加藤大臣会見概要

H29.9.1(金)10:44 ~ 10:55 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から「待機児童の解消に向けた取組の状況」について申し上げたいと思います。本日、平成29年4月時点の待機児童の解消に向けた取組の状況を公表させていただきました。待機児童対策については安倍政権の最重要課題の一つとして取り組んでまいりましたが、現在も保育所等に入れない子どもさんがおり、子どもさんを保育所に預けることが出来ない親御さんがおられるということであります。この事実を真摯に受け止め、引き続き、待機児童解消に向けた取組を全力で推進をしていきたいと思っております。まず、保育の受け皿拡大の状況でありますが、平成25年4月に策定いたしました「待機児童解消加速化プラン」による平成29年度末までの5年間の保育の受け皿の拡大量は、昨年9月に公表した数である48.3万人分から約4万人分上回り、約52.3万人となっております。この上積みにより、「子育て安心プラン」に基づく受け皿整備の前倒し実施を図ってまいります。また、先日、松山少子化担当大臣から、企業主導型保育事業による拡大量を約5万人から約7万人分に上積みする旨が報告されましたが、これを合わせると、5年間で約59.3万人分が拡大できるということに繋がります。女性の就業率は年々上昇し、それに伴い保育の申込者数も年々増加をしております。平成29年4月時点の申込者数は約265万人となり、昨年度から9.1万人増加をしております。一方、昨年度は企業主導型保育事業を合わせて11.3万人分の受け皿拡大となっております。保育を利用している方の割合も年々上昇しており、特に1、2歳児については、昨年の42パーセントから1年間で46パーセントに上昇しております。このように保育を利用している方は着実に増加していますが、一方で、平成29年4月時点の待機児童数は2万6,081人となっております。待機児童については、全国の1,741市区町村のうち、約8割の1,321市区町村でゼロになっております。待機児童の72パーセントは都市部で占められるということであります。保育の実施主体である市区町村では、それぞれ工夫をされながら保育の受け皿整備に取り組んでおられます。昨年度より待機児童数が減少している市区町村もあります。厚生労働省としては、こうした市区町村における待機児童解消に向けた取組を更に推進していくため、市区町村ごと、更には市区町村内の「保育提供区域」ごとの保育ニーズと受け皿整備の見込みと実績をホームページ等で「見える化」するとともに、6月に公表いたしました「子育て安心プラン」に盛り込まれた「6つの支援パッケージ」の実現に向けて、今年度における自治体の取組の支援や平成30年度概算要求など、待機児童の解消を強力に推進していきたいと考えております。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
私から二問お伺いいたします。まず一問目ですが、待機児童のお話がありましたけれども、改めて待機児童数が3年連続で増加したということについての受け止めと、「子育て安心プラン」で待機児童の解消を2020年度末まで先送りとなりますけれども解消の実現に向けたお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
先ほど申し上げましたけれども、3年連続で増加しているということであります。この間、受け皿整備について我々も予算、あるいは新たな企業主導型という制度を盛り込み、また実施主体であります市区町村においても、様々な工夫をしながら取り組んでこられ、実際の利用者数、あるいは利用申込者数はこれまで以上のスピードで増加しているわけでありますが、やはり残念ながら入れないお子さんがいらっしゃる、あるいは子どもさんを預けることのできない保護者の方がおり、その事実ということを我々は真摯に受け止めて、一日も早い解消に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。2020年度、平成32年度までには解消しようということで、またその予算を30年度、31年度に確保するということで、「子育て安心プラン」というものを掲示させていただいたところでございます。それに向かって、今、平成30年度の予算要求をさせていただき、それから「子育て安心プラン」に盛り込まれた「6つの支援パッケージ」の実現をしっかり図っていきたいと思っておりますし、また市区町村でも積極的に取り組んでいただいておりますので、市区町村ともよく連携をとりながら、一日も早く待機児童が解消出来るように厚生労働省としても努力していきたいと思います。
記者:
二点目ですが、先日の労働政策審議会の分科会で、残業規制の強化と高度プロフェッショナル制度の創設を労基法の改正案に一本化して盛り込む方針が示されました。経営者側から賛成意見が出た一方で、労働者側からは反対の意見も出ておりましたけれども、受け止めをお願いいたします。
大臣:
8月30日の労働政策審議会の労働条件分科会で、「時間外労働の上限規制」などの新たな労基法改正と、「高度プロフェッショナル制度」の創設などからなる、現在国会に提出させていただいています労基法の改正案、更には同一労働同一賃金に関して一つの法案として策定するという基本的な考え方を事務局から申し上げたと承知しております。それについて、労働側委員からは「高度プロフェッショナル制度」の創設、あるいは「企画業務型裁量労働制」の対象の拡大に対しては反対の立場からいろいろ御意見をいただきました。また、使用者側からは使用側の立場から御意見があったと承知をしております。9月4日も第2回目の分科会が開催されることになっておりますので、具体的な内容について更に議論が深まることを期待しているところであります。
記者:
待機児童に関してお尋ねいたします。大臣は子育て安心プランの6つ支援パッケージの推進していくことをおっしゃっておりましたけれども、特に大きい柱となるものは受け皿の拡大と保育士の確保ということになってくると思いますが、パッケージになっているわけで、6つの中で特にこれを重点的に上げていくということでお考えになっていることがありましたらお聞かせ下さい。
大臣:
6つのパッケージを提出させていただく中で、それぞれ地域によっても状況が違ってますから、その地域に応じてパッケージに沿って進めていかれ、我々もパッケージを中身に沿って支援していくということでありまして、どれがということにはならないのですが、ただ受け皿を確保していくということが基本でありますから、そのような意味では受け皿の拡大を図っていき、当然それによって保育人材が必要であるということはこれまでも指摘されていたわけでありますから、そうしたことは大きな柱であることは間違いないと思います。
記者:
労働基準法の改正案の関連でお伺いします。今後の閣議決定や法案提出のスケジュールについて、今月の閣議決定を目指されるのかなど、どのようにお考えでしょうか。
大臣:
いずれにしても、労働政策、あるいは法案に関しては労働政策審議会を経てということでありますから、今、労働政策審議会で時間外労働の上限規制や、また同一労働同一賃金について御議論いただいているわけであります。そうした審議会での議論の結果を踏まえて、これで結論が出ればそれに従って出来るだけ早期に国会に法案を提出すべく努力をしていきたいと思っております。
記者:
健康保険証についてお伺いします。性同一性障害の方の健康保険証について、氏名の欄に戸籍名ではなく通称名を記載することを認める通知を出されたと思いますが、その意義についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これまで、国民健康保険では、運用上、性同一性障害の方の被保険者証の表記について、被保険者やその御家族から通称名の記載を希望する旨の申し出があり、保険者がやむ得ないと判断した場合には通称名の記載を認めていたところであります。他方で、他にもいろいろ制度がありますけれども、その取扱いを必ずしも明示してこなかったということでありますので、国民健康保険に加えまして健康保険、後期高齢者医療制度など統一的な対応として、今のお話したことをお示しをさせていただきました。保険者がやむを得ないと判断した場合には戸籍名を裏面に記載するなどした上で通称名の記載を認めるという旨の通知であります。性同一性障害を有する方については、これまで性別の表記についていろいろ配慮するなど対応したわけであります。それぞれ当然そうした事情もございますし、そうしたニーズもあります。従いまして、本来のその制度の運用ということの中で、出来る限りの対応していくということが必要であると思いますし、今回の通知についても保険者において適切に対応していただくよう更に周知を図っていきたいと思っております。

(了)