塩崎大臣会見概要

H29.5.23(火)9:28 ~ 9:40 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。特に、私からはございません。

質疑

記者:
受動喫煙対策についてお伺いいたします。国会の会期もあり、今週は一つのリミットと言われておりますが、法案提出に向けての進捗状況を教えて下さい。また、先日の自民党の部会で、大西議員ががん患者は働かなくていいという発言をめぐり謝罪されました。そのことについても大臣の御所感をお願いします。
大臣:
先般の厚生労働部会は、私も出席いたしました。大西議員が御発言されたということでありますが、その件については国会議員の発言でありますから、私がコメントする立場にはないと思います。ただ、その前提となりました三原先生の発言は、大変大事な問題を指摘されたと思っております。すなわち、がん患者あるいはぜんそく患者といった弱い立場の方々が、働いている際の健康の問題をどう考えて、望まない受動喫煙をどのように防止をするのかということについて、皆で考えなければいけない大事な問題を指摘されたと思っております。我々、厚生労働省としても働くがん患者、あるいはぜんそく患者の皆様方などがお付き合いでお店に行く場合がしばしばあり得るわけでありますので、そのような時に喫煙店にめぐり当たってしまったという時の、がん患者の皆様方などの「嫌々受動喫煙」について、表示義務で本当に守れるのかということを、私たちは良く考えなければいけないと思っております。健康増進法の改正につきましては、望まない受動喫煙を無くすということと、今国会に法案を提出するということでは、自民党側と厚生労働省側は意見が全く一致しているということでありまして、現在党側と合意を目指して踏み込んだ調整を行っております。理解が進んだ点もあると思う一方で、まだ少し隔たりがあるという思いのところも残っているのも事実であります。また近々に自民党の厚生労働部会が開かれるかのようなことも聞いておりますので、そこでの議論にも注視したいと思っております。いずれにしても、所管大臣として真摯に自民党側の御意見をしっかりとお聞きをしながら、時間の限りギリギリでの党側の理解を得る努力は続けてまいりたいと考えております。
記者:
熊本市の慈恵病院にある「こうのとりのゆりかご」が運用から10年で130名が預けられたという発表がありましたが、塩崎大臣は当時、官房長官でありましたが、政府内では育児放棄を助長するのではないかという批判的な指摘がありました。130名という人数の受け止めと、大臣の今のお考え、また、国として今後どのように関わり合うべきかということをお聞かせ下さい。
大臣:
熊本市にございます慈恵病院で、「こうのとりのゆりかご」に平成28年度に預けられた人数が5人ということで昨日公表されまして、運用開始から10年でご指摘のように130人という大きな数字になっていることを私どもも聞いております。一件一件、預けざるをえないということで、親御さんにとっては厳しい選択をされているわけでありまして、このようなケースが130件も10年であったということは非常に重たい事実であると思います。10年前、私が官房長官の時に「こうのとりのゆりかご」がスタートしまして、その時にいろいろな意見がございました。このようなことにならなければいけないような状況になる前に、様々な解決の道を探り、そのような手を打ち、そして社会で子どもたちの命を守るという仕組みをもっと整えなければいけないのだろうと思うわけであります。去年、児童福祉法の改正を行い、子どもの権利を初めて法律上明確化いたしました。まさに、このような形で置いていかれてしまうようなことではない、本来の子どもらしい生き方をする権利、健全な養育を受ける権利があるわけでありますから、この法律どおりに子どもたちがすくすくと育っていくように、我々はこの法律を具現化していかなければいけませんし、家庭養育優先ということでありますので、本来の生みの親が最優先であり、それが上手くいかないのであれば、特別養子縁組ないしは里親ということで、家庭で育つことが愛着形成上も子どもさんにとって健全な養育育成を図ることになるのだろうと思います。今国会では、司法関与を強化するということで児童虐待対策も行うことになっておりますが、このようなことも含めて社会で子どもたちをしっかりと守り育てて、未来の子どもたちの将来を深いものにしていきたいと思っております。
記者:
年金についてお伺いします。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がクラスター爆弾を製造しているアメリカの会社の株を買って保有しているということですが、改めて年金の運用の仕方として、これが問題がないのかどうか、そして現在の投資運用の仕組みとして特定の会社を排除するということは今のところできないということですが、例えば今後非人道的な会社の株を排除するような仕組みを導入するようなお考えがあるかどうかをお聞かせください。
大臣:
これまでに何度も申し上げてきたように、GPIFの年金資産運用というのは、もっぱら被保険者の利益のために行うことが大事であって、市場とか企業経営とかに直接影響を与えないように、株式投資は今、信託銀行などに一任でお預けをして運用してもらうというやり方をしているわけでございまして、政府やあるいはGPIFが特定の企業を投資対象としたり、逆に投資対象から外すということは、指示をすることはできない仕組みになっているのでございます。貴重な積立金を運用するわけで、国民の皆さんからお預かりした大事な財産、資産でありますので、従来からこのような原則に従って、運用をしておりますので、この点は今後も守っていくべきであろうと考えております。
記者:
海外では、例えばアメリカでは、そういう会社の株を買えないように仕組み的になっているのですが、そのような仕組みは日本でも、国民の年金資金という大事なものなので非人道的な会社に投資しているというのは、いかがなものかという思いがありますけれども、そういう仕組みの導入についてはいかがでしょうか。
大臣:
今申し上げたように、一任勘定などで、信託銀行などにお預けをして運用をして頂いているわけであります。直接的にもし運用することになれば、また話は別になりますが、この間の年金部会での審議でも、この直接投資というか直接GPIFが株式を買うというのは、いろいろな経済界の議論あるいは労働界からの議論もいろいろあって、それをやろうというところまでは行っていないということであります。
記者:
冒頭の受動喫煙の話に戻りますが、このヤジについて大臣はコメントしないということでしたけれども、今回のヤジの件に関しては、一方でがんの患者団体からは怒りと憤りの声が聞こえているわけです。また、こういう考え方の方が受動喫煙対策を議論するということがいかがなものかと、つまり有効的な受動喫煙対策が本当に部会で話し合われるのか、骨抜きになるのではないか、実効性がないのではないか、という声も聞かれるわけですけれども、この点について大臣はどうお考えでしょうか。
大臣:
すべての国会議員はすべての議論に参加するという当然の責務があるのだろうと思いますが、それはそれとしてしっかり皆さんで議論してもらいたいと思っています。一方で、今回のヤジと言われている発言については、大変、がん患者の皆さんから私に直接声明文等が来ていますけれども、随分と傷つかれた、そういうメールも頂戴しています。先ほど申し上げたとおり、三原さんが指摘された問題というのは、極めて本質的なこの受動喫煙対策で解決をしなければならないという大事な問題で、飲食店で働いていらっしゃるがん患者の皆さん方をどう守るのかという提起でございました。必ずしも働くだけではなくて、職場の送別会とか色んなかたちで、みんなで行くというときはなかなか、自分の意思じゃなくそういうお店に行ってしまう可能性があるわけでございまして、そういうことを考えてみると、表示義務を課すことで、がん患者の皆さん方を含めて、人知れず、病気と闘っている方々あるいは妊娠をしているけれども、まだ職場には話をしていない方々に、不自然ではない、言ってみれば、望まない受動喫煙から解放するということをどうやったらいいのか、やはり真剣に考えて、そういう可能性のない対策を私たちはすべきなんだろうなと考えております。これは部会でも、ご説明を申し上げたところでございます。

(了)