塩崎大臣閣議後記者会見概要

H27.11.27(金)11:07 ~ 11:27 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方からは2点ございます。まず、有効求人倍率でありますけれども、10月の完全失業率は、前月と比べて0.3ポイント低下をいたしまして3.1パーセントとなり、平成7年7月以来の20年3か月ぶりの低い水準となりました。また、有効求人倍率の方は、1.24倍ということで前月と同水準でございますけれども、前月は平成4年1月以来の23年8か月ぶりの高い水準でありましたが、同じ水準を保ったということであります。現在の雇用情勢は着実に改善が進んでおりますが、アメリカの金融政策が正常化に向かう中で、中国をはじめとするアジアの新興国などの景気の下振れによる雇用への影響について注意が必要だということを申し上げてきているわけでありまして、それは引き続き変わりません。一方で、一億総活躍社会の実現に向けて、正社員化の促進や多様な働き方の推進をはじめ、女性・若者・高齢者・障害者などの活躍推進、そして子育て・介護分野などにおける人材確保対策の推進等に全力で取り組んでまいりたいと思います。もう一つは、平成27年の障害者雇用状況報告でございます。「民間企業」、「国等の公的機関」、「独立行政法人等」の三つのジャンルに分けて、それぞれ障害者の雇用の状況について調査をし、毎年この時期に集計結果を公表しております。この後、事務方から詳しく御説明いたしますが、平成27年分についてのポイントは、まず、一つ目の「民間企業」の雇用率は1.88パーセントと、昨年を0.06ポイント上回るということになりました。雇用障害者数は、12年連続で過去最高の水準を更新しております。また、二つ目の「国等の公的機関」については、「独立行政法人等」における雇用率とあわせて、いずれも昨年を上回っておりまして、障害者の雇用は着実に改善をしていると考えております。次に、厚生労働省自らの状況でございますが、地方支分部局などを含む省全体としては法定雇用率を達成しており、2.73パーセントでございます。障害者の雇用を進めていく立場にある厚労省として来年度末までに、「本省のみ」でも法定雇用率2.3パーセントに達するように、本年3月、「障害を克服する働き方・職場創造プログラム」を策定いたしまして取り組んできておりますが、現状では残念ながら2.3パーセントに達することなく、1.23パーセントにとどまっているのが、「本省のみ」の障害者雇用率でございます。来年度末までに「本省のみ」でも法定雇用率に達するように一層努力をしていくことが必要だと考えております。また、厚生労働省所管の独立行政法人につきましては、昨年6月1日時点で、6法人が雇用率未達成でありましたが、本年6月1日時点で未達成は2法人に減少いたしました。さらに、その後の改善により、現時点では全ての独立行政法人で達成しているということで、こういう状態を続けてもらわなければならないと考えております。最後に、障害者の雇用の状況が適正に報告されているかを確認するための、独立行政法人等への調査についてでございます。昨年、独立行政法人労働者健康福祉機構に虚偽報告が発覚いたしました。その際に、私の指示で本年3月から、独立行政法人や国立大学法人など330の公法人に対して抜き打ち調査を行うことにいたしまして、この330のうちの108法人に抜き打ち調査を実施いたしました。今のところ、虚偽報告に当たるものは確認されていないということでございます。以上私からの御報告でございました。

