舛添大臣閣議後記者会見概要

H21.09.11(金)10:25~10:45 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等ついて

大臣:
閣議について特別御報告することはございません。

質疑

記者:
新型インフルエンザのワクチンに関してですが、欧州の製薬メーカー二社と合計5千万人分の輸入で合意したという報道が一部ありましたが、輸入ワクチンの確保状況についてお聞かせ下さい。
大臣:
まず、これまで申し上げてきたことと大きく変わりません。これまで申し上げてきたことは、6千万人分から7千万人分のワクチンを、国内産、海外産含めて確保したい、その方向でやっているということです。これは変わっておりません。国内産は、既に公表していますが、だいたい1千8百万人分くらいが可能であろうと。ただ、これは増殖能力とか生産能力とか色々なことで変動する可能性があります。同じことが海外産についても、今作っている所ですから、同じことが言えると思います。それから、今難しい交渉を行っているので、いくつの会社とやっているか、どういう名前の会社とやっているか、どれだけの量をやっているかということは、何度も申し上げているように、交渉に影響を与えますし、相手の立場もありますから、詳細については申し上げられないということです。ただ、6千万を超える分は何とか確保する方向でまとまりつつありますから、国内産が1千8百万とすると、6千万引く1千8百万だと4千2百万ですかね。それ以上は確保出来るように鋭意交渉しています。それぞれ、海外のメーカーの方で色々な条件を御提示なさいますから、こちらもその条件が呑めるか呑めないか、現行法体系の中で難しい問題があるので、これはこの前、民主党、国民新党、社民党の方々が来られた時にもお話いたしましたように、特別立法のような形で緊急的な措置をしなくてはいけないだろうというようなことを申し上げてます。私から申し上げられることはそういうことです。
記者:
大臣の任期も終わりが近づいていますが、大臣が今まで厚生労働行政を行っていくにあたって、年金記録問題や後期高齢者医療制度などで大臣直属のチームというものを重視された運営をされてきたと思いますが、そのことに対する自己分析をお聞かせ下さい。
大臣:
色々な形で政策を実現する方法はあると思います。官僚機構の掌握ということも、これは長く居れば居るほど可能になりますが、外の職員を含めれば何万人という数の職員がいる巨大官庁ですから、中々そういうことも難しい。そういう中で、新しい政策を実現しようとするにあたっては色々な人の意見を聞かないといけない。国会においては、野党の皆さんの意見は相当聞いたと思っております。ですから、皆さん方計算してみられると良いと思いますが、厚生労働省で出した関連法案で、閣法の方で、かなりの確率で修正を加えながら成立したのではないかと思います。修正を加えながらと言ったのは、修正とか付帯決議を加えることによって、そこに野党の皆さん方の意見も入っているので、例えば、厚生労働委員会なんかにおいては、かなり全会一致的な形での解決が、労働関係の法律なんかはそうですけど、なされたように思っていますので、やはり、意見の違う方の考えを入れることは非常に大事だと思います。そういう意味で、例えば年金の作業委員会などでは、最も社会保険庁に批判的な方に入っていただいた。医療改革についても、最も厚生労働省に批判的な先生方に入っていただいたり、C型肝炎の検証は、正にC型肝炎で苦しんだ方々や被害者の方々に入っていただいた。それは、現場の声を聞きながら、一番批判的な方の意見をそこに入れながらやるということで、そういう為の枠組み作りというのを、実を言うと、役所主導では出来ません。それは当たり前のことなのですね。ある程度は出来るけど、それはやっぱり大臣直属という形でやらないと出来ないですから、一々個別の名前は申し上げませんが、普通は自分に一番批判的な方を採用することはあり得ないので、私はあった方が良いと思ったのでそういう風にやりました。評価は皆さん方を含めて外の方がやれば良いと思いますが、そういう努力をしてきた、だからそれなりの成果は出たと思います。年金の記録問題にしても、我が省だけでやっていると、もっと効率の良いやり方が見つけられなかったかもしれませんが、ITの専門家など外の方とやったら「こういう方法があるんですよ」と教えてもらったりということがありました。それから、今のワクチンの話ではないですが、インフルエンザの件も、どのお医者さん、どの研究者の方がおっしゃったことが正しいか、私に判断する能力はありません。したがって、セカンドオピニオンということで、色々な若いお医者さんの意見も聞いて、総合的な判断をする材料を求めようということです。ですから、決定するために、多様な、特に、批判的な意見を聞く場を設けるということであったので、それは一つの結果を出せたのではないかと思っています。結果は国民の皆さんに御判断いただくことだと思っています。
記者:
確認ですが、大臣直属のチームは、あくまで行政行為の一環として行ったもので、公金で運営していたものという理解でよろしいですか。
大臣:
それは、辞令を出すわけですから、当たり前のことなので、辞令を出したら審議会でも何でもそうなんですよ。辞令を出して発令するわけですから、それは全部の審議会、全部の研究会そうですが、日当いくらとか、交通費いくらとか、細かい規定があって皆さん審議会に出てこられているので、そういう扱いです。他省の役人を連れて来たときは、これは公務員ですから、処遇に変わりはない、併任をかけているだけです。
