田村大臣閣議後記者会見概要

H26.9.2(火)10:46 ~ 11:07 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私からは御報告ございませんので、御質問をいただきたいというふうに思います。

質疑

記者:
デング熱なんですけれども、感染者の数が昨日で22人で、これから感染疑いの人もたぶん入ってくるので、数がこれから増える可能性もあると思うんですが、これまで実は国内でも感染があったのに、気づかなかっただけなんじゃないかという話もあるんですけれども、来年の夏もまた蚊の季節にこういった状態になる可能性はあるわけで、国もデング熱だけではなく、例えばナイル熱とか、これまで国内感染がなかったようなものでも、蚊を媒介としたような感染症の流行というのも考えられるんですけれども、これをきっかけに何か新たな対策ですね、今後の予防についておうかがいします。
大臣:
デング熱に関しましては、今回、このような形で症状として、国内、つまり海外渡航歴がない方々が感染されたというような事例が今22例という形で上がってきているわけであります。御承知のとおり、海外からお帰りになられた日本の方々が年間200人ぐらいですね、今までも感染をされてこられておられますし、海外から来られる方で感染して入って来られている方々もいないとは限らない、おられる可能性が高いということで、そういう意味からいたしますと、近年、デング熱は世界中で一定程度流行しておりますが、今年急に流行が広がったというわけではないので、日本の状況が劇的に変わったということではないんだと思います。ただ、今回一例目に発症された方といいますか、かかった方がですね、たまたまみていただいた医師がデング熱の治療といいますか、今までそういうような経験があられるということで、そこで発見いただいたということでございまして、それから今回のようにわかってきたということだと思います。そういう意味からいたしますと、我々も各都道府県を通じて、医療機関にマニュアル等々、もうお示しをさせていただきましたし、これから厚生労働省のホームページにもアップをさせていただいて、そこは周知をさせていっていただきたいというふうに思いますので、今までの潜在化していたデング熱が、来年からといいますか、これから、これぐらい年間日本にいるんだよということが顕在化してくるということは、我々としても予想はできると思います。ただ、それが突然変わったというわけではなくて、今までもそういう状況であったと。そういう意味からすれば、そのような日本にないようなものであっても、日本で実は潜在的にはというような可能性があるものであれば、これから厚生労働省としても検討しなきゃいけないと思いますけれども、各都道府県を通じてなり、このような可能性があるというようなことはお伝えしていくことは検討していかなければならないのかもわかりません。ただ、このデング熱の場合、ヒトスジシマカでありますが、日本の場合媒介するのは、前から申し上げておりますとおり、越冬はしないということで、その蚊の寿命というのはだいたい3、40日ということでありますし、卵で越冬といいますか、子孫はつながっていくわけでありますが、そこにこのデング熱自体が次の世代に引き継がれていくというようなことは、ヒトスジシマカの中では今まで認められておりません。そういうことは、昨日、感染研(国立感染症研究所)の方でもいろいろとお話があったようでありますが、日本の国において、ヒトスジシマカにおいてはそういことはほぼゼロに近いんではないかというような、そのようなお話でございました。あわせて、蚊から蚊にはこれはうつらないので、あくまでも蚊からヒト、そのヒトを刺した蚊が、次のヒトへということでございますので、蚊同士の感染ということはないわけでありますから、そういう意味では我々も注視していかなければなりませんが、爆発的に広がっていくというよりかは、必ず行ったり来たりという中でございますので、どこにどのような方々が感染するか、これはいろいろと御報告いただくことになっておりますので、それをこれから把握をさせていただきながら、今後どのような対策があるかということは考えていかなければならないと思いますが、以前から申し上げておりますように、パニックになっていただくことはないというふうに思います。冷静に対応いただければいいと思いますし、それこそエボラのように致死率が高いというものでもありません。そういう意味からいたしますと、だいたい発症するのが1割から5割ぐらい、その中において重症化される方々が4パーセントぐらいということで、今まで死亡された例というものはほとんどないということでありますが、ただ、気をつけていただかなきゃなりませんのは高齢者でありますとか、お子さん、幼児・乳児でありますとか、そのような方々は一般のインフルエンザと同じように、高熱が出た場合には体力等々の問題で、生命の危機ということもないとは限りませんので、早くデング熱であるということを、治療する場合でも気づいていただいて、デング熱にあわせた治療というものをしっかりやっていただくということが大事であろうというふうに思います。
