塩崎大臣会見概要

H29.8.1(火)11:01 ~ 11:22 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方からは2点御報告申し上げます。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の経営委員の任命予定者を公表いたします。GPIFのガバナンス改革は、10月1日に施行になります。新設をされます合議制の経営委員会について、本日任命予定の委員9名を決定をいたしましたので御報告申し上げます。御案内のとおり経営委員会は、GPIFの理事長が加わって10名で成り立っているわけでございます。新しいガバナンスの仕組みでありますが、今までに無い合議制、今まで独任制でひとりですべての責任を負うという約140兆の年金資金を預かるガバナンスとしては、世界的に特異な構造でありましたけれども、おかげさまで法律が通って今年10月から新しいガバナンスの体制の下で執行部を監督するという経営委員会が合議制ででき上がるということでございます。具体的なお名前はお配りをしている資料のとおりでありまして、経営委員長としては元日本銀行理事で、メットライフ生命保険取締役副会長の平野英治氏にお願いをいたします。それからGPIF改革につきまして、法人とともに10月1日の施行に向けて、しっかりとした準備を進めてまいりたいと考えています。2つ目は、厚生労働省に法務チームの設置をすることでございます。本日8月1日付けで法務省から検事を2名お迎えをしまして、大臣官房総務課の訟務官1名と合わせて法務チームを設置いたしました。9月1日からはさらに、訟務官1名を追加する予定でありますが、この訟務官という言葉自体はあまりふさわしくないと思っています。なぜかというと、訴訟に至らないようにすることが何よりも大事であって、行政の安定性にとっても、国民生活の安定性にとっても、訴訟で争うということがないようにしていくことが大事であって、そういうために法曹人を使っていこうということでございますので、例えば労働基準行政や医薬行政をはじめとして厚生労働省における法曹資格者の必要性というのは、私は以前から申し上げてまいりました。他の役所では、金融庁では30人くらい法曹資格を持った方がおられたり、外務省もかなり条約などに関して、法曹資格有資格者に活躍していただいているわけでありますが、我が省は3人のみで検事はゼロということでございます。今回こうして検事2人をお迎えすると、この法務チームは法的な助言、そしてやむなく訴訟に至った場合は当然訴訟支援をしていただきますけれども、むしろ各部局における法律案などの企画立案段階から参画をしていただいて、できる限り訴訟の無い日本社会にしていくために活躍をしてもらいたいと思いますし、法律としても有効性を持った法律を作るという時にも貢献をしてもらいたいという願いを持ちながら、まずはこのようなかたちで2人の検事に入っていただいた法務チームを設置するということになりました。今後さらに増やしていくことを考えておりますので、引き続き努力してまいりたい思います。

質疑

記者:
昨日、社会的養育の検討会で就学前の子どもの受け皿として里親委託率を75パーセント以上とすることなどを盛り込んだ目標を示されました。この目標に対する大臣の評価や今後の取組等を教えて下さい。
大臣:
御指摘の新たな社会的養育の在り方に関する検討会は、昨年の全会一致で成立いたしました児童福祉法の改正を受けまして、三つのワーキンググループに加えてこの新たな社会的養育の在り方に関する検討会という全体を、特にこれまで課題と将来像と呼ばれておりました三分の一、三分の一、三分の一と良く言われる、そのような将来の社会的養護の在り方についてのビジョンがありましたが、それは全面的に見直すということを言ってまいりました。それは法律に則って見直すということでありますが、言ってみればアンブレラの検討会であるこの新たな社会的養育の在り方に関する検討会、座長は国立成育医療研究センターの奥山先生でございますけれども、これまで1去年の7月から15回開催してきておりますが、昨日はオープンな形で取りまとめの案をお示しをしたということでございます。平成28年の児童福祉法改正によって、子どもが権利の主体であるということを明確にしながら、施設ではなくて家庭養育をするということを優先するということが規定をされました。そのことを受けまして、社会的養育の新たなビジョンを策定するために15回にわたって議論していただいてまいりました。