加藤大臣会見概要

H30.3.9(金)9:30 ~ 9:45 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、本日閣議決定されました「健康増進法の一部を改正する法律案」を踏まえ、「がん対策推進基本計画」においても、受動喫煙対策に関する目標を盛り込むこととし、本日、併せて閣議決定いたしました。今般の変更は、「二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙対策を徹底し、本基本計画の計画期間中において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現することを目標とする。」という個別目標を計画に盛り込むものです。望まない受動喫煙のない社会の実現に向け、法案の早期成立を図るほか、各種支援策の推進、普及啓発の促進など、総合的かつ実効的な取組を進めていきたいと思います。また、東日本大震災の関係でありますが、東日本大震災の発生から明後日で7年が経過いたします。改めて、震災でお亡くなりになられました皆様方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様方にも哀悼の意を表したいと思います。未だに多くの方が避難を余儀なくされている一方、住民の帰還も進んでいます。厚生労働省としては、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備と人材確保、雇用のミスマッチへの対応などに、被災者の心に寄り添いつつ、しっかり取り組んでまいります。

質疑

記者:
今日閣議決定された健康増進法についてですが、飲食店に関しては新規店舗は禁煙にすると踏み込んでいる一方で、ちょうど1年前の基本的な考え方の例外措置の部分が後退しているのではないかという声も聞かれます。その受け止めをお願いします。また、働き方改革法案について、与党の方で法案審査が進んでいますが、政府としての閣議決定のメドなどイメージがあれば教えてください。
大臣:
まず、受動喫煙対策については、「望まない受動喫煙」を防ぐためにどのような対策が必要かということで、政府・与党内でも議論をいただきました。本日、「健康増進法の一部改正する法律案」として、閣議決定をしたところでございます。この法案は、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、多数の方が利用する施設等について、その区分に応じて、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理権限者が講ずべき措置等について定めたものであります。これによって、多数の方が利用する施設について、法律上、「原則屋内禁煙」となるわけであります。その上で必要な経過措置等を設けるものでありますが、これまでは健康増進法において受動喫煙に係る規定は努力義務だったわけでありますから、したがってそれぞれの対応に依っていたと言ってもいいのだと思います。今度はルールを設けながら段階的かつ着実に前に進めるものでありますので、そういった意味で本法案の意義は大きいと思います。その上で、今のお話でありますけれども、「望まない受動喫煙をなくす」という考え方に基づき、全ての屋内施設について「原則屋内禁煙」を実施するという中で、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者については、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えることも考えられることから、一定の範囲については経過措置を設けるということでございます。今ご質問にもございました、新たに開設する店舗については「原則屋内禁煙」、また、喫煙可能な場所について、20歳未満の方の立入りを禁止するといった中身を盛り込んでおりますので、今後、受動喫煙対策が段階的に進んでいく実効性のある内容になっていると考えています。
また、働き方改革の関係でありますけれども、今、与党内においてご議論をいただいておりますので、それにしっかり我々も対応して、できるだけ早期に結論を得ていただいて、そして法案を提出できるように努力をしていきたいと思っています。
記者:
原発作業員の調査について伺います。原発事故の直後、収束作業に当たったおよそ2万人を対象に、国が被ばくの影響調査を行っておりますが、その調査に参加した作業員が、国が設定した目標値の80%を大幅に下回る35%に留まっていることが明らかになっております。目標値を大幅に下回る35%という数字について、大臣の受け止めを伺いたいのと、目標値の80%に参加者を引き上げるために、国として関われることがあるとすればどのようなことか、お考えをお聞かせください。
大臣:
東京電力福島第一原子力発電所の事故発生後に、事故対応等の緊急作業に従事した約2万人の方々については、これらの方々が所属する事業者等から、労働安全衛生法令に基づき被ばく線量や健康診断結果等を報告させ、不断の状況把握に努めております。また、労働安全衛生法に基づき事業者に実施が義務づけられている健康診断以上の健康診断、例えば白内障の検査等ですが、その受診勧奨・実施や電話による健康相談窓口の設置等により、長期的な健康管理に取り組んでおり、これが国が行っているスキームです。今ご指摘の調査は、こうした健康管理に加えて、放射線被ばくの健康影響を疫学的に研究するため、具体的には研究者の方からこうしたことを研究したいと申請があり、それを認めて今やっていただいているわけでありますけれども、平成26年度から着手したものでございます。初年度の参加者は776人ということでありますけれども、こうした研究の目的を説明し参加を呼びかけた結果、平成30年2月末日では7,095人、35.5%の参加をいただいております。今、80%ということでありますが、これは研究者の方が申請書の中でそれを目指したいということで掲げていた数字ということで、国が直接この研究において80%ということを掲げたわけではありませんけれども、こうした疫学研究がその実効性を高めてもらうためには、参加者が広がっていくことが非常に大事だと考えております。そういった意味で、実施主体は放射線影響研究所でありますけれども、連携をしながら、例えばそれぞれの事業所内にこうした調査をしているということに対する説明をするブースを置くとか、対象者への直接の参加勧奨、またインターネットによる広報等を通じて、一人でも多くの方にご参加いただいて、この疫学研究の初期の目的が達成できるよう、国としても対応していきたいと思っております。
