大臣厚生労働記者会挨拶及び共同会見

H19.09.26(水)13:15~13:47 省内会見場

広報室

会見の詳細

挨拶

大臣:
どうも皆さん、お待たせ申し上げました。先ほど認証式を終わりまして、初閣議は、本当に事務的な申し合わせ事項の説明で終わりました。それでまた、引き続き厚生労働大臣職を勤めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

質疑

記者:
昨日の官邸での会見でも若干触れられていたんですけれど、5000万件の年金記録の問題なんですが、来年3月末までに照合を終わらせて、通知をすると。この約束というのは福田内閣になっても政権としては公約であるという位置づけで考えてよろしいですか。
大臣:
はい。連立政権の公約として工程表を既に発表をしてます。ご承知のように名寄せ5000万件、3月まで。それで、その方に通知を送らせる。それから10月までに、まず今もらっている方、それから現役で働いている方々、こういう方々にもお知らせをするというということですから、この工程表にのっとってやることは内閣が変わろうと変わりありません。それと、技術的な細かい問題は一つ一つ解決していく。そういう予定であります。ただ、どこまで進んでいるのかということで、5000万という数字が一人歩きして非常に大きい、そりゃ大変な数字ですから。これを一月にいっぺんは国民の皆様に明らかにして、今こういう形で進んでますよと、そして524万件のチェックに行った時にも申し上げましたように、とにかく10日間仕事をしてみて、例えば、40人体制ではこれだけ進む、従って、いついつまでに終わらせるためには、あと何人必要であるというマンパワーの計算ができますから。それできちんと例えば、一月ごとに、進み方、工程表通り進んでるかどうか。進まないとすると何が足りないのか、人数が足りないのか何が足りないのか。そういう形でゴールに向かって走りたいと思ってます。
記者:
今の年金記録の問題ですけれども、今のお話ですとマンパワーが計算できるようになるというお話しでしたが、その財源については、新たに雇うということならば何らかのお金が必要だと思うんですが、そのあたりについては、いつ頃どういう形で目途をつけようとお考えでしょうか。
大臣:
これはまさに、500万件余のデータについて今やっている最中ですから、すぐにでもだいたい出ると思います。それから、5000万件、これも着手はしましたけども完璧なプログラムを組んでやってみる、それでプログラムがうまくいくかどうか含めてチェックしながらやっていきますから、その度に計算はし直さないといけない。それは非常に柔軟にやっていこうと思ってます。まさに未知の領域に向かってやっているわけですから、設計図を引いてこういう建物をつくるからいくら労賃がいっていくらお金がいる、という計算ができない仕事なので、これは理解頂きたいと思います。そこで財源の問題ですけども、これはもうあらゆる方策を考えると。ですから、最終的には、国民の皆様にご負担頂かないといけない。それが税金の形であれ、社会保険料の形であれ、国民の負担になるわけですから、国民の皆さんがご負担して結構ですよとご理解いただけるよう、きちんと説明してやっていきたいと思います。ですから、例えば、社会保険庁の持ってる資産の中で、これは売却してももうよろしいというのがあれば、そこから捻出しても構わないでしょうし、それから例えば、こういう問題についてはもう税金でやるべきだと。つまり、むやみやたらに税金ということは問題があります、それから社会保険料を使うことも問題がありますけれども、ここまで年金に対する不信感があれば、それを回復するためには国民の皆様のご理解を頂いて、そういう手段も考えないといけないというふうに思いますから、あらゆる手段を国会の場できちんと議論して、与野党合意の下に、進めたいなと思ってます。
記者:
基礎年金の全額税方式という民主党案に書かれている、最低保障年金について。それで、総理もですね、話し合いの余地があるとかですね、大臣もそういったことをおっしゃってらっしゃると思うんですけれど。そういった、年金制度の在り方について野党側と話し合うとかですね、そういうふうな場というのをどういうふうに設定していかれるのかというふうなことをちょっとお伺いしたいんですけれども。
大臣:
まず、これは政党間の協議をやる必要があると思います。いろんなチャンネル、いろんなパイプを通じて政党間協議、これは相手のある話ですけれど、是非野党の皆さん方にもご協力いただいて。それぞれの案、プラスとマイナスがあるわけですから、そういう中でできるだけお互いにプラスを出し合って、例えば、民主党の所期の案、私たちの案、それより更に良いものができれば、これはゲームの理論的にいうとポジティブサムの話になるわけですから、是非そういう形で議論できればと思ってます。選挙の時は、これはもういくさですからお互いに相手の批判をする、そのことによってポイントを稼ぐということをやってきましたけれども、選挙が終わった今は、きちんを両案を出して、そして議論をしていく必要があると思いますから、まずは政党間の協議をきちんとやって頂きたいと思っております。厚生労働大臣としても与党に対してそういう働きかけをやりたいと思ってます。もちろん、野党の皆さんにも同じような趣旨は何らかの形でお伝えできればと思ってます。
記者:
昨日も訴訟問題のことについて触れられて、年内に解決を目指したいという趣旨の発言をされていましたが、年内に解決というのは、例えば、どういう手法があり得るんでしょうか。
大臣:
まず、支援策、これはいろんな形で考えられると思います。予算の裏付けが必要ですけれども。これは野党の皆さん方からも是非、例えば、原爆症にしてもC型肝炎にしても、なるべく協力するから、野党も協力するので、解決の方法を模索してくれという申し出が既にあります。もちろん、与党のPTからもあります。従って、支援策については、国民の皆さんの合意をいただく。つまり、国会での合意があれば、これはいろんな手が財源措置を含めて打てると思います。問題は訴訟の方です。これは、判決が様々である。C型肝炎については、この前、国が勝訴というのが出ました。従って、いろんな利害関係者がおられる。それをどういう風にして調整するのかと、訴訟についての和解なり妥協なり、一つの解決、つまり、これ以上訴訟はいたしませんというのを両方のサイドがきちんと合意するというのは、ある意味で政治決着になるわけです。それから先はこっちが勝訴、こっちが敗訴と言わないということなので。そういう、ある意味で妥協ができるだけの条件が整うかと。これは国側だけの問題ではありません。具体的に申し上げますと、それぞれの訴訟に、同じC型肝炎でも、異なった弁護団がついている。その弁護団の中で、また考え方が異なる。じゃあ、どうするんですかと。ですから、国の方は、国は一つですから、政治的決断を含めて、かなりダイナミックなことはできるし、やりたいと思っていますが、相手がある話です。どうか相手の方々も、小異を捨てて大同につくというような形でご判断なさって頂ければ、これはかなり前進できるかなと思っておりますけれども。こちらが一生懸命旗を振っても相手のある話です。相手の言い分もたくさんあるでしょう。相手が一人なら非常に話ができやすいですけれども、複数あるということ。それから微妙な違いが原告の方と原告側の弁護人の方とでもまたあるでしょうし。そういう問題を一つ一つクリアできるかどうか。私はやるための努力は尽くしたいと思ってますが、今そういう状況ですが、そういう和解なり妥協なり一つの解決策、訴訟について、促進させるためにも、何とか年内にやりたいということをどなたかが声を上げた方が、遙かに条件が整うなと。やみくもに何でもやるということではないですけれども、今、私が判断してる状況というのは、もう良くご理解できてる。非常に難しい。いろんな方がおられるから。だから、皆さん協力してその方向にいきましょうよという提言も兼ねてそういうことを申し上げております。
記者:
何か協議の場とかを設けられるようなご意志というか。
大臣:
それも含めて。私は調停者ではありません。国の代表です。原告の方々も国と対立している方々です。だから、サードパーティーというか、第三者の調停なさる方が出てきてもらわないといけないんですけども、それはこちらから云々という話では、私の立場から言うと片一方の立場を代表してますので、非常に言いにくいですけれども。そういうことを含めてあらゆる手を尽くしたいと思っております。
記者:
まずは大阪高裁で和解の提言というのがされましたけれども。この件についてはどう。
大臣:
ただ、裁判所が完全に調停できるだけの権能とそういうことの政治力を持っていることを期待して良いのかどうかということがございますので。それもまた一つのきっかけにはなり得ることですから、真剣に検討してみたいとは思ってます。
記者:
高齢者医療費の負担増の凍結の件なんですけれども、大臣としてはこの問題どう取り組んでいかれるのかということと、その場合、財源論が問題になってくるかと思いますけども、その財源についてはどのようなお考えを今持っていらっしゃるのでしょうか。
大臣:
これは、まずは一昨日以来の自民党と公明党の政党間の協議で連立政権合意という形で、皆さんご承知のような文言で決まったことであります。これを実現するにはどうするかということは、基本的に政党間で更に詰めていただくことが必要だと思います。それから、政府の中においては、これは厚生労働省・私と財務省・額賀大臣との間できちんと議論をしたいと思います。更に、谷垣政調会長、これは党の政調会長として、それから、斉藤鉄夫公明党政調会長、こういう方々と早急に場を設けて議論をしたいと思いますが、従って、まだ細かい具体的な財源措置を含めてどうするかという話はまだ出てきていません。いろんな方がフライングしてこうだこうだとおっしゃっている面もありますけども、正式には、まだ党と政府との協議も行われていません。こういう大事なことをやる時は、必ず政府と与党、政府・与党協議会というのを総理をトップにおいて、ご承知のように、開きます。何度も私は参議院の政審会長としてそういう場に立ち会ってきましたけど、同じことをやる必要がありますから、そこで最終的に決定する。政府・与党協議会の下にプロジェクトチームを作るようなことを考えるということであります。その下での検討ですが、近々に私と、具体的に言うと、明日おそらく谷垣政調会長と私の会談が行われる予定であります。更に、それに財務大臣も加わるというような形で詰めていきたいと思っています。今そういうことを念頭に動いています。それで、高齢者医療にしても後期高齢者医療にしても、障害者自立支援法にしても、そこに含まれている高邁な理想であるとか、評価して良いいろんな枠組みについて、これはきちんと守っていきたい。そういう理想までをかなぐり捨ててやるのは、私は基本的には反対です。しかし、新しく作った枠組みは、枠組みとしても、しかし目の前で非常に困窮している方々がおられる。非常な負担増になられる方々がおられるということについては、何らかの予算措置でこれはつくる。例えば、障害者自立支援の問題については、やはりいろんな問題がありましたから、補正予算含めて、激変緩和というか、そういう経過措置をやりました。それで、相当なご不満というのが解消できたと私は思っています。現実に参議院の政審会長として、この問題に党の立場からあたってきましたから。それと同じようなことを節目節目でやっていく。しかし、理想は掲げておきたいなというのが今の私の立場です。
記者:
そうしますと、来年の4月から予定通り制度はスタートさせるけれども、それによって負担増になる部分については、予算措置で何か激変緩和を図っていきたいというお考えですか。
大臣:
私自身は、それを一つの方策と考えていますが、これは厚生労働省が勝手に決められる問題ではなくて、あくまでも連立政権の自民党と公明党の党のレベルでの協議決定事項ですから、更にこれをもっと具体的に与党のレベルで詰めていただく。その節目節目において、厚生労働大臣としては、それは違うのではないか、これはこういうふうに考えた方が良いですよということは、申し上げる。従って、厚生労働省と与党PTとの間のきちんとした議論の場は設けたい。その第一歩として、谷垣政調会長と近々に議論したいと思っています。
記者:
厚生労働省は今社会保障費の抑制を課題として課せられていると思うんですけど、これにかかる、高齢者の凍結にかかる予算というのは、厚生労働省予算とは別の枠組みの中で考えるべきだいうことでよろしいでしょうか。
大臣:
2200億円という、これを本当に無駄を切り、なんとか四苦八苦して、へそくりを一所懸命たたいて、もう本棚の後ろを見ても壁を削ってみてもへそくりは出ないぞというような所までいきつつあるので、更にまた与党の皆さん方がこうしろと言ったことをもうこれ以上無理して出せますかというと、やはり常識的に考えれば、その枠外で考えて頂かないと。つまり、その余波を受けて、今度またそれで苦しむ方々が出てくる。これは社会保障において許されることではないと思います。そして、長期的な課題としては、国民皆で考えないといけないことは、やはり充実した社会保障制度を打ち立てていくためには、ある程度の負担は必要です。もう限界です。へそくりをやりくりし、工夫をするのは限界に達している。そういう認識を持っております。従って、そういう認識を私たちの政策集団が持っていますということは、総裁選の過程において福田候補にはきちんとお伝えをしております。福田候補は、今総理総裁となられましたから、我々がそういう認識を持っているということは、きっちりとお考え下さっていると期待しております。
記者:
確認ですけれども、凍結は仮にしたとして、それはやはり期間限定的なものになるということでよろしいでしょうか。
大臣:
それは、期間限定にする、しないということも含めて今から議論する必要があると思います。まだそこまで議論がいっておりません。自民党の中には、フライングをしてそういうことを既におっしゃている方がいるやに聞いてますけども、まだスタートラインに立ったばかりで、まだヨーイドンと言ってないので走るの待ちなさいというような状況です。
記者:
労働三法ですけれども、通常国会で継続審議になりましたが、臨時国会でどういう扱いになるかという見通しについてお聞かせ下さい。
大臣:
私たちの立場としては、最低賃金法含めてぜひ実現させたいという思いでやっていきたいと思いますが、本日、新内閣が発足したばかりでまだ所信表明も行われていない状況ですから、どういう法律をどういうタイミングで出すか。これはご承知のように、10日以上の政治的空白がありましたから、臨時国会を会期延長するにしても、それでも相当タイトな日程になると思います。その中でやはり法案について取捨選択せざるを得ないと思いますので、私たちの希望として、きちんと労働三法やりたいということを申し上げますけど、政府与党全体としてどういう決断が下されるか、これはもう少し時間を賜りたいと思います。
記者:
訴訟で確認したいんですけど、国としては、ある程度のスタンスというのは固まっているんだけれども、相手がバラバラであると。つまり、相手次第であるというふうにおっしゃっていると聞こえるんですけど。
大臣:
そういうことではなくて、何らかの和解ができませんかとか妥協できませんか、解決はどうですかというときに、相手がある話ですから、こちらだけがどうであったって、相手の皆さんにも努力をしてもらわないといけない。つまり、特にC型肝炎は、一番直近の判決は国が勝訴です。国が勝ちました。だけど国が全面的に悪いから100%あなた駄目ですよというのは、判決の趣旨からいっても受け入れ難い話になるわけです。司法の判断は何だったんだということになりますから、司法に行政が介入するわけにはいきません。ですから、要するに、これは基本的には与党のPTに任せてあります。与党のPTできちんと議論をしてください。その与党のPTと議論を国としてもやっています。それから野党の皆さんの意見もきちんと聞いています。そういう中であえて厚生労働大臣としてどうですかと言ったら、私は年内に解決する方向を模索したいということであります。ただ、国がいくらどうやったって、相手がある話ですということです。それに全部つきると思います。
記者:
年金流用防止法案という法案が民主党から出されましたけど、福田政権としてはこの法案にどのように向き合っていかれるのでしょうか。
大臣:
これは、基本的には、どこまでの事務経費を年金の保険料で負担するのか、それからまた、そうではなくて、税金で負担するのかということで。まだ皆さん方、ゴルフの練習の道具とかいろんな無駄な建物とか、そういうことを念頭に置かれている方がおられますが、これはもう誤解なのです。そういうことは一切ありません。ですから、事務経費については、私自身は、これは他国の例を見ても分かるように、年金の掛け金からやるべきだと思っています。そうしないと、一般財源からやるということは、2000億円じゃあどこからどういうふうに持ってくるんですか。国民の皆さん2000億円出してください、良いですねって国民の皆さんが結構ですって言えばそれで結構ですよ。ただ、それに対しては、当然国民の間からも反論が出てくるでしょうから、それを議論してやっていきたいということで、基本的なスタンスは変わっていないし、福田政権としてもそれは変わらないと思います。
