塩崎大臣共同会見概要(厚生労働記者会)

H26.9.4(木) 12:58 ~ 13:26 省内会見室

広報室

会見の詳細

挨拶

大臣:
昨日も短時間でありましたが、会見をさせていただきましたが、今日は改めて正式に会見ということでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

質疑

記者:
次の消費税の10パーセントへの引上げを念頭に、今後、様々な社会保障の改革の話が待っているかと思うんですが、今後、どのように取り組まれていかれるかを教えてください。
大臣:
この10パーセントへの引上げの問題につきましては、御案内のように12月に総理が適切に判断をするということで、おそらくそれまでにあらゆる角度からの検討を加えていくんだろうというふうに思います。来年度の予算につきましては、御案内のように、この10パーセントに上げるか上げないかということが、今のうちに確定をしておりませんので、事項要求という形で社会保障の充実に向けての対応について要求しているという段階でございますので、これから年末にかけて経済情勢も踏まえながら、総理が最終的に御判断されるのを受けて、予算編成過程において社会保障の充実という本来の目的に向けて、どういうふうにしていくかということを検討していくことになろうかと思います。
記者:
GPIFのガバナンスの強化なんですけれども、これまでどおり社会保障審議会で議論を続けていくと、そういう理解でよいでしょうか。
大臣:
すでに8月にこの年金部会が始まっておりまして、議論をしていただいておるわけでございます。当然、この年金部会の中でGPIFについても御議論をいただけるものだというふうに思っておりますが、当然、私もこれまでの田村前厚生労働大臣の議論をされてきたことをあらためて反芻(はんすう)しながら、省内においても検討を重ねていきたいというふうに思っております。
記者:
消費税の10パーセント引上げについては、大臣御自身は予定どおり引き上げるべきかどうか、ここら辺はどういう御所見をお持ちなのかということと、社会保障についてはこれから給付の伸びを抑制していくということも課題になるかと思うんですけれども、過去2,200億円削減したりだとか、取り組まれましたが、抑制については大臣御自身はどのようにお考えをお持ちでしょうか。
大臣:
消費税については、これはもう最終的には総理がお決めになることでありますので、私がとやかく言うことではないというふうに思っております。それから、この社会保障につきましては、御案内のように、今はプログラム法に基づいて改革を進めているわけで、来年の通常国会では健康保険についての対応をしなければいけないわけでありますけれども、さらにその先に向けてのことについては、この改革推進会議で議論をしているわけであります。したがって、これらの中身について、すでに通っているいくつかの法律、そして来年の通常国会で通す法律などを踏まえた上で、中身については考えていかなければならないし、中長期的にはこの社会保障制度改革推進会議で議論を深めていただきながら、我々としてどうするかを考えていくということではないかというふうに思います。
記者:
GPIFについてまたおうかがいするんですけれども、かねてよりGPIFの監督者である厚生労働省が抜本的に考え方を見直すべきだというふうにおっしゃっておりまして、御自分が大臣になられて、今後厚労省を含めた運用方針全体とかの考え方をどのように改革されていくのか、改めて教えてください。
大臣:
すでに日本再興戦略で閣議決定している内閣としての方針であるわけでありますが、ここにおいて運用の改革と、それからガバナンスの改革を両方やっていくということを内閣としても決めているわけであります。これまでいろんな経緯があって、GPIFの運用方針というのは決まってきたわけでありますけれども、世界の流れや、あるいは日本の経済の流れをよく踏まえた上で、そしてまた世界の中でこの資産運用の安全かつ効率的な運用をするという年金法の哲学に照らし合わせてみて、やはりその時代に見合ったものにしていく。そして何よりも、国民の皆様にこれから年金を安心して見つめていただけるように、、繰り返しますけれども、安全かつ効率的な運用というのは何なのかということを考え、私が大事だと思っているのは、年金制度というのは、官房長官の時の経験からいっても、やっぱり国民の最後の拠りどころであります。したがって、この制度そのもの、運用含めた制度そのものに対する信頼というのがとても大事だというふうに思っていますので、単にGPIFにおける資産運用の、何というかポートフォリオセオリーのようなことだけで考えるのではなくて、やはり国民がどういうふうにすれば安心して毎日暮らしていけるようになるかという観点を私は大事にしていかなけばならないと思うんです。そういう意味では、このガバナンス改革というのはとても大事で、国民の皆様が御覧になって、これならば我々が掛けている貴重な掛金がきちっと運用されているんだなあという信頼感が生まれてくる。そういう強固なガバナンスを、体制を作り直していくということが大事なんだと思っていますので、この閣議決定されている二つの大きな方針、つまり運用の改革、そしてガバナンスの改革、これを二つともしっかりとやっていくということだと思います。
