閣議後記者会見概要

H20.04.15(火)09:46~10:13 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議の前に地方分権改革推進本部がございまして、これは丹羽委員長の方から、各府省からこの改革委員会の提案に対しての回答が、寄せられていることについて、ご説明があり議論がありました。細かい点は、増田総務大臣の方から発表があると思います。閣議ですが、閣僚懇談会におきまして、長寿医療制度について、私の方から一言ご説明を申し上げました。年金からの特別徴収、天引きというのが、今日から始まるということで、長寿医療制度については832万人、国民健康保険については53万人の方が対象となっていると。これは金融機関にお支払いに行かれたりすることの無駄が省けるとともに、周知徹底をやると。それから年金記録問題、ご承知のように着実に解決に努力をしておりますので、それは今後ともやっていくということです。それから被保険者証がまだ届いていない方々が居られますが、若干の計算ミスがあったりする自治体がいくつかありますけれども、こういうことに対してもきちんと対処をやっていき、先般申し上げましたように、免許証や健康保険証があれば、医療機関においてきちんと医療が受けられるということだと思います。それから、もう少し制度についての周知徹底を図りたいというふうに思っております。報道なんかを見ましても、いろいろな誤解がありますし、インタービューなさっても誤解なさっている方が多い。例えば、今まで掛かっていた病院に掛かれないということはありませんし、それは掛かれます。今まで受けていた治療が受けられないということもありません。ですから、そいうことについて、少しきちんと説明する必要があると思います。夜中の訪問介護なんかは、今まで以上に良くできるようになっていますし、それから、今まで入院して、退院して「次どこだ」というときに、行き先もなく放り出されるようだということもありますけれど、これはきちんとそういうことがないようにしていますし、毎月きちんと紙の形で、こういう診療を行って、あなたの状況はこうですということも、きちんと説明するシステムになってます。そういう点でも、これはお一人お一人にとって、メリットもあるわけですから、そういこともきちんとお伝えしていきたいと思っております。それから、保険料は高くなったり、安くなったり、これは自治体によって扱いが違いますけれども、一般的に言うと相当多数の方が安くなるとともに、均等割と、所得割と、資産割というのがあったのですが、日本のご高齢の方々は、多くの方が持ち家だったり、皆さん資産を持っているわけですよね。資産割をなくしましたから、その分も少しは負担が減っていることになると思います。ですから、いろいろなご批判に対しては、ひとつひとつ改善していく、それから凍結措置とか暫定措置を相当執ってますので、今後ともそういうきめの細かい対応をしながら、本当に困っている方々、減免措置もありますので、是非ご相談いただいて、これが長生きを支える制度としてきちんと定着するように、実施をして参りたいと思います。2年前に決めた制度なんですけれども、実施の責任は私にありますから、円滑にできるように今後とも努力をしていきたいと思います。それから、閣議がらみではそういことでございますけれども、もう一つは、新型インフルエンザについてでありますが、明日新型インフルエンザ専門家会議が開催されまして、新型インフルエンザ対策について議論することになっております。その基本的な内容、これは明日またきちんと議論をして、専門家の方に決めていただきたいと思いますけれども、3つの点を議論していただきたいと。そして、それできちんと専門家の方々のご意見が決まりましたら、その方向で政策を実行に移したいと思います。第1は、プレパンデミックワクチンの備蓄の追加ということであります。今ご承知のように、平成18年に約1,000万人分の原液を備蓄しておりまして、これはベトナム株、インドネシア株です。それで19年度末にウイルス変異が起こった場合のことを考えまして、今度は中国株について、1,000万人分の原液、合計2,000万人分の原液を備蓄しているところですけれども、さらにこの追加備蓄をするかどうかということについて、明日検討していただきます。それから2番目がプレパンデミックワクチンを用いた臨床研究の実施ということで、これは製剤化されたワクチンを用いまして、税関、検疫所、入管職員と感染症指定医療機関職員、6,000人を対象に事前接種をして、それに関する有効性、安全性を評価する研究を厚生労働省でやりたいと。そして、有効性、安全性について良好な結果が得られれば、医療従事者等、社会機能維持者、1,000万人への事前接種を検討したい。こうした方針について検討していただく。これは現実に実行に移されれば世界で初めての対応ということになります。それから3番目の大きな柱が、パンデミックワクチンの製造体制の期間短縮であります。