田村大臣会見概要

(令和3年8月20日(金)10:48 ~ 11:12 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
おはようございます。今日、私からまず冒頭1件ご報告であります。本日、来年の新型コロナウイルスワクチンの確保に向けた取組、これに関して来年分の現状の報告をさせていただきたいと思います。これまで、2022年初頭から、モデルナのワクチンを、追加で5000万回分の供給を受ける契約を既に締結しております。
 それから、これももうお話しておりますが、ノババックス社のワクチンについて1億5千万回分の供給を受けることを前提に協議、これはまだ承認されておりませんが、協議を進めているところです。これは今までに申し上げておりました。今日はこれに加えまして、来年初頭から、ファイザー社のワクチン、一部報道でも書かれておりますが、1億2千万回分の追加供給を受けることを前提に協議を進めているということであります。今後も、ワクチン(接種を)今進めておりますが、どのような形でワクチン接種というものが、毎年どういう形で進むのか進まないのかということも含めて、世界中でいろいろな調査・研究をやっている最中でありますから、そういう情報もこれはしっかりと集めながら、専門家の方々に評価をいただいて、ワクチン接種、来年に向かってどのような状況が必要になるかを踏まえながら、しっかりと協議を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年8月20日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナワクチンについて、3回目のブースター接種の必要性や、必要な場合の優先順位、費用、開始時期などについて現段階でのお考えをお聞かせください。なお、開始時期についてアメリカは2回接種完了後、8ヵ月という目安を示しています。日本も8ヵ月の基準になるでしょうか。
大臣:
様々な議論が世界中でありまして、アメリカは言われたとおり(2回接種完了後、)8ヵ月で全国民というような、そういうような報道が流れておりますが、一方で、WHOはWHOでまだそこまで十分に検証されていないのではないかというようなご意見もあります。
 我が国といたしましては、基本的には世界でワクチン接種が先行している国が多くありますから、そういうところのデータ等を収集・分析をさせていただきながら専門家の皆様の評価をいただいて、3回目にブースターという形なのか、それとも2回接種が必要なのか、そういうことを早急に検討して結果を得てまいりたいと思います。
 いろいろな可能性がある中においての今、ワクチン確保に向かっての協議であるとご理解をいただければありがたいと。それはどういうことかというと、交差というような、交差接種と言われているところもありますし、場合によってはそうでなくて、同じワクチンでなければダメなのかも分かりませんし、更に言うと、ブースターだけでなく2回打たなければならないのかも分かりませんし、いろいろなことが想定されます。どのワクチンをどのような形で新たな変異ウイルスに対して対応していくか、こういうこともあるわけでありますので、そういう意味ではいろいろな可能性を想定しながら、ワクチンの供給というものをしっかりと検討・協議をしていかなければならないと思います。
記者:
今に関連してなのですけれども、今回のファイザーの追加を前提にというのは3回目のブースターを念頭に、確保するということではないのでしょうか。
大臣:
今申し上げましたけれども、様々な想定をしなければならないので、今決め打ちでどうだという話ではありません。世界のいろいろな研究等の結果を我が国で分析しながら最終的には判断していくと。あまり時間をかけているわけにはいきませんので、早急に方向性を示していかなければならないと思いますけれども、決して、3回目のブースター(を行うこと)を狙い撃ちということでファイザーと協議しているわけではなくて、いろいろなことを想定しながら協議させていいただいておるということであります。
記者:
話変わりまして病床確保について伺いたいのですけれども、今朝も一部報道で、病床確保のために補助金をもらいながら患者の受け入れが進んでいない病院の存在が指摘されていて、政府が確保病床の活用実態を調査するとされているのですけれども、この事実関係についてお聞かせいただきたいのと、中には医療従事者の確保が追いつかないという事情があるところもあると思うのですけれども、こうした手当についてはどのように対応していくお考えがございますでしょうか。
大臣:
東京でそういう話がよく聞かれるわけでありますけれども、実際は都の方で調査されるという報道が、今日一部で流れておりますけれども、都と我々も協力しながら、どういう状況であるのかというのをしっかりと把握した上で対応してまいりたいと思います。
