田村大臣閣議後記者会見概要

H25.12.13(金)10:01 ~ 10:22 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私の方から1件御報告です。閣議で特殊法人の理事長の人事について了承されました。内容は日本年金機構理事長の水島藤一郎さんでありまして、今年12月31日で任期満了となりますけれども、引き続き再任をすることで、閣議で了解を得ました。以上でございます。それでは御質問のほど、よろしくお願いします。

質疑

記者:
診療報酬改定に関してなんですが、閣議前の時点で田村大臣を含む関係閣僚の皆さんでお話合いの時間を持たれたということなんですが、その場で田村大臣からどのように厚労省としての立場に関してお話しになられたのかということとですね、今日の会合ではどのような話があって、現状の改定の状況について御所感頂けますか。
大臣:
今日はそれぞれの主張を、それぞれの大臣からさせていただいたということでございまして、淡々とそれぞれの議論をさせていただいたということであります。私の方からはいつも申し上げておりますとおり、一つは国民会議の報告の中から医療供給体制の見直しをするわけでありまして、そのような意味からいたしまして、今回の税と社会保障の一体改革、消費税の増税分を使いまして適切な医療にアクセスできるような体制の整備をしていかなければならないと。急性期からですね、受け皿になる、そのような病床を整備するとともに、在宅医療の推進をしていくことによって、適正な医療費の伸びに抑えていくということが重要でございますので、そのような方向。それからまた、救急でありますとか、周産期、小児、更にはがん、認知症対策、精神科疾患の対策。こういうことも含めて、薬価改定で今までいろいろ対応してきているので、そちらの方の必要性というものも、私の方から意見を申し上げさせていただいたということでございます。あとは、いろいろと人件費の話だとか、いろいろな話をさせていただきましたけれども、いずれにいたしましても、我が省としての考え方というものを今日はお示しをさせていただいたということであります。
記者:
診療報酬改定に関しては、来週末の予算編成決定の中ですね、大臣会合等で決まっていくことになるかと思いますが、今後ですけれども大臣として診療報酬のマイナス改定を求める声も政府内にあると思いますが、どのように理解を含めてお考えでしょうか。
大臣:
これは必要性というものをしっかり御理解をいただけるように、説明を具体的にさせていただきたいというふうに思っておりますので、ただ思いの中では、やはり我々も今の状況のままでは最終的には医療保険財政が大変なことになりますから、そのために我々は以前から健康づくりですね、重症化予防。予防と健康管理というようなことも省内挙げて、対策本部つくってやってきておるわけでありますし、全体として適正なところに適正な患者さんがサービスを受けるようになれば、無駄な医療の伸びというものは抑えられるわけでございますので、そういう中において、医療の給付の伸びを適正に抑えていくということが大事であると、このように思います。
記者:
原爆症の新しい認定制度に関して、自民党内の議連の方で新たな基準を設けるようにと、具体的な案もすでに出ていると思いますが、厚労省から新たな認定制度について案が示されるような予定になっていると思いますが、現時点での検討状況と、自民党側から示されている認定基準について大臣の御所見をお願いできますか。
大臣:
これは与党とですね、いろいろと与党の御意見を頂きながら、我々としても最初12月16日の医療分科会の方でお決めをいただく話になろうと思います。具体的ないろんな御意見を与党から提案いただいておりますので、それに沿ってですね、16日に御議論をいただけるものというふうに思います。
記者:
予算の基本方針が昨日閣議決定されましたけれども、原案では診療報酬改定については「新たな国民負担につながることは厳に抑制する」という表現でした。自民党内から批判が続出して、結局、昨日閣議決定されたものは「新たな国民負担につながらないように努める」という表現に改められました。この変化について診療報酬改定に及ぼす影響をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
