田村大臣閣議後記者会見概要

H26.1.10(金)10:34 ~ 10:52 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私から冒頭はございませんので、どうぞ御質問の方をよろしくお願いします

質疑

記者:
ノバルティスの刑事告発の件ですが、誇大広告だけで刑事告発をしたというのは初めてになるということですが、そのような異例な告発に至った理由と、今後厚労省の検討委員会としてはどのように進めていく方針かをお聞かせください。
大臣:
今般の告発でありますが、言うなればこの臨床研究というものを非常に、これからの日本の医学の発展でありますとか、新薬等々の開発、非常に注目をされている分野でありますし、力を入れてきているわけであります。実際問題、いろいろと成長戦略という分野からも、このようなものに期待がある中で、そもそもその新しい薬等々を作っていく中においての臨床研究というものの信頼を揺るがしかねない。今回の場合は、新しく認可等々ではなくて、他の効能という意味ではあったわけでありますけれども、しかし臨床研究という意味では同じわけでありますから、そういうものに対して誇大広告等々ですね、非常に問題があることが今回見受けられるわけでありまして、こういうものに対しては臨床研究の信頼性というものを含めて、我々としてはきついといいますか、そういう対応をさせていただいたということであります。これからの検討委員会の方の対応でありますが、まだ残っていたところの大学の報告を頂いて、この後再発防止という意味では、中間的に出していただいた報告書から更に付け足す部分があるということであればですね、その中においてどのような再発防止策があるかということを御議論をいただくということになろうというふうに思います。ただ、調査という意味からいたしますと、これはもう捜査の方に入っておりますので、そちらの方は検討会の方ではやらないということでございます。
記者:
今日一部報道でありましたが、アルツハイマー病の国家プロジェクト「J-ADNI」の方で、臨床試験のデータが改ざんされた可能性が浮上したと。また、条件に合わない患者も多く含まれていたということですけれども、これは厚生労働省としても調査を始めたとありましたが、事実関係を教えていただけますか。
大臣:
データの変更があったわけでありますが、これが適切なものであったのか、それとも不適切なものなのか。現在調査をさせていただいておるということであります。まだ内容的にはどうなのかということは、ちょっと分からない状況なので、聞き取りをさせていただきながら、実際問題どのような内容なのかということを、これから更に調べさせていただくということになろうというふうに思います。
記者:
聞き取りなどはこれからということで。
大臣:
いや、聞き取りは一部はもうさせていただいております。
記者:
今の「J-ADNI」に関連して、調査というのは大体いつ頃までにというふうにお考えでしょうか。
大臣:
これはちょっと随時といいますか、もう聞き取りは始めておりますけれども、なかなかそれぞれ聞き取りをさせていただいている中でも、いろんな見方があるわけでありますので、これが本当に適切な変更であったのか、それともいわゆる改ざんなるものなのかというものに関しましては、調べていく中で、どれぐらい時間がかかるものなのかということ。それから、我が省だけではないものですから、他の省庁とも協力をしていける部分があれば、これはやっていかなければならないので、今現状いつまでにということはなかなか言えないわけでありますが、もちろんいつまでもやっているわけにはいかないので、なるべく早くやっていきたいというふうに思います。
記者:
調査の方法なんですが、今聞き取りというお話があったんですけれども、それ以外にも何か検討されていることがあれば教えてください。
大臣:
もちろん、ここでいろんな研究をされているわけなので、基本的にはデータ等々をどういうものなのか。ただ、実際問題、いろんなデータを変更するに当たってのプロセスみたいなものに関しても、なぜそのようなデータの変更になったのかということに関しても調べていかなければいけないわけなので、基本的にはそういう資料等々をお出しをいただくなり、要請に応じて、していく中において確認をしていく作業。それからまた他の方々からいろんな聞き取りをさせていただく作業等々という形になってくると思います。
記者:
この件ですけれども、ノバルティスとも若干似ている部分があるかと思うんですが、認知症、アルツハイマー病に対する治療方法を確立するというのは、非常に国際的にもいろんな国が協力し合ってやっていくという中で、日本の国もプロジェクトとしてかなりの研究費をつぎ込んでやろうとしています。それで、今回まだ改ざんの疑いレベルではあるんですが、こういう話が出てきただけでも、疑問の目を向けられる面があるんじゃないかと思うんですが、こういった部分についてですね、大臣はどのように受け止めてらっしゃるのかということを。