記者:
日本でもどんどん温暖化している、要は、蚊の数も増えていって、先ほども言いましたけれども、ナイル熱みたいな、アメリカのニューヨークで流行したというような事例もあったりするので、そういう蚊を媒介するような感染症の対策というのはこれまで以上にどうなんでしょうか。何かこれをきっかけに。
大臣:
注視はしていかなきゃならんと思います。ただ、蚊が増えているかどうかというのは我々も、年によって違いまして、雨が降らないと逆に蚊は増えないということもあるわけで、暑さだけではなくて、近くに水があるかどうかと。こういうこともありますので、そういうことも含めて、もちろん今まで温暖化等々の中において、日本の国自体が今まで生息しない蚊だけではなくて、いろんなものが生息できるようになるという中において、いろんな蚊の感染症も含めて注意していかなきゃなりませんので、それはこれからも厚生労働省としてもしっかりとそういうような問題に関しましては、考えながら検討していかなければならんというふうに思います。
記者:
危険ドラッグの立入について、今日の確定値の数字をいただいたのですけれども、27日から30日までの検査の一連の立入で、全国で50件が廃業、若しくは廃業の届け出を出したと。今回の立入の結果について、大臣の評価と、今後、この作戦でしばらく様子を見るというか、続けていくのか、さらに、未承認医薬品の取締りのことも以前おっしゃっていますけれども、今後も。
大臣:
129件対象でありました。もちろん、我々が検査に行った時にはもう閉めているというようなところもございまして、全体として廃業届けが出ているものも含めて、50店舗廃業していただくということであります。これは非常に成果、この短期間の間に、成果といいますか、本来売っていただきたくないわけでありますから、そういうところの店がなくなったということは、我々としては評価すべきことであろうというふうに思いますが、まだ残っている店がありますので、そういうところも含めて引き続き対応をしなきゃならんと思います。もちろん、検査命令、販売停止命令というもの、薬事法76条(の6)に則ってもやりますが、もちろん今言われた未承認医薬の販売、これに対するやはり資格のない、もしくは未承認薬ですから売っちゃいけないということでございますので、これも使いながら、これは徹底的に販売できないような状況を作っていくし、販売していただくことは決して割に合いませんよというように御認識をいただいて、これから新しく店舗をお作りをいただくことも自重いただくような、そういうメッセージもしっかりと我々としては発信してまいりたいと。これからもやってまいります。いつとは言いませんけれども、継続してやってまいります。
記者:
先日、ノバルティスファーマに対しての業務改善命令に対する改善計画が提出されて、その中で、ノバルティスが2,579件ですか、重篤な副作用を未報告だったという発表をしました。これに対する所感と、今後の対応というものをお聞かせ願えればと思います。
大臣:
有害事象の報告に関する報告システムの改善だとか、社内の監査の体制だとか、こういうものを徹底していただくということ。それからMRの研修をしっかりやるでありますとか、そもそも有害事象、これ全てでありますけれども、そういうものに関しましては、見つけた場合にはMRが当然、安全管理または統括部門の方へ報告いただくなどというようなことを、ノバルティスファーマの方も体制整備として、我々の方に申していたわけでありまして、これは当たり前のようにやっていただかなければならないことでありますから、そういうことはやっていただかなかければならないと当然のことだというふうに思いますが、今、おっしゃられた重篤関連性のある、因果関係のあるというような意味で、2,579症例、これはPMDAに報告をされたわけでありますけれども、これは当然、PMDAの中で評価をするんだと思います。どのような中身であったのかということを検証していくと思います。あわせて、残りまだ6,118症例、これは1か月でありますから、8月中に全てしっかりとノバルティスファーマで精査していただければありがたかったんですけれども、症例数が多いものですから、なかなか全てというわけというわけにいかずに、この6,118(症例)に関してはたぶん9月末ぐらいまでの間に精査していただいてもう一度報告をいただけるものだというふうに思っております。