閣議後記者会見概要

H20.09.16(火)10:54~11:09 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議の前に事故米の不正流通事案について関係大臣が集まりまして、情報交換、今後の対応について議論をしました。流通経路を公表するということ、それから、厚生労働省としては食品衛生法に基づいて関係自治体に対して回収命令を出しておりますので、その回収状況についての情報を厚生労働省に集めこれを内閣府に集中させるという形で対応したいと思っております。ちなみに今日参集した大臣は、総理の下に官房長官、太田農水大臣、野田消費者担当大臣、保岡法務大臣、さらに私と国家公安委員長の林大臣。そこで保岡大臣の方から今こういう大量に食料を扱うような件に関しての関係法令の罰則が少し十分ではないのではないかと話がありました。具体的に言いますと、厚生労働省所管の食品衛生法では3年以下の懲役、300万円以下の罰金になっております。それから経済産業省所管の不正競争防止法では5年以下の懲役、500万円以下の罰金になっておりますので、これは少し広範な国民の命に関係のある問題ですから、今後、法務大臣それから、私を含めて関係大臣で議論をして、この罰則の強化という方向をとりたいと思います。具体的に言うと、これだけ大量流通する時代に作った法律ではないですから、例えば、水道施設に障害を与えて水の供給を妨害すると5年以下の罰則くらいしかなっていないのですね。しかし、広範な国民に影響がある件については、検討すべきであるということでこれも検討課題としたいと思っております。
それから、閣議ですが、「安心実現のための緊急総合対策」について各省の大臣からそれぞれの省の取組について説明がありました。これを今般の補正予算に様々な施策を組みますが、我が省としては長寿医療制度における低所得者への保険料軽減などの措置、それで約2,500億円。それから、新型インフルエンザ対策で490億円などについて補正予算の対応を考えておりますし、その他、医師派遣、緊急医療対策、それから、物価上昇により影響を被っている中小企業への雇用支援、年長フリーター対策、雇用確保対策、それから、新待機児童ゼロ作戦の対策、更に年金記録問題への取組を加速化させるための様々な施策。これらについても補正予算に盛り込むことを考えているところです。
それから、もう一点、例の障害者スポーツへの支援についてですが、大変選手ががんばっておられまして、今日のところ金が4個、銀が10個、銅が7個ということです。それで先般もお話申しあげましたが、健常者には報奨金があるのにパラリンピックの受賞者にないということで金メダル100万円、銀メダル70万円、銅メダル50万円ということで、これを決定してさらに進めたいと思います。ただ、これは今年限りの予算の捻出は出来ましたが、来年度以降これをもっと広める、さらにパラリンピックだけではなくて裾野を広げるという意味でも募金活動をして広く国民の浄財をお願いしたい、募金をお願いしたいと思います。JOCもすべて民間の基金なのです。それで、この21日の日曜日の15時から数寄屋橋交番の近くで私も出まして、それからオリンピック、パラリンピックで活躍した選手に今呼びかけをしておりますので、国民皆で少し募金をしていただいて、できれば私は健常者と障害者でスポーツ選手を差別すべきではないと思っておりますので、できれば健常者と同じくらいの報奨金があげられればと思っております。何度も申し上げますがJOCはすべて民間の基金です。今回はなんとか知恵を働かして障害者の基金を出しましたが、今度はJPC、パラリンピックの方も国民全体で支えていただきたいと思いますので、こういう活動をやりたいですし、広く訴えたいと思っております。募金先の口座名もこういう形で広くお願いしたいと思いますので、是非障害者スポーツの支援を皆様方にもよろしくお願いしたいと思います。以上で私の方からの説明を終わります。

質疑

記者:
標準報酬月額の改竄についてですが、民主党の会合でまた新たに社会保険事務所から、改竄の指南を受けたという証言が出ているのですがそれについてはどのようにお考えですか。
大臣:
まだその報告を受けておりませんのでその報告を見てまた対応したいと思います。