記者:
そうなると、大臣直属のチーム、作業委員会などから上がってきた途中経過や議論の経緯というものが文書で残されていたものは行政文書という扱いで良いのでしょうか。
大臣:
おそらくそうでしょうね。そういうことの記録は記録としてきちんと残しておくべきだと思います。私自身も、せっかく良い議論をやったので、そういう記録の整理を本来の形でやりたいなと思っていますが、終わってからゆっくり考えたいと思っています。
記者:
前回の会見で出ていましたが、年金記録問題拡大作業委員会で…。
大臣:
それは、前回全て話していますので、時間があれなので、その時の議事録を見て下さい。
記者:
それを見た上でですが、次の新政権に行政文書として引き継がれるものとして理解してよろしいでしょうか。
大臣:
それは、拡大作業委員会を含めて、私が報告書を出しなさいと指示をしたものはきちんと公になります。それぞれの人が自由に、そこの委員がどういう形かで書いたものはその委員が自由に使えば良いので、そこの文書の性格はどのようにするかはきちんとクラス分けしないといけないです。例えば、医療ビジョンで中間報告書としてきちんと出して公表したものはそういうことであって、公表を前提としないで、その委員長が自由に自分の所感を述べたものまでは、私が指示をしてそれを書けといったもの以外は、それを書いた人個人の専属に係りますから、その委員長がそうして良いといえばそうすれば良いのであって、そういうことです。それは私のコントロールを外れています。
記者:
7月1日の会見で作業委員会の報告書をまとめるのかとお聞きしたのですが、そこで大臣は報告書のようなものをまとめたいとおっしゃっているのですが。
大臣:
私が申し上げました報告書というのは、一つの記録として残したいということを思っております。公表する報告書をどうするのかということで、申し上げたつもりではありませんので誤解があれば解きたいと思います。年金記録問題拡大作業員会は何のためにあるのか、ビジョン懇談会や、他の委員会、C型肝炎の検証委員会とは違います。これは検証して「こういう結果でどうです」ということを出す委員会がありますが、それは報告書を出すということが目的であって、作業委員会というのは年金記録問題の解明作業のために役に立つお手伝いをしてくださいということです。したがって、例えば紙台帳の処理についてどういう画像処理をした方がいいか、役人の頭から出てこないものが出てくる。それは非常に批判的な方々から見たときに社会保険庁のあり方が分かる。頭撮りをしたことはありますが、基本的に非公開です。非公開でないと、そういうことをおやりになった方々の立場があって、それぞれ外の方々ですから非公開が前提で入っておられるのです。したがって、作業の手伝いをしていただくわけですから、あの方がこういうふうにしてこうなったという記録を残すことを前提としておりません。ですから、どういう仕事をしたかの大きなまとめを例えば役所としてやるのか、委員会としてやるのか、何らかの形で残すことはあっていいと思っております。そういう意味で申し上げましたので、ですから、磯村委員長とよく御相談をして、この前磯村さんが出されたのは自分がこうしたということをまとめたのであって、私がそれを「書いて出してください」と言ったわけではありません。これは事実関係です。まだ数日ありますからどういう形で、データ、このファクツまでは「きちんと残していいよ」というのがあれば残して良いと思います。先ほど申し上げましたように、ある委員がこういう提案をしてその結果として作業委員会の工程がこう変わったというのは、その人のプライバシーに関わることですので、そういうことをやらないということが前提ですから非公開なのです。ですから、肝炎の検証委員会というのは、皆でこういうことが2度と起こらないようにやろうということで、公開で全部やっておりそういう意味づけがありますので、そういうことをよく御理解いただいて、それで更に御提案があればあとで受けたいと思います。
記者:
いよいよ政権交代が近づいておりますが、引き継ぎ作業は順調なのでしょうか。
大臣:
まだ次の大臣が決まっておりませんから、次の方が決まればきちんとやりたいと思っております。ただ、政党レベルで直嶋政調会長を含めて、新型インフルエンザについて聞きたいということでしたので、喜んで必要なことをお伝えいたしております。要するに、党派を超えて行政は協力しないといけないわけですから、きちんと協力して引き継ぐことが必要だと思います。ただ、新しい政権ですから新しい大臣になる方が、その方の方針でやれればいいので、私が作った先ほどのような大臣直属の機関は、私が16日にやめれば16日付で全部解散するということで、そこから先は新しい方が新しい方針で行政をおやりになるということです。基本的に必要なことは、例えば、原爆症の議員立法をやりましょうということになっておりますから、そういうことはきちんと引き継いで、新型インフルエンザは特に緊急を要しますから。それはきちんとやりたいと思っております。
記者:
大臣としては早く引き継ぎたいけれども、民主党側の対応、カウンターが決まっていないからスムーズに進められていないということでしょうか。
大臣:
そういうことではなくて、私が引き継ぐべき相手は新大臣なので、新大臣はまだ決まっておりませんから。いつもそうですが、私が前の柳沢さんから引き継いだ時も、古い大臣と新しい大臣との間で文章を交わすわけですから、その方がおられないといけないので。ただ、この前のように党としてお問い合わせがあれば、当然どなたがいてもきちんとお答えしますということです。
記者:
新型インフルエンザについてですが、本日、アメリカのCDCがタミフル耐性ウイルスがヒトからヒトへ感染したという発表を出しておりまして、日本の場合タミフルは多く治療に使われているという現状がありますが、一部地域によっては予防的に使っているところもありますが、耐性ウイルスのヒトヒト感染が起きたことに対する御所見と、今後、日本の方針について何かお考えがあればお聞かせください。
大臣:
私も今の件のロイター通信電を見ております。それからCDCのホームページもチェックしましたが、具体的にもっと細かい情報を収集するようにしております。その上で、最新の情報をどこの国で起こったものであれCDCやWHOを通じて取りますので、取った上でその後どうするか判断したいと思います。今、情報を更に収集している段階ですので、私も専門家ではありませんからあまり確信をもって言えませんが、お医者さん達や、科学者、研究者に聞くとウイルスというのはどんどん変異していくということですので、その変異に対応する体制というのを取らないといけないと思いますが、私も一報を聞いただけなのでもう少し情報を取りたいと思っております。
記者:
宮崎県の東国原知事が、民主党が補正予算の執行停止を行うなら法的対応も辞さないという意向を示されましたが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今、中央の財政も厳しいですが、地方の財政も非常に厳しくて交付金とか様々な基金に頼ってやっている面があると思いますので、そこは地方の首長さんや市町村長さんの立場、それから議会の立場で言うと困るなということがあると思います。ただ、これは政権交代というのはそういうことを含めて大きな変化が起きる可能性があるわけですから、鳩山新政権と各自治体のトップの方がよくお話をして一番いい形にもっていけばいいのだろうと思います。例えば、八ッ場ダムの話にしても賛成の方もおられれば、反対の方もおられるので、そこはよく話をしてやっていけばいいので、新しい政権が出来るわけですから、それまでの政権が行ってきたことをそのまま踏襲する必要はないと思っております。しかし、新しい方法を行った時に、政治というのは100%マル、100%バツということではないので、バランスをとって7割にするのか、6割にするのか、ないし3割にするのか、全体のコスト、特に悪影響が一番少なくなるようにするのが政治の知恵だと思います。ダムの話にしてもそうですが、最大の問題は評価する人の価値観によって違いますので、そこはよく知事さんと、新しい内閣がお話すべきだということしか言いようがありません。
記者:
本日の朝刊にも、厚生労働省分の補正予算の未執行分が2.5兆円と出ており、これが今後どうなるか分かりませんが、もし補正予算の執行停止についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
新しい政権が新しいやり方で責任を持っておやりになるわけですから、その結果として問題が生じれば、その政権が責任を負うということです。あくまで政治は結果責任ですから。ただ、今までのやり方以外は絶対駄目だということではないと思っております。それから、最終的な問題は恒久的な財源の確保ですので、臨時的な財源について言えば臨時的措置が可能かもしれませんが、大きな財源論の話だと思っております。逆に言うと、予算編成という一番最悪の時期の総選挙だったと思います。概算要求を作る方も8月一杯までにきちんと作らないといけない。しかし、新しい政権がそれを組み替えるということになった時に、来年の4月1日に執行出来るだけの予算を組めるだけの時間があるのかどうかということを考えると、予算編成ということから考えると、一番悪い時期の選挙だったということは誰もがファクツとして認めるので、そこから先は知恵を働かすしかないと思っております。ですので、そこは新政権が責任をもっておやりになり、問題があれば国会の場で審議するということでいいと思っております。
記者:
原爆症の議員立法の関係ですが、確認書を交わした当時の自民党が中心となってやるべきか、それとも新政権の与党である民主党が中心となってやる方がいいとお考えでしょうか。
大臣:
これは議員立法でやりましょうということであって、そういうことを内閣できちんと決めて、原爆症の訴訟を起こされた方々や、弁護団ともお話をしてまとめた話ですから重みがあります。議員立法でやるわけですから、私は来週以降は野党の一議員になりますから、当然そういうことのお手伝いはしたいと思っておりますし、基本的には鳩山代表ともその点についてこういう形で原爆症訴訟の問題は解決をしたと、選挙の前にお話しております。したがって、具体化をする時には御協力を願いたいということで、民主党としても全面的に協力しますということで当時の民主党の党首、来週には総理になられる方がおっしゃっているので、私はその点でも問題はないと思っております。一議員として議員立法のまとめに尽力したいと思っております。

(了)