記者:
厚労省がGPIFを硬直的に管理している状況を排除しなけばならないということを、何度か講演などでもおっしゃっているんですが、今もそうしたお考えというのは変わってないのでしょうか。
大臣:
今のガバナンスのスタイルを踏まえると、もちろん厚労大臣が最終的な運用に関しても責任者であることは間違いないです。ただ、どういう形で運用の実態に関与していくかということはいろいろあるわけであって、その辺の整理をきちっとした方がいいんじゃないかということでもありますし、透明性の問題もあるでしょうし、何よりも今申し上げたように、国民が安心できるというこは、この説明責任をきちっと果たす体制というのものを、やっぱり大事だというふうに思います。ですから、そういうことも含めて、これからいろいろと検討していきたいと思ってます。
記者:
昨日もお話いただいた総理からの4つの指示があった中に年金という言葉はなかったかと思います。一方で市場や、あるいはここでもそうですが、かなり年金改革についての注目を浴びている現状もあるかと思いますが、大臣として、今後進めていく政策の優先順位というのはどういうふうに考えていますでしょうか。
大臣:
総理からは持続可能な社会保障制度を確立をするということであったわけでありますから、当然、社会保障といえば年金は入ってまいりますし、一番たぶん皆さんにとっては関心事であるわけですね、国民の皆様方から。したがって、年金の問題も重要であることは間違いないので、この社会保障制度の構築を図るという総理の指示の中に私は年金は入っているというふうに思っています。そして、優先順位ですけれども、順番をつけるような問題では私はないと思いますので、国民一人一人それぞれの一番の関心事というのは年代とか、あるいは体調とかいろんなものによって違うと思うので、やはりこれは優劣つけることなく、全てにおいてさっき申し上げたように一番大事なのは国民が信頼できる制度だと思っていただけることが大事だと思います。
記者:
改めてGPIFのことについてうかがえればと思っているのですが、今後の運用改革とガバナンス改革に関してはスケジュール的にはどういうふうに。
大臣:
まだですね、8月の下旬から年金部会で議論が始まっていますので、そこで審議が行われている間に、こちらで順番を、あるいはタイミングを言うわけにはいかないんで、まずはそこでの議論をしっかり聞きたいというふうに思っていますし、昨日就任したばかりのものですから、これまでの省内における議論や、様々なところでの議論というものを、もう一回反芻(はんすう)して、その上で審議会の先生方の御意見もしっかり受けた上で、決めていかなければいけないというふうに思っています。しかし、いろいろ皆様方にもいろいろな関心をいただいておりますので、できる限り早く答えを出していきたいとは思っています。
記者:
医薬品の関係なんですけれども、かつて大臣が御就任前に薬価の毎年改定について、製薬業界のセミナーで、当たり前のようにやった方がいいというような御発言をされていまして、毎年改定には賛成の立場でありました。今後、骨太の方針を踏まえて、中医協(中央社会保険医療協議会)でこの案件が議論されるんですけれども、厚生労働大臣に就任されての現在の御見解というのをお願いします。
大臣:
これはこの間、骨太の方針と(日本)再興戦略と一緒に党内でも議論し、最終的な文言が固まって、それで閣議決定もされたわけでございますので、私は内閣の一員としてそれに従うというのが当然の道だというふうに考えていますので、どうのこうのという私の個人的な考え方は今申し上げるつもりはございません。
記者:
そうしますと中医協の議論に委ねられるということですか。
大臣:
これは最終的には与党の議論もございますし、中医協もございますし、政府の中でも議論がなされると思いますので、あらゆるところでの議論を総合的に勘案して最終的には決めていくということになるんだろうというふうに思います。
記者:
危険ドラッグについてですけれども、今、取締りがかなり強化されてきていますが、一部では徹底的な取締りのためには薬事法の改正が必要じゃないかという声もあると思うんです。今の大臣のお考えと今後の対応みたいなものをお聞かせ願えればと思います。
大臣:
すでに7月に緊急対策というのが発表されて、それに基づいて立入もしてきた。そして、取締りはかなり徹底してやられてきているわけでありますし、インターネット販売についても同様のことが行われてきているわけであります。そのためにもその他もありますけれども、何しろ指定薬物の迅速な指定というのが大事であるということが一番だろうというふうに思いますし、さらには今こうやって緊急対策で示したことを徹底していくということがまず最初にやっていくべきことなんだろうというふうに思います。総理もできることは全て行うというふうに言っているわけですけれども、これはまさに違法・有害な薬物の広がりをあらゆる手段を通じて実態として封じ込めていくということがまず大事なんだろうというふうに思います。
