後藤大臣会見概要

(令和4年7月29日(金)11:33~11:57 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
私の方から2点ございます。まず雇用統計についてでございますが、令和4年6月の有効求人倍率は1.27倍と、前月より0.03ポイント上昇しまして、6か月連続の上昇となりました。また、完全失業率は2.6%と、前月と同水準となりました。
 求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求職者が引き続き高水準にあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直しの動きがみられます。   
 有効求人倍率が1倍を下回る地域があるなど、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に留意する必要があると考えております。
 それから、2番目についてですが、新型コロナワクチン接種について申し上げたいと思います。現在、10代から30代など、若い世代を中心に新型コロナウイルスの感染者が急増いたしております。
 一方で、若い世代の約8割の方々が2回目接種を終えておられますが、3回目の接種率は3割から5割台にとどまっています。
 このため、特に若い世代の3回目接種を推進するために、8月までを「ワクチン推進強化月間」といたしまして、多くの省庁から関係する業界団体等を通じて、国民の皆様へ接種の呼びかけを行っていただくよう、要請をさせていただくことになりました。  
 厚生労働省としましても、自治体に対しましては、若い世代の方が接種会場を訪れやすくするための取組や、企業・大学等との連携、職域接種、また、積極的な広報といった更なる取組を進めていただくようお願いをしているところでございます。
 また、厚生労働省の所管団体等に対しても、積極的な広報や会員企業への働きかけなどを依頼するとともに、労働基準監督署を通じて個別企業にも周知することとしたところであります。 新型コロナウイルスに感染した場合、若い方でも、重症化したり、長引く症状に苦しまれる方もいらっしゃいます。
 また、ワクチン接種は、ご自身のためだけでなくて、家族、友人、高齢者など、大切な方を守ることにもつながります。先々週(7月14日)に総理からもお願いしておりますが、できるだけ早い段階で3回目接種をご検討いただくようにお願いを申し上げます。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年7月29日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナウイルスの感染状況に関してお尋ねします。昨日、東京で過去最多の4万人超が確認されるなど全国では23万人強となり、感染拡大が続いております。これに伴って病床使用率も各地で上昇しており、ひっ迫の目安とされる50%以上となる地域も増えております。こうした状況を踏まえ、感染拡大を防いだり、医療逼迫を食い止めたりするための新たな対策の必要性について大臣はどのようにお考えでしょうか。ご見解をお願いいたします。
大臣:
感染状況ですが、今ご指摘もありましたが、全国の感染者数は昨日(28日)233,066人、1週間の移動平均では191,186人、1週間の移動平均の今週先週比は1.67となっておりまして、急速な感染者の増加が継続いたしております。
 また、病床使用率は、地域差が見られるものの総じて上昇傾向が続いておりまして、医療提供体制に大きな負荷が生じている地域もあると認識しております。
 対応でございますが、7月15日には、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部を開催いたしまして、現下の感染拡大への対応について、行動制限を行うのではなく社会経済活動をできる限り維持しながら、保健医療体制の確保に万全を期すとともに、医療への負荷に直結する重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置いて、取り組むことといたしております。
 また、先週22日には、感染が急拡大している状況を踏まえまして、社会経済活動をできる限り維持しながら、重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置いた、まさにそうした対策の追加をいたしました。
 発熱外来で配布した検査キットを用いた自己検査の結果をもとに健康観察につなげる体制の整備とか、濃厚接触者の待機期間の7日間から5日間への短縮、ワクチンの3回目接種、4回目接種の拡大の促進というようなことをお示ししたところであります。 
 加えて、同日ですが、都道府県に対しまして、「全体像」でお示しをした最大確保病床・ベッド数約5万のフル稼働や、重症患者をはじめ、入院治療が必要な患者が優先的に入院できる体制をとること、後方支援医療機関の確保・拡大等に取り組むことについて要請するとともに、早期退院の判断の目安を4日とすることについて、改めて周知徹底を図る等の措置を講じています。 
 これまでも、感染状況を踏まえた対策を講じてきておりますが、今後も感染状況が日々変化している中で、病床等の即応化や発熱外来自己検査体制の整備など、病床や発熱外来のひっ迫を回避するために必要な対応を更に行ってまいりたいと考えております。 