記者:
総裁について支持は決まっておりますでしょうか。
大臣:
まだ決めておりませんが、この一週間各候補の政策の発表、いろいろな演説、テレビでの討論を見ております。そういう中で今私が申しあげられることは、私は厚生労働大臣として一年間取り組んで来て、何度も皆様方に言っておりますように社会保障費の2,200億円の削減ということは限界に来ているということをすでに申し上げて来ております。これは皆さんご承知の通りです。したがって、そういう認識を同じくする候補を支援する、そういう認識でない候補は支援しないというところまでは、昨日までの討論会などでの発言で大体決めております。
記者:
標準報酬月額の改竄なのですが、年金の横領の時のように、こちらから能動的に、例えば、全国調査をするとか、そういった実態解明に向けてそういった調査を行うという方針はありますでしょうか。
大臣:
それは既に行っております。行っておりますし、いつも言いますように、ヒアリング等をやるということをやっていく。それからもう一つは、ただその不正をやった人は自分が不利になるからきちんと正しく答えないということがあります。それは職員だけでなくて、中小企業の例えば、関わった経営者も話さない可能性がある。そうするとこれは、仮に話をしても、本人の自供のみによっては、これは日本国憲法上、司法手続きができないわけですから、従って、法と証拠で、証拠がいるわけです、物的な証拠が。そうすると、この物的な証拠を探さないといけません。これは、犯罪構成とか何とかいうより、いつも申し上げているように、一番大事なことは、被害に遭った方を特定して、その被害に遭った方を救済する。これがまずやらないといけないことの一番なのです。それで、ではどういうふうにすればそれが解明できるか、もちろんヒアリング、いろんなことがあります。ですから、出てきて証言される勇気がある方、大変有り難いと思いますから、何年何月何日にどういう事業所でどういう従業員に対して不正をしましたよということを是非教えてほしいのです。これが一番大事なのです。そうすると、その人の年金記録でその人を助けることが出来ます。だから、誰が犯罪をしたかということはそこから先のことで、一番大事なのは、国民の年金を取り返すことですからもちろん、はっきり不正をすれば処分もするし、刑事告発もします。ただ、そういう観点からいくと、国民の皆さんの年金記録を今正しくする作業を一所懸命しているわけです、ねんきん特別便を含めて。その中の一環として標準報酬月額が改竄されたり間違っていたらこれは正さないといけない。それで何度も申し上げていますように、データからアプローチする道があるわけです。それで今そのデータを見ていて、一番確率が高いのは、この会社は今日で資格が停止する、つまり、もう払えないからという資格停止をした会社について今調べてみると、ほとんどのケース、そこから遡って、例えば、今日が9月16日だったら、今日でもうあなた資格ありませんと言われた会社があったとします、そこから遡ったデータを調べていくと、多くのケースについて過去一年分、つまり去年の9月くらいから一年分の変更をしていたケースが見つかります。そうすると、これについて改竄かどうかは別として、標準報酬月額をいじくっていたということが出てくる可能性があるのです。そうすると、それを物的に押さえていって、確実にそういうことであるということが分かれば早くその被害者の年金を回復しないといけない。ですから、そういう調査は今やっていますし、更に別の手立てがないか。例えば、標準報酬月額について、こういう取扱いをしなさいとか、こういうふうにやりなさいみたいなデータがもしあったとすれば、そこから肉薄できる。だから、ありとあらゆる物証からできないかな、つまり、データからの解明というのを、これは今おっしゃるような全国的な規模でやっています。やはり、データについては闇雲にやるよりも、可能性の高いところからアプローチしていった方が良いから、今言ったように、資格停止から逆算したことがあれば非常に良く分かるのではないか。これは、本人は、満額保険料を払っているのに、過去に遡って改竄されていたら、満額保険料を払っているのに年金が減るわけですから救わないといけない。