閣議後記者会見概要

H21.08.11(火)11:16~11:37 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議について特別に報告することはございません。

質疑

記者:
今朝早く東海地方を震源とする震度6弱の地震がありましたが、政府、厚生労働省の対応について教えて下さい。
大臣:
直ちに対策本部を立ち上げまして、厚生労働省は水道の関係で、断水が約2万8千件。今全力を挙げて取り組んでいます。
記者:
原爆症の件ですが、合意文書で取り交わしが行われたというところですが、改めて御感想と、民主党の鳩山代表が、認定審査待ちの7千6百人あまりの方々をできるだけ救済していきたいと表明されていますが、こちらの審査待ちの皆さんへの対応を、厚生労働大臣として、一政治家としてどのようにお考えかお聞かせ下さい。
大臣:
政府、各省庁の色々な主張もありましたが何とかまとめることができまして、一応、集団訴訟の終結をみるという形で解決を図られた。特に、原告の皆さん方も大変協力していただいて、共に協力してこの問題を解決しようという姿勢を持って、事に臨まれました。例えばC型肝炎についてもハンセン病にしてもそうですが、我々一生懸命築き上げてきた信頼関係、こういうことが実ったものだと思っています。議員立法で解決するということは、原告の方々にとっては担保も何も無いわけなので、「そういうことでは駄目だ」と普通はおっしゃると思いますが、そこは、これまで全力を挙げて取り組んできた大臣の姿勢を評価するということでそういう条件を呑んでいただいたということは、大変御協力に感謝したいと思っております。また、私は選挙がありませんから、国会議員であり続けますので、国会議員として良い議員立法を仕上げるということについて努力をしていきたいと思っています。先般、鳩山由紀夫代表と長崎の原爆の日で御一緒しましたから、「是非この議員立法に協力して欲しい」ということは私の方からも要請し、鳩山さんの方からも「是非一緒にこれは良いものにしましょう」ということを言っていただきましたので、党派を超えてやれると思っております。どういう形で、約7千人の認定についてやるか、これは議員立法という共同作業、党派を超えてやりながら、そこに政府、原告の方々、弁護団の方々、そして被団協の方々、みんなの力を結集すればこの問題は解決していくと思っております。御高齢の方が多いし、長崎の原爆ホームの皆様方を慰問させていただきましたが、やはり一刻も早くという思いは募っておりますので全力を挙げてやりたいと思っております。
記者:
終戦記念日の8月15日に大臣御自身は靖国神社を参拝する、またはしない、どちらでしょうか。また、その理由をお聞かせ下さい。
大臣:
参拝しません。これは例年の私の歴史哲学によります。
記者:
原爆症の関係ですが、訴訟解決に至ったことは喜ばしいことですが、そのベースとなる、核兵器に頼らない世界をどう築いていくかという、外交安保の基本的ビジョンやメッセージ性の部分で麻生総理の発言は乏しかったのではという印象を受けるのですが、オバマ大統領が新潮流を築き上げるなかで、それに乗るかどうかという点で野党側と比べて政府与党側の方が見劣りをする印象があるのですが、この点について大臣、もしくは政治家としてどのように取り組んでいかれますでしょうか。
大臣:
私は安保、外交が専門で、国際政治を大学でも教えてきておりますし、戦後の安全保障の問題にも、諸外国の研究者とともに取り組んできた立場からいうと、最初は核のミューチャルディストラクションというか、ミューチャルテラーというか、要するに「恐怖の均衡」ということであったわけですけれども、ベルリンの壁の崩壊と共に東西冷戦が終わった。そういう中で様々な形で核兵器の削減ということに取り組んできているので、米露二大国間においては基本的に削減の方向で出来ると思っております。それから、既存の核大国、フランス、イギリス、中国も国連の場で軍縮の方向に向かえると思います。ただ、残された問題としては、インド、パキスタン、北朝鮮、場合によってはイスラエル、こういう中型国家で核を今から持とうとする、ないしは持った国をどのように扱うのか。テロリストに核兵器が渡らない為にどうするのか。そういう問題は残っておりますけど、アメリカのオバマ大統領は自らのイニシアティブで核のない世界を作ると言ったことは非常に大きなインパクトがあると思いますから、そういう方向で努力をするということが必要だと思います。ただ、お隣に北朝鮮がいて、この流れに抗して、核実験を強行するというようなことがありますから、そういう問題の解決をやりながら、全体で核兵器を無くしていくという方向に我が国がどれだけイニシアティブを取れるか。国連でも安全保障理事会でも一定の地位を持っているわけですから、外交ということを今からしっかりとやっていく必要があると思います。NPOも含めて色々な方々と連携しなくてはいけませんが、安全保障の問題は基本的に国なのです。ですから、国がどのようなイニシアティブを取れるかということで、唯一の被爆国であり核の悲惨さは日本が一番良くわかっている。そういう中で核のない世界を希求していくことは人類の理想として全力で取り組むべきだと思っております。
記者:
年金の最低加入期間について25年から10年に引き下げる公約がまもなく発表されると思いますが、それについての大臣の認識と、無年金は減るかどうかお考えを聞かせて下さい。
大臣:
すでに厚生労働委員会や予算委員会で議論をしてきました。今の年金制度には様々な問題点があります。例えば、男女の差別と言っても良いような扱いをされている分もあれば、今言った「25年は長すぎるんじゃないか」ということもあります。ただ、既存の制度を変える時に全てプラスだけではなくてマイナスの側面が出てくる。これを経過措置でどうするかということですから、こつこつ25年、40年掛けられた方から見ると、10年に短縮するということで良いのだろうかということもありますし、モラルハザードということもあって、10年でもらえるということで、10年でやめてしまえば低年金になってしまいますね。そういう問題を総合的に勘案する必要がある。これは日本社会の動向から見て、一つの会社に就職したら終身雇用というパターンから、会社も変わる、職業も変わるということで、ソーシャルモビリティというか職業流動性の高い社会になっていますから、そういう意味では25年を短くすることは可能であるし追求して良いと思います。ただ、それに伴うモラルハザードの問題、あえて10年で打ち切ってしまう。そうすると自力でやらないといけない。そういう問題についての対応をきちんとやりながらやるということが必要だと思います。ただの人気取りではいけないので、政策についてプラスマイナスをしっかりと考えて、マイナスの面を出来るだけ少なくする。最終的には国民が高いモラルを持って、「年金制度をしっかりと守っていくんだ」「国民皆年金守っていくんだ」ということがなければ、如何なる制度改正をしてもそれは機能しないと思いますから、それは政治家の大きな責任でもって国民に納得していただき、説得していくしかないと思っています。
記者:
原爆症についてですが、具体的な解決策というところで原告側と協議を始めると思いますが、その協議が始まる時期のメドと、協議の中でいわゆる被爆者援護法の改正や認定基準の見直しが問題になってくると思われますが、そこら辺についてのお考え、もう一つは、基金に民間からの資金も入れるお考えがあるのかお聞かせ下さい。
大臣:
出来るだけ早くやりたいと思っておりますが、御承知のように選挙が実質上始まっています。衆議院議員の方々はおられませんから、そういう意味では早く始めるのは難しいかなと思っておりますが、事務的なレベルで準備出来ることは、厚生労働省の担当も弁護団も含めて少しずつでもやっていこうということがまず第一です。それから、どういうことについて議論をするかということは前もって決めるわけではなくて、議論をしながら、これは深まっていく可能性があると思います。例えば、援護法自体を長期的に見たときに、変えた方が良いのではないかという議論も出てくると思います。私もそういう考えを一部持っています。ただ、これは、議論をしながらどうするかということなので、すべての可能性を開いておいてやる方が良いと思っております。いずれにしても、早く設置をしたいと思いますけれど、とにかく選挙が終わらないと残念ながらと思っていますが、皆さん御高齢なので、一日も早くと思っております。
記者:
基金への民間資金は。
大臣:
基金のあり方も良く議論をして、趣旨に会うようにと思っています。予断で持って決めるということは相手がある話ですから出来ないと思います。
記者:
覚せい剤取り締まりの関係で、酒井法子容疑者や押尾学容疑者が逮捕されましたが、芸能人のこういった覚せい剤や麻薬の汚染についてどのように受け止めているかということと、麻薬などが若者に蔓延していますが、どのように受け止めていますでしょうか。
大臣:
大変困ったことだと思っております。決してかっこいいことではないので、文部科学大臣を含め、きちんと教育の場で言ってもらい、政府も5カ年計画を作りまして実行しているところであって、我々もそういうものについては基本キャンペーンをしていくということですから、取り締まりの強化、これは警察がやりますし、我々もやっていく。全体的に統計を見てみますと、MDMA、錠剤型の合成麻薬の逮捕者が増えていますね。ヘロインとかコカインは若干減っている。いずれにしても、人間そのものを破壊することになりますから、是非、若い人に向かって周知徹底したいと思います。覚せい剤の検挙者数を見ると、全体で1万1千人位検挙したのですが、未成年は255人占めていて、ひどいのは中学生が8人いるのです。高校生は34人、大学生は18人。そういう状況ですし、大学生で家で栽培していたこともあります。芸能人が逮捕されたということで、非常に注目が集まっていますから、この機会に報道の方にも御協力いただいて、麻薬撲滅のキャンペーンを更に強化したいと思っています。
記者:
産経新聞とFNSの合同世論調査で、総理にふさわしい人でダントツで1位に選ばれたんですけれども、その受け止めと、選挙直前にもかかわらず、自民、民主の人よりも、かなり数字をとっていることについて。
大臣:
国民の皆さんに評価していただくのは、いつも申し上げるように大変ありがたいと思っています。そうして、今ののりピーの問題にしても、結局これも私の担当です。災害の水も担当だし、やはりすべての大臣の中で露出が大変多いものですから、毎日どこかで顔を見ているということで、特別な番組に出ているわけではないですけれど、そういうこともあると思いますが、国民のご期待を裏切らないように、今後とも一生懸命仕事をしていきたいという風に思っています。
