塩崎大臣閣議後記者会見概要

H26.10.24(金)9:50 ~ 10:17 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は閣議がございました。冒頭、私の方から、エボラ出血熱関係につきましてお話をいたしたいと思います。エボラ出血熱が西アフリカで蔓延しておりまして、スペインやアメリカではこの地域からの帰国者が感染していることが確認され、限定的ではありますけれども、二次感染の事例も見られているということでございます。我が国にとっても、国民の命と健康を守る上で極めて重要な関心事であるというふうに認識しております。エボラ出血熱の対応は、まずこの感染症が国内に入り込むことをできる限り防止するということが第一、国内に入り込んでこないようにするということ、これが第一でありまして、このためにできる限りの対策を講じ、そのリスクを減らしてまいりたいというふうに思います。一方、どのような対策によってもそのリスクをゼロにすることはできないわけでございまして、このため万が一国内で感染事例が発生した場合の対応にも万全を期していかなければならないと思います。その対策を進める上では、行政による対応の強化、医療機関による適切な対応、国民の皆様方の御協力、この3つの取組を三位一体で行って、オールジャパンの体制で取組むことが極めて重要だというふうに思っております。本日は、国内におけますエボラ出血熱の発生蔓延の防止に万全を期すために、以下のようなことを私の方から申し上げたいと思います。第一に、行政による適切な対応といたしまして、WHOから終息宣言が出ましたナイジェリアを検疫強化の対象から外すとともに、その一方で、全ての入国者に対して、つまり、その3カ国や4カ国に行った行かないに関係なく、全ての入国者、国籍を問わず、可能な限り過去21日間の流行国の滞在歴を確認することができるよう、検疫体制の一層の強化を図って、各空港における検疫所と入国管理局の連携の強化も図ってまいります。お手元にコピーが行っていると思いますけれども、当然のことながら検疫所でポスターが貼ってあって、アナウンスもして、サーモグラフィーも回しながら、この4カ国に行った方については申し出てくれと、こういふうに言うわけでありますが、そこで申し出なかった方も、もう一回今度はパスポートコントロール、つまり入管を通るわけであります。ここは全員一人一人、入管(入国管理局)の職員が(入管業務として)パスポートをチェックするわけでありますので、そこでこういうもの(「過去21日以内に発生国に滞在していた方は検疫所への申告が必要です。申告をしていない方は申し出てください。」と書かれたボード)を一人一人の入管の方に持っていただいて、「ここに行ったか」ということを聞いてもらいます。これは日本人用ですから日本語で書いてありますけれども、こっち側に中国語が二つありますけれども、9か国語で書いたものがあって、過去21日以内に発生国に滞在した方は、検疫所への申告が必要です。申告していない方は申し出てくださいということを、入管の職員の方に行っていただくと。ですから、パスポートを頂きながら、これを見せて、21日間にここの4カ国に行きましたか、行っておられるならばもう一回検疫所に帰ってくださいということを申し上げるということで、入国する方全員、空港でこのようなことを全国でチェックするということにいたしますので、コピーをお手元にお配りしました。これが第一の水際作戦の強化であります。第2に医療機関におけます適切な対応でございますが、エボラ出血熱への感染が疑われる方への対応は、専門の医療機関として整備されました感染症指定医療機関で行われるべきであることを改めて強調したいというふうに思います。また感染症指定医療機関に対する個人防護具の着脱等についての研修に、一層取り組んでいきたいと思います。このあいだ、(国立)国際医療(研究)センターに参ったときに、これから14か所で出向いて研修するということでありましたけれども、一回全部、一同に集めまして、(国立国際医療研究)センター以外の44のところについて、医師ないし看護師、両方が防護具の着脱の手順について、11月のなるべく早い時期に一同に介した研修をまずやってもらって、そして、あと14か所に行って、現地にあった研修をセンターの方から出向いてやっていただくということにする予定でございます。