昨日示された案では、乳幼児の施設への新規措置入所の原則停止、それから特別養子縁組の推進、これはおおむね5年以内に現在500名余りでございますが、これを倍増するということで約1,000名にしていこうということと、それから里親委託の推進ということで乳幼児はおおむね5年以内に75パーセントに引き上げ、さらにそれ以外の就学前の子どもたちはおおむね7年以内に75パーセントに引き上げまして、この就学前につきましてはドイツでは施設には入れないということで運用してきているということでありますし、イギリスは小学6年生まで施設には入れないという運用をしておりますが、私どもとしましては学童以降は、おおむね10年以内に50パーセントをとりあえずの目標として実現しようということなど具体的な数値目標と工程を設定していただいておりまして、国の社会的養育が生まれ変わるための大変重要な新たなビジョンをお示しいただいたと思っております。全会一致で成立した改正児童福祉法でございますから、その理念を実現するためにも、成立してから1年以上経って、完全施行になっても4月から7月まで4ヶ月経っているわけでありますので、新たなビジョンと工程をできるだけ早く取りまとめていただきたいと思っております。
記者:
無痛分娩についてお伺いします。今年の春以降、死亡事例を含む無痛分娩に関する事故が報告されましたが、再発防止を求める声もあがっております。この事案につきまして、どのように分析され、これから対応されますでしょうか。
大臣:
無痛分娩に関して実施した際の死亡事案が相次いで報道されております。そのようなことと受けまして、まずは私どもとしてもお亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、御遺族の皆様方には心から哀悼の意を表したいと思います。産婦人科医会が当然調査するということになっていますが、私ども厚生労働省としても、厚生労働科学研究班をできれば8月中に開催をしようと思い、第1回の研究班会議の準備をしております。安全管理体制の構築について、厚生労働省としても検討して、安全・安心な分娩に臨んでいただけるように私どもとしては最大限の努力をしてまいりたいと思います。
記者:
GPIFの人事につきまして、委員長に平野氏を任命した狙い、または理由をお聞かせ下さい。
大臣:
平野氏は私も個人的にも知っておりますが、これまで日銀の理事として国際的にも活躍されまして、あらゆる面での金融関係、特に資産運用も含めまして非常に練達の士だと思います。トヨタファイナンスにもおられましたが、そういった面で幅広く官や民あるいは中央銀行といった所のことについて詳しい方に是非、今回は特に執行部を監督するという経営委員会を合議制でやっていこうということでございますので、しっかりと取りまとめをしていただける、ふさわしい能力を持った方ではないかと思っております。御性格も非常に明るくて良い方だと思っております。
記者:
昨年8月3日の内閣改造からまもなく一年経つわけでありますが、この一年を振り返りましての御感想をいただけますでしょうか。
大臣:
昨年の8月3日からちょうど一年近く経つわけでありますが、さまざまな課題があり、特に本格的な高齢社会を迎えるに当たりまして、皆様方に安心して、そしてまた活力のある経済社会として暮らしていただけるようなものへと仕立て上げるということが、我々のこれまで引き継いできた国民皆保険などのいろいろな資産があるわけでありますが、そのようなアセットを含めて絶えずメンテナンスをしないといけないわけであり、今は本当に大がかりなメンテナンスをしないといけないということで、データヘルス改革など、これまでに無い大きな審査支払機関の改革も含めて、大きな改革に取り組まさせていただいたということで、もちろん一年振り返っていうことでございますが、いろいろ仕込んできたことを考えてみますと、一年ではなく三年間かけてやってきたがゆえに結実したものもたくさんあるということでありますので、大変有意義な一年間を過ごさせていただいたと思います。
記者:
大手製薬会社バイエル薬品の国に対する副作用報告を85例怠っていたという報告書が昨日出されましたけれども、厚生労働省として今後どのような処分をいつ出されるかというスケジュール感をお聞かせ下さい。
大臣:
