閣議後記者会見概要

H20.11.04(火)10:24~10:34 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日の閣議ですが、法律案として児童福祉法等の一部を改正する法律案、それから、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案の二つが閣議決定されました。以上です。

質疑

記者:
今日社会保障国民会議の最終報告ということが夕方開かれますが、当初こちら福田総理が構想を発表された際に、党派を超えて、広く社会保障に関する議論をして欲しいという構想だったと思いますが、今日の最終報告を受けて社会保障の議論というのはどのように進めて行くことが望ましいとお考えでしょうか。
大臣:
社会保障国民会議に参集なさっている委員の先生方は、本当に党派を超えた国民の代表だと思いますし、いろいろな分野の方も入っておられます。ですから、そういう方々の意見を踏まえて政党的に言っても各会派を超えて議論すべきでしょうし、それから官民、一部のメディアが自ら社会保障改革案を出しておられますから、そういうことも参考になるでしょうし、広い議論が必要だと思います。スウェーデンの例に見るように、社会保障は政権交代があろうがなかろうが国家百年の大計で長期的にやらなければならないので、是非国民的なコンセンサスが得られるような形での議論の場を持ちたいと思っております。
記者:
別件ですが、航空自衛隊の幕僚長が自らの論文をきっかけに更迭されるということが先週末ありましたが、今回の一連の事態について大臣としてはどのようにお感じになったでしょうか。
大臣:
それぞれの人が自分の哲学を持ち、意見を持ち、歴史観を持つのは自由だと思います。ただ、公職にある人がそれをどういう形で、どういう場で発表するかというのは、慎重に考えないといけないので、少なくとも航空自衛隊のトップである以上政府の一員でありますから、基本的に政府の見解ということと齟齬を来たさないような形で発言すべきだったと思いますので、今回の防衛大臣の決定は妥当だと思います。
記者:
今の航空幕僚長の関係ですが、最終的に定年退職を認める形になったのですが、その対応についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これはそれぞれの省の大臣がお決めになることで、人事権者が決めることであると思いますが、私が理解している限りにおいては懲戒免職にしたりですとか、いろいろな厳しい処分という形を下すにはそれぞれ一定のルールがあると思います。例えば、刑法犯罪を犯したとかですね。今回の場合、おそらくそういうことでないので定年退職という措置を執られたのだと思いますから、これは人事権者の責任と認識においておやりになることなので、私は同僚閣僚としてそれに従います。
記者:
かねてからおっしゃられている出産一時金の前払いについて、来年度の通常国会で法案を提出することをお考えなのでしょうか。
大臣:
かねてから申し上げておりますように、妊娠、その後の健診、そして出産に対して、貧しいからとか、今手元にお金がないからということであきらめるということがあってはいけません。したがって、例えば、若い夫婦が子供を持ちたいと思った時に経済的理由でそれを断念するということは絶対あってはいけないと思いましたから、この間あらゆるところでそれを申し上げておりましたし、一歩一歩そういう政策の実現に努めて参りました。先般、緊急経済対策の一環として、5回まで無料の健診を14回すべて無料にするということで政府・与党の合意を得たところでありますが、次なるステップは、出産一時金の改革をやらないといけないと思います。二つ改革すべき点がありまして、一つは今35万円なのですが、建前上は出産した時にまず自分でお金を払って、そして出産証明書等、様々な書類を揃えて後でそのお金を償還してもらうという形になっております。便宜上、そのプロセスを省いている市町村、保健所もたくさんありますがこれをまさに直接払いにすることによって、一度自分のポケットから35万円を出さないといけないという状況は改善すると思いますので、その改善が第一です。その改善の方法というのはいろいろありまして、例えば、保険で最初から全部みたらどうかという案もあるのですが、出産というのは正常分娩の場合は病気ではないので保険が適用できない。異常分娩の時にはそこから先は保険になります。ですから、一つの案は全部保険で行うということも考え得ると思います。これもこれからの議論の一つの課題であろうと思います。
二つ目は出産の費用について、実際必要なのはどれくらいなのかということについて、各地域の国立病院などのデータを集計して出したのが今の35万円ということですが、地域によって差があります。ですから50万円掛かっているところは35万円だと15万円持ち出しになる、20万円しか掛かっていないところは35万円いただければ15万円余分に手にいれることができる。地域によるこういう不公平に対してどうするのか、それは是正すべきであるという考えもありますし、逆に言うと、そういうことを是正すると更に地域格差が広まってくると、どこに行っても35万円なら「それでは里帰り出産しようか」と、けれども東京で生むのなら50万円もらえて、自分の田舎に帰ったら20万円しかもらえないなら「里帰りするのやめようか」ということにもなりますので、これは賛否両論あり得ると思います。ですから、こういうことを良く議論をし、その上で政府・与党でどういう方向を出すかというのはこれから詰めていかないといけない話なのです。一部の報道で政府・与党ですでに決定したかのような報道がありましたが、今、厚生労働大臣としては今言ったような二つのポイントについて改革すべきであって、その改革の方法、手法は様々あります、従ってこれを良く検討した上で最終決定を下したいと思います。
記者:
今日閣議決定された労働者派遣法の修正案についてなのですが、これについては民主党が対案を出すような構えを見せています。解散が先送りになって、ねじれ国会の問題というのが続くことになったわけですが、今後大臣として政策決定に取り組まれるお考えか教えて下さい。
大臣:
これまでも過去一年以上の間を見た時に、労働関係の法律というのはねじれ国会であっても与野党よく話し合って、特に民主党とよく話し合って必要な修正を加えて成立を図ってきております。そして、日雇い労働の問題点というのは皆よくわかっているので、私は国会の審議を振り返ってみてもこの点について大きな違いがあるとは思えません。したがって、これを政争の具にするとか、選挙前だからわざと対立ムードをかき立てるということはやめて、きちんと労働者のためになる、国民のためになるような改革はどういう方向であるかというのを議論すれば、こちらも妥協すべきは妥協する、向こうも妥協すべきは妥協する。そして常に原則は日雇派遣ということで苦しんでいる方々をどうするか、この点において一致できると思いますから、私は変な政局とか、政争の具とかそういう観点が入らなければこの分野については十分合意が成立しうると思っておりますし、その合意の成立のために努力したいと思っております。
記者:
今日の公明新聞に、後期高齢者医療制度に関して、制度の理解を深めるための特集記事が組まれております。政府としては、麻生政権が発足してから後期高齢者医療制度の見直しというのを掲げているわけですが、今後政府としてこの制度を新しいシステムに作り替えていく方向で収斂させていくのか、それとも制度を定着させるという方向で議論を収斂させていくのかどちらですか。
大臣:
今の麻生内閣は、麻生総理自らこれを見直すということでありますし、私の下にも検討会があり、その検討会の求めに応じて私も私案を出したところでありますので、見直す方向で議論していく。私は今日その公明新聞の記事を見ておりませんけれども、様々な分野で様々な立場の人がいろんな案を出して、まさに百家争鳴、そして議論をして一番国民のためになる案を作るというのは大変結構だと思います。

(了)