閣議後記者会見概要

H21.02.24(火)08:52~09:11 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については特段ご報告することはございません。

質疑

記者:
昨日公表されました公的年金の財政検証で、給付水準50.1パーセントで30年後には現行から2割低くなるという結果が出ましたが、これについての受け止めと、経済前提が甘いのではないかという指摘がありますが、これについて大臣のお考えをお願いいたします。
大臣:
大変厳しい数字だと思います。これは、5年に1度検証するという、ある意味でルーティーンワークですから、きちんとこの時期に行うということですので、いろいろな前提があると思います。これは専門家が前提を設定したわけですので、これからの経済の見通しがどうなるかということにもよりけりですが、全体的な方向付けとしては厳しいなということです。50パーセントを切るか切らないかということよりも、もっと大きな議論が必要だと思っております。皆様御承知のように平成16年の改正というのは、4本柱です。一つは保険料負担を一定以上上げないこと。2つ目が給付の方が今言った50パーセントという一定の数字を保つこと。それから三つ目が年金積立金も活用しましょうということ。4つ目が年金の国庫負担3分の1から2分の1に引き上げること。この4本柱をワンパッケージとしているので、これでもって平成16年改正の骨格です。この4つをどうして守っていくかということです。例えば、年金積立金の運用ですとか活用というのはそのときの経済情勢によりけりで、今後またどういう状況で爆発的な経済ブームが起こるかもしれません。その時はまた数字が変わってくるでしょうから。そういうことよりも、今回の数字が非常に厳しいということを受けて、「では全体的に日本の年金を含めて国家戦略をどうするのか」という話になると思います。これはもう長期的に言えば、人口をどうやって増やしていくか。少子化対策を行わないといけない。それからイノベーションを含めて、経済の活性化をどうするのか。いろいろな意味で改革を続けないといけないわけですから、経済社会の改革ということも考えないといけない。それから、日本だけで生きているわけではないですから、グローバルな観点から世界経済、環境ですとか、資源をどうするのか。こういう大きなことを考えて行うべきで、2038年という数字を見たときにまだ、30年後の話ですから、私達が30年前に今の日本が、世界が予想できたかというと予想できないわけですし、あくまで5年に1度の検証を行うということです。そういう中でむしろ、「50パーセントぎりぎり行ったかどうか」ということが重要ではなくて、「62パーセントから50パーセントまで落ちます」と。これは専門家がおやりになったので任せておりますが、その試算も前提が甘いのではないかという御批判も受けるような試算においてもそこまでの厳しい数字が出ているということを深刻に受け止めて、我々は年金だけではなくて全体の国家戦略をどうするかということを考えないといけないと思っております。それから新聞社を含めて、有識者の方々の様々な年金改革の試案がでております。先般も党派を超えた方々が一つの案を出された。経済団体も出されている。こういう議論が非常に活性化されて、いろいろないい案が出てくるというのは好ましいことですので、そういう議論も片一方で行いながら政府としては平成16年改正の実をあげるべく努力するということが必要だと思っております。
記者:
今日、第1回医薬品の新販売制度の円滑施行に関する検討会が開かれますが、改めてどのように議論を進めて行くかお聞かせください。
大臣:
これまで国民的な議論が十分あったかというと、なかなかそこまで行っていなかったので、これを契機としてとにかく賛成、反対両派が集まって自由闊達な議論をしていく。国民の皆様方それぞれの立場がありますし、漢方薬の伝統的な薬ですとか、毎日のように私のところにメールとか手紙が来まして、「なんとか薬を買い続けたいので、ネット販売を行ってください」という方がいたり、「これを解禁するとまた睡眠薬で自殺する方がいて困りますからやめてください」という人もいます。だんだんこういうことを契機に国民の間で広く議論が進むことが重要ですので、その第一歩にしたいと思っておりますから、自由闊達な意見を求めたいと思っております。
記者:
麻生総理大臣がこれからオバマ大統領と初めての日米首脳会談を行いますが、アメリカ側の大統領が就任して、初めてホワイトハウスに招く首脳として日本を選んだわけですが、今回の日米首脳会談を大臣としてどのような成果を期待されますか。
大臣:
経済の問題が最大の問題ですので、世界第一と、第二の経済大国が話をするということは非常に意味があると思います。とりわけ日本がバブル崩壊後の非常に厳しい金融危機を乗り切っておりますから、そういうことについて日本の経験が参考になればそれは教えればいいですし、世界第一と、第二の二つの国がしっかり世界をリードしながら世界経済を立て直すのだというメッセージを発信するということが大事なので、そういう意味で非常に意味のあることだと思います。