記者:
薬事法の改正については、法改正までは必要ないとお考えなのか、そこら辺のところをちょっと教えてください。
大臣:
今申し上げたように対策をまず7月に打ち出したばかりで、これを徹底的にやってどこまで効果があるかということを考えるということだろうと思います。
記者:
労働関係で2点おうかがいします。一つは働き方の改革なんですけれども、政府の成長戦略の中では時間ではなく成果で評価するような働き方の改革などが掲げられておりまして、すでにいろいろと対象についても議論が始まっているところではありますけれども、大臣御自身の問題意識と望ましい改革、目指すべき改革のあり方みたいなものが、もしイメージされているものがありましたらお願いしたいのと、それともう1点は労働者派遣法の改正についてです。先般の通常国会で廃案になったんですが、これは臨時国会に再提出されるという理解でよろしいんでしょうか。以上、お願いします。
大臣:
まず、アベノミクスで我々が取り組まなきゃいけない問題の一番の原点の問題点、日本経済の抱えている問題点というのは、やはり生産性が低いという問題だと思うんです。これは、単に生産性が低いだけでは留まらず、世界の経済が変わっていく中で、日本の産業構造が十分それに見合って変わっていっていないという、その生産性が低いままできてしまっているという問題を抱えていて、この生産性をどう上げていくか。実は生産性が低いということは企業も利益を上げられないと同時に働く人の賃金が上がらない。こういう問題ですから、我々、アベノミクスとしては、やはり賃金を上げていく。それには企業の収益力も上げていくということが大事なわけです。そうなると、何が必要なのかというと、旧来型の産業でうまくいかないで、競争力がなくて収益も上げられない企業の中で低い賃金に甘んじて働かざるを得なくなっている人たちがたくさんいる。特に卸(売業)、小売(業)なんていうのは就業者ベースで行くと全就業者の約4分の1が卸(売業)、小売(業)にいるんです。したがって、この人たちが、もちろん卸(売業)、小売(業)の中で競争力がつけられて賃金も上げられるような企業にみんな変わっていってくれればいいですけれども、必ずしもそうじゃないということはやはり新しい産業に移っていく、新しい企業に移っていくというようなこともたくさん考えていかなきゃいけないわけです。そうなると、やはり労働法制、あるいは雇用制度というのは、これまではどうしても企業の中に留て発想での制度が多かったわけですけれども、これからはむしろフレキシブルな労働移動ができる、そういうようなものでなければいけないし、新しい産業や企業の中で働いていくための新しい雇用形態というものも必要だということなので、今回、成果を評価し、単に時間だけで動かすのではない制度というものを作っていったらどうかということで、もうすでにこれは閣議決定もされて進んでいるわけでありますので、もちろん働く人たちの権利はよく守っていかなければいけませんけれども、同時に、やはり最終的に生活水準を上げるということは賃金を上げられるということですから、それに相応しい雇用制度というものを作っていくということが大事だということではないかなというふうに思っております。それから、さっきの派遣の法制については臨時国会で、この間は通常国会でうまくいかなかったので次の国会に出すということで検討しているところでございます。
記者:
福島の原発労働者の健康管理、被爆管理の問題なんですが、いろいろ訴訟なりあって、いろいろ議論になるところなんですが、これまでの仕組みで、もし足りないところがあればどういうところを改革していくのか、これからかなり高線量の作業というのが増えてくるんですが、どういう立場で、どういう姿勢で厚労省として取り組んでいかれるかということをお聞きします。
大臣:
私もまだ十分にその辺りを勉強しているわけではありませんが、どうも今まで、我々が野党の時代も含めて見ておりますと、かなり下請けも第4次、5次、6次とか、そういうようなことになっていて、労働条件の管理が本当にうまくいっているのかどうかということについての懸念は私たちもよく聞いてきた話であります。これまでの関係大臣などの努力もあり、また、田村厚生労働大臣も当然のことながら、取り組みながら今日まで来ているんだろうというふうに思いますので、この福島第一の事故を下にした過酷な労働条件については、引き続いてしっかりとまず、どういうことになっているのかということを把握し更に強化をするということと、必要があれば対策は打っていくということだろうと思います。
記者:
先ほどの社会保障費の所に少し戻ってしまうんですが、この医療費が40兆円に迫る勢いであって、国の財政健全化の観点からもですね、医療費、年金など社会保障費抑制というのは課題になっていると思うんですけれども、こうした状況についての塩崎大臣としての現状の認識と、そういった社会保障制度を維持していくためには、経済力のある人たちに更なる負担をお願いすることもあると思いますが、そうしたところの負担と給付の考え方について、大臣の御所見をお聞かせください。
