塩崎大臣会見概要

H28.6.28(火)10:31 ~ 10:48 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から児童虐待関係で御報告申し上げたいと思います。「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」を設置することを決めております。先の国会で、児童福祉法の改正が行われました。引き続き、子どもの命を守るということで、児童虐待、あるいは新たな社会的養育の在り方など、子どもや家庭を巡る様々な課題に、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。その第一弾として、改正法の附則や「ニッポン一億総活躍プラン」に書き込んだことを、次々実行に移していこうということで、この検討会を開始したいと思っております。児童虐待に関する司法関与、つまり、裁判所の関与の在り方と、特別養子縁組制度の利用促進をしていこうという二つを考える検討会でありまして、駿河台大学学長の吉田恒雄先生に座長として取りまとめをお願いしようと思っておりますが、法学者、福祉学者、弁護士、児童相談所長といった、知見を豊かに持った方々の参画を得て、合計15名程度でスタートする予定です。現在、各先生方に検討会委員への就任のお願いをしているところでありまして、全ての委員の承認が得られた段階で速やかに名簿を公表し、検討会自体は、7月から議論を開始します。児童虐待対応における司法関与の在り方、つまり、裁判所の在り方、可能性としては例えば、裁判所命令とかいろいろな形があり得ると思いますし、特別養子縁組の利用の促進ということで、今回、児童福祉法の中に児童相談所の業務として特別養子縁組が位置付けられているわけでありまして、必要な調査・検討を進めていただいて、今年の秋をめどに一定の取りまとめをお願いしたいと考えております。この検討会は、新たな社会的養育の在り方を考える、大きな枠組の一環であり、先の法改正に則った対応でありますが、改正は様々な宿題を私達に与えているわけでありまして、この検討会以外にも検討会をいくつか立ち上げる予定であります。例えば、「新たな社会的養育の在り方」についての検討会。これは平成23年に「社会的養護の課題と将来像」という、児童養護施設で3分の1、小規模の施設で3分の1、里親あるいはファミリーホームで3分の1ということで、都道府県にそれぞれ計画を作っていただいていますが、特別養子縁組などの養子縁組の話はほとんど入っておりませんでした。したがって、これらを全て今回の法改正に合わせて、このビジョンを全面的に見直すということで、それぞれ3分の1ということも含めて、都道府県それぞれの計画についても御一緒に考えていただくためのビジョンを作っていこうというテーマを扱う検討会です。それから、専門性を高めるということも大きなテーマでありました「子ども家庭福祉人材の専門性向上」という検討会を立ち上げます。さらに、市区町村が支援の役割を担うということを明確にいたしました。まだまだ、市区町村の中には、こういった体制が十分ではないところがありますので、こういった「市区町村の支援業務の在り方」を検討する検討会も作っていきたいと思っておりまして、都道府県との関係、あるいは専門人材の確保の方法、要対協(要保護児童対策地域協議会)との関係など、いろいろあるかと思いますので、議論を開始したいと思っております。子どもの命を守る、そして今回初めて日本の法律の中で子どもの権利、健やかな養育を受ける権利というものが定められましたが、さらには子どもの未来を社会全体で守っていくためのグランドデザインを描くということに正面から取り組んでまいりたいと思っております。以上、私からの御報告でありました。