記者:
今不況で民間保育所に入れないお母さんの希望が殺到していて、実際入れない人がたくさん出ていると状況ですが、厚生労働省として、「待機児童ゼロ作戦」というのを掲げておりますがこの状況に対して大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
そういう状況があることを認識しておりますので、担当部局に対して昨日現行の枠組みで何ができるかを至急まとめるように指示しております。例えば、非常に生活が苦しいと、どうしてもお母さんがパートに出ることになりますが、その時にパートの時間帯によっていわゆる保育士ではなくて、保育ママというのが活用できます。こういうことを含めて何ができるかを取りまとめて、広く国民の皆さんに「こういうものがありますから是非御利用ください」ということを申し上げたいですし、予算が成立すればいろいろな意味で子育て支援ができると思いますので、是非、力を入れて行いたいと思っております。
記者:
中医協の国会同意人事で医療安全事故調査委員会や、安心と希望の介護ビジョンの検討会の議長をされてました首都大学東京の前田先生が参議院で不同意になったのですが、その理由が現場の医療を萎縮させるような発言が目立つということなのですが、大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣:
国会同意人事は、国会がお決めになることですから私がとやかくコメントする立場にはありません。ただ、私も参議院の政審会長をやってましたし、この国会同意人事というのはきちんとルール作りを行わないといけないと思っております。例えば、国家の基本である予算ですとか、内閣総理大臣の指名ですとか、外交については衆議院の優越が決まっております。憲法論になりますが、憲法論的に言った時に、憲法の趣旨から見て考え直さないといけないのは、あくまで憲法を勉強している、また、現場をやっている者として言うと、両院協議会です。両院協議会の構成は衆参全くパリティーです。衆議院優越ということにはなっておりません。それから国会の同意人事もそうですね。しかし、例えば法案について言えば、60日ルールがあったり、予算ですと30日ルールがあったりと優越が決まっております。しかし、憲法があって法律があってその他様々の政令、省令があってルールがあって、そのルールのレベルで憲法の大きな方針と若干相反するような面がある分野がいくつかあります。憲法改正案をまとめた時もそういう議論があって、実はまだそこまで踏み込んでいませんが、両院協議会の在り方、それから国会同意人事は一旦昨日のようなケースになったらお仕舞いです。また新たに行わないといけません。日銀副総裁の人事でずっと揉めましたね。選挙の結果どちらが政権を取るかわかりませんし、仮に参議院だってまたひっくり返るかもしれませんので、衆参のねじれというのは起こり得るということを前提した時にどちらのサイドも困る話であって、衆議院と参議院の多数派が同じであればいいですが違う状況はいろいろなケースで起こりえます。その時に政治や国民の生活をブロックするということがありますので、前田さんの人事の判断がどうかについては国会の、特に民主党の皆さんの御判断ですから、そこから先は同意人事について衆参の意見が合わない時はどうするのですかということを党派を超えて国会議員として考えるべき時に来ているのでないかという気がします。同じことが両院協議会でも言えます。こういう問題を政争の具にしないでルール作りを行うということは、今のような閉塞状況を打破するためにも必要だと思っておりますので、ルール作りが大事だという感がありました。
記者:
昨日、その件に関して患者団体の方々も野党のそういう反対する姿勢に疑問を呈されていましたけれども。
大臣:
私は、実は参議院の政審会長というのは、国会同意人事の委員長だったのです。何が起こっていたのかというのを説明しますと、役人をしかりつけていたのは、とにかく国会同意人事であるのに、政権党である自民党、公明党の了承も得ないで、これが内定案だとどっとメディアに流す。そうするとこういう人事でしたって新聞に載ってしまうのです。そこから先は、自民党の先生たちも怒って「そんなの認めるか」と止まってしまった。何度そのためにやり直しをしたかわからない。だから、これは役所と政治家、国会議員の間の問題でもあって、実を言うと、国会同意人事の委員会というのは、自民党について言うと参議院にしか無いのです。衆議院には無いのです。衆議院は国対レベルでやっている。そうするとその調整も非常に手間取って、私が政審会長をやった時に非常に困ったことは、そこをどうするか。その時に「メディアに先に発表してしまったら一切認めない。」って言ったら今度メディア側から文句が起こって「それはひどいじゃないですか。」