閣議後記者会見概要

H20.12.26(金)11:09~11:28 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議でございますが、有効求人倍率についてですが、これは季節調整値で0.76倍となっておりまして、前月の0.80倍を0.04ポイント下回りました。それから求人の方が2.3パーセントの減少となって、職を求めている方が3.3パーセント増加と非常に厳しい雇用情勢でございますので、全力を挙げてこれに対応したいと思います。
そういう中で、雇用促進住宅でございますが、廃止決定済みの住宅も活用することができないかと検討しておりましたが、その結果、こういう緊急な失業情勢でございますので、廃止決定の根拠となっております閣議決定「独立行政法人整理合理化計画」の下でも平成22年度末までの間活用可能であるという判断に至りましたので、今、住宅を調査しており、ニーズを踏まえながら至急修繕をして可能なところから随時入居していただくというふうに考えております。したがって、すでにある1万3千戸に、3万戸以上が加わりますからニーズに応えられると思っております。
なお、雇用促進住宅全体を活用することに伴いまして、平成23年度までに3分の1の住宅を譲渡、廃止するという雇用能力開発機構の中期目標の達成が困難になるため、その変更や、これを踏まえて閣議決定された整理合理化計画の在り方、更に廃止決定済みの住宅に既に入居されている方々への退去の促進と、新規入居の促進との施策としての整合性について、今後検討を続けて行きたいと考えております。簡単に言いますと、廃止決定で「どんどん出て行ってください」と、片一方で荷物をまとめて出て行く人がいるのに、「住宅がない」と言って今度入って来る人がいますので、「なんなんだ」という問題が現場で当然起こるわけですから、その整合性をどう保っていくか、あくまで緊急事態だということで今そういう対応をしたと思っております。
それから、すでに事務方から御説明があったと思いますが、年末もハローワークをできるだけ開けて対応するということです。
さらに、地域医療について今日閣議の後会議を行いましたが、これは総務省、文部科学省、皆で連携して協力して行いましょうということです。私の方からは以上です。

質疑

記者:
今日、有効求人倍率ですとか、内定取り消しの数、非正規労働者の雇い止めの数が発表されましたが、かなり鰻登りに数字が上がっていることにを受けて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今回の経済危機の特色というのは、悪化するスピードが極めて速いです。坂で言いますと、なだらかな坂ではなくて本当に急な坂を転げ落ちているという感じがいたします。ですから、当初リーマンブラザーズの破綻が秋にあった時には、基本的に対応はいたしますが、ここまで緊急性を要することになろうとは思っておりませんでした。それから、2ヶ月ばかり経った段階で「これは大変だ」と、火事に例えますと「小火が上がったな」というのが一気に風にあおられて猛火に包まれているという感じですから、これは全力を挙げて消火活動をしないといけない。ですから、先ほどの住宅の問題も含めて様々なこの支援策を打って行くということを決定した次第でありますので、年末ですが、いつ何が起こっても行動できるように首都圏に留まって危機管理をきちんと行いたいと思います。
記者:
細かいことですが、非正規労働者の雇い止めの状況での発表で、全体数が8万5千12人の内、3万5208人について確認したところ、2157人について社員寮などから出て行けと言われて住むところがない人がいたと。残り5万人については、住居があるのかないのか把握していないという状況の調査が発表されたのですが、これは年内に急に確認するお考えはあるのでしょうか。
大臣:
これは各地のハローワーク、基本的に15日に特別相談窓口を設けましたから、そこにいろいろな情報で困った方が来られる。それから、皆さんと一緒に見に行きましたキャリアアップのハローワークは、今日から職も住むところもない方の駆け込み寺のようになっておりますし、NPOの皆様方にもがんばっていただいていて、そこからの情報も上がります。それから、今各企業に対しまして、例えば「中途解除をなるべくしないでください」と、法律に基づいて有期契約の労働者についても「解雇は違法ですよ」ということを言っていくとともに住居の確保についても指導しておりますので、そういうところからの情報が逐次上がって来ております。問題のないところは数字にするということよりも問題のあるところをどう救うかということですから、情報の収集に努めたいと思います。首が切られても社員寮に住めるように、これは6万円を上限として家賃補助を行うということですから、こういう施策も行っておりますし、それから、緊急にアパートを借りる為の資金が必要であればその融資ということも行っております。それから、22日からは労働金庫の皆様方の御協力を得まして、全国の労働金庫、これは数がたくさんありますから、その窓口を開けていただいて融資を行っているという状況です。あらゆる手を使って、支援、資金の融資、そして、住宅の提供ということを行っていきたいと思いますので、そういう方針で出来るだけ情報を集めて、できるだけの手を打ちたいというのが今の方策です。
