塩崎大臣会見概要

H28.11.29(火)10:06 ~ 10:25 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方からは2点ございます。一つ目は、有効求人倍率でございますが、平成28年10月の完全失業率は前月と同水準の3.0パーセントとなりました。有効求人倍率は1.40倍ということで、前月より0.02ポイント上回りました。25年2か月ぶりの高水準となっております。現在の雇用情勢は着実に改善が進んでいることが、完全失業率ならびに有効求人倍率から読み取れるということでございます。二つ目は、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」を厚労省として初めて大がかりに行います。我が国の医療を取り巻く環境は、国民の医療や介護に対する期待や、患者像の変化、介護と看取りの連携の強化をしなければならないこと、あるいは情報通信技術が発達している等、大きく急激な変化が医療や介護を囲む環境に起きております。厚労省におきましては、従来からの発想や手法の踏襲をするだけでは、こういった変化にはついていけないのではないかということで、新しい時代にふさわしい医療、介護の供給体制の構築を目指して、本年10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」、「保健医療2035」で座長を務めていただいた渋谷先生に座長になっていただいて、新しい医療、介護のビジョンを作り、そこでの働き方について御議論いただこうということで、既に10月から議論をしていただいております。この検討会では、しっかりと議論していただいた上で、今年度末までに取りまとめをお願いしております。このことは、私から御挨拶で明確に申し上げているところでございます。この検討会は、元々今年の6月に「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」の中間的な取りまとめを行うにあたって、必要な医師・看護職員数を検討する際の前提として、どのような医療を目指すのかという、「我が国が目指す医療の在り方」と、その在り方を踏まえた上で「医師・看護職員などの新しい働き方・確保の在り方」を検討するとされた趣旨にも応えるわけであります。6月の中間取りまとめの際に、「かかりつけ医の普及等を踏まえた外来医療の姿」など、3時間待ちの3分診療をどうするか、あるいは「将来の女性の働き方」や、医師も当然高齢化して多死社会を迎えるわけでありますから、これがどのように医師需給に影響を与えるのかなどの様々な実態を十分に把握をしていなかったので、精度の高い需給推計の元に取りまとめたとは言い難いものでございました。そこで、将来の医療等の供給体制の検討においては、現在の医師の勤務実態、あるいは働き方の意向、先生方のそれぞれのお考え、キャリア意識の在り方などを正しく把握することが必要不可欠で、その上で医師需給を考えていかなければならないのではないかということで、厚生労働省において医師の勤務実態及び働き方の意向等に関して、初めて、10万人規模の大規模全国調査を行うことといたしました。その分析結果をこの検討会で議論していただいて、将来の医療ビジョンに反映し、その先の医師や看護師の需給や、あるいは介護の需給を考えていただくということを考えているところでございます。さらに、新たな医療の在り方を踏まえた医療従事者の働き方もよく考えていただいて、それに見合った制度改正をしていかなければならないということであります。調査対象となる医師の皆様方は大変お忙しい方々でありますが、日々の診療で御多忙の中、恐縮ですが、本調査は新しい時代にふさわしい医療供給体制の構築、医療サービスの在り方についての不可欠な調査だと思っております。したがって、大変お忙しいと思いますが、できる限り多くの先生方にお答えいただいて、今後の医師需給ならびに将来の医療、介護のビジョンに活かしていきたいと考えております。詳細は事務方からお聞きいただければと思いますが、厚生労働省として初めて10万人規模の医師に対する本格的な調査をやっていくということでありますので、お知りおきいただきたいと思います。以上でございます。

