田村大臣閣議後記者会見概要

H26.8.1(金)10:46 ~ 11:07 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。それではまず冒頭は私の方から、今日は多いんですけれども4件ほど御報告ということでお時間をいただきたいというふうに思います。まず、女性医師による懇談会の設置についてでありますけれども、現在、医学部生の約3分の1が女性となっておりますが、これからの医療現場においては女性医師がますます活躍することが期待されております。本年6月に改訂されました日本再興戦略においても、女性医師が働きやすい環境の整備を図るためということで、女性医師による懇談会の設置が盛り込まれたところであります。今般、これを受けまして、女性医師がライフステージに応じて活躍できる環境整備のあり方について、検討を行う場として、厚生労働事務次官の下でありますけれども、女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会を立ち上げまして、8月8日に第1回懇談会、8月24日にシンポジウムを開催することを決定いたしましたのでお知らせをします。なお、構成員につきましては別途配布しているとおりなので、御参考にしていただきたいというふうに思います。続きまして、これは有効求人倍率、雇用情勢についてでありますが、29日公表でございました。6月の完全失業率は前月と比べまして0.2ポイント悪化して3.7パーセント。有効求人倍率は0.01ポイント改善いたしまして1.10倍となりました。22年ぶりの高い水準であります。現在の雇用情勢は一部に厳しさが見られるものの、着実に改善が進んでおります。ただし、海外の景気の雇用への影響を注視していく必要があると考えております。雇用情勢におきましては、地域差などの課題に対応した雇用対策の推進でありますとか、正社員実現加速プロジェクトによる正社員就職の促進などにより、雇用情勢の一層の改善が進むように取り組んでまいりたいと考えております。続きまして、保護観察対象者の雇用についてでございます。厚生労働省では無職の保護観察対象者の再犯率が就労している者を大きく上回っていることなどから、平成18年度から法務省と連携いたしまして、刑務所出所者等に対する総合的な就労支援対策を実施しております。今般、こうした取組の一環といたしまして、厚生労働省といたしまして初めてでありますけれども、保護観察対象者を雇用することといたしました。具体的には、保護処分として保護観察を受けている未成年者を、厚生労働省が非常勤職員として採用いたしまして、一定期間、データ入力や郵送等の補助業務に従事させるとともに、就業に関する基本的な態度や、また能力を習得させつつ、並行してハローワークを活用して民間企業等への就職支援を行っていくというものであります。厚生労働省といたしましては、今回の取組により得た知見に基づき、刑務所出所者等を雇用する事業主の方々の御労苦にも配慮をしつつ、就労支援策を一層充実させていきたいと考えております。社会全体で同様の取組がさらに拡大していくことを期待いたしております。続きまして最後でございますが、平成26年版厚生労働白書についてでございますけれども、今日の閣議で平成26年版厚生労働白書を報告いたしました。今回の白書は「健康長寿社会の実現に向けて」として、これまでの健康に関する施策の変遷に触れつつ、国民の健康に関する意識を分析いたしました。あわせて、健康づくりに関する自治体や企業等の取組などを紹介いたしております。全ての人が生き生きと暮らせる社会となるには、健康について意識していただき、具体的な行動につなげていただくことが必要であります。そのきっかけとして、本白書を是非とも皆様方に御覧いただきたいというふうに思っております。以上でございます。それでは御質問をいただきます。

質疑

記者:
冒頭御発言が大臣からもありましたけれども、保護観察対象者の雇用の取組についてなんですけれども、これは法務省の同様の取組をすでにやっていたかと思うんですが、これは厚生労働省としてこうした取組を行うねらいというのと、それから、今1名ですけれども、さらに増やしていくのか、今後の方向性が決まっていればお願いします。
大臣:
以前から、この保護観察対象者の方々に対しての就労支援ということは、法務省といろいろと厚生労働省の間でも打ち合わせといいますか、話し合いをしてきたわけであります。法務省の方でスタートをされたわけでありまして、厚生労働省といたしましても、保護観察対象者の方々の就労に関して、やはりノウハウをしっかりと我々としても得ると、知見を得るということが大変重要でございますので、我が省として保護観察対象者の方を採用する中において、いろんなその保護観察対象者の方々が就労することに関してのノウハウといいますか、知識を得ていく。それを民間の企業等々の就労につなげていくということで、今回、厚生労働省も実施をさせていただいたわけであります。これからどうだというお話もございましたけれども、まずはこの1名の方でしっかりといろんな我々としても知見を得ていくということが重要であろうというふうに考えておりますので、我々の目標はあくまで社会全体の中で保護観察対象者の方々の就労が増えていく、それに繋げていくということでございますので、それに向けてのノウハウを得るための、今回の我々の試みであるというふうにお考えいただければありがたいというふうに思います。
記者:
ちょっと日が空いてしまいましたが、最低賃金の目安額が示されまして、16円ということに。生活保護との逆転現象も解消されまして、これについて大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