大臣:
ノバルティスの場合は、正直言ってかなり疑わしい状況でございますので、内部調査を含めて検討会を作っていろんな調査をやってきましたけれども、もう限界だということで、いよいよ告発ということで捜査の方に入っていただくわけであります。一方で、こちらの方は報道ベースの中で、いろんな報道も、取材もされておられるという中において、そういうような話があるということも、我々も認識をさせていただいたわけなので、実際問題本当にそういうことがあるのか、ないのか。中でどういうことがあってそういう声が上がってきているのかということも含めて、これは慎重に調査をしていかなければならん問題だと思います。もちろん、これが本当に改ざんということになれば、大変な問題でございますから、我々も慎重に調査をしなきゃいけないんですが、一方でそうじゃなかった場合は本当にこのアルツハイマーには、国際的に協力しながらやっている研究でございますから、それに対して大きな影響、信用度も含めて出てくるわけでございますので、まだ我々は改ざんがあったというふうに決めつけているわけではございません。ただ、そういうような声があるということは、キャッチをしておりますので、ここは慎重に調査をさせていただきたいというふうに思います。
記者:
遺族年金の生計維持要件を見直す政令案についてなんですけれども、昨年からパブリックコメントにかけられて、これをどういう形で見直していくかっていう方針を改めてお願いします。
大臣:
遺族年金の問題ですか。
記者:
はい。
大臣:
これはですね、遺族年金等々の制度をですね、女性と男性との間で差があるということで、これをある程度ならしていこうということでですね、検討させていただいた結果、今まで対象になっていた方々が対象にならないというような問題もあるということで、見直しの中において我々もその問題意識を持っていたものでありますから、パブリックコメントでいろんな御意見をお聞かせをいただいた結果、やはり我々が懸念していた部分に関してかなり御心配のお声があるということでございますので、結果としてですね、そこに関してはやはり今まで対象になっておられた方々が外れないような形でということを修正をさせていただいて閣議決定をさせていただいたということでございます。詳しいのはまた資料をお配りをさせていただくというふうに思いますが。
記者:
当初からこう指摘されていたような問題というのは想定されていたと。
大臣:
それはやはり我々もある程度問題意識を持っておりました。どれだけおられるかということはあると思うんですけれども、しかし、レアケースと言って良いのかどうかわかりませんが、そうではありながらやはり例えば今まで生活の主体者であった方がですね、その後何かで会社を辞められる等々で第3号(被保険者)になられたようなことも起こり得るわけでありまして、そういう場合に遺族年金の対象にならないというようなことになってきますとですね、これはやっぱりどれだけ数があるかわかりませんが今までとは違う形になるわけなので、主たる生計者というような考え方というものもあまり厳格に当てはめるとですね、ちょっとやっぱりいろんな問題が出てくるという問題意識を持っておりました。ただ、どれくらいの国民の皆さんにとってですね、影響というか反響というか何て言うんですかね、そういう関心をお持ちなのかなという部分も含めてパブリックコメントというのはあるわけで、やはりそこでかなりそういう問題はおかしいのではないかという御意見を頂いて、それは我々が当初持っていた問題意識のうちの一つでございますので、それに関しては修正をさせていただいて閣議決定をさせていただいたということであります。
記者:
今回この部分について事実上の撤回というような形になるかと思うんですけれども、一方でこの遺族年金の制度の趣旨とか目的を考えたときにこの生計維持要件をどう考えていくかというのはやはり今後も一定の見直しが必要になるのかなと思うんですけれども、そういう大きい意味で。
大臣:
これでですね、動かしてみてですね、どういうお声があるのかということはまたあるのかもわかりませんが、とりあえず今まではそうだったわけですよね、男女は別といたしまして。そういう流れの中でより公平にというふうにした結果、今まで対象だった方が漏れてくるみたいな形になるということ自体はですね、やはり問題はあるんだろうなという認識を持っておりますので、そういう中での修正でございますから、もしこれで動かしてみて逆にこれが不公平だという声が増えてくるならば、それはその時にまた見直すということはあろうとは思いますけれども。
記者:
ノバルティスのディオバンの件なんですけれども、誇大広告の疑いということですが、今回日本高血圧学会のですね、幹部などを中心におびただしい数の大学教授などがですね、広告・宣伝に相当な期間にわたって関与していたと思うんですが、この辺りの問題ですとか責任については大臣としてどうお考えなのか、今回刑事告発にあたりましてどのような問題認識として捉えてらっしゃるんでしょうか。
大臣:
いろんな薬のですね、どこまで広告でどこまでが広告じゃない説明なのかという問題はあろうとは思いますけれども、少なくとも今回のですね、ディオバンの件に関して申し上げればこれは明確に行き過ぎがあったのであろうというふうに我々は認識をいたしておりますので、そのような意味からしたらまずは本元といいますか、それに対して我々は告発をさせていただいたという形ですね。あと関わった方々はおられるとは思いますけども、それは純粋にいろんな立場から関わっておられる方々はおられると思いますので、というよりかはやはりこの本丸の方に対してやはり我々としてはこのような立場を取らさせていただいたということだというふうに思いますね。
記者:
「J-ADNI」の件についてなんですけれども、登録されている患者がそもそもその研究の条件に合わないものも多く含まれていたということについての調査をどういう形でということと、それによって結局この「J-ADNI」第2弾の研究が始まっていますけれども、第1弾そのものの研究成果がまとまっていないと。そのためによってまとまっていないという指摘もある。このことについてどういうふうにお考えなのかということを。
大臣:
正直申し上げましてですね、今回のこと自体、言うなれば我々自身もですね、元から問題があったというふうな認識の下でやっているわけではないわけですよね、これ。今回のことがですよ。要するに、その問題が元々あるという中において調査に入っているものではないわけであります。ただ、そういう問題意識というものはいろんな中において報道の中の調査の中において我々も認識をした中でですね、対応しておるわけなので、何て言うんでしょうか、まず事実関係しっかりと確認をするっていうことから入らないとですね、予断を持って入るとこれはまた問題があって、逆に誤解を招くかも分からない。しかし、本当に問題があった場合にはこれ厳しく対処しなきゃならないというようなスタンスで入っておりますので、まずはいろんなものを調査させていただくということが大前提で、その後のいろんなものに対してのコメントというのはですね、その上でさせていただきたいというのが今の現状でございます。少なくともディオバン、ノバルティスの案件とはまだ、何て言うんでしょう、ステージが違う。もしかしたらそもそもステージって言うか、そこにも乗らない話なのかも分からないし、同じステージの話なのかも分かりませんが、まだそこまで行っていない状況での調査でございますので、ちょっとそれをある程度進めていかないことにはなかなか今まだコメントが出しづらいというのが本当のところでございますので、早急に調べさせていただきたいというふうに思います。
記者:
東日本大震災の被災者の医療費の免除の問題で、去年の4月以降宮城県ではほとんど打ち切りになったようですが、暮れに厚労省が医療費が増えている国保に関しての財政支援措置拡充っていうことを打ち出したんですが、これによってその免除が再開ですとか、そういったことを促すなり、それにどういう効果を与えるというような御認識をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
大臣:
今もある程度国保に対しては支援策をやっているわけで、軽減策ですよね。各自治体と言いますか、国保の保険者の自治体のその、何て言うんでしょう、姿勢と言いますかね、対応によって今も全額免除のところとそうじゃないところがあるわけなので、そういう意味では宮城県というか、宮城のそれぞれの自治体がですね、どのような対応をされるかという中において、ある程度財政支援をすればですね、そこのところはいろんな選択の幅は広がってくるのではないのかなというふうには思います。ただそれはそれぞれの選択でございますし、それぞれの被災者の方々の状況も地区によって違うわけでありますから、そこのところはですね、どういう対応、福島の一部地域は別でありますけれども、これは国の方が対応しっかりやっておりますのでそれは別でありますけれども、他の地域のところに関しましてはそれぞれの対応ということ。その中において財政支援を強化をさせていただくと。その中においての選択をしていただくという話なんだと思いますね。
記者:
後期高齢者(医療)とか介護保険でもこういったことをやるお考えはあるんでしょうか。
大臣:
今のところはちょっとそういう認識は私は持っておりません。

(了)