加藤大臣会見概要

H29.10.20(金)10:35 ~ 10:44 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭申し上げることは特にございません。

質疑

記者:
遺族年金の過払いや訪問介護の利用回数を巡って、会計検査院が厚労省に是正を求めるという報道が相次いでいますが、特に年金では9月に振替加算の大規模な支給漏れが発覚したばかりです。大臣の受け止めと今後の対応について、お聞かせ下さい。
大臣:
まず、遺族年金の過払いについてですが、再婚などをした場合には受給者本人からの届出により失権するという仕組みになっておりますけれども、こうした届出がなされずに、また確認が行われず、遺族年金が過払いになったという事例があることは承知しております。厚労省としても本年9月に日本年金機構に受給者原簿上の氏名と住基台帳上の氏名を突合して、変更があった場合には遺族年金の失権届又は、新設する氏名変更理由届の提出を勧奨すること、そうした届出の提出がない場合には、戸籍の公用請求を行い、失権事由に該当している場合には職権で失権処理をするなどの対応を指示したところであります。さらに、今回のこうしたご指摘も踏まえながら、必要な対応をしていきたいと思います。それから、介護の件については制度の問題になりますが、集合住宅の入居者が利用する訪問介護において、移動等の労力が軽減されることを踏まえて介護報酬の単位数が減算されるという制度があります。その結果、一般の住宅に住んでいる方と比べて結果的に報酬が少なくて済みますから、支給限度額の範囲で利用できる訪問介護の回数が増えるということであります。同じサービスを受けるのに、どこに住んでいるかによって結果的に介護保険の中で受け得る回数に差異があるということがないように、そうした措置を求める指摘がありました。平成30年度介護報酬改定の時期でありますから、今回の会計検査院の指摘も重く受け止めて、社会保障審議会介護給付費分科会において議論をしていただいて、必要な対応を検討していきたいと思います。
記者:
昨日の部会で、宇和島徳洲会病院の修復腎移植が先進医療として条件付きで承認されました。修復腎移植を巡っては、賛否両論あるものですが、将来的に一般的な適用に見切りをつけたと言えると思いますが、それについての受け止めをお願いします。
大臣:
昨日の先進医療技術専門部会において、東京西徳洲会病院から先進医療の申請、この修復腎移植術について申請が行われておりまして、これについてドナー・レシピエントとなる患者の選択の透明性をより高めるなどの指摘事項に適切に対応すれば適とする、「条件付き適」と評価されたと聞いております。本件は、技術的・倫理的な課題についてドナーの範囲の限定、第三者委員会の設置による客観性の確保、有効性の評価方法の見直しなどが適切に修正されたことを踏まえて、このような評価が受けられたものと承知をしております。まだ現段階で中途段階ですから、これから先進医療会議において審議が行われるということですけれども、この修復腎移植術の先進医療としての適否については、今回は条件が付されていますから、この条件が適切に行われたことを確認したうえで、先進医療会議において審議が行われていくという流れになると思います。厚生労働省としても、先進医療が客観性や透明性の担保された実施体制の下で適切に提供されるよう努力をしていきたいと思います。
記者:
昨日、熊本県の化血研(一般財団法人化学及血清療法研究所)の事業譲渡のスキームに関する報道があり、実際に化血研内で開かれた評議委員会においても複数の事業譲渡のスキームが検討されたと伝わっております。大臣として、現在の化血研問題の進捗状況であるとか、いつまでに事業譲渡の道筋をつけなければならないといった今後の見通しについてご所感をお願いします。
大臣:
いわゆる化血研については、長年にわたって承認書と異なる方法での製造、また規制当局に隠蔽するために虚偽の製造記録の作成といったことが明らかになり、平成28年1月に110日間の業務停止命令が発出されたわけであります。また、事案の発覚当初から化血研としての事業継続を前提としない体制の抜本的見直しについて、私どもとしては要請をしてきたわけです。医薬品の品質保証の強化、安定供給は非常に重要であります。化血研に関しては、これらを実現するために、強固なガバナンス体制や厳正なコンプライアンス体制の構築が必要であるとこれまでも申し上げております。化血研では、本年5月に理事長が交代して新体制で臨んでいるわけでありますが、事業譲渡については化血研が複数の提案を受けていることは承知をしておりますし、現段階で譲渡先の決定には至っていないと聞いております。この事業譲渡を含めて、組織体制の抜本的見直しに向けて化血研の改革がしっかり進んでいくということを私どもとしては確認していきたいと思います。ご指摘のように、いつまでに何をしろということを言う立場には私たちはありません。
記者:
介護報酬改定の話がありましたが、介護事業経営実態調査の関係で例年であれば9月下旬、または10月上旬に公表されるものが、今回は選挙で公表が延期になっている話がありますけれども、それについてお考えをお伺いします。
大臣:
そのような報道を流しておられる所があるということは承知しておりますけれども、今回の経営実態調査は元々、各サービス施設・事業所の経営状況を把握して介護報酬の改定に必要な基礎資を得るために行われる調査であります。平成30年度報酬改定の基礎資料となる今年度の調査については、現在、事務的に精査をされているということであります。私のところにもまだ上がってきている状況ではございません。いずれにしても、今回は調査対象期間がこれまで1か月分であったものが1年分にしているということがありまして、よく精査をして、これから介護報酬改定を決めるための大変大事な資料でありますから、正確を期して事務当局で作業を進めているということであります。公表時期でありますけれども、かつては11月下旬や10月下旬などといった時期であったこともあると承知しております。
記者:
化血研の話に戻りますが、先ほどおっしゃった複数案の中には明治グループや地元の企業連合などによる受け皿会社を事業譲渡先として設立する構想も入ってくるかと思います。具体的にこの件についてはどのように事実関係を把握されているのかということと、この構想自体は先ほどおっしゃられたような省の方針に合致するようなものかどうか、そのあたりのお考えも併せてお願いします。
大臣:
どこからどのように提案がなされるかということは、私たちが申し上げるものではないだろうと思います。もちろん私どもは間接的には承知しておりますけれども、それは化血研からお聞きいただいた方が良いかと思います。その上で、今後の議論については先ほど申し上げたように、強固なガバナンス体制、あるいは厳正なコンプライアンス体制の構築が必要であり、他方で医薬品の品質保証が強化され安定供給も行われるよう私たちから要請しているわけであります。それらを踏まえながら、化血研において、また評議員会で広く議論されていると承知しておりますけれども、そのようなところにおいて譲渡先についてご議論されていくものだと承知しております。

(了)