大臣:
医療費が確かにですね、かなり伸びてきて大台に乗ったというかそういう感じになってきていることは事実であるわけでありますし、しかし一方で、これまで様々な努力をしてこの医療の質を確保しながら負担をどれだけ軽くするかということを考えてまいったわけであります。したがって、医療の効率化というのは当然必要だというふうに思っていますので、これはこの間通った法律に基づいて、都道府県がこれから地域医療構想とリンクした医療費水準などの目標を定めることを検討課題とされているわけでありまして、今のこの医療費適正化計画について見直しをやはりしていかないといかんだろうというふうに思います。それから負担の問題が今御指摘がありましたが、やはり保険制度というのは財源というのは三つしかなくて、保険料とそれから自己負担と税金というこの三つしかないわけでありますから、この中でどういう組み合わせでいくことが一番公平で国民の納得がいくものなのかということを考えて、この負担のあり方というものを考えていかなければいけないと思います。一番大事なことは無為に国民負担を増やすということはよくないことでありますから、これをどうやって軽くしていくかということ、あるいは負担が仮に増えるとしてもそれをどれだけ最小限に抑えていくかということが大事なんだろうと思います。
記者:
労働分野についてなんですが、いわゆる新しい労働時間制度について、労働組合側からこれは長時間労働を促進するんじゃないかと、助長するんじゃないかという懸念がかなり示されています。まずこの懸念についてどのように受け止めてらっしゃるか。もう1点は長時間労働の抑制そのものを政府の方でも進めていくそうだということでそうしてらっしゃるわけですけれども、具体的にどのようにすれば長時間労働というものが抑制されるのか、今の段階でどのようにお考えかを教えてください。
大臣:
長時間を進めるなんていうことはあり得ないわけであって、それはもう我々はみんな個人レベルで考えてみればやはり個人の生活を大事にするということが、あるいは家族とともに過ごす時間とかですね、そういうことが大事であることは間違いないだろうと思います。今、お話がございました長時間労働の話でありますけれども、我々が今、やろうとしていることはさっき申し上げたように、時間を長くすることを目的としているわけでは決してございませんで、やはりどういう働き方かというのはそれぞれ違うので、それぞれが納得できる範囲内で自分の働き方ということができるようにするということがまず第一の基本だろうというふうに思います。それで、さっき申し上げたように、この長時間労働をしてもらうための制度改正をしているわけでは全くなくて、むしろ、きちっと成果が出ることによって生産性が上がり、そのことによって自らの働いている企業の成果も上がり、なおかつ、自分も評価を受けるという中で自分の賃金というものが決まってくるということを考えての話でありますので、一応に何か決めるような話ではなくて、人それぞれの働き方に見合っていかなければいけない話だと思っています。
記者:
子ども子育ての政策について、うかがいします。今後、新しい制度の下で、年間1兆円超えの予算が必要な中で7,000億円しか現状確保できていないという状態が続いています。今後、地方再生にも少子化対策というのが必要だと思うんですけれども、今後どのように予算を確保していくかということと、あと大臣のお考えの中では子ども子育て支援についてはどういった分野の充実が一番必要というふうにお考えでしょうか。
大臣:
7,000億円では足りないという話で、我々も自民党の政調の中でも相当な議論が行われてまいりました。それはもうすでに自公民で通りました一体改革の一連の法律の中でかなり詰まった議論をした上で各項目ごとに積み上げていった上でのことでありますから、どれが大事か大事ではないかというようなことではなくて、私も個人的には例えば要保護児童の議員連盟の会長をやっていますけれども、それももちろん大事だと思っていますが、しかしそれは優劣をつけがたいぐらい全体として子育て支援、あるいは子どもを産んで育てるということの条件をよくするために必要なものとしてやはりこれは7,000億円プラス3,000億円ぐらいは必要だなというところにきているので、この財源については最大限の努力をして確保していくということしかないんだろうというふうに思います。
記者:
全体の抑制の圧力というか考えもある中で、どのようにしてそこは進めていくと。
大臣:
今回、女性の閣僚も5人ということでずいぶん増えたという中にあって、これはやはり子育て支援も、それから家庭から女性が職場に出てくるということを支えるということも大事ですよという意味での今回の5人の大臣指名だろうと思いますので、そうなると優劣をつけるとするならば、最後は政治が決着を付けるということになるんだろうと思います。

(了)