加藤大臣会見概要

(令和5年3月31日(金)10:04~10:24 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
冒頭3件申し上げさせていただきます。
まず雇用統計でありますが、令和5年2月の有効求人倍率は1.34倍と前月から0.01ポイント低下となり、都道府県の有効求人倍率は引き続き全ての都道府県で1倍を上回りました。また、完全失業率は2.6%と前月から0.2ポイント上昇となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は求人の回復に遅れがみられる産業もあるなど一部には厳しさがみられるものの緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があります。

2点目でありますが、令和5年4月、厚生労働省では新たに283名の職員を迎えることとしています。この規模は厚生労働省発足以来最大であり、多くの働く仲間が増えることは大変嬉しく思っています。このうち女性は127名、その割合は政府目標の30%を大きく上回る44.8%となっています。新卒総合職事務系に限って申し上げれば、過半数が女性ということで36名中19名が女性ということであります。またこの度新たな取組として、総合職事務系相当の課長補佐級職員について経験者採用を実施いたしました。多くのご応募をいただいた結果、当初想定していた5名程度を上回る多彩なバックグラウンドを持つ9名の方を仲間として迎える運びとなりました。多くの女性を含め若い方々や多様な経験を持つ方々の力を得て、厚生労働省という組織をいっそう活性化するとともに、より働きやすい環境の整備に努力をしていきます。そして国民の皆様のご期待に応えていけるように取り組んでまいります。

3点目は基本的感染対策の見直しであります。新型コロナにおける基本的感染対策についてはこれまで新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく基本的対処方針の中で個人や事業者に対応を求め、また各業界においては業種別ガイドラインを策定してきたところです。

今般の感染症法上の位置づけの変更が予定どおり5月8日に実施されれば、基本的対処方針や業種別ガイドラインも廃止されることとなります。そのため同日以降の日常における基本的感染対策について、政府として一律に求めることはなくなり、マスク着用の取扱いと同様、主体的な選択を尊重し個人や事業者の判断に委ねることが基本となります。その上で政府は感染症法に基づき、個人や事業者の判断に資するような情報の提供を行っていきたいと考えております。
このため本日、5月8日以降の基本的な感染対策の考え方についてあらかじめ申し上げたいと思います。具体的にはこれまでアドバイザリーボードにおいて専門家からいただいたご意見も踏まえ、新型コロナの特徴を踏まえた基本的感染対策として引き続き手洗い等の手指衛生や換気が有効であることなどを示してまいります。また感染対策の実施に当たっては、その必要性に加え実施の手間・コスト等を踏まえた費用対効果や、他の感染対策との重複・代替可能性なども考慮して検討していただくようお願いします。事業者において現在行われている入場時の検温や入口での消毒液の設置、パーティションの設置などについては、政府としては一律に求めることはいたしません。今回お示しする対策の効果や考え方等を踏まえ、実施の要否についてそれぞれでご判断いただきたいと考えております。なおトイレにおけるハンドドライヤーを使用できること、ビュッフェスタイルでの飲食物提供時には使い捨て手袋の着用は求めないことなどは、既に「業種別ガイドラインの見直しのためのポイント」としてお示ししているところございますので、今後もその考え方に変更はありません。
以上の内容についてお手元に概略をお配りさせていただいておりますが、本日都道府県あてに事務連絡を発出するとともに、内閣官房コロナ室とも連携しつつ関係省庁を通じて各事業者に丁寧な周知を行っていきたいと考えております。引き続き5月8日以降も国民の皆様また事業者の皆様が円滑に感染対策を進めながらそれぞれ社会経済活動を行っていただけるように厚労省としても努力してきたいと考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
2問お伺いします。会計検査院の新型コロナワクチン接種事業の検査結果についてお伺いします。政府が製薬会社と契約した計8億8,200万回分のワクチンについて、数量の算定根拠を示す資料が不十分だと指摘されました。またキャンセルや有効期限切れによる廃棄など確保量全体の3割を超えています。これらの指摘についての受け止めと今後の改善策についてお考えをお願いします。
もう一点、こども家庭庁が明日発足されます。こども家庭庁への期待などあればお願いします。
大臣:
まずご指摘の会計検査院の報告書では、ワクチン購入数量に関する算定根拠資料を作成して保存すること、事後に当該数量の妥当性を客観的に検証することができるようにすべきであること等の指摘がなされているところであります。厚生労働省としては当時購入数量の資料は作成していたところでありますが、一部口頭で補足的な説明を要する事項があったものと認識しています。厚生労働省としては昨年の感染症法の改正により特例臨時接種として実施しているワクチン接種の在り方についても見直しを行ったところであります。今後ワクチンの購入に当たっては、今回補足的に説明を要した事項も含め事後的に第三者が客観的に妥当性を検証できるような形で必要な情報を盛り込んだ資料を作成するなど、今回の指摘を踏まえた対応を行っていきたいと考えております。
またこれまでに確保した数量の妥当性ということになりますが、世界各国で当時ワクチンの獲得競争が継続し、また必ずしも開発の状況あるいは提供の状況がなかなか把握できない中、接種を希望する全ての国民の皆様にワクチンをお届けできるよう接種回数を含め様々な可能性を視野に入れた上で着実な確保を行い、結果として多くの皆様に接種していただいたところであります。有効期限が到来したワクチンは医薬品の適正な管理の観点から廃棄せざるを得なかったものでありますが、これまでの確保の取組はこうした状況下を踏まえれば必要なものであったと考えています。

