塩崎大臣会見概要

H29.2.7(火)9:16 ~ 9:29 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私からは特にございません。

質疑

記者:
昨日発表された、去年の実質賃金が5年ぶりのプラスとなりました。これについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
毎月勤労統計調査の平成28年分の結果速報が出ました。実質賃金につきましては、前年比0.7パーセント増と5年ぶりにプラスということであります。名目賃金も、前年比0.5パーセント増と3年連続の増加、基本給を示す所定内給与についても、前年比0.2パーセント増ということで、2年連続の増加ということです。より子細に見ますと、いわゆるフルタイムの方々、パートで働く方を除いた一般労働者と言いますが、この所定内給与も2年連続でプラス。パートの方々の時給については、プラス1.5パーセントで、最低賃金の4年連続の大幅引上げもあって、労働需給が引き締まっているということで、パートの時給はここ24年間で最高の水準に達したということであります。賃金は、引き続き緩やかに増加するという基調にあると思っております。賃金の今後の動向を引き続き注視しなければなりませんが、基本的に労働需給はタイトで、賃金にもそれがはねていて、安定的な賃金の上昇傾向が見られるということではないかと思います。今後も、アベノミクスの加速化を強力に進めて、雇用の拡大と賃金の上昇による好循環を経済に作り出し続けていくことが大事であります。これだけ需給がタイトになり、賃金も上昇するという傾向が表れていながら、成長がまだ1パーセント台ということは、潜在成長力が低いということでありまして、引き続き潜在成長力をどのように高めていくのかが極めて大事であって、これこそがアベノミクスの最大の課題だと思い続けておりますので、これにはしっかりと取り組もうと思います。厚生労働省としても、労働生産性の向上、質の向上という意味で、潜在成長力を引き上げるための支援策を厚生労働省としてしっかりと打っていきたいと思っております。
記者:
先ほど閣議決定された介護保険関連法案について、現役の世代や一定の所得の高齢者の負担を求めるものとなっておりますが、今後の国会審議においてどのように理解を求めていかれるか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
今回、介護保険に関しまして、特に地域包括ケアシステムを2025年に向けて構築するという中で、改正法案を出さしていただいております。御指摘がございました利用者負担の問題について、低所得者の負担は据え置いた上で、制度の持続可能性を高めるために、世代内・世代間の負担の公平、負担能力に応じた負担という観点から、様々な配慮を行いながら実施していこうと考えております。具体的には、今回、3割負担を導入いたしますが、対象は2割負担者よりも一層範囲を限定した、特に所得の高い方々に絞って、また、負担の上限額である月額4万4,400円を据え置いております。それから、一般区分の上限額を3万7,200円から4万4,400円に引き上げるということですが、1割負担のみの世帯の場合は、年間の負担が増えない水準で上限を新たに設ける、つまり、今まで3万7,200円が月々の上限だったわけですが、これを4万4,400円に引き上げるけれども、年間の上限額では、これまでの3万7,200円の12月分、すなわち44万6,400円は変わらないということで、設定させていただいているということであります。制度の持続性ということも含めて、しっかりと国会の中で丁寧に御説明して、御審議を賜って、御理解いただいて、早期成立を図ってまいりたいと思っております。
記者:
別件ですが、今週金曜日に日米首脳会談が行われる見込みとなっております。先週、一部の報道でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金を活用して、アメリカのインフラ事業に投資することが検討されているというものがありましたが、改めて事実関係を教えてください。
大臣:
先週の金曜日の予算委員会で、この問題が取り上げられたわけでありますが、総理並びに私の方から明確に答弁をしたとおり、政府としてそのようなことを検討しているということは全くないということがまず第一点であります。そもそもはGPIFは何度も申し上げているように、政府がどこに投資をしろというような指示をすることはそもそも法律上できないことになっています。GPIFは被保険者の利益のことだけを考えて運用を行うということが、厚生年金保険法の第79条の2に、「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」となっているわけでありますので、他事考慮の禁止とよく言いますが、政府から言われたり、外の人から言われたりというようなことで、影響を受けることは全くなく、独自の判断で、唯一、被保険者、年金を貰われる方々、そして、年金保険料を支払っていただいている方々の利益のためだけに、運用のことを一生懸命考えることが使命でありますから、GPIFの被保険者の利益ということを考えれば、そこに政治判断が入るということはあり得ないということを改めて強調させていただきたいと思います。
記者:
天下りあっせん問題についておうかがいします。文部科学省で調査の概況が次第に判明してまいりまして、文部科学省主導で体制づくりをしていたということも明らかになってきております。また昨日の委員会では、あっせん以前に天下りそのものですとか、あるいは現役出向についても、野党から質問が挙がっていますけれども、今後、何らかの対策が必要、あるいは見直しをされるお考えがあるか、大臣の今のお考えをお聞かせください。
大臣:
昨日、「特定OBを介した再就職等あっせんの構造について」ということで、文部科学大臣から発表があったわけでありますが、その中身を拝見をすると、文部科学省の再就職等規制の違反事案は、国家公務員制度改革、これはまさに私が官房長官の時に安倍総理の指示の下で法律を通した、いろいろな意見があった中で通した再就職の規制の法律を含んだ国家公務員制度改革法案だったわけでありますが、その改革の中で、再就職の仕組みを作ってきた私としては、極めて不愉快な話であって、その法律が通った後から実質的に始まっていたということであれば、本当に何を考えているのかと思わざるを得ない、組織益のために働く人達、国益のために働かない人達、そういう人達の集まりだということが、私は非常に残念でならないわけであります。改めて、厚生労働省も自ら正さなければいけないと思いますから、しっかりと今般の事案を受けて、省内、地方支分部局、それから施設等機関に対して、再就職規制を周知する通知を既に発出いたしているところでございますけれども、総理から指示があった全府省に対する調査というのが今後来るわけでありますので、厚生労働省としてもしっかりと対応していきたいと思っています。今、現役出向等のお話がありましたが、これについては、第一次安倍内閣の時でもかなり議論を深めた上での結論でありますから、私どもとしてはこの路線で行くということが、国家公務員制度改革の第一歩と考えています。もちろん、積み残しの問題もたくさんあって、例えば、給与法を改正することは当時から言っておりましたが、未だにそれができていないわけで、本当の意味の公務員制度改革について更に何が必要なのかということは、第二次安倍内閣になってから法律を通していますけれども、その中にあっても更に課題がないかということを私たちは考えていかなればいけない思っています。

(了)