 国民の皆様には、これまでも申し上げてきたところでありますが、基本的感染防止策の徹底を心がけていただく、そのことをお願いしたいと思います。そのことが、社会経済活動を維持するためにも必要なことでありますし、今後とも国民の皆様には社会経済活動を維持する中において、できる限りの危険な行動を避けていただくようにお願いするところでございます。
記者:
検査キットのことでお伺いします。昨日の官房副長官の会見の中で、検査キットの配布場所に自治体の窓口を加えて、自治体からも要請できるようにするとの発言がありました。この運用はいつから開始して、始まった時点で、患者が欲しいと言えばどのくらい待てば手元に検査キットが届くのでしょうか。
大臣:
まず、発熱外来の混雑を緩和しつつ、有症状者が必要な健康観察を受けられるようにするために、病状が軽く、重症化リスクが低いと考えられる方に対しまして、抗原定性検査キットを送付し、発熱外来の受診に変えて、自ら検査した結果を持って簡易、迅速に健康観察を受けられる体制の整備を都道府県に要請したところでございます。     
 今般、国が、都道府県が迅速にこうした体制を構築できるように、国が抗原定性検査キットを一定数買い上げて、それを都道府県に配付することによりまして、受け入れ体制を整えた都道府県に7月27日から配送を開始しております。     
 また、配付する場所についてでありますが、これは発熱外来以外でも地域の実情に応じて検討できるように、例えばキットの配付センターからの郵送や薬局や公共施設の配布など、これについては地方自治体の置かれた状況に応じていろいろな方法をとっていただけるように、ここは自治体に幅広くお願いをしているところです。     
 そういった意味におきまして、この事業というのはいつでもできる体制が整えば始めていただけるように、ということでございます。一部、ご心配のあったキットにつきましては、27日から2県について配送を始めているというところでございます。
記者:
新型コロナの感染法上の扱いについてお伺いします。全国知事会議では、季節性のインフルエンザと同じ扱いに見直すことも含めて、これまでの対策を転換すべきだという意見が相次ぎました。また、14日に行われた政府の分科会でも「コロナを1つの疾病として位置づける検討を始める必要がある」といった提言がありました。今後、見直しに向けた検討を進めるお考えがあるかどうか、お聞かせ下さい。
大臣:
7月14日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会においては、専門家からも「コロナを1つの疾病として位置づける検討も始める必要がある」というご提言も受けました。また、知事会とは、先日(26日)私自身も意見交換をさせていただいておりますが、感染症法上の取り扱いについて検討すべきとのご要望をいただいております。
 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の見直しについて、現時点では、新型コロナウイルス感染症の致死率が季節性のインフルエンザより高く、特に高齢者においてはその差が顕著である認識であります。また、新型コロナウイルス感染症の感染力は極めて強く、インフルエンザより感染の規模が非常に大きくなる可能性がある状況だと考えます。
 感染の規模が非常に大きくなれば、医療がひっ迫しまして、新型コロナウイルス感染症に罹患して、医療が必要な方に適切に医療が提供できない恐れが出てくるわけであります。また、一般医療もひっ迫しまして、救急医療等にも影響がでることによりまして、国民全体にその影響が及ぶ恐れがあります。
 そのような状況も想定されるなか、現下の感染状況等を踏まえれば、新型コロナウイルス感染症等について、引き続き感染症法上の新型コロナウイルス感染症に位置づけて、医療がひっ迫するような状況になれば特措法に基づく強力な感染拡大防止対策をとれるようにしておくということは、今でも必要な状況なのではないかと考えております。
 この問題については、ただし、今後の感染状況やウイルスの性状等、より新しい、そしてより詳しい情報等が客観的に積み上がってくれば、専門家の意見を伺いながら、その扱いにおいては、柔軟に議論を続けていきたいと思っておりますが、現状においては、今の感染力の強い新型コロナのBA.5の状況等を考えれば、伝家の宝刀とも言うべき、いわゆる特措法上に基づく強力な措置の可能性を残しておくべきだと考えています。
 ちなみに申し上げておきますが、感染症法上の新型インフルエンザと、新感染症等はこの措置ができますが、1類から5類に分類されている感染症については、こうした特措法上の緊急の強力な感染拡大防止策はとれないというのが法律の建前であります。 
 その辺りのところは、法律の制度である以上、足下、それに従って運用するしかないと考えています。
記者:
濃厚接触者の待機期間の短縮についてお伺いします。医療機関では、医療従事者が濃厚接触者になったあとに復帰する際、待機期間を短縮されたことでウイルスを排出される可能性が残っているかもしれないのに、復帰して職場で広める恐れがないかという慎重な意見や戸惑いの声が聞かれます。この件に関して、大臣のお考えを教えて下さい。
大臣:
濃厚接触者の待機期間については、若干繰り返しになるかもしれませんが、7月22日に、感染拡大を防止しながら、社会経済活動を維持する観点から、感染状況や科学的知見等を踏まえて、7日間を経過するまでは、検温などご自身による健康状態の確認等を行っていただくことを前提として、原則5日間待機で6日目に解除、社会機能維持者の方に関わらず、2日にわたる検査を組み合わせることで、3日目に解除という取扱いに変更することといたしました。