それからこども家庭庁であります。来る4月1日にこども家庭庁が創設されスタートすることになります。我が国の少子化の深刻さは言うまでもありません。他方で児童虐待等子育てを巡る様々な問題が指摘されてきているわけであります。そうしたことに関してこども家庭庁を設置することによって、いわゆる年齢の壁・課題の壁・役所の壁こういったものを取り払って、こどもあるいはこどもを育てる家庭をまんなかにおいた施策を進めていく必要があるということで、まさにその司令塔としてこども家庭庁が設置されたところでありますし多くの国民の皆様からの期待も大きいものと考えております。今申し上げたそうした期待に応えていただけるものと期待をしておりますが、厚労省としてもこれまで様々な施策を行ってきたところでありますが、小倉大臣、渡辺長官のもとこうした基本的な理念を引き継ぎながらさらに発展をされていく、厚労省としてもしっかり協力していきたいと思っております。
なおこども家庭庁の発足に伴い厚生労働省からも230名の職員が新たなポジションを得て働くことになります。これまでもそうした分野で第一線で活躍してきた職員でありますので、これまでに得た知識や考え方を活かしてこども・子育て政策を先ほど申し上げた視点に立って大胆に推進してもらえるものと思います。昨日私からもこれまでの尽力への感謝と併せ、そうしたメッセージを送らせていただいたところであります。引き続き厚生労働省では医療・福祉・労働政策を担っていますから、こども・子育て政策と密接に関連する部分も多岐に渡っております。誰一人取り残さない包摂的な社会の実現に向けて、こども家庭庁と緊密な連携また協力関係を図っていきたいと考えております。
記者:
去年漏洩事件があった柔道整復師の国家試験の合格が先週発表されました。合格率は過去最低を更新し初めて5割を切りました。漏洩先の専門学校も一律で合格率が大幅に下がっています。業界関係者の中には「全国的に漏洩が広がっていた可能性がある」と証言している人もいます。この結果を受け、管轄する厚労省としてどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。また、厚労省の対応として漏洩に関する調査や試験のやり直し、国家試験を運営している柔道整復研修試験財団への指導などは考えていますでしょうか。
大臣:
まず本年度の柔道整復師国家試験についてでありますが、その合格率は例年と比べて低いと認識しております。試験の作成については外部有識者である試験委員に試験問題の作成と評価を行わせ難易度についても慎重に実施されたところとは聞いておりますが、今申し上げたように本年の合格率は例年と比較して一定程度低いということは事実でありますので、次回の国家試験に向けてよく分析・検討をしていかなくてはならないと考えております。
他方で柔道整復師国家試験における試験問題の漏洩は、まさに柔道整復師国家試験制度に対するあるいは柔道整復師の方々に対する個々の国民の信頼を大きく損なうものであり、決して許されるべきものではありません。現在第三者委員会が設置され、その下で今般の漏洩に関する調査等が進められていると承知しております。厚生労働省としては先ほど申し上げた考え方に則り第三者委員会における調査等をまずは注視していきたいと考えております。
記者:
発表事項の基本的感染対策の考え方についてお伺いいたします。政府は個人や事業者の判断に資するような情報提供を行うとありますが、大臣は現在どのようなものを想定していてどのような機会を使って発信したいとお考えかお聞かせください。
大臣:
これまでもこうした機会も含めてあるいはマスクの時にも様々な留意点や考えていただきたいポイント等を申し上げてきたところであります。引き続き機会を捉えながら、また各業界に対して内閣官房とも連携をしながら、もちろんここにも記載されていますがこうした内容を都度都度あるいは業界に応じて発信をしていきたいと思います。その上で今までの一律にお願いをするところからそれぞれがご判断いただくというフェーズが変わっていくわけでありますから、まずそういったフェーズが変わっていくということ、それからそれぞれの方から見れば、ではどう判断していいのかという話は当然出てきますから、それに答えうるものを今申し上げたような形で提供していきたいと思います。
記者:
昨日、明るい社会保障改革推進議員連盟が大臣に提言を行いました。「女性の健康」ナショナルセンターの創設などを求める内容となっておりますが、厚労省の方で今後センターの開設の検討を行うお考えはありますでしょうか。
大臣:
昨日、明るい社会保障改革推進議員連盟の皆様が大臣室に来られて、今お話があった女性の健康増進に向けた政策パッケージに関する提言書をいただきました。この提言書においては国立成育医療研究センターの機能の拡充により、女性の健康や疾患に特化した研究などについて司令塔としての役割を担う「女性の健康」ナショナルセンター創設等のご提言をいただきました。厚労省としても女性が人生の各段階で様々な健康課題を有していることを社会全体で共有していく、そしてその課題を解決していく、こういったことの必要性は十分に認識しているところでありますので、今回いただいた提言を踏まえて今申し上げた必要な対応を前向きに検討してまいりたいと考えております。