 今言われたとおり、ただ単に受け入れないというだけではなくて、そもそも(患者が)入っているということもあり得るわけですよね。つまり、他の疾病の患者がおられるわけで、そういう対応を考えると、人員的にすぐには対応できないということもあり得るかもわかりません。しっかりと調査してみないことにはわかりませんので、都の方でそのようなことをされるというお話をお聞きいたしておりますから、協力をしながら実態を把握した上で、何としてもコロナの病床を増やしていかなければいけませんので、協力しながら我々も対応をしていきたいと思っています。
記者:
全国でそういう調査を行っていくということになるのですか。
大臣:
そういうようなお声があれば、その都道府県としっかりと協議しながら、うちは受け入れてもらえないというお話があれば、我が方としてもそのために補助金を出しているので、もしそうでなければ補助金は本来支払われないという話でありますから、そういうようなことは都道府県にお聞きしてまいりたいと思っております。
記者:
総理が先日の会見で、コロナ病床確保の法整備を検討すると発言しました。現行の感染症法、特措法についての現状維持、課題や限界などについてご見解をお聞かせ下さい。それから、法整備の議論が始まると、私権制限ですとか、病院の経営の自由等も課題になると思うのですが、どういった論点が想定されるかについても、お考えをお願いいたします。
大臣:
法整備をどのような形で、というのは、これからいろいろと検討しなければならないのだと思いますが、ただ実態として、今も言いましたけれども、人が足りないということになれば、いくら受けて下さいと言っても無理な話で、病床はないわけではないですが、病床に入っていただいても診る方がいなければ、それは自宅にいるのと変わりないというか、自宅にいるよりも不便になってくるのだと思うのです。ですから、そういう意味からすると、対応できるような体制というものをどう整備するのかというのが大事だと思います。
 あわせて、コロナを受け入れていない病院においては、中小の病院が多いわけで、導線上どうするのだと、つまり、感染管理をやらないといけないので、よくこれ、2類から5類に下げれば病床の問題が解決すると、簡単におっしゃる方がおられるのですが、要するに、混在してそこにコロナ患者と他の基礎疾患を持っている方々が入院されれば、何が起こるかというと感染が拡がるわけで、ある意味、病院自体がコロナの集団感染に繋がっていくわけですよね。
 そういう意味からすると、どう感染管理をするのかというのが一番重要、これはコロナというのは、特にデルタ株というのは非常に感染力が強いので、そういう意味からすると、よく2類から5類に変えればみたいな話がありますが、そう簡単ではない。
 ということは、逆に言うと中小病院でもしっかりと感染管理ができる、もしくは(感染管理を)する能力のある方々がおられればいいのでしょうけれども、なかなか大きな病院と比べると難しいというのがあります。
 となれば、ある意味、一般の医療とコロナと同じ医療機関で両立していただけるという体制をしっかり組んでいただいている所でなければなかなかコロナは対応いただけないということは、我々も十分理解をいたしておりますので、そういうことも踏まえながら、それでもどういう体制でコロナの病床を増やしていくかということが非常に重要なので、そういうことを踏まえた上で法律を改正するのであればどういう様なことをどうしていくのかということは、しっかりと検討していかなければならないと思います。いずれにいたしましても、そう簡単なことではないということは、我々もしっかりと認識いたしております。
記者:
昨日、千葉の方で会見があったのですけれども、千葉県内でコロナに感染した妊  婦の搬送先が見つからず、新生児が死亡してしまった事例がありました。これを受けて、厚労省として今後どのような対策をとっていくのか、考えがあればお聞かせ下さい。
大臣:
今までも各都道府県には通知をお出しさせていただいて、妊産婦でコロナにかかられた方の出産、この体制をしっかり確保いただきたいということは、お願いをしてきております。ただ、今回このような痛ましいことが起こったということ、これは本当に、我々としても心の痛むことであります。
 こういうことが起こったということは、我々が通知を出させていただいても十分にその体制が組めていなかったということでございますので、特に今回の場合は早産、非常に早期の出産だったということで、緊急の出産ということもあるようでございますので、それでも対応できるような、そういう周産期医療、そこでコロナの対応もしなければならないということでありますから、そういうものをしっかりと確保していただくべく、各都道府県に再度いろいろとお願いをさせていただく中で体制整備をしていただくように努めてまいりたいと思っております。
記者:
要請というのは、速やかにとか、いつまでに出すとか決まっているのでしょうか。
大臣:
もう要請は今までも出しておりますので、更に確認をさせていただいて、今回のようなことがございますので、たぶん全国の都道府県も、このような痛ましいことが起こっておりますので既に十分にご注視いただいて、自分の県では大丈夫かというようなことは確認されているものだと思いますけれども、厚生労働省の方からも、このようなことが起こらないようにしっかり対応いただきたいということはお願いをさせていただきたいと思います。
