閣議後記者会見概要

H20.06.10(火)09:36~09:48 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議終了後に原爆症の訴訟問題について、法務省と調整いたしました結果を総理にご報告して了解を得ました。原爆症認定訴訟の仙台・大阪高裁判決につきましては、判決を精査した結果、法務省と協議しましたけれども、上訴して最高裁で争うまでの強い理由はないと判断いたしまして、上訴しないことといたしました。原爆症の認定基準につきましても、新基準の総合判断の仕組みを活用して、できるだけ迅速に認定審査をやっていきたいと思います。他の訴訟につきましては、法務省とも相談しながら他の高裁の判断を仰ぐ必要があるというのは当面考えております。詳細につきましては後ほど事務方からご説明申し上げます。皆様方に厚生労働省及び法務省の正式な文書をお配りしたいと思います。

質疑

記者:
他の裁判に関しては、判断を待ちたいということでしたが、継続して裁判で争われるということですか。
大臣:
個々のケースでは、訴訟している方もケースも違いますからおそらくそれぞれの司法の判断を経て、それによってまた判断するという形で行きたいと思っております。過去の例でも認定について国が勝ったり負けたりしている例がありますから。そういうことも考えた上で、どういう手段でやるのが皆さんを積極的に迅速に救うことになるのかなということで、今305名ほど原告の方々おられますけれども、新しい認定基準で相当認めていますし、今スピードアップして新認定基準で認められる方々を認めるということを言っておりますので、300名をおそらくこの2、3ヶ月の間に150名くらいに減らせると思っております。そして総合判断という手段がありますし、また新たに認定基準を作るのに、検討会を開いたり、審査する先生方を責め立てたり相当時間が掛かりますから、おそらく私の判断では新認定基準の個々の総合判断という枠組みを使った方が、早く認定することが可能であろうと思っておりますので、そういう前向きな姿勢でやりたい。ただ法務省との協議の結果やはり国が勝っている部分もあるものですから、ケースバイケースで全部一律にというのは非常に無理があるということで、とりあえずは今のような方針で進めたいと思います。
記者:
今日から社会保障費の財源案として、たばこを値上げしようという議連が立ち上がるのですが大臣はどういうふうに。
大臣:
たばこについて言うとこれは、有害であるということでなるべく吸わないようにということを進めておりますので、そういう意味でもたばこの値段が上がって禁煙が進むならそれは結構だと思っております。それから300円前後を一気に1000円というのは、なかなかたばこを吸われている方も受け入れ難いので、私は500円くらいであったら受け入れられるかなと。それとたばこを吸っている方もそれぞれの思いがありますし、今たばこを吸える場所が減ってますから税収が上がるなら、例えば喫煙コーナーみたいなものを、整備してあげるくらいのことを考えてやって、もしそういう形でたばこの税収が上がるなら、やはり健康のために国民の命を守るために使うというのは、一番国民の理解を得られると思いますし、一石二鳥にも三鳥にもなるので私はそういう考え方は賛成します。
記者:
原爆症ですが、総合判断の枠組みを利用するということなのですが、総合判断を利用して305人全員が認定されるくらい積極的に認定していくということですか。
大臣:
そこはやってみないとわかりませんが、できるだけ早く迅速に困った方を救うという視線に立ってやりたいと思っております。現実にやってみないとわかりませんけれども、そういう思いでやりたいと思っております。つまり問題は司法の判断と行政の基準との乖離をどういう形で埋めるのが一番いいのかという問題になるので、それはルールですからルール設定をしないといけません。そのルール設定をするときに当然すべての裁判所の判断が同じではありません。だから、がんにしても甲状腺の機能障害にしても認めている判決もあれば、認めていない判決もあります。ですからそういうことの総合判断をやるときに、やはり個々のケースで判断する方が早く救うことができるのではないかなというのが、今の私の思いであります。後は現実に進めてみて積極的に救うのだという気持ちを忘れないでやりたいと思います。
記者:
所謂政治決断による全面解決というのにはなじまないという趣旨ですか。
大臣:
私もすべての判決を精査し、法務省の立場ではなくて厚生労働大臣の立場で一人でも多く救うという立場で見たときでも、政治的に一律という感じでは今回はなじまないかなというような感じがしております。そして片一方の損害賠償の方もこれは逆に国が全部勝っているのですね。ですからそういうことも考えて、これはこれでまた別の対応をしないといけないと思っております。まあ総合的な判断です。
記者:
総理は法務大臣と舛添大臣の報告を了承しただけで、総理からは何も判断はなかったわけですか。
大臣:
一応報告し、了承していただいたということです。
記者:
原告団は総理との面談も求めていますけれども、そこら辺はどうでしょうか。
大臣:
総理には私の方からこの前お会いして、皆さんお年を召されて一日も早く救いたい、非常にこれまでご苦労なさったということはしっかりとお伝えをしておきました。総理もそのことも踏まえて、どちらかというと法務省の方は法的な判断がありますから、私の判断よりも厳しい判断をしますけれども、やはり総理はそこは、この前の私がお会いしたことをご報告いたしましたので、是非それは救うべきだというお考えだと思います。ですから、その上で、総理には十分この前のメッセージは伝わっていると思います。これからの事態の進展を見ながらまた必要なら総理にアドバイスしたいと思っております。