記者:
基礎年金の国庫負担引き上げについて、民主党は全額税でやる、しかし、消費税の引き上げは必要ないといっていますけど、そういう見解についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まず、昨日の自公連立政権合意でも21年度までに基礎年金部分国庫負担2分の1、これは堅持するということです。これを要するに100%ということなのですが、一つの考え方ではあります。しかしながら、じゃあその財源をどこに求めていくか。全部消費税でやりますか。じゃあいくらかかりますか、それについて国民は納得できますかということがあります。それから、大きな制度設計の変更をやる時には、それまでの制度設計で、制度で恩恵を受けていた方々がマイナスを被る可能性がある。これについてどういう配慮を致すのですか。やはり社会保険料でやるという部分が大きいということは、自分たちの掛けたお金であって、それで権利です。それは全部そうではなくて、税金で全て見ますということなると、今までの区別はどうするのですか。つまり、そういう不満が必ず出てくるでしょうから、これに対してきちんと説得できるかどうか。これはやはり議論をしていく必要があると思います。現に3分の1から2分の1にするだけでもじゃあその財源どうするのですかと。極めてこれは悩ましい問題でありますから、全額やるならやるで、財源の方からきちんと詰めていく必要があると思います。その上で国民がそれで結構だというならそれも一つの手だと思います。
記者:
その点で民主党は消費税上げなくても財源は捻出できるといっていますが、その辺の実現性というか、それについての見解を教えて下さい。
大臣:
やって頂ければ、ぜひそうして頂きたい。つまり、そういうミラクルみたいなことができるのだったらどんなに良いだろうかと。願望形で言うしかない。つまり、先ほどご質問があったように、2200億円のシーリングだって、私は、もう限界だと。そこまで社会保障費まで切りつめて良いんですか。もっと弱い人に光を当てるべきではないのか。それは皆で支えるべきではありませんか。C型肝炎だってそうです。行き着くところは、皆で財政的な支援をしないといけない。だから、昨日の就任の時もどうか国民の皆さん、そういう困った方々に財政支援を皆でやりましょうということを申し上げたわけです。そこまで限界にきているわけです。じゃあどこをどうカットしてすればでるのですか。やはり特別会計を切り刻めば何百兆も出ます、いくらでも出ますということを民主党の方々が言ってらっしゃるのですけども、じゃあ具体的な工程表を、それこそ5000万件じゃないけれども、1年以内にどの特別会計をどうして、そして、政府のどこの側をどういうふうにカットしてそれで何兆円、何兆円って数字を出して下さい。それができれば、そういう案があるというのは、一所懸命それに荷担したいくらいですよ、私は。そう甘くはないと見ています。
記者:
明日以降の協議で、補正予算の編成を財務省などに要請する、そういうお考えは持っていらっしゃいますか。
大臣:
補正は、これは経済状況を見て、税収に余りがある時にやるわけですから、経済情勢がどうなるか、それは石油の値段が高騰を続けている、それから、アメリカのサブプライムローンにしてもですね、アメリカの住宅産業も若干まだ心配な点がある。そうすると、世界経済の動向、その中での日本経済、私は、むしろ、さほど悲観的ではなくて、日本経済は着実に上向きに向かっているという判断でありますけれども、しかし、じゃあ補正がきちんと組めるだけの税収増があるのかどうなのか。一昨年は4兆近くあったと思いますけれども、仮に、ああ昨年はね。私も政審会長として、この補正に相当関わりましたけれども、仮に、3兆円という補正ができるとすれば、その1割の3,000億というのが使えれば、これは今、要するに、与党の政権合意でうたわれていることは、ほぼ完璧にできますね。ただ、こればかりは経済動向に関わりますから、組んでくれ組んでくれるなということは、こちらは言える話ではなくて、経済動向次第だということです。ただ、昨年並みであれば、補正を使うというのも、当然、一つの手段として考えられることだと思います。
記者:
激変緩和措置とはいえ、小泉内閣下で決定した医療制度改革の後退ではないかというような見方もあるのですが、こういったことについては。
大臣:
いや、ですから、きめの細かさというのが、やっぱり必要だと思いますね。ですから、一つの制度設計をする、また、一つの制度を変えていくという形でやってみて、介護保険の制度だってそうですけれども、やるといろいろなところで、思っていたことと違うことが出てくる。それを微調整していく、そのために政党があるわけですよ。だから、厚生労働関係だと厚生労働部会があって、その中にいろいろなワーキングチームがあって、例えば、介護保険について、私もずっとそれはやってきましたけれども、ケアマネージャーがちょっと賃金低いんじゃないかと、そしたらそれを変えていく。本当は5年にいっぺんなんて見直しとか、3年にいっぺんなんて見直しがあったって、見直しは毎年やっていくという形で微調整をしていくことができると思いますから、そういう微調整というか、小さな調整というか、そういう枠内でとりあえずはやっていって、しかし、どうしてもその制度設計を大幅に変えないといけないというところまで来れば、それは変えればいい。ただ、私が申し上げたのは、大きな理想を掲げてやった制度設計について変えなくても、今ご質問あったような補正予算を含めて、財源措置で変えることができるだろうと。それで、参議院選挙で我が党がこれまで負けたというのは、今の社会保障制度含めて、国民がそれを批判しているということなので。主人公は国民ですから、有権者は、主権者は国民なので、国民の声に謙虚に耳を傾ける、そういう政治でないといけないと思いますから。小泉さんだって神様ではないわけですから、小泉さんのやったことは100%正しくて、それ以外は一切だめだということではなくて、そのマイナスの部分で、これだけ厳しい審判を受けた以上は、そのマイナスの部分にきちんと手当てをするというのが、この現政権の最大の課題だと、そういうように私は認識しています。
記者:
先ほど、特別会計の見直しで、具体的な工程表を出してほしいというふうに言っていましたけれども。
大臣:
例えばね。例えば、特別会計。
記者:
特別会計の実態がどうなっているかというのを、いろいろ資料請求など、民主党や報道陣も含めて出しても、官僚側がなかなか出してこないという実態もあるわけですけれども、それについては、厚生労働省は、じゃあ、積極的に実態を外に提供するということでよろしいですか。
大臣:
それは当たり前の話なので、なんで今まで特別会計に光が当たらなかったかと言ったら、一般会計の審議だけで精一杯だったわけですよ。しかし、参議院では決算ということを重視する。そして、今、きちんとやっていますから、それは出せるものは全部出せばいいので。全体的な数字を純計で二百何兆円というのを既に出しています。それで不満ならば、どんどん出していけば、それは、そのために国会があるわけですから、出すような質問をやってくださいということです。ですからね、特別会計だけではなくて、私が申し上げたいのは、そんなミラクルがあるなら、ちゃんと数字を示してくれということを言っているのです。出してください。
記者:
それは報道陣の取材に対しても、ちゃんと積極的に出すように指示をしていただけるのですか。
大臣:
いや、それはきちんと、ただ、報道陣の取材よりも、基本は国会ですから。基本は国会ですよ。国会でやるべきことですよ。国会、今、開いているのだから。だから、国会でやって、国民の代表はそこにいるわけですから、国会でやることが第一義的ですよ。私はそこが主戦場というか、それを基本的にやるべきであるというふうに申し上げています。
記者:
C型肝炎訴訟に関してなのですが、大阪高裁が出した、和解へのテーブルに着くかどうかという和解勧告への回答期限が来月の15日に迫っているのですが、これに対する対応というのは固まっていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
いや、まだ固まっていません。これも含めて検討いたします。 いろいろ皆さん方と議論を通じて、それでまた、私もいろいろ教えていただくこともありますし、できるだけ透明性、今おっしゃったように公開の原則で、やれることはやっていきたいというように思いますので、また今後ともよろしくお願いいたします。どうも今日はありがとうございました。

(了)