記者:
来年度のハローワークの再編で5カ所廃止するということですが。
大臣:
これは元々の削減計画があります。そして、各地からいろいろなクレームも来ております。ただ、そのために全体の行政改革で人も減らさないといけないということもある中で、それを行っております。ただ、今までの例ですと、市役所の中に一角を設けさせていただく、そして、ハローワークという名前ではなく、相談所という形で現実に対応できるということですが、これは片一方で中央、地方を問わず行政のスリム化という要請がありながら、こういう緊急事態にどう対応するかということがあります。私は前からこの労働問題や、2,200億円の問題について言っていますように、大きな考え方、哲学の変更が必要だという感じがしております。小さな政府だけがいいのではなくて、最後のラストリゾート、最後の砦はやはり政府であると思います。要するに、高度経済成長の時代の最後の砦は企業だったのです。企業が社宅を提供する、企業が定年退職後も面倒を見る、企業が夏の海の家も提供する。なぜ企業がセーフティネットを張れなくなったというと国際競争力を付けてグローバルな競争に勝ち抜くためには、そこまでやっておれないと、そういうグローバル化の波の中で日本の企業も変身をしました。企業がセーフティネットを張れなくなった日本において、そうすると最後の砦、セーフティネットワークを張り巡らすことができるのは、中央、地方の政府以外にはありません。そのためには予算も必要ですし、人も必要です。ですから、今まで通りの人減らしをすればいい、予算減らしをすればいい、ということではいけないのではないかという考えでもってずっとこれまでも厚生労働行政を行って来ましたので、これは国民的な議論を是非していただいて、今のような議論をしたいと思います。スリム化という大きな枠がかかっているわけです。その中で最大限ハローワークがなくなるところは代替的な相談窓口を作るという形で対応しておりますが、しかし、根本の問題は今言った、政府とは何か、今の時代にどういう政策でどういう政府でなければいけないかという根幹の問題に突き当たると思いますので、まさにこれこそ来年議論をして大きな政治の方向を決めるべき時期だと思っております。
記者:
今年最後の閣議後会見になりますが、大臣、この一年を振り返られての印象と来年に向けた抱負をお聞かせいただけますか。
大臣:
私の感じではまだ一年終わっていなくて、ハローワークは来週も開けますし、こういう厳しい状況ですので、いつ何が起こっても対応できるようにずっと仕事のスタンバイをするというのがこの年末年始ですから、あまり感想云々ということはないのですけれども。特に後半、この雇用問題が大きくなりましたので、やはり国民の生活を守る、命を守るというのが我々の最大の責務でありますから、医療体制の再構築、これは相当予算的にも前に進むことができました。それから年金問題もいろいろ御批判は謙虚に承らないといけないですけれども、ねんきん特別便も全て出し終わり、6千万近い人から大体解決したというお答えをいただいているので、更にこれを進めていきたい。しかし、こういう年金、医療、介護、雇用、全て国民に直結する問題ですから、手を抜くことなく、日々一つ一つ出てくる問題に対して省をあげて全力を挙げて対応していきたいと思っております。
記者:
今日の「地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議」ですけれども、その場で大臣からどういう考えを各閣僚に伝えたのかというのをお聞かせいただけませんでしょうか。
大臣:
ほとんどのメニューを厚生労働省で既に出しております。安心と希望の医療ビジョンを含めて、今もまだ検討会を続けておりますし、それは予算の面でも政策の面でも実現をしておりますが、特に文部科学省と厚生労働省の間は、うちから課長が行っていることもあり、例えば、693人の学生の定員を増やすというようなことが実現できました。しかし、今問題は、総務省との連携が足りないということで、これは直接総務大臣に対して連携を強化しようということで、一人、私の改革推進室に恐らく総務省から併任をかけて人をとることになると思いますが、例の周産期医療と救急医療の研究会において、東京消防庁や消防庁が出してきた資料は非常に良い物があります。それが我が厚生労働省で十分活用されているかというと、そういうことも十分ではなかった。これを改めないといけない。それから、各地で自治体病院の閉鎖ということが続いて、銚子市の病院にしてもそうです、様々なところで、これはやはり各自治体が経営する病院の経営の在り方もあるし、様々な問題があるので、これは総務省とも連携してやるべきなので、特に文部科学省、総務省、そして我々の省と連携することにより更に政策を良くしていくということをやりたいと思っておりますので、そういう要請をして参りました。