今般、この目安を参考にそれぞれ地方でお決めをいただくわけでありますが、目安ということになれば、これは最低賃金と生活保護との逆転現象を全都道府県で解消できるということになるわけであります。労使で熱心に、真摯にいろいろと検討していただく中において、今般の平均16円という最低賃金の引上げの基準が決まってきたわけでございますので、それに関しましては心からそれぞれ労使とも、我々感謝をさせていただきたいというふうに思っております。16円という金額は去年よりも基準としては高いわけでございます。もちろん、以前から申し上げておりますとおり、労働市場は非常にタイトになっております。有効求人倍率が1.10倍と先ほど御報告申し上げましたが、そのような状況でございますから、非常に賃金が上がりやすい状況であるわけでありますが、しかし、16円という金額を考えますと、中小零細にとってみればそれだけの最低賃金の引上げに対応しただけの、それぞれの経済環境といいますか、利益の出るための環境というものが必要なわけでありまして、そういうような環境を作っていくのは政府の役割でございますから、しっかりとこれからも景気回復等々に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。いずれにいたしましても、経済の好循環にとりましては、所得の増加というものが非常に重要なファクターであることは確かでございますので、これからも好循環の流れを続けていくように、厚生労働省としても最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
記者:
総務省から生活保護の不正受給があった場合に、発覚してから減額処理するまでに7割近くが1か月以上かかっていたということで、もっと迅速な処理をするよう自治体に指導してくださいと厚労省に対して勧告がありましたけれども、標準期間を設けてくださいということも盛り込まれていますが、それについての受け止めをお願いいたします。
大臣:
いくつか勧告をいただいたわけでありまして、保護申請の迅速かつ適切な処理でありますとか、また不正受給事案の処理の迅速化、これに関してもいただいたわけでありますし、また医療扶助の適正支給でありますとか、さらには保護からの脱却の促進でありますね。さらには就労支援、これは当然のごとく保護からの脱却ということになれば就労等々にもつなげていかなきゃならんわけでありまして、それの的確な見直し等々をいただいたわけでありますけれども、以前から、これはやはり我々としても課題として認識しておった部分でございまして、先般の生活保護法の改正の中にも同じ趣旨が盛り込まれているわけであります。そういう意味からいたしますと、いただいた勧告を真摯に受け止めながら、また先般の生活保護法の大改正も踏まえて、各自治体に指導・助言をしっかりとしていく中において、勧告いただいたところをしっかり我々としては直していけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
記者:
昨日、ノバルティス(ファーマ社)に対して業務改善命令が出されましたが、その中で営業部門、MRの方がその安全管理部門に状況を報告していないというところを指摘されたと思うんですけれども、一方、武田(薬品工業)とかでも同じような問題が、副作用未報告という問題ではあると思うんですが、製薬業界全体に、もちろん省令で定めてちゃんとしろとは書いてありますけれども、改めてそういうことを通知するとかということは考えはありませんでしょうか。
大臣:
ノバルティスはですね、元々、1万件を持ってきたところでございまして、ちょっと特別ですね。MRの方々がかなりそういう情報を、副反応報告といいますか、その情報を何て言うんですか、ちゃんと管理していないというか、会社として管理できていなかったという企業でありますから、ちょっと特別な事案だと思います。ただ、他の製薬メーカーもノバルティスのようなことを我々も念頭には、そんなことだと大変なことになっちゃいますから、念頭においているわけではないんですが、ただノバルティスがああいうようなことをやっておりますので、他の製薬メーカーにももう一度しっかりとそういうところは副反応報告等々は上げていただくということで、通知のような形で出させていただきたいというふうに考えております。確認の意味でですね。あわせて、MRに対するいろんな研修会をやっておりますので、そういうところにしっかり参加していただいて、もう一度、非常にセンシティブな、重要な情報を扱っておられるんだということで、副反応報告等々があればしっかりと出していただくというようなことも含めて対応いただくというようなことになろうというふうに思います。
記者:
一応、通知を出すと。
大臣:
通知を出したいと思っています。
記者:
関連で、通知はいつ頃に出すと。
大臣:
そんなに遅くはないと思います。なるべく早く出させていただきたいというふうに思っています。
記者:
冒頭の最低賃金のことでうかがいたいんですが、最低賃金は全国平均で16円の引上げになりましたけれども、地域ごとに見ると最も高いAランクでは19円上がる一方で、最も低いDランクは13円ということで、都市部と地域の格差が今回は結果的には目安どおりだと広がるという結果になります。好循環のためには都市だけではなくて地域の引上げというのも必要かなと思うんですけれども、そういった都市部と地方の格差が広がるかもしれないということについてはどういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