質疑

記者:
イギリスのEU(ヨーロッパ連合)離脱に関して、民進党など野党がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオの変更で、年金積立金に巨額の損失が出ているのではないかと批判をしていますが、これについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
株式市場の変動がGPIFの資産に短期的に影響を与えるということについては事実でありますが、年金の資産運用というのは長期的な観点から、被保険者の利益を考えてやるものであります。したがって、長期的にどうなのかということを絶えず考え、なおかつ年金財政にとって必要な利回りをどのように確保するかということで基本ポートフォリオは決まっているわけでありまして、その前提に基づいた新しいポートフォリオで運用されているわけでございますので、短期的な変動は当然ございまして、いわゆる「標準偏差」は少し大きくなりますが、長期的に見た年金財政に必要な資金、資産を確保するということに関しては、新しいポートフォリオの方が国民にとって有益であるということは何ら変わらないことでございます。そういうことを御懸念なのは分かりますが、短期的に考えるだけではなく、中長期的に年金財政に必要な資金をどのように確保するのかということを御一緒に考えていただければと思います。
記者:
新専門医制度についておうかがいいたします。昨日、日本専門医機構が開いた社員総会で24人の新しい理事が決定しました。来週、理事長も決定する予定です。大臣はかねてより、新専門医制度について、来年春からのスタートは懸念を示されていましたが、新しい体制に要望などがございましたらお教えください。
大臣:
昨日、日本専門医機構に新たな理事が誕生いたしました。地域医療を担う医療関係者だけではなくて、地方自治体、学識経験者、患者、国民の代表が選任されており、これまでに比べれば幅広い関係者の意見が反映され得る構成になったということは評価をしたいと思います。ただ、元々日本専門医機構につきましては、私も大臣就任以来、何度となくいろいろな方々と議論させていただきましたけれども、何となく不思議な存在でありました。何かというと、みんな小声でお話をされる感じでありまして、どういうことかなと私も思っておりましたが、今回、来年からの新たな制度に向けて様々な懸念の声が地域医療の立場から随分出ていたように思います。そういう意味では、今回新しい体制ができたということは、歓迎するわけでありますけれども、より子細にみると、社員総会で学識経験者ということを決めていながら、学会の代表の方が混じっておられたり、そういうことを考えると暫定的な色合いがあるのかなとも思っておりまして、やはり国民の真の信頼を回復しながら、日本の医療、なかんずく地域医療を担う体制を早く確立していただければありがたいと思っています。厚生労働省としては、良質な医療を提供する体制に責任を負うということが我々の立場であります。したがって、医師の地域偏在が拡大するのではないかということが指摘をされていましたが、そういった懸念とかあるいは研修医を含む医師の不安が払拭されることが大事でありますので、早急に患者、国民の視点を十分に踏まえた新たな検討の場を作ると聞いておりますので、是非早く立ち上げていただいて、集中的な精査を行い、そして国民の地域医療の場についての不安を解消していだだきたく思いますし、専門性についても国民から信頼される医療が提供されるように私どもとしても期待をしたいと思います。
記者:
冒頭発言がありました児童虐待の関係ですけれども、この司法関与の在り方というのは、裁判所がその間に入るということは様々なハードルもあると思いますが、大臣としては現行の課題と言いますか、今後どのように変えていくことが望ましいと考えるかということをお聞かせいただきたいのと、今回、様々な検討会を設置するということですが、児童福祉法の改正の中に中核市の児相(児童相談所)設置と国の支援を行っていくという項目があったかと思いますが、この点に関してはどういった場で打ち出されていくことになるのかお願いします。
大臣:
先ほど申し上げたように、課題と将来像を見直すということは、言わば、子どもの養育そのもの、子ども、家庭の新しい養育の在り方について全体の議論をしていただく、日本の児童福祉、なかんずく、この虐待に関連する児童福祉の在り方、児童家庭福祉の在り方というものを見直すわけで、児童相談所の在り方についてはそういったところで当然出てくるわけでありますので、様々なことについて今申し上げたような議論の場では、新たな社会的養育の在り方という中で、多くは議論されていくのだろうと思います。児童虐待対応件数というのが、皆様方が気になっていて、これは児童相談所で受けるものと市町村で受けるもの両方ありますが、いずれも10万件弱ということで、実態はもっと多いのではないかと言われています。これは対応しているのはそれだけであって、対応せずに結果として家庭に戻して、そこで不幸な事件が起きることがあります。そういったことに対して、今回の法改正の中では、いわゆる在宅措置といった考え方を導入して、在宅で留め置くけれども、それは、児童相談所の措置の中で行われ、そこに対するその家庭と子供に対する支援は、市町村が委託を受けてやるという形でやりますけれども、その時に不幸な事件が起きないようにするために、司法のどのような関与が可能なのだろうかということが一つの大きな議論の対象と思います。いきなり司法の、裁判所の判断にすべてを委ねることではなくて、児童相談所、そして支援の担い手である市区町村、そして司法一体となって子どもの命を守り、子どもの未来を確保するということをやれる仕組みはどういうものなのかということを考えていきたいと、御議論いただきたいと考えているのが一つ。特別養子縁組につきましては、やはり、就学前は施設に基本的にお世話にならないように養子縁組と里親というもので、子どもの愛着形成に一番大事な時期を預かることを念頭に、どういう制度にすればそれが可能になるのかということも考えていかなければならないということで、今回の検討会を立ち上げたわけであります。
記者:
冒頭のGPIFの関係ですが、週末のテレビ討論で、民進党の政調会長が「1日だけで2兆円の損失が出た」とおっしゃっています。これに大臣、「短期的な影響を与えるのは事実」とおっしゃいましたが、この指摘に対して、どういうふうにお考えになるのかといいますか、どのくらいの規模感の損失があるという数字を持っていらっしゃるかということと、野党側の指摘ですが、去年のポートフォリオの変更で5兆円という損失が出ているのではないかという指摘もある中で、7月末に発表日がなってしまったことに対する反発、そういう中で、参院選が投開票日を迎えますけれども、その前に公表する予定があるのかどうかその辺を改めてお考えをお願いします。
大臣:
先ほど申し上げたように、短期的な変動に伴う評価損というのは当然あり得るわけでありますが、私達は短期的な、日々の動きに注目しているわけではなくて、長い目で見て、年金受給者にとって必要な資金を確保できるかどうかという観点でやっています。リーマンショックを含めた10年間のGPIFの収益については御案内のように十分これを賄うだけのものが出ているわけでありますので、今回、リーマンショック級というふうにも考えるべきショックが一時的に起きているわけでありますが、それはそれとして、長い目で見てどうなのかということが大事だと考えています。それから、平成27年度の発表の時期について、7月29日になっていることについての御指摘がありましたが、これは国会で何度も答弁いたしたように、ちょうどGPIFで新たに個別銘柄の公表などについてもどうするのかという議論もあって、そこのところをしっかりと議論するということで、これは元々7月末までに発表することになって、民主党政権時代も同じような方針でやっておられたわけでありますので、何ら新しいことを私どもはやっていることでもありませんし、ましてや参議院選挙との関係などはあるはずもないということであります。

(了)