党のお考えというものが一定程度反映されたのかなと。これは与党・政府一体でございますから、党の意見もしっかりと伺わなければいけないところでございます。これでどのような影響が出るかというよりかはですね、やはりある程度それは将来に向かってですね、医療の給付というものの伸びを抑えていかなきゃならんということは共通した認識だというふうに思います。あとはその手法をどのような手法で取り入れていくかという話で、これから我々といたしましては、そのための必要な診療報酬を主張していくという話でございますから、方向性は与党も政府も同じだと思います。あとは手法という意味でどのような手法を採っていくかということで、我々厚生労働省としては与党ともいろいろと御議論をさせていただきながらですね、関係省庁と詰めをさせていただきたいというふうに思います。
記者:
労働時間規制のことでお尋ねします。政府の産業競争力会議の方で、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションについての民間議員の提案が10日の会議で出てきまして、特徴的なのが一つは地域や企業を限ってですね、臨時国会で成立した国家戦略特区法やあるいは産業競争力強化法の枠組みを使って、一部の地域や企業で先行して年収1,000万円超の労働者に限って実験をして、その上で来年の秋から導入を広げたいというような提言があったんですけれども、一つはこういった特区などを活用してですね、一部の地域や企業で先行導入するということについてどうお考えかということと、年収1,000万円という一つの数字が示されたわけなんですけれども、この数字について何か大臣は受け止めはございますでしょうか。
大臣:
一つその特区でやる一部の企業でやるということが適当であるかというと、我々は労働者を保護する立場の省庁としてはやはり全国一律でやっていくというのが我々としては基本的な考えなので、どこかだけ特別というのはなかなか我々としては良しとは言えないところだというふうに思います。ただ、労働時間に関する一つの考え方というのは今まで我々も議論をしてきております。今、労働政策審議会でもですね、企画業務型の裁量労働制の御議論をいただいておりまして、ここと相容れない話ではないんだろうと思います。詳細は私どももまだわからないのでどういうようなことを、制度設計をお考えになられておられるのかということ、つまり働く方々の立場に立ってもお考えになられておられるんでありましょうから、自分自身である程度それこそ裁量を持って働けるような働き方というものが労働者にとってもそれは幸せであろうという考え方の基に立っておられるとすればですね、基本的なみなし労働時間というものをどうお考えになられて、それに対する賃金がどうなのかということも含めて考えてなきゃならん話でございますから、そこは労働者が不当に長時間労働のみならず労働量が現状の給与水準よりも事実上低くなるような、つまり業務量は多いけれども労働時間も多いみたいな話になりますと、これはもう事実上賃金が下がっちゃうみたいな話になっちゃいますから、そういうことのないような形でどう制度設計されるかということを考えれば、今言っている企画業務型裁量労働制で対応できる部分もあるのではないのかなというふうなそんな感じはあります。だからちょっと中身をいろいろとお聞かせをいただいた上でそれを実現できるためには、今どのような形で対応できるのかということは、今労政審でもやっておりますので、これから考えていくということはあるんだというふうに思います。ただ、全国一律ということが基本的だとは思いますけれども。
記者:
1,000万円という一つの数字はこれはどういうふうに。
大臣:
これはちょっと我々も1,000万円というのをどう判断するのかって今言われてもですね、なかなかどのような業務で1,000万円なのか、どういう人たちが対象になるのかという部分もありますから、ちょっと今ここでは具体的に1,000万円ということに関してはお答えを差し控えさせていただきたいなというふうに思います。
記者:
抗がん剤のPR記事というかですね、雑誌が有償でPR記事を出しているということで、かなり広く行われているようで、記事だと称してですね。厚労省が調査されているという話なんですけれども、この問題について大臣の問題意識というか、患者さんの治りたいという気持ちにつけ込んだビジネスでもありですね、ちょっと問題が多いんではないかと思っているんですけれども。
大臣:
お金がやりとりされているという話になると、抗がん剤の場合はその効き目の強さもありますので、広告は駄目なわけでありますから、そこはちょっと問題があるんだろうと、ですから今ちょっと調査をさせていただいてですね、これで薬事法の違反が見られればその時は適切な対応な対処をさせていただきたいと思います。ただ一方で、やはりそういう情報を知りたいという患者さんの思いもありますので、そこがどこならば駄目かみたいな、どこまでがいいのかということをちょっとやはり整理はしなきゃいけないと思います。あまり何もかもお金を払って広告ではないといいながら載せているというものがですね、本当にそれは広告でないのかという判断もしなきゃいけませんし、情報の提供という意味もあるし、そこのバランスだと思いますので、それはちょっとこれから調査しながらですね、我々としても一定の方向性というものも考えていかなきゃならんと思います。大きな問題を持たなきゃいけない点だというふうに思ってます。
記者:
ディオバンの問題とも共通すると思うんですけれども、あたかも客観的な意見のようにですね、信頼性をお金で左右するような行為が製薬業界に広がっているように見受けられるんですけれども。
大臣:
ディオバンはちょっとね、あれはちょっと中身のデータがあまりにもひどすぎるんで改ざんが大きく疑われる話でありますから、ああいうものは論外なんでしょうけれども、しかしいずれにしても、ディオバンも同じような広告とも広告でないともつかないような話がございましたのでそういうことも含めてですね、ちょっとやはり我々としても問題意識を、ただ一方で情報という意味もありますんでね、そこのバランスは重要だと思いますけれども。
記者:
ルールの明確化ということでしょうか。
大臣:
そうですね、問題意識をしっかり持って我々も考えていかなきゃならんというふうに思います。
記者:
なかなか言いづらいと思うんですけれども、調査の終了とかの目途とか、終了時点の対応とかって今段階でどのように考えてらっしゃいますか。
大臣:
調査がどれぐらいかかるか分かりませんが、いずれにしても対応は薬事法違反がそこで明確に我々認識できれば、その時には薬事法違反としての対応をさせていただくというふうになろうと思います。
記者:
昨日閣議決定された予算編成の基本方針なんですけれども、この中でですね、70から74歳の医療費自己負担を2割負担にすることは平成26年度から段階的に実施すると書かれているんですけれども、ここでもう4月から実施することは正式に決めたという理解でよろしいんでしょうか。
大臣:
まだ違うと思います。予算編成の過程ですから、予算編成がセットされた時点だと正式にはそういう話になろうと思います。
記者:
養子縁組の斡旋(あっせん)のことについて伺います。今週東京都が一部の民間団体についてですね、金銭の徴収方法ですとかなどについて問題があるということで改善を行政指導しました。このことに対する受け止めと、あと東京都の方から団体に対する指導基準の明確化ですとか、斡旋のガイドラインの策定をしてほしいという要望が出ているかと思うんですけれども、それへの御対応について併せてお願いします。
大臣:
これは本当に遺憾な話でございますね。我々といたしましても、これは問題意識を持って対応していかなきゃならんというふうに思います。透明性の確保についてですね、都の方からもいろいろとお伺いしておりますので、これは適切な対応をしていかなきゃならんというふうに思っておりますね。
記者:
ガイドラインの作成については具体的にいかがですか。
大臣:
ガイドラインもある程度のものを、いろいろとこちらも調査しなきゃいけないんで、どういう状況なのか。その上で何らかのものはお示しをしていかなきゃならないんだというふうに思います。
記者:
関連してもう1個なんですけども、全国の産婦人科の病院が新団体を9月につくってですね、ネットワークを作って養子縁組をやっていこうという話が出てきまして、ただ運営費の確保っていうのがやっぱり問題になっていると。今後の将来性の方向性としてでかまわないんですけれども、公的助成を求める声もあるんですが、それへの対応っていうのはいかがですか。
大臣:
これはですね、今すぐというよりかは、まずはその当面今言いました透明性の確保策、これが今どういう状況になっているのかということ。それからそれぞれの事業者というか、この運営主体者って言いますかね、お子さんでありますとか、お子さんの親御さんであるとか、また、養子を求めておられる方々、養子縁組を求めておられる方々に対してどういう支援をされているのかというのを、ちょっと調査してみてですね、その結果を見て支援策、財政支援も含めてどういうものがあるかということを検討していかなきゃならないので、まずは今現状をですね、しっかりと我々として認識することがまずはじめだと思いますので、その上で検討させていただきたいというふうに思います。
記者:
最後もう1点。養子の全体像なんですけども、養子を希望する方はすごく多いと思うんですけども、一方で施設で暮らす子供達もいてですね、もうちょっと積極的にその里親委託ですとか養子縁組の斡旋を進めた方がいいんじゃないかっていう意見もありますけども、今後の方向性として大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今一つは児童養護施設でもですね、小規模化をしてくださいと、グループホームのような形にして家庭的な雰囲気を出してくださいというようなお願いを進めておるわけですね。併せて、里親に関しましても、ガイドライン等々を策定しながら、相談員、相談支援員みたいな形でですね、里親に関してのいろんな支援をしていきたいというふうに思っておりますので、里親もしっかりと当然のごとく進めていかなきゃならんと思います。養子縁組は養子縁組で先程来言っておりますような透明性でありますとか、それぞれの支援ですね、運営者の支援がどうなのかと、こういうことも含めて我々しっかりチェックしていかなきゃならないので、いずれにいたしましても、やはりできればお子さん方が家庭的な雰囲気の中でですね、お育ちになられるということが我々としても良いのではないかというふうに思っておりますので、そのような方向、なかなか難しいところもあるんですけどね。その里親は里親でなかなか小規模の里親はいろいろと頭を悩まされておられるところもありますし、だからそういうものに対してしっかり支援をしていかないとですね、ただ単に里親に任せて後は知らないっていうわけにはいかないものでありますから、総合的な支援策も含めて、里親施策も進めるように我々としては努力してまいりたいと思います。
記者:
ちょっと報道ベースの話で申し訳ないんですけれども、大阪市がですね、生活保護費の受給者の親族に市職員がいる場合、市職員の例えば親とかに生活保護費を受給している人がいるような場合にですね、職員に対して仕送りをするように促す方針を決めたという報道があるんですけれども、これはあくまで強制ではなくて、かつそれを受給要件にはしないというふうになっているそうなんですけれども、来年の法の施行後ですね、一般の親族の方、受給者の親族の方にもこうした運用を拡げていくというようなことが方針として打ち出されているようです。これに対してですね、大臣の御見解というのがあれば伺えますでしょうか。
大臣:
ちょっと現状どんな話なのか私も分からないので、よくよく調べてみないとちょっと私正確なこと言えないんですけれども、扶養は保護に優先することは事実でございます。ただそれが要件になっちゃいけないので、生活保護というものはちゃんと決定をしなきゃならないと。その上で本当に扶養ができる人であるならば、これ家事審判等々、家裁でですね、我々が訴えるような、そのような案件であるならばですね、それは後からでもそれは扶養者にその分を払っていただくという話なんで、そこは、そこをあらかじめ確認するための話なのか、ちょっとよく分からないんであれなんですけど、少なくとも扶養は生活保護の要件ではございませんので、必要である方にはしっかりと生活保護費というものをですね、支給をいただきたいと。扶養があるかどうかはその後どう判断されるかというそれぞれの自治体の判断、正確な判断というのが必要なんだというふうに思いますね。
記者:
例えば市がですね、職員に対してこういう方針を打ち出したっていうことで、例えばこう無言の圧力になる可能性っていうことはございませんか。
大臣:
その職員の方々以外にですか。
記者:
職員の方と、それ以外に対しても含めて。
大臣:
職員の方にそのどういうようなルールでそういうことを伝えておられるのかちょっと分からないんで、その扶養照会っていうような形で言っているのか、その全員の市の職員にもし生活保護者がいたら、身内に、その時にはっていうような話なのか、ちょっと私その事実関係がよく分からないんで、ちょっといろいろと調査させていただいて、問題がある行動なのか、それとも問題ないのかっていうこともちょっとよく分からないんで、ちょっと調べてまた御返答させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、先程来言っておりますとおり、扶養義務のある方、つまり扶養しなければならない、能力もある、それによって人間関係も破壊されないというような方々がおられればですね、それはやっぱり扶養をしていただきたいというのが我々の思いであることは間違いありません。ただ、それを拒んでいるがためにですね、その生活保護決定者に生活保護が行き渡らないというようなことは、これは問題がありますので、ちゃんと生活保護費は要保護者の方々にですね、行き渡るようにしなきゃいけないと。そこは外しちゃいけないということだというふうに思いますね、これは。

(了)