大臣にお聞きしたいのと、受給者のための生活保護制度ということで今後どのような対策をお考えかお聞かせください。
大臣:
皆様方にもいろいろ報道していだいて問題点というのを私も一定程度は把握しておりますが、この問題についても生活保護を含めた大きなナショナルミニマムの問題にも関わって来ますので、今後最低限度の生活基準を考える中で取り組んで行きたいと思います。当面問題があることについては我が省として担当している分野、持っている権限を活用して是正をする努力をすることは当然だと考えております。
記者:
本日、東京高裁の方で混合診療の問題の判決があるのですが、それについての大臣の御所見をお聞かせください。
大臣:
確か午後に判決ということを聞いておりますが、今の時点でどういう判決が出るのかまだ分かりません。これについて判決の中身などを見ながら大きなテーマでもございますので判断をして行きたいと思います。
記者:
本日、子宮頸がんのワクチンが承認される見通しですが、海外ではこのワクチン接種費用が無料というケースが多いのですが、日本ではどういう方法で進める予定でしょうか。
大臣:
これについても、民主党もこういうワクチンの必要性を申し上げて来まして、これが実現するということはありがたいことであると思います。ワクチン費用の件につきましては当然、海外と日本と医療制度も違いますし、財源の問題などもございますので、まだ何かを決めているわけではありませんが、ワクチンの費用に関して新型インフルエンザワクチンの費用の問題もありますので、そういうことを含めて財源を含め、皆様方の意見を聞いて考えて行きたいと思います。
記者:
訴訟の関係ですが、生活保護の母子加算をめぐって明日広島地裁で母子加算の廃止が不当であるという訴訟の口頭弁論がありますが、国側の対応を何かお考えでしょうか。
大臣:
中身を今精査して、どういう対応をするのか、既に主張している部分をどう考えるのかなどありますので、これも判断して行きたいと思います。
記者:
出産育児一時金ですが、今回、医療機関への支払いが2ヶ月遅れるということが混乱の原因の一つということですが、こうした点をもう一度、6ヶ月で見直すという考えはありますでしょうか。
大臣:
まず支払いのタイムラグを6ヶ月で改善することが出来るかというと、6ヶ月という期間では限られていると考えておりますが、当然いろいろな対応を模索する必要があります。ただ、今の時点で考え得るのは、先ほども申し上げましたが独立行政法人福祉医療機構における資金の手当てをある程度使い勝手が良いような形にして行く検討は既に始めさせておりますので、そういうことでなるべく医療機関が当初猶予していても、それが対応出来るように融資の制度を含めたトータルの検討をして行きたいと考えております。

(了)