記者:
「安心と希望の医療確保ビジョン」について改めて伺いたいのですが、大臣がビジョン懇談会を立ち上げられた目的、問題意識の部分を改めてお聞きしたいのと、とりまとめはいつ、どのような形で行われるのかお聞かせ願いますか。
大臣:
私は、やはりお医者さんの数が不足していると思います。偏在しているだけという方もおられますけれども、例えば、一週間に80時間とか90時間働いているわけです、皆勤務医が。そうすると、まともな勤務時間に直すだけで倍にしないといけないでしょ。そうすることを全く考えないでとにかく偏在しているだけだというのは私は認識は誤っているし、やはり医療の現場が崩壊している。経済学者が経済合理的に言うとこれだけカットできる、カットできると言うけれども、そういう方々に言いたいのですけれども、一度でもいいから医療現場に行ったことありますか。見たことありますか。医療や介護の現場。そんな市場経済原則だけ振り回して済むような問題ではありません。役所もそうです。例えば、経済財政諮問会議の民間議員もそうですよ。紙と鉛筆だけで計算してこれだけでできるというのは、こんな簡単なものはないです。私は、基本的に現場を見てやっているので、その現場の医療崩壊とうことをこのまま放っておいたのでは日本全体が駄目になる。目先の、明日産婦人科が閉鎖されるからどこかの大学からそこに一人産婦人科のお医者さんを連れてきてなんとか閉鎖を止めているのです。だけど、そんなことをすればするほど、そんなに強制的に行かされるのは嫌だよと若いお医者さん言うでしょ。だから、長期的に構造的なビジョンを作って、10年計画でこんなに医療体制を良くしますから、どうか皆さんお医者さんになってくださいよ。今苦しいかもしれないけど、先に光が見えますよということをやりたいので長期ビジョンをやったのです。ですから、これはきちんと議論をして現場を見ていただいて、どちらが正しいかというのを堂々と戦ってやらないといけないので、不退転の決意でこれは望みたい。国会が1週間延びるようですし、私は今原爆症の問題、それから長寿医療の改革、改正問題、年金問題、いっぱい抱えていますので、その交通整理をしていまして、なかなか時間の設定ができないので、早ければ今週中、しかし、国会が延びましたら来週くらいになるかもしれません。それでできれば数値も出して、これでいきたいということを申し上げて、それが内閣の全体の意見になるように努力をしますというのが今の状況です。
記者:
深夜帰宅のタクシーで職員が18人、ビールやおつまみの接待を受けていたということなのですが、これについての受け止めをお願いします。
大臣:
答えるのも嫌になるくらい恥ずかしい、困った話であって、これは、一番多い職員は110回も接待を受けていたというのです。これは厳正に処分する。こういうことが二度とあってはいけないので、こういう所から襟を正していかないといけないと思います。天下国家の政をやっている人達がそういうことをやったのではそれは駄目です。ですから、二度とこういうことが起こらないようにしないといけない。結局は、タクシーチケットでしょ。タクシーチケット、国民の税金でしょ。不正があったとは言わないけど調べてみないと分からないですよ。だから、ワークライフバランスもやっているので、もう皆早く家に帰りなさい。そして、タクシー使わない時間に帰るように質問通告も早く出してもらってやりなさいというように思っておりますので、是非ワークライフバランスでタクシーチケットが不要になるような社会を作りたいと思っております。その前に厳正に処分をしたいと思っております。
記者:
秋葉原で凄惨な事件があったのですが、大臣として何かもし思うところがあれば。
大臣:
これは、原因等について今警察を中心に究明しているので、よく状況を捕まえてですけど、通り魔事件のことで命が失われるということがあるというのは本当に残念なので、警察の力を借りないといけない。それから社会全体の何か問題があるとすれば、こういうことも考えないといけないし、派遣社員であったということがどれだけ影響しているのか、そこもきちんと検討しないといけないと思います。私はやはり特別な通訳さんとか専門職以外は、やはり基本的には、常用雇用というのは当たり前なので、安定した職を持って安定した家庭もできて、精神も安定するので。恒産なき者は恒心なしというでしょ。そういう原点に戻るべきだと思いますから。これは派遣労働については先般、総理の指示もありましたから、国会閉じられて、今国会で間に合わなくても次の臨時国会できちんと手を打って、恒産なき者は恒心なしということをしっかりやるべき時期がきていると思います。だから、そういう意味で、先程の医療制度の問題もそうですけど、大きく政策を転換しないといけない時期にきているのではないですか。要するに、働き方の柔軟性があっていいじゃないかとかいろんな意見があるけれども、なんでも競争社会でやるのがいいのかどうなのか少しやはり安心して希望を持って働けるような社会に舵取りを変えるということがないといけないと思います。正に私が担当しているのは厚生の問題も労働の問題も生命の問題、医療の問題、全部そうですから、なんとか内閣全体の方針がそういうように全力をあげたいと思っております。

(了)