さらに本日、一類感染症の治療に関する専門家会議というのを開催いたしまして、医薬品、例えばアビガン錠とか、こういうものの扱いなどについて専門的な議論と打ち合わせをするということでございます。しかしながら、エボラ出血熱への感染が疑われる方が一般の医療機関に来られてしまう、受診をされるということもやはり排除できないわけであって、このため医療機関においては、発熱等の症状を訴え、受診された方に対して、過去1か月間にエボラ出血熱の流行国への渡航歴があるかを確認いただいていきたいと思っております。仮に渡航歴があった場合にはただちに地域の保健所に一報していただくとともに、感染症指定医療機関への速やかな受診につなげていくようにしていただきたいと思っております。本日、日本医師会の横倉会長にお出でをいただきまして、これらの点について医師会の参加医療機関に周知をいただけるように協力をお願いいたしました。第3に、国民の皆様へのお願いでございます。お手元にお配りしておりますが、まずエボラ出血熱はインフルエンザのように容易に飛沫感染する可能性は非常に低くて、患者の体液に直接接触することによって感染するとされています。今日、横倉会長も私のところで冒頭そういうことをおっしゃってました。このため、まず国民の皆様方には冷静な対応をお願いしたいというふうに思います。もう1点のお願いは、もし流行国に渡航して御帰国されたのちに、1か月程度の間に発熱した場合には、万一の場合を疑って、地域の医療機関を受診することは控えていただきたいというふうに思います。まず、保健所にそのようなときには連絡していただいて、その指示に従っていただきたいと思います。保健所にまず発熱など渡航歴のある方が症状を表したときには、御自分で御連絡いただいて、指示を仰いでいただきたい。そして、感染症指定医療機関への受診、そこでの適切な医療を受けてもらいたいというふうに思います。このようなお願いを本日厚生労働省のホームページにも掲載させていただきます。また、合わせて、厚生労働省トップページにエボラ出血熱に関するリンクを新たに設けます。今後とも正確で、迅速な情報提供に努めてまりますので、報道機関の皆様方におかれましても、国民の皆様への周知に格別の御協力をたまわりますように、お願いしたいというふうに思います。以上が本日私が申し上げたいということでございます。エボラ出血熱が、万が一国内で発生しても我が国の関係者が一丸となって対応すれば、必ず封じ込めることができるというふうに考えております。皆様方の御協力を心からお願い申し上げたいと思います。以上、冒頭私の方から発表でございます。

質疑

記者:
エボラの関係なんですけれども、今日は専門会議もあって、アビガン錠など未承認薬の取扱について議論されるということでしたけれども、大臣としてこの運用についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
それは当然のことながら、まず第一に大事なことは備えをするということであって、今日はその備えについてお話し合いをすると思いますし、すでに備えはできています。約2万人分のストックは準備ができておりまして、その扱いについては当然医師の適切な判断によって行われるものだというふうに思っております。
記者:
水際対策についてうかがいます。すべての入国者に対して渡航歴を確認するということでしたけれども、それはいつから行うんでしょうか。また、全国の対象となる空港、港も含めてですけれども、対象人数というのはどのくらいに膨らむ見込みなんでしょうか。
大臣:
できるだけ早くということで、今日明日にもですね、何とかできるようにということで、このパウチは一人一人、入管の職員の皆様方に持っていただくというでありますから、お届けをするということにしますが、人数につきましてはですね、人数わかってる。
事務方:
全体の数字はないですけれども、成田空港で一日入って4万人で、外国人が1.6(万人)ぐらいで、かなりの数です。
大臣:
かなりの数でありまして、今回、異例なこととして、法務省に私の方からお願いをして、入管の職員の方に、検疫所に行ったかということをこの対象国に行った方については聞いていただくということで、5秒か10秒で済むことだろうと思うので、大変お手数ですけれども、検疫所で申告されなかった方にもう一回ダブルチェックでこれをお願いするということでございまして、すべての空港でもってこれは行うということでありますから、例えば中国から入ってくる、東南アジアから入ってくる、そういう人たちを含めてすべての、ダイレクト便が韓国からとかいろいろありますから、地方空港でも全員にお尋ねをするということになります。船についてはもうすでに入港の度に上陸をする際には、行ったかどうかというようなことについては調べて報告を受けるという体制で臨んでいるところでございます。