質疑

記者:
一億総活躍についておうかがいいたします。介護と保育では受け皿を更に50万人分整備するという数字が出されました。特に、人材の確保が非常に問題になっておりまして、介護分野については現場から賃金を引き上げてほしいという声が挙がっておりますが、介護報酬の改定でのみ行うということで、賃金についての待遇改善の記載がありませんでした。このようなことで、多く必要になる人材を確保できるのかどうか見通しをお願いいたします。
大臣:
今回の一億総活躍国民会議、昨日決定された緊急対策の中で、介護、保育の両分野において、一つは在宅・施設サービスの前倒し、上乗せ整備を行う。また、保育についても、40万人分から50万人分ということで拡充する受け皿拡大が決められたところでございまして、いずれについても上乗せ整備を確実なものにする、実効のあるものにするために万全を期して人材確保をしなければならないと考えています。具体的には、まず介護ですけれども、離職した介護人材の再就職準備金の貸付制度の創設とか、介護職を目指す学生への返還免除付き学費貸付の大幅な拡充、介護人材の負担軽減のための介護ロボットの活用推進や、生産性向上のためのICT活用などによって文書量を半減することによって、仕事の負担感の削減をし、魅力を増すことをやっていくことなどを新たに施策として追加したわけであります。保育の方でも、保育補助者の雇上げ支援、ICTの活用による業務効率化、潜在保育士の再就職対策として就職準備金などの支援の追加対策を講じ、朝夕の時間帯における配置要件の規制改革でありますが、こういった多様な担い手の確保について検討し、いずれにしても人材面からのサービス提供が充足されるような万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
記者:
大臣としては賃金の引上げについては、現状あるもので十分というか、やっていけるとお考えでしょうか。
大臣:
当然、財源が必要なわけでございますので、介護については待遇改善をする加算というものを設けて、これをできる限りフル活用していただこうということでやってきているわけでございます。保育士についても消費税財源で3パーセント上げ、さらに3,000億強の予算を確保する中で、更なる上乗せを5パーセントでということになっておりますが、それが早くできるように努力して、財源をしっかり確保していかなければならないということが大事でありますけれども、いずれにしても処遇ということが大事であることは御指摘のとおりでありますが、一方で職場環境、あるいは仕事の負担感についても改善をするということ、これも大変大事ではないかと考えておりますので、総合的に人材確保については万全を期してまいりたいと考えております。
記者:
介護で特養(特別養護老人ホーム)の待機者をなくすということは、国民にはやはり施設を増やしていくんだというようなイメージが伝わるかとも思うんですけれども、これまで政府が言ってきた施設から在宅という流れとの整合性について改めてお願いします。
大臣:
昨日の一億総活躍国民会議の緊急対策でも、それから私どもがお出ししている資料にも、御覧いただければ、この12万人を全部特別養護老人ホームで充足するということは全く書いていなくて、在宅・施設サービスを充実する、拡充するということを明確に書いておりまして、今お話のあったように、この地域包括ケアシステムという我々が言ってきたことと、整合性がしっかりとれたものとして拡充して、在宅が選ばれる場合には、在宅サービスを充実する、施設についても都市部を中心に整備が十分ではないところについてはしっかり充実していこうということであります。内訳を御覧いただければバランスのとれた形で、在宅、施設、それぞれのニーズに合うような形で供給が追いつくようにしていこうじゃないかということをお示しをしているところでございます。
記者:
一億総活躍に関連しまして、低年金受給者に3万円を給付という報道がありました。金額について事実関係をおうかがいします。
大臣:
今御指摘の点は繰り返し報道されておりますけれども、あくまでも私どもにとっては報道ベースの話で、厚生労働省としては承知をしていないというのが現状でございます。
記者:
先ほど人材育成、介護職員のお話があったのですけれども、昨日の御担当課の発表だと2020年初頭に職員が何人必要なのかという試算がまだない、それ以外も2020年初頭に保険料がいくらになるのかの見通しもまだ立っていないお話もありまして、数字の部分に不透明な部分があるような発表だったんですけれども、詳細を詰め切れないまま見切り発車で発表してしまったのかなという感があったのですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。あともう一つは一昨日介護をしている人たちとの懇談会で、介護保険を知らなかったという話が多かったと思うのですが、それを受けて総理から介護保険制度の周知徹底に関して指示が出たと思います。これは今回具体的な施策としては盛り込まれていなかったと思うんですが、これは今後どんなことが考えられるでしょうか。
大臣:
まず対策の実現の道行きが不明確ではないか、という御指摘がまず第1点にございましたが、まずそれは今回緊急的な対策ということで書いている政策がたくさんございましたが、補正予算で対応していくということが一つ重要な達成の手だてとしてお示しができることになってくると思いますが、補正予算についてはこれから予算の議論になるわけでございますので、これは今後出てくる。それから介護保険料の見通しなどについては、総合的な結果として保険料は3年に1回決められているわけでございます。また、基本的には市町村がどういうサービスを提供して、どういう設定をするのかということにもかかってくるので、それを事前に私どもとしてお示しをするのはなかなか簡単ではないということでございます。それから、介護に従事をされていたり、家族で介護をされている方々と総理が懇談する機会がございまして、大変有意義な提案をたくさんいただき、また現状の報告があって、改めての発見は必ずしも介護保険制度の中身、使えるサービスの中身が十分伝わっていなくて、相談をする場すら分からない方がおられるということが言われていたと思います。改めてこれはしっかりやっていかなければいけないということを総理がおっしゃったわけでありますので、私どもも努力するとともに、市町村が介護保険の運営者でありますので、市町村においてできる限りトータルな形で、ワンストップで分かるような形のサービスの御紹介というものを努力していただくということを私どもからも働きかけをしていきたいと考えております。
記者:
一億(総活躍)に多少関連するのですが、石破大臣が24日に移民政策について推し進めるべきだという発言をされました。自民党の部会等でも介護人材の確保を巡って、移民という言葉は出ていませんが、外国人労働者の活用という意見も出ているんですけれども、EPA(経済連携協定)とか、現在の技能実習制度もありますけれども、今後来春以降の一億総活躍のプランに向けて、例えば外国人労働者の活用を介護人材の点で活用するということはお考えかどうか、お聞かせいただけますか。
大臣:
移民の問題は、私どもにとっては介護の現場がきちっと量的にも、そして質的にも充実したものになって、何よりも高齢者の方々が納得いただけるような介護が在宅でも施設でも提供されるということが大事だと考えておりまして、EPAで介護の技能を学んでいただくということは、もちろん今もうすでに決まっているものとして、2国間の定めで行われているわけでありますし、これから技能実習で介護についても、職種として増やすという話は私どもとしても考えているわけでありますけれども、これはあくまでも人手不足の問題ではなくて、介護の手法や技能を覚えていただいて、それをお国に持ち帰っていただくと。それで活躍していただくという国際貢献のような形でのお願いをする話であります。一方で、マクロ的に日本の経済をどうやって名目3パーセント、実質2パーセントで回していくのかということについては、これはいくつかの要素の組合せで決まるものでありますので、国民の皆様方はどう考えるのかということは、当然考えていなかければいけないことでありますが、まず我々がやらなければいけないことは、新しい3本の矢で言っているように、生産性革命ということで、生産性を飛躍的に上げることにまず専念をすべきと思います。私ども厚生労働省として労働生産性に責任を持つものとしてやっていくべきことだろうと思いますので、まず外国の力に頼るという発想ではなくて、どのようにして企業、経済を強くしていくのかということを議論するのが1番大事なことではないかと思います。

(了)