それも踏まえて、いろいろと労使で御議論があったんだと思うんです。確かに地域間で最賃の格差が広がるという、広がり続けるといいますか、どんどん広がっていくというのはあまり日本の国全体の中ではよろしくないことであろうという考え方がある一方、やはり都会と地方では雇用環境が違っているのも事実であります。有効求人倍率等々、失業率等々を見ても全国的にかなりの差があるのも事実であります。そういうところを慎重に御議論いただいた中で、今回のような御結論をお出しをいただいたということでございますので、問題点は問題点として踏まえながら、両方面ですね。今言いました2つの問題点といいますか、それを踏まえながら、我々としては今回の審議会の報告といいますか、御結論というものを真摯に受け止めたいというふうに考えております。
記者:
関連してもう1問。今、政府としては、前の政権の時の合意ではありますけれども、政労使の合意で2020年までのなるべく早い時期に、最低賃金を全国平均で1,000円、最低で800円にするという目標を掲げてます。ただ、実質的に今回が目安どおりの引上げがあっても最低賃金が全国平均で780円ということで、2020年までの残り6年の間に全国平均を1,000円まで上げようと思うと、平均額を40円近く毎年これから上げていかなければならないということになります。1,000円、800円という目標について今後見直される考えがあるのか、あるいはそのまま目標は目標として置いていかれるのか、そこは大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
そうですね、当然、平均の最低賃金1,000円というような状況を実現しようとすれば、それだけの経済環境にもっていかないと、何でもいいから上げるという話になれば、今度は逆に国際競争力やいろんな問題が出てくるわけであります。我々も今、そういう目標をですね、これは前政権の時にお作りになられた目標でありますが、我々としてもそれを引き継いでおるというところがありますので、そういう経済環境を目指すよう努力をしていくということであろうと考えます。
記者:
確認ですけれども、1,000円、800円という目標は堅持するということでよろしいわけですね。
大臣:
まだ放棄しておりませんので、引き継いでおるということであります。
記者:
牛丼のすき家がですね、第三者委員会の発表がありまして、労働条件が非常に悪いと。一人でずっと深夜も働くですとか、残業が非常に多い、あるいは家に帰れない等々の状況がありましたけれども、そういうことについて受け止めと、今後、そういうすき家に限らず、いろいろそういう人手不足の中でさらに状況が悪化する可能性もあると思いますが、厚労省としてどういうふうにしていくお考えでしょうか。
大臣:
今までもですね、すき家さん、ゼンショーさんに関しましては我々として指導もしてきたところでありまして、そういうものを真摯に受けていただいて、真剣に受け止めていただいた結果だというふうに思います。いずれにいたしましても、労使とも納得いく形の中において、労働基準法に則った関係というものをお作りをいただきたいというふうに思うわけでありますので、今回、そういうような方向で、一つ、その第三者委員会ですか。ここでそのような報告書を出されたということでございますし、すき家さんにしてみればそれを真摯に受け止められたということありますから、それはいい方向であろうというふうに思います。これだけ非常に労働市場が厳しくタイトになってきておりますので、正直申し上げて、あまりむちゃくちゃなことをやられるところはやはり人がなかなか来ないということになってこようと思いますから、改めて、景気を良くしていくということがですね、これは一つ、全てじゃありませんが、一つの労働者と雇用者といいますか、使用者と労働者の関係の改善といいますか、いい方向に労働者の方に動いていく一つの要因ではあるなと。ただ、一方で忙しくなってくるというようなところの中において、残業が増えてくるのをどのように対応していかなければならないのかというような課題はあるのは事実でありますけれども、賃金に関するいろんな問題でありますとか、そういうことはちゃんとしていただかないと、なかなか労働者に来ていただけないというようなことにはなってきているんだろうというふうに思います。今回のことは今回のことで我々としては非常にいい方向だというふうな形で受け止めさせていただいております。
記者:
それの関連なんですけれども、おっしゃるとおりだと思うんですけれども、労働人口が減っていく中で、そういうファーストフードの24時間営業とか、スーパー、コンビニもそうですけれども、そんな中で今回人手不足で長時間労働、月100時間以上やっているわけですよね。そういう24時間社会の見直しとか、そういうのも視野に入ってくると思いますけれども、大臣はどのようにお考えですか。
大臣:
24時間営業をどう考えるかということですか。
記者:
そうです。それが人手不足を招いて、長時間労働を強いているという指摘もあるわけですね。そういう24時間型社会を大臣はどうお考えですか。
大臣:
なかなか難しい話ですが、厚生労働省の立場からしてみれば、やはり残業といいますか、労働時間があまりにも長いというのはあまりよろしくないわけでありまして、もちろん36協定でありますとか、いろんな法令上の取決めはありますけれども、しかし、労働時間が長くて、ワーク・ライフ・バランスが保てないというものはあまりよろしくないというふうに考えております。ただ、24時間営業が良いか悪いかというのは、それはいろんな手法があると思いますし、効率化、少人数化、いろんなやり方があるんであろうと思います。適切に労働基準法を守っていただきながら、また、労働者の方々のワーク・ライフ・バランスを守っていただきながら、そのような形が、もしニーズがあって必要であれば、そのような形というのも一つの考え方であろうと思いますが、ただ、我々は労働者の立場を守るという立場でございますので、過重労働にならないような形で24時間型の世の中というものが実現できるのかどうなのかというところが大きな課題であろうというふうに思います。

(了)