記者:
関連して、公務が忙しい中で、選挙の顔として、選挙を戦っていかないといけないという立場で難しい立場かと思われるのですけど、その辺の立ち位置とお考えをお願いします。
大臣:
まず公務優先。ですから、しっかり公務して、残りの時間で、選挙をやっております。私の顔を見ていただければ分かると思いますけど、炎天下で応援に行っているので、真っ赤っかに焼けてしまっていますけれども、さっと数えてみて、来てくださいというリクエストをパソコンで打つと一枚で40人分入るんですけど、6枚目が終わりましたってことで、240人。これは延べで、ある人が今日来てくれ、3日後に来てくれと言ったら、2人と数える。いま7枚目に入っていますから、大体250人の方の要請が来ているので、全部行くのは不可能です。ですから、それをなんとか私の体力の許す限り回ってますけど、やはりこういう天気でもありますので、交通機関や道路が寸断されたりということですので、天候が不順でない時、移動も大変ですけど、与党の政治家として選挙に行くわけですけど、ただいろんな誤解がありますから、例えば年金の記録問題ここまで片付きましたよ、ということを申し上げたりとか医療の問題はこれだけいま手を打ってます、という今までやってきたことについてはきちんとご説明を申し上げると。だから、応援に行くわけですから、それぞれの候補者のいい所をプレイアップして、皆さん応援していただきたい、ということを言います。そういう中で、昨日もそうだったんですけど、昨日京都に行ったら、お手紙を後でくださる人がいて、帰り新幹線で読んでいたら、「年金見つけてくださってありがとう」っていうのをおじいちゃんからいただいて、こういう手紙もらうっていうのは、非常にありがたい気がしてます。いずれにしても、全国まわっての、これは厚労大臣としてというよりも、政治情勢についての私の感想を一言申し上げますと、きわめて厳しい。きわめて厳しいし、そして、もっと厳しいのは、その厳しいことを理解していない我が党の候補者が多すぎるということであります。それは、執行部含めて。だから、やはり選挙というのは、相手がどう応援しようと、私がどう応援に行こうと、そんなもので決まるようではないのです。本人がどう戦うかによりけりなので、本人がしっかり戦わない限りいかなる戦もダメです。しかし、そういう自分の状況を正確に把握して、厳しいという認識が、弱い候補者ほどない。そこは、致命的だなという感じがしています。したがって、そういう状況を執行部がきちんと見て、しかるべき指導をしないと、私のように全国区で、毎回自分の選挙の時にどこか体を故障するように、激しく選挙をやる人間からみると、子どものままごとやっているのではないかという選挙をやられている方もおられるので、選挙の仕方教えてやろうかと思うくらいで、そんな事じゃ勝てません。ですから、この人はやっぱりいけるな、と思うのは、相当優勢なのに、もう非常に情勢をより厳しく判断して、全力を挙げてやってますから。ただ選挙は最後は自分です。人気がある大臣が来たら自分だって、受かるだろうと、そんな甘いものではないです。だから、自分で戦えということなのです。私は大体全国区だから、全国すべての町の地理が頭に入っているので、ぱっとここ来てくださいと言われた時、そんな場所で演説して人が集まると思うか、という程度のことすら分かっていない人が多いです。野党からは、応援要請が来ないから、野党の皆さんがどうなっているかは分かりませんが、ただ我が自民党に関する限りは、そういうことなので、もう後半戦、あと半分しか残っていません、あと20日間、これは相当兜を締め直してやらないとダメですね、本当に。この厳しい状況を認識しない限りは、それは勝てません。その中に、援軍に駆けつけて、自分の方が刀が折れ、矢が尽きるってくらいやったってしょうがないので、繰り言言っても仕方ありません。それくらいに厳しい状況でありますから、我が政権与党が勝つためには、全候補者、本当に奮い立ってやってください、ということです。
記者:
自民党のマニフェストについて、「療養病床の再編については適切に措置する」とだけあるのですが、これは具体的にどういう内容を想定しているのでしょうか。それと、介護療養病床については平成23年度末に廃止が決まっているのですが、これも見直しということを想定されているのでしょうか。(大臣)38万床という問題ありますけど、要するに、都市によっては行き場のない方が出てくる可能性があり、受け皿がちゃんと出来ていなければ、その間の経過措置をきちんとやるということです。ただ大きな目標としては、やはり社会的入院というのは避けた方がよいので、本当に必要な人は入院してもらいます。しかし、医療でなく、介護でやれる人は介護でやっていく。大きな方向は間違ってないと思います。例えば、障害者の自立にしても、やはり自立してもらった方がよい。ただ、そこの大きな理想に到達するまでの間の経過措置で、地域によって、うまくいくところもあるし、とてもじゃないけど、大都市圏に受け皿がありません中、それを一気にやってしまったらダメなんで、そこについての細かい手当をやるということで、柔軟な運用を考えていくということです。そういうことが、その内容だという風にご理解ください。

(了)