記者:
従業員へのワクチン接種の推奨についてお伺いします。海外で従業員のワクチン接種を義務としている会社が結構あるのですが、国内でも原則従業員のワクチン接種をするという方針を打ち出している企業が出てきました。このことについて、厚労大臣としてご所見や懸念されることがあれば、教えて下さい。
大臣:
ワクチンは、基本的にご自身の発症予防・重症化をある程度防いでいくというようなそういう効果を期待して、ワクチン接種を努力義務という形で、国民の皆様方に、国としても勧奨させていただいているわけです。そういう意味からすると、最終的にはご自身のご判断ですが、そこはよく、ご本人がご判断いただく中において、自分がコロナに感染してワクチンを打っていない場合にどういうようなことが自分の体に起こり得るのか、それからやはりそれによって家族に対してとか、いろいろな影響があり得るので、そういうこともご判断いただきながら打っていただきたいということであります。
 一方で、会社の方でそういうようなことを推奨されるというのは、打てない方もいらっしゃいますし、いろいろなお考えの方もおられますので、そういうことに十分に配慮いただきながら会社でのいろいろな推奨というものはお願いしたいと思っております。
 ちなみに、ワクチンを打ったからといって感染しないということではありませんし、特にデルタ株の場合は、ワクチンを打ってもブレイクスルー感染が多いのではないか、これもまだわかりませんが、そういう話もあります。ましてや、仮に発症していなくても感染した場合に、ワクチンを打っていると人にうつさないかというのは、これはまた別の話でありまして、特にデルタ株になってからはいろいろな研究がありますので、まだ我々も十分に確定しておりませんけれども、決してワクチン打ったからといって安心だというわけではないので、人にうつす可能性もございますから、ワクチンを打ってもしっかりと予防の行動というか活動をしていただきたいと思います。
記者:
国立病院機構とJCHOに関して、法に基づいてコロナ病床の確保を要請するというお考えはありますか。
大臣:
法律に基づいてですか。
記者:
法律に基づいてです。
大臣:
法律というのは何の法律ですか。医療法、感染症法ですか。
記者:
国立病院機構法とJCHO法です。規定があるわけです。どちらも21条です。公衆衛生上、重大な危害が生じていることが確認したら、必要な措置を要請できるということです。
大臣:
法律に則ってというよりかは、今ももうお願いはしておりまして、病床を確保していただいております。
 これはその都度増やしていただきたいとお願いをしてきておりますので、そういう意味では、それぞれの法律、設置法を基に要請するというようなことをするよりも、今、もう既に要請をさせていただいており、より最大限の病床を確保いただきたいということでございます。
 なお、先ほどから申し上げておりますとおり、無理矢理「この病院を何百床空けろ」と言っても、そこには患者が入っておられますので、その方の転院をどうするのだという問題がございますから、言うのは言えますが、実態ができないことを言っても仕方ないので、そういうこともしっかり認識しながら、他の医療を受けている方々に極力、全く迷惑をかからないとは言えないわけですが、極力迷惑がかからない中において最大限病床を確保してまいりたいと思っております。そういうご依頼をさせていただいております。
記者:
そういう意味では、専用の病院を作るということも、国立病院なりJCHOなら、やろうと思えばできるわけですし、他の患者さんを別の病院に移すなりして、それで集中的にやるというのは可能ではないでしょうか。
大臣:
他の患者さんを他の病院に移すというのは、他の医療機関でも同じ話ですよね。ですから、それができるかできないかということをまず考えなければならないというのが一つ。それから、その覚悟を持ってその医療機関は、その医療人材、働いている方々ですよね。そういう方々、覚悟を持ってそれに対応いただかなければならないということもあります。
 そういうことを全体的に踏まえながら、そのようなことがあるのかどうなのかということは、常に我々も、想定と言いますか考えながらいろいろなお願いをさせていただいておりますので、全く考えていないわけではありませんが、いろいろな問題点がある中で、それができるのかできないのかということも踏まえながら、常に検討しているということであります。
記者:
感染症に関する診療報酬上の特例措置についてお伺いします。9月末までの明示的な対応としては、感染症対策実施加算等ができるようになっていきます。10月 以降の対応について、中医協での全省的な議論なのですけれども、10月以降の継続 等の在り方について、現在の感染ですとか医療機関の状況を踏まえた大臣ご自身の ご見解と、9月も迫っておりますので、今後のスケジュール感について教えて下さい。
大臣:
必要なものは必要という形で我々としても要求はしていかなければならないと思っております。いずれにいたしましても、財務当局とのいろいろな交渉もございますので、私の言葉で申し上げられるとすれば、しっかりとコロナの対応、医療において、それが滞ることがないように国としてもいろいろな、診療報酬も含めて、対応していかなければならないと思っておりますので、財務当局としっかりと話し合いを進めてまいりたいと思っております。     
