閣議後記者会見概要

H20.10.10(金)09:36~09:52 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については特別にご報告することはございません。

質疑

記者:
幹事から3つ聞きたいと思いますが、今日の閣僚懇談会で後期高齢者医療制度の見直しの大臣私案についてご説明されたということですが、これについての総理の反応は何かございましたでしょうか。
大臣:
閣僚懇談会について個々の閣僚は何も語らないというルールになっておりますので、これは官房長官がまとめてお話をするということですから、官房長官の方で対応なさると思います。
記者:
2点目ですが、来週の14日から年金受給者2万件の記録の個々人への個別訪問を始められるということですが、改ざんが明らかになったケースは大臣が速やかに救済するということをこれまでおっしゃっておりますが、個人のケースで過去に何十年も前の給与明細とかを保存していないケースで、かつ、改ざんされたであろうと思われるケースについてはきちんと救済するという方針でよろしいのでしょうか。
大臣:
まず、来週から2万件の訪問確認を行いたいと思います。ただ、今準備を進めておりますが、ちょうど連休がかかるものですから、スタートが一日遅れる可能性があります。といいますのは、今私も含めて作業委員会で細かい詰めを行っておりますが、事務所に来ていただく分にはこちらのデータを見ながら、例えば、持って来ていただいた預金通帳のコピーをすぐお取りして確認することができますが、こちらから行く場合に、現に証拠となる現物を持って帰っていいかということになると、途中で紛失するとかいろいろ考えなければならない懸案事項があります。そういうことの詰めがありますので、できるだけ早くと思っておりますが、ひょっとしたら14日ではなくて15日になるかもしれません。それを今作業委員会で細かい詰めを行っております。いずれにしても来週中には動かしたいと思います。それで今のメインの質問ですが、要するに先般申しあげたように三つの条件に適合している方々、これは社会保険事務所でも調べてみて、社会保険事務所の方で確たる証拠があればこれは問題ありません。それから、紙の形でなくても、その当時勤めていた同僚の人達の「あの時我々の給料は20万円だったよ」というような証言も活きてきます。あらゆる証言を使い、あらゆるデータを使って行くということでありますが、本当に何もないという時は最終的には第三者委員会に申し立てを行うということです。第三者委員会が公平に判断をして決定を下すということだと思います。きちんと今のような手順を踏みながらあらゆる手を使って対応していきたいと思っております。
記者:
もう1点ですが、話題は変わりますが今日は日経平均株価が千円以上下落して15年6月以来の5年4ヶ月ぶりに9千円を割り込んだわけですが、政府が経済対策などを打ち出している中で、株価の下落が止まらないわけですが大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣:
私は非常に深刻な事態だと思っております。ずっと金融問題を追って来ておりましたし、7年前に私が参議院議員に当選した時の公約の一つは、日銀批判でありました。例えば、量的緩和政策をもっと進めなさい、インフレターゲットを行えということをあの当時渡辺喜美さんとか、山本幸三さん達と一生懸命行って、相当な、異常なほどの量的緩和をやってもらって日本の金融危機を避けて来たわけですが、これは非常に深刻に見ております。そういう中で、どうしても自由主義経済ですから公的資本の注入ということに対して、特にアメリカのタックスペイヤーのことを考えると躊躇せざるを得ないということは分かりますが、当時の日本の場合も金融危機の場合は同じ議論がありました。しかし、最終的には金融システムを破綻させるということが、すべての国民にマイナスになるのだということで一生懸命説得をして、今日の日本がある。日米欧の中で、幸い日本は経験をしておりますし、サブプライムローンの害というか、これに一番染まっていない。そういう意味で日本が、すでに日銀も協調介入しておりますし、協調というのはある意味で日米欧の連携、G7も開かれます中で日本の果たす役割は非常に大きいと思います。一つは日本の経験を世界に知らして、特にアメリカに知らして公的資金の注入を躊躇するなということを言う。それから比較的、相対的に株価は下がっておりますが、今申しあげたようにサブプライムローンの悪影響が一番少ないのが日本の金融機関ですから、これが国際的に何か貢献できるかというのは考えないといけません。ただ、今日八千百円まで下がって千円下がるということの一番の心配は、実物経済に対する影響なので、金融システムだって相当なダメージですが、これで含み資産が減ります。したがって企業経営にとっても、消費者のマインドにとってもマイナスに働く。そうするとやはり、政府としても相当な覚悟でもって、下手をすれば世界恐慌にさえつながりかねない危機を、国際協調しながら特に日本が先頭を切って行う。そのために必要な手は打つべきだと思います。まさに緊急事態で今輸血が必要なのですね。輸血が必要ですからこれは輸血の財源どうするかということを考えるゆとりがない。輸血をしてとにかく出血多量の患者を救うことが第1の課題だと思っておりますから、そういう思いで閣僚としては今後とも事態を深刻に捉えて対応して行きたいと思っております。
記者:
今日後期高齢者の医療制度の大臣私案について、大臣がご説明をされたようですが、大臣の私案では、75歳以上の今は独立型という形で負担割合を明確にされてますが、それについては変更されるお考えはあるのか、ないのかお聞かせください。
大臣:
今日閣僚懇談会で配った紙は、7日に行われました「第2回高齢者医療制度の見直しに関する検討会」で配った紙をそのままお配りしただけですから、すでに公表している紙で一つも新しいものはありません。あの中に書いたように、財政調整の方法をどうするかということにまさに懸かっているわけで、これはまさに今から議論して行けばいい。財政調整については2つ大きなポイントがあって、1つは税金の部分、公的負担の部分です。これの比率をどうするかというのは、全体について考えないといけません。それからもう1つは、まさにそれが年齢や所得に関してのリスク調整になるのですが、国民の間で保険者の間でどういう財政調整をするのか。その二重の調整というのはこれはそう簡単ではないです。したがって1年を目途にと言ったのは今日明日に出来る話ではありませんし、じっくり議論をしてということなので、そこまで細かい点はお話しておりません。