って話があったのは覚えていると思います。我々がやったのは、確実に、自民党の私の下の同意人事委員会で一人一人全部経歴を調べ、いくらこの人は報酬をもらうのですかと。常任になってくると国会議員並の報酬をもらいますから。そういうのを全部チェックして「さあこれで良いのか。」を議論する時間を必ず設けていたのです。ですから、参議院の自民党についてはそれをきちんとやっていますから問題があればそこではねる。ですから、各党は国会同意人事でやるのならばそのプロセスをお踏みになっていますか。これまた自民党の中でこれを言うと衆議院に叱られるかもしれないけど、衆議院は、私が政審会長兼国会同意人事委員長の時はもっていなかったです。だから、国対をカウンターパートにした。民主党さんは、党内のどういうプロセスでお決めになっているのですかというようなことも疑問になる。やはり一度こういう国会同意人事について、つまり、ずっと自民党が政権を持っていたものだから、もうラバースタンプを押せば良い形になっていたので、このようなルールについて考えもしていなかった。それが今のようなねじれになって深刻な問題になった時に手を打ってないのです。今、大臣で、行政府の方にいますから、是非国対の方でこういうことはよく議論して。今記者さんがおっしゃった件も含めて、つまり何が起こるかというのは、前田さんの件、個別の件についてはコメントしませんけれども、そうして葬り去られたら、また同じ人が出たら賛成というわけにはいかないのです。そうすると新たな人を設けないといけない。そうすると、「なぜ、どういう理由で。」という時に、やはり事前によく国民に説明責任があると私は思うので、先程の記者さんからそういう前田さんについて話を聞きましたけれども、少なくとも、私は投票する時に自民党が賛成だから賛成ボタンを押す。自民党の参議院議員としては、それ以上のことは何も説明を受けていません。だからやはりそういう説明責任を果たし、憲法上変えた方が良いルールがあれば変えるという時期にきているような気がします。くどくなってすいません。
記者:
麻生政権の支持率が下げ止まらない中で、自民党議員の立ち会い演説会用のポスターに麻生首相を敬遠して大臣と一緒に撮りたいという声が増えているようなのですけれども、ポスト麻生の中で一定の支持があることを裏付けた形になっていますけど、どう大臣は受け止めてますか。
大臣:
まず内閣の一員ですから、内閣の支持率が下がっているのは非常に深刻に受け止めないといけない。全員閣僚が国民の支持を受けてないということですから、一所懸命仕事をして挽回するしかないと思います。だから、全力を挙げて予算を上げようとしているのはそういうことなので、やはりきちんと仕事をしていって予算を上げていって、やはりこの政権の下で生活が良くなるなということを国民に訴えるしかないと思いますので、そういう努力はしております。それから、選挙というのは、私は参議院ですから選挙はありませんけれども、党としては各党とも総力戦で戦いますからいろんな所に応援要請があったら時間があれば行きます。それから、ポスター用の写真を貸してくれと言えばそれは喜んでどなたにでもお貸ししますということなので、特別に感想も何もありません。今はとにかく一所懸命仕事をする。特に雇用の問題がこれだけ厳しくなったらそれをしっかり片付けるということです。人事というのは、端から見ると面白いからいろんな方がいろんなことを言われると思いますけれども、今はやはり政府、与党、特に内閣全体が気を引き締めてきちんと仕事をやっていくんだということでないといけないと思います。残念ながら中川前大臣のあのような醜態が世界中に広まってしまったわけですから、そういう立ち居振る舞い含めて我々も反省を込めてきちんとやるべきだと思っております。それに全力をかけたいと思っております。
記者:
関連ですが、麻生内閣に退陣して欲しいという声が報道各社の世論調査で8割に近い数字に達してきているのですが、大臣は、後期高齢者医療制度に関しては、「国民に支持されない制度は止めるべきだ。」という形でおっしゃられたと思うのですが、麻生内閣の現状、国民が辞めろという声に対してはどのように。
大臣:
解散するにしろ何にするにしろ、最終的なその権限は、麻生内閣総理大臣一人にあるわけですから、麻生さんがどういうふうに判断するかということです。ただ、政治は一日も休むことはできません。日々、それこそ派遣切りの問題含めて街に失業者があふれ、実体経済の数字がここまで悪くなっている。欧米よりもっと悪いですから、そのことを非常に深刻に考えて手を打っていくしかないです。そして、これは国民の皆さんに支持率を回復するように、もっと言うと国民の皆さんに更にそういう苦しい状況だけど頑張れって言ってもらえるようにやるしかないと思っております。最終的な政治的な判断というのは内閣総理大臣にあるわけですから、その総理大臣に任命された閣僚としてはそれに従うということです。

(了)