逆に、今度はそうではなくて、従業員も荷担した形で、皆で架空の標準報酬月額にして、そして、保険料も自分が下がっていたら、こういう方は、資格は、その保険料に見合った年金しかもらえないわけです。例えば、そのどちらのケースであるかというのは、これは極めて難しい。何もしないのではなくて、今懸命にそういう努力をしております。そして、ある程度また、結果が出てどうだということがあれば、定期的に、一月に一回くらいは、今こういう政局ですけれども、一月に一回くらいは、年金記録関係閣僚会議を開いておりますので、そこでまたご報告をしたいと思っております。今全力を挙げてやり、それから、やはり優先順位、可能性の高いところから潰していかないと、たくさん数がありますので。それと後は、是非国民の皆さんにもお願いしたいのは、いささかでもひょっとしたら、今のねんきん特別便には、標準報酬月額は書いてありませんが、尋ねていただければ、ないしは、自分でパスワードを作ってネットで問い合わせていただければ出ますから、それでおかしいと、途中自分は給料が下がったことないのに35歳の時ちょっと下がっているよというようなことがあれば是非おっしゃっていただいて、これは皆さんの協力もいただきながら、とにかく被害に遭った方の年金を元に戻すこと。これに全力を挙げたいと思っております。
記者:
事故米のことで関連ですけれど、先程、食品衛生法等の刑罰を重くするという方向で保岡大臣等と検討していくということでしたけど、これはいつまでに結論を出すというその辺りの話というのは今日出ましたでしょうか。
大臣:
そこまで出ておりません。これは、法律改正が必要ですから、国会で法律を改正しないといけない。それで、そのためには、刑法関連もありますので、ちゃんと法律を改正する時の手続きの審議会、専門家の議論を経て、普通通りやればかなり時間はかかります。軽々に刑罰を重くするというわけにはいきません。ただ、どうしても時代の流れから見ると、こういうことが想定されない、それはお米だって昔大量にこういう事故米みたいなものを全国規模でというような感じではなくて、せいぜい地域の都道府県ごとに消費していた時代の産物ですから。そういうことを含めて、日にちは確定しませんですけれども、政府の方針としてこういうこともきちんとやるということで、つまり、こういう不正は許さないよという厳しい姿勢を示す一環として法律改正も考えるということです。
記者:
それに関連して総理から閣議、閣僚懇談会で何かお話しはありましたでしょうか。
大臣:
それは、後ほど官房長官の方からきっとまとめてご報告あると思います。関係閣僚会議については、そういう取り決めになっておりますのでよろしくお願いいたします。
記者:
今の刑罰の話なのですけれども、確認なのですが、厚生労働省所管の食品衛生法等について刑罰を重くしろというふうに保岡大臣がそれぞれの所管する法律の所管の大臣にそういうふうに検討してくれというふうに言ったという理解ですか。
大臣:
実は、今日の前にも個人的に保岡大臣と私がちょっとこれは刑法体制、要するに、刑罰ということから見たときに、少しおかしいのではないかという問題意識を私と保岡大臣が持って、既に週末から議論をしております。そして、今日、総理の下に集まったときに、各大臣にこうしてくれということではなくてお話をしました。例えば、詐欺とか窃盗でも10年位の懲役にいくのです。だけど、今回これだけ国民の命をないがしろにするような行為をやっていて、3年とか2年とか5年なんていうのは、果たして公平性があるのだろうかという議論です。例えば、刑法の中に新しい法律を加えるという手もなくはありません。しかし、やはり不正競争防止法、これは経済産業省管轄ですが、それから、食品衛生法、こういうものがあるわけですから、そういうものの刑罰、つまりこういう特別法の刑罰を重くする形が一番法律の整備としては、良いのではないだろうかということです。これはあらゆる方向を考えれば良いと思いますから、関係する大臣でしっかり議論をして、要は、国民の命をないがしろにするような、危険に陥れるような行為を行った者に対しては、厳罰で臨むという体制を作り上げたいということです。詳細は今から検討いたします。
是非、パラリンピックの募金活動、また皆さん方にもよろしくお願いしたいと思います。

(了)