今は鶏の卵、鶏卵によるワクチン製造を行っておりますが、これは新型インフルエンザが発生してから国民全員分のワクチンを製造するために、約1年半前後の期間を要します。これを半年程度に短縮するために、細胞培養技術の確立を行いたいと思います。これを検討していただくということですので、明日の10時からこの会議によって結論が得られれば、ただちに実行に移したいと思います。これが2点目です。  それから3番目ですが、先般から厚生労働省改革について、2月27日の私の就任半年を機に訓示をしましたけれども、それ以来取り組んで参りました。広報委員の設置を行いましたし、改革ホットラインの開設、ロゴマークの公募等を進めてきましたけれども、まず、広報委員の活動について、それからホットラインいろいろな提案がきましてので、これを現実にその提案に基づいて物事を先に進めております。それからロゴマークの応募の状況、この3点について、現段階の状況整理いたしまして、後ほど皆さんに資料を配付する形でお知らせ申し上げたいというふうに思います。

質疑

記者:
大臣の実施の責任は私にあるというお言葉もありましたけど、制度が始まっても保険証が届かなかったり、徴収額が違うとか、名称を直前になって変更するというのは、大きな混乱をきたしたと思うのですが、昨日福田総理も周知不足を認めて謝罪されていますが、改めて大臣からこの混乱の原因と責任について説明してください。
大臣:
国民の皆様方にいろいろご迷惑をお掛けして、大変申し訳なく思っておりますので、一日も早くそういう混乱が落ち着くようにしたいと思います。一つは2年前の6月にすでに国会で決まったことなんですが、この準備期間2年の間に昨年末、与党の決定でいろいろな凍結措置が行われました。例えば、息子さんの被扶養者になっている方、今まで払っていなかった、突然払うというのはこれは大変でしょうということで半年間は負担ゼロ、その次の半年間は例えば、1,000円だったら一割の100円というようなことを行ってきましたので、制度が若干複雑になった。それで市町村の方がその対応に十分追い着けなかったということもあると思います。それからご高齢の方で例えば、老健施設に移られたりとか、ご親族の家に一時引っ越されたりという方々がおられる、それに転送不要という判子をほとんどの自治体で押したものですから、届いていないというようなことがありました。ただこういうことは、全体1,300万人の内の約6万人、パーセンテージにして0.5%、この6万人の方々に対して、今全力を挙げてきちんとお届けするように、やっております。長寿医療制度というのは、後期高齢者医療制度というのは言葉も固いし、わかりにくいという総理の指示で、通称ということで総理に言いまして、できるだけ長寿を喜べるような社会にしたいという、そういう意味を込めていたしました。いずれにしましても、若干の混乱は、今言った制度変更が途中であったということ、それからやはり、いろいろな周知徹底を行ってきて、政府広報もあり、新聞広告のビラなども相当入ってはいるのですけれども、ご自分一人一人にとってどうだったという観点が少し足りなかったかなと、トータルな説明はできていると思うのですね。だから例えば、国民健康保険を、国民皆保険をみんなで守るためにということで、ご高齢の方々1割、若者のお金が4割入る、税金が5割入る、それでむしろきちんと支えるんだと、これは全体像なんですね。そういことも説明いたしましたけれども、「私一人個人にとってどうなんだ」ということを、もう少し細かく説明するのが欠けていたかなと思いまして。今、保険証2枚が1枚になりますよと、平均的に言うと保険料の負担は減りますよ。それから先ほど申し上げましたように、お医者さんに掛かる時に、高齢者の担当医、かかりつけ医でこういうメリットがありますよと、そうことをこれからきちんと説明していこうかというふうに思っております。それで、保険料は基本的に保険料を払うべきものは、払わないといけないわけですから、これは年金から天引きしなければ、払わなくていいような感じの雰囲気になっておりますけれども、そうではなくて、払わないといけないものは、払わないといけないのです。ですから、年金からの天引きがなくても、年金からも支払わないのであれば、自分の蓄えから払わないといけないので、私はそこは、年金の記録問題を一生懸命やっておりますから、そちらの問題とこちらの問題を情緒的に結びつけるのは、いかがなものかなと、私は思います。それはきちんと別の問題であるわけですから、そのことも含めて全力を挙げて、いろいろ対応したいというふうに思っております。
記者:
保険料に関してなのですけれども、やはり上がる人には上がると、きちっと負担をお願いしますと説明しないといけないと思うのですけれども、厚生労働省としては、軽減措置をたくさんとっているので、複雑になっていて全体像がなかなか数字的なものがこちらにも分かりづらいのですけれども、各都道府県、保険料がどうなっているのかというのは、把握されているのですか。
大臣:
それは、各自治体が自由なのです。ですから、各自治体からご報告いただければですけれども、個人個人にとっては、もう届いているはずなのです。自分がいくらになるか。ですから、それは、皆さん私にご高齢の方が、「いや、大臣。私は、これだけ減って喜んでいます。」ということを言ってくださっています。というのも、届いて分かっているので、個人には皆分かっています。ただ、東京都は、扱い方が他の自治体と違うものですから、東京の場合は、これは数を数えたわけではないですけれども、若干上がる方もおられるのかなという感じもしますので、これはもう全部自治体の自由ですから、そこは違う。そこは、細かい把握は全部はできていません。ただ、個々人には「額」は行っていると思います。
記者:
今後、把握、調査なりを。
大臣:
それはもう、各都道府県からデータをもらえばなのですけれども。これは本当に計算式で、住民税を基本にするのか、何を基本にするのか、そして、それから、東京都の場合も、東京都の広域連合で軽減措置を、あまりにも高すぎる人は、実施するということをいわれていますので、そこまで入れると、全体像を把握するというのは、少し時間がかかると思いますけれども、全体がどういうふうになっているのかというのは、分かれば努力をして調べてみたいと思います。
記者:
昨日、全国健康保険協会設立委員会の、社会保険庁からの採用の1,800人が決まったという発表があったのですけれども、その中に、過去に処分を受けた人間が300人ちょっと含まれていたということで、人事評価が甘いという指摘もありますけれども、これは大臣はどうお考えでしょうか。
大臣:
これは、実は、外の組織の設立委員会が決定することなのです。それで、どういう評価であったかという基礎的なデータを出します。それで、例えば、あまりに勤務評価が低いような人は、例えば、A、B、C、Dと評価したら、Aだけ取るのですか、Bまでいくのですかという一般的な基準を設立委員会の方で決定なさる。ただ、細かい事情があったりして、例えば、急に配転先が変わってあまり仕事に慣れていない人たちは、それは評価は低いはずなのです。そういうことも含めて、これはあくまで、私がこの人を取ってくれって決めるわけではありません。社会保険庁として、基礎的なデータを出して、設立委員会の方で、この基準で足きりをします、この基準でやりますということでお願いしている。つまり、今度の日本年金機構もそうなのですけれども、あまりに社会保険庁の今までの無責任さ、使命感の欠如というのがありましたから、全部こういうのを外の組織が作って、外部がチェックして監視をするという体制になっています。今のところは、そういう形で採用基準を設立委員会がお決めになった。それに我々は、候補者の名簿を出して、その足きりを向こうにやっていただくということなのです。ですから、今後ともできるだけ厳正に新しい組織で働く意欲や能力の無い人は、入れないという方針をきちんと私、厚生労働大臣としては、これは貫いていただきたいと思います。基本的には、全国健康保険協会もそうですし、今度日本年金機構についてもまた設立委員会が決まりますので、その委員会で厳正に対処してもらいたいと思っております。
記者:
ヤミ専従をした職員にA評価を付けていたという話があります。付けた本人はもちろん悪いと思うのですけど、付けていたのを認めていた上司も悪いと思うのですが、その辺り責任とか処分の範囲についてはどのようにお考えなのでしょうか。
大臣:
昨日、衆議院の決算の委員会の方で葉梨委員から質問がありました。これも外部の委員会からチェックを受けて、社会保険庁のチームがそれを調査したということで、葉梨委員の表現を借りると、泥棒が泥棒を取り締まってもしょうがないじゃないかというのでありますけれども、基本的な調査をこちらとしてやるにしても、もし本格的にこの調査を発動させようとすると、検察のノウハウを持っていたり、弁護士であったり、そういう人に、守秘義務をかけた上で、検査、捜査をさせないと本当のところは非常に出てこないのではないかと思います。今私の下で特別チームが、年金についてあり、これは今いろんなことを調査しています。ただ、この人たちは、今言ったような、ヤミ専従的なことを捜査する能力を持った人たちで形成されていません。年金記録について能力を持った人たちがやっていますから。ならば、この問題について、総理ともご相談をして、今のようなチームを作ってやるのかどうなのか、その時にあくまで我々は検証する委員会の方からのチェックなので、最終的には、検証する委員会のご指示を仰がないと。我々は、社会保険庁は、今まな板の鯉であって、そこでどういう不正を行っていたかどうかを今チェックしているので、その体制も検討します。しかし、職員であれ、つまり、労働組合員であれ、管理者であれ、少なくとも不正がある、それで法律に違反しているということがあれば、それは法治国家ですから、法律に基づいて告発を含めて厳正に対処するということです。
記者:
公的年金の運用について伺います。今、諮問会議のワーキンググループで、年金基金の運用にあたっているリスクマネーの比率を高めるべきだという議論がありますけれども、この考え方について大臣はどのようにお考えですか。
