塩崎大臣会見概要

H28.7.26(火)12:34 ~ 12:48 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今朝未明に、神奈川県相模原市の障害者支援施設で大変痛ましい事件が起きました。現在までに、男女19名がお亡くなりになり、20名以上の方々が負傷されたという報告を受けております。本件は、何の罪も無い多くの障害者の方々が犠牲になったということで衝撃的な事件だと思います。お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、御遺族にはお悔やみを申し上げ、そして怪我をされた方々にお見舞い申し上げたいと思います。本件につきましては、現在、警察において全容解明に向けての捜査が続いていると聞いております。また、厚生労働省としても事件の内容につきましては事実確認中で、既に職員2名を現地入りさせて、詳細の把握に全力を尽くしているところでございます。私どもとして、情報収集をしながら、その結果を踏まえて、また、相模原市も調査を行っておりますし、警察も当然行っておりますので、総合的に分析して二度とこういう痛ましい事件が起きないように、関係省庁ともしっかりと連携して、再発防止の検討を早急に行っていきたいと考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
相模原市の事件についておうかがいします。逮捕された容疑者が「障害者がいなくなればいい」という供述をしているようですが、それについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
今申し上げたとおり、警察で捜査中でございますので、事実関係につきましては現在確認中であり、また、捜査の進展が待たれているところでございますので、私どもとしてはコメントを差し控えたいと思います。
記者:
明日、子宮頸がんワクチンの健康被害を訴えていらっしゃる方々が、国などを相手取って提訴する予定ですが、これに対する受け止めと、被害を訴えていらっしゃる方々に今後どのように対応されるおつもりなのか、お聞かせください。
大臣:
HPVワクチンの接種後に、様々な症状が起きていらっしゃる方々もおられます。接種との因果関係については必ずしも明らかではないわけでありますが、「有害事象」として認識されているわけでありまして、長期に苦しんでいらっしゃる方々がおられるということは、非常に心の痛むことであり、我々としてはこうした方々にしっかりと寄り添った支援を行っていくことが何よりも重要だと考えております。昨年の9月に、私どもの方から救済、医療支援、生活支援について、明確に方針を打ち出しております。まず、救済につきましては、従来からの救済制度の基本的な考え方に則って、速やかに救済に係る審査を再開するということを発表させていただいて、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンも含めて、また、PMDA法の救済、つまり、基金で行っていた接種も予防接種法と同様の範囲の救済とするということを明らかにして、実際に救済が進んでおります。医療支援につきましては、「受診者フォローアップ」を実施することとしておりまして、これまでの協力医療機関、これは田村前厚生労働大臣時代に指定したわけでありますが、それに加えて、協力医療機関と連携し、患者さんへの相談・診療を積極的に行う医療機関に対象を拡大しておりまして、医療支援の充実も図っていくことが大事だということでございます。生活支援につきましては、学校におられる被接種者の方の問題でもございますので、都道府県の衛生部門と教育部門にそれぞれ相談窓口を設置するということをやってきております。健康被害救済の申請は、先ほど申し上げたとおり進んでおりますが、従来の基本的な考え方に基づき、個別に審査して、厳密な医学的因果関係まではなくても、予防接種との因果関係が否定できない場合には、救済対象とするということで認定してきているわけでございます。また現在、HPVワクチン接種後に生じたとされる多様な症状があるわけですが、これらの症状が出ている方々を対象に、HPVワクチンを接種した方々、していない方々の中での双方の違いがどのようにあるのかを、疫学調査として科学的に調査を進めているところでございまして、HPVワクチンの今後の取扱いにつきましては、この疫学調査の結果など科学的知見に基づいて、しっかりとした判断を総合的にしていきたいと思っております。
記者:
相模原の関連でお聞きしますが、再発防止策の検討も早急に行うということで、事件が起きたばかりではありますが、今回、報道されている範囲でも施設の安全管理など様々な観点があるかと思います。どのような体制で、どのようなことを検討する必要があるとお考えかお聞かせください。
大臣:
先ほど申し上げたとおり、事実関係がどうなっているか、どういう経緯でどういう形でこの事件が起きたのかということを、警察や相模原市ともしっかりと連携して、この分析をしていくことが大事で、厚生労働省からも現地に2名職員を送っていますので、その情報収集をしっかりと踏まえた上で、総合的に判断するわけでありますけれども、かつて、大阪の池田小学校で大変悲惨な事件がございました。あの時には、福祉施設を含めて対応いたしましたけれども、今回のことについてもどういうことかということを分析した上で、何がさらに必要なのか、何が不十分なのかということをよく検討してまいりたいと思います。
記者:
最低賃金の協議についてうかがいます。本日にも山場を迎えると思いますが、これまでの目標について何度か御発言があったかと思いますが、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
日本一億総活躍プランの中に明示されておりますけれども、年率3パーセント程度を目標として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げて、全国加重平均が1,000円となることを目指すということが方針であるわけであります。平成28年度の改定につきましては、先ほど申し上げたとおり、既に私の方から諮問しているわけでありまして、政府方針をしっかりと説明してまいりましたが、この目安小委員会、今日、第4回目が開かれると聞いておりますけれども、しっかりと政府方針を踏まえた審議をしていただきたいと思っているわけでございます。いずれにしても、最低賃金を引き上げて、国民生活をより安定した生活の確保ということをやっていくことが大事であります。そのためには、高い賃金を払うだけの生産性、収益力を中小企業にもしっかりと付けていただいた上で、きちっとした最低賃金の引き上げと支払いが行われるようになっていただきたいと思っています。
記者:
子宮頸がんワクチンの副作用に関して追加で質問ですが、接種から3年経っても症状が治まらないといった人や、拠点病院で適切な治療が行われていないというような訴えをする方もいらっしゃいますけれども、治療法の確立についてどういうふうにお考えかということが一つと、もう一つは、産婦人科学会などで接種の勧奨再開を求める声もありますけれども、現時点でその辺りについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
基本的な認識は先ほど申し上げたとおりで、症状が出ておられる方々、長い間苦しんでいる方々には、本当に心が痛むわけでありますから、しっかり寄り添って、この問題には接していかなければいけないと思っています。治療の話がございましたけれども、治療法の確立につきましては、それから医療体制の整備というのは、先ほど申し上げたとおり、大変重要な問題です。現行の治療研究事業とか、あるいは拠点病院での医師向けの研修をやっていますけれども、さらに続けてまいりたいと思っておりますし、厚生科学研究の中に治療方法の確立についての牛田班というものがございます。平成25年度から研究をやっていただいておりますが、ここでの治療法の開発についてしっかりやっていただきたいと思っています。拠点病院は全国に84か所整備されているわけでありますが、拠点病院における対応についても含めて、これは先週7月22日に、そういった病院の方々を対象に研修会を実施しておりまして、慈恵医大の北原先生が中心になってやっていらっしゃる認知行動療法というやり方がありますが、これについて症状が改善されているという症例を説明していただいて、研究の一つに、あるいは治療の進展に貢献するように、こういったことを続けているということでございます。
記者:
勧奨再開を求める声については。
大臣:
先ほど申し上げたとおり、疫学研究をやっているとおり、事は科学の問題であります。子宮頸がんをどう防止するかということと、今回「有害事象」が発生していることとどう整理をして、公衆衛生上の政策として、私どもが何をすべきかということを決めていかなけれればならないので、しっかりと調査で解明していくことが何よりも大事だと思っています。

(了)