加藤大臣会見概要

(令和5年9月5日(火)10:40~10:49 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
医療費について伺います。令和4年度の医療費は概算で46兆円で、前年度から1兆8000億円の増加となり、2年連続で過去最大を更新しました。これについての受け止め、医療費の増大による課題と今後の対策についてお考えをお聞かせください。
大臣:
医療費のほぼ総額を示す「概算医療費」の令和4年度の数字が46.0兆円、前年度と比べて1.8兆円増加、伸び率はプラス4.0%となっております。増加した要因としては、医療機関を受診した延べ患者数に該当する受診延べ日数が、前年度と比べて2.0%増加していること、また1日当たり医療費も、前年度と比べて2.0%増加したことなどがあります。こうした傾向は令和3年度から引き続いているところです。特に少子高齢化を迎える中で、給付と負担のバランスを確保しつつ、全ての世代が能力に応じて社会保障制度を支え合う仕組みを構築することが、これからもこうした医療制度を持続可能なものにしていくためにも大事だと考えております。本年5月に健康保険法等改正法が成立いたしましたが、この法律においても高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し等を行ったところです。引き続きこうした改革を進めていくこととあわせて、医療のイノベーション、DXの推進、医療費適正化に向けた取組、こうしたことを通じて、今申し上げた国民皆保険制度をしっかりと守り、次の世代に引き渡していくためにも、その持続可能性を高めることが必要だと考えております。
記者:
新型コロナについて伺います。昨日4日に、5類移行後初の新型インフルエンザ等対策推進会議が開かれました。来年の夏頃までに、コロナ禍の経験を踏まえ行動計画を改定する方針ですが、大臣として期待されていること、厚労省として今後どのように関わっていきたいのかお聞かせください。
大臣:
昨日、新型インフルエンザ等対策推進会議の第1回の会合が開催され、政府行動計画の改定に向けた議論がスタートとしたと聞いております。議論の内容については発表があったと思いますが、今後改定される政府行動計画については、これまでの新型コロナ対応の経験をしっかり踏まえつつ、そして昨今強化された感染症対策、あるいは制度改正を具体的に反映していく。加えて、緊急時、感染時だけでなく、平時からの備えも必要です。平時からの備えも着実に進めることができる、こういった内容となることを期待しております。今般「内閣感染症危機管理統括庁」が発足いたしました。統括庁の司令塔機能をしっかり発揮していくためにも、有識者や関係省庁による議論が尽くされるよう、厚生労働省としても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますし、9月1日に「感染症対策部」も設置したところです。
記者:
「人への投資」についてお伺いします。2024年度の概算要求では、いわゆる「人への投資」関連でどの程度の予算を要求していますでしょうか。今年度予算比での増加幅率とともに教えてください。合わせて要求項目の中で特に力を入れていきたい事業についてもお願いします。
大臣:
「人への投資」は5年間で1兆円規模の政策パッケージということを申し上げてまいりました。令和5年度予算では約1,500億円を計上し、これまでに政府全体で約4,517億円、厚生労働省では3,553億円を計上しております。令和6年度の概算要求においては、厚生労働省分だけで約2,000億円、前年度比でプラス約30%となる予算を要求させていただいております。なお、先ほど申し上げましたように、「人への投資」は厚生労働省だけでなく政府全体の予算ですから、今申し上げたのは厚生労働省だけの予算ということでご理解いただければと思います。その上で、具体的な中身に関しては、まず労働移動に関しては、特定求職者雇用開発助成金による成長分野等への労働移動の支援などにより、賃金の上昇を伴う労働移動の支援をすること。また、2番目として、リスキリングに関しては、専門実践教育訓練給付による個人主導の、特にデジタル分野の人材育成。また、キャリアコンサルティング体制の整備を通じた、在職時からの継続的な学び直しの支援、公的職業訓練によるデジタル推進人材の育成、人材開発支援助成金による企業経由の人材育成に対する支援などを実施したいと考えております。また、希望を実現する多様な働き方に関しては、キャリアアップ助成金による正社員を希望する方を支援していく、こうしたことを考えております。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。8月31日の審議で、新型コロナワクチンの健康被害認定数は4,098件となりました。この数字について大臣のお考えを聞かせてください。また、m-RNAワクチンをベースとした自己増殖型の「レプリコンワクチン」は、2024年に実用化を目指して開発を行っています。この「レプリコンワクチン」の実用化に向けたスケジュールの見通し、またこのワクチンの特性、つまりメリットとデメリット、特に副反応について現在わかっていることをご教示ください。
大臣:
新型コロナワクチン接種後の健康被害ですが、まずお亡くなりになられた方にお悔やみ申し上げ、また、そうした被害を受けた方にお見舞いを申し上げたいと思います。その上で、予防接種法に基づく健康被害救済制度により、審査会において予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を幅広く救済しており、先ほどお話しのありました今年8月31日時点で、国へ進達されている事例、現段階で8,667件ありますが、そのうち4,098件が認定となっているところです。まずはこうした被害救済を迅速に進めるということで、更に審査の迅速化に取り組んでいきたいと考えております。また、予防接種健康被害救済制度自体は予防接種の評価そのものではなく、まさに救済という観点に立っているところですので、ワクチンの副反応を疑う症状については、医療機関から報告された情報を収集し、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会など、関係審議会で個別症例の評価や集団での系統的な分析・評価により、予防接種の安全性を常に評価しているところであり、必要な措置を講じています。現段階で新型コロナワクチンについて接種を中止すべきという判断には至っていないところです。また、ご指摘のレプリコンワクチンでは、Meiji Seika(めいじせいか)ファルマ社が、本年4月28日に薬事承認の申請をされました。現在PMDAにおいて有効性、安全性を審査中と承知しておりますので、その審査の動向を注視していきたいと考えております。

(了)