大臣:
要するに、今の厚生年金保険法等の法的な仕組みでは、やはりきちんと安全性ということが謳われているわけです。だから、ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンであるという中で、いかにして年金の運用の実績を上げ、しかも安全性を保つかというのは、ある意味で二律背反なのです。だから、そこは国民的な議論をきちんとやらないといけません。しかし、諸外国に比べて運用実績が低いことは確かなのです。オーストラリアの例を見ても、相当向こうの方が高いです。そうすると、あれと同じくらいの、つまり、諸外国並の運用ができれば、もう少しそれは、1兆円でも2兆円でもお金を増やすことができる。それは、国民のためになります。しかし、今回のサブプライムみたいな問題が出てきた時に、やはりハイリスクは問題になって、国民のお金を失うことになる。今、短期間の過去数ヶ月の運用実績を見れば、サブプライム問題の影響でマイナスなのです。だから、そこをどういうふうにするかということは、長期的には、まず、今の年金運用体制、独立法人でやっていますけれども、これを今のままの体制で良いのかどうなのか、これをまず一つ議論する必要があると思います。それから、年金の運用基準で、それは、今大体ベンチマーク、つまり、普通の人がやって普通の実績が出る程度までいっていますけれども、それを超えてやるならリスクがかかります。そのリスクについて国民の賛成が得られるかどうかということも考えないといけないですし、そこは、もう少し議論があると思います。ただ、一応、やはりこれは少し、今のような長期的な展望を持って改革への道を歩んだ方が良いという認識は持っておりますので、私が任命権者なので、年金の運用委員、これは、先般新しくいたしましたけれども、かなりメンバーを刷新いたしました。そして、民間で経験のある方を入れるというような形で、今までとは違うメンバー構成をしておりますので、そこはまず改革の第一歩で、今後は総理の下にある社会保障国民会議であるとか、これは、ご検討申し上げたいと思います。やはり日本人は、基本的にキャッシュ指向でずっときていて、大体世界のポートフォリオ分割というのは、不動産が3分の1、有価証券が3分の1、キャッシュが3分の1、これで大体いくのです。ただ、日本は、圧倒的にキャッシュと、最近若干変わりましたけれども、不動産の比率が高くて、有価証券、株というものの比率が圧倒的に少ない。従って、そこに金融工学も生まれない、ヘッジの仕方も分からないという問題があると思うので、これは、国民全体の意識の問題と国民全体の資産運用の問題とも関わりがあると思います。総合的に今後の検討課題としたいと思います。
記者:
総理が昨日、産科ですとか小児科での医師不足をめぐって、救急医療体制の改善策作りを急ぐと表明されました。一方で、「骨太」では、社会保障費の削減というのが、抑制というのが、進められていますけれども、こういった今後の取り組みについて、財源について改めてどのようにお考えになられているのか教えてください。
大臣:
総理がおっしゃったのは、私の下に「安心と希望の医療確保ビジョン」というのをやっていて、後2回くらいやってそろそろとりまとめに入ろうかと思っております。それを基盤にして、その上で、数値目標が出せるものは出せる、財源措置をとれるものはとれるということで、きちんとやっていきたいと思いますが、もうこの夏の来年度予算の概算要求に向けてかなり明確な問題意識を持って増額要求をするところはしたいと思っております。ただ、予算措置だけでなくて、例えば、スキルミックスということをこの前からいっておりますが、お医者さんとコメディカルという、つまり、看護師さんとか助産師さんとか、こういう方の役割分担を上手にやれば、お医者さんの負担が相対的に減って、そのことによって医療体制の問題点を取り除くことも可能なので、今これまで議論してきたことを積み上げつつある段階なので、それをベースにして、予算措置、それ以外の措置できちんと対応策をとって総理にご提示できるようにしたいと思っております。
記者:
原爆症の関係ですけれども、新しい基準で認定が始まって、原告も順次、審査、認定が始まっていますけれども、原告の中にはやはり新基準でも救済されないというか、はずれる方がいらっしゃいます。原告の側は、今回、新基準の改訂に原告が果たした役割等に鑑みて、一括全員の認定をということ、ある種政治判断を求めている部分があるのですけれども、そういうことが有り得るかどうかというお考えを。
大臣:
それは、今新基準で10倍の1,800人くらいが認められている。若干、これは認定に時間がかかりますけれども、相当急がせています。それと共に、爆心地から3.5kmとか、一定の疾患ということ以外でも、総合的に判断をしてその方を認定することができるというルールがありますから、それを私は積極的に活用して、実質的に本当にご高齢の被爆者の方々の生活を支えられるように全力を挙げて努力をしたいと思います。そういう意味では、相当前向きにやるつもりであります。

(了)