記者:
拉致問題についてなんですけれども、北朝鮮の人権問題を担当している国連のキンタナ特別報告者が、北朝鮮の政府に対して、拉致問題について即時の調査・報告を求める報告書を公表しました。これについて、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
大臣:
昨日、トマス・オヘア・キンタナ報告者が、昨年末に日本にもお出でいただきましたけれども、国連人権高等弁務官事務所により報告書のアドバンス版、最終的にはまだ報告をしていないということのようでありますけれども、これが公表されたと承知をしております。今申し上げた昨年の12月に来日された時にも、面談をして、日本人の拉致問題について私の方からも説明をしたところでありますし、今回の報告書にも拉致問題は未解決であり、拉致問題の早急な調査実施を求めること等について記載をされております。またさらに、この報告書ではストックホルム合意の再評価についても記載がなされております。私どもとしても、ストックホルム合意については、わが国として破棄する考えはないということについては、これまでも申し上げてきたとおりでありますし、こうした報告書も踏まえながら、引き続き対話と圧力、行動対行動の原則のもと、北朝鮮に対し、1日も早い全ての拉致被害者の帰国の実現、こうした行動を引き出せるよう、あらゆる努力を傾注していきたいと思いますし、そうした契機に今回の報告書をしていきたい、またこれを契機に国連の中等々においていろんな動きが展開していけるよう、我々としても努力をしていきたいと思います。
記者:
関連と言いますか、つい先ほどの報道で、アメリカのトランプ大統領が北朝鮮の金正恩労働党委員長と会談する意向だ、と伝えられております。拉致問題の早期解決を求める立場から、そうした動きの受け止めがあれば合わせてお願いします。
大臣:
報道でそういうことが流れていることは承知しておりますけれども、従ってそのレベルでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、これまで申し上げておりますように、米国、韓国を始め、関係国としっかりと連携を取りながら、北朝鮮に対して、拉致問題、そして核・ミサイル問題、こういったことに対する政策を変えさせていく、そういった意味で圧力を最大限かけていく必要があるという認識には変わりはないわけでありますが、しっかりと連携を取っていきたいというふうに思いますし、また拉致問題担当大臣としては、そうしたいろんな動きがありますけれども、こうした1つ1つの動きが拉致問題の解決につながっていけるように、最大限の努力を図っていきたいと思います。
記者:
児童虐待について伺います。東京都目黒区で5歳の子どもが死亡した事件がありました。香川県の児相が一時保護しましたが、家庭に戻された後に指導措置が解除され、転居先の品川児相も子どもの姿を確認しない中で事件は起きました。大臣の受け止めと、児相間の連携強化のあり方や一時保護の解除後に起きる再虐待等について、国の対策を教えてください。
大臣:
今回こういった形で子どもさんがお亡くなりになられたことは誠に残念でありますし、心から亡くなられた子どもさんのご冥福をお祈り申し上げたいと思います。今この事案についてお話があったように、香川県と東京都それぞれの中で生じたわけでありますので、それぞれにおいて検証が行われるものと承知しておりますが、厚生労働省としても、香川県・東京都と連携を取りながら、検証結果を踏まえて必要な対応を考えていきたいと思っております。
記者:
野村不動産の件で二点ほどお尋ねしたいと思います。大臣は、先般の参議院予算委員会で、野党議員からの質問に対して、「特別指導の報告を受けたそのタイミングで知っていたのかどうなのかと言われれば承知をしておりません」と答弁されております。その後の野党ヒアリングで土屋審議官から、大臣がなぜそのような答弁をされたのかということについて、「一般論として申し上げた」というようなご発言がございました。大臣として、どのようなご認識で答弁されたのか、その真意を教えていただきたいと思います。もう一つは、特別指導について、大臣はいつどのような内容の報告を受け取られたのか、その二点を教えて下さい。
大臣:
答弁というのは誰の答弁でしょうか。
記者:
石橋通宏議員の答弁で、「労災で亡くなった方の状況について、逐一私の方に報告が上がってくるわけではございませんので、一つひとつについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません」と答弁をされておりまして、そこの真意について改めてお願いします。
大臣:
私は石橋委員から、労災認定のことを承知していなかったというお話があったので、一般論として一つひとつについて労災認定がなされた時点で上がってきているわけではありませんという一般論を申し上げたわけであります。それから、特別指導という話について、結果的に監督指導一連の流れのことでありますから、監督指導の中身について一つひとつどのタイミングでどういう具体的なことをしたかということはお話出来ないことはご存知だと思います。従って、私として言えることは、こうした事案について、必要に応じてやっている状況は私のところに報告はあったということは申し上げられますけれども、それ以上の詳細についてはこうしたことの事案上は申し上げることは差し控えなければならないと思います。

(了)