事務方:
船長とか、船舶代理店というところから書類をもらうという仕組みですから、これとは別の仕組みになっています。今回は空港の話です。
記者:
塩崎さんは大臣としてもかなり危機感を持たれて、こういう対応をされていると思うんですけれども、これは何か安倍総理から、こういう迅速な対応をするように何か指示があったということはあるんでしょうか。
大臣:
当然のことながら、総理も万全の体制を組んでほしいということは、呼ばれて行ったとかということではございませんが、そういうことは私との会話の中でも出ております。
記者:
確認なんですけれども、法務省の方にお願いして、法務省の方ではこの入管の方でこれをチェックするかなどを通知か何かで、今日、今日といいますか、出されるということでしょうか。
大臣:
まず第一にですね、こちらから法務省の入管にお願いを通知で出すという格好で、法務省の方からは適切にしかるべき入管のところに内部の連絡は行くんだろうというふうに思っております。
記者:
あと、入管の方でパスポートチェックで、感染国への滞在が、流行している国への滞在がわかった場合にですね、お願いベースだけじゃなくて検疫所の方に入管の職員自体が通報とか、連絡するというふうな体制でもあるということでしょうか。
大臣:
検疫所にもう一回戻って欲しいということで、そのパスポートコントロールを通れないという格好になるわけです。
記者:
最近、アメリカとスペインで患者さんが出たということを踏まえて、何か海外と協力していることや情報交換とか、そういうことも。
大臣:
それは当然、事務方が緊密にやっているところでございます。
記者:
関連してなんですけれども、国内で感染疑いの患者が発生した場合の患者の移送方法についてですけれども、厚労省でも様々なシミュレーションを今検討していると思うんですが、移送に関する対策や手段というのは、今、決まっていることがあれば教えてください。また、例えば、指定病院へ行く際に、例えばタクシーで行ってはいけないとか、そういう国民への呼びかけがあれば教えてください。
大臣:
まず第一に、先ほど申し上げたように、渡航歴があって発熱をしている方は、まず、保健所に問い合わせてほしいということを言っているわけで、万が一、医療機関に先に行ってしまった場合には、同じことで、そこの医師が保健所にも連絡をし、そして当然そこで、しかるべき対応ということで、感染症指定医療機関に受診できるように段取りをするわけです。そこで、搬送という問題が起きてくるわけでありまして、これにつきましては全国の地方自治体に、もうすでに8月に、エボラ出血熱の疑い患者が発生した場合の標準的な対応のフローチャートを周知しておりまして、具体的には、患者が発生した場合の保健所、または検疫所が特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関、合計45あるわけですけれども、ここに搬送するということになっていますが、今、45の指定医療機関がない県が9県ございます。そこにおいては、近隣県の第一種感染症指定医療機関に搬送する、あるいは例えば県立中央病院にとりあえず収容して、そこに必要な防護服とか、そういう必要なキットをですね、これは国の方が責任を持って供給するというようなことをやらなければいけないと考えていまして、エボラ出血熱の患者について、一般の医療機関から感染症指定医療機関への移送を行う場合などの留意事項については、厚生労働省から都道府県等に手引きとしてお示しをしておりまして、これに基づいて行われるというふうになっております。これについては、11月10日の週に、再度、会議をもって全国から、都道府県から来ていただいて、周知徹底を図るということにしています。さらに、実際に患者が発生した場合の対応に万全を期すために、一応、自治体に対しましては具体的な対応の流れの整理状況の確認を進めていくなど、各都道府県において準備が迅速に行えるよう、引き続き、支援をしなければならないと思っておりますので、都道府県とは絶えず緊密な連絡を取りながら、厚労省の事務方から情報提供をしているということであります。
記者:
この会見の前に、横倉会長とお会いされて、先ほども対応について少しお話ししていただきましたけれども、具体的にですね、何点ほど何か要請があったとか、具体的に何点こういうことを要請したというのはあるんでしょうか。
大臣:
これはさっき申し上げたように、三位一体の対応が必要だということで、行政による我々の体制の強化、対応の強化と、それからこれが横倉会長へのメインのお願いですけれども、医療機関における適切な対応、保健所との連携とか、それから国民の御理解、御協力ということをやりますので、是非、医療機関の方への周知徹底をお願いしたいということを申し上げたわけで、すでにいろいろ内部的にはおやりになっているようですけれども、新しいアメリカでの事態とか、いろんなことを受けて、さらに周知徹底をレベルアップし、強化もしていくということをお願いをしたところでございます。
記者:
先日、厚生労働省の現役の職員の方が、女性差別によって昇進が遅れたということで、国に対して損害賠償を求めるという訴訟を起こしました。男女雇用機会均等法を所管される厚生労働行政のトップとして、今回の事案をどのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。
大臣:
私どもはこの件につきましては報道で聞いておりますが、まだ、訴状がこちらにまいっておりませんので、中身がよくわからないので、正確なコメントはできないということでありますが、いずれにしても、正式な訴状の送達を待って、その内容を確認して適切に対応をしていきたいというふうに考えております。もちろん、男女雇用機会均等法を所管する役所でありますから、当然、男女の差別はあってはならないと考えております。
記者:
エボラ出血熱に戻って申し訳ないんですけれども、今日、横倉会長とお会いになった後、日本医師会の方が本日付けで各一般の医療機関に対して、保健所にそういう滞在歴のある方は直ちに連絡するようにというようなことを通知するというふうにおっしゃったんですけれども、厚労省としてはそういう都道府県を通じてでも、一般の医療機関に対する通知みたいなものは考えておられるんでしょうか。そういう対処に対して。
大臣:
はい、やります。今日の横倉会長がぶら下がりでおっしゃったのは、今日おいでをいただいて、私どもからお願いしたことを受けてやっていただけるということでありまして、我々は行政の責任において、この地方行政に対しても、当然、お願いをするということになると思います。
記者:
エボラ出血熱に関して、二点なんですが、この流行国4か国に渡航、ないしトランジットした方で日本に入国される方に対して、特定医療機関3か所と一種指定期間の44か所の、第80床ぐらいあると思うんですが、これが見合うのかどうかと。つまり、入国される、感染のおそれのある方に対して、いざ起きた場合に、全国の約80床ぐらいのインフラが見合っているのかどうかという点はいかがですか。
大臣:
さっき申し上げたように、感染は飛沫感染ではなくて接触を実際に検体や本人との接触とか、そういうもので行われた時に広がるということでありますので、感染は飛沫感染をするようなものとは、広がりがだいぶちがうということで、今何か直ちに問題があるということはないというふうに認識しております。
記者:
医療保険制度改革についておうかがいしたいんですけれども、先日、経団連とも、計3団体が大臣の方に平均の保険料8.7パーセントがちょっと負担が重くて企業の活力を失うので、税金の投入を増やしてほしいというような要望書を出されたと思います。中小企業の協会けんぽの方も保険料10パーセントで、これは非常に高いので国庫負担を増やしてくれという要望をしております。年末に向けてこれから調整が本格化するとは思うんですけれども、企業の方で、規模の大小を問わず、国の負担を拡充してほしいというような要望がありましたが、この点について大臣はどのように考えられますか。
大臣:
これは今、来年の通常国会に向けて、医療保険(制度)改革についても鋭意議論を省内でも重ね、また、社会保障審議会でも御議論を賜っているところでございまして、経済団体の先般の御要請は今までもおっしゃっていたラインで、先行きが見えないままに負担が増えていくのは如何なものだろうかという問題点の指摘であったと理解をしておりまして、そういう点を含めて、国民が納得できるような社会保障の姿というものをさらに詰めていこうというふうに考えております。

(了)