記者:
今日の午後、来年度の介護報酬改定の方針がまとまりますけれどもご所見をお願いします。
大臣:
前から申し上げていますように、介護の現場で働いている人たちの処遇が必ずしも良くないということで、先の政策でも3%アップということを既に決めています。もちろん、介護保険料になるべく跳ね返らないようにということで決めておりますけれども、いずれにしても更によく調査をした上で、介護の現場の人たちがきちんとした仕事ができる、その仕事に見合っただけの処遇を得られるように努力をして行きたいと思っております。様々な取り組み、特にキャリアアップが必要です。それから、離職を防止するということも必要でしょうし、片一方で派遣切りを含めてたくさん仕事がない労働者が増えている、片一方で仕事が来ない職場がある、こういうミスマッチを解消するということが今大きな課題なので、例えば、介護士になるための職業訓練、資格を得ることをどう支援するかということを今検討しておりますので、そういうことも含めて介護の現場の人たちが生き生きと仕事ができるようにしたいと思っております。
記者:
廃止済みの雇用促進住宅ですが、これは年頭の受付とか実際の入居がいつ頃になりそうかということと空いているところは3万1千戸くらいあると思うのですが、そのうちどのくらいが実際使われそうかというのをちょっと教えていただければ。
大臣:
これは今、今週までに何とか決めようということで決定をしたところでありますので、今大急ぎで調査をしております。本当に荒ら屋になって使えないところもあれば、この前、越谷市に見に行きましたけれども、ちょっと掃除をすれば、壁紙まで変えるところまでいかなくても、畳と障子くらい替えればできるところだってあります。後は、問題は、ガス、水道の配管が止まっているのを動かすというのがあって、年末年始、ガス会社、水道、電力が休みをとったりするようなこともあります。大体、今の感じだともう今日から動かしていますから、2週間後には即入居できるような感じになれると思いますから、松が取れるくらいにはできるように努力したいと思っております。
記者:
数はまだ出ない。
大臣:
数も今調査中で廃止決定でやっていたものを急に変えるわけですから、状況を見て判断したいと思っております。
記者:
受付も含めて2週間後くらいから目途で。
大臣:
つまり、使えないと受付られませんから、今の雇用促進住宅は、即入居という方針でやっておりますので、できるだけ早くやりたいと思います。ちょうどたまたま年末年始で配管工事する方がお休みするようなこともあって2週間ということです。
記者:
「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の中間まとめが昨日正式に出たのですが、その中に現場に若い職員を全員出すような内容も盛り込まれていたと思いますが、実施に当たって厚生労働省の方で既に検討しているものがあれば教えていただけますか。
大臣:
昨日、人事政策検討会議を開きました。そこで私の方から指示をしまして、今も全く同じ問題意識を持っているのは、やはり現場感覚がないことが一番の問題なのです。特に社会保険庁、ここでの現場体験がなかったことが三層構造とか様々な問題とともに問題になっている。だから、現場の人は、霞ヶ関の厚生労働省の連中は何も分かっていないのではないかという不満があるということなので、あの会議で私が申し上げたのは、霞ヶ関全体の問題なのか、厚生労働省の問題なのか、その時に警察と比べて下さい、昔の郵政省と比べて下さい、大蔵省と比べて下さい、警察署長として若い時に行く、税務署長として若い時に行く、郵便局長で行く、その時の経験がキャリアがアップしていく時にもの凄い良い肥やしになっているのです。そういうことをやっていなかったので、これをやらせるようにやっていきたいということで既に作業を始めております。だから、具体的には、ただ税務署長、27、28歳で税務署長になったり、警察署長になったりするとちょっと鼻が天狗になってしまうので、その悪い面があるから、もうちょっと年がいってやらせるか、27,28でやらせるのならば副所長のレベルくらいでやらせるか、これは工夫があって、今まで各省庁の経験がありますから、それを踏まえた上でやりたい。それから、医系の技官、薬系もそうですけど、技官がやはり現場感覚がないと駄目ですから、お医者さんをやっている途中で、役所に入って技官をやっている、暫く現場を離れていると現場との乖離が生まれるというのがあるので、これは早速動かそうということで始めております。
記者:
報告書の趣旨を踏まえて基本的には全員を対象に送り出すというお考えで今進められているということですか。
大臣:
今その検討をスタートさせたところで、プラスマイナスあると思いますから、ただ一番大事なのは若い時に現場感覚をちゃんと持った者がゆくゆくこの省のリーダーとなって指導していくという体制を省全体としてやらないといけないという問題意識で動かしています。そういう方向付けはもう決まっていると思います。

(了)