 濃厚接触者の待機期間は、待機解除により感染が広がるリスクと、市中における陽性者の発生状況、待機の長期化などが社会経済活動に与える影響等を考慮して、合理的なものであることが重要です。
 今般の変更に当たっては、一定の仮定を置いたものではありますが、国立感染症研究所のデータを用いて計算した5日間の待機期間経過後の陽性化率は、大阪府からアドバイザリーボードに提出のあったオミクロン株の感染拡大期における無料検査等の、いわゆる市中の平均的な陽性率等と、同等であることを確認しております。
 また、米国において、ワクチン追加接種済みでない濃厚接触者の自己隔離期間として、5日間を推奨しているということも承知しているところで、こうしたことを根拠として、科学的知見の根拠に基づいて講じた措置であります。
 今回の待機期間の変更は、1月に待機期間の短縮を行った時よりも、新規感染者数の水準は高い水準が継続しており感染が急拡大している中で、感染拡大防止対策としてのあり方を検討すべきとの専門家からの提言のほか、ADB(アドバイザリーボード)における専門家等の意見を踏まえて、事務局においてとりまとめたものであり、公表する際に専門家の皆さんと共有しているところでございます。
 今、ご指摘いただいた点も含めまして、感染が拡大している中で、待機期間の変更による影響を最小限とするために、変更前と同様に、7日間を経過するまでは、検温などご自身による健康状態の確認等を行っていただくとともに、ハイリスク者との接触を避けるようにお願いをしているところであります。
記者:
最低賃金を巡る労使の協議が、遅れに遅れて決着がなかなか図れていないという実情があります。これについての大臣のご見解をお聞かせ下さい。
大臣:
令和4年度の最低賃金の改定でございますが、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮しながらしっかり議論をいただいているところでありまして25日に開催された第4回目の小委員会で取りまとまらなかったということは事実でございます。 
 どういう意見が出ているかということについては、現在審議が続いておりますから、控えさせていただきたいと思いますが、目安額のみならず、その根拠・理由についてもまだ労使で一致には至っていないと承知いたしております。
 今後のことでございますが、昨年度の審議会では採決となりまして、一致した結果を出すことができなかったというようなこともあり、今年は丁寧な議論が必要であるということ、それから、目安額の根拠・理由についても納得できる、そういうものが欲しいという強い意見が審議会等でも出ていること等も踏まえまして、目安額とその根拠・理由について公益委員が再度検討する時間が必要であることから、第4回目の翌日ではなく、更に時間を置いた議論をしているということは事実でございます。
 いずれにしても、政府全体で賃上げに取り組んでいる中で最低賃金の引き上げは重要であると考えておりますが、具体的な引き上げ額については引き続き中央最低賃金審議会において公労使の委員によりまして真摯な議論をお願いしたいと思っております。
記者:
コロナの一般医療への影響なのですが、解熱鎮痛剤のカロナールがメーカーの方で出荷調整をする方針ということが明らかにされているのですが、厚労省として今後の対応としては何かお考えはあるのでしょうか。
大臣:
新型コロナウイルス感染症の患者に解熱鎮痛を目的として処方される、今ご指摘のカロナールのようなアセトアミノフェン製剤につきまして、国内での急激な感染拡大が生じた結果、医療機関の需要が急増しまして、製薬企業からの供給が厳しく、医療現場で一部不足が生じていることは承知をいたしております。
 アセトアミノフェン製剤の供給につきましては、通常の量以上で継続供給をしているわけでありますが、もちろん今後増産をできる限りするとか、そういう努力はするわけでありますが、そうしたアセトアミノフェン製剤が小児など、この薬を必要とする患者に優先的に供給できるように、代替薬(イブプロフェン、ロキソプロフェン)の使用が可能な患者さんには、その使用を考慮していただくこと、また、過度な買い占め等を行わないようにすることにつきましては、本日付で医療機関・薬局に周知を行います。
 今後も感染状況や薬剤の需給状況を注視しつつ、適切な対応を行ってまいりたいと思います。
記者:
旧統一教会との接点について、閣僚の中に言及された方もいらっしゃり、政界との関連に関心が集まっております。政治との距離についてどうあるべきとお考えでしょうか。また、大臣自身、協会や関連団体のイベントや会合の出席、祝電、選挙の手伝いなどの接点があるのかないのか含めて改めてお聞かせ下さい。
大臣:
いろいろな団体と接触することは、政治家はもちろんあるわけですが、やはりどういう団体であるかということをしっかりと考えながら、政治家として付き合っていく必要があると、そのように思っております。    
 もちろん我々政治の場面というのは、おいでになった方がどういう方であるのかというのがわかりにくい場面もあることはあるわけですが、少なくともそういうことに注意しながらしっかりと政治活動していくことは必要であると、私自身は思っています。   
 それから私は、今ご指摘された団体の会合に行ったり呼ばれたり、そういったところで挨拶をしたり、また、選挙の応援をしていただいているという認識は全くありません。   
 少なくとも、会合に伺ったりは全くありませんし、それ以外についても、選挙のご協力を特別な形でしていただいているという認識はありません。

(了)