いただいたものの中において、重篤な副反応の可能性があるということで報告をいただけたものはPMDAの方で精査しますが、残りのこれは関係ないというものに関しましても、全てかどうかは別にいたしまして、こちらとしてもしっかりと厚生労働省でこれに関して調査をして、本当に因果関係がなかったかということは見ていかなければならないというふうに思いますし、この2,579(症例)、まずはこれは重篤な副反応のということでありますから、この中身の精査の中において、これから、更なる行政処分も含めて、どういう対応をしていかなければならないかということは我々は検討をしていかなければならないというふうに考えてます。
記者:
この2,579件という、ノバルティスの発表したこれほどの数の未報告があったというのは国民にとっては驚きなんですが。
大臣:
いや、もう遺憾ですね。遺憾ですね。まことに遺憾ですね。だからこそ、こういうものを出させたわけでありますけれども、ちょっと多すぎる、非常に体制として不備であるということを言わざるを得ません。今回、これを受けて、体制を整備をしていただくということでありますから、二度とこんなことがないようにしていただかなければ困ると。ちょっと桁数が違うんでね。
記者:
冒頭であったデング熱に関してなんですけれども、デング熱の現状をですね、これは流行しているというような御認識なんでしょうか。
大臣:
言い方、言葉は選ばなければいけないんだと思いますが、世界中でデング熱というのは一定程度あるわけです。日本の国には海外からやはり年間1,000万人を超える方々が来られたりだとか、もちろん国内から出て行って帰ってこられているという方々を含めればすごい数の方々が往来している。デング熱が流行している地域にもそういう人たちは行っているわけでありますから、先ほど申し上げたとおり、海外に渡航して海外でうつって帰ってこられた日本人の中でデング熱を発症する方々が200人ぐらいはおられるだろうと。その200人が当然、蚊に噛まれる可能性はあるわけで、そこを媒介しながらデング熱というものが他に感染しているということは十分推測はされるわけであります。突然流行というような、今年急に流行したという話ではないんだと思いますが、一定程度、日本人の中にデング熱というものを患っておられる方々はおられると推測はできるわけで、先ほど申し上げましたけれども、これだけ周知が進んでまいりますと、医療機関を通じて、1年間を通じてということになれば来年になるのかもわかりませんが、どれぐらいのデング熱を日本の中で発症される方々がおられるかということはわかってくると思います。ただ、もちろん、感染しても、先ほど申し上げたとおり、症状に出ない方々もおられますので、どれぐらい感染者がいるかということを示すというのはなかなか推測の域を出ないのかもわかりませんが、一定程度、やはりデング熱というものは日本の中にはある可能性は推測はできると思います。
記者:
明日、内閣改造が行われる予定なんですけれども、第二次安倍内閣が発足してから1人の閣僚が替わることもなく600日余りが経過して戦後最長となっています。こうしたことを踏まえてですね、これまでの第二次安倍内閣の政権運営を振り返ってどう評価されるか、また、今後どんな課題があるかとか、所見があればお聞かせください。
大臣:
安倍内閣全体の話ですとなかなか難しいところはあるんですが、600日を超えるこの安倍内閣の閣僚といいますか、メンバーが誰も替わらなかったというのは一つ、そういう中において安定して、これは厚生労働行政だけではありません。いろんな行政がなされたという意味では、いろんな意味で、今まで数年間にわたって内閣が不安定であったということから比べれば、いろんな仕事がそれぞれ安倍内閣において進んだというふうには思います。そうはいっても、いつまでも同じ内閣というわけにはいかないいろんな事情がございますので、改造ということになるわけでありますが、それはそれで、また新しい血がそれぞれの役所、また、安倍内閣の中に入るという意味で行政が前に進んでいくということでは、我々も期待をしなければならないというふうに思っています。厚生労働行政という意味からすると、いろんなことをやらせていただきましたが、やはり、安倍内閣の一丁目一番地のうちの一つはやはり経済という問題であったわけでありまして、やはりデフレを退治して、成長する日本の経済を取り戻すと。その大きな要素というものは賃金が上がっていくということでありまして、それは経団連でありますとか、経済団体でありますとか、また、連合等々のいろんな春闘の数字を見ていても、一定程度成果が出つつある。