質疑

記者:
2問おうかがいします。1問目は、年金改革法案が、今日、衆議院で通過する見通しですが、それに対して野党からの強い反発がありますけれども、それに関する大臣の所感をお願いします。2問目は、塩崎大臣の不信任決議を野党が提出すると言っていますが、それについての大臣のお考えをお願いします。
大臣:
今回の年金法案は、様々な改正事項を同時に検討していただくようにお願いしている法案のセットであります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もあれば、日本年金機構の問題もあるということで、その中の年金のスライド制についての改革については、民主党政権時代の3党合意も踏まえておりますし、民主党政権が閣議決定した、一体改革の基本方針にも、デフレの下でもマクロ経済スライドの在り方についてありますが、それについて答えを出すというものであります。特に、賃金が物価よりも下げ幅が大きい場合と、賃金がマイナスで物価がプラスの場合の在り方ということで、それぞれ賃金の下がり方に合わせて、年金を引き下げることになるというルールが中心でありますが、これは分かち合いの仕組みである、今の年金の制度の中において、将来世代の年金が不必要に下がってしまわないようにするためにやるという哲学で作られたスライド制度であります。我々は、将来世代の年金確保法案と申し上げておりますが、これについて野党から激しい反対がありますが、全ての野党が反対しているわけではなく、賛成している野党も当然あるわけでありますし、新聞各紙も主要紙は全て賛成ということでございます。それはやはり将来のことをきっちりと考える、未来への責任を果たすべしということでありましょうから、是非、国会でできる限り迅速に成立させていただければありがたいという考え方に何らの変化もございません。私に対する不信任という話でありますが、これはまだ出てきてもいないので、コメントするに値しないと思います。
記者:
先週、長野の集落で大麻を所持していたとして、男女22人が逮捕されました。改めて、厚生労働省の大臣として大麻の取締りについてどのようにお考えかをお聞かせください。
大臣:
お尋ねいただいた件は、麻薬取締部が神奈川県警、長野県警とともに、長野県内などにおいて大麻取締法違反容疑で、22名を逮捕した事件でございます。今後、検察庁をはじめとする関係機関とともに、事実関係をしっかりと追及していくものと承知しております。先日も申し上げたとおり、大麻はヘロイン、つまり国際条約において最も危険性の高い麻薬だと言われているヘロインと同等の厳しい規制がかけられて、世界で最も乱用されている薬物でございます。最近、大麻に関して有名人、あるいは高校生といった、広範な年代で逮捕者が出るということが起きています。深刻な問題だと受け止めています。特に、若者に多い傾向が見られるために、若者向けの薬物乱用防止の啓発にしっかりと厚生労働省としても取り組んで、さらに力を入れていかなければいけないと思いますし、大麻に対する徹底的な取締りを強めていかなければならないと考えています。
記者:
薬価制度改革についておうかがいいたします。先週の経済財政諮問会議で、塩崎大臣から薬価制度改革の考え方を示されたのですけれども、その中で市場環境の変化で一定以上の薬価差が生じた品目については、少なくとも年1回薬価見直しということですが、それは一部の品目については薬価調査を毎年行うという考え方で良いのかという点と、それから既収載品について市場拡大があったときには、新薬収載の機会に応じて年4回というお話があったわけですが、既収載品と新薬収載の話をどのように関連付けてお考えかという点をおうかがいします。
大臣:
前者の御質問は、調査をどのようにするのかを含めて議論をしていかなければいけないと思います。薬価差が生じた場合となっているとおり、それをどういう調査で捉えるのかということもICT化の時代でありますから、いろいろなことがあり得るのだろうと思います。そういうところからも、調査もどういうものがあり得るのか、しっかりと議論したいと思っています。消費者、患者の皆様方に、本来以上に負担をしていただくことをどう考えるのかという問題だろうと思うので、そういうところをしっかりと問題意識を持って、国民の視点から考えていくことが重要ではないかと思います。もう一つの、新薬の4回の収載に合わせてという件ですが、これは今回、オプジーボで皆様方にもお示ししたとおり、やはり適用拡大などを含めて大きな変化があった場合、今のルールでも薬価を変えるということがあり得るということが、お分かりいただいたと思います。今までのように2年に1回ではないという一つの考え方として、年間4回に新薬収載があり得るということでありますから、そういう機会を捉えてということを一つの考え方としてお示ししているわけで、大事なことは、これもやはり患者負担がどうなのかということを考えて、イノベーションの推進、つまり新しい良い薬が出てくるということは大事にして育てていかなければいけない、これは国民の健康のためであり、もちろん産業の発展のためでもありますし、経済の活性化のためでもあります。それがまず一つと、一方で、国民皆保険制度の持続性を考える、つまり保険の中で支払われていく保険収載の医薬品の価格でありますから、この両立をどう図っていくかということ、こういうことを片一方だけで走っていくと、大事なことを忘れてしまうということになりますから、そうならないようにしてイノベーションの推進と国民皆保険制度の持続性の両立を目指して、薬価制度を抜本改革したいと考えております。諮問会議でそのようなことで年内に基本方針を取りまとめるように総理からも指示がございました。民間議員の提案も踏まえて、私たちは今の2点の両立を実現すべく議論をしていくと思います。
記者:
介護保険制度改革について質問します。先週金曜日の社会保障審議会介護保険部会で、厚生労働省側から、現役レベルの所得の高齢者について、介護サービスの自己負担を更に引き上げる案と、現役世代の保険料の計算方法について総報酬割を導入して、負担割合を変えるという案がありました。それぞれ影響する立場の団体から、高齢者の一部負担増になったり、大企業の従業員の負担増につながるという意味で批判が出ていますけれども、今回提案したことについての大臣としてのお考えをお聞かせください。
大臣:
高齢化の進展で、いわゆる1号被保険者の介護保険料が今5,000円台ですが、このままいくと8,000円を超えるのではないかと言われており、そういう中でどのように給付の重点化、効率化に資する工夫を凝らしていくかということが大事だと思います。介護保険制度の持続性を図って、関係する人達がそれぞれ納得をしていただける負担と給付の両面から考えていくことが大事ではないかと思います。現役並みの所得がある方々の負担の割合の引上げについて、お話がございました。これまでの部会における議論の中では、介護保険制度の持続性を確保するためには、高齢者の方々にも負担能力に応じて負担を求めていくべきではないかという考え方がある一方で、少し性急すぎるのではないかという考え方も示されていたわけであります。それから、総報酬割の話がございましたが、これも負担能力に応じた負担という考え方から、それを御主張される方々がおられる一方で、慎重な考え方を示す方もいらっしゃったということでありますので、いずれのサイドの問題も、介護保険部会で、今、御議論していただいております。したがって、必要な方に必要なサービスがきっちりと提供され、制度が保険制度として持続できるように持続可能性を高める、確保するためにしっかりと議論して結論を出していただきたいと思っております。

(了)