御指摘のバイエル薬品からの回答で、全部で85例の副作用報告の遅延があったということが分かっているわけでございます。バイエル薬品が医薬品医療機器法上に定められている義務を果たしていないということでありますので、これは極めて遺憾なことだと思います。それで、報告期限がちょうど7月31日の昨日であったということを今御指摘いただいたとおりで、これは5月29日にバイエル社に対して全ての薬品を対象に未報告の副作用症例の有無などをしっかりと調査して、報告をするように命令を発出していたわけでありますので、昨日の期限を受けて、なぜ遅れたのかということや副作用情報の内容などの回答をしっかりと精査した上で厳しく対処していきたいと思っております。
記者:
本日から年金などの社会保障制度が変わると思いますが、これまで無年金でありました68万人が新たに年金を受け取れるようになるということで、財源を心配する声があがっていたりしますが、その点について改めまして御所感をお願いします。
大臣:
本日から年金の受給資格期間が25年から10年になるという今のお話でございますが、これは短縮されましてこれまで年金が受け取れなかった方々につきまして受け取れるようになるということですから、しっかり私どもに言ってきていただければと思っております。財源につきましては、もともと手当済みでございますので、そのような御心配は全く不必要だと思っておりますので、是非、25年から10年に短縮されることによって年金を受け取れるようになれば生活上のプラスになるということだと思いますので、もれなくお手を上げていたたきたいと思います。
記者:
関連してですが、年金の受給資格期間が短縮されたことで、消費税という財源確保が出来ない中での制度変更になったことについて改めてどのような考えでしょうか。
大臣:
消費税を予定どおり上げていない部分も残っているということはかねてからあるわけでありまして、しかし例えば子育て支援については消費税を引き上げていない段階からも財源のやり繰り、算段をつけて対応してきているということでありますので、これは財源手当をしっかりとやりながら、優先順位をはっきりつけて優先的にやるべきものはやっていくということを安倍内閣としてやってきたところでございますので、引き続きそのようなことでいきたいと思います。もともと一体改革の中で与野党一致して消費税は10パーセントに上げていくということで決まっているので、これは法律に定められたとおりやっていかなければならないということで、安定的な財源として我々としてもその実現に努力していかなければならないと思っております。
記者:
一年それから三年振り返ってという質問と少し関連しますが、まだ残されている課題も多いと思いますが、大臣は秋に向けて受動喫煙や労基法の改正にどのような形で取り組んでいかれるのかお伺いします。
大臣:
先ほども申し上げましたが、今為すべきことは本格的な高齢社会を迎えるに当たって働き方改革を含めてあらゆることを変えていかなかればいけないということであります。もちろん受動喫煙対策のように、医療費として3,000億円余分にかかっているわけですから、負担は少し8月1日から増えますけれども、3,000億円節約のできる受動喫煙対策はしっかりやって、国費ベースで1,200億円程度浮くわけでありますから、そのような対策としても受動喫煙対策をしっかりとやっていくことで、5,000億円の目安のために今試算されているのは1,300億円削減しないといけないとなっておりますが、その内の1,200億円は受動喫煙対策を、がん対策協議会が言っているようにゼロにするということにすれば、その分国費ベースで浮いていくという計算になると私は理解をしております。それから、15,000人亡くなっていくということでありますから、当然受動喫煙対策はしっかりとやっていくことが大事であり、おもてなしの心で外からどんどん来られる人たちにもやらなければいけないと思いますが、いずれにしましても社会経済構造をしっかり変えてどのような高齢化になろうともビクともせず、皆様方が活力ある毎日を過ごしていただけるように、多様な生き方ができるように、一億とおりの生き方ができるように変えていくためにはやらなければいけないことはたくさんあります。また審査支払機関改革やデータヘルス改革はまさに絵を描いたとこでありますから、これをどう実行していくかということは極めて大きい課題であり、変化があると必ず変化を好まない勢力はいるわけでございますので、どのような方々にも納得いただきながら着実に物事を前に進めることで、国民にメリットがいくようにしていかなければならない課題はありますので、やるべきことはごまんとあるということだと思います。

(了)