それから、最低賃金というところから見ても、昨年は15円上がって、今年は16円というような形で一応での結論を得て、各都道府県でそれぞれ出してきていただいておるということでありますので、2年連続大幅に最低賃金も引き上がってきているわけでありまして、最低賃金というものは一つの目安でありますから、一つの成果は出つつあるんであろうと。ただ、もちろん継続しなければなりませんし、消費税を上げるという、これは普通の物価上昇とは違う要因があるわけで、そういう意味からいたしますと、まだこれは上げるかどうかはこれから内閣の判断だということになると思いますが、来年の10月に向かって10パーセントに上がると。ここでもまた物価が消費税分上がるわけでありまして、そういう意味からすると実質所得というものは決して上がってないではないかというような御意見もある。もちろん、消費税というのはその年だけの話でありますから、毎年、消費税分だけ物価がずっと上がり続けるわけではないので、特殊要因でありますけれども、そういうものを勘案していくと、これからも賃金がしっかり上がっていくというような労働環境を作らなければなりませんし、あわせて、そこを意識してもあるんですけれども、例の正社員加速プロジェクトというものを打ち上げたというのは、私のそういう思いもあったんですね。正規社員というもの、正社員というものを増やしていく。つまり、(正社員に)なりたい方々でありますけれども、その中において安定して雇用の条件が改善してくる、労働の環境が良くなっていくという中においてやはり経済成長というものを一つ進めていくということもございましたので、それはまだ緒に就いたばかりでございますから、次に大臣になっていただく方がしっかりと引き継いでいっていただきたいなというふうに思います。危険ドラッグに関しましては、一定程度、このような形で進みつつありますので、これも継続をいただきたいなというふうに思っております。いろんな、厚生労働省は所管・所掌が多いものですから、一つ一つ言い出すと、もうたぶん、ここで2時間、3時間、私がずっとしゃべらなきゃいけない問題がありますが、年金の問題が然り、それから医療・介護の法律が通ってこれからそれを一つ一つ積み上げてものにしていかなければならないであります。そういう問題も含めて、それぞれ一つ一つのものは完結できてはいませんが、まずはスタートを切らさせていただいたものは多かったんだろうなというふうに思います。これを継続して行っていくためには、やはり安倍内閣、安倍政権が安定してこれからも進めるべきところをしっかり進めていただくということが重要だというふうに思っておりますので、新しい、明日ですか、内閣改造、新しい安倍第二次改造内閣ですかね。これがスタートするということであれば期待をさせていただきたいと。そして、我々も内閣から離れてもですね、与党という立場でしっかり支えていかなければならないというふうに思っております。
記者:
厚労省というと、官邸から抵抗勢力という言われ方をしていて、いろいろ御苦労もあったと思います。その中で大臣を見ていると、官邸の思いといろんな団体さんの思いというのをバランスしていくことに苦慮されたと思うんですが、今後、仮に大臣が継続されることもあり得ると思うんですが、あるいは変わることもあると思う。その中で、この政策は今後、官邸からの圧力というか、厳しいなかなか主戦場になり得るなというものは、例えばどんなものがあるでしょうか。
大臣:
抵抗勢力といいますか、動きが速いじゃないかっていって、官房長官からお褒めをいただいたことはいくつかございますので、それぞれうちだけではなくて、各行政、各役所、やはり古い体質もありますし、いろいろとそれぞれの役所はそれぞれの役所としての立つ理由がありますから、そこで民間委員の方々のいろんな御意見を規制改革会議や、産業競争力会議や、経済財政諮問会議や、いろんな会議がありますけれども、そういうところをいただく中において、そこで完全に一致しないことは確かにあると思います。ただ、私のこの1年8か月の経験からもそうでありますが、そういう方々とちゃんと胸襟開いて話し合って、厚生労働省はこういう立場からこういうようなことを申し上げているので、皆様方のお立場で言われていることはよくわかるけれども、そこをどう一致していく、一致点を見い出すかという話をさせていただきますと、どの会議のメンバーの方々も、そこはお互いに前向きに話をする中において着地点を見つけようとうふうにおっしゃっていただきますので、そういう意味では、よく意思の疎通をしていくということ、それからよく御理解をいただくように説明すること。逆に言えば、向こうの御説明もこちらもしっかりと理解をさせていただくことが大事だというふうに思いますので、たぶん、次の大臣の方もそのような形で進めていただけるというふうに思います。

(了)