記者:
会計検査院のワクチンの指摘に関連して伺います。毎日新聞の調査では少なくとも7,700万回のワクチンの廃棄が確認されて購入費を金額換算すると2,000億円超という試算が出ています。これらの指摘を受けて今後厚生労働省としてワクチン事業について事後的に検証を行う予定があるのかお聞かせください。
大臣:
ワクチンに限ってということではなくて今回のコロナ対応については政府全体として検証していく必要性が指摘されているわけであります。それを全体として検証するのか都度都度検証するのか色々なやり方があろうかと思いますが、しかるべき段階では常に検証しそして次に繋げていくことが必要であると考えています。その上でワクチンについては先ほど申し上げたように今回の一連の対応は当時の状況の中においてはそれぞれが努力して、結果的には多少のタイミングのずれはあるにしても希望する皆さんには少なくともワクチンが接種できたわけでありますので、そういった意味においてはそういった結果になっているということを踏まえておく必要があると思いますが、ただ説明する資料が十分ではなかったとの指摘がありますから、そういったものにはしっかり応えていく必要があると思っておりますし、またワクチンの接種の在り方も先ほど申し上げた感染症法の中で改めて位置づけされていくわけでありますから、それに則った形で今後は対応していきたいと思います。
記者:
冒頭の経験者採用についてお伺いしたいのですが、9名の方の男女の内訳と具体的にどういった経験値やバックグラウンドがある方がいるのか主立ったところを教えてください。
大臣:
出身としては民間企業、地方自治体、医療団体、メディア等の出身者、中には中央省庁から一度民間に転じられた方、あるいは過去に恐らく出向のような形で中央省庁で働いた経験がある方などと聞いております。女性は1名ということであります。
記者:
先ほどの質問にも関連するのですが、少子化対策の試案となるたたき台が本日31日にまとまる見込みです。6月の骨太方針に向けて財源や制度設計などについてどのように議論していく考えか大臣の考えをお聞かせください。
大臣:
今日小倉大臣の下でとりまとめられた、たたき台が発表されると承知しておりますので、まだ発表されていませんから中身に対するコメントは差し控えたいと思いますが、また6月の骨太方針までにさらに総理の下で議論を深めるということでありますから、厚労省としても今回のたたき台を踏まえて議論に積極的に参加していきたいと思います。
記者:
冒頭の感染症対策についてお伺いします。5月8日以降は入場時の検温やパーティションの設置等を一律には求めないということですが、日常生活や社会経済活動を取り戻す上において事業者の主体的な判断に委ねることの意義をどのように考えるかをお願いします。またもう一点、感染拡大した場合は基本的対処方針も業種別ガイドラインも廃止されてますがどのようにこの対策を求めていくのかもお願いします。
大臣:
まず1つは感染症法上の位置付けの見直しを進めていくわけであります。それにしたがってこれまでのいわゆる2類相当の時には様々な制限、これは状況に応じてその内容は変更してきたわけでありますがそうした行政が関与していく姿から、それぞれの皆様が感染対策だけではなく、例えば医療の対応を含めて日常の中で取り組んでいける方向へ医療提供体制は一遍にいきませんので段階的に持っていくわけですから、そちらに向かって移行していく、まさにそうしたことの理解とまたその必要性を引き続き発信していきたいと思います。その上でこれから感染は色々なケースが考えられると思います。1つは5月8日に移行するかしないかも最終的な判断はしていかなくてはならないと思いますが、もっとも今の状況を見る限りはウイルスの性格というかウイルス自体が大きく変異をしているわけではございませんからそうした状況ではありますが、仮にそれが大きく変化して重篤度等について状況がより一層厳しいものが出てくればそれはそれとして対応していくということは前から申し上げているところであります。その上であとは感染対策については一律に求めていくわけではありませんが、コロナの感染が無くなったわけではありませんから引き続き必要な感染対策はお願いしていきます。ただそれはそれぞれの状況状況によって異なるので一律には申し上げませんが、例えばマスクの着用についても医療機関とか高齢者施設についてはしてくださいとか、そうした状況とかあるいは必要性とか効果とかこうしたことを引き続き発信し、それを踏まえてそれぞれ皆様方が状況状況に応じて判断していただければと思います。

(了)