記者:
大臣は、この制度を廃止しないということをおっしゃられているわけですが、その独立型の時は、財政負担の割合を明確にするというのが一つ理念だったと思うのですが、その点は維持されるのでしょうか。
大臣:
廃止するとか廃止しないというのは全く不毛な議論だと私は思っております。それから、制度の根幹を揺るがすのか揺るがさない、これも全く不毛な議論だと思っております。では制度の根幹とは何なのですか。要するに、10年間議論をしてきて3つのパターンがある。考えたら3つのパターンか4つのパターンがあっても、もっとクリエイティブに考えて新しいパターンを考えればいいわけではないですか。政治状況も変わってきている。社会の状況も変わってきている。だから、先般の7日の議論を傍聴してお聞きになっても分かると思いますけれども、全く新しい考え方がいろいろ出てきて、そのためのデータの請求もあったわけですから。私は、それは全く不毛であって、ご高齢者の心情に配慮して彼らの心情が満足するようにするためにはどういう制度設計をするかということです。では、お伺いしますけれども、それぞれの根幹、制度の根幹とは何ですか。何をもって根幹と言うのですかということですから、そういう議論になるのです。だから、そういう議論に入り込むのではなくて、どういう制度設計をするか。その制度設計をした人を見れば、ある人は「これは根幹変えたな。」という人がいてもいいいし、「これは根幹変えてない。」という人がいてもいいです。これはまさに「タメにする議論」であって、廃止と言っている人がいるから何とかこっちにも廃止と言わせたいだろう。そういうことではなくて、どうすれば国民が満足するかをやるので、3つのパターンとか4つのパターンという思考を固定する必要は全くないと思います。柔軟にいろんな議論を出し合って解決しましょうということを申し上げているので、百家争鳴で全くかまわないと思います。ですから、私が今ここで、ここまでこうだっていう細かい議論はあえて申し上げませんということを申し上げているので、それを今から議論する中で。相当な部分はもうそこで申し上げているわけです。
記者:
費用負担を明確化にしたことを改める可能性もあるという、それも含めて議論されるということなのでしょうか。
大臣:
費用負担ということが財政調整ということです。今、申し上げたではないですか、全体に関する税金か保険料かということの考え方もありますよと。それは、消費税の使い方から始めて消費税の目的税化から含めていろんな議論があり得ます。それから、保険者間の調整の、構造調整の仕方がいろいろありますよと。今だと1、4、5という調整をしているわけです。そういう比率について議論して変えることも十分ありますよということなので、これは今から議論をしていくし、財源のことを考えないといけない話です。財源のことが無ければ、それは国民の間の構造調整だけで済むけれども、財源の問題が入ってくれば公費負担の全体の問題の議論になってくる。それは、もの凄い大きな議論になると思います。
記者:
それも含めて一年で議論は完結するとお考えですか。
大臣:
一年を目途にやりましょうということですから。とにかく前に進めていきます。
記者:
改ざんの関係ですけども、先程のお話の中で、今、第三者委員会にかける事案として、通常の国民年金の事案でも、保険料を納めた領収書がある場合等は、社会保険事務所の方でやって、それ以外を第三者委員会に送って、同僚の証言等を集めるというのは、今第三者委員会でやっているわけですけども、先程の大臣のお話は、そういう同僚の証言集め等も社会保険事務所段階でやっていくという意味でしょうか。
大臣:
それは、誰が集めようと、訪問していろんな「給料明細ありますか。通帳ありますか。」「いや、ありません。ありません。」「何か証明するもの何かございますか。」そしたら、たまたま3軒先にそのころ同僚だった人がおられて、例えば、その人は明確に覚えていて、「その頃給料20万円だったよ」ということが言えれば、それはちゃんと調書にとって、そういう方が言ってくださった、誰が材料集めようとかまいません。社会保険庁の不祥事で起こったことであれば当然社会保険庁が率先してやるべきなのです。第三者委員会を設けたのは、あまりに社会保険庁が信用にならないので、客観的に見るということでやったわけですから、その資料集めについては、誰がやってもかまわないと思います。ですから、こちらが持っている資料でも国民の皆様が持っている資料でも、そのご友人が持っている資料でも、どんな傍証でも良い。そして、本当に何にも無い時は、これはまさに第三者委員会の判断ということになると思います。だから、材料集めは、当然それはお手伝いしないといけないと思っております。
記者:
ご高齢の方ですから、本当に何も無い場合は、第三者委員会でも判断が難しい、判断できないということがあるかと思うのですが、ご本人の記憶も曖昧、同僚の方の記憶も曖昧ということが十分有り得ると思うのですが、その辺はどういうふうにされるのでしょうか。
大臣:
今回、全くゼロから始めるのではなくて、3条件でかけました。つまり、極めて疑わしいということですから、これはこちらも相当努力して事業所を調べる。例えば、事業所が倒産してもどこかに行っているということであればですけど、例えば、そこの事業所がまだ残っているとか、その当時の経営者がまだ生きているとか、そういうことであればそういうところのチェックもしてやれば良い。あらゆる資料集めを皆でやってみるということです。その上で何も無ければどうするかが第三者委員会で結論を下すということです。そういうことで、とりあえずその2万件を頑張ってやってみて、まさにそこからいろんなデータが浮かび上がり、傾向も分かってくる。ただ、一番大事なのは、そういう統計データを弄ぶことをやるのではなくて、一人一人一刻も早くどう救うかということなので、そのことを主眼にしてやっていきたいと思っております。

(了)