記者:
冒頭のファイザーの追加供給についての確認なのですけれども、ノババックスと1億5000万回分を前提に協議していますけれども、それと同じ、似たような状況の協議に入ったということでよろしいでしょうか。
大臣:
ノババックスはまだ承認されておりませんので、そういう意味では承認されるだろうということを前提に、我々としては協議をさせていただいております。一方でファイザーはもう承認されていて、多くの国民の皆様方が打っていただいている状況でございますので、そういうような事実関係を踏まえた上で協議をしているということでございます。
記者:
追加なのですけれども、1億2000万回分という数量というのは、河野大臣がこれについて必要な数量とした、と言及しておられますけれども、必要な数量というのは。
大臣:
ワクチンに関しては、ファイザーだけではなくて先ほどから申し上げているとおり、モデルナのワクチン5000万回分、それからノババックス、という形でこれから更に増えるのかどうかというのは、これからまだ我々も何も検討しておりませんが、どういう状況になるのかわからないのですよね。コロナウイルスというのはどんどん変異していくウイルスでございますので、どのような状況でも対応できるようにするためには、いろいろな可能性を念頭に置きながら、やはりワクチンの供給を交渉していかなければならないわけでありまして、その一環だとご理解していただければありがたいと思います。     
記者:
感染防止対策とデルタ株について伺います。中国では、ファクターXを突破したデルタ株による感染症を検査の拡充と隔離の徹底により収束に導きました。中国の人口は約14億人ですが、8月18日の新規感染者数は全土で28人。100万人あたり0.02人になります。
 同様に、日本の8月18日の新規感染者数は2万3,917人と過去最多で世界ワースト8位となっています。100万人あたりに換算すると190人となり、中国との差は歴然です。中国がとった手法は特別なものではなく、たとえどんな変異株が発生したとしても対応可能です。これが正解なのではないでしょうか。もう答えはでているのではないでしょうか。つまり、検査の拡充と隔離の徹底です。
 政府が現行の方針を変更しないのであれば、これは大げさな話ではなく、我々国民は政府に殺される可能性があることを意味します。我々国民の命がかかっています。秋の総選挙で、国民は自分たちの命を守ってくれる政党に投票するでしょう。方針の転換をするおつもりがあるかないか、明確にお答えをお願いいたします。よろしくお願いします。
大臣:
それは強制的に全国民に対して検査をさせろということですか。そういうことは、日本では法律上、憲法上、できないという形になっています。中国は体制が違っております。欧米を見ても、強制的に検査をしているところはないと私は思っております。全国民を、罰則も含めてかどうかはわかりませんが、強制的に検査するということは、自由主義体制ではなかなか難しいと思います。体制が違う国なので、私からはコメントのしようがないわけであります。
 いずれにしましても、このデルタ株というのは、何度も申し上げておりますが、今までと状況は変わってきているということは皆さんご理解されていると思います。基本再生産数が8とか9とかいうのが本当だとすれば、インフルエンザよりもはるかに感染力が強い。そういうようなウイルスであります。ということは、活動を、ある程度広く動き出せば、当然、感染がまた拡がるウイルスであります。
 我々、実は一昨日のアドバイザリーボードでも、一定程度、行動を制約しても、ウイルスは急激に減ることはないというデータも見させていただきました。ということは、今の感染者が急激に減るということはなかなか難しいと思います。
 そう考えたときに、やはり病床をどう確保するかというときに、臨時の医療施設、これを全国的に、必要な自治体では確保していただくということも検討をいただかなければならない。つまり、重症者の方はなかなか難しいのですが、中等症Ⅱの方ですかね。酸素吸引が必要な方々の対応をしっかりとできるような、そういうような臨時の医療施設というものを確保していくというのは非常に重要だと思っています。
 各自治体、都道府県に国の方からもそういう旨の通知とかをさせていただく中において、今もやり出していただいている自治体もあるのですが、しっかりと感染者が、また季節性の部分もありますから、仮に今回収まっていったとしても、冬場になるとどうしても換気が滞ってまいりますから感染する可能性もあるわけで、またウイルスの変異の可能性もあります。
 ですから、そのような場合も踏まえた上で、しっかりと中等症、呼吸が非常に苦しくなられた患者の方々に対応できるような体制というものを早急に整えていただくということが重要だと思いますので、そういうことを国の方から各都道府県に、国も協力させていただきながら、体制整備に向かって協力いただいてまいりたいと思います。

(了)